説明

サーマルプリンタ

【課題】本発明は、ヘッド圧およびヘッド位置の調整を一回の操作で簡単に行うことができるサーマルプリンタを提供することを課題とする。
【解決手段】プラテンローラ11にサーマルヘッド12を押し付けるヘッド圧を調整するヘッド圧調整手段と、サーマルヘッド12を被印字媒体1の搬送方向に移動可能に支持するサーマルヘッド支持手段と、ヘッド圧調整手段の調整に伴って、サーマルヘッド支持手段に支持されたサーマルヘッド12を移動させ、プラテンローラ11に対するサーマルヘッド12の被印字媒体1の搬送方向におけるヘッド位置を調整するリンク部材70とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーマルヘッドを用いて印字を行うサーマルプリンタに関し、特にプラテンローラとサーマルヘッドとの間にラベル連続体やタグ連続体等の被印字媒体を挟持搬送することで印字を行うサーマルプリンタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、サーマルヘッドを用いて印字を行うサーマルプリンタは、プラテンローラとサーマルヘッドとの間にラベル連続体やタグ連続体等の被印字媒体を挟持搬送することで、被印字媒体に所定の印字情報を印字するものであり、サーマルヘッドは、発熱素子がプラテンローラに対向するように、印字ユニットによって支持されている。
【0003】
被印字媒体として、比較的厚いタグ連続体と、比較的薄いラベル連続体とを切替て使用する場合には、よりよい印字品質を確保するために、タグ連続体をとラベル連続体とで、プラテンローラにサーマルヘッドを押し付ける押圧力(以下、ヘッド圧と称す)と、プラテンローラに対するサーマルヘッドの被印字媒体の搬送方向における相対位置(以下、ヘッド位置と称す)とを調整する必要があり、従来は、ヘッド圧の調整を行う機構と、ヘッド位置の調整を行う機構とを別々に設け、それぞれの機構でヘッド圧およびヘッド位置の調整をそれぞれ行っていた(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、従来技術では、被印字媒体に適したヘッド圧およびヘッド位置に調整するために、ヘッド圧およびヘッド位置の調整を別々の機構でそれぞれ行う必要があり、操作が煩雑であるという問題点があった。
【0005】
【特許文献1】特開平10−166686号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は斯かる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ヘッド圧およびヘッド位置の調整を一回の操作で簡単に行うことができるサーマルプリンタを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記課題を解決すべく、以下に掲げる構成とした。
請求項1記載の発明の要旨は、プラテンローラとサーマルヘッドとの間に被印字媒体を挟持搬送することで印字を行うサーマルプリンタであって、前記プラテンローラに前記サーマルヘッドを押し付けるヘッド圧を調整するヘッド圧調整手段と、前記サーマルヘッドを前記被印字媒体の搬送方向に移動可能に支持するサーマルヘッド支持手段と、前記ヘッド圧調整手段の調整に伴って、前記サーマルヘッド支持手段に支持された前記サーマルヘッドを移動させ、前記プラテンローラに対する前記サーマルヘッドの前記被印字媒体の搬送方向におけるヘッド位置を調整するリンク手段とを具備することを特徴とするサーマルプリンタに存する。
また請求項2記載の発明の要旨は、前記ヘッド圧調整手段によって前記ヘッド圧が高く調整されると、前記リンク手段によって前記ヘッド位置が前記被印字媒体の搬送方向の下流側に移動され、前記ヘッド圧調整手段によって前記ヘッド圧が低く調整されると、前記リンク手段によって前記ヘッド位置が前記被印字媒体の搬送方向の上流側に移動されることを特徴とする請求項1記載のサーマルプリンタに存する。
また請求項3記載の発明の要旨は、前記ヘッド圧調整手段は、回動させることで前記ヘッド圧を調整する、前記被印字媒体の搬送方向に対して水平方向に配置された調整軸を具備し、前記リンク手段は、前記調整軸に取り付けられた偏心カムが緩嵌されると共に、前記サーマルヘッドに接続され、前記調整軸の回動に伴って、前記サーマルヘッド支持手段に支持された前記サーマルヘッドを移動させることを特徴とする請求項1又は2記載のサーマルプリンタに存する。
【発明の効果】
【0008】
