説明

サッシ構造

【課題】 優れた防水性・安全性を確保することができるとともに、メンテナンス性の向上を図ることができるサッシ取付構造を提供する。
【解決手段】外壁1の開口部10の下辺10aに防水シート2が設けられ、この開口部10の外側からサッシ3を嵌め込んでサッシ3を固定するサッシ取付構造であって、サッシ3は、下辺10aの防水シート2の上に設けたスペーサ部材41上に下枠31が載置され、下枠31から延設された固定リブ31aがスペーサ部材41の室外側立面41cに室外側からビス44で固定され、上枠32から延設された固定リブ32aが上枠固定金具5のサッシ当接面52に室外側からビス54で固定され、かつ室内床下地7の端縁とサッシ3との間隙の位置から連結ビス45を螺合または螺合解除することで、固定片42とスペーサ部材41とが連結および連結解除可能となされたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅内のバルコニーなどに面して設けられるサッシの取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、バルコニーに面したサッシは、出入段差が少なくなるように取り付けられている。したがって、バルコニー床部に雨水が溜まっても浸水しないように、バルコニー床のシート防水をサッシ下から室内側へ立ち上げて防水高さを確保していた。そして、この立ち上げた防水シートの上にバルコニー用サッシの下枠を載せるようにしてバルコニー用サッシを外壁開口部に固定していた。
【0003】
この固定は、図5に示すように、外壁開口部の下辺aにおいて、厚み方向に延設された防水シートb上にスペーサcを設け、このスペーサcの上にサッシdの下枠eを載置してサッシdの下枠eから延設された固定片fをスペーサcに当接した後、外側から固定片f、スペーサcを介し、防水シートbを貫通して軸組gにビスhで固定していた。そして、ビスhを被覆するように、サッシdの下枠eと防水シートbとの間隙をシール材iでシーリングしていた。また、室内側からは、床板jの上に当接された下枠eの縁部kをビスmで床板jに固定していた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−253964号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
住宅建物の長寿命化(高耐久化)を図るために、バルコニー床の防水シートbは、定期的に防水メンテナンスをする必要がある。しかし、上記従来のサッシ取付構造の場合、バルコニー床の防水シートbは、サッシdの下、すなわち外壁開口部の下辺aから室内側へ立ち上げているため、防水シートbを交換する際には、サッシdを取り外さなければならない。このサッシdの取り外し作業を行なう場合、室外側からシール材iを切ってビスhを外さなければならないが、下枠は、非常に低い位置にあるため、ビスhの取り外し作業が困難になる。また、上枠は、サッシ上の外壁を取り外したりしなければならず、交換作業が煩わしく、大掛かりなメンテナンス工事が必要となってしまう。
【0006】
また、サッシdが二階に設けられた腰窓のような場合には、メンテナンスの必要があってサッシdを取り外すには、室外側からシール材iを切ってビスhを外す際、室外側に身を乗り出してビスhの位置を探りながらをビスhを取り外さなければならず、作業が困難になるといった不都合を生じることとなる。
【0007】
また、上記従来のサッシ取付構造の場合、サッシdを固定するために使用するビスhによって、防水シートbが穿孔されることとなるため、外部からの防水納まりは、シール材iのみによるものになってしまう。したがって、このシール材iが万一切れた場合には、この穿孔部を介して雨水などが浸入する恐れがあり、充分な防水性、安全性を確保することができなくなるといった不都合を生じる。
【0008】
本発明は係る実情に鑑みてなされたものであって、メンテナンス性の向上を図ることができるサッシ取付構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための本発明のサッシ取付構造は、外壁に設けられた開口部の外側からサッシを嵌め込んで固定するサッシの取付構造であって、サッシは、下枠固定金具および上枠固定金具を介して開口部に固定されてなり、下枠固定金具は、開口部の下辺であって、外壁の厚み部分に設けられ、その上にサッシ下枠が載置できるようになされたスペーサ部材と、室内下地上に固定される板状の固定片とからなり、開口部の下辺に設けられたスペーサ部材からは、室内下地上に固定された固定片に向けて連結部が延設され、この連結部と固定片とは、連結ビスで連結および連結解除可能となされ、上枠固定金具は、建物軸組に固定される板状に形成されてなり、開口部の外側から嵌め込まれるサッシは、下枠固定金具のスペーサ部材上に下枠が載置され、下枠から延設された固定リブがスペーサ部材の室外側立面に当接されて、当該立面に室外側からビス固定され、上枠から延設された固定リブが上枠固定金具の室外側面に当接されて、当該室外側面に室外側からビス固定され、かつ室内下地の端縁とサッシとの間隙の位置から連結ビスを螺合または螺合解除することで、固定片とスペーサ部材とが連結および連結解除可能となされたものである。
