説明

シェード装置

【課題】本発明は、シェードの収納状態でスリットを全体的に塞ぐことを目的とする。
【解決手段】軸周りに回動可能に支持された巻取シャフト34を有する巻取装置30と、対向する短辺端部と長辺端部とを有し、長辺端部が巻取シャフト34に取り付けられ、巻取装置30に対してスリット4を通じて引出収納可能なシェード20と、シェード20の短辺端部に取り付けられたステイ40と、スリット4を部分的に塞ぐ閉位置と、スリット4を開放する開位置との間で移動可能なカバー体50と、巻取シャフト34の回動に連動してカバー体50を開位置と閉位置との間で移動可能に構成され、シェード20の収納状態において、ステイ40とカバー体50とによってスリット4を塞ぐようにカバー体50を閉位置に移動させる連動機構60とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
シェードによりウインドウを遮蔽する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
シェード装置は、ウインドウの周辺部材(例えば自動車では内装材)の内部に収容されることがあり、この場合、当該周辺部材にスリットが形成されてこのスリットを通じてシェードを引出すように配設される。
【0003】
特許文献1には、自動車のリアウインドウに対して、上記態様で適用される窓ロールブラインドが開示されている。すなわち、特許文献1の窓ロールブラインドは、ロールブラインドシートの一端縁が固定された巻取り軸がリアシェルフの下方に設けられ、リアシェルフに形成された引出しスロットを通じてロールブラインドシートが引き出されることにより、リアウインドウを遮蔽する。ここでは、ロールブラインドシートの他端縁が固定された引張棒が一対のレバーによって操作されることにより、ロールブラインドシートが引出収納されるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−301458号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1の図1に表されているように対向する辺の長さが異なるような台形等の形状のウインドウ(自動車のリアウインドウ等)に対して、シェード装置(窓ロールブラインド)を適用する場合、シェード(ロールブラインドシート)自体もウインドウの形状に対応する形状に形成されるのが一般的である。そして、短辺端部と長辺端部とを有するシェードが用いられる場合に、その短辺端部にシェード引き出し用のステイが取り付けられることがある。
【0006】
特許文献1のように、シェード装置がスリット(引出しスロット)を通じてシェードを引出収納する態様で設置される場合、スリットをシェードの長辺端部より大きく形成する必要がある。この場合、シェードの短辺端部に取り付けられるステイの長手寸法より、スリットの長手寸法が大きい大小関係となる。このため、シェードの収納状態において、ステイより長尺な分だけスリットが開放されたままの状態となってしまう。
【0007】
そこで、本発明は、シェードの収納状態でスリットを全体的に塞ぐことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の態様に係るシェード装置は、ウインドウ周辺部材に形成されたスリットを通じてウインドウを遮蔽可能なシェード装置であって、軸周りに回動可能に支持された巻取シャフトを有する巻取装置と、対向する短辺端部と長辺端部とを有し、前記長辺端部が前記巻取シャフトに取り付けられ、前記巻取装置に対して前記スリットを通じて引出収納可能なシェードと、前記シェードの前記短辺端部に取り付けられたステイと、前記スリットを部分的に塞ぐ閉位置と、前記スリットを開放する開位置との間で移動可能なカバー体と、前記巻取シャフトの回動に連動して前記カバー体を前記開位置と前記閉位置との間で移動可能に構成され、前記シェードの収納状態において、前記ステイと前記カバー体とによって前記スリットを塞ぐように前記カバー体を前記閉位置に移動させる連動機構とを備える。
【0009】
第2の態様に係るシェード装置は、第1の態様に係るシェード装置であって、前記連動機構は、前記カバー体を、前記巻取シャフトの軸方向に沿って移動可能に構成されている。
【0010】
第3の態様に係るシェード装置は、第1又は第2の態様に係るシェード装置であって、前記連動機構は、案内凹部が形成され、軸周りに回転可能な案内体と、前記巻取シャフトの回転力を前記案内体の軸周りの回転力として伝える伝達手段とを有し、前記カバー体は、前記案内体の前記案内凹部内に配設可能な凸部を有し、前記案内凹部は、前記カバー体の前記凸部が内側に配設された状態で、前記案内体の回転により前記凸部を前記案内体の軸方向に案内可能に形成されている。
【0011】
