説明

サービス提供システムおよびサービス提供方法

【課題】利用者の行動結果に応じて、利用者に直接的なサービスを提供する。
【解決手段】ICカード10が、利用客とともに店舗内を移動する買物カートに取り付けられる。また、複数のICカードリーダ20a〜20nが、店舗内に配置され、それぞれが置かれた位置を通過した買物カートのICカード10からカートIDを検出する。また、サービス制御装置40の情報収集部43aが、カートIDを検出したICカードリーダ20a〜20nを示す情報を移動履歴情報として収集する。また、サービス決定部43bが、情報収集部43aにより収集された移動履歴情報に基づいて、買物カートが通過した位置を特定し、特定した位置に応じて、利用客に提供されるサービスを決定する。そして、サービス提供装置50のサービス提供部52が、サービス決定部43bにより決定されたサービスを利用客に提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サービス提供システムおよびサービス提供方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、RFIDタグを用いて店舗内における利用者の位置および動線を把握して、利用者の行動を分析し、分析した結果をマーケティング等に役立てる技術が提案されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】「RFIDタグによる店舗内動線分析」、[2010年6月1日検索]、インターネット<URL: http://www-06.ibm.com/industries/jp/dist/topics/atlas_20071122/index.shtml>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術では、利用者の動線を分析した結果をマーケティングや販売促進、製品開発に活用することが目的とされているものの、分析結果を利用者への直接的なサービスに利用することについては考慮されていない。すなわち、従来技術では、利用者の行動結果に応じて、利用者に直接的なサービスを提供することができないという課題があった。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、利用者の行動結果に応じて、利用者に直接的なサービスを提供することができるサービス提供システムおよびサービス提供方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るサービス提供システムは、利用者とともに施設内を移動する移動体に取り付けられたICタグと、前記施設内に配置され、それぞれが置かれた位置を通過した移動体のICタグから該移動体の識別情報を検出する複数のICタグリーダと、前記移動体の識別情報を検出したICタグリーダを示す情報を前記移動体の移動履歴情報として収集する情報収集部と、前記情報収集部により収集された移動履歴情報に基づいて、前記移動体が通過した位置を特定し、特定した位置に応じて、前記利用者に提供されるサービスを決定するサービス決定部と、前記サービス決定部により決定されたサービスを前記利用者に提供するサービス提供部とを備えたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係るサービス提供方法は、施設内に配置された複数のICタグリーダが、それぞれが置かれた位置を利用者とともに通過した移動体に取り付けられたICタグから該移動体の識別情報を検出するステップと、前記移動体の識別情報を検出したICタグリーダを示す情報を前記移動体の移動履歴情報として収集するステップと、収集された移動履歴情報に基づいて、前記移動体が通過した位置を特定し、特定した位置に応じて、前記利用者に提供されるサービスを決定するステップと、決定されたサービスを前記利用者に提供するステップとを含んだことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、利用者の行動結果に応じて、利用者に直接的なサービスを提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本実施例に係るサービス提供システムの概要を説明するための図である。
【図2】図2は、本実施例に係るサービス提供システムの構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、本実施例に係る移動履歴記憶部により記憶される移動履歴情報の一例を示す図である。
【図4】図4は、本実施例に係る商品位置記憶部により記憶される商品位置情報の一例を示す図である。
【図5】図5は、本実施例に係るサービス設定記憶部により記憶されるサービス設定情報の一例を示す図である。
