説明

サーバ温度管理システムまたはサーバ温度管理方法

【課題】空調機無しにデータセンター内サーバを冷却する。
【解決手段】排気室21には気圧センサ42および排気ファン4が、給気室11には気圧センサ41および外気を取り入れる給気ファン3が、それぞれ設けられている。仕切り板5によって仕切られたサーバルーム2は、排気室21と給気室11とで気圧差が生ずる程度の気密性を有している。ファンコントローラ18は、気圧センサ41、42の検出値に基づいて、給気室11の気圧が排気室21よりも3パスカル高くなるように、給気ファン3を回転制御する。これにより、外気がサーバラック10内をスムーズに流れる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はサーバ温度管理システムに関し、特に省電力化に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、サーバを冷却した空気を確実にサーバラック本体の外側に排気するための大型ファンを設け、前記サーバラック外に暖められた空気を排出するサーバラックが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−140421号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1記載のサーバラックは、あくまでも、空調機による温度管理を前提とするものであり(特許文献1の図7、図8を参照)、これら空調機を駆動する電力が必要である。
【0005】
本発明はかかる問題点を解決し、空調機を必要とせず、外気を活用することにより、サーバ温度を適切に制御できるサーバ温度管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1)本発明にかかるサーバ温度管理システムは、1)複数のサーバについて各熱排出ファン側が同じ方向となるように複数のサーバが収納されるサーバラック、2)前記サーバラックが載置されたサーバ部屋、3)前記サーバ部屋を前記熱排出ファン側が位置する排気空間と、その反対側である給気空間とに分割する仕切り、4)前記排気空間の空気を排出する排気ファン、5)前記給気空間に空気を給気する給気ファン、6)前記排気ファンによる前記排気空間における排気能力、および前記給気ファンによる前記給気空間における給気能力を制御する制御部、を備えたサーバ温度管理システムであって、7)前記仕切りおよび前記サーバ部屋は、前記排気空間と前記給気空間とで気圧差が生ずる程度の気密性を有しており、8)前記制御部は、前記給気ファンにて前記給気空間に強制的に給気し、前記給気空間の気圧が前記排気空間の気圧よりも高くなるように、前記排気ファンの排気能力および前記給気ファンの給気能力を制御する。
【0007】
このように、前記給気ファンにて前記給気空間に強制的に給気し、前記給気空間の気圧が前記排気空間の気圧よりも高くなるように、前記排気ファンの排気能力および前記給気ファンの給気能力を制御することにより、前記各サーバの熱排出ファンによる熱排出を促進する送風が確実に得られる。したがって、従来のような空調機を必要とせず、外気を利用してサーバの温度制御が可能となる。
【0008】
2)本発明にかかるサーバ温度管理システムは、前記排気空間の気圧よりも前記給気空間の気圧が3パスカル以上高くなるように、前記給気ファンの給気能力を制御する。したがって、従来のような空調機を必要とせず、外気を利用してサーバの温度制御が可能となる。
【0009】
3)本発明にかかるサーバ温度管理システムは、1)前記排気空間の気圧を計測する排気側気圧センサ、2)前記給気空間の気圧を計測する給気側気圧センサをさらに備え、3)前記制御部は、前記給気側気圧センサの検出値が前記排気側気圧センサの検出値よりも予め設定した以上高くなるように、前記給気ファンの給気能力をフィードバック制御する。したがって、前記給気ファンの外側および前記排気ファンの外側の条件が変わっても、前記熱排出を促進する送風が確実に得られる。
【0010】
4)本発明にかかるサーバ温度管理システムにおいては、前記サーバラックは、筐体で構成されており、前記筐体を前記熱排出ファン側と、その反対側で、2つに分割するラック内仕切りを有する。したがって、筐体型のサーバラックについても前記熱排出を促進する送風が確実に得られる。
【0011】
5)本発明にかかるサーバ温度管理システムにおいては、前記排気能力および前記給気能力は、単位時間あたり送り込める空気の体積である。したがって、従来のような空調機を必要とせず、外気を利用してサーバの温度制御が可能となる。
