説明

サーマルヘッドプリンタ装置

【課題】 異なった特性の印画紙に印画する場合は、その印画紙の特性に適応した位置決め部材に交換する必要があり、使用者に装置の分解と位置決め部材交換という手間をかけてしまい、装置の利便性において劣るという問題があった。
【解決手段】 使用する印画紙2の特性に合わせて、印画紙2の搬送方向の向きを選択することで、搬送方向に略平行に移動自在に支持され、突起部12を有するヘッド保持部材10に保持されたサーマルヘッド1を移動させ、第1の位置決め部材13ないしは第2の位置決め部材14に突起部12が当接することにより、サーマルヘッド1の位置決めが為されるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、特性の異なる感熱紙等の印画紙にその特性に応じて適切な印字圧で印画するサーマルヘッドプリンタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
サーマルヘッドプリンタ装置では、厚さや硬さに係る特性が異なった印画紙に印画する際には、印画紙の特性が変わることで印字圧が変化して印字品質が悪化するのを防ぐために、プラテンローラのプラテン軸とサーマルヘッドの抵抗体との印画紙の印画時の搬送方向での位置関係を、各々の印画紙の特性に合わせた最適位置にセットする必要がある。
【0003】
そこで、従来のサーマルヘッドプリンタ装置においては、その印画紙の特性に対応した位置決め部材を別途用意し、各々の印画紙に合わせた最適位置にサーマルヘッドがセットされるようにしていた(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2004−122495号公報(第5〜6頁、第2図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、特許文献1に記載のサーマルヘッドプリンタ装置では、異なった特性の印画紙に印画するには、位置決め部材をその印画紙の特性に合わせて用意されたものに交換する必要があり、使用者がサーマルヘッドプリンタ装置を分解して位置決め部材を交換するという非常に手間のかかる作業を行うこととなり、装置の利便性において劣るという問題点があった。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するために為されたもので、厚さや硬さに係る特性が異なった印画紙に印刷する際にも、その印画紙に対応した適切な印字圧での印画処理を、手間をかけずに容易に行えるサーマルヘッドプリンタ装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係るサーマルヘッドプリンタ装置は、外周面に当接された印画紙を搬送するプラテンローラのプラテン軸が回動自在に支持されており、印画のための熱を発生する抵抗体を有するサーマルヘッドが、前記プラテンローラに対向して設けてあり、突起部を有するヘッド保持部材が、印画紙の印画時の搬送方向と略平行に移動自在に支持されるとともに、前記サーマルヘッドを保持するようにした。さらに、前記印画紙の印画時の搬送方向が第1の向きの場合に、前記突起部が第1の位置決め部材に当接して前記サーマルヘッドの移動を規制するようにするとともに、前記印画紙の印画時の搬送方向が前記第1の向きと逆方向の第2の向きの場合に、前記突起部が第2の位置決め部材に当接して前記サーマルヘッドの移動を規制するようにした。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、互いに特性の異なる第1の印画紙と第2の印画紙のいずれかに印画する際、第1の印画紙に対しては、第1の印画紙の搬送方向を第1の向きとして第1の位置決め部材でサーマルヘッドの位置決めを行い、第2の印画紙に対しては、第2の印画紙の搬送方向を第1の向きと逆方向の第2の向きとして第2の位置決め部材でサーマルヘッドの位置決めを行うようにしたので、使用者がサーマルヘッドプリンタ装置を分解して位置決め部材を交換するというような手間のかかる作業を必要とせずに、単に印画紙の搬送方向を替えて印画するだけで、特性の異なる2種類の印画紙に対応して適切な印字圧の印画処理を容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、この発明の実施の形態によるサーマルヘッドプリンタ装置を、印画紙が感熱性の場合を例として、厚さないしは硬さが互いに異なる第1の印画紙と第2の印画紙に印画する場合について説明する。ここで、第1の印画紙は厚さが小(ないしは硬さが小)の特性を有し、第2の印画紙は厚さが大(ないしは硬さが大)の特性を有する場合を例に説明する。
【0010】
実施の形態1.
