説明

サービス提供機器及びこの機器に用いられる操作ユニット

【課題】 カード型ゲームなどの機器の魅力を損なわずに、プレイヤの興趣を長期間維持でき、トラブルを回避できる機器及びこの機器に用いられる操作ユニットを提供する。
【解決手段】 中空のケーシングと、このケーシング内に収納される複数種類の多数の小球とから構成されるゲーム機1の操作ユニット7と、この操作ユニット7を支持する凹状の支持部14と、支持部14に載置されたケーシングの下部の読取面に位置する複数の小球の種類及び配置を読み取って配列パターンを特定するCCDカメラ15と、小球の配列パターンとゲーム制御用データとを関連付けて格納する記憶装置と、特定された配列パターンに従って、記憶装置から対応するゲーム制御用データから読み出す制御ユニット8とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器本体と、機器本体に設けられ、ユーザの操作信号の入力を受け付ける操作ユニットと、機器の制御用データを格納する記憶装置と、操作ユニットから入力された信号に従って記憶装置から機器制御用データを取得して機器を制御する制御手段とを備え、ユーザに所定のサービスを提供するサービス提供機器及びこの機器に用いられる操作ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ゲームセンタに設置されるアーケードゲーム装置などの機器においては、プレイヤ(ユーザ)が操作する操作ユニットから操作信号の入力を受け付けて機器を制御するように構成される。このようなゲーム装置の操作ユニットは、ジョイスティックや各種のコントローラ、レバー、リセットボタン、などの入力デバイスを備えている。この入力デバイスから入力された操作信号をCPUなどの制御手段が受け取って、ROMやHDDなどの記憶装置に格納されたゲームデータ(ゲームプログラムや演出用データなど)を読み出してゲームを進行させる。
【0003】
また、近時は、ゲームアイテムや登場するキャラクタなどのゲーム補助データを識別するバーコードが台紙に印刷されたいわゆるトレーディングカードや、ゲームデータが記録された磁気カードやICカードなどの記録媒体(ゲームカード)と、ビデオゲームとを融合させたゲームシステムも実現されている。この種のゲームシステムでは、プレイヤが持参した、若しくはプレイ開始時に排出されたトレーディングカードの中からプレイヤが選択したカードや、プレイヤが持参したゲームカードをゲーム機本体のカードスロットに挿入したりスキャンしてそのカードのデータを読み取らせる。これにより、カードに応じたゲームキャラクタをゲーム中に登場させたり、ゲームアイテムをゲームキャラクタに付与する。このようなカード併用型のゲームシステムは、ゲーム装置(コンピュータシステムのCPU)による自動選択ではなく、プレイヤ自身が選択したキャラクタやアイテムを使ってオリジナルに近いゲームを提供できるので、プレイヤが感情移入し易く、長期に亙って興趣を刺激できることから、定番の人気ゲームになりつつある。
【0004】
このようなゲームシステムの仕組みについては、例えば、以下の特許文献1〜4が参考になる。
【0005】
【特許文献1】特開2001−334012号公報「遊技カードを使用したゲームシステム・・・」
【特許文献2】特開2002−292128号公報「電子ゲームシステム・・・」
【特許文献3】特開2006−174979号公報「テレビゲームシステム及びカード」
【特許文献4】特開2006−247166号公報「ゲーム用カード」
【特許文献5】特開平10−57618号公報「ダイスゲーム装置」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、カード型ゲームシステムのプレイヤの多くは小学生を中心とする低年齢層であり、このようなプレイヤにゲームセンタなどに多数のカードを持参させたり安価とは言えないICカードなどを携帯させるのはプレイヤ同士のトラブルの原因となる。特に、トレーディングカードの中には、排出確率が数十〜数百分の1のようなレアカードも存在し、数倍〜数百倍の価格で取引されることもあるため、トラブルが発生するおそれはさらに高くなる。
【0007】
