説明

サーマルプリントヘッドおよびサーマルプリンタ

【課題】サーマルプリントヘッドで2種類の解像度の印画ができるようにする。
【解決手段】サーマルプリントヘッドに、第1抵抗体41と第2抵抗体42と第3抵抗体43とを備える。第1抵抗体41と第2抵抗体42は、第1配線51によって直列に接続され、第1共通電極61に接続されている。2つの第3抵抗体43は、第2配線52によって直列に接続され、第2共通電極62に接続されている。第1共通電極61と第2共通電極62とは、スイッチによって選択的に電源に接続される。第2抵抗体42および第3抵抗体43は、直線状に配列されて第2発熱領域を形成する。第1抵抗体41は、第1発熱領域を形成する。第1共通電極61に電源を接続し、第1発熱領域に被印刷媒体を押し付けて低解像度の印画を行う。第1共通電極61および第2共通電極62を交互に電源に接続し、第2発熱領域に被印刷媒体を押し付けて高解像度の印画を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーマルプリントヘッドおよびサーマルプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
サーマルプリントヘッドは、発熱部に配列された複数の発熱体を発熱させ、その熱により感熱記録紙などの媒体に文字や図形などの画像を形成する出力用デバイスである。このサーマルプリントヘッドは、バーコードプリンタ、デジタル製版機、ビデオプリンター、イメージャー、シールプリンターなどの記録機器に広く用いられている。
【0003】
一般的なサーマルプリントヘッドは、放熱板と、放熱板に取り付けられた発熱体板と、発熱体板と同じ側で放熱板に取り付けられた回路基板とを備えている。この発熱体板の放熱板に対向する面の反対側の表面の帯状に延びる発熱領域には、複数の発熱抵抗体が所定の間隔で直線状に配列されている。また、回路基板には、発熱抵抗体を駆動する駆動回路の一部となる駆動ICなどの電気部品が搭載されている。
【0004】
このようなサーマルプリントヘッドを用いたプリンタは、一般的に、所定の弾性を持つ材料で円筒状に形成されたプラテンローラを備えている。このプラテンローラは、発熱抵抗体が配列された主走査方向に平行な軸を持ち、その側面が支持基板上の発熱領域に接するように配置され、その軸を中心に回転可能に設けられる。プラテンローラの回転によって、プラテンローラと発熱領域の間に挿入された媒体は、主走査方向に垂直な副走査方向に移動する。プラテンローラによって媒体を発熱領域に押し付けつつ、その媒体を副走査方向に移動させ、発熱抵抗体の発熱パターンを媒体の移動とともに変化させることにより、所望の画像を媒体上に形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−38939号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
サーマルプリントヘッドには、発熱抵抗体に対して副走査方向下流側に共通電極を設けるものや、隣り合う発熱抵抗体を副走査方向下流側に設けた折り返し電極で接続するものがある。印画の際には、所定の画素を構成する発熱抵抗体に接続された個別電極には、接続された駆動ICから電流が流れ、それに伴って発熱抵抗体が発熱し、媒体に印画される。しかし、いずれの場合であっても、所定の解像度を得るためには、所定の駆動素子を必要とする。
【0007】
そこで、本発明は、サーマルプリントヘッドで2種類の解像度の印画ができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の課題を解決するため、本発明は、サーマルプリントヘッドにおいて、主走査方向に延びる主面を持つ絶縁基板と、前記主走査方向に垂直な副走査方向に延びる第1配線で接続された第1抵抗体および第2抵抗体と、前記第2抵抗体と副走査方向の同じ位置に設けられて前記副走査方向の同じ側が第2配線で接続された2つの第3抵抗体と、を備えて前記主面上で前記主走査方向に配列され、前記第1抵抗体が配列された第1発熱領域と前記第2抵抗体および前記第3抵抗体が配列された第2発熱領域を形成する複数の抵抗体群と、前記第1抵抗体の前記第1配線とは反対側が接続された第1共通電極と、前記第3抵抗体の一方の前記第2配線とは反対側が接続された