【図6】図6は、本実施例に係るサービス決定部により行われるサービス決定処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図7】図7は、本実施例に係るサービス提供システムによるサービス提供の流れを示すシーケンス図である。
【図8】図8は、本実施例に係るサービス制御プログラムを実行するコンピュータを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明に係るサービス提供システムおよびサービス提供方法の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例】
【0011】
まず、本実施例に係るサービス提供システムの概要について説明する。図1は、本実施例に係るサービス提供システムの概要を説明するための図である。図1に示すように、本実施例に係るサービス提供システムは、例えば、スーパーマーケットなどの店舗100に適用され、店舗100に置かれた商品に関するサービスを提供する。
【0012】
店舗100には、各種商品が陳列される売り場エリア1と、利用客が商品の料金を支払う会計エリア2とが設けられている。ここで、売り場エリア1には、利用客が通る通路に沿って、各種商品を陳列するための複数の陳列棚3が並べて配置されている。また、会計エリア2には、利用客が商品の料金を支払うための複数のレジ4が設けられている。
【0013】
かかる店舗100において、売り場エリア1および会計エリア2では、利用客が選択した商品を運ぶための買物カート5が利用される。そして、この買物カート5には、非接触型のICカード10が取り付けられる。なお、図1では1台の買物カート5のみを示しているが、この店舗100内では、複数の買物カートが利用される。
【0014】
また、売り場エリア1において、各通路の入口および出口の床には、それぞれ平板状のICカードリーダ20が配置される。各ICカードリーダ20は、それぞれが置かれた位置を買物カート5が通過した際に、買物カート5に取り付けられているICカード10から買物カート5の識別情報を検出する。また、会計エリア2において、各レジ4前の床には、それぞれ平板状のICカードリーダ30が配置される。各ICカードリーダ30は、利用客がレジ4で料金を支払う際に、買物カート5に取り付けられているICカード10から買物カート5の識別情報を検出する。
【0015】
また、店舗100内の所定の位置には、利用客に提供されるサービスを制御するサービス制御装置40が設置される。また、会計エリア2の各レジ4には、商品の料金を精算する機能を有するサービス提供装置50が設置される。ここで、店舗100内に設置された各ICカードリーダ、サービス制御装置40およびサービス提供装置50は、店舗100内に設けられたネットワークを介して互いに通信可能に接続される。
【0016】
このような構成において、サービス制御装置40は、買物カート5の識別情報を検出したICカードリーダ20を示す情報を買物カート5の移動履歴情報として収集する。例えば、サービス制御装置40は、図1に示すICカードリーダ20aおよびICカードリーダ20bがそれぞれ買物カート5の識別情報を検出した場合には、ICカードリーダ20aを示す情報とICカードリーダ20bを示す情報とを移動履歴情報として収集する。
【0017】
また、サービス制御装置40は、収集した移動履歴情報に基づいて、買物カート5が通過した位置を特定し、特定した位置に応じて、買物カート5を利用した利用客に提供されるサービスを決定する。例えば、図1に示す通路6を通過した利用客には商品の料金を3割引するサービスを提供することがあらかじめ決められていたとする。ここで、通路6の入口および出口には、ICカードリーダ20aおよびICカードリーダ20bがそれぞれ設置されている。この場合には、例えば、サービス制御装置40は、買物カート5がICカードリーダ20aおよびICカードリーダ20bを通過していた場合に、買物カート5の利用客が購入する商品の料金を3割引するよう決定する。
【0018】
そして、会計エリア2のレジ4に設置されたサービス提供装置50は、利用客が購入する商品の精算を行う際に、サービス制御装置40によって決定されたサービスをその利用客に提供する。例えば、サービス提供装置50は、サービス制御装置40によって買物カート5の利用客が購入する商品の料金を3割引するよう決定されていた場合には、買物カート5を利用している利用客の料金を精算する際に、料金からその3割分を値引きする。
【0019】
このように、本実施例では、買物カート5に取り付けられたICカード10および店舗100内の床に設置されたICカードリーダ20によって、店舗100の利用客の移動履歴情報を精度よく収集することができる。また、利用客が商品を購入する場合に、その利用客の移動内容に応じてサービスが提供される。したがって、本実施例に係るサービス提供システムによれば、利用客の行動結果に応じて、利用客に直接的なサービスを提供することができる。