図1は、この発明に係るサーマルヘッドプリンタ装置の実施の形態1の概略構成図である。
【0011】
当該サーマルヘッドプリンタ装置は、サーマルヘッド1を用いて、感熱性の印画紙2に熱が供給されることで印画されるようになっている。印画紙2は、サーマルヘッド1に対向して設けられたプラテンローラ3が装置本体の筐体(図示せず)に回動自在に支持されたプラテン軸4を軸芯として回転することで搬送され、印画時にはサーマルヘッド1が下降して印画紙2に圧接し、印画紙2をサーマルヘッド1とプラテンローラ3の間に所定の押圧で挟み込み、搬送されながらサーマルヘッド1からの熱が印画紙2に供給されて印画される。
【0012】
プラテン軸4にはプーリ5が直結されており、モータ6が回転するとベルト7を介して駆動力がプーリ5に伝達されてプラテンローラ3が回転する。
【0013】
当該サーマルヘッドプリンタ装置の使用者は、これから印画しようとする印画紙2が、厚さが小(ないしは硬さが小)の第1の印画紙であるか、それとも厚さが大(ないしは硬さが大)の第2の印画紙であるかを判別し、印画紙切換スイッチ8を手で選択する。印画紙切換スイッチ8の入力情報に基づいて、プリンタ制御部9はモータ6を駆動する。
【0014】
一方、サーマルヘッド1は、ヘッド保持部材10に保持されており、このヘッド保持部材10は、リニアガイド11に取り付けられることで、印画紙2の搬送方向と略平行に移動自在に支持されている。さらに、このヘッド保持部材10は、サーマルヘッド1の位置決めに用いる突起部12を有している。この突起部12が、装置本体の筐体(図示せず)に固定された第1の位置決め部材13又は第2の位置決め部材14に当接することで、サーマルヘッド1の位置決めができるようになっている。
【0015】
先ず最初に、印画紙2として、厚さが小(ないしは硬さが小)の第1の印画紙を用いた場合の当該サーマルヘッドプリンタ装置の動作について説明する。
【0016】
図2は、第1の印画紙を用いた場合の当該サーマルヘッドプリンタ装置の動作を説明するための構成図で、図1と同一符号は同一又は相当部分を示すので説明を省略する。
【0017】
第1の印画紙15を用いるために、使用者が、図1に記載の印画紙切換スイッチ8を第1の印画紙用に手でセットする。
【0018】
すると、当該サーマルヘッドプリンタ装置は、第1の印画紙15を給紙するために、まず給紙ローラ16a及び16bで、第1紙ガイド17を通過させた後、印画紙検出センサ18で、第1の印画紙15の先端の検知を行う。
【0019】
次に、第1の印画紙15の先端を検知したとの情報は、図1に記載のプリンタ制御部9に入力され、第1の印画紙15はプラテンローラ3の給紙位置まで搬送される。
【0020】
続いて、サーマルヘッド1を下降させて、第1の印画紙15をプラテンローラ3との間に挟持し、ヘッド押しバネ19で所定の圧で押圧しながら、図1に記載のモータ6を駆動してプラテンローラ3を矢印20のAの向きに回転させ、第1の印画紙15を印画時の搬送方向である第1の向き21とは逆方向に移動させる。
【0021】
印画紙検出センサ18が第1の印画紙15の後端を検知すると、プラテンローラ3の回転が一旦停止した後、今度は、プラテンローラ3を矢印20のBの向きに回転させ、第1の印画紙15を印画時の搬送方向である第1の向き21に搬送する。
【0022】
サーマルヘッド1を保持し、リニアガイド11に取り付けられて、印画紙の印画時の搬送方向と略平行に移動自在に支持されたヘッド保持部材10は、第1の印画紙15の搬送方向である第1の向き21と同じ向きに移動し、ヘッド保持部材10に設けられた突起部12が位置決め部材13に当接した時点で、サーマルヘッド1が位置決めされる。
【0023】
この時に、サーマルヘッド1を動作させて印画を開始するようにする。印画終了後は、プラテンローラ3を矢印20のBの向きに回転させて、第1の印画紙15を第2紙ガイド22aと第3紙ガイド22bの間に排紙させる。
【0024】
以下では、上記の第1の印画紙15への印画時の動作に関して、より詳細に説明する。