【0012】
6)本発明にかかるサーバ温度管理システムにおいては、前記給気ファンと前記排気ファンの個数が異なることにより、前記単位時間あたり送り込める空気の体積が異なる。したがって、給気ファンと排気ファンの個数により、前記排気ファンの排気能力および前記給気ファンの給気能力を制御できる。
【0013】
7)本発明にかかるサーバ温度管理システムにおいては、前記給気ファンと前記排気ファンの単位時間あたりの回転数が異なることにより、前記単位時間あたり送り込める空気の体積が異なる。したがって、給気ファンと排気ファンの回転数により、前記排気ファンの排気能力および前記給気ファンの給気能力を制御できる。
【0014】
8)本発明にかかるサーバ温度管理システムにおいては、前記給気ファンと前記排気ファンの直径が異なることにより、前記単位時間あたり送り込める空気の体積が異なる。したがって、給気ファンと排気ファンの大きさにより、前記排気ファンの排気能力および前記給気ファンの給気能力を制御できる。
【0015】
9)本発明にかかるサーバ温度管理システムにおいては、前記制御部は、前記排気ファンには回転フリー状態とし、前記給気ファンを回転させることにより、前記給気ファンにて前記給気空間に強制的に給気する。したがって、給気ファンの制御だけで、前記排気ファンの排気能力および前記給気ファンの給気能力を制御できる。
【0016】
10)本発明にかかるサーバ温度管理システムにおいては、さらに、前記排気空間または前記給気空間の気温を計測する温度計測部を有し、前記制御部は、給気ファンの初期給気能力を、前記計測した気温で決定する。したがって、温度により初期給気能力を決定できる。
【0017】
11)本発明にかかるサーバ温度管理システムにおいては、さらに、前記サーバラックの全サーバによって消費される電力を演算する電力計測部を有し、前記制御部は、給気ファンの初期給気能力を、前記演算した電力に基づき決定する。したがって、サーバの総電力に合致した初期給気能力を決定できる。
【0018】
12)本発明にかかるサーバ温度管理システムにおいては、さらに、前記給気空間の温度を計測する給気温度計測手段、前記計測した温度が所定温度以下の場合には、前記排気空間の空気を前記給気空間に戻す循環手段、を有する。したがって、前記給気ファンの外側の空間の温度が低すぎる場合には、これを調整することができる。
【0019】
13)本発明にかかるサーバ温度管理方法においては、1)複数のサーバについて各熱排出ファン側が同じ方向となるように複数のサーバが収納されるサーバラックをサーバ部屋に載置し、2)前記サーバ部屋を前記熱排出ファン側が位置する排気空間と、その反対側である給気空間とに仕切りにて分割し、3)前記前記排気空間の空気を排出する排気ファンによる前記排気空間における排気能力、および前記給気空間に空気を給気する給気ファンによる前記給気空間における給気能力を制御するサーバ温度管理方法であって、4)前記仕切りは、前記排気空間および前記給気空間の気圧差が生ずる程度の機密性を有しており、5)前記給気ファンにて前記給気空間に強制的に給気し、前記給気空間の気圧が前記排気空間の気圧よりも高くなるように、前記排気ファンの排気能力および前記給気ファンの給気能力を制御する。
【0020】
したがって、従来のような空調機を必要とせず、外気を利用してサーバの温度制御が可能となる。
【0021】
請求の範囲にて用いた用語と実施形態との対応について説明する。「排気空間」とは排気室21が、「給気空間」と「給気室11」が、「仕切り」とは仕切り板5が、「制御部」とはファンコントローラ18が、「温度計測部」は温度センサ17がそれぞれ該当する。
【0022】
「排気能力」「給気能力」の調整について、実施形態ではぞれぞれのファンの回転数を制御することにより、前記気圧差を設けるようにしているが、ファンの大きさ、個数などに差を設けるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明にかかるサーバ温度管理システム1の概要斜視図である。
【図2】図1のI−I断面図である。
【図3】ラック内仕切り板50の形状を示す平面図である。
【図4】ファンコントローラ18による温度管理処理のフローチャートである。
【図5】ファンコントローラ18をCPUで実現した場合のハードウェア構成を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
