サッシ
【課題】固定障子を横方向に連設する場合において、縦框の連結部分をできるだけ幅細として意匠性を高めたサッシを提供する。
【解決手段】固定障子２の縦框は、枠体１の内周面と対向する枠側縦框２２と、隣接する固定障子の縦框と互いに連結される連結縦框２３、３２とからなり、上下框はそれぞれパネル体６の周縁部を納めるパネル体保持部２０ｂを長手方向に沿って有すると共に、パネル体保持部の外周側に中空部２０ｃを有し、中空部を構成する壁面部には縦框を連結するビス２６を挿通する挿通部２０ｄ、２０ｅが長手方向に沿って２か所に形成され、２か所の挿通部は挿通されるビスの頭部２６ａが干渉しない間隔を有して配置されてなる。
【解決手段】固定障子２の縦框は、枠体１の内周面と対向する枠側縦框２２と、隣接する固定障子の縦框と互いに連結される連結縦框２３、３２とからなり、上下框はそれぞれパネル体６の周縁部を納めるパネル体保持部２０ｂを長手方向に沿って有すると共に、パネル体保持部の外周側に中空部２０ｃを有し、中空部を構成する壁面部には縦框を連結するビス２６を挿通する挿通部２０ｄ、２０ｅが長手方向に沿って２か所に形成され、２か所の挿通部は挿通されるビスの頭部２６ａが干渉しない間隔を有して配置されてなる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、枠体内に複数の固定障子を横方向に連設し納めてなるサッシに関し、特に固定障子の縦框同士を連結することで横方向に連設してなるサッシに関する。
【背景技術】
【０００２】
従来、建物開口部に設けられる枠体内に障子を納めてなるサッシにおいて、障子を固定障子とし、複数の固定障子を横方向に連設してなるものが知られている。複数の障子を横方向に連設する場合、障子間に方立を設け、障子を構成する縦框をそれぞれ方立に固定することにより、連結をなすようにしていた。このように方立を用いて複数の障子を横方向に連設したものとしては、固定障子と可動障子の組み合わせではあるが、例えば特許文献１に挙げるようなものがある。
【特許文献１】特開平１０−６８２６９号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００３】
近年、障子の框は幅細のものがデザイン的に求められているが、方立を用いて障子を連結すると、連結部分の幅が大きくなってしまい、框を幅細に見せることが困難であった。また、障子を構成する框体について断熱性及び意匠性を高めるため、金属框の室内側に樹脂框を配設した複合サッシが知られているが、複合サッシの場合には金属部分と樹脂部分とがあるために、縦框同士の連結部分がより複雑な構造となり、框を幅細に見せることがより一層困難となっていた。
【０００４】
このため、方立を用いることなく、障子を構成する縦框同士を直接連結することにより、連結部分を幅細にすることができる。しかし、上下框と縦框とを連結するビスの頭部が縦框の外周面から突出しているため、これらが干渉しないように連結する縦框同士にある程度の間隔を空ける必要があった。このため、框を連結するビスが障子の連結部分を幅細にすることを阻害することとなっていた。
【０００５】
本発明は前記課題を鑑みてなされたものであり、固定障子を横方向に連設する場合において、縦框の連結部分をできるだけ幅細として意匠性を高めたサッシを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
前記課題を解決するため、本発明に係るサッシは、建物開口部に設けられる枠体内に複数の固定障子を横方向に連設し納めてなるサッシにおいて、
前記固定障子は上下框と左右の縦框を方形状に框組みしてなる框体内にパネル体を納めてなり、前記縦框は前記枠体の内周面と対向する枠側縦框と、隣接する固定障子の縦框と互いに連結される連結縦框とからなり、前記上下框はそれぞれ前記パネル体の周縁部を納めるパネル体保持部を長手方向に沿って有すると共に、該パネル体保持部の外周側に中空部を有し、該中空部を構成する壁面部には前記縦框を連結するビスを挿通する挿通部が長手方向に沿って２か所に形成され、該２か所の挿通部は挿通されるビスの頭部が干渉しない間隔を有して配置されることを特徴として構成されている。
【０００７】
また、本発明に係るサッシは、前記挿通部は前記中空部を構成する壁面部のうち上面壁と下面壁の各内面にそれぞれ形成されることを特徴として構成されている。
【０００８】
さらに、本発明に係るサッシは、前記連結縦框は前記パネル体の周縁部を納めるパネル体保持部を長手方向に沿って有し、該パネル体保持部の底面は、板状とされて連結される連結縦框同士で近接配置されると共に、前記上下框に対するビスが挿通されることを特徴として構成されている。
【発明の効果】
【０００９】