第4の態様に係るシェード装置は、第3の態様に係るシェード装置であって、前記伝達手段は、前記巻取シャフトに対して同軸上に相対回転不能に連結された巻取シャフト側ギアと、前記巻取シャフト側ギアに噛み合って回転可能な中間ギアと、前記案内体に対して同軸上に相対回転不能に連結され、前記中間ギアに噛み合って回転可能な連動ギアとを有している。
【0012】
第5の態様に係るシェード装置は、第3又は第4の態様に係るシェード装置であって、前記案内体は、スクリューギアである。
【0013】
第6の態様に係るシェード装置は、第1〜第5の態様のいずれか一態様に係るシェード装置であって、前記巻取装置は、前記カバー体を、前記巻取シャフトの軸方向に案内するカバー体案内部を有している。
【0014】
第7の態様に係るシェード装置は、第1〜第6の態様のいずれか一態様に係るシェード装置であって、前記ステイは、前記シェードの収納状態において前記カバー体に対して前記シェードの引出収納方向にずれた位置で、長手方向側方に延出する補助カバー部を有している。
【発明の効果】
【0015】
第1の態様に係るシェード装置によると、スリットを部分的に塞ぐ閉位置と、スリットを開放する開位置との間で移動可能なカバー体が、連動機構により巻取シャフトの回動に連動して開位置と閉位置との間で移動される。そして、連動機構は、シェードの収納状態において、ステイとカバー体とによってスリットを塞ぐようにカバー体を閉位置に移動させるように構成されている。これにより、シェードの収納状態でスリットを全体的に塞ぐことができる。
【0016】
第2の態様に係るシェード装置によると、連動機構によりカバー体を巻取シャフトの軸方向に沿って移動させるように構成されているため、巻取シャフトの軸方向に対して直交する方向においてスペースの確保が困難な場合にも、適用することができる。
【0017】
第3の態様に係るシェード装置によると、巻取シャフトの軸周りの回転力が伝達手段により伝えられて案内体が軸周りに回転されると、案内体の案内凹部内を凸部が移動してカバー体が案内体に対して軸方向に相対移動される。このため、シェードの形状、引出寸法等に応じて案内凹部の経路を設定することで、シェードの引出収納動作に伴う巻取シャフトの回動に連動して、カバー体について所望の開閉移動をさせることができる。
【0018】
第4の態様に係るシェード装置によると、巻取シャフトと一体に回転する巻取シャフト側ギアと案内体と一体に回転する連動ギアとが、中間ギアを介して回動されるため、カバー体の移動量等の設計変更を容易に行うことができる。
【0019】
第5の態様に係るシェード装置によると、案内体がスクリューギアであるため、カバー体を、巻取シャフトの回転量に対して移動量を一定にして移動させることができる。
【0020】
第6の態様に係るシェード装置によると、巻取装置にカバー体案内部が設けられているため、カバー体の動作を安定させることができる。
【0021】
第7の態様に係るシェード装置によると、ステイに補助カバー部が設けられているため、ステイとカバー体とにより、より確実にスリット全体を塞ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】シェード引出状態におけるシェード装置の概略図である。
【図2】シェード収納状態におけるシェード装置の概略図である。
【図3】シェード引出状態におけるスリットの様子を示す斜視図である。
【図4】図3におけるスリットとカバー体との関係を示す拡大図である。
【図5】シェード収納状態におけるスリットの様子を示す斜視図である。
【図6】図5におけるスリットとカバー体との関係を示す拡大図である。
【図7】シェード収納状態における連動機構の斜視図である。
【図8】シェード引出状態における連動機構の斜視図である。
【図9】案内体の案内凹部とカバー体の凸部との関係を示す図である。
【図10】シェード引出状態における変形例に係るシェード装置の概略図である。
【図11】シェード収納状態における変形例に係るシェード装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、実施形態に係るシェード装置10について説明する(図1、図2参照)。
【0024】
本シェード装置10は、ウインドウ1を遮蔽するための装置である。このシェード装置10は、スリット4が形成されたウインドウ周辺部材3の内側に配設され、スリット4を通じてシェード20を引出収納するようになっている(図3参照)。そして、シェード装置10は、シェード20の収納状態において、スリット4を全体的に塞ぐことができるように構成されている(図5参照)。
【0025】
説明の便宜上、シェード装置10を適用するウインドウ1について説明する。
【0026】
ここでは、シェード装置10が自動車のリアウインドウであるウインドウ1に適用される例で説明する。このウインドウ1は、対向する短辺と長辺とを有する略等脚台形状に形成されているものとする。
【0027】