1)第1実施形態
図1に、本発明にかかるサーバ温度管理システム1の概要斜視図を示す。図1においては、説明のために、サーバルーム2の壁は省略表示している。
【0025】
サーバ温度管理システム1においては、サーバルーム2にサーバラック10が設置されている。サーバラック10内には、サーバの熱排出ファン側が同じ方向となるように、複数のサーバが積層されている。サーバラック10内の構成については後述する。
【0026】
サーバルーム2のほぼ中央には、サーバラック10の形状で貫通穴が形成された仕切り板5が配置される。すなわち、サーバラック10以外のサーバルーム2の空間が、仕切り板5にて、サーバラックの熱排出ファン側の排気室21と、その逆側の給気室11に分割される。
【0027】
排気室21には、気圧を計測する気圧センサ42,排気室21の空気を屋外に排気する排気ファン4が設けられている。給気室11には、気圧センサ41、屋外の空気(外気)を取り入れる給気ファン3が設けられている。本実施形態においては、給気ファン3および排気ファン4については、サーバルーム外の風によるに影響を受けて風量が低下しない有圧扇を採用した。
【0028】
なお、給気ファンは有圧扇でないと、目的とする圧力が上がらない場合がある。これに対して、排気ファンは排気側が十分に広い空間があれば、有圧扇でなくてもよい。
【0029】
仕切り板5によって仕切られたサーバルーム2は、排気室21と給気室11とで気圧差が生ずる程度の気密性を有している。
【0030】
また、サーバラック10は、筐体は一般的なサーバラックであり、吸気口および排気口を有する。サーバラック10内の各サーバは、一般的なサーバであり、熱排出ファンを有しており、これにより、サーバラック10の吸気口から吸い込まれた空気がサーバ内部を通過してサーバの排気口から排出される。
【0031】
ファンコントローラ18は、気圧センサ41、42から与えられた検出気圧に基づいて、給気ファン3、排気ファン4の回転数を決定し、制御する。
【0032】
サーバラック10内の構成について、図2を用いて説明する。サーバラック10内には、複数のサーバ13の熱排出ファン側が同じ方向となるように積層されている。サーバラック内には、図3に示すようなサーバ13の形状で貫通穴を形成したラック内仕切り板50が設置されている。これにより、サーバ13の熱排出ファンが回転する際、給気室11から排気室21にスムーズに送風が起こると、給気室11の空気が吸気口10aから各サーバ13の内部を通過して、排気口10bから排出室21に排出される。
【0033】
サーバラック10近傍には、サーバラック10へ導入する空気の温度(導入温度)および排出する空気の温度(排出温度)を検出する温度センサ17a、17bが設けられている。
【0034】
サーバ温度管理システム1のファンコントローラ18は、サーバルーム2の温度管理を行う。かかる処理について、図4を参照しつつ説明する。まず、ファンコントローラ18のハードウェア構成を図5に示す。ファンコントローラ18は、CPU23、RAM25,フラッシュメモリ26、IF30を備えている。IF30には、既に説明した気圧センサ41,42,給気ファン3,排気ファン4、温度センサ17a、17bが接続されている。フラッシュメモリ26は、メインプログラム26p、ファン制御テーブル26tが記憶されている。
【0035】
ファン制御テーブル26tについて簡単に説明する。ファン制御テーブル26tは、サーバラック内の複数のサーバによる消費電力値と、給気ファン3および排気ファン4の回転数の組が記述されている。かかる回転数は一分間に送り込む空気の体積と、採用しているファンの規格とから決定すればよい。例えば、消費電力が1台当たり0.1KVAで、サーバが60台あると、総計は6KVAとなる。この場合、給気ファンを「1350」CFM(Cubic Feet per Minute)、排気ファンを「1300」CFM前後とすれば良いので、かかる数値となる回転数を記録しておけば良い。
【0036】
CPU23は、図4に示すメインプログラム26pに基づいて、給気ファン3および排気ファン4の回転数を制御する。以下詳述する。
【0037】
CPU23は、サーバラックに格納された全サーバの総電力を計算し、ファン制御テーブル26tを参照して、得られた総電力から給気ファン3および排気ファン4の初期回転数を決定し、決定した回転数で給気ファン3および排気ファン4を制御する(図4ステップS1)。これにより、給気ファン3および排気ファン4は、決定された回転数での回転を開始する。