本発明に係るサッシによれば、上下框はパネル体保持部の外周側に中空部を有し、中空部を構成する壁面部には縦框を連結するビスを挿通する挿通部が長手方向に沿って２か所に形成され、２か所の挿通部は挿通されるビスの頭部が干渉しない間隔を有して配置されることにより、ビスのビス頭が平面視において重なっていても、ビス頭同士が干渉しないようにすることができる。したがって、連結される縦框間の間隔を、ビス頭の高さ２つ分よりも小さくすることができ、両者をより近接させ連結することができるので、連結部分の縦框をより幅細として、意匠性を向上させることができる。
【００１０】
また、本発明に係るサッシによれば、挿通部は中空部を構成する壁面部のうち上面壁と下面壁の各内面にそれぞれ形成されることにより、挿通部同士の間隔を確実に取ることができる。
【００１１】
さらに、本発明に係るサッシによれば、連結縦框のパネル体保持部の底面は、板状とされて連結される連結縦框同士で近接配置されると共に、上下框に対するビスが挿通されることにより、縦框同士が連結された框の幅が、パネル体保持部の深さとビス頭のための最低限の距離だけで構成されることとなり、より幅細で意匠性の高いサッシとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１２】
本発明の実施形態について、図面に沿って詳細に説明する。図１には、本実施形態におけるサッシの正面図を示している。この図に示すように、本実施形態におけるサッシは、建物開口部に設けられる枠体１内に３枚の固定障子２を横方向に連設し納めて構成されている。３枚の固定障子２は、左右の枠側障子３と、中央の中央障子３とからなっている。なお、図１はサッシを室外側から見たものである。また、図７にはサッシの斜視図を示している。
【００１３】
枠体１は、上枠１０と下枠１１及び左右の縦枠１２、１２を方形状に枠組みして構成される。枠側障子３は、上框２０と下框２１、枠側縦框２２及び連結縦框２３を方形状に框組みしてなる框体５内にガラス板からなるパネル体６を納めて構成される。また、中央障子４は、上框３０と下框３１、及び左右の連結縦框３２、３２を方形状に框組みしてなる框体５内にガラス板からなるパネル体６を納めて構成される。なお、図１ではサッシを室外側から見ていることに伴い、枠側障子３と中央障子４との間に設けられる框は、中央障子４の連結縦框３２のみが露出している。その構成については後で詳述する。
【００１４】
図２にはサッシの縦断面図を、図３にはサッシの横断面図を、それぞれ示している。図２は枠側障子３が配置される領域における縦断面図である。枠体１を構成する上枠１０は、外周面側において建物躯体に対して固定され、内周面の室外側に対向するように枠側障子３が配置され、固定されている。また、上枠１０は金属製の金属上枠１０ａが断面中空状に形成され、金属上枠１０ａの内周面における室内側露出部分は樹脂上枠１３により覆われる。樹脂上枠１３の室内端部には、室内側に面する室内側部１０ｂが形成され、その内周端部は枠側障子３の框体５における内周面位置と略同じ面内に配置されるので、室内側から枠側障子３の框体５を見えにくくし、意匠性を向上させることができる。
【００１５】
枠体１を構成する下枠１１は、外周面側において建物躯体に対して固定され、内周面の室外側に対向するように枠側障子３が配置される。また、下枠１１は金属製の金属下枠１１ａが断面中空状に形成され、その上面を覆うように樹脂下枠１４が設けられる。樹脂下枠１４は、枠側障子３の室内端部から下枠１１の室内端部に渡って設けられる。また、樹脂下枠１４の上面は、室外端から室内端に渡るまで平坦面とされている。
【００１６】
枠体１を構成する縦枠１２は、外周面側において建物躯体に対して固定され、その内周面には、枠側障子３が固定される。また、縦枠１２は、金属縦枠１２ａとその室内側内周面を覆う樹脂縦枠１５とからなっている。樹脂縦枠１５は、枠側障子３の室内端部から縦枠１２の室内端部に渡って設けられる。また、樹脂縦枠１５の内周面は、室外端から室内端に渡るまで平坦面とされている。
【００１７】
枠体１の室内側端部には、四周に渡ってアングル部１６が室内側に向かって突出するように設けられている。アングル部１６は、枠体１の室内側に四周に渡って設けられる額縁材の内周面に当接し、枠体１と額縁材が連続状となるようにしている。
【００１８】
框体５を構成する上框２０は、金属上框２０ａの室内側に樹脂上框２４を設けて構成されている。樹脂上框２４の内周面は、樹脂上枠１３の内周面と略面一状となるように形成されている。樹脂上框２４の内周面は平坦面として形成されており、また樹脂上枠１３の内周面は、室内側部１０ｂの内周端部と同じ高さを有しているため、樹脂上枠１３と樹脂上框２４とが一体化した内観を有している。
【００１９】
框体５を構成する下框２１は、金属下框２１ａからなり、その室内側内周端部には樹脂下枠１４の室外端部が係合固定される。また、金属下框２１ａは全体が樹脂下枠１４の上面よりも下方に配置される。これにより、金属下框２１ａは室内側に直接露出しないこととなり、意匠性を高めることができる。図２には、枠側障子３の断面図を示しているが、中央障子４も同じ縦断面形状を有して構成される。
