説明

サッシの引戸用の後付け型取外し防止具

【目的】 室内に外気を導入して涼を求めたり、換気をしたりするためにサッシの引戸を少し開けたときに、泥棒がドライバー等を引戸と枠体に差し込んで引戸を持ち上げて、引戸を枠体より強引に取り外すことを防止する。
【構成】 サッシの引戸に断面が逆L字状の高さ調整板を取り付けるについて、逆L字状の高さ調整板の先端を、サッシの枠体の上部の内面またはガイトの下端に近接させるように、突出させてサッシの引戸の上部の内面に取り付けたサッシ用の後付け型取外し防止具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はサッシの引戸に防犯具として後付する引戸の取外し防止具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のサッシの引戸においては、引戸を閉めた後に円型平盤式テーパカム(クレセント)を中心軸にそって回転させて引戸をロックすると、引戸はサッシの枠体全体内に収納されることもあって、外部からドライバー等の道具を引戸と枠体に差し込んで引戸を強引に取り外そうとしても、この引戸を取り外すことはほとんど不可能であった。
【0003】
作今の省エネルギ化の傾向から、エアーコン、クーラー等の空調機を極力使用せずに、テーパカムを逆回転させてロックを解除して引戸を開けて、外気を室内に導入して涼を求めたり、換気をすることが多くなった。
【0004】
しかし、テーパカムのロックを解除して引戸を開けると、引戸を全開しても、建物の上部の天窓型のサッシのように、その枠体の縦幅が20cm未満と狭いと、泥棒が身体を入れることができないために、この種のサッシにおいては引戸を開けても防犯上問題がないし、同様に、浴室のサッシのように、その枠体の横幅が20cm未満と狭いと、泥棒が身体を入れることができないために、この種のサッシにおいても、引戸も開けても防犯上問題がない。
【0005】
また、通常の大型や中型のサッシの場合、テーパカムのロックを解除して引戸を開けると、その枠体の縦幅と横幅が広いために、引戸が20cm以上開いた状態であれば、泥棒が身体を入れることは容易であり、この種のサッシにおいては、引戸を開けることは防犯上問題があるために、前述したように、テーパカムによって引戸をロックせざるを得なかった。
【0006】
なお、通常の大型や中型のサッシにおいても、作今の省エネルギ化の傾向から、エアーコン、クーラー等の空調機を極力使用せずに、引戸を多少開けて、外気を室内に導入して涼を求めたり、換気をすることが要望されるようになり、このよう要望に応じて、泥棒が身体を入れることができない程度に引戸を多少開けた状態でロックするというロック機構が開発されている。
【0007】
この種のロック機構としては、たとえば、特許公開2004−232345号公報や特許公開2004−347000号公報に記載されている板バネを利用したものがある。
【0008】
また、出願人会社が開発した特許公開2008−95410号公報に記載されたロック機構があって、このロック機構は、「5〜45度に折曲げた押上バネの水平部分の裏面に基板を溶接するとともに押上バネの水平部分の表面に固定板を溶接し、この押上バネの折曲部分の表面に補強板を固定版と0.1〜0.5mmの間隔を置いて溶接して押上バネストッパーを形成し、この押上バネストッパーを、押上バネの折曲部分の先端部分が、閉じた状態の一方の引戸の端部に近接するように、他方の引戸の端部に取り付け、この押上バネストッパーの補強板を押上バネの弾力に抗して押圧して押上バネの折曲部分を水平状態にして引戸のロックを解いて引戸を開けるとともに、引戸を閉めて補強板を溶接した押上バネの折曲部分を押上バネの弾力によって折曲状態に自動的に復元することによって引戸をロックする引戸用自動押上バネロック具」に関するものである。
【0009】
【特許文献1】特許公開2004−232345号公報 特許公開2004−347000号公報特許公開2008−95410号公報
【0010】