【0020】
次に、本実施例に係るサービス提供システムの構成について説明する。図2は、本実施例に係るサービス提供システムの構成を示すブロック図である。図2に示すように、本実施例に係るサービス提供システムは、ICカード10と、ICカードリーダ20a〜20nと、ICカードリーダ30と、サービス制御装置40と、サービス提供装置50とを有する。ここで、各ICカードリーダ、サービス制御装置40およびサービス提供装置50は、店舗100内に設けられたネットワーク7を介して互いに通信可能に接続される。
【0021】
ICカード10は、利用客とともに施設内を移動する買物カート5に取り付けられる。このICカード10には、ICカード10が取り付けられている買物カート5を一意に識別するカートIDが記憶されている。なお、このICカード10は、例えば、RFID(radio frequency identification)タグなどのICタグである。
【0022】
ICカードリーダ20a〜20nは、店舗100内に配置され、それぞれが置かれた位置を通過した買物カート5のICカード10からカートIDを検出する。各ICカードリーダには、それぞれを一意に識別するリーダIDが付与されている。例えば、ICカードリーダ20aにはリーダID:「A」が、ICカードリーダ20bにはリーダID:「B」が、ICカードリーダ20nにはリーダID:「N」が、それぞれ付与されている。そして、ICカードリーダ20a〜20nは、ICカード10からカートIDを検出すると、検出したカートIDを自身のリーダIDとともにサービス制御装置40に送信する。なお、これらICカードリーダ20a〜20nは、例えば、RFIDタグリーダなどのICタグリーダである。
【0023】
ICカードリーダ30は、利用客がレジ4の前に買物カート5を移動した際に、買物カート5に取り付けられているICカード10からカートIDを検出する。このICカードリーダ30には、ICカードリーダ30を一意に識別するリーダIDが付与されている。ICカードリーダ30にはリーダID:「レジ前」が付与されている。そして、ICカードリーダ30は、ICカード10からカートIDを検出すると、そのカートIDを自身のリーダIDとともにサービス制御装置40に送信する。また、ICカードリーダ30は、検出したカートIDをサービス提供装置50に送信する。なお、このICカードリーダ30は、例えば、RFIDタグリーダなどのICタグリーダである。
【0024】
サービス制御装置40は、店舗100内の所定の位置に設置され、利用客に提供されるサービスを決定する。このサービス制御装置40は、例えば、信号送受信部41と、記憶部42と、制御部43とを有する。
【0025】
信号送受信部41は、ネットワーク7を介して各ICカードリーダおよびサービス提供装置50との間でやり取りされる信号の送受信を制御する。
【0026】
記憶部42は、制御部43によって実行される処理で用いられる各種データを記憶する。この記憶部42は、例えば、移動履歴記憶部42aと、商品位置記憶部42bと、サービス設定記憶部42cとを有する。
【0027】
移動履歴記憶部42aは、買物カート5のカートIDを検出したICカードリーダのリーダIDを移動履歴情報として記憶する。図3は、本実施例に係る移動履歴記憶部42aにより記憶される移動履歴情報の一例を示す図である。図3に示すように、例えば、移動履歴記憶部42aは、買物カート5のカートID:「a」と、買物カート5のカートIDを検出したICカードリーダ20a,20b・・・,20nのリーダID:「A」,「B」・・・,「N」とを移動履歴情報として記憶する。この移動履歴情報によれば、買物カート5が移動した位置が、ICカードリーダ20a〜20nのリーダIDによって示される。
【0028】
商品位置記憶部42bは、店舗100に置かれた商品と店舗100内の位置とを対応付けた商品位置情報を記憶する。図4は、本実施例に係る商品位置記憶部42bにより記憶される商品位置情報の一例を示す図である。図4に示すように、例えば、商品位置記憶部42bは、店舗100内に置かれた商品を一意に識別する商品IDと、その商品が陳列された陳列場所とを対応付けた情報を商品位置情報として記憶する。
【0029】
図4において、商品ID:「10」および「20」は、それぞれ異なる商品を示している。また、陳列場所:「A−B間」は、ICカードリーダ20aとICカードリーダ20bとの間にある通路を示している。すなわち、図4に示す例では、商品ID:「10」の商品がICカードリーダ20aとICカードリーダ20bとの間にある通路に置かれていることを示している。なお、かかる商品位置情報は、例えば店舗100の管理者などにより、あらかじめ外部端末などを介して商品位置記憶部42bに登録される。
【0030】