第2共通電極と、前記第2抵抗体および前記第2共通電極に接続されていない方の前記第3抵抗体に接続された個別電極と、を具備することを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、サーマルプリンタにおいて、主走査方向に延びる主面を持つ絶縁基板と、前記主走査方向に垂直な副走査方向に延びる第1配線で接続された第1抵抗体および第2抵抗体と前記第2抵抗体と副走査方向の同じ位置に設けられて前記副走査方向の同じ側が第2配線で接続された2つの第3抵抗体とを備えて前記主面上で前記主走査方向に配列され前記第1抵抗体が配列された第1発熱領域と前記第2抵抗体および前記第3抵抗体が配列された第2発熱領域を形成する複数の抵抗体群と、前記第1抵抗体の前記第1配線とは反対側が接続された第1共通電極と、前記第3抵抗体の一方の前記第2配線とは反対側が接続された第2共通電極と、前記第2抵抗体および前記第2共通電極に接続されていない方の前記第3抵抗体に接続された個別電極と、を有するサーマルプリントヘッドと、前記絶縁基板の長手方向に平行な回転軸の周りに回転するプラテンローラと、前記サーマルプリントヘッドの姿勢を変化させて前記第1発熱領域および前記第2発熱領域のいずれかを前記プラテンローラに押し付ける姿勢調整機構と、を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、一つのサーマルプリントヘッドで2種類の解像度の印画ができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係るサーマルプリントヘッドの一実施の形態における発熱体板の配線パターンの平面図である。
【図2】本発明に係るサーマルプリントヘッドの一実施の形態の一部の回路図である。
【図3】本発明に係るサーマルプリントヘッドの一実施の形態の平面図である。
【図4】本発明に係るサーマルプリントヘッドの一実施の形態における発熱体板の断面図である。
【図5】本発明に係るサーマルプリントヘッドの一実施の形態を用いたサーマルプリンタの断面図である。
【図6】本発明に係るサーマルプリントヘッドの一実施の形態を用いたサーマルプリンタの第2発熱領域を用いて印刷する場合の姿勢を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係るサーマルプリントヘッドの一実施の形態を、図面を参照して説明する。なお、この実施の形態は単なる例示であり、本発明はこれに限定されない。
【0013】
図3は、本発明に係るサーマルプリントヘッドの一実施の形態の平面図である。図4は、本実施の形態における発熱体板の断面図である。
【0014】
本実施の形態のサーマルプリントヘッド10は、放熱板20と発熱体板30と回路基板21とを有している。放熱板20は、たとえばアルミニウムで形成された長方形の板である。発熱体板30および回路基板21は、放熱板20の同一面に載置されている。
【0015】
発熱体板30は、セラミック基板33とグレーズ層34と抵抗体層35と電極層36と保護膜層37とを有している。セラミック基板33は、たとえばアルミナ(Al)の長方形の板である。グレーズ層34は、セラミック基板33の表面に固着されている。セラミック基板33およびグレーズ層34は、グレーズ層34の表面を主面とする絶縁基板を構成している。絶縁基板の長手方向を主走査方向と呼び、この主走査方向に垂直で主面に沿った方向を副走査方向と呼ぶこととする。
【0016】
グレーズ層34の一部には、セラミック基板33のグレーズ34が形成された面の法線方向に突出した突条38が形成されている。突条38は、セラミック基板33の長手方向(主走査方向)に延びている。抵抗体層35および電極層36は、セラミック基板33およびグレーズ層34からなる絶縁基板の主面上に積層されている。
【0017】
抵抗体層35および電極層36は、所定の平面パターンに形成されている。電極層36の一部には空隙が形成されていて、この空隙部分は抵抗体層35が発熱する発熱領域31,32となる。発熱領域31,32は、突条38の表面に、主走査方向に延びる、互いに平行な2本の直線状に設けられている。これらの発熱領域31,32のうち絶縁基板の端縁に近い方を第1発熱領域31、遠い方を第2発熱領域32と呼ぶこととする。第2発熱領域32は、たとえば突条38の頂部に設けられている。第1発熱領域31は、たとえば突条38の斜面部分に設けられている。