【0010】
また、上記サッシ取付構造において、開口部の下辺に、室外側から外壁の厚み方向に沿って延設されるとともに、室内側で上方に立ち上げられた防水シートが設けられ、この防水シート上にスペーサ部材を載置するようになされたものであってもよい。
【0011】
さらに、防水シートは、バルコニー床の防水シートと一体化されたものであってもよい。
【発明の効果】
【0012】
以上述べたように、本発明によると、室内下地の端縁とサッシとの間隙の位置から連結ビスを螺合解除することで、固定片とスペーサ部材とを連結解除することができるので、この連結を解除した後、室外側からサッシの上枠と開口部の上辺とを固定しているビスを取り外せば、サッシを室外側に取り外すことができる。したがって、外壁や内装を取り外すことなく、簡単にサッシの着脱を行ってメンテナンス性の向上を図ることができる。また、固定片とスペーサ部材との連結を解除することで、サッシの下枠にスペーサ部材を固定したままサッシを室外側に取り外すことができるので、サッシの下枠の下側に充分な作業スペースが無くても簡単にサッシの着脱を行うことができる。
【0013】
また、開口部に防水シートを設けた場合であっても、防水シートに穿孔することなく、室内下地に固定した下枠固定金具と、軸組に固定した上枠固定金具とによってサッシを固定するため、防水性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係るサッシ取付構造の全体構成の概略を示す断面図である。
【図2】図1のサッシ取付構造において、開口部からサッシを取り外す途中過程の状態を示す断面図である。
【図3】図1のサッシ取付構造において、開口部からサッシを取り外した状態を示す断面図である。
【図4】本発明に係るサッシ取付構造に使用する下枠固定金具の全体構成の概略を示す斜視図である。
【図5】従来のサッシ取付構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0016】
図1はサッシ取付構造の全体構成の概略を示し、図2および図3は同サッシ取付構造の施工過程を示している。
【0017】
このサッシ取付構造は、外壁1の開口部10の下辺10aに防水シート2が設けられ、この防水シート2上に載置するようにして開口部10の外側からサッシ3を嵌め込んで固定するようになされており、開口部10の下辺10aと上辺10bとに下枠固定金具4と上枠固定金具5とを介してサッシ3を取り付けるようになされている。
【0018】
外壁1に設けられた開口部10は、二階バルコニー21に隣接して掃き出し窓サイズのサッシ3を取付可能な大きさに開口されている。
【0019】
開口部10の下辺10aは、梁6の上に設けられた床下地7の表面高さよりも低くなるように設定されている。これにより、この開口部10の下辺10aは、その上にサッシ3の下枠31が固定された状態で、床下地7の表面に施工される化粧床材71と、サッシ3の下枠31とが略同じ高さになるように構成されている。また、バルコニー21の表面は、この開口部10の下辺10aよりも低くなるように構成されている。これにより、バルコニー21の表面にバルコニー床材22を敷設した状態で、バルコニー床材22とサッシ3の下辺31と化粧床材71とがフラット仕様のバリアフリー構造となされる。開口部10の下辺10aは、外壁1を構成する外壁パネル11や軸組12を設けるほどの空隙が梁6の上に確保できないので、梁6上に設けたリップ溝型鋼12aとスペーサ12bとによって梁6上から下辺10aまでの高さが調節されている。また、バルコニー21によって外壁パネル11も隠れてしまうので、この下辺10a下の外壁パネル11に相当する部分には、下地板11aが設けられている。
【0020】
開口部10の上辺10bは、上記した開口部10の下辺10aの上にサッシ3を載置した状態で、開口部10にサッシ3が納まり、かつ、外壁1の外側からサッシ3を嵌め込むことができる高さに設定されている。
【0021】