そして、シェード装置10は、ウインドウ1の長辺側(自動車の床側)に位置するウインドウ周辺部材3としてのリアパッケージトレイ(ハッチバック式の場合にはトリム等の内装材)の内側に配設される。このウインドウ周辺部材3には、車室内に開口するシェード20引き出し用のスリット4が形成されている。このスリット4は、車体の幅方向に沿って略直線状に延びる幅狭な貫通孔状に形成されている。以下、説明の便宜上、スリット4について、車体の幅方向をスリット4の長手方向といい、当該長手方向に直交する方向(短い寸法の方向)を幅方向という。より具体的には、スリット4は、長手方向において、ウインドウ1の長辺と略同じ寸法(後述するシェード20との関係ではその長辺端部24より大きい寸法)に設定されている。また、スリット4の幅寸法は、後述するステイ40を内側に配設可能な程度の寸法に設定されている。
【0028】
もっとも、シェード装置10は、上記のような自動車のリアウインドウに限らず、自動車のサイドウインドウ等、その他のウインドウに対しても適用可能である。そして、これらのウインドウに適用される場合には、シェード装置10はウインドウ周辺部材としてのトリム、その他の内装材等の内側に配設され、各部にはスリットが形成されていればよい。
【0029】
本シェード装置10は、シェード20と、巻取装置30と、ステイ40と、カバー体50と、連動機構60とを備えている。
【0030】
シェード20は、メッシュ状等の布材、樹脂シート等を裁断、縫製等して、ウインドウ1を遮蔽可能な大きさ及び形状に形成されている。より具体的には、シェード20は、対向する短辺端部22と長辺端部24とを有する形状(ここでは、略等脚台形状)に形成されている。なお、シェード20の短辺端部22と長辺端部24とを結ぶ両側方の端部を側端部26という(図1、図2参照)。
【0031】
もっとも、シェード20は、短辺端部22と長辺端部24とを有し、ウインドウ1を遮蔽可能であれば、等脚台形以外の台形状、又は、側端部が曲線等であるような形状等であってもよい。
【0032】
上記シェード20は、巻取装置30に対して引出収納可能に取り付けられている。巻取装置30は、ベース32と、回動支持部33と、巻取シャフト34等を有している。
【0033】
ベース32は金属板を切断、屈曲等して形成された部材、或いは、金属を押出成形して形成された部材である。
【0034】
巻取シャフト34は、長尺円筒状部材であり、ベース32に対して回動支持部33により軸周りに回動可能に支持されている。この巻取シャフト34の外周面には、その軸方向に沿ってシェード20の長辺端部24が取り付けられている。これにより、巻取シャフト34が回動されると、シェード20が巻取シャフト34に対して巻き取られる。
【0035】
また、巻取シャフト34は、図示省略の付勢部材(コイルバネ等)により、回動支持部33に対してシェード20を巻き取る向き(巻取方向R)に回動付勢されている。
【0036】
この巻取装置30は、ウインドウ1の長辺側に位置するウインドウ周辺部材3の内側に配設される。そして、この巻取装置30の位置は、巻取シャフト34に巻き取られるシェード20をスリット4を通じて車室内側に引き出し可能な位置に配設されている。巻取装置30は、ベース32がネジ止め等により車体、ドアのパネル等に固定されることにより上記位置に支持される。
【0037】
シェード20の短辺端部22には、シェード20引き出し用のステイ40が取り付けられている(図1、図2参照)。ステイ40は、シェード20の短辺端部22全長に亘る長尺棒状の部材である。ここでは、ステイ40は、シェード20の短辺端部22と略同寸法に形成されている。
【0038】
このステイ40を引出操作しない状態では、シェード20は巻取装置30の巻取力によって巻取シャフト34に巻き付けられた収納状態に維持される(図2、図5参照)。この状態で、ステイ40は、スリット4内(スリット4の開口縁部に囲まれた位置)に配設され、スリット4を長手方向において部分的に(ここでは中央部分を)塞ぐようになっている。
【0039】
ここで、ステイ40がスリット4を塞いだ状態とは、スリット4をその幅方向において完全に覆った状態に限らず、ウインドウ周辺部材3の内部の構造(巻取装置30も含む)が外部から隠れる程度に塞がれていればよい。好ましくは、ステイ40とスリット4との大きさの関係は、ステイ40がスリット4内に配設された状態で、スリット4の開口縁部が位置する平面上において、スリット4の幅寸法よりステイ40が僅かに幅狭であるとよい。
【0040】
そして、ステイ40は、スリット4内に配設された位置で巻取装置30の一部に係止して、シェード20がそれ以上巻き取られないように巻取規制可能になっている。例えば、巻取装置30には、ステイ40係止用のストッパ(図示省略)が設けられていてもよい。もっとも、ステイ40は、ウインドウ周辺部材3の一部に係止することによりシェード20の巻取を規制するようになっていてもよい。
【0041】