本発明のサーマルプリンタは、プラテンローラにサーマルヘッドを押し付けるヘッド圧を調整するヘッド圧調整手段と、サーマルヘッドを被印字媒体の搬送方向に移動可能に支持するサーマルヘッド支持手段と、ヘッド圧調整手段の調整に伴って、サーマルヘッド支持手段に支持されたサーマルヘッドを移動させ、プラテンローラに対する前記サーマルヘッドの被印字媒体の搬送方向におけるヘッド位置を調整するリンク手段とを設けることにより、ヘッド圧調整手段を操作してヘッド圧の調整を行うだけで、自動的にヘッド位置の調整が行われるため、ヘッド圧およびヘッド位置の調整を一回の操作で簡単に行うことができるという効果を奏する。
【0009】
さらに、本発明のサーマルプリンタは、ヘッド圧調整手段によってヘッド圧が高く調整されると、リンク手段によってヘッド位置が被印字媒体の搬送方向の下流側に移動され、ヘッド圧調整手段によってヘッド圧が低く調整されると、リンク手段によってヘッド位置が被印字媒体の搬送方向の上流側に移動されように構成することにより、ヘッド圧およびヘッド位置の調整を、被印字媒体の種類に応じて適切に行うことができるという効果を奏する。
【0010】
さらに、本発明のサーマルプリンタは、ヘッド圧調整手段に、回動させることでヘッド圧を調整する、被印字媒体の搬送方向に対して水平方向に配置された調整軸を設け、リンク手段は、調整軸に取り付けられた偏心カムが緩嵌されると共に、サーマルヘッドに接続され、調整軸の回動に伴って、サーマルヘッド支持手段に支持されたサーマルヘッドを移動させように構成することにより、調整軸の回動とサーマルヘッドの移動とをリンクさせる部材を設けるだけで、ヘッド圧およびヘッド位置の調整を一回の操作で簡単に行うことができる機構を実現することができ、装置の小型化およびコストダウンを図ることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0012】
図1は、本発明に係るサーマルプリンタの実施の形態の構成を示す概略側面図であり、図2は、本発明に係るサーマルプリンタの実施の形態の閉状態を示す外観斜視図であり、図3は、本発明に係るサーマルプリンタの実施の形態の開状態を示す外観斜視図であり、図4は、図3に示すヘッドハウジングの構成を示す斜視図であり、(a)および(b)は、前面側から見た前面図である。図5は、図3に示す印字ユニットの構成を示す斜視図であり、図6は、本発明に係るサーマルプリンタの実施の形態におけるヘッド圧切替動作を説明するための説明図であり、図7は、図3に示すリンク部材の構成および動作を説明する説明図である。
【0013】
本実施の形態のサーマルプリンタ10は、図1を参照すると、印字部として、プラテンローラ11と、複数の発熱体が幅方向に形成されている面(以下、印字面と称す)がプラテンローラ11に対向するように配置されたサーマルヘッド12とを有し、複数枚のラベルが帯状台紙に仮着されているラベル連続体等の被印字媒体1とインクリボン2とを重ねてプラテンローラ11とサーマルヘッド12との間に挟持搬送し、サーマルヘッド12の発熱体を選択的に発熱させることにより、被印字媒体1にインクリボン2からインクを転写させて印字を施すように構成されている。
【0014】
被印字媒体1は、紙管等の筒状体にロール状に巻き回された状態、すなわちロール紙3として供給部13に回転可能に支持され、供給部13からプラテンローラ11とサーマルヘッド12との間に供給される。また、インクリボン2は、プラテンローラ11に連動して回転駆動されるリボン巻き取り軸14とリボン供給軸15との間に架け渡され、リボン供給軸15にロール状に巻き回された状態で支持されたインクリボン2が、プラテンローラ11とサーマルヘッド12との間に被印字媒体1と共に供給され、転写後のインクリボン2が、リボン巻き取り軸14によって巻き取られるようになっている。
【0015】
また、サーマルプリンタ10は、プラテンローラ11および供給部13を備え、上部が解放された本体20と、本体20の上部を覆う上蓋部30と、サーマルヘッド12、リボン巻き取り軸14およびリボン供給軸15を備え、本体20と上蓋部30との間に配置された印字ユニット40とからなり、上蓋部30と印字ユニット40とは、本体20の奥側に設けられている支持軸17によって、回動自在に支持され、印字済みの印字媒体が排出される排出口16が設けられている手前側から開くように構成されている。
【0016】