防水シート2は、上記開口部10の下辺10aにおいて、室外側から外壁1の厚み方向に沿って室内側に延設され、室内側で床下地7の表面の高さまで立ち上げられている。この防水シート2は、バルコニー21上に設けられる防水シート2がそのまま延設されたものであってもよいし、この開口部10の下辺11に合わせて形成され、バルコニー21上で、このバルコニー21上に設けられる防水シート2と融着一体化するものであってもよい。また、防水シート2は、防水シート2のみで構成されたものであってもよいし、鋼板の表面に貼設されたものであってもよい。具体的にこの防水シート2は、バルコニー21上から開口部10の下辺10aの高さまで立上り、その後、外壁1の厚み方向に沿って、下地板11a、スペーサ12bの端面上を水平方向に室内側に延設される。そして、梁6の上に設けられた床下地7の外壁側端面7aに沿って、当該床下地7の表面付近の高さ位置まで立ち上げられる。
【0022】
サッシ3は、開口部10に設けることができるようになされた汎用のものが使用可能である。
【0023】
下枠固定金具4は、図4に示すように、略リップ溝型に形成されたスペーサ部材41と、板状に形成された固定片42とによって構成されている。
【0024】
スペーサ部材41は、開口部10の下辺10a上であって、外壁1の軸組12に相当する部分、本実施の形態の場合はスペーサ12bの上に載置可能な大きさ、かつ、長さの略リップ溝型に形成されている。また、このスペーサ部材41の高さhは、その上にサッシ3を載置した状態で、サッシ3の下枠31と、床下地7の表面に施工される化粧床材71とを略同じ高さにできるようになされたものが用いられる。スペーサ部材41は、防水シート2を介してスペーサ12bの上に、溝底面41aが天面となるように載置される。スペーサ部材41は、この載置状態で溝底面41aとサッシ3の下枠31とをビス43で固定できるように溝底面41aに間隔をあけて複数のビス挿通孔41bが設けられている。また、スペーサ部材41は、室外側立面41cに相当する位置に間隔をあけて複数のビス孔41dが設けられ、サッシ3の下枠31から延設された固定リブ31aと室外側立面41cとを当接した状態で、この固定リブ31aを室外側立面41cにビス44で螺合固定できるようになされている。また、室内側立面41eは、適宜の間隔をあけた複数箇所から連結部41fが設けられている。この連結部41fは、溝底面41aから室内側立面41eとは反対方向に延設され、その延設先端部が、さらに室内方向に水平に屈曲するようになされている。この連結部41fにも連結ビス45を螺合するためのビス孔41gが設けられている。
【0025】
固定片42は、板状に形成されてなり、上記スペーサ部材41の連結部41fに設けられたビス孔41gと合致するビス挿通孔42aが設けられている。また、床下地7に固定片42をビス46で固定するためのビス挿通孔42bも設けられている。
【0026】
固定片42は、連結部41f毎に分離されており、連結部41fに当接した状態で、連結部41fに連結ビス45で固定される。
【0027】
上枠固定金具5は、階段上に屈曲されて軸組当接面51とサッシ当接面52とを有する板状に形成されてなる。軸組当接面51には、この上枠固定金具5を軸組12に当接した状態で、この軸組12にビス53で固定するためのビス挿通孔51aが設けられている。サッシ当接面52には、このサッシ当接面52に当接したサッシ3の上枠32の固定リブ32aを、このサッシ当接面52にビス54で螺合固定するためのビス孔52aが設けられている。
【0028】
次に、このサッシ取付構造の施工工程について説明する。
【0029】
まず、サッシ3を取り付ける際には、下枠固定金具4のスペーサ部材41と固定片42とを別々とし、サッシ3の下枠31の位置にスペーサ部材41を固定する。このスペーサ部材41の固定は、サッシ3の下枠31の固定リブ31aを室外側立面41cにビス44で固定し、溝底面41aを下枠31にビス43で固定することによって行う。また、サッシ3の上枠32に設けられた固定リブ32aに、上枠固定金具5のサッシ当接面52を当接し、当該上枠固定金具5をビス54でサッシ3の上枠32に固定しておく。
【0030】
この状態で、開口部10の外側からサッシ3を開口部10に嵌めこみ、サッシ3の下枠31に固定していたスペーサ部材41を、開口部10の下辺10aのスペーサ12bの位置で、防水シート2上に載置させる。そして、スペーサ部材41の連結部41fに設けたビス孔41gの上に、固定片42のビス挿通孔42aを合致させ、上方から連結ビス45を螺合固定して連結部41fに固定片42を固定する。固定片42は、床下地7との隙間を隙間調整スペーサ72で埋めて、この床下地7にビス46で固定する。
