説明

サンプル流体吸引供給方法

【課題】 サンプル流体を吸引および供給する方法において、サンプルプローブとサンプルとの物理的接触を検出し、また装置に係わる多数の様々な発生事象の有無を検出する。
【解決手段】 空気源によって圧力トランスジューサーとサンプルプローブを通じて一定の空気の流れを提供し、また流体表面に向かってサンプルプローブを低下させる。サンプルプローブチップが液体表面に達すると、圧力トランスジューサーは、圧力トランスジューサーが配置された空気経路の圧力の変化を検知する。その圧力変化に反応して、トランスジューサーは検出回路にトランスジューサー信号を供給する。検出回路は供給された信号を検出しシステムコントローラに制御信号を供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動流体サンプル装置の分野に関するものであり、特に自動流体サンプルシステムのサンプルプローブの液体への接触を検出する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
公知のように、全血、血清、血漿、脳脊髄液、尿などの、患者から得られる体液の様々な化学成分を測定するため医療機関で自動分析器が使用されている。自動分析器によって、分析するために必要とされる医療機関内の訓練された技術者の数が低減でき、検査の精度が向上し、検査ごとの費用も低減する。
【0003】
通常、自動分析器は、患者の標本容器から体液のサンプルを自動的に吸引し、サンプルを反応キュベットへと自動的に供給する自動流体移動システムを有する。その流体移動システムは通常、ロボットアームの制御で吸引機能や供給機能を行うピペットを有する。
【0004】
実行する検査に特有の化学試薬は、化学試薬とサンプルを混合するサンプル含有キュベットへと配置される。サンプルと試薬の混合から生じる反応結果を検査することにより、自動分析器は、検査を実行するため、患者の標本内の特定の化学成分の濃度を決定し、検査が完了すると、自動分析器は一般に、サンプル鑑定を含む検査結果、多数の検査結果、検査により測定された化学成分の値の範囲を印刷する。
【0005】
吸引作業中、システム制御の命令によりロボットアームは、標本容器上のピペットに位置され、ピペットが容器内の液体に到達するまでピペットを容器へと動かす。その後通常シリンジタイプのポンプがサンプル液体を標本容器からピペットへと抽出するように動作する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
流体移動システムに生じる問題点としては、サンプルを吸引する際に時折サンプルピペットが吸引するサンプル内に適切に配置されないことがある。この場合、患者の標本ではなく空気がピペットへと引き込まれてしまう。これによって、流体標本の必要なサンプル容量を吸引することや、反応キュベットへと完全に供給することができなくなってしまう。もし標本の不適切なサンプル容量を試薬と混合すると、誤った検査結果が得られてしまう。
【0007】
通常、医者が異常な検査結果を得た場合、検査が繰り返され、新しい結果と先の結果を比較する。もし2つの結果が所定範囲内で一致しなかったら、先の2つの結果のどちらが正当なものかを決定するため2度目の検査の繰り返しを行わなければならない。
【0008】
このように、プローブチップと液体表面との物理的接触を検出し、サンプルプローブに空気ではなく液体が確実に入るようにする自動流体サンプル吸引供給装置を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、サンプル流体吸引供給装置は流体通過圧力トランスジューサーの入力口に接続された出力口を有する空気源を有する。その流体通過圧力トランスジューサーの出力は、サンプル流体に接触するチップを有するサンプルプローブに接続される。この構成により、サンプルプローブと液体サンプル表面との物理的接触を検出する装置が提供される。圧力トランスジューサーは以下の事象などにより変化する圧力を検知する。(a)流体経路内の流体漏れ(b)サンプルプローブを通ずる吸引(c)サンプルプローブチップの閉塞(d)サンプルプローブチップのサンプルプローブへの搭載および着脱。その装置はまた、トランスジューサーに接続された検出回路を有する。上記の鑑定する事象の各々に反応して、流体通過圧力トランスジューサーは検出回路に差分電圧信号を供給する。
【0010】
表面検出モードにおいては、空気源によって圧力トランスジューサーとサンプルプローブを通じて一定の空気の流れを提供し、また流体表面に向かってサンプルプローブを低下させる。サンプルプローブチップが液体表面に達すると、圧力トランスジューサーは、圧力トランスジューサーが配置された空気経路の圧力の変化を検知する。その圧力変化に反応して、トランスジューサーは検出回路にトランスジューサー信号を供給する。検出回路は供給された信号を検出しシステムコントローラに制御信号を供給する。
【0011】
その検出回路は、漏れ、流体レベル、吸引保全、凝塊、チップの有無、ポンプ制御保全などの複数の事象を検出することができるようにしてもよい。その各事象の検出により、空気ポンプやサンプルプローブの制御用のシステムコントローラに供給される信号を発生する。
【0012】
流体表面の位置を検出する際に、サンプルプローブを流体表面に向かって移動させ、接触した際には、流体通過圧力トランスジューサーと直列をなす空気経路内の圧力変化により、接触を表す圧力トランスジューサー信号が供給され、さらにその裁定を可能にし、流体表面の位置を提供する。
【0013】
吸引供給装置の流体経路の漏れは、サンプル流体へサンプルプローブチップを挿入し圧力トランスジューサーにより供給される信号を検知することにより、サンプルプローブチップを閉塞する動作をする同じ装置を使用する。検知した圧力が正規化圧力以下であれば、吸引供給装置の流体経路内に漏れがあることを示す。もし漏れがあるならば、圧力は常に通常レベルまで上昇しない。その通常圧力は、吸引時に開口しない校正用チップをサンプルプローブに搭載することにより設定できる。
【0014】