また、ステイ40を巻取装置30の巻取力に反して巻取シャフト34の軸方向に略直交する方向に移動操作することによって、スリット4を通じてシェード20を引き出すことができる。ここで、シェード20は、ウインドウ1に沿って引き出される。そして、シェード20が引出収納される方向を引出収納方向Pという。また、ウインドウ1全体を遮蔽するまでシェード20を引き出した状態を、シェード20の引出状態という(図1、図3参照)。
【0042】
上記のように、短辺端部22と長辺端部24とを有するシェード20を用いたシェード装置10においては、長辺端部24(シェード20の引出状態でスリット4内に位置する部分)を通過可能なように、スリット4は長辺端部24より長尺に形成されている。一方、ステイ40は、シェード20の長辺端部24より短い短辺端部22に対応して形成されている。
【0043】
このため、シェード20の収納状態で、スリット4内に配設されるステイ40の長手方向側方(ここでは両側方)位置に、ステイ40により塞がれない箇所ができる。これにより、スリット4は、シェード20の収納状態においても、ステイ40より長尺な分だけ部分的に開放されたままの状態となってしまう。
【0044】
そこで、本シェード装置10においては、シェード20の収納状態で、スリット4全体を塞ぐような構成を採用している。
【0045】
なお、上記のように、本課題は短辺端部22と長辺端部24とを有するシェード20の形状に起因するものであり、ウインドウ1の形状に直接関わるものではない。すなわち、通常、シェード20は、ウインドウ1の形状に対応した形状に(台形であれば台形というように)形成されるが、短辺と長辺とを有しないようなウインドウであっても、短辺端部22と長辺端部24とを有するシェード20が用いられてもよい。つまり、本シェード装置10は、上述した短辺と長辺とを有する形状以外の形状のウインドウにも適用することができる。
【0046】
以下、シェード20の収納状態においてスリット4を全体的に塞ぐ構成について説明をする。
【0047】
カバー体50は、スリット4を部分的に塞ぐ閉位置と、スリット4を開放する開位置との間で移動可能に構成されてている(図7、図8参照)。より具体的には、カバー体50の閉位置とはスリット4のうちシェード20の収納状態におけるステイ40の長手方向側方を塞ぐ位置で、開位置とは引出状態のシェード20の側端部26に干渉しない程度に閉位置から退避した位置である。すなわち、カバー体50の開位置は、スリット4を全く遮ってない状態に限られない。
【0048】
ここでは、シェード20の収納状態において、ステイ40とカバー体50とによって、スリット4を塞ぐようになっている(図5参照)。すなわち、シェード20の収納状態において、ステイ40がスリット4の中央部分を塞ぐように構成されているため、スリット4のうちステイ40の両側方の開放箇所をそれぞれ塞ぐように、2つのカバー体50が設けられている。
【0049】
もっとも、カバー体50は、シェード20の収納状態においてスリット4のうちステイ40の長手方向側方で開放されている部分を覆うことができればよい。すなわち、シェード20の収納状態において、ステイ40がスリット4の長手方向一方側に寄って配設される場合(例えば、一つの角が直角を成す台形に形成されたシェードの場合)、ステイ40の長手方向他方側だけに設けられてもよい。なお、後述する連動機構60の数もカバー体50の数によって決定される。
【0050】
このカバー体50は、樹脂材等により本体部52と被案内部56とが一体形成された部材である。
【0051】
本体部52は、シェード20の収納状態において、スリット4内に配設されるステイ40の長手方向側方で開放された箇所を塞ぐことが可能な形状に形成されている。ここで、本体部52は、スリット4の幅寸法と同じかそれより大きい(ここでは大きい)幅寸法の平板状に形成されている。なお、本体部52は、スリット4を塞いだ状態で、ウインドウ周辺部材3の車内側部分に沿うような表面形状に形成されているとよい。
【0052】
被案内部56は、本体部52が開位置と閉位置との間で移動されるように、下記の連動機構60に対して連結可能に形成されている。
【0053】
連動機構60は、巻取シャフト34の回動に連動してカバー体50を開位置と閉位置との間で移動可能に構成されている。すなわち、連動機構60は、シェード20の引出収納操作に伴って、カバー体50を移動させることができる。そして、連動機構60は、シェード20の収納状態において、ステイ40とカバー体50とによってスリット4を塞ぐようにカバー体50を閉位置に移動させるように構成されている。
【0054】
ここでは、連動機構60は、カバー体50を、巻取シャフト34の軸方向に沿って移動可能に構成されている。
【0055】
また、ここでは、上述のように2つのカバー体50が設けられるため、各カバー体50をそれぞれ動作させる2つの連動機構60が設けられている。なお、下記説明においては、一方側のカバー体50及び連動機構60に着目して説明する(図4、図6〜図9参照)。なお、他方側の構成も同様である。