また、ゲームシステムなどの機器は、一般的に、入力デバイスの操作方法や操作結果を理解したユーザ(プレイヤ)が操作した入力信号を受け付け、その信号に応じた情報処理(制御)を正確、迅速に実行するようにしている。このような制御方法を、例えばゲーム装置のような娯楽性を目的とする機器にそのまま適用すると、プレイヤが早期に操作技術を習得してしまい、ゲームの結果を容易に予測できるようになるので、ゲームへの興味が薄れてしまうという問題がある。特に、上記したカード型ゲームでは、プレイヤがカードに記録されたゲームキャラクタの能力等を覚えてしまうと、カードを選択した時点で対戦結果も容易に予測できてしまう。
【0008】
この点について、上記特許文献5に開示される電動ダイスや、プレイヤがディスプレイ上のボタンをクリックしてコンピュータプログラムを起動して一定確率で所定の結果を出力させるルーレットやスロットなどの入力インタフェース(I/F)を利用することも考えられる。このような入力I/Fであれば、プレイヤが操作技術を習得して所望の結果を出させたり、予測することはできない。
【0009】
しかし、この種の入力I/Fは、プレイヤはボタンを押す(クリックする)という単純な操作しか行わないため、プレイヤの操作内容と操作結果との関連性が希薄となり、上記したような、コンピュータ(CPU)がゲームキャラクタ等を自動選択する場合となんら変わりない。
【0010】
このように、ユーザの操作動作と操作結果との関連性が、常に規則的であったり画一的であると、娯楽性が求められるサービス提供機器には馴染まず、逆に両者の関連性が全くないと、ユーザの興味を持続させることができない。
【0011】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、カード型ゲームなどの機器の魅力を損なわずに、ユーザの興趣を長期間維持でき、ユーザ同士のトラブルを回避できるサービス提供機器及びこの機器に用いられる操作ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によれば、機器本体と、機器本体に設けられ、ユーザの操作信号の入力を受け付ける操作ユニットと、機器の制御用データを格納する記憶装置と、操作ユニットから入力された信号に従って記憶装置から機器制御用データを取得して機器を制御する制御手段とを備え、ユーザに所定のサービスを提供するサービス提供機器であって、前記操作ユニットは、中空のケーシングと、このケーシング内に収納される1以上の種類の多数のオブジェクトと、から構成される操作部と、ユーザが直接若しくは間接的にケーシングを操作してケーシング内で多数のオブジェクトの配置を変更できるように、前記操作部を機器本体の所定位置で支持する支持部と、前記操作部が支持部に支持された状態で、ケーシング内の多数のオブジェクトのうち、当該ケーシングの所定の面(読取面)に位置する複数のオブジェクトの種類及び配置を読み取ってオブジェクトの配列パターンを特定するデータ読取手段と、を備え、前記記憶装置は、オブジェクトの配列パターンと、機器制御用データとを関連付けて格納するものであり、前記制御手段は、データ読取手段が特定した配列パターンに従って、対応する機器制御用データを記憶装置から読み出すことを特徴とするサービス提供機器、及びこの機器に用いられる操作ユニットが提供される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、1以上の種類の多数のオブジェクト(複数色の球体など)が収納されたケーシングをユーザ(プレイヤ)が振ったり、回転させることで内部のオブジェクトの配置を変える。そして、ケーシングの読取面に面した多数のオブジェクトの配置をCCDカメラやスキャナなどの読取手段で読み取り、この配置から1次元・2次元バーコードと同様の数字や記号の列からなる配列パターン(識別データ)を特定する。特定された配列パターンに応じた機器制御用データを記憶装置から取得して機器を制御する。これにより、ユーザが操作結果を容易に予測することはできないと共に、操作動作と操作結果との関連性もある程度維持できるので、ユーザの興味を持続させることができる。すなわち、ユーザは、経験を重ねても操作内容と操作結果との関連性を容易に理解できないと共に、ユーザに操作結果をコントロールした感覚を与えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。以下においては、サービス提供機器として、ゲームセンタなどに設置され、ゲームプレイヤが操作ユニットから入力した操作信号に従って制御手段が前記記憶装置からゲームデータを取得して、若しくは生成してゲームを進行させるいわゆるアーケードゲームに本発明を適用した例を説明する。ゲームの種類はファンタジーの世界を舞台としたアクションビデオゲームであり、また、識別されるゲーム制御データは、このゲームのキャラクタがゲーム空間内で使用する魔法(アイテム)の種類を例示する。