【0018】
保護膜層37は、グレーズ層34と抵抗体層35と電極層36とを覆っている。電極層36の一部は保護膜層37で覆われておらず、その部分は回路基板21との接続パッド39となっている。
【0019】
回路基板21には、スイッチ22および複数の駆動素子23が搭載されている。スイッチ22および駆動素子23と発熱体板30との間には、ボンディングワイヤ24が架け渡されている。ボンディングワイヤ24とスイッチ22と駆動素子23とは、封止樹脂25で封止されている。
【0020】
図1は、本実施の形態における発熱体板の配線パターンの平面図である。図2は、本実施の形態におけるサーマルプリントヘッドの一部の回路図である。
【0021】
発熱体板20には、第1抵抗体41と第2抵抗体42と第3抵抗体43とが設けられている。第1抵抗体41と第2抵抗体42と第3抵抗体43とは、抵抗体層35に設けられている。
【0022】
1つの第1抵抗体41、1つの第2抵抗体42、および、2つの第3抵抗体43は、1つの抵抗体群を形成している。この抵抗体群が、絶縁基板の主面上で主走査方向に配列されている。
【0023】
第1抵抗体41は、突条38の表面に、突条38が延びる方向に等ピッチで間隔を置いて線状に配列されている。配列された複数の第1抵抗体41は、第1発熱領域31を形成している。
【0024】
第2抵抗体42は、第1抵抗体41とセラミック基板33の短辺方向の異なる位置で突条38の表面に間隔を置いて線状に配列されている。第2抵抗体42の数は、第1抵抗体41の数と同じである。また、第2抵抗体42は、第1抵抗体41と同じピッチで配列されている。
【0025】
第3抵抗体43は、第1抵抗体41とセラミック基板33の短辺方向の異なる位置で突条38の表面に間隔を置いて線状に配列されている。隣り合う2つの第2抵抗体42の間に、2つの第3抵抗体43が配置されている。第2抵抗体42と第3抵抗体43とからなる抵抗体列は、等ピッチで並んでいる。
【0026】
また、発熱体板30には、第1配線51と第2配線52と第1共通電極61と第2共通電極62と個別電極71とが設けられている。第1配線51と第2配線52と第1電極61と第2電極62と個別電極71とは、電極層36に設けられている。
【0027】
第1配線51は、第1抵抗体41と第2抵抗体42とを接続している。第1配線51は、セラミック基板41の短手方向(副走査方向)に延びている。
【0028】
第2配線52は、隣り合う2つの第2抵抗体42で挟まれて配置された2つの隣り合う第3抵抗体43を接続している。第2配線52は、セラミック基板33の短手方向(副走査方向)の第3抵抗体43よりも第1抵抗体41側に配置されている。第2抵抗体42は、一つの第3抵抗体43の端部からセラミック基板33の短手方向(副走査方向)に延びてから折り返して隣の第3抵抗体43の端部に戻っている。
【0029】
第1共通電極61は、第1抵抗体41の第1配線51とは反対側に接続されている。第1共通電極は、第1抵抗体41の第1配線51とは反対側でセラミック基板33の長手方向(主走査方向)に延びている。
【0030】
第2共通電極62は、第2配線52で接続された2つのうち第2抵抗体42に近い方の第3抵抗体43の第2配線52とは反対側に接続されている。第2共通電極62は、第3抵抗体43の第2配線52とは反対側でセラミック基板33の長手方向(主走査方向)に延びている。
【0031】
個別電極71は、第2抵抗体42の第1配線51とは反対側、および、第2配線52で接続された2つのうち第2共通電極62に接続されていない方の第3抵抗体43の第2配線52とは反対側に接続されている。個別電極71は、セラミック基板41の短手方向に(副走査方向)延びている。
【0032】
個別電極71の第2抵抗体42および第3抵抗体43とは反対側の端部には、接続パッド39が形成されている。接続パッド39は、第2共通電極62よりも第2抵抗体42および第3抵抗体43側に設けられている。
【0033】
第1共通電極61および第2共通電極62の端部には、接続パッド39が形成されている。第1共通電極61および第2共通電極62の端部の接続パッド39は、たとえば個別電極71の端部の接続パッド39とセラミック基板33の短手方向(副走査方向)の同じ位置に設けられている。