【0025】
図3は、第1の印画紙15を用いて印画する際の当該サーマルヘッドプリンタ装置の印画時の動作をより詳細に説明するための詳細構成図である。図1及び図2と同一符号は同一又は相当部分を示すので説明を省略する。
【0026】
第1の印画紙15が、給紙ローラ16a、16bで給紙され、印画時の搬送方向である第1の向き21とは逆方向に移動させられた後、図2に記載の印画紙検出センサ18で第1の印画紙15の後端を検知され、プラテンローラ3の回転が一旦停止した時点から、以下に説明する。
【0027】
第1の印画紙15は、プラテンローラ3を矢印20のBの向きに回転することで、印画時の搬送方向である第1の向き21に搬送される。
【0028】
この時、サーマルヘッド1は第1の印画紙15と圧接しているので、第1の向き21と同じ向きに付勢される。サーマルヘッド1はリニアガイド11に取り付けられて移動自在に支持されたヘッド保持部材10に保持されているので、第1の向き21と同じ向きに移動した後、ヘッド保持部材10に設けられた突起部12が装置本体の筐体(図示せず)に固定された第1の位置決め部材13に矢印23の先の位置で当接して、サーマルヘッド1の移動が規制されることで、第1の印画紙15の印画時の搬送方向に係るサーマルヘッド1の位置決めが行われる。
【0029】
なお、ここでは、第1の位置決め部材13は印画紙の搬送方向に対するプラテン軸4と矢印25の先の抵抗体位置との相対的な位置関係(オフセット)がL1=0となって一致して位置決めされるように筐体に固定されており、その状態で、図2に記載のヘッド押しバネ19によって、サーマルヘッド1の抵抗体24が第1の印画紙15に加える押圧の大きさ、つまり、印字圧は、第1の印画紙15に対して適切な印画ができるように調整されているものとする。
【0030】
従って、第1の印画紙15に対しては、第1の位置決め部材13でサーマルヘッド1が位置決めされた後に、抵抗体24に熱を発生させてプラテンローラ3の回転で第1の印画紙15を第1の向き21に搬送しながら印画すると、適切な印字圧のもとで印画品質が低下することなく良好な印画が可能である。
【0031】
次に、図1に記載の印画紙2として、厚さが大(ないしは硬さが大)の第2の印画紙を用いた場合の当該サーマルヘッドプリンタ装置の動作について説明する。
【0032】
図4は、第2の印画紙を用いた場合の当該サーマルヘッドプリンタ装置の動作を説明するための構成図で、図1及び図2と同一符号は同一又は相当部分を示すので説明を省略する。
【0033】
第2の印画紙26を用いるために、使用者が、図1に記載の印画紙切換スイッチ8を第2の印画紙用に手でセットする。
【0034】
すると、当該サーマルヘッドプリンタ装置は、第2の印画紙26を給紙するために、まず給紙ローラ16a及び16bで、第1紙ガイド17を通過させた後、印画紙検出センサ18で、第2の印画紙26の先端の検知を行う。
【0035】
次に、第2の印画紙26の先端を検知したとの情報は、図1に記載のプリンタ制御部9に入力され、第2の印画紙26はプラテンローラ3の給紙位置まで搬送される。
【0036】
続いて、サーマルヘッド1を下降させて、第2の印画紙26をプラテンローラ3との間に挟持し、ヘッド押しバネ19で所定の圧で押圧しながら、図1に記載のモータ6を駆動してプラテンローラ3を矢印27のAの向きに回転させ、第2の印画紙26を印画時の搬送方向である第2の向き28に搬送する。
【0037】
なお、ヘッド押しバネ19によるサーマルヘッド1に加える押圧の大きさは、図2に記載の第1の印画紙15に対して適切な印画ができるように調整されており、第2の印画紙26に対しては、新たに調整し直されていないものとする。
【0038】
サーマルヘッド1を保持し、リニアガイド11に取り付けられて、印画紙の印画時の搬送方向と略平行に移動自在に支持されたヘッド保持部材10は、第2の印画紙26の搬送方向である第2の向き28と同じ向きに移動し、ヘッド保持部材10に設けられた突起部12が位置決め部材14に当接した時点で、サーマルヘッド1が位置決めされる。
