説明

サングラス型デジタル眼鏡システム

【課題】従来の眼鏡型ディスプレイに比べ違和感がない、弱視者への視力を補う機器の提供。
【解決手段】デザインを自由に選ぶことのできる形状のサングラスを利用し、簡単に着脱できる構造の電子ディスプレイを取付け、外部の映像を映す為に別途取り付けたカメラ7により映像を取り込み、その映像を拡大して見せることのできる光学装置を取付ける。サングラス内部に取り付けた電子ディスプレイ及び映像を拡大する光学装置を通して映像を拡大して網膜8に結像出来、書物などを読むことのできる手段を提供する。電子ディスプレイとカメラを併用し、書物を読む場合、先ずカメラ7で文字情報を取込み、それをデジタル処理して視力に合わせた大きさに文字を拡大、それを順次走査して文字が出力できるようにデジタル処理を行い、電子ディスプレイに順次表示することにより視力の悪い方にハンドフリーな拡大読書システムを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は視力の悪い方が、書物を読む場合、又遠くを見たりする場合、携帯機器として何時でも何処でも利用できる分野に関するもので、機器としてカメラを入力とし、通常利用されている違和感のないデザインを自由に選ぶことのできるサングラス構造の電子ディスプレイを用いた携帯型拡大読書器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
視力改善補助器具としてはカメラとパソコンを利用した拡大読書器などが利用されているが、これらは固定した場所で使用するには問題ないが、何時でも何処でも利用できるものでなく、利用が限定されており、特に両手が自由に使用できない不便さがある。本などの書物を読む場合、教室などで同時に黒板を見たり、又外で映像を見たりする場合、その時々によりルーペを使用したり別のカメラを利用するなど多くの付属品を必要としている場合が多い。
【0003】
眼鏡型ディスプレイは従来ヘッドマウントディスプレイ、フェイスマウントディスプレイ、アイウェアなどと呼ばれ、携帯型電子ディスプレイとして普及し、ポータブルDVDの表示装置、バーチャルリアリティの表示装置、ゲーム機などの出力表示装置に利用されている。殆どの場合、形状が従来の眼鏡に比べ違和感がある為、普及が遅れている。又特に視力の悪い方には適合が難しく、その場合、特に違和感のある形状となっている場合が多く、普及の障害となっている。
【0004】
携帯電話などに使用されている電子ディスプレイは、屋外で利用する場合、外部の輝度が明る過ぎてディプレイが見難い問題がある。又、高齢化社会となり、新聞などの小さい文字を見るのが難しい、又、新幹線の中などで、文字が走査されて表示される電子ディスプレイは受動的な情報の提供を得るには便利ではあるが、本を読むなど自分の意思による能動的な情報の選択には利用できない。電子ブックや携帯電話によりインタネットを通して本を読むことは可能であるが、文字が小さくて、視力の悪い方には利用が難しい。又、スタジアムなどでスポーツ観戦する場合、遠くの映像が良く見えないため双眼鏡などが使用されているが両手が塞がり不便である。情報時代の到来でカメラによる映像の利用は増加しており、眼鏡型小型高性能の電子ディスプレイは普及しつつあるが、これ等のシステムとしての簡素化、操作の容易さが要求されている。
【発明の開示】

【発明が解決しょうとしている課題】
【0005】
本発明は上記した実情に鑑みてなされたものであって、携帯型のデジタル眼鏡に通常使用されているデザイン面で従来の眼鏡と違和感のないサングラス型を利用出来るようにする。又、1台の携帯型の小型カメラを携帯型のデジタル眼鏡と併用することにより、このカメラにより書物などの映像をワンショットで撮影記憶し、その記憶された映像の中から文字情報を使用する人の視力に合せて、文字の大きさ、表示文字の読取走査速度の設定を行える様にし、書物などの文字情報を自動的に電子ディスプレイに出力して読み取り易い様にするものである。一旦、書物などの文字情報が記憶された後は、頭部を動かすだけでハンドフリーにて頭部取付けのカメラにより外部の映像を自由に撮影でき、電子ディスプレイに出力できる。又、頭部のカメラを取り付けているバンドを外して、固定したところに置けば固定カメラとしても利用できる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記目的を達成するために、視力の悪い方でも、何時でも何処でも利用できる様にするもので、通常利用されているサングラス型の電子ディスプレイを着脱式で眼鏡フレームに取り付けることにより、通常のサングラスを選ぶのと同じ感覚でデザインを選ぶことが出来、外見的にも従来あるサングラスに比べて違和感のない眼鏡型デジタル眼鏡システムを提供するものである。又、同時に頭部にカメラを併用することにより、手元の書物を見る場合と、手元で文字などを書く手元操作、黒板を見たり、外を見たりする状態を1台の頭部に取り付けたカメラによりワンタッチで切換えて、ハンドフリーで利用できるシステムを提供する。