検出回路はまた、サンプルプローブに配置したチップの開口が小さい場合の圧力上昇により、チップの供給位置でサンプルプローブのチップ搭載および除去においてサンプルプローブチップがサンプルプローブに接続される時を検出する。検出回路はまた、吸引または供給動作中の障害によるサンプルプローブチップの閉塞を検出する。その閉塞は、圧力トランスジューサー内の所定の圧力変化を引き起こすに十分痛烈なものでなければならない。検出回路はまた、システムの抽気バルブが閉じているか開いているかどうかを示す。検出回路はまた、空気ポンプの電圧と管内の圧力トランスジューサーの電圧を比較し、その電圧関係が所定範囲内にあるかどうかを確認することによりポンプ制御保全状態を評価する。検出器はまた、空気吸引により所定範囲内の圧力変化が生じたことを検査することにより吸引保全状態を確認する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、サンプル流体を吸引および供給する装置において、サンプルプローブとサンプル流体との物理的接触を検出することができる。また、装置に係わる様々な発生事象を検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1を参照して、吸引供給装置は出力端12aを有する定圧空気源12を有し、その出力端12aは2端子の抽気バルブ14を通じて3端子のポンプバルブ16の第1の端子16aに接続される。抽気バルブ14は以下に述べるように、開閉するための、抽気バルブ14により制御されるベント14’を有する。
【0017】
定圧空気源12は、ポンプ16へと、所定の速度と圧力で一定の空気の流れを供給することができるタイプのものである。この速度と圧力はかなり低いもので、それは全体のシステムパラメータに依存するものである。
【0018】
ポンプバルブ16の第2の口16bはT字コネクタ18の第1の入力口18aに接続され、バルブ16の第3の口16cはベントに接続されている。T字コネクタ18の第2の口18bは、例えばシリンジやポンプ希釈源として設けられるサンプルプローブ希釈器20に接続される。
【0019】
T字コネクタ18の第3の口18cは流体通過圧力トランスジューサー22の第1の口22aと接続する。そのトランスジューサー22の第2の端子22bは、例えばピペットチューブ支持体として設けられるサンプルプローブ24に接続される。これにより、圧力トランスジューサー22は、空気源12とサンプルプローブ24の間の流体コンジットの一線上に位置する。
【0020】
圧力トランスジューサー22はサンプルプローブ24の近隣に位置することが望ましく、これにより圧力測定のSN比を向上できる。サンプルプローブ24はロボットアームにより、自動検査システム内に吸引され供給されるキュベット32からや、チップステーション25やテストチューブ27からもしくはそこに移動させるために制御される。圧力トランスジューサー22を通る流体流量に反応して、トランスジューサーは信号線26を通じて検出器システム28へと電気信号を供給する。検出回路28は、トランスジューサー22から入力信号を受容し、空気源12へ、そしてマイクロプロセッサバス30を通じてマイクロプロセッサベース制御システム33へと出力信号を供給する。
【0021】
検出器システム28は、自動分析器システムの分析サイクル中の様々な事象の発生時もしくは非発生時を検出する。
【0022】
トランスジューサー22からの入力信号に反応して、検出器システム28は、サンプルプローブ24がアーム23により低下させられる場所において、ピペットチップを有するサンプルプローブ24の末端がチューブ27内やキュベット32内に配置された流体サンプル31に物理的に接触した際に、適切な出力信号により示唆するといった多数の機能を提供する。
【0023】
図2は図1のシステムをより詳細に示したものである。図2に示されるように、吸引供給装置は、一定の空気が供給されるように特定の圧力で空気ポンプ70から供給される空気を蓄積する容器を有するアキュムレータ72に接続された空気ポンプ70を含む定圧空気源を有し、アキュムレータの出力端72aでは直接低い圧力で利用される。この特定の具体例においては、アキュムレータ72は、圧力や可変流量速度を調整するように働くコイル状の管73として設けられ、圧力測定の際に必要とされる遅い調整に従って減少される。
【0024】
コイル73と空気ポンプ70との間に配置した3口接続部材74は、空気ポンプ70の出力口に接続した第1の口と、コイル73の第1の口に接続した第2の口を有する。接続部材74の第3の口は、通気チューブ76に接続した通気口として設けられる。
【0025】
吸引供給装置の適切な動作を確実にするため、空気ポンプ70は、アキュムレータ72の出力口72aにおいて比較的低い空気流量にしている。そのような空気流量にするため、接続部材74は空気ポンプ70からの流量の一部を排出する。
【0026】
ベントバルブ76は、コイル73の一部として設けられることが望ましい(例えばアキュムレータコイル73の内部の一部に設ける)。ベント76は、サンプルプローブが完全に閉塞された場合のポンプ70がさらされる圧力上限を設定する。
【0027】
アキュムレータ72はまた、他の公知の技術を用いても実現できる。
【0028】
アキュムレータ72の出力口80aは、抽気バルブ14を通じて、ポンプバルブ16に相当するポンプバルブ80の共通口80aに接続される。ポンプバルブ80はまた、サンプルプローブに向かう通常開放口80bとベント80dに接続する通常閉鎖口80cを有する。ポンプバルブ80はコントローラ94により制御される。
【0029】
ポンプバルブ80の端子80bは3口接続部材82の第1の口82aに接続される。3口接続部材82の第2の口82bは希釈器84に接続される。その希釈器84は例えばシリンジポンプとして設けられ、それによりピストン86が第1の方向に移動すればハウジング88から端子82bを通じて液体を押し出し、ピストン86が第2の反対方向に移動すれば端子82bを通じてハウジング86へと流体を引き込む。
【0030】
シャフト90によりピストン86を線形ステッパモータ92に接続する。コントローラ94からの信号に応じて、ステッパモータ92はピストン86をハウジング88内を第1の方向およびその反対の第2の方向へと駆動する。好ましい具体的実施の形態としては、コントローラ94はマイクロプロセッサベースのコントローラとして設けられることが望ましい。
【0031】
3口接続部材82の第3の口82cは、口82cと係合する内径を有するチューブ96に接続され、接続部を覆う。
【0032】
