説明

サッシ窓

【課題】掃き出し窓としての利便性を向上させることができ、かつ外観意匠性および
止水性能に優れたサッシ窓を提供すること。
【解決手段】建物外壁の開口部5に固定される支持枠と、この支持枠に取り付けられる本窓枠とを備え、支持枠の下支持枠22に載置面部225を形成し、水平シール材25を介して、本窓枠の下本窓枠32を載置面部225に載置するだけで、これらの間に水平シール材25が挟み込まれることから、下支持枠22および下本窓枠32の見付け寸法が小さくなり、開口部5の下縁に対する下本窓枠32の上面位置を低くすることができるので、掃き出し窓の場合の跨ぎ寸法や室内外の床面段差を小さくして、出入りの利便性を向上させることができる。さらに、水平シール材25が室外空間に露出しないため、水平シール材25の劣化が防止でき、かつ外観意匠性を良好にすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サッシ窓に関する。
【背景技術】
【0002】
建物外壁の開口部に固定された開口枠(支持枠)と、この開口枠に固定されて内部にガラスパネルを支持するサッシ窓枠(本窓枠)とを備えたサッシ窓が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載されたサッシ窓は、外壁開口部の室内側に沿って設けられた木製の開口枠と、この開口枠に水密材(シール材)を介して固定されたアルミ形材製のサッシ窓枠とを有して構成されている。そして、サッシ窓の下枠部分において、サッシ窓枠は、開口枠に載置されるとともに、開口枠の室外側側面に沿って下方に延びて形成され、サッシ窓枠の室内側側面と、開口枠の室外側側面との間に、上下に延びる第1のシール材(水密材)が介装されている。また、外壁開口部の下縁には、水切り片を有した下外枠がサッシ窓枠の下方に対向して設けられており、この下外枠の上面とサッシ窓枠の下枠下面との隙間に、第2のシール材が設けられている。
【0003】
【特許文献1】特許第3477421号公報(図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記特許文献1に記載のサッシ窓では、サッシ窓枠が開口枠の室外側側面に沿って形成され、これら室内外に対向するサッシ窓枠および開口枠の間に第1のシール材が上下に延びて介装されているために、サッシ窓枠の見付け寸法(上下寸法)が大きくなってしまう。さらに、サッシ窓枠および下外枠の隙間に第2のシール材が設けられていることで、この隙間の分だけサッシ窓枠の開口部に対する取付位置が高くなってしまう。このため、開口部の下縁に対するサッシ窓枠の上端の位置が高くなってしまい、サッシ窓を出入り口用の掃き出し窓として利用する場合に、跨ぎ寸法が大きくなったり、室内外の床面間の段差寸法が大きくなったりすることから、出入りしにくくなるという問題がある。
また、特許文献1に記載のサッシ窓では、第2のシール材が室外空間に露出して設けられていることから、サッシ窓の外観意匠性が劣ってしまうととともに、風雨や紫外線の影響でシール材が劣化しやすく止水性能が十分に確保できないという問題もある。
【0005】
本発明の目的は、掃き出し窓としての利便性を向上させることができ、かつ外観意匠性および止水性能に優れたサッシ窓を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のサッシ窓は、建物外壁の開口部に固定される支持枠と、この支持枠に取り付けられるとともに、内部にパネル体を支持する本窓枠とを備え、前記支持枠は、上支持枠、下支持枠、および左右の縦支持枠を四周枠組みして構成され、前記本窓枠は、上本窓枠、下本窓枠、および左右の縦本窓枠を四周枠組みして構成され、前記下支持枠は、前記下本窓枠が載置される載置面部を有し、この載置面部と前記下本窓枠との間には、これらの間をシールする水平シール材が設けられ、前記上支持枠には、前記支持枠への前記本窓枠の建て込み時に前記上本窓枠に当接して当該本窓枠を下方に付勢する付勢手段が設けられていることを特徴とする。
【0007】