【0015】
図1は本発明の一実施形態に係るゲーム機の斜視図、図2は、操作ユニットを構成する操作入力部材の分解斜視図、図3は、ゲーム機の機能ブロック図である。図1に符号1で示すゲーム機は、筺体2と、筺体2の前面のフロントパネル3に配置されるディスプレイ4やスピーカ5、演出用のLED照明6などの出力手段や、プレイヤの操作信号の入力を受け付ける操作ユニット7と、筺体2に内蔵される小型コンピュータで構成される制御ユニット8とを備えている。
【0016】
操作ユニット7は、スタートボタン9、コイン投入口10から投入されたコインを識別・検知する図示しないコイン検知センサ、操作レバー11、などの周知の入力手段と共に、本発明の特徴である操作入力部材13、筺体2のフロントパネル3にすり鉢状に凹設され前記操作入力部材13を支持する支持部14、及び支持部14の底面に設けられたデータ読取手段としてのCCDカメラ15とを備えている。
【0017】
操作入力部材13は、図2に示すように、支持部14に嵌合され、かつ全体が透明の樹脂で成形された中空ケーシング17と、このケーシング17に収納される多数の小球18とから構成される。ケーシング17は横方向の直径が約15cm、縦方向の直径が約10cmの扁平な球状で形成され、また小球18は直径1cm程度の大きさで形成される。なお、操作入力部材13をゲーム機1から取り外しできないようにチェーンや枠体などで一部を筺体に固定してもよい。また、操作入力部材13、若しくはケーシング17や小球18の何れか若しくは両方を、複数種類のゲーム機1で兼用できるようにしてもよい。
【0018】
ケーシング17は、上下方向の略中央で着脱自在に分割可能で、収納する小球18の数や種類をプレイヤが自由に調節できるように構成される。なお、一部に開閉蓋を設けたり、常時開放の小窓を設けてもよい。
【0019】
また、本実施形態のケーシング17では、上下方向の両先端部が読取面17a、17bとなる。この読取面17a、17bの内側には、上部が開放された四角筒状の所定数の収納室19がハニカム状に配設されており、この収納室19に前記小球18が夫々収納されて位置決めされる。これにより、小球18の数及び配置の読取り精度を向上させ、後述するゲームアイテムとの関連付けを確実に判定することができる。図2においては、収納室19の一部だけを示している。この収納室19の数及び配置は、CCDカメラ15の撮像範囲や記憶装置にゲームデータとの関連性が記憶される桁数や行数、数値などとの関係で設定される。なお、小球18の位置決め機構は、所定数の凹部や、読取面及び小球18に磁石を内蔵して構成しても良い。また、ケーシング17の全体を不透明の素材で成形し、読取面17a、17bだけを透明若しくは半透明の透過性の素材で成形してもよい。さらに、小球18の位置決めを容易にするため、読取面17a、17bを平面状に形成してもよい。
【0020】
小球18は、全体が白及び黒の何れかに着色された樹脂や軽金属などの軽量な材質で成形され、後述する画像処理によって容易に色彩を識別できるようになっている。この小球18の種類(色)は、コード化に際して割り当てられる数字の属性によって決定する。すなわち、小球18は、1〜n(2≦n)の数字が夫々割り当てられるn種類が用意されることになる。本実施形態では、2色(2種類)の小球18を採用しているため、夫々の色に対応する2種類の数字が割り当てられる。
【0021】
この小球18は、各ゲーム機1に設けた収納ポケットや、ゲームセンタの管理カウンターなどに多数個を用意しておいて、希望するプレイヤに販売若しくは貸与したり、ゲームセンタ内の専用コインと同様に、自動販売機で販売される。販売される場合は、次回以降はプレイヤが小球18を持参してプレイすることになる。また、小球18は、多数色を用意したり、模様・文字・記号・画像などを印刷してより多種類のゲームデータ(アイテム等)を識別できるようにしてもよい。例えば、赤い小球は「火」、青は「水」、緑は「大地」、黄色は「天空」、白は「光」、黒は「闇」のように、小球18の種類ごとに魔法アイテムの属性を関連付けて設定することもできる。