しかし、前述したサッシの枠体の縦幅や横幅が狭い天窓型のサッシや浴室のサッシのような場合、あるいは、ロック機構を設けた通常の大型や中型のサッシの場合においても、外気を室内に導入して涼を求めたり、換気をするために、サッシの引戸を開けると、前述したように、テーパカムのロックを解除しており、また、引戸もサッシの両側の枠体から外れており、さらに、上部枠体と引戸の上部の間に隙間があることが多いために、泥棒が外部からドライバー等の道具を引戸と枠体との間に差し込んで引戸を持ち上げることによって引戸を枠体より強引に取り外される危険がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、サッシの引戸に逆L字状の高さ調整板を設けることによって、サッシの引戸を開けて室内に外気を導入して涼を求めたり、換気をしたりするとともに、泥棒がドライバー等の道具を引戸と枠体に差し込んで引戸を持ち上げて、引戸を枠体より強引に取り外されることを防止することに目的がある。
【0012】
さらに、本発明は、前述した逆L字状の高さ調整板の先端に、微調整ボルトを設けて、上部枠体と引戸の上部の間に隙間がある場合に、逆L字状の高さ調整板のネジ止めを再度行うことなく、逆L字状の高さ調整板の高さの微調整をすることに目的がある。
【0013】
通常の大型や中型のサッシに、逆L字状の高さ調整板とサッシ向けの引戸用自動ロック具とを一緒に取り付けて、通常の大型や中型のサッシにおいても、引戸を20cm以上開かない状態に維持して室内に外気を導入して涼を求めたり、換気をしたりするとともに、泥棒がドライバー等の道具を引戸と枠体に差し込んで引戸を持ち上げて、引戸を枠体より強引に取り外されることを防止することに目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、サッシ用の後付け型取外し防止具に関するもので、外側サッシの引戸の上部の内面に、断面が逆L字状の高さ調整板を取り付けるについて、逆L字状の高さ調整板の先端を、サッシの枠体の上部の内面に近接させるように、突出させてサッシの引戸の上部の内面に取り付けたことに特徴がある。
【0015】
また、本発明は、前述した引戸用の後付け型取外し防止具の上部個所に、微調整ネジを設けて、逆L字状の高さ調整板の高さの微調整をすることに特徴がある。
【0016】
さらに、本発明は、前述した引戸用の後付け型取外し防止具と一緒にサッシ用の引戸用自動ロック具を併用して、その押上バネの折曲部分の先端部分が、20cm未満に開いた状態の内側の引戸の端部に近接する位置に、押上バネストッパーを外側の引戸に取り付けて、引戸を20cm未満に開いた状態にロックすることに特徴がある。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、外側サッシの引戸の上部内面に、後付け型取外し防止具の逆L字状の高さ調整板の先端を、サッシの枠体の上部内面またはガイドの下端に近接して設けることによって、サッシの引戸のテーパカムのロックを解除して引戸を開けて、外気を室内に導入して涼を求めたり、換気をすることができるとともに、泥棒が外部からドライバー等の道具を引戸と枠体との間に差し込んで引戸を持ち上げることを防いで、引戸の枠体よりの取外しを防止できるという防犯上優れた長所がある。
【0018】
また、本発明は、前述した引戸用の後付け型取外し防止具の上部個所に微調整ネジを設けて、上部枠体と引戸の上部の間に隙間がある場合に、逆L字状の高さ調整板のネジ止めを再度行うことなく、逆L字状の高さ調整板の高さの微調整できるという利点がある。
【0019】
さらに、本発明は、前述した後付け型取外し防止具と一緒に、サッシ用の引戸用自動ロック具を通常の大型や中型のサッシに併用して、引戸を20cm未満に開いた状態にロックすることによって、引戸のロックを解除して開けて、外気を室内に導入して涼を求めたり、換気をすることができるとともに、泥棒が外部からドライバー等の道具を引戸と枠体との間に差し込んで引戸を持ち上げることを防いで、引戸の枠体よりの取外しを防止できるという防犯上優れたメリットがある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明のサッシの引戸用後付け型取外し防止具の一例を説明すると、図1に示すように、従来のサッシは、その引戸1を閉めると、引戸1の両端はサッシの枠体2の両端内に収納されるとともに、円型平盤式テーパカム8をロックすると、外部からドライバー等の道具を外側の引戸1と枠体2に差し込んで外側の引戸1を持ち上げて外側の引戸1を強引に取り外すことは不可能である。
