説明

サーマルプリンタ

【課題】 サーマルプリンタの小型化要求に対応するため、駆動源を減らし、尚且つサーマルプリントヘッドの往復ストロークを長くでき、また、サーマルプリントヘッドの往復ストロークを印字の長さに応じて可変にする。
【解決手段】 リボン巻取りと逆方向には回転しないリボン巻取り軸と、リボン巻取り軸のリボン巻取り方向と逆方向には空転するリボン巻取り軸駆動プーリと、リボン巻取り軸のリボン巻取り方向には回転しないサーマルプリントヘッド上下駆動軸と、リボン巻取り軸のリボン巻取り方向には空転するサーマルプリントヘッド上下駆動プーリと、単一のリボン・ヘッド駆動モータとを備え、単一のリボン・ヘッド駆動モータは、ベルトを介してリボン巻取り軸駆動プーリとサーマルプリントヘッド上下駆動プーリとに連絡し、回転方向の違いにより、リボンの巻取りまたはサーマルプリントヘッド上下の駆動を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、間欠動作のサーマルプリンタに係り、特に、単一のリボン・ヘッド駆動モータで、リボンの巻取りとサーマルプリントヘッドの上下の駆動とを兼用したサーマルプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
間欠動作のサーマルプリンタには、ヘッド往復駆動のためのモータ、リボン送りのためのモータ、サーマルプリントヘッド上下のためのソレノイドまたはエアシリンダまたはモータ等が設けられているのが一般的であり、多くの駆動源を必要とすることがサーマルプリンタの小型化への障害となっていた。
サーマルプリンタの小型化要求に対応するためには、駆動源を減らすことが最も有効な手段である。
【0003】
そのため、同一軸にクランクとカムを設け、クランクによりサーマルプリントヘッドの往復を、カムによりサーマルプリントヘッドの上下を行うことで、サーマルプリントヘッドの往復と、サーマルプリントヘッドの上下の駆動源を共通とし、駆動源を減らすことでサーマルプリンタを小型化する工夫がなされていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、サーマルプリントヘッドの往復がクランクによるため、サーマルプリントヘッドの往復ストロークを長くできず、尚且つサーマルプリントヘッドの往復ストローク長が固定されてしまうという難点があった。
そこで、本発明の目的は、サーマルプリンタの小型化要求に対応するため、駆動源を減らし、尚且つサーマルプリントヘッドの往復ストロークを長くでき、また、サーマルプリントヘッドの往復ストロークを印字の長さに応じて可変できる間欠式サーマルプリンタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、リボン巻取りと逆方向には回転しないように単方向回転クラッチを設けたリボン巻取り軸と、リボン巻取り軸のリボン巻取り方向と逆方向には空転するように単方向回転クラッチを設けたリボン巻取り軸駆動プーリと、リボン巻取り軸のリボン巻取り方向には回転しないように単方向回転クラッチを設けたサーマルプリントヘッド上下駆動軸と、リボン巻取り軸のリボン巻取り方向には空転するように単方向回転クラッチを設けたサーマルプリントヘッド上下駆動プーリと、 サーマルプリントヘッド上下駆動軸にカムを介して連絡するサーマルプリントヘッド上下動機構によって上下動させられるサーマルプリントヘッドと、単一のリボン・ヘッド駆動モータとを備え、単一のリボン・ヘッド駆動モータは、ベルトを介してリボン巻取り軸駆動プーリとサーマルプリントヘッド上下駆動プーリとに連絡し、回転方向の違いにより、リボンの巻取り、またはサーマルプリントヘッド上下の駆動を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、サーマルプリントヘッドの往復ストロークは単独のモータにより行い、サーマルプリントヘッドの上下とサーマルリボンの送りとを同一のモータにより行うことで駆動源を減らし、サーマルプリンタの小型化を実現した。
また、本発明では、サーマルプリントヘッドの往復ストロークを専用のモータで駆動することとしたため、サーマルプリントヘッドの往復ストロークを長くでき、尚且つ、印字の長さに応じてサーマルプリントヘッドの往復ストロークを可変できる構造とした。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明を図面に示す実施形態に基づいて説明する。
図1〜図3は、本発明の一実施形態に係るサーマルプリンタを示す。
本実施形態においては、本体支持板1にプリンタの各要素部品が支持されている。