ここで、本窓枠の内部に支持されるパネル体としては、本窓枠に移動不能に支持されて嵌め殺し(Fix)窓を構成するガラスパネル等の面材であってもよく、また本窓枠に開閉可能に支持された1枚または複数枚の障子であってもよい。パネル体が障子である場合には、例えば、引き違い窓や片引き窓、開き窓、辷り出し窓等、任意の開閉形式のサッシ窓が構成可能である。
【0008】
このような本発明によれば、下本窓枠を載置する下支持枠の載置面部に水平シール材を設けたので、室内外の対向面間に上下に延びるシール材を配置したり、上下離隔した隙間にシール材を配置したりする必要がなく、下本窓枠を下支持枠の載置面部に載置するだけで、これらの間に水平シール材が挟み込まれることから、下支持枠および下本窓枠の見付け寸法(高さ寸法)を小さくすることができる。これにより、開口部の下縁に対する下本窓枠の上面位置を低くすることができるので、サッシ窓を掃き出し窓として利用する場合に、跨ぎ寸法や室内外の床面段差を小さくして、出入りの利便性を向上させることができる。
また、水平シール材は、下支持枠の載置面部と下本窓枠との間に挟まれて室外空間に露出せず、風雨や紫外線が直接当たらないため、これらの影響を受けにくくすることができ、劣化が防止できるとともに、室外から見えないことでサッシ窓の外観意匠性を良好にすることができる。
また、上支持枠により上本窓枠が下方に付勢されることで、縦本窓枠を介して下本窓枠が下支持枠の載置面部に押しつけられ、水平シール材が載置面部および下本窓枠に密着され、止水性能を向上させることができる。ここで、付勢手段としては、本窓枠の取付時に上本窓枠を下方に案内する傾斜面や、上本窓枠を下方に付勢する板ばね等の弾性部材などが利用可能である。
【0009】
この際、本発明のサッシ窓では、前記付勢手段は、室外側に向かって下方に下がる傾斜面で構成されていることが好ましい。
このような構成によれば、本窓枠を室内側から支持枠に取り付ける際に、上支持枠に設けた傾斜面に上本窓枠が当接し、この傾斜面部に案内されて上本窓枠つまり本窓枠全体が下方に付勢される。、従って、下本窓枠の底面部が水平シール材に一層密着され止水性能をさらに向上させることができる。
【0010】
この際、本発明のサッシ窓では、前記載置面部は、略フラットに形成されており、前記水平シール材は、シート状に形成されて前記載置面部に貼り付けられていることが好ましい。
このような構成によれば、下支持枠の載置面部を略フラット、すなわち略水平かつ凹凸を少なく形成することで、下支持枠の見付け寸法をさらに小さくすることができる。また、シート状の水平シール材を載置面部に貼り付けておくことで、本窓枠を支持枠に取り付ける際に、その下本窓枠の位置合わせに手間取ることがなく、水平シール材の上に載置するだけでシールされるため、本窓枠の取付作業およびシール作業の手間を軽減することができる。
【0011】
また、本発明のサッシ窓では、前記縦支持枠と前記縦本窓枠との間には、これらの間をシールする縦シール材が介装されており、この縦シール材の下端は、前記水平シール材の上面に接続されていることが好ましい。
このような構成によれば、縦シール材により縦支持枠と縦本窓枠との間をシールすることで、縦枠部分における止水性能が確保されるとともに、縦シール材の下端を水平シール材の上面に接続することで、左右の縦枠部分と下枠部分との少なくとも三方のシール材が連続するため、止水性能をさらに向上させることができる。
【0012】
この際、本発明のサッシ窓では、前記縦支持枠は、見付け方向内側に突出した支持片部を有し、この支持片部の室内側側面に前記縦シール材が取り付けられ、前記縦本窓枠は、見付け方向外側に突出した取付片部を有し、この取付片部を前記縦シール材に当接させるとともに、当該取付片部と前記支持片部との係合により前記縦本窓枠が前記縦支持枠に固定されることが好ましい。
このような構成によれば、縦支持枠における支持片部の室内側側面に縦シール材を設け、この縦シール材に縦本窓枠の取付片部を当接させることで、本窓枠を室内側から取り付け、または取り外すことができ、本窓枠の着脱を容易に実施することができる。さらに、縦シール材に縦本窓枠の取付片部を当接させた状態で、取付片部を支持片部に係合させて本窓枠を支持枠に取り付けることで、縦シール材と取付片部とを密着させて止水性能を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るサッシ窓である引違い窓10を示す縦断面図である。図2は、引違い窓10を示す横断面図である。図3は、引違い窓10の上枠部分を拡大して示す縦断面図である。図4は、引違い窓10の縦枠部分を拡大して示す横断面図である。図5は、引違い窓10の下枠部分を拡大して示す縦断面図である。図6は、引違い窓10の下枠部分をさらに拡大して示す縦断面図である。