図2は、上蓋部30が閉じられた閉状態のサーマルプリンタ10が示されており、閉状態では、印字ユニット40が本体20と上蓋部30とに挟まれて位置決めされ、図1に示すように、印字ユニット40に備えられたサーマルヘッド12が本体に備えられたプラテンローラ11に押し当てられて位置決めされる。なお、印字ユニット40は、上蓋部30に嵌装可能に構成されており、図2に示す閉状態において、印字ユニット40は、上蓋部30に嵌装された嵌装状態となっている。
【0017】
図3は、上蓋部30が開けられた開状態のサーマルプリンタ10が示されており、上蓋部30と、印字ユニット40とをそれぞれ独立して回動させることができるようになっている。上蓋部30は、開閉ストッパ31によって、手を離しても図3に示す開状態に維持されるように構成されていると共に、印字ユニット40は、開閉ストッパ31の内側に突出する凸部31aにアーム部41が引っかかることで、図3に示す状態で印字ユニット40から独立して停止させることができるようになっている。なお、上蓋部30には、印字ユニット40に弾性を有して当接することで、印字ユニット40を嵌装状態に維持する図示しない当接部材が設けられており、図2に示す閉状態から上蓋部30を開く際には、印字ユニット40も嵌装状態で上蓋部30と共に回動され、その後に、上蓋部30から印字ユニット40を引き出すことによって、図3に示す開状態となる。
【0018】
サーマルヘッド12は、ヘッドハウジング60に支持された状態で印字ユニット40に組み付けられるように構成されている。ヘッドハウジング60は、図4を参照すると、印字ユニット40に組み付けた際に、サーマルヘッド12(形成されている発熱体)よりも被印字媒体1の搬送方向上流側に位置する円形の被支持用突起61aおよび当該被支持用突起61aの下流側に位置して被支持用突起61aと同一の径である円形の被支持用突起61bが形成されている右側面63と、印字ユニット40に組み付けた際に、サーマルヘッド12(形成されている発熱体)よりも被印字媒体1の搬送方向上流側に位置する円形の被支持用突起62aおよび当該被支持用突起62aの下流側に位置して被支持用突起62aと同一の径である円形の被支持用突起62bが形成されている左側面64と、リボン供給軸15からプラテンローラ11とサーマルヘッド12との間に供給されるインクリボン2を案内するガイド面として機能する下面65とを有しており、右側面63の被支持用突起61aと左側面64の被支持用突起62aとが、軸心が一致するように対向して形成されていると共に、右側面63の被支持用突起61bと左側面64の被支持用突起62bとが、軸心が一致するように対向して形成されている。また、被支持用突起61aは、ヘッド圧の調整と、サーマルヘッドのヘッド位置の調整とをリンクさせるリンク用突起として機能し、被支持用突起61bよりも長く形成され、被支持用突起61bの先端部分は、右リボンフレーム42を貫通して延出されるようになっている。
【0019】
さらに、ヘッドハウジング60には、サーマルヘッド12が固着されており、サーマルヘッド12の印字面の反対面側には、ヘッドハウジング60を印字ユニット40に組み付けた際に、後述するヘッド圧調整手段に当接する押圧部材66が、印字面に対して垂直な方向に移動可能に支持されており、サーマルヘッド12と押圧部材66との間には、バネ67が介装されている。これにより、ヘッドハウジング60に固着されているサーマルヘッド12が、バネ67の付勢力によってプラテンローラ11に押圧されるようになっている。
【0020】
印字ユニット40は、図3および図5を参照すると、一方端が支持軸17に支持されたアーム部41の解放端側に、リボン巻き取り軸14およびリボン供給軸15が回転可能にそれぞれ架け渡される右リボンフレーム42と左リボンフレーム43とが設けられている。右リボンフレーム42と左リボンフレーム43との間隔は、ヘッドハウジング60の幅と略同一に設定されており、右リボンフレーム42と左リボンフレーム43との間にヘッドハウジング60が組み付けられるようになっている。また、組み付けられるヘッドハウジング60の上方、すなわち押圧部材66側には、右リボンフレーム42および左リボンフレーム43と垂直な方向に架け渡された調整軸44と、当該調整軸44に取り付けられ、組み付けられたヘッドハウジング60の押圧部材66に当接する偏心部材45と、調整軸44を回動させる操作部46とからなるヘッド圧調整手段が設けられており、操作部46を操作して調整軸44を回動させることで、偏心部材45によってヘッドハウジング60における押圧部材66の位置を制御して、サーマルヘッド12がプラテンローラ11に押圧される力、すなわちヘッド圧を調整することができるようになっている。なお、本実施の形態では、操作部46を2つの偏心部材45に架け渡すように設けたが、調整軸44の端部、すなわち右リボンフレーム42もしくは左リボンフレーム43を貫通して延出された端部に、調整軸44を回動させるレバーや摘みを操作部46として設けるようにしても良く、この場合には、インクリボン2をリボン供給軸15とリボン巻き取り軸14にかけ回したままの状態で、調整軸44を回動させることが可能になり、ヘッド圧の調整を行うことができる。