サーマルリボン2は原反側リボンホルダ3にセットされ、リボン移送検出ローラ4を通りリボンガイド5を経てサーマルプリントヘッド6に送り出される。
【0008】
サーマルプリントヘッド6にて印字使用されたサーマルリボン2は剥離ピン7で被印字物8から引き剥がされるような経路で通過し、リボンガイド9、10を経てリボン巻取りホルダ11へと至る。
リボン巻取りホルダ11は、リボン巻取り軸36に固定され、リボン巻取り軸36は本体支持板1に固定されたリボン巻取り軸受35により回転可能に支持されている。
【0009】
リボン巻取り軸受35には単方向回転クラッチ37が内蔵されていて、リボン巻取り軸36がサーマルリボン2の巻取り動作と反対の方向には回転しないよう支持されている。
リボン巻取り軸36上にはリボン巻取り軸駆動プーリ38が設けられていて、リボン・ヘッド駆動モータ12より、タイミングベルト13を介して駆動される。
また、リボン巻取り軸駆動プーリ38には単方向回転クラッチ39が内蔵されていて、リボン巻取り軸駆動プーリ38がリボン巻取り方向に回転するときは、リボン巻取り軸36に駆動を伝達し、リボン巻取り動作と反対方向に回転するときは空転するようになっている。
【0010】
サーマルプリントヘッド6はヘッドブラケット14に固定され、ヘッドブラケット14はヘッド揺動軸15に固定されている。
ヘッド遥動軸15はその両端をヘッド支持板A16およびヘッド支持板B17により回転自在に支持されている。
ヘッド遥動軸15の後部端にはヘッド上下腕18が取り付けられ、そのヘッド上下腕の他端にはカムフォロワ19が取り付けられている。
【0011】
このカムフォロワ19は、ヘッド上下案内板20に設けられた水平の長穴部20aに案内されており、このヘッド上下案内板20の上下動に伴い、カムフォロワ19が上下し、ヘッド上下腕18がヘッド遥動軸15を中心として遥動し、ヘッドブラケット14に取り付けられたサーマルプリントヘッド6がヘッド遥動軸15を中心として遥動し、被印字物8に接近・解離するよう作用する。
【0012】
ヘッド上下案内板20は本体支持板1に取り付けられたガイドコロ21、22、23、24により上下方向に直動可能に保持されており、その上部にはカムフォロワ25が取り付けられている。
さらに、ヘッド上下案内板20の上部にはバネ座が設けられており、ヘッド押し下げバネ26により下方に付勢されている。
【0013】
ヘッド押し下げバネ26の反対側端は、ヘッド押し下げ圧調整ネジ27によりバネ力調整可能に保持されている。
このヘッド押し下げ圧調整ネジ27は、本体支持板1に取り付けられた調整ネジ受け28のネジ部により保持されている。
一方、前述したカムフォロワ25の下方には、ヘッド上下カム29がサーマルプリントヘッド上下駆動軸30に固定されていて、サーマルプリントヘッド上下駆動軸30はヘッド上下軸受31に支持されている。
【0014】
サーマルプリントヘッド6を被印字物8に対し接近させる方向への移動は、ヘッド押し下げバネ26のバネ力により、また、サーマルプリントヘッド6を被印字物8から解離させる方向への移動はヘッド上下カムにより行われる。
また、ヘッド上下軸受31には単方向回転クラッチ32が内蔵されていて、サーマルプリントヘッド上下駆動軸30は、巻取り側リボンホルダ11の回転方向と逆方向にのみ回転が可能となっている。
【0015】
サーマルプリントヘッド上下駆動軸30上にはサーマルプリントヘッド上下駆動プーリ33が設けられていて、タイミングベルト13を介しリボン・ヘッド駆動モータ12により回転駆動されるようになっている。
サーマルプリントヘッド上下駆動プーリ33内には単方向回転クラッチ34が内蔵されていて、サーマルプリントヘッド上下駆動軸30が、リボン巻取りホルダ11と同方向には空転し、反対方向には駆動が伝達される構造となっている。
【0016】
サーマルプリントヘッド上下駆動軸30上にはヘッド上限検出遮光板40が固定されていて、そのヘッド上限検出遮光板40を跨ぐように、ヘッド上限検出センサ41が設置されている。
前述したように、サーマルプリントヘッド6はヘッドブラケット14に固定され、ヘッドブラケット14はヘッド揺動軸15に固定されていて、ヘッド遥動軸15はその両端をヘッド支持板A16およびヘッド支持板B17により回転自在に支持されている。
【0017】
さらに、ヘッド支持板A16およびヘッド支持板B17はキャリッジ42に支持されている。
キャリッジ42にはボールブシュ43が平行に複列内蔵されていて、そのボールブシュ内をスライド軸44が貫通している。
スライド軸44は側面支持板45に両端が固定されており、キャリッジ42はそのスライド軸44上を左右に平行移動が可能となっている。
【0018】
つまり、キャリッジ42に支えられたサーマルプリントヘッド6が左右に平行移動できる構造となっている。