【0014】
図1、2において、建物の外壁1は、外壁躯体としての壁パネル2と、この壁パネル2の室外面に設けられた外装材3と、壁パネル2の室内面に設けられた石膏ボード等の内装材4とを有して構成されている。壁パネル2は、格子状等に組んだパネル芯材2Aと、このパネル芯材2Aの室外側に固定されたパネル面材2Bとで形成されている。また、外装材3は、壁パネル2の室外面にモルタルを所定厚さに吹きつけて形成したものでもよく、また予め板状に成形したセメント成形板等を壁パネル2の室外面に取り付けたものでもよい。この外壁1には、矩形状の開口部5が設けられており、この開口部5の下端縁には、建物躯体に支持された土台7が設けられている。そして、引違い窓10は、壁パネル2および土台7に支持されている。この引違い窓10の室内側には、内装材4の開口端縁の室内側を覆う木製の額縁材(ケーシング)6が上および左右の三方に取り付けられている。また、引違い窓10の下枠部分において、その室内側には略同一高さ位置で室内床8が連続して設けられ、その室外側には、室内床8よりも下がった位置にバルコニー等の室外床9が設けられている。すなわち、引違い窓10は、室内とバルコニー等との間の出入り口として利用可能な掃出し窓である。
【0015】
引違い窓10は、上枠体11、下枠体12、および左右の縦枠体13からなる窓枠体14と、この窓枠体14の内側に開閉自在に支持されたパネル体としての室内外一組の障子15と、これらの障子15の室外側に設けられた網戸16とを有して構成されている。窓枠体14は、外壁1の開口部5における壁パネル2に固定される支持枠(捨て枠)20と、この支持枠20に取り付けられた本窓枠30とを有している。支持枠20は、上支持枠21、下支持枠22、および左右の縦支持枠23を四周枠組みして形成され、本窓枠30は、上本窓枠31、下本窓枠32、および左右の縦本窓枠33を四周枠組みして形成されている。そして、障子15および網戸16は、本窓枠30の上本窓枠31および下本窓枠32に設けられた後述するレール部に戸車が案内され、図2の左右方向に移動可能になっている。障子15は、四周框組した上下左右の框材17と、これらの框材17の内部に嵌め込んだガラスパネル18とを有して形成されている。
【0016】
このように支持枠20および本窓枠30を有して構成された引違い窓10において、その本窓枠30は、半外付け用サッシ枠を転用したものであり、その上本窓枠31および左右の縦本窓枠33の見付け方向外側に突出した取付片部314,334(後述)を有している。すなわち、本窓枠30は、支持枠20を介さずに取付片部314,334を壁パネル2の室外面に直接固定することで、外壁面から室外側に突出した半外付けのサッシ窓が構成できるようになっている。このような半外付け用サッシ枠は、一般的に用いられており、その製品バリエーションや製品点数が非常に多く、本実施形態の引違い窓形式の他に、嵌め殺し窓や片引き窓、開き窓、辷り出し窓等の多数の形式のものに利用可能である。つまり、本実施形態においては、本窓枠30としては、引違い形式のものが採用されているが、他の形式の本窓枠を採用してサッシ窓を構成することもでき、その場合でも支持枠20が共通化できるようになっている。
【0017】
図3に示すように、上枠体11は、支持枠20の上支持枠21と、本窓枠30の上本窓枠31と、これらの上支持枠21および上本窓枠31を連結する連結部材41と、この連結部材41に取り付けられた下地材42とを有して構成されている。