圧力トランスジューサー98は、チューブ96の第2の口に接続された第1の口98aと一般的な弾力チューブ100の第1の口に接続された第2の口98bを有する。チューブ100の第2の口はサンプルプローブ102の第1の口に接続される。このように、接続部材82とチューブ96、100と圧力トランスジューサー98により、サンプルプローブ102とポンプバルブ80と希釈器84との間の流体経路が設けられる。
【0033】
圧力トランスジューサー98はここで、Micro Switch Division of Honeywell Corporation製造の流体通過圧力トランスジューサーとして設けられ、さらには26PCシリーズの圧力トランスジューサーであり、特にパーツ番号26PC BFG6Gのものである。トランスジューサー98の感度は圧力差約10mV/PSIに相当する。適当な流体および電気特性を有する流体通過圧力トランスジューサーも用いることができる。
【0034】
トランスジューサーの口98a、98bのそれぞれを、異なる直径のチューブ96、100の一端に接続するため、口98a、98bの各々に接続チューブ101が設けられる。その接続チューブ101は、比較的高い弾力性で、わずかに干渉する程度でチューブ96、100の外周半径を受容するように選択した非伸縮直径を有する比較的自由度のある材料から作られる。
【0035】
サンプルプローブ102は、システムの管100が接続する第1の流体口106aと、サンプルプローブチップ108が接続する第2の流体口106bとの間にチャネル110を有するプローブ本体を有する。これの特定の具体的実施の形態として、サンプルプローブチップ108は、サンプルプローブ本体106と除去できるように接続される、着脱可能サンプルプローブチップとして設けられる。しかしながら、あるアプリケーションにおいては、サンプルプローブ本体に永久に保持された非着脱可能のプラスチックチップとしてサンプルプローブチップが設けられることが望ましい場合もある。
【0036】
サンプルプローブ102へトランスジューサー98を接続するチューブ100はここで、約9.5インチ長で設けられる。サンプルプローブ102と圧力トランスジューサー98との距離を最小限にすることが望ましい。あるアプリケーションにおいては、サンプルプローブ102から9.5インチより近く、サンプルプローブ102へできる限り近づけて圧力トランスジューサー98を配置することが望ましく、さらには必要なことでもある場合もある。
【0037】
小さな圧力変化に対して装置66の感度を最大限にすることが望ましいアプリケーションでは、例えば、トランスジューサー98をサンプルプローブ102へ直接係合することが望ましい。しかしながら、実際のアプリケーションにおいては、回路部品のサイズや利用可能なパッケージ空間の制約によりしばしば不可能であることがある。すなわち、そのトレードオフで、圧力トランスジューサー98は、トランスジューサー98とサンプルプローブ102との流体経路長の最小限のチューブを通じてサンプルプローブ102に接続するべきである。
【0038】
この目的のため、圧力トランスジューサー98はサンプルプローブ102に接続したプリント回路基板上に配置されるか、もしくは上記したように、空間があれば、圧力トランスジューサーはサンプルプローブ102上に直接配置してもよい。
【0039】
この好ましい実施の形態としては、流体通過圧力トランスジューサーは、一対の電気端子98c、98dを有し、その一つはトランスジューサー98の正の出力端子でもう一つは負の出力端子である。トランスジューサー98により出力端子98c、98dには、サンプルプローブチップ内と外気圧との圧力差を示す差分出力電圧が与えられる。
【0040】
トランスジューサー98は、ライン111を通じて一対の入力端子112a、112bで検出回路112に電気接続される。検出回路112は圧力トランスジューサー98からの入力信号を受容し、その出力端子からコントローラー94や空気ポンプ70への出力信号を供給する。
【0041】
動作中、チューブ27やキュベット32からのサンプル流体を吸引する前に、ポンプバルブ80のベント端子80cは初期的に閉じられ、共通のサンプルプローブ口80a、80bは初期的に開放する。また、抽気バルブ78の通気口は閉じており、ピストン86はハウジング88内に流体がないように位置している。空気ポンプ70がその後起動し、サンプルプローブチップ108aに導く流体経路を通じて空気を押しやる。これにより空気は圧力トランスジューサー98により測定される所定の圧力を作り出す所定の速度でサンプルプローブの外に押し出される。
【0042】
サンプルプローブ106は、チューブ27の中のように流体と接触させる領域へと移動させられる。サンプルプローブチップ108aは最初流体に接触しチップ108aは流体により閉塞される。この結果、流体管が、流体ライン96、100を含む空気ポンプ70とサンプルプローブチップ108との間が接続され、加圧される。圧力トランスジューサー98は増加した圧力レベルを検知し、検出回路112へトランスジューサー信号を供給する。
【0043】
その後検出回路112は、サンプルプローブが流体サンプルへとさらに低下し所定点を超えてしまわないようにコントローラ94に制御信号を送る。コントローラ94は抽気バルブのベント端子を開放するように制御信号を送出し、トランスジューサー98が配置されている流体経路を含む空気ポンプ70とサンプルプローブ102との間の流体経路を減圧する。
【0044】
流体ラインが減圧された後、コントローラ94は抽気バルブの通気口を閉じる。ピストン86を移動する前に希釈器84と接続部材82との間の流体経路を減圧することにより、吸引し供給する流体量をより正確に決定することができる。もし希釈器84と接続部材82間の流体経路がピストン86が動き始める時に加圧されていたら、希釈器84には最初、流体経路にかけられた圧力に打ち勝つような力が加わるであろう。このように、ピストン86の移動に応じて流体を吸引するというよりも、希釈器84とサンプルプローブ102間の流体経路内の圧力が希釈器内の圧力と一致するようになってしまい、希釈器84により引き込まれる流体量を正確に決定することは比較的難しくなってしまう。
【0045】
しかしながら、抽気バルブを開放し閉じたりすることにより、流体ライン内の圧力は大気圧にできる。このように、流体は希釈器84の動作に応じてサンプルプローブチップ108へと直接引き込むことができる。
【0046】