【0038】
なお、サーバの総電力は動的に変化するので、電力量計を別途設けて(図示せず)、総電力量から初期回転数を決定するようにすればよい。
【0039】
CPU23は、気圧センサー41,42が検出した気圧の差異を検出し(ステップS3)、その気圧差が所定範囲内か否か判断する(ステップS5)。本実施形態においては、所定範囲内として3パスカル〜○○パスカルとした。気圧差が所定範囲の下限を越える、すなわち、3パスカルよりも差異が小さい場合は、給気ファン3の回転数を上げる(ステップS7)。本実施形態においては、所定範囲としては、計器誤差を考慮して 5パスカルから8パスカルとした。気圧差が所定範囲の下限を越える、すなわち5パスカルよりも差異が小さい場合は、給気ファン3の回転数を上げる(ステップ7)。上げる回転数については、3パスカル以上5パスカル未満の場合 2%アップ、3パスカル未満の場合、5%アップ、・・・というように予め設定しておけばよい。
【0040】
一方、気圧差が所定範囲の上限を超える、すなわち6パスカルよりも差異が大きい場合は、給気ファン3の回転数を下げる(ステップ9)。下げる回転数はたとえば2%ダウンでよい。
【0041】
CPU23は、温度センサ17a、17bの検出値を取得し(ステップS11)、温度センサ17bによる排気室21の温度が設定範囲内か否か判断し(ステップS13)、設定範囲内であれば、ステップS5以下を繰り返す。
【0042】
一方、取得した排気室21の温度が設定上限よりも高い場合には、CPU23は、給気ファン3、排気ファン4の回転数を上げる(ステップS15)。また、取得した排気室21の温度が設定上限よりも低い場合には、給気ファン3、排気ファン4の回転数を下げる(ステップS17)。回転数の上げ下げについては、ステップS7,ステップS9と同様である。
【0043】
本実施形態においては、温度センサ17bの検出温度(排気室21の気温)が設定範囲上限よりも高い場合については、全体としての送風量を増やし、上記検出温度が設定範囲下限よりも低い場合には、全体としての送風量を減らすようにしている。例えば、設定範囲上限よりも高い場合、給気ファン3および排気ファン4の回転数を同率で増やすようにしてもよく、気圧差が大きくなるように給気ファン3だけ増やすようにしてもよい。また、設定範囲上限よりも低い場合、給気ファン3および排気ファン4の回転数を同率で減らすように制御しているが、気圧差が少なくなるように給気ファン3だけ減らすようにしてもよい。
【0044】
このように、排気室21の温度と設定値とを比較して、全体の総風量を決定するようにしてもよい。また、給気室11の温度でかかる制御をするようにしてもよい。さらに、排気室21および給気室11の気温差で制御するようにしてもよい。
【0045】
このように、給気室11から排気室21にスムーズに送風が起こることにより、サーバ13の熱排出ファンが回転すると、給気室11の空気が、吸気口10aから各サーバ13の内部を通過して、排気口10bから排出室21に排出される(図2参照)。
【0046】
本実施形態においては、給気ファン3の回転数を、給気室11の気圧が排気室21よりも3パスカル高くなるように回転制御しているので、給気ファン3で取り入れた外気がサーバラック10内をスムーズに風が流れる。したがって、排気ファンの回転数をより高くして、排出量を多くした場合と比べると、給気ファン3,排気ファン4の配置位置による送風ムラが起こりにくい。
【0047】
本実施形態においては、下記条件で行い、気温35度(摂氏)でもサーバラック10内の各サーバの温度は45度(摂氏)を越えなかった。
【0048】
3坪のサーバルーム2に3ラックを配置する。給気ファンの風量として2KVAで450CFMを必要とし、1ラック最大電力設計が6KVAだとすると、450*3=1350CFMの風量が必要となる。さらに、この場合、3ラックなので、これを3倍した4050CFMの風量が必要となる。よって、この場合4050CFM以上の能力を持つ有圧ファン1台を設備すればよいが、点検時や故障対応のため2台設備する。
【0049】
2)その他の実施形態
本実施形態においては、給気ファン3からの送風量を増やすことにより、給気室11の気圧を排気室21よりも高くしているので、サーバラック10内をスムーズに風が流れる。したがって、排気ファンの排出量を多くした場合と比べると、給気ファン3,排気ファン4の位置による送風ムラが起こりにくい。一般的には、気圧差が数パスカル程度だと、ファン位置により送風ムラが発生するが、給気側の圧力をあげることにより、かかる送風ムラが起こりにくくなる。なお、送風ムラをよりなくすためには、中央で仕切って 圧力をあげることにより 最下部サーバまで冷気を十分供給することができる。