【００２０】
框体５を構成する枠側縦框２２は、金属縦框２２ａにより構成されており、その室内側内周端部には、樹脂縦枠１５の室外端部が係合固定される。金属縦框２２ａは全体が樹脂縦枠１５の内周面よりも外周側に配置されるので、金属縦框２２ａは室内側に直接露出しないこととなり、意匠性を高めることができる。
【００２１】
枠側障子３の連結縦框２３と中央障子４の連結縦框３２は、それぞれ異なる形状を有して構成されている。図４には枠側障子３と中央障子４の連結部分付近の拡大横断面図を、図５には枠側障子３と中央障子４の連結部分付近の分解図を、それぞれ示している。以下、各障子の連結縦框を区別するため、枠側障子３の連結縦框２３を第１連結縦框２３と称し、中央障子４の連結縦框３２を第２連結縦框３２と称する。図４に示すように、これら第１連結縦框２３と第２連結縦框３２が連結固定されることにより、障子の連結部分における縦框が構成される。
【００２２】
枠側障子３を構成する第１連結縦框２３は、枠側障子３のパネル体６の周縁部を保持するパネル体保持部２３ａを備えている。パネル体保持部２３ａは、断面略コ字状に形成され、その底面部分が室内側に延出されて連結部２３ｂを構成している。連結部２３ｂの室内側は、第２連結縦框３２よりも室内側に延出されて断面中空状の中空部２３ｃが形成されている。
【００２３】
第１連結縦框２３の中空部２３ｃには、その室内側露出面を覆うように樹脂縦カバー体２５が設けられる。樹脂縦カバー体２５は、断面略コ字状に形成されて中空部２３ｃの室外側両側部にそれぞれ係合し固定される。また、樹脂縦カバー体２５の室外端部は、それぞれ枠側障子３のパネル体６近傍及び中央障子４のパネル体６近傍まで伸びており、第１連結縦框２３及び第２連結縦框３２の中空部２３ｃよりも室外側部分についても、室内側に露出しないように被覆している。
【００２４】
一方、中央障子４を構成する第２連結縦框３２は、中央障子４のパネル体６の周縁部を保持するパネル体保持部３２ａを備えている。第１連結縦框２３のパネル体保持部２３ａと第２連結縦框３２のパネル体保持部３２ａは、底面同士が互いに近接対向して配置される。また、パネル体保持部３２ａの底面部分は室内側に延出されて連結部３２ｂを構成している。
【００２５】
第２連結縦框３２には、パネル体保持部３２ａの室外側外周端部から外周側に突出片が形成されており、パネル体保持部３２ａの室外面と合わせて取付部３２ｃを構成している。取付部３２ｃには、室外側から室外カバー体１７が取付けられる。室外カバー体１７は、取付部３２ｃの室外露出面を覆うように形成されており、取付部３２ｃが室外側に直接露出しないようにしている。
【００２６】
第１連結縦框２３には、第２連結縦框３２の取付部３２ｃに室内側から当接する室外面部２３ｄが形成されている。この当接部分において、室外側からネジ止めがなされ、第１連結縦框２３と第２連結縦框３２が連結されている。また、第２連結縦框３２の連結部３２ｂは、第１連結縦框２３の連結部２３ｂから中空部２３ｃにかけての形状に略沿う形状とされており、第１連結縦框２３の連結部２３ｂ側から第２連結縦框３２の連結部３２ｂに対してネジ止めされて両者が固定される。このように、第１連結縦框２３と第２連結縦框３２は、第２連結縦框３２の室外側部分と室内側部分でそれぞれネジ止め固定されているので、両者を強固に固定することができる。
【００２７】
また、第１連結縦框２３の中空部２３ｃは、第１連結縦框２３のパネル体保持部２３ａの開口端部から第２連結縦框３２のパネル体保持部３２ａの開口端部に渡る幅を有するように形成されている。また、中空部２３ｃの室内露出面を覆う樹脂縦カバー体２５は、第１連結縦框２３側と第２連結縦框３２側の各内周面がいずれも平面状に形成されており、障子が連結される縦辺の室内端部からパネル体保持部２３ａ、３２ａに至るまでの内周面を面一状とすることができ、すっきりした内観とすることができる。
【００２８】
次に、縦框と上框２０または下框２１との連結について説明する。図２に示すように、上框２０と下框２１は、いずれもパネル体６の周縁部を保持するパネル体保持部２０ｂ、２１ｂを内周面に有し、その外周側にはそれぞれ中空部２０ｃ、２１ｃを有している。上框２０の中空部２０ｃは、略方形状を有しており、中空部２０ｃを構成する壁面部のうち、上面壁と下面壁の各内面には、長手方向に沿ってビスを挿通可能な挿通部２０ｄ、２０ｅが形成される。また、下框２１の中空部２１ｃにも、同様に上面壁と下面壁の各内面に、長手方向に沿ってビスを挿通可能な挿通部２１ｄ、２１ｅが形成されている。
【００２９】