キャリッジ42の上部にはベルト固定金具46によりヘッド移動ベルト47が固定されている。
ヘッド移動ベルト47はヘッド移動ベルトプーリ48とアイドラプーリ49とに巻きかけられている。ヘッド移動ベルトプーリ48はヘッド移動ベルト駆動軸50に取り付けられており、そのヘッド移動ベルト駆動軸50にはヘッド移動駆動プーリ51が取り付けられている。
【0019】
ヘッド移動モータ52からの回転駆動は、タイミングベルト59を経て、ヘッド移動駆動プーリ51に伝達され、正逆回転させることで、サーマルプリントヘッド6を左右に移動させることができる。
ヘッド移動ベルト駆動軸50には遮光板53が固定されていて、その遮光版53を跨ぐようにヘッド原点検出センサ54が設けられている。
【0020】
サーマルプリントヘッド6の原点位置は、この遮光版53の開口部53aを原点検出センサ54が検出した位置となる。
原反側リボンホルダ3は図示してない軸受により、回転自在に本体支持板1に支持されている。
原反側リボンホルダ3にはブレーキ機構55により常に軽いブレーキ力が作用していると共に、テンションバネ56によりサーマルリボン2に張力が与えられるようになっている。
【0021】
リボン移送検出ローラ4の後部には回転検出遮光板57が取り付けられており、その回転検出遮光板57を挟み込むように回転検出センサ58が設けられている。
サーマルリボン2の移送に伴い、リボン移送検出ローラ4が回転し回転検出遮光板57も回転すると、回転検出センサ58からはリボン移送検出ローラ4の回転角に応じたパルス信号が得られる。
【0022】
一方、リボン・ヘッド駆動モータ12のリボン巻取り方向への回転駆動により、リボン巻取りホルダ11が回転しサーマルリボン2が巻き取られるが、サーマルリボンを巻き取るにつれ巻径が増大し、サーマルリボン2の送り量が変動してしまう。
そこで、リボン・ヘッド駆動モータ12の回転駆動量と、回転検出センサ58からのパルスをつき合わせることで、必要な回転駆動量を算出することができる。
【0023】
以上のように、本実施形態によれば、単一のリボン・ヘッド駆動モータ12を、サーマルリボン2を送る駆動源と、サーマルプリントヘッド6を上下駆動する駆動源として、回転方向で使い分けて兼用することで駆動源を減らし、尚且つ、サーマルプリントヘッド6の往復ストロークが固定される弊害も無く、小型のサーマルプリンタを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態に係るサーマルプリンタの正面図である。
【図2】図1の断面図である。
【図3】図1の背面図である。
【符号の説明】
【0025】
1 本体支持板
2 サーマルリボン
3 原反側リボンホルダ
6 サーマルプリントヘッド
8 被印字物
12 リボン・ヘッド駆動モータ
29 ヘッド上下カム
30 サーマルプリントヘッド上下駆動軸
31 ヘッド上下軸受
32、34、37、39 単方向回転クラッチ
33 サーマルプリントヘッド上下駆動プーリ
35 リボン巻取り軸受
36 リボン巻取り軸
38 リボン巻取り軸駆動プーリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リボン巻取りと逆方向には回転しないように単方向回転クラッチを設けたリボン巻取り軸と、
前記リボン巻取り軸のリボン巻取り方向と逆方向には空転するように単方向回転クラッチを設けたリボン巻取り軸駆動プーリと、
前記リボン巻取り軸のリボン巻取り方向には回転しないように単方向回転クラッチを設けたサーマルプリントヘッド上下駆動軸と、
前記リボン巻取り軸のリボン巻取り方向には空転するように単方向回転クラッチを設けたサーマルプリントヘッド上下駆動プーリと、
前記サーマルプリントヘッド上下駆動軸にカムを介して連絡するサーマルプリントヘッド上下動機構によって上下動させられるサーマルプリントヘッドと、
単一のリボン・ヘッド駆動モータとを備え、
前記単一のリボン・ヘッド駆動モータは、ベルトを介して前記リボン巻取り軸駆動プーリと前記サーマルプリントヘッド上下駆動プーリとに連絡し、回転方向の違いにより、リボンの巻取り、またはサーマルプリントヘッド上下の駆動を行うことを特徴とするサーマルプリンタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−105951(P2007−105951A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−297765(P2005−297765)
【出願日】平成17年10月12日(2005.10.12)
【出願人】(390034223)イーデーエム株式会社 (23)
【Fターム(参考)】