サービス設定記憶部42cは、店舗100内の位置とサービスとを対応付けたサービス設定情報を記憶する。図5は、本実施例に係るサービス設定記憶部42cにより記憶されるサービス設定情報の一例を示す図である。図5に示すように、例えば、サービス設定記憶部42cは、店舗100内の陳列場所とサービスを示す情報とを対応付けた情報をサービス設定情報として記憶する。
【0031】
図5において、サービス:「商品1割引」は、商品の料金を1割引するサービスを示しており、サービス:「合計5%引き」は、料金の合計を5%引きするサービスを示している。また、サービス:「なし」は、サービスを提供しないことを示している。なお、かかるサービス設定情報は、例えば店舗100の管理者などにより、あらかじめ外部端末などを介してサービス設定記憶部42cに登録される。
【0032】
制御部43は、サービス制御装置40全体を制御する。この制御部43は、情報収集部43aと、サービス決定部43bとを有する。
【0033】
情報収集部43aは、ICカード10の識別情報を検出したICカードリーダのリーダIDを買物カート5の移動履歴情報として収集する。具体的には、情報収集部43aは、店舗100内に設置されたICカードリーダ20a〜20nおよびICカードリーダ30からカートIDおよびリーダIDが送信されると、送信された各リーダIDをカートIDごとに移動履歴情報として移動履歴記憶部42aに記憶させる。
【0034】
サービス決定部43bは、情報収集部43aにより収集された移動履歴情報に基づいて、買物カート5が通過した位置を特定し、特定した位置に応じて、利用客に提供されるサービスを決定する。
【0035】
具体的には、サービス決定部43bは、利用客が商品の料金を精算する際にサービス提供装置50から商品IDおよびカートIDが通知されると、以下に示すサービス決定処理を行う。図6は、本実施例に係るサービス決定部43bにより行われるサービス決定処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0036】
図6に示すように、サービス決定部43bは、サービス提供装置50から商品IDおよびカートIDが送信されると(ステップS101,Yes)、商品位置記憶部42bにより記憶された商品位置情報に基づいて、送信された商品IDの商品に対応する店舗内の位置を特定する(ステップS102)。
【0037】
続いて、サービス決定部43bは、サービス設定記憶部42cにより記憶されたサービス設定情報に基づいて、特定した商品の位置に対応するサービスを特定する(ステップS103)。また、サービス決定部43bは、移動履歴記憶部42aにより記憶された移動履歴情報に基づいて、サービス提供装置50から通知されたカートIDの買物カートが通過した位置を特定する(ステップS104)。
【0038】
そして、サービス決定部43bは、サービス提供装置50から通知された商品IDに対応する位置を買物カート5が通過したか否かを判定する(ステップS105)。ここで、商品IDに対応する位置を買物カート5が通過していた場合には(ステップS106,Yes)、サービス決定部43bは、サービス設定情報に基づいて特定されたサービスを利用客に提供されるサービスとして決定する(ステップS107)。
【0039】
上記処理手順でサービス決定処理を行った後に、サービス決定部43bは、決定したサービスを示す情報をサービス提供装置50に送信する。例えば、サービス決定部43bは、商品の料金を1割引するサービスを示す情報や、料金の合計を5%引きするサービスを示す情報などをサービス提供装置50に送信する。
【0040】
図2の説明にもどって、サービス提供装置50は、会計エリア2の各レジ4に設置され、サービス制御装置40により決定されたサービスを利用客に提供する。このサービス提供装置50は、信号送受信部51と、サービス提供部52とを有する。
【0041】
信号送受信部51は、ネットワーク7を介してICカードリーダ30およびサービス制御装置40との間でやり取りされる信号の送受信を制御する。
【0042】
サービス提供部52は、サービス制御装置40により決定されたサービスを利用客に提供する。具体的には、サービス提供部52は、利用客がレジ4の前に買物カート5を移動した際に、買物カート5のカートIDをICカードリーダ30から受信する。また、サービス提供部52は、操作者による操作に応じて、買物カート5で運ばれた商品の商品IDを取得する。このとき、例えば、サービス提供部52は、商品に貼り付けられたバーコードをバーコードリーダで読み込むことで、その商品の商品IDを取得する。そして、サービス提供部52は、商品IDを取得した商品の料金を計算するとともに、その商品IDをカートIDとともにサービス制御装置40に送信する。
【0043】
その後、サービス提供部52は、サービス決定部43bによって決定されたサービスを示す情報がサービス制御装置40から送信されると、料金を計算した商品に対してそのサービスを適用する。例えば、サービス提供部52は、商品の料金を1割引したり、料金の合計を5%引きしたりする。