【0039】
この時に、サーマルヘッド1を動作させて印画を開始するようにする。印画終了後は、プラテンローラ3を矢印27のBの向きに回転させて、第2の印画紙26を第2紙ガイド22aと第3紙ガイド22bの間に排紙させる。
【0040】
以下では、上記の第2の印画紙26への印画時の動作に関して、より詳細に説明する。
【0041】
図5は、第2の印画紙26を用いて印画する際の当該サーマルヘッドプリンタ装置の印画時の動作をより詳細に説明するための詳細構成図である。図1及び図4と同一符号は同一又は相当部分を示すので説明を省略する。
【0042】
第2の印画紙26が、給紙ローラ16a、16bでプラテンローラ3の給紙位置まで搬送され、サーマルヘッド1を下降させて、第2の印画紙26をプラテンローラ3との間に挟持し、ヘッド押しバネ19で所定の圧で押圧した時点から以下に説明する。
【0043】
第2の印画紙26は、プラテンローラ3を矢印27のAの向きに回転することで、印画時の搬送方向である第2の向き28に搬送される。
【0044】
この時、サーマルヘッド1は第2の印画紙26と圧接しているので、第2の向き28と同じ向きに付勢される。サーマルヘッド1はリニアガイド11に取り付けられて移動自在に支持されたヘッド保持部材10に保持されているので、第2の向き28と同じ向きに移動した後、ヘッド保持部材10に設けられた突起部12が装置本体の筐体(図示せず)に固定された第2の位置決め部材14に矢印29の先の位置で当接して、サーマルヘッド1の移動が規制されることで、第2の印画紙26の印画時の搬送方向に係るサーマルヘッド1の位置決めが行われる。
【0045】
なお、第2の位置決め部材14は印画紙の搬送方向に対するプラテン軸4と矢印25の先の位置の抵抗体24との相対的な位置関係(オフセット)がL2離間して位置決めされるように筐体に固定されており、厚さが大(ないしは硬さが大)の第2の印画紙26に対しては適切な印画ができる位置関係となっている。
【0046】
図6は、図1に記載の印画紙2として、厚さが小(ないしは硬さが小)の第1の印画紙15を用いる場合と、厚さが大(ないしは硬さが大)の第2の印画紙26を用いる場合の当該サーマルヘッドプリンタ装置の動作を示したフローチャートである。図1〜図5と同一符号は同一又は相当部分を示すので説明を省略する。
【0047】
図6において、破線の菱形及び破線の矩形の部分は、使用者が行う行為を示している。つまり、ステップS01で印画をスタートする際に、使用者は、印画しようとする印画紙が第1の印画紙15であるか第2の印画紙26であるかを判別するS02を行い、第1の印画紙15を使用する場合は印画紙切換スイッチ8を第1の印画紙用に手でセットするS11を行い、第2の印画紙26を使用する場合は印画紙切換スイッチ8を第2の印画紙用に手でセットするS21を行う。
【0048】
以下は、既に上記で詳細に説明したのでここでは簡単に説明するが、第1の印画紙15を使用する場合は、S11の後、S12からS18までのステップを行ってS03で印画処理がストップとなる。同様に、第2の印画紙26を使用する場合は、S21の後、S22からS27までのステップを行ってS03で印画処理がストップとなる。
【0049】
以上のように、使用者が特性が互いに異なる2種類の印画紙を用いる場合に、使用者が印画しようとする印画紙がいずれの印画紙であるか使用者自身が判別し、印画紙切換スイッチ8を判別された印画紙用に手でセットすることで、装置を分解して位置決め部材を交換するような手間のかかる作業を行うこと無しに、判別された印画紙に対応して適切な印字圧の印画処理を行うことができる。
【0050】
また、第1の位置決め部材13ないしは第2の位置決め部材14でサーマルヘッド1の移動が規制されて位置決めされた後に、サーマルヘッド1の抵抗体24を発熱させて印画するようにしたので、位置決めが為されてない状態で印画されて印画品質が低下してしまうような問題が発生するのを抑制することができる。
【0051】
実施の形態2.