上支持枠21は、アルミ押出形材製であって、外壁1の開口部5の上縁に沿って見込み方向室外側に延びる見込み片部211と、この見込み片部211の室外側端縁に連続して上方に折れ曲がり、壁パネル2の室外面に沿って延びる固定片部212とを有している。この固定片部212は、室外側からのビス216により壁パネル2に固定されるとともに、固定片部212と壁パネル2との間には、図示しないシール材や防水シート等を用いた止水構造が設けられている。そして、上支持枠21は、固定片部212よりも室内側において見込み片部211から下方(見付け方向内側)に延びる見付け片部213と、この見付け片部213の下端(見付け方向内端)に連続して見込み方向室外側に延びる折返し片部214とを有している。この折返し片部214には、その先端から下方に延びる垂下片214Aと、その下面において上本窓枠31を下方に付勢する付勢手段としての傾斜面部214Bとが設けられている。この傾斜面部214Bは、室外側に向かって下方に下がる傾斜面を有している。さらに、上支持枠21は、見付け片部213よりも室内側において見込み片部211から下方(見付け方向内側)に延びる支持片部215を有している。この支持片部215の下端部室内側側面には、シール材215Aが取り付けられている。
【0018】
本窓枠30の上本窓枠31は、室外側に配置されるアルミ押出形材製の室外部材31Aと、室内側に配置される樹脂製の室内部材31Bとを備えて構成されている。上本窓枠31の室外部材31Aは、上支持枠21の見込み片部211に対向して室内外に延びる上面部311と、この上面部311から下方に延出して室外側の障子15の上框を案内するレール部312、および網戸16の上框を案内する網戸レール部313と、上面部311の室内側端部から上方(見付け方向外側)に突出し、上支持枠21の支持片部215の室内側に沿って延びる取付片部314とを有している。また、上本窓枠31の室内部材31Bは、室外部材31Aのレール部312に係合され、かつ室外部材31Aにビス止め固定されており、これらの室外部材31Aおよび室内部材31Bが、ビス315で連結部材41および下地材42に固定されている。そして、室内部材31Bは、下方に延出して室内側の障子15の上框を案内するレール部316と、内装材4の開口端縁と所定の間隔を有して室内側に延びる係止片部317とを有している。この係止片部317と内装材4の開口端縁との間には、額縁材6を支持するためのケーシングアタッチメント43が係止片部317にビス止め固定されている。このケーシングアタッチメント43には、室内側に開口した凹溝部43Aが形成されており、この凹溝部43Aに額縁材6の突出部6Aが挿入されて額縁材6が取り付けられている。
【0019】
一方、上支持枠21および上本窓枠31を連結する連結部材41は、室内側に向かって開口した断面略コ字形の金属製ピース材であって、ビス44によって壁パネル2の芯材2Aに固定されている。さらに、連結部材41の室外側の一辺を貫通するビス45によって、上本窓枠31の取付片部314および上支持枠21の支持片部215が係合され、上本窓枠31が上支持枠21に取り付けられている。そして、このビス45を締め付けることで、取付片部314および支持片部215が圧接され、支持片部215のシール材215Aが取付片部314に密着するようになっている。また、連結部材41に取り付けられた下地材42は、連結部材41のコ字形断面内に収まる矩形断面を有した木製部材であり、引違い窓10の見付け方向幅寸法を略同一の長さ寸法を有している。この下地材42は、内装材4を釘打ち等で固定するための下地として機能するとともに、連結部材41に嵌め込むことで連結部材41の剛性を高め、さらに断熱材としても有効に機能するようになっている。
【0020】
以上のような上枠体11において、本窓枠30を室内側から取り付ける際に、上支持枠21の傾斜面部214Bに上本窓枠31の室外側上端縁が当接し、傾斜面部214Bに案内されて、上本窓枠31、つまり本窓枠30全体が下方に付勢されるようになっている。そして、本窓枠30が下方に付勢された状態で、ビス45を締め付けることで上本窓枠31が位置決めされるとともに、傾斜面部214Bにより拘束されることで上本窓枠31のねじれに対する剛性および強度が高まるようになっている。
【0021】
次に、図4に示すように、縦枠体13は、支持枠20の縦支持枠23と、本窓枠30の縦本窓枠33と、これらの縦支持枠23および縦本窓枠33を連結する連結部材41と、この連結部材41に取り付けられた下地材42とを有して構成されている。