この装置はまた、流体経路の漏れも検出する。その漏れを検出するために、サンプルプローブチップ108は完全に閉塞され、管内はポンプ70を起動することにより加圧される。ここでプローブチップ108は閉塞されてポンプ70は動いたままである。サンプルプローブ102と接続部材82との間の流体経路内の圧力はこれにより校正ルーチン中に設定された所定の限界値まで上昇できる。もし漏れがなかったら、その後圧力はサンプルプローブを閉塞した時の校正レベルとほぼ同じレベルまで上昇するだろう。しかしながらもし漏れがあったら、圧力が同じレベルまで上昇しないであろう。
【0047】
各システムでは、校正ルーチンが作動し、チップは閉塞されて流体経路内の流体への圧力上昇が決定する。チップ108aは、例えばサンプルプローブ本体106に校正用チップを配置することにより閉塞してもよい。そのような校正用チップは、サンプルプローブ口106bに取り付けられる一端を開放し、もう一端を開放しないで設けられる。
【0048】
システムコントローラ94はその後、閾値圧力および電圧を設定するためサンプルプローブの校正ルーチンを行う。
【0049】
図3には、検出回路112が示されており、それには一対の流体口122a、122bと、差分電気信号が増幅回路124に接続される一対の電気信号端子122c、122dを有する流体圧力トランスジューサー122を有する。トランスジューサー122は特定の発生事象により流体経路内の生じる圧力変化を検出する。例えば、トランスジューサー122は次に挙げる多数の事象(これらに限らないが)により生じる圧力変化を検出する。:(a)流体経路内の流体の漏れ(b)サンプルプローブチップと流体表面との接触(c)サンプルプローブを通ずる空気の吸引(d)サンプルプローブの障害(e)サンプルプローブへのサンプルチップの取り付けと取り外し。
【0050】
これらの事象の各々に反応して、圧力トランスジューサー122を通る流れにより、増幅回路124の入力端子124a、124bへそれに相当する差分電圧信号が供給される。増幅回路124は圧力トランスジューサー122から供給された差分信号を受け、出力端子124cに増幅された出力信号を供給する。増幅された出力信号は、信号調整器およびポンプ制御回路126の入力端子126aに供給される。
【0051】
多数の事象検出回路128〜136は、圧力信号を受けるため、信号調整器およびポンプ制御回路126の出力端子126bに接続され、ポンプサーボ保全回路128は信号調整器およびポンプ制御回路126の出力端子126cに接続される。回路128〜136の各々については以下に詳細に述べるが、回路128〜136の各々は信号調整器およびポンプ制御回路126からの入力信号を各入力端子128a〜136aにおいて取り込み、その入力信号の信号レベルと内部発生した一つもしくは複数の閾値信号レベルとを比較する。回路128〜136の各々は異なる閾値信号レベルを有して設けられてもよい。回路126はソフトウェアで構成してもよい。
【0052】
閾値信号レベル以上もしくはそれ以下の入力信号に応じて、回路128〜136の各々は出力端子にそれらに応じた出力信号を提供する。各出力端子128b〜136bは図2とともに上記したコントローラ94に接続される。
【0053】
その出力信号は、特定の発生事象の有無や吸引供給装置の状態などを示す。回路128〜136の各々と126はプログラムされたマイクロプロセッサを通じて実行されてもよく、または比較回路を通じて実行されてもよい。
【0054】
信号調整器およびポンプ制御回路126の出力端子126dはポンプ70に相当する空気ポンプ140に接続される。
【0055】
漏れ検出回路128はライン126bの信号を受容し、装置の流体経路(図2)内に漏れがあるかどうか検出する。漏れ検出モードが動作しているとき、コントローラ94(図2)は装置の流体経路を加圧する。漏れ検出回路128はライン126bの信号のレベルを測定し、信号レベルに応じて検出回路128はコントローラ94に信号を供給する。ライン128bの信号レベルは装置66の流体経路内の漏れの有無をコントローラ94に示す。
【0056】
流体レベル検出回路130は、サンプルプローブチップ108の末端が物理的に接触しサンプル流体に挿入されているかどうかを検出する。
【0057】
吸引保全検出回路132はポンプバルブ80が正常に動作しているかどうかを検出する。チップがサンプルプローブに配置された後、ポンプバルブ80のサンプルプローブ端子80bは閉じられ空気を吸引する。これにより、所定レベルに圧力が変化する。もし管に漏れがあったりサンプルプローブ端子80bが閉じていなかったら、圧力変化は適切なレベルに到達しないであろう。このように吸引保全検出回路はポンプバルブ80が正常に働いたかどうかを示す。
【0058】
凝塊検出回路134は、サンプルプローブチップ108が吸引および供給動作中に閉塞されていたかどうかを検出する。プローブチップがプラスチックの着脱可能プローブチップであるアプリケーションの場合、チップ検出回路136は、所定のレベルへの圧力変化に基づき、サンプルプローブ本体とのプローブチップの搭載および除去を検出する。
【0059】
ポンプ制御保全回路138は、空気ポンプ140をサーボ制御するために用いられる電圧信号をモニタし、適切なサーボ電圧がポンプ140に印加されているかどうか裁定する。流体経路がブロックされているような状態では不正確な電圧がエラーを示すであろう。
【0060】
検出回路128〜138から供給される検出器信号を検査することにより、図2の吸引供給装置の内の多数の誤動作を検出することができる。例えば、圧力トランスジューサーの誤動作や、空気ポンプの誤動作や、抽気バルブが開放状態にある(すなわちいつも抽気している状態)などをライン130b、136bと138bの信号を検査することにより検出できる。閉じた状態の抽気バルブ(すなわち抽気しない状態)はライン130bの信号を検査することにより検出できる。
【0061】
同様に132bの信号は、サンプルプローブ102へ空気ポンプ70(図2)から空気が連続的に供給されるようにポンプバルブのサンプルプローブ端子が開放状態あるかどうかを検出するために検査できる。ポンプバルブがサンプルプローブに空気を供給できないようなポンプバルブの閉鎖状態は、130bおよび138bの信号を検査することにより検出できる。
【0062】
供給動作やレベル検知動作に大きく影響する管内の漏れはライン138b、132b、128bの信号を検査することにより検出できる。
【0063】
発生事象の検出回路128〜138の各々は、特定の発生事象の有無を決定するため、内部発生した閾値電圧レベルと供給された各入力信号とを比較する。その比較動作に応じて、発生事象の検出回路128〜138の各々はコントローラ94に適切な出力信号を供給する。