図６には、枠側障子３における第１連結縦框２３と上框２０との連結部分付近斜視図を示している。この図に示すように、第１連結縦框２３と上框２０との連結部分においては、上框２０の端面が第１連結縦框２３の内周面に突き合わされており、第１連結縦框２３側から実線で示すビス２６が挿通され、連結がなされている。ここでは、第１連結縦框２３から上框２０の下側の挿通部２０ｅに対してビス２６が挿通されている。一方で、破線で示すように、ビス２６は第１連結縦框２３から上框２０の上側の挿通部２０ｄに対しても挿通させることができる。第１連結縦框２３と上框２０の連結にあたっては、いずれか一方の挿通部に対してビス２６を挿通し連結を行う。
【００３０】
第１連結縦框２３と下框２１との連結においても、同様に第１連結縦框２３側から下框２１の挿通部２１ｄまたは２１ｅに対してビス２６を挿通し連結を行う。そして、第１連結縦框２３と連結される第２連結縦框３２においては、第１連結縦框２３と異なる側の挿通部に対してビス２６を挿通し上框２０または下框２１と連結を行う。
【００３１】
具体的には、第２連結縦框３２と上框２０の連結においては、第１連結縦框２３では下側の挿通部２０ｅを用いたことから、上框２０の上側の挿通部２０ｄに対してビス２６を挿通し連結を行う。第２連結縦框３２と下框２１の連結についても、第１連結縦框２３側で下框２１との連結に用いた挿通部と異なる挿通部に対してビス２６を挿通し連結を行う。
【００３２】
このように、上框２０及び下框２１に位置の異なる２つの挿通部を形成し、第１連結縦框２３と第２連結縦框３２とで異なる位置の挿通部を用いるようにしたことで、図４に示すようにビス２６のビス頭２６ａが平面視において重なっていても、ビス頭２６ａ同士が干渉しないようにすることができる。したがって、第１連結縦框２３と第２連結縦框３２との間の間隔を、ビス頭２６ａの高さ２つ分よりも小さくすることができ、両者をより近接させ連結することができるので、連結部分の縦框をより幅細として、意匠性を向上させることができる。
【００３３】
また、第１連結縦框２３と第２連結縦框３２は、いずれもパネル体保持部２３ａ、３２ａの底面が板状に形成されており、連結される両者が近接対向するようにされ、これらの面からビス２６が挿通されるので、第１連結縦框２３と第２連結縦框３２が連結された框の幅が、パネル体保持部２３ａ、３２ａの深さとビス頭２６ａのための最低限の距離だけで構成されることとなり、より幅細で意匠性の高いサッシとすることができる。
【００３４】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の適用は本実施形態には限られず、その技術的思想の範囲内において様々に適用されうるものである。例えば、本実施形態では、中央障子４の両側に枠側障子３を配置して３枚の障子を横方向に連設するものを示したが、障子は２枚あるいは４枚以上であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【００３５】
【図１】本実施形態におけるサッシの正面図である。
【図２】サッシの縦断面図である。
【図３】サッシの横断面図である。
【図４】枠側障子と中央障子の連結部分付近の拡大横断面図である。
【図５】枠側障子と中央障子の連結部分付近の分解図である。
【図６】枠側障子における第１連結縦框と上框との連結部分付近斜視図である。
【図７】サッシの斜視図である。
【符号の説明】
【００３６】
１ 枠体
２ 固定障子
３ 枠側障子
４ 中央障子
５ 框体
６ パネル体
１０ 上枠
１１ 下枠
１２ 縦枠
１３ 樹脂上枠
１４ 樹脂下枠
１５ 樹脂縦枠
１７ 室外カバー体
２０ 上框
２１ 下框
２２ 枠側縦框
２３ 第１連結縦框
２３ａ パネル体保持部
２３ｂ 連結部
２３ｃ 中空部
２３ｄ 室外面部
２４ 樹脂上框
２５ 樹脂縦カバー体
３０ 上框
３１ 下框
３２ 第２連結縦框
３２ａ パネル体保持部
３２ｂ 連結部
３２ｃ 取付部
【技術分野】
【０００１】
本発明は、枠体内に複数の固定障子を横方向に連設し納めてなるサッシに関し、特に固定障子の縦框同士を連結することで横方向に連設してなるサッシに関する。
【背景技術】
【０００２】
従来、建物開口部に設けられる枠体内に障子を納めてなるサッシにおいて、障子を固定障子とし、複数の固定障子を横方向に連設してなるものが知られている。複数の障子を横方向に連設する場合、障子間に方立を設け、障子を構成する縦框をそれぞれ方立に固定することにより、連結をなすようにしていた。このように方立を用いて複数の障子を横方向に連設したものとしては、固定障子と可動障子の組み合わせではあるが、例えば特許文献１に挙げるようなものがある。
【特許文献１】特開平１０−６８２６９号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００３】