【0034】
個別電極71は、その端部の接続パッド39に接続されたボンディングワイヤ24を介して駆動素子23に接続されている。第1共通電極61および第2共通電極62は、それぞれの端部の接続パッド39に接続されたボンディングワイヤ24を介してスイッチ22に接続されている。スイッチ22には、電源26が接続されている。スイッチ22は、電源26を第1共通電極61または第2共通電極62に接続する。スイッチ22には、電源26を第1共通電極61および第2共通電極62のいずれにも接続しない状態があってもよい。
【0035】
第1抵抗体41と第2抵抗体42と第3抵抗体43とは、いずれも同じ幅で同じ長さである。したがって、いずれの抵抗値も同じである。第1抵抗体41と第2抵抗体42と第3抵抗体43との長さは、たとえばいずれも200μmである。
【0036】
また、直列に接続された第1抵抗体41および第2抵抗体42、あるいは、直列に接続された2つの第3抵抗体43に電源26の電圧が印加されるため、第1抵抗体41と第2抵抗体42と第3抵抗体43とのそれぞれは単位時間当たり同じ発熱量で発熱する。
【0037】
図5は、本実施の形態のサーマルプリントヘッドを用いたサーマルプリンタの断面図である。
【0038】
このサーマルプリンタは、サーマルプリントヘッド10と台座81と押し込み具83と2つのストッパ84,85とばね88と固定部87とプラテンローラ11とを有している。台座81は、シャフト86を中心として回動可能に設けられている。サーマルプリントヘッド10は、たとえば台座81を貫通してサーマルプリントヘッド10の放熱板20にねじ込まれたねじなどによって、台座81に固定されている。
【0039】
ばね88は、シャフト86を中心として回動する方向に台座81に付勢している。シャフト86は、グレーズ層34に形成された突条38の曲率中心に配置されていることが好ましい。
【0040】
押し込み具83は、台座81を押すことによって、シャフト86を中心して台座81を回動させる。2つのストッパ84,85は、ばね88によって付勢された台座81を所定の位置に止めるように設けられている。ストッパ84,85は、たとえば固定部87から上方に向かって延びる棒と、その棒の端部から台座81方向に突出する突起部とを有している。固定部87は、たとえばプリンタの筐体(図示せず)に固定されている。
【0041】
一方のストッパ84に台座81が係合した状態と、他方のストッパ85に台座81が係合した状態とのサーマルプリントヘッド10の姿勢の変化は、突条38の曲率中心と第1発熱領域31および第2発熱領域32とがなす角に等しくなるようにする。たとえば第1発熱領域31と第2発熱領域32とが、それぞれ突条38の曲率中心とを通る直線のなす角を7.5度とし、一方のストッパ84に台座81が係合した状態と他方のストッパ85に台座81が係合した状態とでサーマルプリントヘッド10の姿勢が7.5度変化するようにする。
【0042】
プラテンローラ11は、第1発熱領域31および第2発熱領域32に平行な回転軸12を中心として回転する弾性を持つ円柱である。プラテンローラ11の側面は、被印刷媒体13を挟んで第1発熱領域31または第2発熱領域32に押し付けられる。
【0043】
このサーマルプリントヘッド10を用いた印刷には、第1発熱領域31を用いる場合と、第2発熱領域32を用いる場合とがある。
【0044】
図6は、本実施の形態のサーマルプリントヘッドを用いたサーマルプリンタの第2発熱領域を用いて印刷する場合の姿勢を示す断面図である。
【0045】
第2発熱領域32を用いて印刷する場合には、押し込み具83によって台座81を固定部87に向かって押し込んで、ストッパ85に係合させる。これにより、台座81はシャフト86を中心に回動して、第2発熱領域32がプラテンローラ11の側面に押し付けられる。
【0046】
この状態で、スイッチ22を切り替えて、電源26と第1共通電極61とを接続する。その後、印画すべき位置の第1抵抗体41に接続された駆動素子23の端子をONとすることにより、第1抵抗体41に電流が流れる。その結果、第1抵抗体41が発熱し、所望の画像の1ライン分が印画される。また、プラテンローラ11あるいはその他の搬送手段を用いて被印刷媒体13を1ライン分副走査方向に搬送し、再び所望の画像の1ライン分を印画する。このような動作を繰り返すことによって、所望の画像が印画される。
