説明

シアン汚染土の浄化システム

【課題】シアン汚染土からのシアンの除去効果が高く、廃棄処分土量の低減を図ることのできるシアン汚染土の浄化システムを提供すること。
【解決手段】シアン汚染土からシアンを分離除去して浄化土を得る、シアン汚染土の浄化装置10であって、シアン汚染土が投入されるとともに、少なくとも粗粒土S1,S2と細粒土S3を分離する篩1,2を備えた篩装置4と、無機鉄化合物と無機銅化合物が溶媒内で溶解されてなる洗浄液CSを収容し、これを少なくとも篩1,2に提供する洗浄液提供装置9と、を少なくとも備え、それぞれの篩1,2上でシアン汚染土中のシアンと洗浄液成分とからなる不溶性塩を生成し、該不溶性塩をすすぎ洗浄して該篩1,2上で浄化土を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シアン汚染土からシアンを除去分離して浄化土を得る、シアン汚染土の浄化システムに関する。
【背景技術】
【0002】
各種化学工場跡地や薬品工場跡地、部品工場、金属精錬工場、めっき工場等の跡地を造成して新規建物を建設するに当たり、昨今、工場内からの汚染物質によって汚染された汚染土の汚染の程度評価やその処理に多大の時間と費用を要していることはよく知られるところである。
【0003】
汚染物質の中でも各種工場からの廃水中に含まれるシアン化合物で汚染された土壌に含まれるシアンは強い毒性を有することから、従来は、シアン汚染領域を特定して汚染領域の土砂を掘削除去する方法や、汚染領域をシートパイルや地中連壁等で封じ込める方法などが用いられている。
【0004】
しかし、汚染領域を掘削して汚染土を廃棄処分する方法では、廃棄処分場等の確保が年々困難な状況となっている我が国においては好ましい処理方法とはいい難く、また、汚染領域を囲ってシアンの地中拡散を抑制する方法では、汚染物質が依然として地中に留まることから抜本的な除去対策、浄化対策とは言えず、残存する汚染土処理の問題は依然として残ってしまう。
【0005】
ここで、汚染土の浄化方法に関する従来の公開技術として、特許文献1で開示される土壌分級と洗浄液による浄化を組み合わせた浄化装置を挙げることができる。より具体的には、この土壌洗浄装置は、汚染された汚染土壌に洗浄液を混合する混合装置と、混合物をフルイで粗粒土壌と細粒土壌に分級するとともに、篩上の粗粒土壌に放水手段で間欠的に放水することによってすすぎ処理する分級・すすぎ装置と、を備えるものである。この技術を適用することにより、すすぎ処理の消費水量を減少させることができ、装置を小型化できる、としている。
【0006】
しかし、本発明者等によれば、汚染土が上記するシアン汚染土である場合に、このシアン汚染土を分級洗浄した際に、分級された土(たとえば含水率が20%程度である)に付着する洗浄水中に水溶性のシアンが含まれ、この含有シアンによって洗浄効果は低下し、実際には大きな洗浄効果が期待し難いことが特定されている。
【0007】
ところで、シアン汚染土の浄化方法に関する従来の公開技術も存在しており、たとえば特許文献2に開示の土壌洗浄装置を挙げることができる。より具体的には、この土壌洗浄装置は、汚染土壌を土壌洗浄装置の土砂ホッパーに投入して一時的に蓄え、土砂ホッパーに一時的に蓄えられた汚染土壌を土砂定量供給装置で一定量ずつ計量して混合装置に供給し、混合装置に浄化剤定量供給装置から酸化カルシウムを汚染土壌に対して重量比で10〜20%計量して供給し、供給された汚染土壌と酸化カルシウムを混合し、一定時間放置した後に混合処理土として回収するものである。
【0008】
しかし、本発明者等によれば、上記する汚染浄化装置を適用したとしても、実際にシアンは浄化されるわけではなく不溶化されるだけであり、処理土中に依然としてシアンが残存することから、廃棄処理土量の効果的な低減を図るまでには至らない。
【0009】
なお、重金属類の土壌汚染物質は一般に、吸着等によって土壌細粒分の表面に多く存在することから、上記する公開技術をはじめとする従来の汚染土壌法では、湿式分級による細粒分の分離、すなわち分級洗浄によって土壌を浄化する方法が用いられている。しかし、汚染物質がシアンの場合には、シアンの水への溶解度が大きく、土壌細粒分に吸着し難い鉄シアノ錯体として存在していることが多い。そのため、単に分級洗浄するのみでは、土壌表面に依然としてシアンが付着したまま残存することが往々にしてあり、十分なシアン除去効果が期待できるものとはなっていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2008−80181号公報