【0050】
上記実施形態においては、外気を用いたサーバ冷却について説明したが、外気温が低い場合、サーバが冷えすぎるという問題もある。この場合には、排気室21の空気を給気室11に導入できるようにしてもよい。例えば、仕切り板5に排気室21から給気室11の方向に空気を移動させる有圧扇を設けて、給気ファン3に加えて、その有圧扇からも供給するようにすればよい。これにより暖かい空気と混合させることができる。このように、外気による冷却だけでなく、サーバに適切な温度の風を送ることもできる。上記の場合、外気温または給気室11の温度を計測する温度センサを設け、それにより、排気室21から給気室11の方向に空気を移動させる有圧扇を回転させるかどうか決定すればよい。
【0051】
この場合、給気ファン3を止めるようにしてもよいし、かなりの低速(最高速の1/10程度)で給気させてもよい。給気ファン3は有圧扇であるので 給気ファン3から暖気が漏れることもない。
【0052】
なお、ファンコントローラ18は、少なくても、給気ファン3の回転数を制御するだけでもよい。具体的には、排気ファン4については、回転数をゼロとしてもよい。この場合、積極的な制御を行わず、排気ファン4をフリー状態とすることを意味する。この場合でも、サーバルーム2と外部で気圧が生じると、それにより、排気ファン4は回転して排気がなされる。
【0053】
なお、排気ファン4を図4ステップS3の初期状態では、積極的に回転させていないこともある。この場合には、アップする割合ではなく、初期回転数を決めておけばよい。
【0054】
本実施形態においては、排気ファン4、給気ファン3の回転数をフィードバック制御するようにしたが、フィードバック制御ではなく、予め決められた気圧差が生ずる回転数を記憶しておき、それを読み出して回転させるように制御してもよい。また、給排気能力に差がつくような制御であればよく、例えば、ファンの直径、ファンの数などに差を設けて、吸排気能力に差がつくようにしてもよい。
【0055】
給気ファン3は 有圧扇として3パスカル以上の気圧差を維持できるならば、設置位置は任意である。一方、排気ファン4は高い方が望ましいので、例えば天井側に配置するようにしてもよい。
【0056】
本実施形態においては、サーバルーム2のほぼ中央に仕切り板5を配置したが、サーバ給気口より後方であれば、特に限定されない。例えば、中央でなくサーバラック10の前面から排気側に近い位置ならどこであってもよい。
【0057】
本実施形態においては、サーバラック10を筐体形式のものを採用したので、ラック内仕切り板50と仕切り板5の2つの仕切り板で構成したが、一体で構成してもよい。またサーバラックについてはオープン型を採用してもよい。この場合も、要するに、サーバの熱排出ファンが位置する排気室と給気室に分割するとともに、3パスカル以上の気圧差になるよう気密にすればよい。
【0058】
本実施形態においては、温度センサ17a、17bをサーバラック10の近傍に設けるようにしたが、気圧センサの近傍であってもよい。
【0059】
上記実施形態においては、ファンコントローラ18を、CPU23を用いてソフトウェアによってこれを実現している。しかし、その一部もしくは全てを、ロジック回路などのハードウェアによって実現してもよい。
【符号の説明】
【0060】
1 サーバ温度管理システム
2 サーバルーム
3 給気ファン
4 排気ファン
5 仕切り板
10 サーバラック
11 給気室
17a 温度センサ
17b 温度センサ
18 ファンコントローラ
21 排気室
41、42 気圧センサ
50 ラック内仕切り板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のサーバについて各熱排出ファン側が同じ方向となるように複数のサーバが収納されるサーバラック、
前記サーバラックが載置されたサーバ部屋、
前記サーバ部屋を前記熱排出ファン側が位置する排気空間と、その反対側である給気空間とに分割する仕切り、
前記排気空間の空気を排出する排気ファン、
前記給気空間に空気を給気する給気ファン、
前記排気ファンによる前記排気空間における排気能力、および前記給気ファンによる前記給気空間における給気能力を制御する制御部、