【0056】
連動機構60は、案内体62と、伝達手段とを有している。
【0057】
案内体62は、外周部に螺旋状の案内凹部63が形成され、軸周りに回転可能にされた棒状部材である(図7、図8参照)。ここでは、案内体62は、歯溝を案内凹部63とするスクリューギアである。
【0058】
これに対して、カバー体50の被案内部56は、案内体62の案内凹部63内を移動可能な凸部57を有している。より具体的には、被案内部56は、本体部52の裏面において、カバー体50の移動方向一端部から突出するように形成され、当該移動方向に貫通する孔部を有している。この孔部は、案内体62を挿通可能に(案内体62の外径より僅かに大径に)形成されている。そして、凸部57は、孔部の内周部からその半径方向内側に向けて突出するように形成されている。ここでは、被案内部56は、スクリューギアである案内体62に対応して、孔部に雌ネジが形成された態様であり、当該雌ネジの山部が凸部57である(図9参照)。
【0059】
もっとも、上記被案内部56の凸部57は、雌ネジの山部に限られず、例えば、孔部の一箇所から円柱状、半球状に突出する凸部であってもよい。すなわち、凸部57は、案内体62の案内凹部63内に配設可能で、この配設状態で案内凹部63に沿って(案内されて)その内部を移動可能であればよい。
【0060】
そして、被案内部56に案内体62を挿通した状態で、被案内部56の凸部57が案内体62の案内凹部63内に配設される。被案内部56に対して案内体62が相対回転されると、凸部57が案内凹部63内を移動して、カバー体50は案内体62の軸方向に相対移動される。
【0061】
案内体62のうち案内凹部63が形成される部分の軸方向寸法は、カバー体50を開位置と閉位置との間で案内することができる程度に大きく設定される。すなわち、当該寸法は、カバー体50の開位置と閉位置との間の移動距離と、カバー体50の移動方向における被案内部56の寸法とを足し合わせた寸法に対して、同じかそれより長く(ここでは長く)設定されるとよい。
【0062】
また、案内体62は、スクリューギアに限られるものではなく、案内凹部として螺旋状のカム溝が形成された棒状部材でもよい。すなわち、各部で異なるねじり角に設定された螺旋状のカム溝(案内凹部)が形成された態様も採用でき、シェード20の側端部が曲線状等である場合にも、当該側端部に沿ってカバー体50を移動させることができる。この場合、被案内部56の凸部の形状としては、上述した円柱状、半球状等の形状を採用すればよい。
【0063】
なお、上記案内体62の案内凹部63の経路の設定については、シェード20の引出収納とカバー体50の開閉移動との連動動作に関する説明と共に後述する。
【0064】
伝達手段は、巻取シャフト34の軸周りの回転力を、案内体62の軸周りの回転力として伝えることを可能に構成されている。この伝達手段は、巻取シャフト側ギア36と、連動ギア64と、中間ギア66とを有している。
【0065】
巻取シャフト側ギア36は、巻取シャフト34に対して同軸上に相対回転不能に連結されている。ここでは、巻取シャフト側ギア36は、巻取シャフト34の端部に一体に構成され、巻取シャフト34と共に回動支持部33に軸周りに回転可能に支持されている。
【0066】
連動ギア64は、案内体62に対して同軸上に相対回転不能に連結されている。ここでは、案内体62及び連動ギア64は、一体に構成されている。
【0067】
案内体62及び連動ギア64と中間ギア66とは、巻取装置30を構成する支持体38上に立設されたギアホルダ68により支持されている。より具体的には、ギアホルダ68は、案内体62及び連動ギア64と中間ギア66とを、連動ギア64と中間ギア66とが噛み合う態様で支持している。なお、図7及び図8においては、ギアホルダ68のうち中間ギア66を支持する部分を二点鎖線で示している。
【0068】
また、ここでは、中間ギア66は、シェード装置10が適用されるウインドウ1に対応して歯数が異なるものに交換可能に構成されているとよい。例えば、中間ギア66は、支持されるギアホルダ68の一部ごと一体として交換可能である構成を採用することができる。すなわち、図7及び図8において二点鎖線で示した部分を、ギアホルダ68のうち他の部分に嵌合、ネジ止め等により着脱可能に構成すればよい。
【0069】
この支持体38は、ベース32に対して着脱可能に構成されている。より具体的には、支持体38は、中間ギア66が巻取シャフト側ギア36に噛み合うような位置で、ベース32に対して装着可能である。好ましくは、支持体38は、上記のように中間ギア66を交換した場合にも中間ギア66が巻取シャフト側ギア36に噛み合うように装着可能であるとよい。例えば、支持体38は、ベース32に対して、嵌合、ネジ止め等により固定可能な構成により着脱可能とされているとよい。