【特許文献2】特開2006−175389号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明のシアン汚染土の浄化システムは、上記する問題に鑑みてなされたものであり、シアン汚染土からのシアンの除去効果が高く、廃棄処分土量の低減を図ることのできるシアン汚染土の浄化システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的を達成すべく、本発明によるシアン汚染土の浄化システムは、シアン汚染土からシアンを分離除去して浄化土を得る、シアン汚染土の浄化装置であって、シアン汚染土が投入されるとともに、少なくとも粗粒土と細粒土を分離する篩を備えた篩装置と、無機鉄化合物と無機銅化合物が溶媒内で溶解されてなる洗浄液を収容し、これを少なくとも前記篩に提供する洗浄液提供装置と、を少なくとも備え、それぞれの前記篩上でシアン汚染土中のシアンと洗浄液成分とからなる不溶性塩を生成し、該不溶性塩をすすぎ洗浄して該篩上で浄化土を得るものである。
【0013】
本発明の浄化システムはシアン汚染土をその浄化対象とし、より具体的には、シアン汚染土を細粒土と粗粒度に分級し、少なくとも粗粒土からはシアンを除去して浄化土を得るシステムであり、分級洗浄技術と、シアン特有の化学的性質を利用した水処理技術を組み合わせて、シアン汚染土の特に粗粒土から付着シアンを効果的に除去して浄化土とし、シアンを含む廃棄処分土量を格段に低減することをその主たる目的としたものである。
【0014】
ここで、粗粒土と細粒土の境界篩目は、その寸法:φがたとえば0.075mmであり、この寸法の篩目にて篩上に残存する土壌を粗粒土と規定する。
【0015】
なお、この篩装置では、寸法の異なる2種以上の篩目を具備する篩が直列的に配され、粒径の異なる2種以上の粗粒土がそれぞれに固有の篩上で浄化されて浄化土とされる形態が適用されてもよい。また、この篩装置が適宜の自動振動機構(加振機など)を有しているのが好ましく、その上下振動や左右振動、さらにはそれらの組み合わせ振動などの振動態様の調整や、振動数等が自動調整されるのがよい。
【0016】
たとえば、粗粒土を相対的に大粒径のもの(0.15mm以上のものなど)と、これ以下の相対的に小粒径の粗粒土とに分級するように2種の篩を直列に配した形態などを挙げることができる。ここで、粒径の異なる2種以上の篩目を具備する篩がたとえば篩装置の一箇所に集合されていて、管理者による篩の種類選定によって自動的に選定された複数の篩が移動し、かつ、所定の離間をおいて直列配置されて洗浄液による洗浄位置に位置決めされるような制御機構を具備するものであってもよい。
【0017】
本発明の浄化システムはさらに、還元性の無機鉄化合物と無機銅化合物が溶媒内で溶解されてなる洗浄液を収容し、これを少なくとも上記する1以上の篩に提供する洗浄液提供装置を備えている。
【0018】
本発明者等は、シアンが無機鉄化合物や無機銅化合物と不溶性塩を生成して溶媒中で沈降するという化学特性を有することに注目し、この無機鉄化合物および無機銅化合物が溶媒内で溶解されてなる洗浄液を篩上のシアン汚染土に提供して不溶性塩を生成させ、すすぎ洗浄で使用される溶媒中に不溶性塩を析出させながら粗粒土からシアンを効果的に除去分離する本発明のシステムの発案に至ったものである。
【0019】
なお、すすぎ洗浄では、水道水や清水を使用できることのほかに、無機鉄化合物と無機銅化合物が溶媒内で溶解されてなる上記する洗浄液を使用してもよく、すすぎ洗浄にも該洗浄液を使用する方がより一層高いシアン除去効果を期待できる。
【0020】
また、上記する無機鉄化合物としては硫酸第一鉄(硫酸第一鉄七水和物を含む)を、上記する無機銅化合物としては硫酸銅を、それぞれ使用することができる。
【0021】
ここで、本発明者等によれば、上記する洗浄液において、無機銅化合物を形成する銅の濃度は、無機鉄化合物を形成する鉄の濃度に比して1〜1.6倍の範囲に調合されているのが浄化効果の観点から好ましいとの検証結果が得られている。
【0022】
また、本発明によるシアン汚染土の浄化システムの好ましい実施の形態は、前記洗浄液を高圧で前記篩上のシアン汚染土に提供し、該洗浄液にキャビテーションを発生させるようになっているものである。