【0021】
しかし、テーパカム8のロックを解除して外側の引戸1を開けて、外気を室内に導入して涼を求めた場合、引戸1の両端はサッシの枠体2の両端から外れた状態にあり、さらに、サッシの枠体2の上部3の内面と引戸1の上部の間に隙間Sがあることが多いために、外部からドライバー等の道具を外側の引戸1と枠体2との間に差し込んで外側の引戸1を持ち上げて、枠体2より外側の引戸1を強引に取り外される危険がある。
【0022】
本発明においては、図2と図3に示すように、断面が逆L字状の高さ調整板4の取付調整穴5にネジ6を差し込んで、外側のサッシの引戸1の上部の内面に逆L字状の高さ調整板4を取り付けるについて、逆L字状の高さ調整板4の先端を、サッシの上部枠体3の内面に近接させるように、突出させて外側のサッシの引戸2の上部の内面に逆L字状の高さ調整板4を取り付ける。
【0023】
すなわち、この逆L字状の高さ調整板4の先端の突出させた部分を、サッシの上部枠体3の内に存在する隙間Sの埋め込み部分として形成することによって、サッシの引戸1を開けて室内に外気を導入して涼を求めるときに、泥棒がドライバー等の道具を外側の引戸1と枠体2に差し込んで外側の引戸1を持ち上げられないような構造して、外側の引戸1が枠体2より取り外されないようにしようとするものである。
【0024】
たとえば、サッシの枠体2の上部の内に存在する隙間Sが10mmあるとすると、逆L字状の高さ調整板4の先端の突出させた部分は8〜9mmとして、埋め込み部分を形成すると、泥棒がドライバー等の道具を外側の引戸1と枠体2に差し込んで外側の引戸1を持ち上げようとしても、この突出させた部分、すなわち、埋め込み部分が存在するために、外側の引戸1を持ち上げることはできず、外側の引戸1が枠体2より取り外されることはない。
【0025】
なお、図4に示すように、サッシの枠体2の上部の内に引戸1のガイド9が設けられている場合には、逆L字状の高さ調整板4の先端を、ガイド9の下端に近接させるように、突出させてサッシの外側の引戸2の上部の内面に取り付けると、泥棒がドライバー等の道具を外側の引戸1と枠体2に差し込んで外側の引戸1を持ち上げようとしても、外側の引戸1を持ち上げることはできず、外側の引戸1が枠体2より取り外されることはない。
【0026】
逆L字状の高さ調整板4に設けた取付調整穴5は、1つであると取付状態が不安定であるので複数個も設けるとよく、外側のサッシの引戸1の上部の内面に逆L字状の高さ調整板4を取り付けるには、ネジ6よって行うとよく、特に、先端にドリルの付いたものが取付作業が容易になるので望ましい。
【0027】
前述したように、外側のサッシの引戸1の上部の内面対する逆L字状の高さ調整板4の取付調整穴5の位置を決定することによって、逆L字状の高さ調整板4の先端を、サッシの枠体2の上部の内面に近接して取り付けるが、一度取り付けた逆L字状の高さ調整板4について、その高さの微調整を行う必要がある場合には、逆L字状の高さ調整板4のネジ止めを再度行うことになるが、図5に示すように、逆L字状の高さ調整板4の先端に微調整ボルト7を設けて、この微調整ボルト7を回転させて、前述したこの逆L字状の高さ調整板4の先端の突出させた部分の微調整をしてもよい。
【0028】
本発明の逆L字状の高さ調整板4と一緒に併用する引戸用自動押上バネロック具は、図6に示すように、5〜45度に折り曲げた押上バネ11の水平部分12の裏面に基板13を溶接し、また、押上バネ11の水平部分12の表面に固定板14を溶接し、さらに、この押上バネ11の折曲部分15の表面に補強板16を固定版4と0.1〜0.5mmの間隔を置いて溶接して押上バネストッパー17を形成したものである。
【0029】
押上バネストッパー17の押上バネ1の折曲部分15は、図6に示すように、弾性を持って折り曲がった状態にあるが、人の指で補強板16を弾性に抗して押圧すると、押上バネ11の折曲部分15は基板13に押し付けられて水平状態になり、また、人の指が補強板16より離れると、押上バネ11の折曲部分15は弾性によって折り曲がった状態に復元するものである。
【0030】