【0064】
図4に信号調整器およびポンプ制御回路126の詳細を示す。
【0065】
信号調整器およびポンプ制御回路の入力は反転増幅器160の反転入力へ抵抗155を通じて接続される。その反転増幅器160は検出器128〜136へライン126bの信号を供給する。
【0066】
抵抗R1とコンデンサC1は、反転増幅器160の出力端子と反転入力端子との間の負帰還経路内に接続される。反転増幅器160の非反転入力はサンプルおよび保持回路162の第1の端子162aに接続される。
【0067】
保持機能のために電荷蓄積コンデンサ164がサンプルおよび保持回路162の第2の端子162bとアースに接続される。サンプルおよび保持回路162の第3の端子162cは第2の反転増幅器166の出力端子に接続され、サンプルおよび保持回路162の第4の端子162dはシステムコントローラ94に接続される。
【0068】
第2の反転増幅器166の非反転入力は接地され、増幅器166の反転入力は抵抗R2を通じて第1の反転増幅器160の出力端子に接続される。帰還コンデンサC2は増幅器166の出力および反転入力間に接続される。
【0069】
第1の増幅器160の出力端子はまた、抵抗R3を通じて第3の反転増幅器170の反転入力に接続される。反転増幅器170の非反転入力170bに所定の閾値電圧を供給するように参照電圧171の電圧レベルとともに選択された抵抗R4、R5を有する電圧分割回路172を通じて、反転増幅器170の非反転入力は参照電圧171に接続される。
【0070】
コンデンサC3は増幅器170の出力端子と反転入力間に接続される。
【0071】
第3の反転増幅器170の出力端子170cはサンプルおよび保持回路174の第1の端子174aに接続される。電荷蓄積コンデンサ176はサンプルおよび保持回路の第2の端子とアースとの間に接続される。サンプルおよび保持回路174の第3の端子174cは抵抗R6を通じて電圧レギュレータ回路178の入力端子178cに接続され、サンプルおよび保持回路174の第4の端子174dはシステムコントローラ94に接続される。システムコントローラはサンプルおよび保持回路に制御信号を供給し、それによりサンプルモードもしくは保持モードで動作する。
【0072】
電圧レギュレータ178は参照電圧源179に接続された電圧入力端子178aを有する。レギュレータ178の電圧出力端子178bは抵抗を通じて制御ポンプ140に接続される。ツェナーダイオード184は、入力178cとアース間に、入力が所定電圧を超えないようクランプするために接続される。
【0073】
抵抗186は図示されるように、ノード180とツェナーダイオード184のアノードとの間に接続される。スイッチ192はポンプ140(空気ポンプに相当)の第2の端子とアースの間に接続される。コントローラ94からの第1の制御信号に応じて、スイッチ192は通電し、空気ポンプ140を駆動する。
【0074】
サンプルおよび保持回路162は、圧力トランスジューサー122の参照または正規化圧力レベルに相当するライン126bの信号に対し参照または正規化電圧レベルを設定する。
【0075】
サンプルおよび保持回路162は、コントローラ94により、増幅器166の出力と増幅器160の非反転入力間の単一経路を接続することによりサンプルモードにする。増幅器166はサンプルおよび保持回路の入力端子162cに出力信号を供給する。増幅器166は、増幅器160の出力に供給される信号がアースに相当する電圧レベルになるまでサンプルおよび保持回路162を通じて増幅器160の非反転入力に印加されるその出力にバイアス信号を供給する。この点において、コントローラ94は、サンプルおよび保持回路を保持モードにするサンプルおよび保持回路の端子162dに第2の制御信号を供給する。サンプルおよび保持回路のその電圧レベルはこれにより、ライン126bの出力をどんな圧力をも検出するため0にするような値にセットされる。それにより、ライン126bの信号の電圧レベルは、圧力トランスジューサーにより検出される相対圧力変化を示す。
【0076】
システムの動作は以下のようになる。
【0077】
(1)システムサイクルは、サンプルプローブ102(図2)がチップのない状態で始まる。コントローラ94(図2)からの制御信号がスイッチ192を非接続状態にバイアスし、これによりアースから空気ポンプ140を切断し、空気ポンプ140をオフにする。空気ポンプ140がオフの状態により、圧力トランスジューサー122を通る流体経路内には圧力はない。これにより、圧力トランスジューサー122は増幅器124(図3)の入力端子に、0圧力に相当する差分出力信号を供給する。またポンプ140がオフの状態により、電圧レギュレータ178とツェナーダイオード184は、ライン178bがセット電圧レベルの電圧に維持される。さらに、増幅器170の出力端子はレール電圧に相当する電圧レベルを供給する。
【0078】
(2)コントローラ94はその後、サンプルおよび保持回路162に制御信号を供給する。その制御信号に応じて、サンプルおよび保持回路162は出力を0ボルトにする。
【0079】
(3)コントローラ94はその後、ポンプバルブ80をオンにするため(図2)制御信号を供給し、スイッチ192を通電状態にして空気ポンプを作動させるように第2の制御信号を供給する。ポンプが最初作動したときはポンプの電圧は高い電圧にある。ポンプ140が最初作動したとき、増幅器170はポンプの電圧を、ライン126bが非反転入力端子でその電圧になるように制御する。ポンプをオンする前に、増幅器の出力は抵抗176を通じて正のレール駆動電流にあり、ライン178cをツェナー184によりセットされるツェナー電圧にする。これによりポンプ140を急速回転させる。常に増幅器170はループ制御され、その出力はライン126bがトランスジューサー122からの圧力信号が高まって増加するにつれ減少する。所望の圧力電圧で、サンプルおよび保持回路174はコントローラ94によりサイクル中その電圧に保持される。また、ポンプをオンすることに応じて、システムの流体ライン内の圧力は急速に増加する。
【0080】
(4)通常500mSの期間後、コントローラ94は第2のサンプルおよび保持回路174の制御端子へライン176dに制御信号を供給する。工程(2)の出力ライン126を0にする工程を非常に速い再校正工程としてここで繰り返される。
【0081】