【0070】
また、案内体62は、巻取シャフト34が巻取方向Rに回動されるとカバー体50を閉位置側に向けて移動させると共に、巻取シャフト34が巻取方向Rと逆向きに回動されるとカバー体50を開位置側に向けて移動させるような姿勢で、ギアホルダ68に支持されている。すなわち、当該姿勢は、案内凹部63の経路が、巻取シャフト34の長手方向外側に向けて、巻取方向Rに旋回する螺旋状となる姿勢である。
【0071】
さらに、カバー体50は、支持体38がベース32に装着された状態で、被案内部56が形成されている側の端部が、巻取シャフト34の長手方向中心側に位置する姿勢で案内体62に連結されているとよい(図7、図8参照)。これにより、案内体62を巻取シャフト34の長手方向中心側に配設することができるため、連動機構60全体としても当該中心側に配設でき、シェード装置10の長手方向寸法をコンパクトにすることができる。
【0072】
連動機構60は、シェード20の収納状態でカバー体50が閉位置に位置し、シェード20の引出状態でカバー体50が開位置に位置するように移動させるように構成されている。より具体的には、連動機構60は、シェード20の引出収納動作に伴って、開位置と閉位置との間でカバー体50を徐々に移動させるように構成されている。好ましくは、連動機構60は、カバー体50を、引出収納されるシェード20の側端部26に沿って(換言すると、カバー体50の側方を通過するシェード20の側端部26に対して間隔を略一定に保って)移動させるように設定するとよい。
【0073】
上記シェード20の引出収納とカバー体50の開閉移動との連動動作は、案内体62の案内凹部63の経路、及び、巻取シャフト側ギア36と中間ギア66と連動ギア64とにより決定される巻取シャフト34と案内体62との減速比によって設定することができる。
【0074】
すなわち、シェード20の引出収納(巻取シャフト34の回動)に伴うカバー体50の開位置と閉位置との間の移動態様(全移動量に対する各所における移動量の割合)が、案内凹部63の経路のねじり角によって決定される。この案内凹部63の経路は、シェード20の側端部26の形状(換言すると、側端部26各所の短辺端部22、長辺端部24に対する傾斜角)に基づいて決定される。
【0075】
また、シェード20の最大引出量に基づいて、巻取シャフト34と案内体62との減速比が決定される。ここでは、中間ギア66を歯数が異なるものに交換することにより減速比を変更すればよい。もっとも、巻取シャフト側ギア36、連動ギア66を交換することにより減速比を変更してもよい。
【0076】
連動機構60の構成は、上記態様に限られるものではない。例えば、伝達手段が、中間ギア66を介さずに巻取シャフト側ギア36と連動ギア64とが直接噛み合って連動するように構成されていてもよい。この場合には、案内体62は、案内凹部63の経路が上記と逆向きの螺旋状となる姿勢で、ギアホルダ68に支持されるとよい。
【0077】
また、伝達手段は、巻取シャフト34と案内体62とを、シェード装置10が適用されるウインドウ1の形状及び大きさに応じて決定される減速比で連動させることができればよく、他にも種々の構成を採用することができる。例えば、伝達手段は、巻取シャフト34に連結されたプーリーと案内体62に連結されたプーリーとをベルトを介して連動させる構成であってもよい。
【0078】
また、支持体38には、カバー体50を移動方向に案内するカバー体案内部39が形成されている(図7、図8参照)。ここでは、カバー体案内部39は、被案内部56に案内体62が挿通された状態で、平板状の本体部52の移動方向に沿った一方の端辺部を配設可能な溝状に形成されている。すなわち、カバー体案内部39は、案内体62の軸周りにおけるカバー体50の回転を規制可能なように、前記一方の端辺部の厚さ方向両側に当接可能(一方の端辺部の厚さ寸法より僅かに幅広)に形成されている。
【0079】
もっとも、カバー体50を案内する構成は、上記に限られるものではない。すなわち、支持体38に凸条のカバー体案内部が形成すると共に、当該凸条のカバー体案内部を内側に配設可能な凹条部を本体部52に形成してもよい。
【0080】
また、上記説明した支持体38と、ギアホルダ68と、案内体62及び連動ギア64と中間ギア66と、カバー体50とは、ベース32に対して着脱可能な一体部品として取り扱い可能になっている。
【0081】
さらに、上記ステイ40は、シェード20の収納状態においてカバー体50に対してシェード20の引出収納方向Pにずれた位置で、長手方向側方に延出する補助カバー部48を有している(図6、図7において二点鎖線で表示)。より具体的には、ステイ40は両端に端部部材42を有し、補助カバー部48が各端部部材42から長手方向外側に延出するように構成されている。
【0082】