縦支持枠23は、アルミ押出形材製であって、外壁1の開口部5の側縁に沿って見込み方向室外側に延びる見込み片部231と、この見込み片部231の室外側端縁に連続して側方(見付け方向外側)に折れ曲がり、壁パネル2の室外面に沿って延びる固定片部232とを有している。この固定片部232は、室外側からのビス236により壁パネル2に固定されるとともに、固定片部232と壁パネル2との間には、図示しないシール材や防水シート等を用いた止水構造が設けられている。そして、縦支持枠23は、固定片部232よりも室内側において見込み片部231から見付け方向内側に延びる見付け片部233と、この見付け片部233の見付け方向内端に連続して見込み方向室外側に延びる折返し片部234とを有している。この折返し片部234の基端部には、見付け方向内端に突出して縦本窓枠33に当接するシール材234Aが設けられている。さらに、縦支持枠23は、見付け片部233よりも室内側において見込み片部231から見付け方向内側に延びる支持片部235を有している。この支持片部235の先端部室内側側面には、縦シール材235Aが取り付けられている。
【0022】
本窓枠30の縦本窓枠33は、室外側に配置されるアルミ押出形材製の室外部材33Aと、室内側に配置される樹脂製の室内部材33Bとを備えて構成されている。縦本窓枠33の室外部材33Aは、縦支持枠23の見込み片部231に対向して室内外に延びる側面部331と、この側面部331から見付け方向内側に延出して室外側の障子15の縦框を案内する引寄せ片332および網戸16の縦框を案内する係止片333と、側面部331の室内側よりの位置から見付け方向外側に突出し、縦支持枠23の支持片部235の室内側に沿って延びる取付片部334とを有している。また、縦本窓枠33の室内部材33Bは、室外部材33Aにビス止めされるとともに、ビス335で連結部材41および下地材42に固定されている。そして、室内部材33Bは、室外側の障子15の縦框室内側面に当接するシール材337と、内装材4の開口端縁と所定の間隔を有して室内側に延びる係止片部338とを有している。この係止片部338と内装材4の開口端縁との間には、前述の上本窓枠31および下本窓枠32と同様に、額縁材6を支持するためのケーシングアタッチメント43が係止片部338にビス止め固定されている。
【0023】
一方、縦支持枠23および縦本窓枠33を連結する連結部材41は、前述の上枠体11および下枠体12の連結部材41と同様の部材であって、連結部材41の室外側の一辺を貫通するビス45によって、縦本窓枠33の取付片部334および縦支持枠23の支持片部235に係合されている。また、連結部材41に取り付けられた下地材42は、前述の上枠体11および下枠体12の下地材42と同様の部材であって、内装材4を釘打ち等で固定するための下地として機能するとともに、連結部材41に嵌め込むことで連結部材41の剛性を高め、さらに断熱材としても有効に機能するようになっている。
以上のような縦枠体13において、本窓枠30を室内側から取り付ける際に、縦支持枠23の支持片部235の縦シール材235Aに縦本窓枠33の取付片部334を押しつけ、ビス45を締め付けることで、取付片部334および支持片部235が圧接され、支持片部235の縦シール材235Aと取付片部334とが密着するようになっている。
【0024】
次に、図5、6に示すように、下枠体12は、支持枠20の下支持枠22と、本窓枠30の下本窓枠32と、これらの下支持枠22と下本窓枠32との間に介装された水平シール材25と、下支持枠22および下本窓枠32を連結して引き寄せる引寄せ手段としてのビス26とを有して構成されている。
下支持枠22は、アルミ押出形材製であって、外壁1の土台7の上面に沿って見込み方向室外側に延びる見込み片部221と、この見込み片部221に連続して下方に延び、土台7の室外面に沿って延びる固定片部222と、見込み片部221に連続して固定片部222よりも室外側に延びる水切り片部223とを有している。固定片部222は、前述の上支持枠21の固定片部212と同様に、室外側からのビス227により土台7に固定されるとともに、固定片部222と土台7との間に止水構造が設けられている。そして、下支持枠22は、固定片部222よりも室内側において下方に延びて土台7に支持される2つの垂下片部224と、これら2つの垂下片部224間に渡って設けられた載置面部225とを有している。載置面部225は、見込み片部221よりも高く、さらに室外側よりも室内側が高くなった二段に形成されており、これら二段の載置面部225は、それぞれ略フラット、すなわち略水平、かつ凹凸なく形成されている。そして、載置面部225に連続した室内側には、略水平に突出するとともに室内側先端部が上方に折れ曲がった係合片部226が形成されている。