【0022】
なお、ゲームの設定において、様々な属性が組み合わされることで強力な魔法が登場するようにし、この配分や個数を利用者が工夫する楽しみを提供するようにしてもよい。また、1個の小球18の複数の面に、異なる色を着色したり(色分け)、数字や記号、キャラクタ画像などを印刷してもよい。このような小球18の種類は、読取り精度や操作入力部材13の操作性(ケーシング17の容量や小球18の大きさや重さなど)等を考慮して、数種類程度にするのが好ましい。
【0023】
CCDカメラ15は、支持部14の底面の略中央に内蔵されており、ケーシング17内の多数の小球18のうち、当該ケーシング17の読取面17a(収納室19)に位置する所定数の小球18の色及び配置を読み取って、後述する画像処理ソフトと連動して小球18の配列パターンを特定するものである。具体的には、このカメラ15は、前記操作入力部材13が支持部14から離間されたり静止位置から移動したことをセンサで検知して撮影待機モードに移行し、操作入力部材13が再度支持部14に戻されて一定時間(1秒など)以上静止している場合に、支持部14の中心を撮影(光軸)の中心として、読取面17a(図4に示す撮影範囲21)に位置する小球18を撮像する。本実施形態では、図4〜図6に示すように、読取面17a、17bの位置決め機構(収納室19)に1〜M列(M=7)の各列ごとに4〜9個の小球18が夫々配置されるため、このカメラ15はこのような複数の小球18の配置を読み取る。
【0024】
プレイヤは、ゲームプレイ中の所定のタイミングで、上記のように構成された操作入力部材13(ケーシング17及び小球18)を筺体2の支持部14から持ち上げて振ったり回転させて読取面17a(カメラ15)に対する小球18の配置を変更させる。また、支持部14に置いたまま操作入力部材13を回転させることもできる。後述するように、小球18の配置に応じて制御ユニット8によってゲームアイテムが選択され、ゲームが進行される。プレイヤは、希望するアイテムが選択され、そのアイテムを連続して使用したい場合には、操作入力部材13を持ち上げてからそのまま支持部14に戻すか、支持部14内で一方向に回転させた後で反対方向に回転させて元の状態に戻せばよい。
【0025】
このようにして読み取られた小球18の種類(白か黒か)及び配置は、支持部14の底面に内蔵されたCCDカメラ15で読み取られ、制御ユニット8に転送される。
【0026】
次に、図3の機能ブロック図を参照して、ゲーム機1の概略構成を説明する。
この制御ユニット8は、筺体2に内蔵された小型コンピュータのCPU22にシステムバス23を介してRAM24、ROM25(記憶装置)及び入出力インタフェース(I/F)26が接続されている。入出力I/F26には、前記ディスプレイ4やスピーカ5、演出用のLED照明6などの出力装置、前記CCDカメラ15、スタートボタン9、操作レバー11、コイン投入検知センサなどの入力装置が夫々接続される。このような構成において、プレイ待機モードでプレイヤからのコイン投入を検知すると、CPU22がROM25からソフトウェアプログラムを読み出してRAM24上に展開して実行させることで、この発明の機能を奏するようになっている。なお、上記プログラムはCD−ROMなどの可搬性記録媒体から導入することもできる。
【0027】
ROM25は、小球18の配列パターンと、ゲーム機1の制御用データ(ゲームプログラムやアイテムデータ等)とを関連付けて格納するゲームデータ格納部27と、本発明の機能を実現するソフトウェアプログラムを格納するプログラム格納部28とを備えている。何れも、記録媒体(ROM25)の一部に確保された記憶領域である。
【0028】
ゲームデータ格納部27は、1〜M列の各列ごとに、1〜N桁のn進数の数値(数字列)と、ゲーム機1の制御データとを関連付けて格納するものである。本実施形態では、図4、図5に示すように、小球18の配列から特定される第1〜第7までの各列ごとの(M=7)、1〜9行(N=9)の2進数の数値(n=2)によって構成される配列パターンと関連付けて、ゲーム中のキャラクタが使用する攻撃アイテムデータ(魔法アイテム)を格納している。小球18の配列から攻撃アイテムデータを特定する処理については後述する。
【0029】