【0044】
次に、本実施例に係るサービス提供システムによるサービス提供の流れについて説明する。図7は、本実施例に係るサービス提供システムによるサービス提供の流れを示すシーケンス図である。
【0045】
図7に示すように、例えば、買物カート5がICカードリーダ20aの位置を通過すると(ステップS201)、ICカードリーダ20aが、買物カート5のICカード10からカートIDを検出し、検出したカートID:「a」とICカードリーダ20aのリーダID:「A」とをサービス制御装置40に送信する(ステップS202)。
【0046】
同様に、買物カート5がICカードリーダ20bの位置を通過すると(ステップS203)、ICカードリーダ20bが、買物カート5のカートID:「a」と、ICカードリーダ20bのリーダID:「B」とをサービス制御装置40に送信する(ステップS204)。また、買物カート5がICカードリーダ20nの位置を通過すると(ステップS205)、ICカードリーダ20nが、買物カート5のカートID:「a」と、ICカードリーダ20nのリーダID:「N」とをサービス制御装置40に送信する(ステップS206)。
【0047】
そして、サービス制御装置40は、各ICカードリーダからカートIDおよびリーダIDを受信するたびに、受信したカートIDおよびリーダIDを移動履歴情報として移動履歴記憶部42aに記憶させる(図3を参照)。
【0048】
その後、利用客が買物カート5とともにレジ4に移動すると(ステップS207)、ICカードリーダ30が、買物カート5のICカード10からカートIDを検出する。そして、ICカードリーダ30は、検出したカートID:「a」とICカードリーダ30のリーダID:「レジ前」とをサービス制御装置40に送信する(ステップS208)。さらに、ICカードリーダ30は、検出したカートID:「a」をサービス提供装置50に送信する(ステップS209)。
【0049】
そして、サービス提供装置50は、買物カート5で運ばれた商品の料金を計算するとともに(ステップS210)、その商品の商品ID:「10」をカートID:「a」とともにサービス制御装置40に送信する(ステップS211)。
【0050】
サービス制御装置40は、サービス提供装置50から商品ID:「10」およびカートID「a」を受信すると、図6に示したサービス決定処理を行う(ステップS212)。ここで、例えば、図3に示した移動履歴情報が移動履歴記憶部42aに記憶され、図4に示した商品位置情報が商品位置記憶部42bに記憶され、図5に示したサービス設定情報がサービス設定記憶部42cに記憶されていたとする。この場合には、サービス制御装置40は、商品ID:「10」の商品を1割引するサービスと、代金の合計を5%引きするサービスとを決定する。そして、サービス制御装置40は、商品ID:「10」の商品を1割引するサービスを示す情報をサービス提供装置50に送信する(ステップS213)。
【0051】
続いて、サービス制御装置40は、サービス提供装置50から商品ID:「11」およびカートID「a」を受信すると(ステップS214)、サービス制御装置40は、同様にサービス決定処理を行う(ステップS215)。ここで、商品位置情報に商品ID:「11」が登録されていないので、サービス制御装置40は、やはりサービス決定処理を行い(ステップS218)、商品ID:「11」の商品に適用されるサービスがないことを示す情報をサービス提供装置50に送信する(ステップS216)。
【0052】
その後、サービス提供装置50は、全ての商品の料金を集計すると、料金を集計したことを示す情報をカートID:「a」とともにサービス制御装置40に送信する(ステップS217)。この場合には、サービス制御装置40は、代金の合計を5%引きするサービスを示す情報をサービス提供装置50に送信する(ステップS219)。
【0053】
そして、サービス提供装置50は、集計した料金の合計からその5%を減額し、減額された金額を請求料金として利用客に提示する(ステップS220)。その後、サービス提供装置50は、利用客から支払われた料金を受け付けると(ステップS221)、受け付けた料金を精算した後に(ステップS222)、カートID:「a」の買物カートに関する移動履歴情報をクリアする要求をサービス制御装置40に送信する(ステップS223)。そして、この要求を受信したサービス制御装置40は、カートID:「a」の買物カートに関する移動履歴情報を移動履歴記憶部42aから削除する。
【0054】