【0007】
第一の解決手段は、デザインを自由に選ぶことのできるサングラスの眼鏡フレームに簡単に着脱できる構造のデジタルディスプレイを、これを使用する人の眼幅に合せて取付けることであり、これに外部の映像を映す為に別途取り付けたカメラにより映像を取り込み、その映像を拡大して見せることのできる光学装置を取付け、視力の悪い方でも映像を網膜に拡大して見える様に結像させて、外部の映像をサングラスの内側に取り付けた電子ディスプレイで表示する手段を提供する。
【0008】
第二の解決手段は視力の悪い方が、書類など読む時、文字が小さ過ぎて読めない場合、この書類をこの装置に併用して頭部に取り付けたカメラによりワンショットで撮影し、これをこの装置内の記憶装置に入れ、これをその人の視力に合せて表示文字の大きさとその順次表示の走査速度を予め設定しておき、その人のために予め設定された走査速度で文字情報をハンドフリーで順次自動的に読み取ることが出来るようにするものである。
又、ワンショットで書物を撮影した後は、再びワンショットでカメラの出力を電子ディスプレイの直接入力に変更でき、外部の映像を直接電子ディスプレイでモニターできるようになる。
【発明の効果】
【0009】
この発明は、視力の悪い人が書類などを読む場合、サングラス型の外観的に通常の眼鏡に比べ違和感のないデジタル眼鏡を提供できる。同時に頭部にカメラを装着し、このデジタル眼鏡と併用することにより、表示文字を視力に応じた文字の大きさに拡大出来、更にそれを視力に応じた速度で順次走査表示し、書物の内容をこのデジタル眼鏡により容易に読むことが出来る。そして更にワンショット操作によりこのデジタル眼鏡と併用されている頭部に付けたカメラの方向を変えるだけで、見たい外部の映像を見ることも出来、1台の携帯型デジタル眼鏡で多目的の効果をあげることが可能であり、視力の悪い方に大変便利なシステムを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図1−3に基づいて説明する。
【0011】
図1は本発明に係わるサングラス型デジタル眼鏡内部に着脱式の電子ディスプレイシステムを付けた全体の構成を示す図である。この実施例としては、1はサングラス眼鏡の表面部、2はサングラス表面部(1)と直角に配置され着脱式の電子ディスプレイ及び光学装置を装着できる様なフラットな取付け台座を持つ眼鏡フレーム、3は着脱式の電子ディスプレイ部、4は電子ディスプレイに表示される映像をこの装置を使用する人の網膜に適切な大きさで結像させる為の映像拡大光学装置、5は電子ディスプレイ部に対し使用する人の眼幅に合せてその位置を調整する機構である。
【0012】
図2は図1に於けるサングラス型デジタル眼鏡に付属して使用されるカメラシステムの構成例を示す図である。6はこの映像を電子ディスプレイ及び映像拡大光学装置を通して、これを使用する人の網膜に結像して見えるバーチャル映像、7は外部映像を撮影するカメラ、8はこの装置を利用する人の網膜、9はカメラを取付けてこの装置を利用する人の頭部に被せてサングラス型デジタル眼鏡と併用できる様にする取付けバンドを示す。
【0013】
図3は図1、図2に示す機器内の映像信号の流れを示すシステム構成のブロック図を示す。10は外部映像を撮影するカメラ(7)の出力を電子ディスプレイに入力する映像信号入力装置、11は映像信号入力装置(10)に輝度・コントラスト・色調などの設定値を与える映像信号設定装置、12は映像信号入力装置(11)の映像出力を切り替える映像出力切換装置、13は文字情報を一時記憶する映像信号記憶装置、14は映像信号記憶装置(13)で記憶された文字情報を走査してシーケンシャルに文字情報を出力する装置、15は文字情報走査出力装置(14)にこのデジタル眼鏡を使用する人の視力に合せて文字情報表示プログラムの文字の大きさ及び表示速度の設定を行う装置、16は電子ディスプレイのドライバー装置、17は電子ディスプレイを示す。
【産業上の利用の可能性】
【0014】