【0047】
第1発熱領域31を用いて印刷する場合には、押し込み具83を引き戻し、ストッパ85を台座81と係合しない位置まで何らかの手段で移動させることにより、台座81はばね88による力で他のストッパ84と係合する位置まで回動する。これにより、第1発熱領域31がプラテンローラ11の側面に押し付けられる。
【0048】
この状態で、スイッチ22を切り替えて、電源26と第1共通電極61とを接続する。その後、印画すべき位置の第2抵抗体42に接続された駆動素子23の端子をONとすることにより、第2抵抗体42に電流が流れる。その結果、第2抵抗体42が発熱し、所望の位置に印画される。その後、被印刷媒体13を搬送しないまま、スイッチ22を切り替えて電源26と第2共通電極62とを接続する。その後、印画すべき位置の第3抵抗体43に接続された駆動素子23の端子をONとすることにより、第3抵抗体43に電流が流れる。その結果、第3抵抗体43が発熱し、所望の位置に印画される。
【0049】
このようにして、被印刷媒体13を移動させずにスイッチ22を第1共通電極61側および第2共通電極62側に切り替えて、2段階で所望の画像の1ライン分を印画する。その後、被印刷媒体13を1ライン分副走査方向に搬送し、再び所望の画像の1ライン分を印画する。このような動作を繰り返すことによって、所望の画像が印画される。
【0050】
第2発熱領域32は、独立して発熱する発熱抵抗体の数が第1発熱領域31に比べて多い。つまり、第2発熱領域32で印画したときの解像度は、第1発熱領域31で印画したときの解像度に比べて高い。
【0051】
このように本実施の形態のサーマルプリントヘッド10を用いると、解像度の異なる印画を一つのサーマルプリントヘッドで行うことができる。また、この際、スイッチ22を用いているため、低い解像度を印画するために必要な駆動素子23があればよい。その結果、サーマルプリントヘッド10を小型化したり、安価にすることができる。
【0052】
さらに、第1抵抗体41と第2抵抗体42と第3抵抗体43との抵抗値を同じとしているため、1種類の電源を用いても、発熱量を同じくすることができる。つまり、2種類の解像度を得るために2種類の電源を用いる必要がない。
【0053】
また、本実施の形態では、第2抵抗体42および第3抵抗体43を第1抵抗体41よりも、被印刷媒体13の搬送方向の下流側としているが、上流側としてもよい。つまり、第1発熱領域31および第2発熱領域32の副走査方向の位置を入れ替えてもよい。
【0054】
本実施の形態では、第1抵抗体41と第2抵抗体42と第3抵抗体43との幅および長さを同じとして抵抗値を同じにしているが、他の方法で同じとすることもできる。たとえば、第3抵抗体43の幅を第1抵抗体41および第2抵抗体42よりも小さくし、長さを第1抵抗体41および第2抵抗体42より短くしてもよい。これにより、第1抵抗体41あるいは第2抵抗体42の主走査方向の配列のピッチを小さくすることができるため、解像度を高めることができる。
【0055】
また、本実施の形態では、グレーズ層34に突条38を設けて、この突条38の表面に第1発熱領域31と第2発熱領域32とを形成している。しかし、突条38を形成しない、平坦なグレーズ層34の副走査方向の異なる位置に第1発熱領域31と第2発熱領域32を形成してもよい。この場合には、本実施の形態のような台座81の回動機構の代わりに、台座81が副走査方向の前後にスライドするスライド機構を用いればよい。
【0056】
本実施の形態では、解像度を変化させる場合には、発熱体板30の表面をプラテンローラ11の側面に押し付けたまま、サーマルプリントヘッド10を回動またはスライドさせている。しかし、一旦、サーマルプリントヘッド10をプラテンローラ11から離した状態で回転またはスライドさせてもよい。
【符号の説明】
【0057】
10…サーマルプリントヘッド、11…プラテンローラ、12…回転軸、13…被印刷媒体、20…放熱板、21…回路基板、22…スイッチ、23…駆動素子、24…ボンディングワイヤ、25…封止樹脂、26…電源、30…発熱体板、31…第1発熱領域、32…第2発熱領域、33…セラミック基板、34…グレーズ層、35…抵抗体層、36…電極層、37…保護膜層、38…突条、39…接続パッド、41…第1抵抗体、42…第2抵抗体、43…第3抵抗体、51…第1配線、52…第2配線、61…第1共通電極、62…第2共通電極、71…個別電極、81…台座、83…押し込み具、84…ストッパ、85…ストッパ、86…シャフト、87…固定部、88…ばね