近年、障子の框は幅細のものがデザイン的に求められているが、方立を用いて障子を連結すると、連結部分の幅が大きくなってしまい、框を幅細に見せることが困難であった。また、障子を構成する框体について断熱性及び意匠性を高めるため、金属框の室内側に樹脂框を配設した複合サッシが知られているが、複合サッシの場合には金属部分と樹脂部分とがあるために、縦框同士の連結部分がより複雑な構造となり、框を幅細に見せることがより一層困難となっていた。
【０００４】
このため、方立を用いることなく、障子を構成する縦框同士を直接連結することにより、連結部分を幅細にすることができる。しかし、上下框と縦框とを連結するビスの頭部が縦框の外周面から突出しているため、これらが干渉しないように連結する縦框同士にある程度の間隔を空ける必要があった。このため、框を連結するビスが障子の連結部分を幅細にすることを阻害することとなっていた。
【０００５】
本発明は前記課題を鑑みてなされたものであり、固定障子を横方向に連設する場合において、縦框の連結部分をできるだけ幅細として意匠性を高めたサッシを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
前記課題を解決するため、本発明に係るサッシは、建物開口部に設けられる枠体内に複数の固定障子を横方向に連設し納めてなるサッシにおいて、
前記固定障子は上下框と左右の縦框を方形状に框組みしてなる框体内にパネル体を納めてなり、前記縦框は前記枠体の内周面と対向する枠側縦框と、隣接する固定障子の縦框と互いに連結される連結縦框とからなり、前記上下框はそれぞれ前記パネル体の周縁部を納めるパネル体保持部を長手方向に沿って有すると共に、該パネル体保持部の外周側に中空部を有し、該中空部を構成する壁面部には前記縦框を連結するビスを挿通する挿通部が長手方向に沿って２か所に形成され、該２か所の挿通部は挿通されるビスの頭部が干渉しない間隔を有して配置されることを特徴として構成されている。
【０００７】
また、本発明に係るサッシは、前記挿通部は前記中空部を構成する壁面部のうち上面壁と下面壁の各内面にそれぞれ形成されることを特徴として構成されている。
【０００８】
さらに、本発明に係るサッシは、前記連結縦框は前記パネル体の周縁部を納めるパネル体保持部を長手方向に沿って有し、該パネル体保持部の底面は、板状とされて連結される連結縦框同士で近接配置されると共に、前記上下框に対するビスが挿通されることを特徴として構成されている。
【発明の効果】
【０００９】
本発明に係るサッシによれば、上下框はパネル体保持部の外周側に中空部を有し、中空部を構成する壁面部には縦框を連結するビスを挿通する挿通部が長手方向に沿って２か所に形成され、２か所の挿通部は挿通されるビスの頭部が干渉しない間隔を有して配置されることにより、ビスのビス頭が平面視において重なっていても、ビス頭同士が干渉しないようにすることができる。したがって、連結される縦框間の間隔を、ビス頭の高さ２つ分よりも小さくすることができ、両者をより近接させ連結することができるので、連結部分の縦框をより幅細として、意匠性を向上させることができる。
【００１０】
また、本発明に係るサッシによれば、挿通部は中空部を構成する壁面部のうち上面壁と下面壁の各内面にそれぞれ形成されることにより、挿通部同士の間隔を確実に取ることができる。
【００１１】
さらに、本発明に係るサッシによれば、連結縦框のパネル体保持部の底面は、板状とされて連結される連結縦框同士で近接配置されると共に、上下框に対するビスが挿通されることにより、縦框同士が連結された框の幅が、パネル体保持部の深さとビス頭のための最低限の距離だけで構成されることとなり、より幅細で意匠性の高いサッシとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１２】
本発明の実施形態について、図面に沿って詳細に説明する。図１には、本実施形態におけるサッシの正面図を示している。この図に示すように、本実施形態におけるサッシは、建物開口部に設けられる枠体１内に３枚の固定障子２を横方向に連設し納めて構成されている。３枚の固定障子２は、左右の枠側障子３と、中央の中央障子３とからなっている。なお、図１はサッシを室外側から見たものである。また、図７にはサッシの斜視図を示している。
【００１３】
枠体１は、上枠１０と下枠１１及び左右の縦枠１２、１２を方形状に枠組みして構成される。枠側障子３は、上框２０と下框２１、枠側縦框２２及び連結縦框２３を方形状に框組みしてなる框体５内にガラス板からなるパネル体６を納めて構成される。また、中央障子４は、上框３０と下框３１、及び左右の連結縦框３２、３２を方形状に框組みしてなる框体５内にガラス板からなるパネル体６を納めて構成される。なお、図１ではサッシを室外側から見ていることに伴い、枠側障子３と中央障子４との間に設けられる框は、中央障子４の連結縦框３２のみが露出している。その構成については後で詳述する。
【００１４】