押上バネストッパー17の押上バネ11の折曲部分15に溶接した補強板16の右エッジ部分が、20cm未満に開いた状態の内側の引戸1の端部に近接する位置になるように、外側の引戸に1の表面に接着剤やネジ等によって固定して、引戸1を20cm未満に開いた状態にロックできるようにする。
【0031】
また、押上バネストッパー17は、人の手で補強板16を押圧して押上バネ11の折曲部分15を弾力に抗して水平状態にして、引戸1のロックを解き、水平状態にした補強板16と折曲部分15とを取り付けた外側の引戸1を、内側の引戸1との間に形成した間隙内を左方向に移動させて引戸1を開ける。
【0032】
次に、開けた状態の内側の引戸1を右方向に移動して外側の引戸1を閉めた状態にすると、押上バネ1の折曲部分15は弾力によって前述した折曲状態に自動的に復元して、補強板16によって内側の引戸1を20cm未満に開いた状態にロックする。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、既に設置した天窓型のサッシ、浴室のサッシ、通常の大型や中型のサッシなどのあらゆるサッシの引戸に後付して、解放時の引戸の取外し防止具として防犯上利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】従来のサッシに引戸が収納された状態を示す断面説明図である。
【図2】従来のサッシに引戸が収納された状態を示す平面説明図である。
【図3】本発明のサッシの引戸用後付け型取外し防止具を引戸の上部の内面に取り付けた状態を示す平面説明図である。
【図4】本発明のサッシの引戸用後付け型取外し防止具を引戸の上部の内面に取り付けた状態を示す拡大断面説明図である。
【図5】本発明のサッシの引戸用後付け型取外し防止具の逆L字状の高さ調整板の拡大説明図である。
【図6】本発明のサッシの引戸用後付け型取外し防止具と併用する引戸用自動押上バネロック具とを引戸の上部の内面に取り付けた状態を示す拡大断面説明図である。
【符号の説明】
【0035】
1 サッシの引戸
2 サッシの枠体
3 上部枠体
4 逆L字状の高さ調整板
5 取付調整穴
6 ネジ
7 高さ調整ボルト
8 円型平盤式テーパカム
9 ガイド
10 引戸用自動押上バネロック具
11 押上バネ
12 水平部分
13 基板
14 固定板
15 折曲部分
16 補強板
17 押上バネストッパー



































【特許請求の範囲】
【請求項1】
サッシの引戸の上部の内面に断面が逆L字状の高さ調整板を取り付けるについて、逆L字状の高さ調整板の先端を、サッシの枠体の上部の内面またはガイトの下端に近接させるように、突出させてサッシの引戸の上部の内面に取り付けたサッシ用の後付け型取外し防止具。
【請求項2】
逆L字状の高さ調整板の先端に、微調整ネジを設けた請求項1記載のサッシ用の後付け型取外し防止具。
【請求項3】
5〜45度に折曲げた押上バネの水平部分の裏面に基板を溶接するとともに押上バネの水平部分の表面に固定板を溶接し、この押上バネの折曲部分の表面に補強板を固定版と0.1〜0.5mmの間隔を置いて溶接して押上バネストッパーを形成し、押上バネストッパーを外側の引戸に取り付けるについて、押上バネの折曲部分の先端部分が、20cm未満に開いた状態の内側の引戸の端部に近接する位置に、押上バネストッパーを外側の引戸に取り付け、この押上バネストッパーの補強板を押上バネの弾力に抗して押圧して押上バネの折曲部分を水平状態にして引戸のロックを解いて引戸を開けるとともに、引戸を閉めて補強板を溶接した押上バネの折曲部分を押上バネの弾力によって折曲状態に自動的に復元することによって、引戸を20cm未満に開いた状態にロックする引戸用自動ロック具を併用した請求項1または請求項2記載のサッシ用の後付け型取外し防止具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−11059(P2013−11059A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−142571(P2011−142571)
【出願日】平成23年6月28日(2011.6.28)
【出願人】(399045341)
【Fターム(参考)】