【0023】
洗浄液を高圧でシアン汚染土に提供し、この際に篩を振動させる等してシアン汚染土と高圧噴射された洗浄液を混合することにより、洗浄液中にキャビテーションを発生させるようにシステムが調整されていることで(すなわち、キャビテーションが生じるように、洗浄液の提供圧力、もしくはこれに加えて篩の振動数が調整される)、シアン汚染土を磨砕・洗浄しながら、この段階でシアンの一部を粗粒土から除去することが可能となる。したがって、その後のすすぎ洗浄によって除去されるシアン量が低減されることから、シアン除去効果をより一層高めることができる。
【0024】
なお、本発明によるシアン汚染土の浄化システムは、上記する篩装置にて分級された細粒土と不溶性塩とから、非汚染溶媒と、細粒土および不溶性塩からなる脱水ケーキと、を分離する分離装置をさらに備えていてもよく、この形態ではさらに、脱水ケーキと分離された非汚染溶媒が新規な洗浄液の生成に転用されるようになっているのが好ましい。
【0025】
この形態では、粗粒土から除去されたシアンからなる不溶性塩と細粒土が分離装置に提供され、この分離装置内でたとえば濁水処理を経てその上澄み水(上記する非汚染溶媒)を分離し、これを新規な洗浄液の生成に転用するようになっている。一方、濁水処理を経た後の沈降スラリーを脱水処理して脱水ケーキとろ過水(上記する非汚染溶媒)に分離し、脱水ケーキは廃棄物処理に回すとともに、ろ過水は上記する上澄み水と同様に新規な洗浄液の生成に転用されるようになっていてもよい。
【発明の効果】
【0026】
以上の説明から理解できるように、本発明のシアン汚染土の浄化システムによれば、分級洗浄技術と、シアン特有の化学的性質を利用した水処理技術を組み合わせて、シアン汚染土の特に粗粒土から付着シアンを効果的に除去して浄化土を得ることができ、さらには、シアンを含む廃棄処分土量を格段に低減することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の浄化システムの一実施の形態の模式図である。
【図2】本発明の浄化システムによる浄化フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。なお、図示する浄化システムにおいては、該システムを構成する篩装置に関し、ホッパー内に2種類の篩が振動自在に装備された形態を示しているが、1次洗浄する篩としてSPS(砂洗浄分級装置:サンドピュアーシステム)を適用し、2次洗浄する篩としてハイメッシュセパレータを適用するシステム形態であってもよい。
【0029】
図1は、本発明の浄化システムの一実施の形態の模式図であり、図2は、本発明の浄化システムによる浄化フロー図である。
【0030】
図示する浄化システム10は、シアン汚染土からシアンを分離除去して浄化土を得るためのシステムであり、その構成は、シアン汚染土が投入されるとともに、少なくとも粗粒土と細粒土を分離する2種類の篩1,2を備えた篩装置4と、洗浄液CSを収容する容器6とこれを流通させる配管系7、および洗浄液CSをシアン汚染土にシャワー噴射するシャワー洗浄機8とからなる洗浄液提供装置9と、から大略構成されている。
【0031】
篩装置4は、たとえば図示のようなホッパー3のキャビティに、鉛直方向に直列的に2種類の篩1,2が該キャビティに対して相対移動自在に装着されており、不図示の加振機にて篩1,2が左右方向(Y1方向)、上下方向などに振動自在となっている。
【0032】
また、相対的に上方に位置する篩1の篩目1aの寸法は、下方に位置する篩2の篩目2aの寸法に比して大径となっており、たとえば、篩目1aの寸法をφ:0.15mm、篩目2aの寸法をφ:0.075mmに設定することにより、それらの振動によって、篩1上に粒径が0.15mm以上の粗粒土S1を残し、篩2上に粒径が0.075mm以上の粗粒土S2を残し、これよりも小径の細粒土S3をホッパー3より下方に落下させることができる(X3方向)。
【0033】
一方、洗浄液提供装置9は、洗浄液CSを生成してこれを収容する容器6より、配管系7を介して(X1方向)シャワー洗浄機8より篩1上に載置されたシアン汚染土に洗浄液CSを噴射するものである(X2方向)。
【0034】
ここで、容器6内で生成される洗浄液CSは、無機鉄化合物と無機銅化合物が水等の溶媒内で溶解されたものであり、この無機鉄化合物として硫酸第一鉄を、無機銅化合物として硫酸銅をそれぞれ使用することができる。