【0025】
本窓枠30の下本窓枠32は、それぞれアルミ押出形材製の室外部材32Aおよび室内部材32Bと、これらを連結する樹脂製の断熱部材32Cとを備えて構成されている。下本窓枠32の室外部材32Aは、下支持枠22の載置面部225に対向して室内外に延びる底面部321を有している。そして、底面部321は、その下面に下本窓枠32の長手方向に延びる2本の凸部321Aを有しており、水平シール材25を介して下支持枠22の載置面部225に載置されている。また、室外部材32Aは、底面部321から下方に突出して下支持枠22の載置面部225にに支持される2つの垂下片部322と、底面部321から上方に延出して室外側の障子15の戸車を案内するレール部323および網戸16の戸車を案内する網戸レール部324と、底面部321の室内側端部から上方に延出する立上り片部325とを有している。この立上り片部325の上端部分には室外側に突出して室外側の障子15の下框室内側側面に当接するシール材325Aが設けられている。さらに、室外部材32Aの底面部321に連続した室内側には、ビス26で下支持枠22に係合される係合片部326が形成されている。また、下本窓枠32の室内部材32Bは、下方に延びて土台7に支持される支持片部327と、上方に延出して室内側の障子15の戸車を案内するレール部328と、室内側において上下に延びる固定片部329とを有している。固定片部329は、その上端がアングル材46を介して室内床8に固定され、その下端部がアングル材47を介して室内床8を支持する床支持材7Aに固定されている。
【0026】
水平シール材25は、シート状に形成されたゴム等からなり、下支持枠22の室内側の載置面部225に貼り付けられている。そして、水平シール材25の上に載置された下本窓枠32の底面部321下面の凸部321Aが水平シール材25に食い込み、これにより下支持枠22と下本窓枠32との間がシールされるようになっている。また、下支持枠22の係合片部226先端の折れ曲がりによって、下本窓枠32の係合片部326、つまり下本窓枠32の見込み位置が位置決めされるようになっている。さらに、ビス26を締め付けることで、下支持枠22の係合片部226および下本窓枠32の係合片部326が互いに引き寄せられ、下本窓枠32の底面部321が水平シール材25に密着されるようになっている。また、前述の上枠体11における上支持枠21の傾斜面部214Bによって、上本窓枠31が下方に付勢されることで、本窓枠30全体が下方に付勢され、これにより、下本窓枠32の底面部321が水平シール材25により一層密着されるようになっている。
【0027】
次に、引違い窓10における下枠体12および縦枠体13の止水構造について、図4〜6および図7〜9も参照して説明する。
図7は、下枠体12における下支持枠22の平面図である。図8は、下枠体12および縦枠体13の接合部分を室内側から見た斜視図である。図9は、下枠体12および縦枠体13の接合部分を室外側から見た斜視図である。
下支持枠22の載置面部225に貼り付けられた水平シール材25は、下支持枠22の長手方向略全長に渡って設けられており、その両端部は、縦本窓枠33の側面部331よりも外側である縦支持枠23の見込み片部231近傍まで延びて設けられている。
縦枠体13における縦支持枠23の支持片部235と縦本窓枠33の取付片部334との間に介装された縦シール材235Aは、上下に連続して延びて設けられており、その下端部が水平シール材25の上面に当接して接続されている。すなわち、左右の縦枠体13における縦シール材235A、および下枠体12の水平シール材25の三方のシール材が連続して形成されている。
【0028】