【0021】
左リボンフレーム43には、プラテンローラ11と共に回転駆動される伝達ギヤ21に対して図2に示す閉状態において咬合される被伝達ギヤ47と、被伝達ギヤ47からリボン巻き取り軸14およびリボン供給軸15に回転駆動力を伝達するギヤやベルト等の図示しない駆動力伝達機構とが設けられている。
【0022】
右リボンフレーム42には、リボン巻き取り軸14、リボン供給軸15および調整軸44がそれぞれ貫通する貫通孔が形成されており、右リボンフレーム42を貫通して、リボン巻き取り軸14、リボン供給軸15および調整軸44が延出されており、リボン巻き取り軸14およびリボン供給軸15を右リボンフレーム42側から操作できるようになっている。また、右リボンフレーム42を貫通して延出している調整軸44には、円板状の偏心カム49が取り付けられている。
【0023】
図5を参照すると、左リボンフレーム43および右リボンフレーム42には、組み付けられるヘッドハウジング60に支持されているサーマルヘッド12の印字面と略平行な方向、すなわち図2に示す閉状態に印字ユニット40が位置する場合には被印字媒体1の搬送方向(以下、被印字媒体搬送方向と称す)を長手方向とする長孔48aおよび長孔48bがそれぞれ形成されている。長孔48aの幅は、ヘッドハウジング60の右側面63に形成されている被支持用突起61aおよびヘッドハウジング60の左側面64に形成されている被支持用突起62aの直径と略同一に設定されており、ヘッドハウジング60の被支持用突起61aおよび被支持用突起62aが、右リボンフレーム42に形成されている長孔48aおよび左リボンフレーム43に形成されている長孔48aにそれぞれ嵌装され、サーマルヘッド12の印字面に対して略垂直な方向では位置決めされると共に、被印字媒体搬送方向に摺動可能に支持されている。また、長孔48bの幅は、ヘッドハウジング60の右側面63に形成されている被支持用突起61bおよびヘッドハウジング60の左側面64に形成されている被支持用突起62bの直径よりも広く設定されており、ヘッドハウジング60の被支持用突起61bおよび被支持用突起62bが、右リボンフレーム42に形成されている長孔48bおよび左リボンフレーム43に形成されている長孔48bにそれぞれ緩装され、被印字媒体搬送方向に、且つ被印字媒体搬送方向と直交するサーマルヘッド12の印字面に対して略垂直な方向に移動可能、すなわち遊びを有して支持されている。従って、ヘッドハウジング60は、印字ユニット40に対し、被印字媒体搬送方向に移動可能に支持されると共に、緩装状態である右側面63の被支持用突起61bおよび左側面64の被支持用突起62bにおける遊びの範囲で、右側面63の被支持用突起61aおよび左側面64の被支持用突起62aを回動軸にして回動可能に支持されることになり、偏心部材45に当接する押圧部材66と、ヘッドハウジング60に固着されているサーマルヘッド12との間に介装されたバネ67の付勢力によってサーマルヘッド12がプラテンローラ11に押圧されるようになっている。以下、長孔48aに沿ったヘッドハウジング60の移動方向、すなわち被印字媒体搬送方向において、図2に示す閉状態に印字ユニット40が位置する場合の搬送される被印字媒体1の下流方向および上流方向をそれぞれ前方向および後方向と称す。
【0024】
図6を参照すると、偏心部材45には、組み付けられたヘッドハウジング60の押圧部材66に当接する当接面として、調整軸44からの距離が短い当接面45aと、調整軸44からの距離が長い当接面45bとが設けられており、図6(a)に示すように、偏心部材45の当接面45aが組み付けられたヘッドハウジング60の押圧部材66に当接したヘッド圧が低い設定と、偏心部材45の当接面45bが組み付けられたヘッドハウジング60の押圧部材66に当接したヘッド圧が高い設定とを切り換えることができるように構成されている。なお、本実施の形態では、ヘッド圧を2段階で切り換えることができるように構成したが、偏心部材45に調整軸44からの距離が異なる当接面を3面以上設けることにより、ヘッド圧を3段階以上で切り換えることができる。