(5)コントローラ94はその後、信号が所定電圧範囲内にあるかどうか決定するため保全回路138の出力を測定する。もしその信号が所定の電圧範囲外の電圧であれば、その後エラー信号がコントローラ94により発生し、工程が止まる。もしその信号が所定の電圧範囲内の電圧であれば、その後工程は続けられ、コントローラはサンプルプローブ102をロボットアームにより着脱可能プローブチップを取り上げられる場所25(図1)へと移動させる。
【0082】
(6)ライン126bを再び工程(2)のように0にし、新しいチップをプローブに配置する。プローブ本体にプローブチップを配置する間に、ライン中の空気は、チップが挿入されるにつれて、わずかな移動が生じる。コントローラ94は、検出器136からのライン136bの信号を検査し、チップの配置を確認する所定期間においてその信号が所定レベルに相当しているかどうか決定する。ポンプフィルタはオンであり、全バルブがセットされる。
【0083】
(7)コントローラ94がポンプバルブ80をオフにする。空気ポンプ140は起動したままである。
【0084】
(8)ライン126bは工程(2)に従って再び0になる。
【0085】
(9)チップがサンプルプローブ本体に取り付けられると、コントローラ94はステッパモータ92によりピストン86をシリンダ84に引き込むようにする。チップが流体中にまだ配置されていないので、これにより空気が着脱可能サンプルプローブチップを通じて流体経路へと引き込まれる。吸引が完了した後、コントローラは以下のように、吸引保全検出回路(図3)を通じてエラーがあるかどうか決定する。
【0086】
(10)コントローラ94がポンプバルブ80をオンにし、サンプルプローブ102へ空気フローを供給する。コントローラ94はその後ライン126bを0にする。
【0087】
(11)コントローラ94は、サンプルプローブをロボットアームにより、サンプルプローブが流体サンプルを保持するサンプルチューブ27に入ることができる位置へと移動させる。
【0088】
(12)サンプルプローブを流体チューブ27の方向に低下させる。着脱可能プローブチップが流体に到達すると、圧力トランスジューサー122は圧力変化を検知し、検出回路112へ信号を供給する。圧力トランスジューサー122から供給された信号に応じて、検出回路130は出力端130bに信号を発生し、コントローラに信号を供給する。
【0089】
(13)ライン130bをモニタする一方で、コントローラ94は着脱可能チップを必要とされる流体を吸引できる所定の深さまで流体サンプルに移動させる。
【0090】
(14)着脱可能チップが所定の深さに移動した後、コントローラは通常約500mSの所定期間待機し、その後システム内に漏れがあるかどうか決定するため漏れ検出回路128(図3)により供給されるライン128bの信号を検査する。
【0091】
(15)コントローラ94は、上記したように、流体の吸引の準備のため流体ラインを正規化するため、抽気バルブをオンにして空気ポンプをオフにするように制御信号を供給する。
【0092】
(16)コントローラ94はその後ポンプバルブ80をオフにして
(17)希釈器をサンプルプローブチップ108へ流体を吸引させるようにステッパモータ92(図3)を動かす。コントローラ94はまた、サンプルプローブの流体経路が吸引中支障があるかどうか決定するため凝塊検出回路により供給されるライン134bの信号をモニタする。
【0093】
(18)もし凝塊が検出されなかったら、コントローラ94はその後、サンプル流体をキュベット32へ供給できる位置へとサンプルプローブを移動する。
【0094】
(19)コントローラ94は、サンプル流体をキュベット32へと供給させるようにステッパモータへ制御信号を供給する。コントローラは再び、サンプルプローブの流体経路が供給中に支障がないかどうか決定するためライン134bの信号を検査する。
【0095】
(20)供給工程が完了した後、コントローラ94はプローブ本体に着脱可能チップを取り出すように動かす。チップ検出回路136(図3)により供給されるライン136bの信号は数mSで、それにより着脱可能チップがサンプルプローブ本体から除去されたことが示される。
【0096】
以下の方法により、漏れ検出回路128(図3)により漏れが検出される。図4と共に上記したように、サンプルプローブの着脱可能チップは空気ポンプをオンにして流体サンプルへと移動され、それにより流体サンプルレベルを検出できる。いったん着脱可能チップが流体に配置されると、空気ポンプはオンのままであり、それにより流体ライン内の圧力を高める。
【0097】
空気ポンプは、サンプル流体中に泡を引き起こすレベルまで圧力を上げないような流量速度で空気を供給する。むしろ、サンプルプローブ内とそこに至る流体経路の圧力は定常圧力になる。定常圧力の圧力範囲は、以下に述べる校正工程から知ることができるであろう。
【0098】
所定の定常圧力レベルは均一化圧力に相当する。概念的に、圧力はその度に同じ値にまで高まると思われるが、実際にはそうならないことが認識されている。しかしながら、もし穴や流体漏れが流体経路内に存在すると、圧力は所定レベルまで上昇せず、ライン126bの信号は回路128で設定された比較閾値電圧レベルまで到達しない。その回路128は、閾値に到達せず流体経路内に漏れが存在することを示す出力信号をライン128bに供給する。
【0099】
定常圧力とこのような回路128に必要な閾値はいかなる装置において同じではない。むしろ、それは管の長さ、管の直径、各システム部品の機械的許容性などに依存する。このように校正工程は閾値の設定に使用される。
【0100】
システムを校正するために、工程1〜5を上記のように繰り返す。サンプルプローブは完全に、プローブ本体の端部を閉塞する校正用チップを配置して閉塞される。これにより、回路128の比較閾値のための校正電圧を設定する。回路128の実際の閾値電圧は、ライン126bの電圧が漏れがなく出力128bがそれに影響するよう変化する閾値を確実に超える電圧よりも少し小さな電圧に設定する。
【0101】
レベル検知検出回路130はライン126bの信号に応答し、それと内部参照値と比較する。ライン130bの出力は、着脱可能チップがサンプル流体と接触するまでは高い。その後、空気ポンプが空気フローを供給し続け、圧力トランスジューサー122により閾値電圧以上にライン126bの信号を増加させて、ライン130bの信号を約0ボルトに落とし、これによりサンプルプローブとサンプル流体との接触が生じたことが示される。