図２にはサッシの縦断面図を、図３にはサッシの横断面図を、それぞれ示している。図２は枠側障子３が配置される領域における縦断面図である。枠体１を構成する上枠１０は、外周面側において建物躯体に対して固定され、内周面の室外側に対向するように枠側障子３が配置され、固定されている。また、上枠１０は金属製の金属上枠１０ａが断面中空状に形成され、金属上枠１０ａの内周面における室内側露出部分は樹脂上枠１３により覆われる。樹脂上枠１３の室内端部には、室内側に面する室内側部１０ｂが形成され、その内周端部は枠側障子３の框体５における内周面位置と略同じ面内に配置されるので、室内側から枠側障子３の框体５を見えにくくし、意匠性を向上させることができる。
【００１５】
枠体１を構成する下枠１１は、外周面側において建物躯体に対して固定され、内周面の室外側に対向するように枠側障子３が配置される。また、下枠１１は金属製の金属下枠１１ａが断面中空状に形成され、その上面を覆うように樹脂下枠１４が設けられる。樹脂下枠１４は、枠側障子３の室内端部から下枠１１の室内端部に渡って設けられる。また、樹脂下枠１４の上面は、室外端から室内端に渡るまで平坦面とされている。
【００１６】
枠体１を構成する縦枠１２は、外周面側において建物躯体に対して固定され、その内周面には、枠側障子３が固定される。また、縦枠１２は、金属縦枠１２ａとその室内側内周面を覆う樹脂縦枠１５とからなっている。樹脂縦枠１５は、枠側障子３の室内端部から縦枠１２の室内端部に渡って設けられる。また、樹脂縦枠１５の内周面は、室外端から室内端に渡るまで平坦面とされている。
【００１７】
枠体１の室内側端部には、四周に渡ってアングル部１６が室内側に向かって突出するように設けられている。アングル部１６は、枠体１の室内側に四周に渡って設けられる額縁材の内周面に当接し、枠体１と額縁材が連続状となるようにしている。
【００１８】
框体５を構成する上框２０は、金属上框２０ａの室内側に樹脂上框２４を設けて構成されている。樹脂上框２４の内周面は、樹脂上枠１３の内周面と略面一状となるように形成されている。樹脂上框２４の内周面は平坦面として形成されており、また樹脂上枠１３の内周面は、室内側部１０ｂの内周端部と同じ高さを有しているため、樹脂上枠１３と樹脂上框２４とが一体化した内観を有している。
【００１９】
框体５を構成する下框２１は、金属下框２１ａからなり、その室内側内周端部には樹脂下枠１４の室外端部が係合固定される。また、金属下框２１ａは全体が樹脂下枠１４の上面よりも下方に配置される。これにより、金属下框２１ａは室内側に直接露出しないこととなり、意匠性を高めることができる。図２には、枠側障子３の断面図を示しているが、中央障子４も同じ縦断面形状を有して構成される。
【００２０】
框体５を構成する枠側縦框２２は、金属縦框２２ａにより構成されており、その室内側内周端部には、樹脂縦枠１５の室外端部が係合固定される。金属縦框２２ａは全体が樹脂縦枠１５の内周面よりも外周側に配置されるので、金属縦框２２ａは室内側に直接露出しないこととなり、意匠性を高めることができる。
【００２１】
枠側障子３の連結縦框２３と中央障子４の連結縦框３２は、それぞれ異なる形状を有して構成されている。図４には枠側障子３と中央障子４の連結部分付近の拡大横断面図を、図５には枠側障子３と中央障子４の連結部分付近の分解図を、それぞれ示している。以下、各障子の連結縦框を区別するため、枠側障子３の連結縦框２３を第１連結縦框２３と称し、中央障子４の連結縦框３２を第２連結縦框３２と称する。図４に示すように、これら第１連結縦框２３と第２連結縦框３２が連結固定されることにより、障子の連結部分における縦框が構成される。
【００２２】
枠側障子３を構成する第１連結縦框２３は、枠側障子３のパネル体６の周縁部を保持するパネル体保持部２３ａを備えている。パネル体保持部２３ａは、断面略コ字状に形成され、その底面部分が室内側に延出されて連結部２３ｂを構成している。連結部２３ｂの室内側は、第２連結縦框３２よりも室内側に延出されて断面中空状の中空部２３ｃが形成されている。
【００２３】
第１連結縦框２３の中空部２３ｃには、その室内側露出面を覆うように樹脂縦カバー体２５が設けられる。樹脂縦カバー体２５は、断面略コ字状に形成されて中空部２３ｃの室外側両側部にそれぞれ係合し固定される。また、樹脂縦カバー体２５の室外端部は、それぞれ枠側障子３のパネル体６近傍及び中央障子４のパネル体６近傍まで伸びており、第１連結縦框２３及び第２連結縦框３２の中空部２３ｃよりも室外側部分についても、室内側に露出しないように被覆している。
【００２４】
一方、中央障子４を構成する第２連結縦框３２は、中央障子４のパネル体６の周縁部を保持するパネル体保持部３２ａを備えている。第１連結縦框２３のパネル体保持部２３ａと第２連結縦框３２のパネル体保持部３２ａは、底面同士が互いに近接対向して配置される。また、パネル体保持部３２ａの底面部分は室内側に延出されて連結部３２ｂを構成している。