【0031】
また、上枠固定金具5の軸組当接面51を、開口部10の上辺10bの軸組12に相当する部分に当接し、室外側から上枠固定金具5を軸組12にビス53で螺合固定する。
【0032】
この固定後は、外壁パネル11、化粧床材71、室内上枠材8、内壁パネル9などを仕上げた後、化粧床材71の端縁とサッシ3との間隙を被覆する下枠見切材31bを化粧床材71にビス73で固定して、ビス73の固定部分を被覆するように、カバー材31cを設ける。また、室内上枠材8の端縁とサッシ3との間隙を被覆する上枠見切材32bを室内上枠材8にビス81で固定して、ビス81の固定部分をカバー材32cで被覆する。
【0033】
また、この固定状態で、サッシ3の下枠31とその下の防水シート2との間隙、上枠32とその上の外壁パネル11との間隙を含む、サッシ3の周縁は、シール材33によってシールされる。
【0034】
次に、このサッシ取付構造において、バルコニー21の防水シート2を交換したり、サッシ3自体が老朽化したり、何らかの理由でサッシ3を取り外す場合について述べる。
【0035】
まず、室内側では、下枠見切材31bからカバー材31cを取り外してビス73を取り外した後、下枠見切材31bを取り外す。同様に、上枠見切材32bからカバー材32cを取り外してビス81を取り外す。
【0036】
図2に示すように、下枠見切材31bを取り外すと、化粧床材71の端縁とサッシ3との間隙から、下枠固定金具4のスペーサ部材41の連結部41fと固定片42とを連結固定する連結ビス45が見えるので、この連結ビス45を取り外す。
【0037】
一方、室外側では、サッシ3の周縁のシール材33を切り、サッシ3の上枠32の固定リブ32aと上枠固定金具5とを固定しているビス54を取り外す。
【0038】
これにより、図3に示すように、サッシ3は、室外側に取り外すことが可能となる。
【0039】
この際、サッシ3は、外壁パネル11や化粧床材71を取り外したりすることなく、取り外すことができる。また、スペーサ部材41と固定片42との固定を室内側から解除して、スペーサ部材41を下枠31に固定したままサッシ3を取り外すことができるので、防水シート2と下枠31との間の低く狭い空間で下枠31の取り外す作業を行なわなくても、サッシ3を取り外すことができる。したがって、優れたメンテナンス性が得られることとなる。
【0040】
取り外したサッシ3を再度、開口部10に取り付ける場合は、サッシ3の下枠31にスペーサ部材41を固定した状態のまま、サッシ3を開口部10の外側から開口部10に嵌め込み、サッシ3の下枠31に固定していたスペーサ部材41を、開口部10の下辺10aのスペーサ12bの位置で、防水シート2上に載置させる。そして、スペーサ部材41の連結部41fに設けたビス孔41gの上に、固定片42のビス挿通孔42aを合致させ、上方から連結ビス45を螺合固定して連結部41fに固定片42を固定する。
【0041】
また、サッシ3の上枠32に設けられた固定リブ32aを上枠固定金具5のサッシ当接面52に当接し、室外側からサッシ3の上枠32を上枠固定金具5にビス54で螺合固定する。
【0042】
この固定後は、化粧床材71の端縁とサッシ3との間隙を被覆する下枠見切材31bを化粧床材71にビス73で固定して、ビス73の固定部分を被覆するように、カバー材31cを設ける。また、室内上枠材8の端縁とサッシ3との間隙を被覆する上枠見切材32bを室内上枠材8にビス81で固定して、ビス81の固定部分をカバー材32cで被覆する。
【0043】
また、この固定状態で、サッシ3の下枠31とその下の防水シート2との間隙、上枠32とその上の外壁パネル11との間隙を含む、サッシ3の周縁は、シール材33によってシールする。
【0044】
このサッシ取付構造の場合、上記したように、サッシ3の下枠31に施工前にスペーサ部材41を固定しておき、取り外す際もこのスペーサ部材41ごとサッシ3を取り外すため、下枠31の下側のシール材33の部分でビスを取り付けたり、取り外したりする作業が無くなる。したがって、バルコニー21から立ち上がった防水シート2の立上り高さHを低く設定することも可能となる。この立上り高さHを低く設定しても、前記したように、このサッシ取付構造は、充分な防水性を確保することができる。特に、サッシ3側からバルコニー21の手摺(図示省略)側に下り勾配を設けたバルコニー21の場合、下り勾配を確保するために、このサッシ3側の防水シート2の立上り高さHを出来るだけ低く設定したいので、このサッシ取付構造は、このようなバルコニー21に好適に用いることができる。
【0045】