【0102】
吸引保全回路132はライン126bの信号を受け、もしそれが内部で設定した閾値電圧レベル以下であったら、高電圧を有する(一般に5V)出力信号をライン132bに供給する。いったんライン126bの信号レベルが閾値電圧に到達すると、回路132bはライン182bに低電圧(一般に0V)を供給する。
【0103】
吸引動作中、ポンプバルブのベント端子は開放され、ポンプバルブのサンプルプローブ端子は閉じられ、希釈器や圧力トランスジューサーから抽気バルブ、コイルおよび空気ポンプを分離する。しかしながら、ポンプバルブが正常に動作しているかどうか決めることはできない。このようにポンプバルブのサンプルプローブ端子を閉じることにより、空気がサンプルプローブを通じて吸引される。これにより、トランスジューサーが配置された流体経路内に圧力変化が生じる。
【0104】
しかしながら、もしポンプバルブに漏れがあれば、吸引動作により発生した圧力は回路132の適切な閾値レベルまで増加しないであろう。結果的に圧力トランスジューサー122は、閾値電圧に到達するには不十分な振幅を有する信号を供給してしまう。回路132はこのように、ポンプバルブ内の漏れが吸引動作中に検出されたことを示す電圧レベルを有する信号を出力端子132bに供給する。
【0105】
凝塊検出回路134は、ライン126bの信号の電圧レベルがその間の所定電圧範囲内に入っているかどうか検出するようセットされた一対の閾値レベルを有する二つの比較機能を有する。これは圧力トランスジューサー122(図3)が吸引および供給動作中に異なる圧力レベルを測定するためである。例えば、希釈器のピストンが吸引中に移動した後に止まったとき、トランスジューサーにより測定された圧力が所定閾値電圧以下になってしまう。もし圧力トランスジューサーがそのような圧力低下を示し損ねたら、ライン126bの信号の電圧レベルもまた変化せず、サンプルプローブチップが閉塞されたことを示すことになる。
【0106】
同様に、供給動作中は、圧力は所定閾値電圧以上のままである。もし圧力トランスジューサーが供給動作中の圧力低下または上昇を検知したら、ライン126bの信号の電圧レベルもまた所定閾値電圧範囲外のレベルへ変化し、サンプルプローブチップが供給動作中に閉塞されたことを示す。
【0107】
その凝塊検出回路はまた、特許第499820号(体積検出装置および方法)に述べられているタイプのものでもよい。
【0108】
入力端子を有するポンプ制御保全回路138は、サンプルおよび保持回路174(図4)のライン126cの出力端子に接続される。もしこのポンプ制御電圧信号が所定範囲にない場合は、ポンプ制御保全回路138は出力端子138bにそれをしめす出力信号を供給する。この信号は、ポンプ電圧を設定する時にコントローラ94により検査されるだけである。
【0109】
回路138にはそれぞれ反対の電圧極値にセットされた二つの閾値電圧が設けられる。その閾値電圧レベルは、もしライン126cの信号レベルがこれらの閾値レベルを超えたら、ポンプ制御回路が所望の方法でポンプを制御できないことを示すように選択される。このように、ライン126cの信号がこれらの閾値の間にあるとき、ライン138cの出力電圧レベルは高い。ライン126cの信号がこれらの閾値電圧範囲外にある場合はその出力信号は約0ボルトである。
【0110】
いくつかの具体的形態においては、閾値電圧レベルが異なってセットされた場合にはライン126cの信号よりもライン126bの信号の信号レベルを検出することが望ましい。
【0111】
チップ検出回路136は、正負の低電圧で内部にセットされた一対の閾値レベルを有し、それはライン126bの信号がチップを搭載するときのレベル以上でライン126bの信号がチップを除去するときのレベル以下であるライン126bの信号レベルに対して0近辺の範囲を規定する。
【0112】
この範囲内では、出力136bは高く、範囲外では出力は小さい。
【0113】
着脱可能サンプルチップがサンプルプローブ本体に置かれたとき、ライン126bの信号の電圧レベルは急速に上昇する。コントローラ94はチップ検出回路の出力端子においてライン136bの信号レベルを検査する。コントローラ94はライン136bの信号の信号レベルを検査し、その信号が通常約10mSの所定期間において高いレベルのままかどうか確認する。そのときは、チップがチップホルダ内にあって着脱可能チップが実際にはプローブ本体に搭載されていたことが比較的高い確率にある。
【0114】
同様の方法で、着脱可能チップがプローブ本体から除去されたとき、圧力変化が生じ、圧力トランスジューサーにより検出される。圧力トランスジューサーは、検出される範囲以下の電圧転移を有するそれに応じた出力信号を供給する。チップが除去されてない場合には、コントローラ94はその範囲内にあるライン136bの信号を検出し、新しいチップが除去されていない古いチップ上に配置されることを防ぐように作用する。
【0115】
ここまで好ましい具体的実施の形態について示してきたが、これらの技術は実現され、請求する発明の要旨と意図の範囲内で多くの形態の変更が可能である。それゆえ、請求項の要旨に示されるようなもののみに発明を制限することは意図するところではない。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】本発明の自動流体サンプル吸引供給装置のブロック図
【図2】本発明の自動流体サンプル吸引供給装置の概略図
【図3】本発明の自動流体サンプル吸引供給装置の検出器システムのブロック図
【図4】本発明の自動流体サンプル吸引供給装置の検出回路の構成図
【符号の説明】
【0117】
12 空気源
14 抽気バルブ
16 ポンプバルブ
18 T字コネクタ
20 希釈器
22 圧力トランスジューサー
23 ロボットアーム
24 サンプルプローブ
27 チューブ
28 検出器システム
30 マイクロプロセッサバス
31 キュベット
32 サンプル
33 制御システム
70 空気ポンプ
72 アキュムレータ
73 コイル
78 抽気バルブ
80 ポンプバルブ
84 希釈器
86 ピストン
90 シャフト
92 ステッパモータ
98 圧力トランスジューサー
102 サンプルプローブ
108 サンプルプローブチップ
112 検出回路
122 圧力トランスジューサー
124 増幅回路
126 信号調整器およびポンプ制御回路
128 漏れ検出回路
130 流体レベル検出回路
132 吸引保全検出回路
134 凝塊検出回路