【特許請求の範囲】
【請求項1】
主走査方向に延びる主面を持つ絶縁基板と、
前記主走査方向に垂直な副走査方向に延びる第1配線で接続された第1抵抗体および第2抵抗体と、前記第2抵抗体と副走査方向の同じ位置に設けられて前記副走査方向の同じ側が第2配線で接続された2つの第3抵抗体と、を備えて前記主面上で前記主走査方向に配列され、前記第1抵抗体が配列された第1発熱領域と前記第2抵抗体および前記第3抵抗体が配列された第2発熱領域を形成する複数の抵抗体群と、
前記第1抵抗体の前記第1配線とは反対側が接続された第1共通電極と、
前記第3抵抗体の一方の前記第2配線とは反対側が接続された第2共通電極と、
前記第2抵抗体および前記第2共通電極に接続されていない方の前記第3抵抗体に接続された個別電極と、
を具備することを特徴とするサーマルプリントヘッド。
【請求項2】
電源と、
前記第1共通電極および前記第2共通電極のいずれかに前記電源を接続するスイッチと、
前記個別電極に接続された駆動素子と、
を具備することを特徴とするサーマルプリントヘッド。
【請求項3】
前記絶縁基板には前記主走査方向に延びて頂部から前記副走査方向の両側に広がる斜面を持つ突条が形成されていて、
前記第1発熱領域および前記第2発熱領域はいずれも前記突条の表面に設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のサーマルプリントヘッド。
【請求項4】
前記第1発熱領域および前記第2発熱領域は前記突条の頂部および前記突条の前記個別電極から遠い方の斜面に設けられていることを特徴とする請求項2に記載のサーマルプリントヘッド。
【請求項5】
前記第1抵抗体と前記第2抵抗体と前記第3抵抗体とはいずれも抵抗値が同じであることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のサーマルプリントヘッド。
【請求項6】
隣り合う前記第2抵抗体と前記第3抵抗体との間隔および隣り合う前記第3抵抗体との間隔がすべて同じであって、前記第1抵抗体と前記第2抵抗体とは前記主走査方向の位置が同じであることを特徴とする請求項5に記載のサーマルプリントヘッド。
【請求項7】
前記第3抵抗体の幅が前記第2抵抗体よりも小さく、前記第3抵抗体の長さが前記第2抵抗体よりも長いことを特徴とする請求項5に記載のサーマルプリントヘッド。
【請求項8】
主走査方向に延びる主面を持つ絶縁基板と、前記主走査方向に垂直な副走査方向に延びる第1配線で接続された第1抵抗体および第2抵抗体と前記第2抵抗体と副走査方向の同じ位置に設けられて前記副走査方向の同じ側が第2配線で接続された2つの第3抵抗体とを備えて前記主面上で前記主走査方向に配列され前記第1抵抗体が配列された第1発熱領域と前記第2抵抗体および前記第3抵抗体が配列された第2発熱領域を形成する複数の抵抗体群と、前記第1抵抗体の前記第1配線とは反対側が接続された第1共通電極と、前記第3抵抗体の一方の前記第2配線とは反対側が接続された第2共通電極と、前記第2抵抗体および前記第2共通電極に接続されていない方の前記第3抵抗体に接続された個別電極と、を有するサーマルプリントヘッドと、
前記絶縁基板の長手方向に平行な回転軸の周りに回転するプラテンローラと、
前記サーマルプリントヘッドの姿勢を変化させて前記第1発熱領域および前記第2発熱領域のいずれかを前記プラテンローラに押し付ける姿勢調整機構と、
を具備することを特徴とするサーマルプリンタ。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−71272(P2013−71272A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−210137(P2011−210137)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000113322)東芝ホクト電子株式会社 (172)
【Fターム(参考)】