上述したように、本実施例では、ICカード10が、利用客とともに店舗100内を移動する買物カート5に取り付けられる。また、複数のICカードリーダ20a〜20nが、店舗100内に配置され、それぞれが置かれた位置を通過した買物カート5のICカード10からカートIDを検出する。また、サービス制御装置40の情報収集部43aが、カートIDを検出したICカードリーダ20a〜20nを示す情報を移動履歴情報として収集する。また、サービス決定部43bが、情報収集部43aにより収集された移動履歴情報に基づいて、買物カート5が通過した位置を特定し、特定した位置に応じて、利用客に提供されるサービスを決定する。そして、サービス提供装置50のサービス提供部52が、サービス決定部43bにより決定されたサービスを利用客に提供する。したがって、本実施例によれば、利用客の行動結果に応じて、利用客に直接的なサービスを提供することができる。
【0055】
また、本実施例では、サービス設定記憶部42cが、店舗100内の位置とサービスとを対応付けたサービス設定情報を記憶する。そして、サービス決定部43bが、買物カート5が通過した位置に対応するサービスをサービス設定情報に基づいて特定し、特定したサービスを利用客に提供されるサービスとして決定する。したがって、本実施例によれば、あらかじめ、利用客に提供したいサービスを店舗100内の位置に対応付けて登録しておくことによって、さまざまなサービスを容易に利用客に提供することができる。
【0056】
また、本実施例では、商品位置記憶部42bが、店舗100に置かれた商品と店舗100内の位置とを対応付けた商品位置情報を記憶する。そして、サービス決定部43bが、利用客により選択された商品に対応する店舗100内の位置を商品位置情報に基づいて特定し、特定した位置を買物カート5が通過していた場合に、買物カート5が通過した位置に対応するサービスを利用客に提供されるサービスとして決定する。したがって、本実施例によれば、あらかじめ、サービスを適用したい商品を店舗100内の位置に対応付けて登録しておくことによって、商品に応じてサービスを提供することができる。例えば、サプライズ商品を設定しておくことによって、思いがけない値引きサービスを利用客に提供することができるようになる。これにより、利用客の満足度を向上させることが可能になる結果、利用客に継続的な来店を誘導することも可能になる。
【0057】
なお、上記実施例では、商品位置記憶部42bが、店舗100内に置かれた商品を一意に識別する商品IDと、その商品が陳列された陳列場所とを対応付けた情報を商品位置情報として記憶する場合について説明した。しかしながら、本発明はこれに限られるものではない。例えば、ある商品の商品IDと、その商品とは異なる他の商品が陳列された陳列場所とを対応付けてもよい。これにより、例えば、ある飲料メーカがコーヒー飲料とビールとをそれぞれ販売しているような場合に、新製品のコーヒー飲料が陳列された通路を通った利用客に対して、その利用客が買った同社のビールの料金を割引するというようなサービスを提供することも可能になる。
【0058】
また、上記実施例では、本発明をスーパーマーケットなどの店舗に適用した場合について説明したが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、ホームセンターやショッピングモールなど、閉鎖的な空間内である程度重いものをカート状のもので引き回すような施設にも本発明を同様に適用することができる。
【0059】
また、上記実施例で説明したサービス制御装置40は、あらかじめ用意されたプログラムをコンピュータで実行することで実現することもできる。そこで、以下では、図2に示したサービス制御装置40と同様の機能を実現するサービス制御プログラムを実行するコンピュータの一例を説明する。
【0060】
図8は、本実施例に係るサービス制御プログラムを実行するコンピュータ140を示す図である。図8に示すように、コンピュータ140は、例えば、メモリ141と、CPU(Central Processing Unit)142と、ハードディスクドライブインタフェース143と、ディスクドライブインタフェース144と、シリアルポートインタフェース145と、ビデオアダプタ146と、ネットワークインタフェース147とを有する。これらの各部は、バス148によって接続される。
【0061】
メモリ141は、ROM(Read Only Memory)141aおよびRAM(Random Access Memory)141bを含む。ROM141aは、例えば、BIOS(Basic Input Output System)等のブートプログラムを記憶する。ハードディスクドライブインタフェース143は、ハードディスクドライブ149に接続される。ディスクドライブインタフェース144は、ディスクドライブ144aに接続される。ディスクドライブ144aには、例えば、磁気ディスクや光ディスク等の着脱可能な記憶媒体が挿入される。シリアルポートインタフェース145には、例えば、マウス145aおよびキーボード145bが接続される。ビデオアダプタ146には、例えば、ディスプレイ146aが接続される。
【0062】