また、前記ソフトウェアプログラムは、操作ユニット7から入力されたプレイヤの操作信号に従って対応するゲーム機制御用データ(ゲームプログラムやゲームアイテムデータ等)をROM25から取得してゲームを進行させる従来周知のゲーム進行機能31と、前記CCDカメラ15が撮像した小球18の配列(黒白)を第1〜第7の各列ごとに1〜9桁(行)の2進数の数値(数字列)に変換して配列パターンを特定する配列パターン特定機能32と、特定された配列パターンに関連付けられたアイテムデータをROM25のゲームデータ格納部27から読み出してゲーム進行機能31に受け渡すアイテム読出し機能33とを備えている。これらの各機能部31〜33は、実際には独立したソフトウェア、モジュール、ルーチン、若しくはサブルーチンなどであり、上記した各種のハードウェアと協動することで各機能を奏するものである。
【0030】
ここで、配列パターン特定機能32は、CCDカメラ15が撮影した読取面17aに位置する複数の小球18の配列(色彩及び配置)をリアルタイムで分析して数値列からなるコードを生成する機能である。具体的には、整列している小球18の色の配列を所定のアルゴリズムで2次元コードに変換し、このコードに従ってROM25からゲーム制御データを読み出したり、生成する。なお、画像から一次元・二次元のコードを生成する機能については、例えば、特開2005−222157号公報に開示された手法も参考になる。
【0031】
この配列パターン特定機能32が、取得した画像から数値列コードを生成する機能を、図4〜図7を参照して具体的に説明する。
まず、図4は、プレイヤが筺体2の支持部14にセットした操作入力部材13の読取面17aを、CCDカメラ15で撮像した画像データを模式的に示している。CCDカメラ15は、図中の中央に実線で示す撮影範囲21に含まれる多数の小球18の色及び配置を撮影して画像データとしてメモリ(RAM24)に取り込む。配列パターン特定機能32は、周知の画像処理ソフトと同様に、この画像データを二値化して白及び黒の小球18の特徴をパターンマッチングによって夫々抽出し、1〜7の各列ごとの配列をメモリに記憶する。撮影範囲21は、操作入力部材13の形状に合わせて楕円形であるため、円の直径に相当する中央の列(4列目)の小球18の個数(桁数、行数)が最も大きく、外方に向かって徐々に個数が減少するようになる。また、図4では、横方向の個数(7列=7個)よりも縦方向の個数(9行=9個)の方が多くなっている。
【0032】
また、小球18の配置は、操作入力部材13の角度が異なれば異なる配置として認識される。例えば、図4の配列では破線で示す紙面右端の第7列は上から白、白、黒、黒の配列であるが、これを180度回転させると、同じく破線で示す第1列が上下逆に認識されることになり、黒、黒、白、黒の配列になるため、コードが変化したと認識される。
【0033】
次いで、配列パターン特定機能32は、図5に示すように、白球には0、黒球には1の数を夫々割り当て、行番号の大きい方から順次数字を並べて2進数の数値(数字列)を生成する。この例では、両端の1列目及び7列目は4個(4行)、2列目及び6列目は7個(7行)、3列目及び5列目は8個(8行)、中央の4列目は9個(9行)の数値が割当てられ、これらが2進数の数値として生成される。例えば、紙面右端の第7列目は、第4行目〜第1行目の順序で1、1、0、0が割り当てられているため、2進数の1100が生成される。本実施形態は、2種類(2色)の小球18を採用しているため2進数(n=2)の数を割り当てるが、小球18の種類が増えればそれに応じてnも増加させる。
【0034】
図6、図7に示すように、魔法アイテムのデータは、各列ごとに十進数に関連付けて種類や属性などがROM25のゲームデータ格納部27に格納されている。そのため、配列パターン特定機能32は、前記生成された7個(1個×7列)の2進数の数値を図5の下段に示すように夫々十進数に変換する。通常、各列の桁数(4〜9桁)に応じて十進数の数値も大きくなる。この変換された十進数の数値が、図6、図7に示すように、個々のゲームアイテムと関連付けられている。そして、前記アイテム読出し機能33が、図7のアイテムテーブル(ゲームデータ格納部27)を参照してアイテムの種類や成功率などを特定してゲーム進行機能31に受け渡す。これにより、プレイヤに操作した実感を与えると共に、操作結果を容易に予測できないため興趣を持続させることができる。
【0035】