【００２５】
第２連結縦框３２には、パネル体保持部３２ａの室外側外周端部から外周側に突出片が形成されており、パネル体保持部３２ａの室外面と合わせて取付部３２ｃを構成している。取付部３２ｃには、室外側から室外カバー体１７が取付けられる。室外カバー体１７は、取付部３２ｃの室外露出面を覆うように形成されており、取付部３２ｃが室外側に直接露出しないようにしている。
【００２６】
第１連結縦框２３には、第２連結縦框３２の取付部３２ｃに室内側から当接する室外面部２３ｄが形成されている。この当接部分において、室外側からネジ止めがなされ、第１連結縦框２３と第２連結縦框３２が連結されている。また、第２連結縦框３２の連結部３２ｂは、第１連結縦框２３の連結部２３ｂから中空部２３ｃにかけての形状に略沿う形状とされており、第１連結縦框２３の連結部２３ｂ側から第２連結縦框３２の連結部３２ｂに対してネジ止めされて両者が固定される。このように、第１連結縦框２３と第２連結縦框３２は、第２連結縦框３２の室外側部分と室内側部分でそれぞれネジ止め固定されているので、両者を強固に固定することができる。
【００２７】
また、第１連結縦框２３の中空部２３ｃは、第１連結縦框２３のパネル体保持部２３ａの開口端部から第２連結縦框３２のパネル体保持部３２ａの開口端部に渡る幅を有するように形成されている。また、中空部２３ｃの室内露出面を覆う樹脂縦カバー体２５は、第１連結縦框２３側と第２連結縦框３２側の各内周面がいずれも平面状に形成されており、障子が連結される縦辺の室内端部からパネル体保持部２３ａ、３２ａに至るまでの内周面を面一状とすることができ、すっきりした内観とすることができる。
【００２８】
次に、縦框と上框２０または下框２１との連結について説明する。図２に示すように、上框２０と下框２１は、いずれもパネル体６の周縁部を保持するパネル体保持部２０ｂ、２１ｂを内周面に有し、その外周側にはそれぞれ中空部２０ｃ、２１ｃを有している。上框２０の中空部２０ｃは、略方形状を有しており、中空部２０ｃを構成する壁面部のうち、上面壁と下面壁の各内面には、長手方向に沿ってビスを挿通可能な挿通部２０ｄ、２０ｅが形成される。また、下框２１の中空部２１ｃにも、同様に上面壁と下面壁の各内面に、長手方向に沿ってビスを挿通可能な挿通部２１ｄ、２１ｅが形成されている。
【００２９】
図６には、枠側障子３における第１連結縦框２３と上框２０との連結部分付近斜視図を示している。この図に示すように、第１連結縦框２３と上框２０との連結部分においては、上框２０の端面が第１連結縦框２３の内周面に突き合わされており、第１連結縦框２３側から実線で示すビス２６が挿通され、連結がなされている。ここでは、第１連結縦框２３から上框２０の下側の挿通部２０ｅに対してビス２６が挿通されている。一方で、破線で示すように、ビス２６は第１連結縦框２３から上框２０の上側の挿通部２０ｄに対しても挿通させることができる。第１連結縦框２３と上框２０の連結にあたっては、いずれか一方の挿通部に対してビス２６を挿通し連結を行う。
【００３０】
第１連結縦框２３と下框２１との連結においても、同様に第１連結縦框２３側から下框２１の挿通部２１ｄまたは２１ｅに対してビス２６を挿通し連結を行う。そして、第１連結縦框２３と連結される第２連結縦框３２においては、第１連結縦框２３と異なる側の挿通部に対してビス２６を挿通し上框２０または下框２１と連結を行う。
【００３１】
具体的には、第２連結縦框３２と上框２０の連結においては、第１連結縦框２３では下側の挿通部２０ｅを用いたことから、上框２０の上側の挿通部２０ｄに対してビス２６を挿通し連結を行う。第２連結縦框３２と下框２１の連結についても、第１連結縦框２３側で下框２１との連結に用いた挿通部と異なる挿通部に対してビス２６を挿通し連結を行う。
【００３２】
このように、上框２０及び下框２１に位置の異なる２つの挿通部を形成し、第１連結縦框２３と第２連結縦框３２とで異なる位置の挿通部を用いるようにしたことで、図４に示すようにビス２６のビス頭２６ａが平面視において重なっていても、ビス頭２６ａ同士が干渉しないようにすることができる。したがって、第１連結縦框２３と第２連結縦框３２との間の間隔を、ビス頭２６ａの高さ２つ分よりも小さくすることができ、両者をより近接させ連結することができるので、連結部分の縦框をより幅細として、意匠性を向上させることができる。
【００３３】
また、第１連結縦框２３と第２連結縦框３２は、いずれもパネル体保持部２３ａ、３２ａの底面が板状に形成されており、連結される両者が近接対向するようにされ、これらの面からビス２６が挿通されるので、第１連結縦框２３と第２連結縦框３２が連結された框の幅が、パネル体保持部２３ａ、３２ａの深さとビス頭２６ａのための最低限の距離だけで構成されることとなり、より幅細で意匠性の高いサッシとすることができる。