上述したカバー体50は、シェード20の側端部26に対して干渉しないように設けられているのと同様に、ステイ40に対してもシェード20の引出収納操作の際に干渉しないように設けられている。このため、シェード20の収納状態においては、ステイ40の端部部材42とカバー体50との間には僅かに隙間ができる。すなわち、補助カバー部48は、シェード20の収納状態で、スリット4の端部部材42とカバー体50との間を塞ぐために設けられている。
【0083】
ここでは、補助カバー部48は、シェード20の収納状態において、閉位置にあるカバー体50の内側端部に対して、シェード20の引出収納方向Pに重なる程度に端部部材42から延出している。これにより、シェード20の収納状態において、車室内側から見たスリット4は、ステイ40とカバー体50との間で隙間なく塞がれた状態となる。この補助カバー部48は、シェード20の収納状態において、ウインドウ周辺部材3の車内側部分に沿った平板状に形成されているとよい。
【0084】
以下、シェード20の引出収納動作に伴うカバー体50の移動動作について説明する。
【0085】
まず、シェード20を引き出す際の動作について説明する。初期状態として、シェード20が収納状態にあるものとする(図2、図5〜図7参照)。すなわち、スリット4は、ステイ40及び閉位置に位置する各カバー体50によって塞がれた状態になっている。
【0086】
はじめに、スリット4内に位置するステイ40をウインドウ1に沿って引出収納方向P引出側に移動させる。
【0087】
ステイ40が移動されてシェード20が引き出され始めると、シェード20が巻かれている巻取シャフト34と共に巻取シャフト側ギア36が巻取方向Rと逆向きに回転する。そして、巻取シャフト側ギア36の回転に伴い、中間ギア66を介して連動ギア64と共に案内体62が巻取方向Rと逆向きに回転される。
【0088】
すると、閉位置にあったカバー体50は、案内体62の回転により、徐々に開位置側(巻取シャフト34の長手方向外側)に向けて移動されていく。より具体的には、カバー体50がカバー体案内部39により案内体62の周方向に位置規制され、凸部57が、案内体62の周方向略一定位置に位置したまま、案内体62の回転により案内凹部63内を移動していく。これにより、カバー体50は、一定姿勢で移動される。
【0089】
シェード20をさらに引き出していくと、シェード20のうちスリット4内に位置する部分の幅寸法は徐々に大きくなっていく。そして、このシェード20を避けるように、カバー体50も徐々に閉位置側から開位置側に移動していく。すなわち、シェード20の側端部26とカバー体50の内側(巻取シャフト34の長手方向中心側)端部との間隔は略一定のままで、シェード20が引き出されつつカバー体50が移動していく。
【0090】
シェード20がウインドウ1を全体的に遮蔽する位置(引出状態)まで引き出されると、シェード20の長辺端部24側の部分がスリット4内において長手方向全体的に位置し、カバー体50は開位置に位置する。すなわち、スリット4は、全体的に開放された状態になっている。
【0091】
次に、シェード20を収納する際の動作について説明する。
【0092】
ステイ40を引出収納方向P収納側に移動させると、シェード20は、巻取装置30の巻取力により巻き取られて収納されていく。シェード20の巻取に伴って巻取方向Rに回転される巻取シャフト34と共に巻取シャフト側ギア36が回転される。そして、巻取シャフト側ギア36の回転に伴って、中間ギア66を介して連動ギア64と共に案内体62がその軸周りに巻取方向Rに回転される。
【0093】
すると、開位置にあったカバー体50は、案内体62の回転により、徐々に閉位置側(巻取シャフト34の長手方向内側)に向けて移動されていく。
【0094】
ステイ40をさらに収納側に移動させていくと、シェード20のうち、スリット4の長長手方向においてスリット4内に位置する部分の寸法は徐々に小さくなっていく。そして、カバー体50も徐々に開位置側から閉位置側に移動していく。このとき、引出時と同様に、シェード20の側端部26とカバー体50の内側端部との間隔は略一定のままで、シェード20が収納されつつカバー体50が移動していく。
【0095】
ステイ40がスリット4内に配設される(ステイ40が巻取装置30の一部に係止する)位置まで移動されると、シェード20は収納状態となり、カバー体50は閉位置に位置する。すなわち、スリット4は、ステイ40と2つのカバー体50とによって全体的に塞がれた状態になっている。
【0096】
シェード装置10は、ステイ40が手動で操作されるものであってもよいが、ここでは、駆動機構部90により一対のアーム80を介してステイ40を移動させ、シェード20を自動で引出収納できるように構成されている(図1、図2参照)。
【0097】
一対のアーム80は、それぞれ、第1部材82と第2部材84とを有している。
【0098】