ここで、図7に示す本実施形態のゲームアイテムを簡単に説明する。この図の例では、ゲームキャラクタが使用できる多種類の魔法アイテムが十進数に関連付けて登録されている。この例では、1つのアイテムが一定範囲の十進数の数値に関連付けられているが、アイテムと数値とを1対1で関連付けたり、同じアイテムでも異なるオプションを設定してもよい。
【0036】
図4〜7に示した例では、図7の発生魔法表から「招雷(雷が落ちて敵にダメージを与える)」という魔法アイテムが選択(発動)される。また、この魔法アイテムの「強さ(相手に与えるダメージ等)」は、各列の基準値(最高値)との比較で設定される。具体的には以下のようになる。すなわち、この魔法の継続時間は、第3列目の数値101と最高値255から、「中程度(101/255)」と判断でき、敵へのダメージは、第4列目の数値367と最高値511から、やや上程度(367/511)と判断でき、攻撃範囲の広さは、第5列目の数値116と最高値255から、「中程度(116/255)と判断できる。この魔法表は、プレイヤが操作入力部材13を支持部14から持ち上げた場合や、ゲーム画面中の「アイテム使用ボタン」を押した場合などの所定のタイミングでディスプレイ4に表示させたり、フロントパネル3等に常時表示してもよい。
【0037】
また、図7の魔法表において、名称に「竜」のつく魔法アイテムは、図6の第6列目の「第二種別」と第7列目の「第二属性」とを使用した場合にも同じ魔法であることを条件に発動(選択)される。例えば、第2列目の「アイテム種別」の数値が120〜127で「火竜」が選択される場合であっても、第6列目の「第二種別」の数値も120〜127の範囲内でなければ、この「火竜」の魔法は選択されない。このようにして、アイテム毎の発動確率を調整することができる。なお、「竜」系の魔法以外では、第6列目と第7列目は使用されない(無視される)。
【0038】
ゲームアイテムは、図7に例示した魔法アイテム以外にも多数のものが用意されており、ゲームの進行(場面やステージ、敵の属性など)に従って使用できるアイテムがリスト表示されたり、リアルタイムで自動的に切り替えられる。プレイヤは、ゲーム画面中にアイテムリストが表示された場合などに、操作入力部材13を操作してアイテムを選択できる。
【0039】
なお、この発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を変更しない範囲で種々変形可能である。
【0040】
例えば、上記実施形態においては、ケーシング17の読取面17a、17bは何れも円形状で、小球18はハニカム状の配列となるが、ケーシング17を立方体(サイコロ状)や三角錐などで形成する場合は、読取面及び小球18の整列は格子状や三角形状になる。この場合には、夫々の底面形状に合致させたコード変換アルゴリズムを設定する。
【0041】
また、小球18の表面若しくはケーシング17の内壁の少なくとも一方に、サンドブラスト、微細な凹凸などの難滑性の表面処理を施してもよい。これにより、ケーシング17を支持部14から持ち上げなくても、支持部14内で回転させたり軽く揺動させるだけで、ケーシング17内の余裕空間によって小球18を攪拌、移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係るゲーム装置の全体斜視図である。
【図2】図2は、同、操作入力部材の分解斜視図である。
【図3】図3は、同、ゲーム機の機能ブロック図である。
【図4】図4は、ケーシング内の小球の配置とカメラの読取面とを示す模式図である。
【図5】図5は、小球の配列を2進数及び十進数の数値に転換した状態を示す模式図である。
【図6】図6は、各列の十進数の数値とゲームアイテムの情報との関係を示す図である。
【図7】図7は、十進数の数値とゲームアイテムの種別との関係の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0043】
1…ゲーム機
2…筺体
3…フロントパネル
4…ディスプレイ
5…スピーカ
6…LED照明
7…操作ユニット
8…制御ユニット
9…スタートボタン
10…コイン投入口
11…操作レバー
13…操作入力部材
14…支持部
15…CCDカメラ
17…中空ケーシング
17a、17b…読取面
18…小球
19…収納室
21…撮影範囲
22…CPU
23…システムバス
24…RAM
25…ROM