【００３４】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の適用は本実施形態には限られず、その技術的思想の範囲内において様々に適用されうるものである。例えば、本実施形態では、中央障子４の両側に枠側障子３を配置して３枚の障子を横方向に連設するものを示したが、障子は２枚あるいは４枚以上であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【００３５】
【図１】本実施形態におけるサッシの正面図である。
【図２】サッシの縦断面図である。
【図３】サッシの横断面図である。
【図４】枠側障子と中央障子の連結部分付近の拡大横断面図である。
【図５】枠側障子と中央障子の連結部分付近の分解図である。
【図６】枠側障子における第１連結縦框と上框との連結部分付近斜視図である。
【図７】サッシの斜視図である。
【符号の説明】
【００３６】
１ 枠体
２ 固定障子
３ 枠側障子
４ 中央障子
５ 框体
６ パネル体
１０ 上枠
１１ 下枠
１２ 縦枠
１３ 樹脂上枠
１４ 樹脂下枠
１５ 樹脂縦枠
１７ 室外カバー体
２０ 上框
２１ 下框
２２ 枠側縦框
２３ 第１連結縦框
２３ａ パネル体保持部
２３ｂ 連結部
２３ｃ 中空部
２３ｄ 室外面部
２４ 樹脂上框
２５ 樹脂縦カバー体
３０ 上框
３１ 下框
３２ 第２連結縦框
３２ａ パネル体保持部
３２ｂ 連結部
３２ｃ 取付部
【特許請求の範囲】
【請求項１】
建物開口部に設けられる枠体内に複数の固定障子を横方向に連設し納めてなるサッシにおいて、
前記固定障子は上下框と左右の縦框を方形状に框組みしてなる框体内にパネル体を納めてなり、前記縦框は前記枠体の内周面と対向する枠側縦框と、隣接する固定障子の縦框と互いに連結される連結縦框とからなり、前記上下框はそれぞれ前記パネル体の周縁部を納めるパネル体保持部を長手方向に沿って有すると共に、該パネル体保持部の外周側に中空部を有し、該中空部を構成する壁面部には前記縦框を連結するビスを挿通する挿通部が長手方向に沿って２か所に形成され、該２か所の挿通部は挿通されるビスの頭部が干渉しない間隔を有して配置されることを特徴とするサッシ。
【請求項２】
前記挿通部は前記中空部を構成する壁面部のうち上面壁と下面壁の各内面にそれぞれ形成されることを特徴とする請求項１記載のサッシ。
【請求項３】
前記連結縦框は前記パネル体の周縁部を納めるパネル体保持部を長手方向に沿って有し、該パネル体保持部の底面は、板状とされて連結される連結縦框同士で近接配置されると共に、前記上下框に対するビスが挿通されることを特徴とする請求項１または２記載のサッシ。
【請求項１】
建物開口部に設けられる枠体内に複数の固定障子を横方向に連設し納めてなるサッシにおいて、
前記固定障子は上下框と左右の縦框を方形状に框組みしてなる框体内にパネル体を納めてなり、前記縦框は前記枠体の内周面と対向する枠側縦框と、隣接する固定障子の縦框と互いに連結される連結縦框とからなり、前記上下框はそれぞれ前記パネル体の周縁部を納めるパネル体保持部を長手方向に沿って有すると共に、該パネル体保持部の外周側に中空部を有し、該中空部を構成する壁面部には前記縦框を連結するビスを挿通する挿通部が長手方向に沿って２か所に形成され、該２か所の挿通部は挿通されるビスの頭部が干渉しない間隔を有して配置されることを特徴とするサッシ。
【請求項２】
前記挿通部は前記中空部を構成する壁面部のうち上面壁と下面壁の各内面にそれぞれ形成されることを特徴とする請求項１記載のサッシ。
【請求項３】
前記連結縦框は前記パネル体の周縁部を納めるパネル体保持部を長手方向に沿って有し、該パネル体保持部の底面は、板状とされて連結される連結縦框同士で近接配置されると共に、前記上下框に対するビスが挿通されることを特徴とする請求項１または２記載のサッシ。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【公開番号】特開２００９−２９９４４２（Ｐ２００９−２９９４４２Ａ）
【公開日】平成２１年１２月２４日（２００９．１２．２４）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００８−１５８５３２（Ｐ２００８−１５８５３２）
【出願日】平成２０年６月１７日（２００８．６．１７）
【出願人】（０００１９１０６５）新日軽株式会社 (545)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２１年１２月２４日（２００９．１２．２４）
【国際特許分類】
【出願日】平成２０年６月１７日（２００８．６．１７）
【出願人】（０００１９１０６５）新日軽株式会社 (545)
【Ｆターム（参考）】
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