【0025】
また、右リボンフレーム42には、図3を参照すると、ヘッド圧の調整と、ヘッドハウジング60、すなわちサーマルヘッド12の前後方向への移動とをリンクさせるリンク部材70が設けられている。リンク部材70は、図7を参照すると、調整軸44に取り付けられている偏心カム49が緩嵌される第1の開口71と、調整軸44よりも後方向に位置する被支持用突起61aが緩嵌される第2の開口72とが形成されている板状の部材であり、調整軸44の回動に伴い、長孔48aに沿って被支持用突起61aが前後方向に移動されるように構成されている。
【0026】
次に、本実施の形態におけるヘッド圧切替動作およびサーマルヘッド移動動作について図6および図7を参照して詳細に説明する。
【0027】
図6および図7の(a)には、偏心部材45の当接面45aが組み付けられたヘッドハウジング60の押圧部材66に当接してヘッド圧が低く設定されている状態が、図6および図7の(b)には、偏心部材45の当接面45bが組み付けられたヘッドハウジング60の押圧部材66に当接してヘッド圧が高く設定されている状態がそれぞれ示されている。
【0028】
当接面45aが押圧部材66に当接し、ヘッド圧が低く設定されている状態から、操作部46を操作することで、図6(a)に矢印Aで示す方向に調整軸44を90°回動させると、図6(b)に示すように、当接面45bが押圧部材66に当接し、ヘッド圧が高く設定される状態に切替られると共に、図7(a)を参照すると、調整軸44が軸芯mを中心として、矢印Aで示す方向に回動される。これにより、偏心カム49の軸芯nが前方向に移動されることになり、リンク部材70によってリンクされた被支持用突起61aが矢印A’に示す前方向に長孔48aに沿って移動されるため、ヘッドハウジング60、すなわちサーマルヘッド12が、図6(a)に矢印A’に示す前方向に移動され、ヘッド圧を高く調整する切替動作に伴って、プラテンローラ11に対するサーマルヘッド12の被印字媒体搬送方向における相対位置、すなわちヘッド位置が前方向に移動される。
【0029】
一方、当接面45bが押圧部材66に当接し、ヘッド圧が高く設定されている状態から、操作部46を操作することで、図6(b)に矢印Bで示す方向に調整軸44を90°回動させると、図6(a)に示すように、当接面45aが押圧部材66に当接し、ヘッド圧が低く設定される状態に切替られると共に、図7(b)を参照すると、調整軸44が軸芯mを中心として、矢印Bで示す方向に回動される。これにより、偏心カム49の軸芯nが後方向に移動されることになり、リンク部材70によってリンクされた被支持用突起61aが矢印B’に示す後方向に長孔48aに沿って移動されるため、ヘッドハウジング60、すなわちサーマルヘッド12が、図6(b)に矢印B’に示す後方向に移動され、ヘッド圧を低く調整する切替動作に伴って、プラテンローラ11に対するサーマルヘッド12の被印字媒体搬送方向における相対位置、すなわちヘッド位置が後方向に移動される。
【0030】
以上説明したように、本実施の形態によれば、プラテンローラ11にサーマルヘッド12を押し付けるヘッド圧を調整するヘッド圧調整手段と、サーマルヘッド12を被印字媒体1の搬送方向に移動可能に支持するサーマルヘッド支持手段と、ヘッド圧調整手段の調整に伴って、サーマルヘッド支持手段に支持されたサーマルヘッド12を移動させ、プラテンローラ11に対するサーマルヘッド12の被印字媒体1の搬送方向におけるヘッド位置を調整するリンク部材70とを設けることにより、ヘッド圧調整手段を操作してヘッド圧の調整を行うだけで、自動的にヘッド位置の調整が行われるため、ヘッド圧およびヘッド位置の調整を一回の操作で簡単に行うことができるという効果を奏する。
【0031】
さらに、本実施の形態によれば、ヘッド圧調整手段によってヘッド圧が高く調整されると、リンク部材70によってヘッド位置が被印字媒体1の搬送方向の下流側に移動され、ヘッド圧調整手段によってヘッド圧が低く調整されると、リンク部材70によってヘッド位置が被印字媒体1の搬送方向の上流側に移動されように構成することにより、ヘッド圧およびヘッド位置の調整を、被印字媒体1の種類に応じて適切に行うことができるという効果を奏する。
【0032】