136 チップ検出回路
138 ポンプ制御保全回路
140 空気ポンプ
160、166、170 反転増幅器
162、174 サンプルおよび保持回路
178 電圧レギュレータ回路
184 ツェナーダイオード
192 スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸引供給装置を用いて、サンプルプローブと液体の表面との物理的接触の発生を決定し、該液体を吸引する方法であって、該方法が、
空気源と希釈器との側とサンプルプローブ側との間に設けられ、かつ該空気源と該サンプルプローブとの間で直列に配置された流体通過圧力トランスジューサー内に、0圧力信号に相当する電圧を表す正規化圧力を設定する工程と、
前記圧力トランスジューサーと前記サンプルプローブを流れる正の定圧空気流を供給する工程と、
前記液体の方向に前記サンプルプローブを移動する工程と、
前記圧力トランスジューサーを通る前記空気流と同列の流体経路内の圧力の変化を検知する工程と、
前記流体経路内の圧力変化に応じて流体接触を表すトランスジューサー圧力信号を供給する工程と、
前記サンプルプローブを前記液体中に所望の深さまで浸す工程と、
前記インライン流体通過圧力トランスジューサーを含む、前記空気源と前記サンプルプローブ間の前記流体経路を減圧する工程と、
前記液体の所望量を前記サンプルプローブに吸引する工程と、を具備したことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記正規化圧力電圧を設定する工程が、
前記流体通過圧力トランスジューサーに接続された反転増幅器の第1の入力端子に第1の電圧レベルを有する第1の信号を供給する工程と、
前記流体通過圧力トランスジューサー内の圧力レベルの存在を示す参照電圧に前記反転増幅器の出力信号を与える工程と、
サンプルおよび保持回路において、前記反転増幅器の出力端子で所定の参照電圧をサンプリングする工程と、
前記反転増幅器の第2の端子で閾値電圧を維持するため、サンプルおよび保持回路を保持状態にする工程とをさらに含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記サンプルプローブを前記液体中に所望の深さまで浸す前記工程の後かつ前記空気源と前記サンプルプローブ間の前記流体経路を減圧する前記工程の前に、
正の定圧空気源により、該定圧空気源と希釈器との側とサンプルプローブ側との間に配置されたインライン流体通過圧力トランスジューサーを有する流体経路を加圧する工程と、
前記希釈器から前記定圧空気源を隔離する工程と、
前記サンプルプローブを閉塞する工程と、
前記閉塞されたサンプルプローブを有する前記圧力トランスジューサーにより供給される信号と閾値信号を比較する工程とを具備した、前記流体経路内の漏出を検出する工程を有することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記サンプルプローブを前記液体中に所望の深さまで浸す前記工程の後に前記流体通過圧力トランスジューサーにより供給される信号と閾値信号を比較する工程がさらに含まれることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記流体経路が吸引状態にあるときに、前記空気源と前記希釈器との側と前記サンプルプローブ側との間に配置された前記インライン流体通過圧力トランスジューサーを作動する工程と、
バルブにより前記希釈器から前記空気源を隔離する工程と、
前記バルブの保全を裁定するため吸引中の前記圧力トランスジューサーからの出力と参照値と比較する工程とを具備した、前記吸引供給装置の吸引保全を検査する工程をさらに有することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項6】
吸引および供給状態の各々に前記流体経路があるときに、前記空気源と前記希釈器との側と前記サンプルプローブ側との間に配置された前記インライン流体通過圧力トランスジューサーを作動する工程と、
前記流体経路の保全を裁定するため吸引および供給中の前記圧力トランスジューサーからの出力と各々の参照値を比較する工程とを具備した、前記吸引供給装置の凝塊発生を検出する工程をさらに有することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記プローブがサンプルチップを収容および除去しているときに、前記空気源と前記希釈器との側と前記サンプルプローブ側との間に配置された前記インライン流体通過圧力トランスジューサーを通過する前記流体経路内の前記空気流を前記空気源により供給する工程と、
チップの収容および除去のそれぞれの保全を裁定するため、該チップの収容および除去中の前記圧力トランスジューサーからの出力と各参照値を比較する工程とを具備した、前記吸引供給装置のチップ収容および除去を検査する工程をさらに有することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記空気源と前記希釈器との側と前記サンプルプローブ側との間に配置された前記インライン流体通過圧力トランスジューサーを通過する前記流体経路内に、制御回路を有する前記空気源により前記空気流を供給する工程と、
前記制御回路の前記空気源の制御可能性を裁定するため、該空気源の作動中の制御信号と各参照値とを比較する工程とを具備した、前記吸引供給装置のポンプ保全を検査する工程をさらに有することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記比較工程のため正規化圧力および制御信号の各々を設定する工程がさらに含まれることを特徴とする請求項3、5、6、7または8のいずれか1項記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−333752(P2007−333752A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−243422(P2007−243422)
【出願日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【分割の表示】特願2005−187717(P2005−187717)の分割
【原出願日】平成8年7月12日(1996.7.12)
【出願人】(300058891)バイエル コーポレーション (5)
【Fターム(参考)】