このような本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1)すなわち、下支持枠22の載置面部225に水平シール材25を設け、この水平シール材25の上面に下本窓枠32の底面部321を載置したので、これら載置面部225と底面部321との間に水平シール材25が挟み込まれてシールされることから、上下に延びるシール材等を配置する必要がなく、従来の下枠と比較して下枠体12の見付け寸法(高さ寸法)を小さくすることができる。これにより、開口部5の下縁に対する下本窓枠32の上面位置を低くすることができるので、引違い窓10を掃き出し窓として利用する場合に、跨ぎ寸法や室内外の床面段差を小さくして、出入りの利便性を向上させることができる。
【0029】
(2)また、水平シール材25は、下支持枠22の載置面部225と下本窓枠32の底面部321との間に挟まれて室外空間に露出せず、風雨や紫外線が直接当たらないため、これらの影響を受けにくくすることができ、劣化が防止できるとともに、室外から見えないことで引違い窓10の外観意匠性を良好にすることができる。
【0030】
(3)さらに、下支持枠22の載置面部225を略フラットに形成することで、下支持枠22の見付け寸法をさらに小さくすることができる。そして、下本窓枠32の底面部321下面に凸部321Aを形成することで、この凸部321Aが水平シール材25に食い込んで確実にシールすることができる。
【0031】
(4)また、シート状の水平シール材25を載置面部225に貼り付けておくことで、本窓枠30を支持枠20に取り付ける際に、その下本窓枠32の位置合わせに手間取ることがなく、水平シール材25の上に載置するだけでシールされるため、本窓枠30の取付作業およびシール作業の手間を軽減することができる。
【0032】
(5)また、ビス26を締め付けることで、下支持枠22の係合片部226および下本窓枠32の係合片部326が互いに引き寄せられ、下本窓枠32の底面部321が水平シール材25に密着され、止水性能を向上させることができる。
【0033】
(6)さらに、上枠体11における上支持枠21の傾斜面部214Bによって、上本窓枠31が下方に付勢されることで、本窓枠30全体が下方に付勢され、これにより、下本窓枠32の底面部321が水平シール材25により一層密着され止水性能をさらに向上させることができる。
【0034】
(7)また、縦シール材235Aにより縦支持枠23と縦本窓枠33との間をシールすることで、縦枠体13における止水性能が確保されるとともに、縦シール材235Aの下端を水平シール材25の上面に接続することで、左右の縦枠体13における縦シール材235A、および下枠体12の水平シール材25の三方のシール材が連続するため、止水性能をさらに向上させることができる。
【0035】
(8)さらに、縦支持枠23における支持片部235の室内側側面に縦シール材235A設け、この縦シール材235Aに縦本窓枠33の取付片部334を当接させることで、本窓枠30を室内側から取り付け、または取り外すことができ、本窓枠30の着脱を容易に実施することができる。さらに、縦シール材235Aに縦本窓枠33の取付片部334を当接させた状態で、ビス45で取付片部334を支持片部235に係合させて本窓枠30を支持枠20に取り付けることで、縦シール材235Aと取付片部334とを密着させて止水性能を確保することができる。
【0036】
なお、本発明は、前記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。
例えば、前記実施形態では、サッシ窓を室内外一対の障子15を備えた引違い窓10としたが、これに限らず、嵌め殺し窓でもよく、また片引き窓や、開き窓、辷り出し窓等、任意の開閉形式のサッシ窓が構成可能である。
また、前記実施形態では、下支持枠22の載置面部225を略フラットに形成し、下本窓枠32の底面部321下面に凸部321Aを形成したが、これに限らず、載置面部225および底面部321ともに略フラットに形成してもよく、また両者に凹凸を設けてこれらの凹凸が互いに噛み合うように形成してもよい。
さらに、水平シール材25を載置面部225に貼り付けたが、これに限らず、下本窓枠32の底面部321下面に貼り付けてもよく、また貼り付け以外の方法により載置面部225と底面部321との間に配置するようにしてもよい。
【0037】