また、このサッシ取付構造によると、開口部10の下辺10aに設けた防水シート2にビス孔を穿孔しないので、万一シール材33が切れるようなことがあったとしても、防水性を確保することができる。また、このように防水性を確保することができるので、防水シート2から浸水して軸組12や梁6などが腐食するといった心配も無く、安全性も確保できることとなる。
【0046】
なお、サッシ3の縦枠と外壁1の軸組12との間も固定が行われるが、サッシ3の縦枠は現状でも外壁1などへ影響を与えることなく、着脱することができる構成となっているため、ここでは説明を省略する。
【0047】
また、本実施の形態において、サッシ取付構造は、バルコニー21に面して、掃き出し窓サイズのサッシ3を取り付ける場合について述べているが、このようなバルコニー21に面したサッシ3に限定されるものではなく、バルコニー出入用以外の腰窓タイプの開口部10にサッシ3を取り付ける場合であってもよい。
【0048】
さらに、本実施の形態において、サッシ取付構造は、開口部10の下辺10aに防水シート2が延設されており、この防水シート2に穿孔せずに、当該防水シート2上に設けられたサッシ3を取り付けることができるようになされているが、このような防水シート2が延設された開口部10の下辺10aに限定されるものではなく、通常の各種開口部10にサッシ3を固定する場合に用いるものであってもよい。この場合も本願発明のサッシ取付構造は、開口部10の下辺10aとサッシ3の下枠31との間隙からサッシ3の取り付けおよび取り外し作業を行わなくて良いといった効果を発揮できるので、サッシ3の下枠31の下に充分な作業スペースを確保できないような箇所にサッシ3を取り付けたり取り外したりする場合にも有効となる。
【0049】
さらに、本実施の形態において、サッシ取付構造は、下枠固定金具4のスペーサ部材41が、開口部10の下辺10a上に載置可能な長さに形成されているが、このような長尺のスペーサ部材41ではなく、短く形成されたスペーサ部材41とこれに連結可能な固定片42とからなる下枠固定金具4を、開口部10の下辺10aの数箇所に分散して設けるように構成したサッシ取付構造であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明に係るサッシ取付構造は、住宅建物内の各種サッシ、特にバルコニーに面した掃き出し窓を構成するサッシの取り付けに用いられる。
【符号の説明】
【0051】
1 外壁
10 開口部
10a 下辺
10b 上辺
12 軸組
2 防水シート
3 サッシ
31 下枠
31a 固定リブ
32 上枠
32a 固定リブ
4 下枠固定金具
41 スペーサ部材
41c 室外側立面
41g 連結部
42 固定片
43 連結ビス
5 上枠固定金具
52 サッシ当接面(室外側面)
7 床下地(室内側下地)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外壁に設けられた開口部の外側からサッシを嵌め込んで固定するサッシの取付構造であって、
サッシは、下枠固定金具および上枠固定金具を介して開口部に固定されてなり、
下枠固定金具は、開口部の下辺であって、外壁の厚み部分に設けられ、その上にサッシ下枠が載置できるようになされたスペーサ部材と、室内下地上に固定される板状の固定片とからなり、開口部の下辺に設けられたスペーサ部材からは、室内下地上に固定された固定片に向けて連結部が延設され、この連結部と固定片とは、連結ビスで連結および連結解除可能となされ、
上枠固定金具は、建物軸組に固定される板状に形成されてなり、
開口部の外側から嵌め込まれるサッシは、下枠固定金具のスペーサ部材上に下枠が載置され、下枠から延設された固定リブがスペーサ部材の室外側立面に当接されて、当該立面に室外側からビス固定され、上枠から延設された固定リブが上枠固定金具の室外側面に当接されて、当該室外側面に室外側からビス固定され、かつ室内下地の端縁とサッシとの間隙の位置から連結ビスを螺合または螺合解除することで、固定片とスペーサ部材とが連結および連結解除可能となされたことを特徴とするサッシ取付構造。
【請求項2】
開口部の下辺に、室外側から外壁の厚み方向に沿って延設されるとともに、室内側で上方に立ち上げられた防水シートが設けられ、この防水シート上にスペーサ部材を載置するようになされた請求項1記載のサッシ取付構造。
【請求項3】
防水シートは、バルコニー床の防水シートと一体化された請求項2記載のサッシ取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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