高齢化社会の到来で視力の悪い方が増えている。又、糖尿病などが原因で網膜症を患っている方も増えており、情報化社会を迎え、所謂弱視者への社会的対応が大きな課題となりつつある。視力を補う機器はこの解決に大きく作用し社会に貢献できるものである。特殊な構造でなく、通常利用されているサングラス型での携帯型電子眼鏡は違和感が少ないので利用し易く、産業界のいろいろな分野で幅広く利用されることが期待される。特に、頭部に取り付けたカメラで書物の文字を自動的に読取り、その人の視力に合わせて自動的に順次表示して読む機能はポータブル型である為、視力の悪い方が何時でも何処でも書物を容易に読むことが出来、又ハンドフリー方式である為、手作業、外部を見ることなどが同時に出来、大きな社会的貢献が期待される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】 図1は本発明に係わるサングラス型デジタル眼鏡の内部に着脱式の電子ディスプレイシステムを付けた全体の構成を示す。
【図2】 図2は図1に於けるサングラス型デジタル眼鏡に付属して使用されるカメラシステムの構成例を示す。
【図3】 図3は図1、図2に示す機器内の映像信号の流れを示すシステム構成のブロック図を示す
【符号の説明】
【0016】
1. サングラス眼鏡の表面部、
2. サングラス表面部(1)と直角に配置され着脱式の電子ディスプレイ及び光学装 置を装着できる様なフラットな取付け台座を持つ眼鏡フレーム、
3. サングラスのフレーム部に着脱可能な電子ディスプレイ部、
4. 電子ディスプレイに表示される映像をこの装置を使用する人の網膜に適切な大き さで 結像させる為の映像拡大光学装置
5. 電子ディスプレイ部を使用する人の目の眼幅に合せてその位置を調整する機構
6. 電子ディスプレイ・映像拡大光学装置を通して、これを使用する人の網膜に結像 して見えるバーチャル映像
7. 外部映像を撮影するカメラ、
8. この装置を利用する人の網膜
9. カメラ(7)を取付けてこの装置を利用する人の頭部につけてサングラス型デジ タル眼鏡と併用できる様にする取付けバンド
10. 外部映像を撮影するカメラ(7)の出力を電子ディスプレイに入力する映像信号 入力装置、
11. 映像信号入力装置
12. 映像信号入力装置(11)の映像出力を切り替える映像出力切換装置
13. 文字情報を一時記憶する映像信号記憶装置
14. 映像信号記憶装置(13)で記憶された文字情報を、見る人の視力に合せた文字 の大きさで表示された文字に対しそれを読み取れる速度で順次文字を表示する文 字情報走査出力装置
15. 文字情報走査出力装置(14)にこのデジタル眼鏡を使用する人の視力に合せて 文字情報表示プログラムの文字の大きさ、表示速度の設定を行う装置
16. 電子ディスプレイのドライバー装置
17. 電子ディスプレイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用する人の目の先に置いて映像を表示する小型の電子ディスプレイ、この電子ディスプレイに表示される映像を見る人の目の網膜に拡大して表示する光学装置、この電子ディスプレイと光学装置を取付けるサングラス、電子ディスプレイに映像を取り込むカメラ及びその映像制御装置から構成され、このシステムを利用する人が、使用する場所、好み、目的などに応じたデザイン性のあるサングラスの眼鏡フレームに、電子ディスプレイ及び光学装置を着脱式で簡単に取付けることが出来ることを特徴とするサングラス型デジタル眼鏡システム。
【請求項2】
請求項1で使用されるサングラス型デジタル眼鏡システムにおいて、利用者はこのデジタル眼鏡シシテムと併用する頭部に着用されるカメラにより、読もうとする本、書物の文字情報をこの装置に付属する押しボタンのワンタッチ操作により文字情報を瞬時に読み取り、映像制御装置内の記憶装置に記憶、そしてその文字情報を利用する人がその視力に合せて電子ディスプレイ上で表示文字が読み取れる様に文字の大きさと順次表示される文字の走査速度を設定し、ハンドフリーで予めその人のために設定された走査速度で文字情報を自動的に読み取ることが出来、又、同じ装置で一旦読み込んだ後は同一カメラで書物以外の外部の映像をワンタッチで切換えてリアルタイムに見ることを特徴とするサングラス型デジタル眼鏡システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2010−55038(P2010−55038A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−244900(P2008−244900)
【出願日】平成20年8月27日(2008.8.27)
【出願人】(503402574)
【Fターム(参考)】