ここで、図8に示すように、ハードディスクドライブ149は、例えば、OS(Operating System)149a、アプリケーションプログラム149b、プログラムモジュール149cおよびプログラムデータ149dを記憶する。本実施例に係るサービス制御プログラムは、例えば、コンピュータ140によって実行される指令が記述されたプログラムモジュールとして、例えばハードディスクドライブ149に記憶される。具体的には、上記実施例で説明した情報収集部43aと同様の情報処理を実行する情報収集手順と、サービス決定部43bと同様の情報処理を実行するサービス決定手順が記述されたプログラムモジュールが、ハードディスクドライブ149に記憶される。
【0063】
また、上記実施例で説明した移動履歴記憶部42a、商品位置記憶部42bおよびサービス設定記憶部42cに記憶されるデータのように、サービス提供プログラムによる情報処理に用いられるデータは、プログラムデータとして、例えば、ハードディスクドライブ149に記憶される。そして、CPU142が、ハードディスクドライブ149に記憶されたプログラムモジュールやプログラムデータを必要に応じてRAM141bに読み出して、情報収集手順およびサービス決定手順を実行する。
【0064】
なお、サービス制御プログラムに係るプログラムモジュールやプログラムデータは、ハードディスクドライブ149に記憶される場合に限られず、例えば、着脱可能な記憶媒体に記憶されて、ディスクドライブ144a等を介してCPU142によって読み出されてもよい。あるいは、サービス制御プログラムに係るプログラムモジュールやプログラムデータは、LAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)等のネットワークを介して接続された他のコンピュータに記憶され、ネットワークインタフェース147を介してCPU142によって読み出されてもよい。
【符号の説明】
【0065】
10 ICカード
20,20a〜20n,30 ICカードリーダ
40 サービス制御装置
43a 情報収集部
43b サービス決定部
50 サービス提供装置
52 サービス提供部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者とともに施設内を移動する移動体に取り付けられたICタグと、
前記施設内に配置され、それぞれが置かれた位置を通過した移動体のICタグから該移動体の識別情報を検出する複数のICタグリーダと、
前記移動体の識別情報を検出したICタグリーダを示す情報を前記移動体の移動履歴情報として収集する情報収集部と、
前記情報収集部により収集された移動履歴情報に基づいて、前記移動体が通過した位置を特定し、特定した位置に応じて、前記利用者に提供されるサービスを決定するサービス決定部と、
前記サービス決定部により決定されたサービスを前記利用者に提供するサービス提供部と
を備えたことを特徴とするサービス提供システム。
【請求項2】
前記施設内の位置と前記サービスとを対応付けたサービス設定情報を記憶するサービス設定記憶部をさらに備え、
前記サービス決定部は、前記移動体が通過した位置に対応するサービスを前記サービス設定情報に基づいて特定し、特定したサービスを前記利用者に提供されるサービスとして決定することを特徴とする請求項1に記載のサービス提供システム。
【請求項3】
前記施設に置かれた物品と前記施設内の位置とを対応付けた物品位置情報を記憶する物品位置記憶部をさらに備え、
前記サービス決定部は、前記利用者により選択された物品に対応する前記施設内の位置を前記物品位置情報に基づいて特定し、特定した位置を前記移動体が通過していた場合に、該移動体が通過した位置に対応するサービスを前記利用者に提供されるサービスとして決定することを特徴とする請求項2に記載のサービス提供システム。
【請求項4】
施設内に配置された複数のICタグリーダが、それぞれが置かれた位置を利用者とともに通過した移動体に取り付けられたICタグから該移動体の識別情報を検出するステップと、
前記移動体の識別情報を検出したICタグリーダを示す情報を前記移動体の移動履歴情報として収集するステップと、
収集された移動履歴情報に基づいて、前記移動体が通過した位置を特定し、特定した位置に応じて、前記利用者に提供されるサービスを決定するステップと、
決定されたサービスを前記利用者に提供するステップと
を含んだことを特徴とするサービス提供方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−43034(P2012−43034A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−181326(P2010−181326)
【出願日】平成22年8月13日(2010.8.13)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】