【0035】
シアンは硫酸第一鉄や硫酸銅と不溶性塩を生成し、洗浄液CSを形成する溶媒中に沈降する。そして、すすぎ洗浄により、溶媒内に沈降したシアンと細粒土S3がとともにホッパー下方へ流下し(X3方向)、さらに不図示の濁水装置に通じる配管系5を介して流下することとなる(X4方向)。
【0036】
以下、図2で示す浄化フローに沿って、本発明の浄化システム10を適用してなる浄化方法を詳述する。なお、同図において、実線は土の流れを、点線は液体(溶媒、洗浄液、水)の流れを示している。
【0037】
硫酸第一鉄と硫酸銅を溶媒(水)へ溶解させて洗浄液CSを生成し(ステップS2)、ホッパー3内へシアン汚染土を投入して(ステップS1)、振動姿勢の篩1,2にて該篩1,2上に所望径でシアンが付着した粗粒土S1、S2を残存させた状態で、洗浄液CSを篩1,2上のシアン付着粗粒土S1,S2に対してシャワー噴射(提供)する(ステップS3)。
【0038】
洗浄液CSが噴射されると、まず、上方の粗粒土S1が1次洗浄され(ステップS4)、次いで、下方の粗粒土S2が2次洗浄される(ステップS5)。ここで、この粗粒土S1,S2に対する1次洗浄および2次洗浄により、シアンが硫酸第一鉄や硫酸銅と不溶性塩を生成し、洗浄液CSを形成する溶媒中に沈降しながら、篩目1a,2aを介して細粒土S3とともにホッパー下方へ流下する。
【0039】
ここで、この1次洗浄、2次洗浄の際に、洗浄液CS中にキャビテーションを発生させるように、シャワー洗浄機8の提供圧力や、必要な場合には篩1,2の振動数等が調整されるのがよい。発生するキャビテーションにてシアン汚染土を磨砕・洗浄しながら、この段階(1次洗浄および2次洗浄)で、シアンの一部を粗粒土S1,S2から除去することが可能となるからである。
【0040】
次いで、1次洗浄および2次洗浄された粗粒土S1,S2に対してさらに洗浄液CSもしくは清水を提供してすすぎ洗浄することにより(ステップS6)、相対的に大径の浄化土1と小径の浄化土2がそれぞれ得られる(ステップS7,S8)。これらの浄化土1,2はともに、粒径が0.075mm以上の粗粒土からなるものであり、主に埋戻土として使用される。
【0041】
一方、篩目1a,2aを介して下方へ流下したシアンの不溶性塩と細粒土S3は、濁水処理を経て(ステップS9)、細粒土の凝集沈殿とシアン紺青法処理が実施され、沈降スラリーが生成されるとともに(ステップS10)、その上澄み水が分離される(ステップS13)。
【0042】
沈降スラリーには脱水処理が実施されて(ステップS11)、細粒土とシアン不溶性塩からなる脱水ケーキが生成され、これは廃棄物処理される(ステップS12)。
【0043】
この廃棄物処理においては、粗粒土S1,S2が浄化土1,2として再利用可能とされ、その残余分量のみを処分すればよいことから、当初のシアン汚染土に比して廃棄物処理されるべき汚染土量は格段に低減される。
【0044】
また、上記する脱水処理にてろ過水が分離され(ステップS14)、このろ過水と上記する上澄み水はともに、別途の洗浄液の生成に利用されるようになっている。
【0045】
なお、利用できない上澄み水等の一部は、放流確認水槽を経て活性炭処理等され、完全に浄化されて排水される(ステップS15)。
【0046】
このように、本発明の浄化システムを利用した浄化処理方法によれば、シアンが無機鉄化合物や無機銅化合物と不溶性塩を生成して溶媒中で沈降するという化学特性を利用した洗浄分級を適用することにから、シアンが完全に除去された、もしくはシアン濃度の極めて低い浄化土を得ることができ、さらには、シアンを含む廃棄物処分量を従来の洗浄分級法などに比して大幅に低減することができるものである。
【0047】
[室内および現地プラントにおける浄化試験とその結果]
本発明者等は、上記する本発明による浄化システムを適用してなる浄化方法と、従来の浄化方法それぞれによってシアン汚染土を浄化し、洗浄後の洗浄土と洗浄液中のシアン濃度を測定して双方の比較を試みた。なお、本試験は、室内と現地プラントの双方で実施している。
【0048】
ここで、室内試験において、本発明による浄化システムを適用してなる浄化方法(実施例1)にて使用される浄化液は、蒸留水中に添加する硫酸第一鉄中の鉄濃度を200mg/L、硫酸銅中の銅濃度を240mg/Lとして生成したものである(銅が鉄の1.2倍の濃度)。一方、従来の浄化方法(比較例1)は、蒸留水のみで洗浄する方法を適用している。