また、前記実施形態では、縦支持枠23と縦本窓枠33との間をシールする縦シール材235Aの下端を水平シール材25の上面に当接させて接続したが、これに限らず、縦シール材235Aと水平シール材25とを接続する接続部材を別途設け、この接続部材により縦シール材235Aと水平シール材25とを接続してもよい。
さらに、縦シール材235Aを縦支持枠23における支持片部235の室内側側面に設けたが、これに限らず、縦本窓枠33に設けてもよく、その取り付け方向等も特に限定されない。
【0038】
その他、本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
従って、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の一実施形態に係るサッシ窓を示す縦断面図である。
【図2】前記サッシ窓を示す横断面図である。
【図3】前記サッシ窓の上枠部分を拡大して示す縦断面図である。
【図4】前記サッシ窓の縦枠部分を拡大して示す横断面図である。
【図5】前記サッシ窓の下枠部分を拡大して示す縦断面図である。
【図6】前記サッシ窓の下枠部分をさらに拡大して示す縦断面図である。
【図7】前記サッシ窓の下枠部分における下支持枠の平面図である。
【図8】前記サッシ窓の下枠および縦枠の接合部分を室内側から見た斜視図である。
【図9】前記サッシ窓の下枠および縦枠の接合部分を室外側から見た斜視図である。
【符号の説明】
【0040】
1…外壁、5…開口部、10…サッシ窓である引違い窓、11…上枠体、12…下枠体、13…縦枠体、14…窓枠体、15…パネル体である障子、20…支持枠、21…上支持枠、22…下支持枠、23…縦支持枠、25…水平シール材、26…引寄せ手段であるビス、30…本窓枠、31…上本窓枠、32…下本窓枠、33…縦本窓枠、214B…付勢手段である傾斜面部、235…支持片部、235A…縦シール材、334…取付片部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物外壁の開口部に固定される支持枠と、この支持枠に取り付けられるとともに、内部にパネル体を支持する本窓枠とを備え、
前記支持枠は、上支持枠、下支持枠、および左右の縦支持枠を四周枠組みして構成され、前記本窓枠は、上本窓枠、下本窓枠、および左右の縦本窓枠を四周枠組みして構成され、
前記下支持枠は、前記下本窓枠が載置される載置面部を有し、この載置面部と前記下本窓枠との間には、これらの間をシールする水平シール材が設けられ、
前記上支持枠には、前記支持枠への前記本窓枠の建て込み時に前記上本窓枠に当接して当該本窓枠を下方に付勢する付勢手段が設けられているサッシ窓。
【請求項2】
前記付勢手段は、室外側に向かって下方に下がる傾斜面で構成されている請求項1に記載のサッシ窓。
【請求項3】
前記載置面部は、略フラットに形成されており、前記水平シール材は、シート状に形成されて前記載置面部に貼り付けられている請求項1または請求項2に記載のサッシ窓。
【請求項4】
前記縦支持枠と前記縦本窓枠との間には、これらの間をシールする縦シール材が介装されており、この縦シール材の下端は、前記水平シール材の上面に接続されている請求項1から請求項3のいずれかに記載のサッシ窓。
【請求項5】
前記縦支持枠は、見付け方向内側に突出した支持片部を有し、この支持片部の室内側側面に前記縦シール材が取り付けられ、
前記縦本窓枠は、見付け方向外側に突出した取付片部を有し、この取付片部を前記縦シール材に当接させるとともに、当該取付片部と前記支持片部との係合により前記縦本窓枠が前記縦支持枠に固定される請求項4に記載のサッシ窓。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−40101(P2007−40101A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−276966(P2006−276966)
【出願日】平成18年10月10日(2006.10.10)
【分割の表示】特願2004−138783(P2004−138783)の分割
【原出願日】平成16年5月7日(2004.5.7)
【出願人】(390005267)YKK AP株式会社 (776)
【Fターム(参考)】