実施の形態1のサーマルヘッドプリンタ装置の例では、厚さないしは硬さの互いに異なる2種類の印画紙に対して、使用者が印画しようとする印画紙がいずれの印画紙であるか使用者自身が判別し、印画紙切換スイッチを手で切り替えるようにしているが、使用者が印画紙の種類を判別するのでは無く、印画紙特性検出部を設けて、自動的に印画しようとする印画紙の種類を判別するようにすれば、さらに、使用者の手間が減り、非常に操作性の良いサーマルヘッドプリンタ装置が実現できる。
【0052】
図7は、この発明に係るサーマルヘッドプリンタ装置の実施の形態2の概略構成図である。図1と同一符号は同一又は相当部分を示すので説明を省略する。
【0053】
当該サーマルヘッドプリンタ装置は、印画紙2の特性情報を取得するための印画紙特性検出部30を備えている。印画紙特性検出部30は、この印画紙2の特性情報に基づいて、印画紙2の印画時の搬送方向を選択する。プリンタ制御部9は、印画紙特性検出部30からの印画時の搬送方向に関する指示を受けて、その選択された搬送方向の向きで印画するようにモータ6を駆動する。
【0054】
図8は、印画紙に付されたマーク(図示せず)を検出するためのマーク画像検出器を備えた実施の形態2の構成図で、図7に記載の印画紙2として、第2の印画紙26を用いる場合を例に以下では説明する。また、図4と同一符号は同一又は相当部分を示すので説明を省略する。
【0055】
なお、マークとしては、形状の異なる例えば文字パターンやバーコードパターンであっても、色の異なる例えば赤や青の着色パターンであっても、形状と色を組み合わせたようなものであっても、ともかく、CCDセンサのような画像素子で識別できるものであれば何でも良い。
【0056】
当該サーマルヘッドプリンタ装置は、図7に記載の印画紙2を給紙するために、まず給紙ローラ16a及び16bで、印画紙2の第1紙ガイド17を通過させた後、印画紙検出センサ18で印画紙2の先端の検知を行う。
【0057】
次に、印画紙2の先端を検知したとの情報は、図7に記載のプリンタ制御部9に入力され、印画紙2はプラテンローラ3の給紙位置まで搬送される。
【0058】
続いて、マーク画像検出器31で印画紙2に付されたマーク(図示せず)を検出し、その検出信号に基づいて印画紙特性検出部30で印画紙2が第1の印画紙15であるか第2の印画紙26であるかを判別して、プリンタ制御部9に第1の向き21に搬送して印画するのか第2の向き28に搬送して印画するのかを指示する。この例では、印画紙2は第2の印画紙26であるとしているので、プリンタ制御部9に第2の向き28に搬送して印画するように指示されることとなる。
【0059】
図9は、マーク画像検出器31からの検出信号に基づいてプリンタ制御部9に指示を与える印画紙特性検出部30を備える当該サーマルヘッドプリンタ装置の動作を示したフローチャートである。図2、図7及び図8と同一符号は同一又は相当部分を示すので説明を省略する。
【0060】
図9においては、図6に示したこの発明に係るサーマルヘッドプリンタ装置の実施の形態1の場合と異なり、使用者は印画しようとする印画紙2をサーマルヘッドプリンタ装置に単に供給するだけで、印画紙2が第1の印画紙15であるか第2の印画紙26であるかを自動的に判別するようになっており、判別した結果に基づいて、印画紙切換スイッチ8を手でセットするといった、使用者自身が行う作業が不要となっているので、大幅に操作性が向上している。
【0061】
図9においては、S31で印画をスタートするとして、使用者が印画しようとする印画紙2を当該サーマルヘッドプリンタ装置に供給すると、まず、給紙ローラ16a、16bで印画紙2が給紙されるS32が行われ、印画紙検出センサ18で、印画紙2の先端を検知した後、プラテンローラ3の給紙位置まで搬送されるS33が行われる。
【0062】