さらに、本実施の形態によれば、ヘッド圧調整手段に、回動させることでヘッド圧を調整する、被印字媒体1の搬送方向に対して水平方向に配置された調整軸44を設け、リンク部材70は、調整軸44に取り付けられた偏心カム49が緩嵌されると共に、サーマルヘッド12に接続され、調整軸44の回動に伴って、サーマルヘッド支持手段に支持されたサーマルヘッド12を移動させように構成することにより、調整軸44の回動とサーマルヘッド12の移動とをリンクさせる部材を設けるだけで、ヘッド圧およびヘッド位置の調整を一回の操作で簡単に行うことができる機構を実現することができ、装置の小型化およびコストダウンを図ることができるという効果を奏する。
【0033】
なお、本発明が上記各実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、上記構成部材の数、位置、形状等は上記実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。なお、各図において、同一構成要素には同一符号を付している。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明に係るサーマルプリンタの実施の形態の構成を示す概略側面図である。
【図2】本発明に係るサーマルプリンタの実施の形態の閉状態を示す外観斜視図である。
【図3】本発明に係るサーマルプリンタの実施の形態の開状態を示す外観斜視図である。
【図4】図3に示すヘッドハウジングの構成を示す斜視図であり、(a)および(b)は、前面側から見た前面図である。
【図5】図3に示す印字ユニットの構成を示す斜視図である。
【図6】本発明に係るサーマルプリンタの実施の形態におけるヘッド圧切替動作を説明するための説明図である。
【図7】図3に示すリンク部材の構成および動作を説明する説明図である。
【符号の説明】
【0035】
1 被印字媒体
2 インクリボン
3 ロール紙
10 サーマルプリンタ
11 プラテンローラ
12 サーマルヘッド
13 供給部
14 リボン巻き取り軸
15 リボン供給軸
16 排出口
17 支持軸
20 本体
30 上蓋部
31 開閉ストッパ
31a 凸部
40 印字ユニット
41 アーム部
42 右リボンフレーム
43 左リボンフレーム
44 調整軸
45 偏心部材
45a、45b 当接面
46 操作部
47 被伝達ギヤ
48a、48b 長孔
49 偏心カム
60 ヘッドハウジング
61a、61b、62a、62b 被支持用突起
63 右側面
64 左側面
65 下面
66 押圧部材
67 バネ
70 リンク部材
71 第1の開口
72 第2の開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラテンローラとサーマルヘッドとの間に被印字媒体を挟持搬送することで印字を行うサーマルプリンタであって、
前記プラテンローラに前記サーマルヘッドを押し付けるヘッド圧を調整するヘッド圧調整手段と、
前記サーマルヘッドを前記被印字媒体の搬送方向に移動可能に支持するサーマルヘッド支持手段と、
前記ヘッド圧調整手段の調整に伴って、前記サーマルヘッド支持手段に支持された前記サーマルヘッドを移動させ、前記プラテンローラに対する前記サーマルヘッドの前記被印字媒体の搬送方向におけるヘッド位置を調整するリンク手段とを具備することを特徴とするサーマルプリンタ。
【請求項2】
前記ヘッド圧調整手段によって前記ヘッド圧が高く調整されると、前記リンク手段によって前記ヘッド位置が前記被印字媒体の搬送方向の下流側に移動され、
前記ヘッド圧調整手段によって前記ヘッド圧が低く調整されると、前記リンク手段によって前記ヘッド位置が前記被印字媒体の搬送方向の上流側に移動されることを特徴とする請求項1記載のサーマルプリンタ。
【請求項3】
前記ヘッド圧調整手段は、回動させることで前記ヘッド圧を調整する、前記被印字媒体の搬送方向に対して水平方向に配置された調整軸を具備し、
前記リンク手段は、前記調整軸に取り付けられた偏心カムが緩嵌されると共に、前記サーマルヘッドに接続され、前記調整軸の回動に伴って、前記サーマルヘッド支持手段に支持された前記サーマルヘッドを移動させることを特徴とする請求項1又は2記載のサーマルプリンタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−179009(P2009−179009A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−22108(P2008−22108)
【出願日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(307010993)株式会社サトー知識財産研究所 (588)
【出願人】(000130581)株式会社サトー (1,153)
【Fターム(参考)】