【0049】
一方、現地プラント試験において、本発明による浄化システムを適用してなる浄化方法(実施例2)にて使用される浄化液は、水道水中に添加する硫酸第一鉄中の鉄濃度を40mg/L、硫酸銅中の銅濃度を64mg/Lとして生成したものである(銅が鉄の1.6倍の濃度)。これに対して、従来の浄化方法(比較例2)は、水道水のみで洗浄する方法を適用している。
【0050】
以下、表1は室内試験の結果を、表2は現地プラント試験の結果をそれぞれ示している。
【0051】
【表1】

【0052】
【表2】

【0053】
室内試験の結果を示す表1より、実施例1は比較例1に比して、洗浄土に関しては9倍程度もの洗浄効果の向上が図られ、洗浄液に関しては4300倍程度もの洗浄液中の濃度低減が図られることが実証されている。
【0054】
一方、現地プラント試験の結果を示す表2より、実施例2は比較例2に比して、洗浄土に関しては1.5倍程度もの洗浄効果の向上が図られ、洗浄液に関しては8倍程度もの洗浄液中の濃度低減が図られることが実証されている。
【0055】
これら室内試験および屋外のオンサイトでの試験より、本発明の浄化システムを用いた浄化方法を適用することで、従来の浄化システムおよび浄化方法に対してシアン洗浄効果の大幅な向上が期待できることが実証され、シアン汚染土に対する有用な浄化技術としてその広範な利用が期待できるものである。
【0056】
以上、本発明の実施の形態を図面を用いて詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0057】
1…1次篩、1a…篩目、2…2次篩、2a…篩目、3…ホッパー、4…篩装置、6…混合容器、8…シャワー洗浄機,9…洗浄液提供装置、10…浄化システム、CS…洗浄液、S1、S2…粗粒土、S3…細粒土

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シアン汚染土からシアンを分離除去して浄化土を得る、シアン汚染土の浄化装置であって、
シアン汚染土が投入されるとともに、少なくとも粗粒土と細粒土を分離する篩を備えた篩装置と、
無機鉄化合物と無機銅化合物が溶媒内で溶解されてなる洗浄液を収容し、これを少なくとも前記篩に提供する洗浄液提供装置と、を少なくとも備え、
それぞれの前記篩上でシアン汚染土中のシアンと洗浄液成分とからなる不溶性塩を生成し、該不溶性塩をすすぎ洗浄して該篩上で浄化土を得る、シアン汚染土の浄化システム。
【請求項2】
前記洗浄液を高圧で前記篩上のシアン汚染土に提供し、該洗浄液にキャビテーションを発生させるようになっている、請求項1に記載のシアン汚染土の浄化システム。
【請求項3】
寸法の異なる2種以上の篩目を具備する篩が鉛直方向に直列的に配され、粒径の異なる2種以上の粗粒土がそれぞれに固有の篩上で浄化されて浄化土とされる、請求項1または2に記載のシアン汚染土の浄化システム。
【請求項4】
前記無機鉄化合物が硫酸第一鉄であり、前記無機銅化合物が硫酸銅である、請求項1〜3のいずれかに記載のシアン汚染土の浄化システム。
【請求項5】
前記洗浄液において、前記無機銅化合物を形成する銅の濃度は、前記無機鉄化合物を形成する鉄の濃度に比して1〜1.6倍の範囲に調合されている、請求項1〜4のいずれかに記載のシアン汚染土の浄化システム。
【請求項6】
前記浄化システムは、前記篩装置にて分級された細粒土と前記不溶性塩とから、非汚染溶媒と、細粒土および不溶性塩からなる脱水ケーキと、を分離する分離装置をさらに備え、
脱水ケーキと分離された前記非汚染溶媒が新規な前記洗浄液の生成に転用されるようになっている、請求項1〜5のいずれかに記載のシアン汚染土の浄化システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−230090(P2011−230090A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−104845(P2010−104845)
【出願日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【出願人】(000206211)大成建設株式会社 (1,602)
【出願人】(000221834)東邦瓦斯株式会社 (440)
【Fターム(参考)】