26…入出力インタフェース(I/F)
27…ゲームデータ格納部
28…プログラム格納部
31…ゲーム進行機能
32…配列パターン特定機能
33…アイテム読出し機能

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器本体と、機器本体に設けられ、ユーザの操作信号の入力を受け付ける操作ユニットと、機器の制御用データを格納する記憶装置と、操作ユニットから入力された信号に従って記憶装置から機器制御用データを取得して機器を制御する制御手段とを備え、ユーザに所定のサービスを提供するサービス提供機器であって、
前記操作ユニットは、
中空のケーシングと、このケーシング内に収納される1以上の種類の多数のオブジェクトと、から構成される操作部と、
ユーザが直接若しくは間接的にケーシングを操作してケーシング内で多数のオブジェクトの配置を変更できるように、前記操作部を機器本体の所定位置で支持する支持部と、
前記操作部が支持部に支持された状態で、ケーシング内の多数のオブジェクトのうち、当該ケーシングの所定の面(読取面)に位置する複数のオブジェクトの種類及び配置を読み取ってオブジェクトの配列パターンを特定するデータ読取手段と、を備え、
前記記憶装置は、オブジェクトの配列パターンと、機器制御用データとを関連付けて格納するものであり、
前記制御手段は、データ読取手段が特定した配列パターンに従って、対応する機器制御用データを記憶装置から読み出す
ことを特徴とするサービス提供機器。
【請求項2】
請求項1のサービス提供機器は、ゲームプレイヤが操作ユニットから入力した操作信号に従って制御手段が前記記憶装置からゲームデータを取得してゲームを進行させるゲーム装置であることを特徴とするサービス提供機器。
【請求項3】
請求項1のサービス提供機器において、
前記操作部は、機器本体から分離させた状態でユーザが振って及び/若しくは回転させて多数のオブジェクトの配置を変更させることができることを特徴とするサービス提供機器。
【請求項4】
請求項1のサービス提供機器において、
前記ケーシングは、読取面に一定数のオブジェクトを一時的に位置決めする位置決め機構を備えることを特徴とするサービス提供機器。
【請求項5】
請求項4のサービス提供機器において、
前記ケーシングは、読取面が透明若しくは半透明の透過性の素材で成形されることを特徴とするサービス提供機器。
【請求項6】
請求項4のサービス提供機器において、
前記ケーシングは、複数の読取面と、位置決めするオブジェクトの数及び/若しくは配列が異なる複数の位置決め機構と、を備えることを特徴とするサービス提供機器。
【請求項7】
請求項1のサービス提供機器において、
前記ケーシングは、オブジェクトを投入し若しくは取り出すための、閉塞可能な若しくは常時開放の開口を備えることを特徴とするサービス提供機器。
【請求項8】
請求項1のサービス提供機器において、
前記オブジェクトは、1〜n(2≦n)の数字が夫々割り当てられるn種類が用意され、
前記記憶装置は、所定桁数のn進数の数値(数字列)と機器制御データとを関連付けて格納するものであり、
前記データ読取手段は、読取面に位置する複数のオブジェクトの種類と配置とを読み取ってその配列パターンを特定するものであり、
前記制御手段は、特定された配列パターンを所定桁数のn進数の数値(数字列)に変換し、この数値に関連付けられた機器制御データを前記記憶装置から読み出す
ことを特徴とするサービス提供機器。
【請求項9】
請求項8のサービス提供機器において、
前記記憶装置は、1〜M列の各列ごとの、1〜N桁のn進数の数値(数字列)を、夫々機器制御データと関連付けて格納するものであり、
前記データ読取手段は、ケーシングの読取面に位置する1〜M列の各列ごとの1以上のオブジェクトの種類及び配列を夫々読み取ってM個の配列パターンを特定するものであり、
前記制御手段は、特定されたM個の配列パターンをM個の数値に夫々変換し、これらの数値に夫々関連付けられた機器制御データを前記記憶装置から読み出す
ことを特徴とするサービス提供機器。
【請求項10】
請求項1のサービス提供機器に用いられるユーザの操作信号の入力を受け付ける操作ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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