続いて、印画紙特性検出部30に接続されたマーク画像検出器31で印画紙2に付されたマーク(図示せず)が検出されるS34が行われ、その検出信号に基づいて、印画紙特性検出部30で印画紙2が第1の印画紙15であるか第2の印画紙26であるかを判別するS35が行われる。この例では印画紙2が第2の印画紙26であると判別される。
【0063】
この後は、図6に示したこの発明に係るサーマルヘッドプリンタ装置の実施の形態1の場合のフローチャートと同様に、印画紙2が第1の印画紙15である場合は、S41からS45を行い、印画紙2が第2の印画紙26である場合は、S51からS54を行い、S36で印画作業がストップとなる。この例では、印画紙2が第2の印画紙26であるとしているので、第2の向きで印画されるS51からS54が行われる。
【0064】
以上のように、マーク画像検出器が印画紙に付されたマークを検出し、その検出信号に基づいて、印画紙特性検出部が印画紙の種類を判別するようにしたので、使用者自身が印画しようとする印画紙の種類を判別すること無しに、自動的に判別されて、使用者の手間が減り、非常に操作性の良いサーマルヘッドプリンタ装置が実現できる。
【0065】
実施の形態3.
実施の形態2のサーマルヘッドプリンタ装置の例では、印画紙2の特性を検出するために、印画紙に付されたマークを検出するマーク画像検出器を用いた場合を示したが、印画紙のマークを検出する代わりに、印画紙自体の材質の光学特性を検出して印画紙の種類を判別するようにしても良い。
【0066】
図10は、印画紙2自体の材質の光学特性を検出するための検出光源と透過光検出器を備えた実施の形態3の構成図である。図8と同一符号は同一又は相当部分を示すので説明を省略する。
【0067】
印画紙の種類としては、例えば、第1の印画紙が厚さが小(ないしは硬さが小)であるが光を透過しないパルプ紙であり、第2の印画紙が厚さが大(ないしは硬さが大)であるが光を透過する、例えばレントゲン写真のようなプラスチックフィルム紙である場合を例に以下に説明する。また、使用者は、これから印画しようとする印画紙2として、第2の印画紙26を供給するものとして説明する。
【0068】
当該サーマルヘッドプリンタ装置は、プラテンローラ3の給紙位置まで搬送された印画紙2に対して、検出光源32から出射される光ビーム33を印画紙2に当て、透過してくる光ビーム33を透過光検出器34で検出する。この例では、印画紙2は第2の印画紙26である光を透過するプラスチックフィルム紙としているので、透過光検出器34では透過光が検出されて、その検出信号に基づいて印画紙特性検出部30では印画紙2が第2の印画紙26であると自動的に判別される。一方、もし印画紙2が第1の印画紙15であれば、第1の印画紙15は光を透過しないパルプ紙であるので、透過光検出器34では光ビーム33を検出できず、印画紙2が第1の印画紙15であると判別されることとなる。
【0069】
以上のように、印画紙検出部が印画紙自体の光学特性を検出して印画紙の種類を判別するようにしたので、使用者自身が印画しようとする印画紙の種類を判別すること無しに、自動的に判別されて、使用者の手間が減り、非常に操作性の良いサーマルヘッドプリンタ装置が実現できる。
【0070】
なお、この発明に係るサーマルヘッドプリンタ装置の実施の形態1、実施の形態2、及び、実施の形態3においては、いずれも印画紙が感熱性の場合についてのみ説明したが、印画紙が感熱性の無いタイプのものである場合でも、印画紙の上に感熱インク紙を重ねて印画すれば、この発明に係るサーマルヘッドプリンタ装置を使用でき、同様の効果を得ることができることは言うまでも無い。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】この発明に係るサーマルヘッドプリンタ装置の実施の形態1の概略構成図である。