を備えたサーバ温度管理システムであって、
前記仕切りおよび前記サーバ部屋は、前記排気空間と前記給気空間とで気圧差が生ずる程度の気密性を有しており、
前記制御部は、前記給気ファンにて前記給気空間に強制的に給気し、前記給気空間の気圧が前記排気空間の気圧よりも高くなるように、前記排気ファンの排気能力および前記給気ファンの給気能力を制御すること、
を特徴とするサーバ温度管理システム。
【請求項2】
請求項1のサーバ温度管理システムにおいて、
前記排気空間の気圧よりも前記給気空間の気圧が3パスカル以上高くなるように、前記給気ファンの給気能力を制御すること、
を特徴とするサーバ温度管理システム。
【請求項3】
請求項1のサーバ温度管理システムにおいて、
前記排気空間の気圧を計測する排気側気圧センサ、
前記給気空間の気圧を計測する給気側気圧センサ、
をさらに備え、
前記制御部は、前記給気側気圧センサの検出値が前記排気側気圧センサの検出値よりも予め設定した以上高くなるように、前記給気ファンの給気能力をフィードバック制御すること、
を特徴とするサーバ温度管理システム。
【請求項4】
請求項1のサーバ温度管理システムにおいて、
前記サーバラックは、筐体で構成されており、
前記筐体を前記熱排出ファン側と、その反対側で、2つに分割するラック内仕切りを有すること、
を特徴とするサーバ温度管理システム。
【請求項5】
請求項1のサーバ温度管理システムにおいて、
前記排気能力および前記給気能力は、単位時間あたり送り込める空気の体積であること、
を特徴とするサーバ温度管理システム。
【請求項6】
請求項5のサーバ温度管理システムにおいて、
前記給気ファンと前記排気ファンの個数が異なることにより、前記単位時間あたり送り込める空気の体積が異なること、
を特徴とするサーバ温度管理システム。
【請求項7】
請求項5のサーバ温度管理システムにおいて、
前記給気ファンと前記排気ファンの単位時間あたりの回転数が異なることにより、前記単位時間あたり送り込める空気の体積が異なること、
を特徴とするサーバ温度管理システム。
【請求項8】
請求項5のサーバ温度管理システムにおいて、
前記給気ファンと前記排気ファンの直径が異なることにより、前記単位時間あたり送り込める空気の体積が異なること、
を特徴とするサーバ温度管理システム。
【請求項9】
請求項1のサーバ温度管理システムにおいて、
前記制御部は、前記排気ファンには回転フリー状態とし、前記給気ファンを回転させることにより、前記給気ファンにて前記給気空間に強制的に給気すること、
を特徴とするサーバ温度管理システム。
【請求項10】
請求項1のサーバ温度管理システムにおいて、さらに、
前記排気空間または前記給気空間の気温を計測する温度計測部を有し、
前記制御部は、給気ファンの初期給気能力を、前記計測した気温で決定すること、
を特徴とするサーバ温度管理システム。
【請求項11】
請求項1のサーバ温度管理システムにおいて、さらに、
前記サーバラックの全サーバによって消費される電力を演算する電力計測部を有し、
前記制御部は、給気ファンの初期給気能力を、前記演算した電力に基づき決定すること、
を特徴とするサーバ温度管理システム。
【請求項12】
請求項1のサーバ温度管理システムにおいて、さらに、
前記給気空間の温度を計測する給気温度計測手段、
前記計測した温度が所定温度以下の場合には、前記排気空間の空気を前記給気空間に戻す循環手段を有すること、
を特徴とするサーバ温度管理システム。
【請求項13】
複数のサーバについて各熱排出ファン側が同じ方向となるように複数のサーバが収納されるサーバラックをサーバ部屋に載置し、
前記サーバ部屋を前記熱排出ファン側が位置する排気空間と、その反対側である給気空間とに仕切りにて分割し、
前記前記排気空間の空気を排出する排気ファンによる前記排気空間における排気能力、および前記給気空間に空気を給気する給気ファンによる前記給気空間における給気能力を制御するサーバ温度管理方法であって、
前記仕切りは、前記排気空間および前記給気空間の気圧差が生ずる程度の機密性を有しており、
前記給気ファンにて前記給気空間に強制的に給気し、前記給気空間の気圧が前記排気空間の気圧よりも高くなるように、前記排気ファンの排気能力および前記給気ファンの給気能力を制御すること、
を特徴とするサーバ温度管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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