【図2】実施の形態1での第1の印画紙を用いた場合の動作を説明するための構成図である。
【図3】実施の形態1での第1の印画紙を用いた場合の動作をより詳細に説明するための詳細構成図である。
【図4】実施の形態1での第2の印画紙を用いた場合の動作を説明するための構成図である。
【図5】実施の形態1での第2の印画紙を用いた場合の動作をより詳細に説明するための詳細構成図である。
【図6】この発明に係るサーマルヘッドプリンタ装置の実施の形態1の動作を表すフローチャートである。
【図7】この発明に係るサーマルヘッドプリンタ装置の実施の形態2の概略構成図である。
【図8】実施の形態2でのマーク画像検出器を備えた場合の動作を説明するための構成図である。
【図9】この発明に係るサーマルヘッドプリンタ装置の実施の形態2でのマーク画像検出器を備えた場合の動作を表すフローチャートである。
【図10】この発明に係るサーマルヘッドプリンタ装置の実施の形態3の動作を説明するための構成図である。
【符号の説明】
【0072】
1 サーマルヘッド
2 印画紙
3 プラテンローラ
4 プラテン軸
10 ヘッド保持部材
12 突起部
13 第1の位置決め部材
14 第2の位置決め部材
21 第1の向き
24 抵抗体
28 第2の向き
30 印画紙特性検出部
31 マーク画像検出器
32 検出光源
34 透過光検出器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラテン軸が回動自在に支持され、外周面に当接された印画紙を搬送するプラテンローラと、
前記プラテンローラに対向して設けられ、印画のための熱を発生する抵抗体を有するサーマルヘッドと、
前記サーマルヘッドを保持し、前記印画紙の印画時の搬送方向と略平行に移動自在に支持され、突起部を有するヘッド保持部材と、
前記印画紙の印画時の搬送方向が第1の向きの場合に、前記突起部が当接して前記サーマルヘッドの移動を規制する第1の位置決め部材と、
前記印画紙の搬送方向が前記第1の向きと逆方向の第2の向きの場合に、前記突起部が当接して前記サーマルヘッドの移動を規制する第2の位置決め部材と、
を備えることを特徴とするサーマルヘッドプリンタ装置。
【請求項2】
抵抗体が、サーマルヘッドの移動が規制された後に、熱を発生することを特徴とする請求項1に記載のサーマルヘッドプリンタ装置。
【請求項3】
印画紙の特性情報に基づいて前記印画紙の搬送方向を第1の向きと第2の向きのいずれにするかを選択するための前記印画紙の特性情報を取得する印画紙特性検出部を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のサーマルヘッドプリンタ装置。
【請求項4】
印画紙特性検出部が、印画紙に付されたマークを検出することを特徴とする請求項3に記載のサーマルヘッドプリンタ装置。
【請求項5】
印画紙特性検出部が、印画紙の材質の光学特性を検出することを特徴とする請求項3に記載のサーマルヘッドプリンタ装置。
【請求項6】
印画紙が感熱性を有さない場合は、前記印画紙上に感熱インク紙を重ねて印画することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のサーマルヘッドプリンタ装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2007−83482(P2007−83482A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−273545(P2005−273545)
【出願日】平成17年9月21日(2005.9.21)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】