第1部材82の一端部と第2部材84の他端部とは相対回転可能に連結されている(第2連結部C2)。また、第1部材82の他端側の一部は巻取装置30のベース32の端部側部分に対して相対回転可能に連結されている(第1連結部C1)。また、第2部材84の一端部はステイ40の端部部材42に対して相対回転可能に連結されている(第3連結部C3)。例えば、各連結部C1〜C3としては、連結対象同士に形成した貫通孔部に連結軸部材を挿通することにより、連結対象を連結する構成を採用することができる。
【0099】
すなわち、一対のアーム80は、第2連結部C2の位置で折畳(図2参照)、展開(図1参照)されることによりステイ40をシェード20の引出収納方向Pに移動操作可能に構成されている。
【0100】
より具体的には、第1部材82は、アーム80の展開状態で、第1連結部C1からウインドウ1の側辺に向けて延びる枠向部83aと、枠向部83aの一端部から屈曲する態様でウインドウ1の側辺に沿って延びる枠沿部83bとを有する平板棒状の部材である。また、第2部材84は、略直線状の平板棒状の部材である。
【0101】
すなわち、第2連結部C2が巻取装置30の長手方向内側に移動して一対のアーム80が折り畳まれると、ステイ40はウインドウ1の短辺側から長辺側に移動されてシェード20が収納操作される。そして、アーム80が完全に折り畳まれた折畳状態で、シェード20が収納状態となる。
【0102】
また、第2連結部C2が巻取装置30の長手方向外側に移動して一対のアーム80が展開されると、ステイ40はウインドウ1の長辺側から短辺側に移動されてシェード20が引出操作される。そして、第1部材82の枠沿部83bと第2部材84とが直線状になったアーム80の展開状態で、シェード20がウインドウ1全体を覆った引出状態となる。
【0103】
駆動機構部90は、アーム80の第1部材82を第1連結部C1周りに回転駆動可能に構成されている。ここでは、駆動機構部90は、モータ92と、第1部材82の第1連結部C1より他端側の部分に連結された所定のリンク94とを有している。すなわち、駆動機構部90は、モータ92により所定のリンク94を介して一対のアーム80の各第1部材82を回転駆動するように構成されている。これにより、一対のアーム80を展開、折畳操作してステイ40をシェード20の引出収納方向Pに移動させ、シェード20を引出収納操作することができる。
【0104】
この駆動機構部90は、モータ92の駆動を操作可能な図示省略の操作部を設けて、当該操作部の操作により引出収納駆動するように構成されているとよい。
【0105】
もっとも、シェード装置10は、上記構成に限られるものではない。例えば、シェード装置10は、カバー体がラックアンドピニオン機構により移動されるものでもよい。すなわち、カバー体に移動方向に沿ってラックが設けられ、連動機構が、ラックに噛み合うピニオンと、巻取シャフトの軸周りの回転力をピニオンの軸周りの回転力として伝えるように設けられる巻取シャフト側ギア及び中間ギア(例えば傘歯車の組合せ)とを有する構成を採用することができる。
【0106】
また、シェード装置10は、アーム80の第1部材82が枠向部83aと枠沿部83bとを有する構成に限られるものではない。例えば、図10、図11に示すシェード装置110のように、アーム180が、略直線状の第1部材182と第2部材184とが連結された構造で、アーム180の展開状態で、第1部材182と第2部材184とが全体として略直線状になるように構成されていてもよい。なお、図10、図11に示す構成のシェード装置110は、アーム180の構成以外は、上述したシェード装置10と同様の構成である。
【0107】
また、シェード装置10は、カバー体を、巻取シャフト34の軸方向に直交する方向に沿って移動可能に構成された連動機構を備えるものであってもよい。すなわち、スリット4の幅方向に沿った軸周りに回転可能な案内体を有し、伝達手段を介して、巻取シャフト34の軸周りの回転力を案内体の軸周りの回転力として伝えるように構成される。例えば、伝達手段は、巻取シャフト側ギアと、案内体と同軸上に相対回転不能に連結された連動ギアと、巻取シャフトギアと連動ギアとに噛み合う傘歯車とを有する構成を採用できる。
【0108】
このような巻取シャフト34の軸方向に直交する方向に沿ってカバー体を移動させる構成を採用する場合、シェード20の引出開始から、シェード20の側端部26の一部が閉位置におけるカバー体50の内側端部に接触する前に、カバー体をシェード20の経路上から退避させ、退避させてからシェード20が完全に引き出されるまでその退避位置に保持しておくことが好ましい。
【0109】
例えば、案内体としては、外周部に周方向に対して傾斜する案内面を有する退避案内部と、当該傾斜部の一端部に連続して周方向に沿った案内面を有する保持案内部とが外周部に形成された円筒状或いは円柱状の構成を採用することができる。すなわち、カバー体が閉位置にある状態で、カバー体の凸部が退避案内部の他端部に位置し、シェード20が引き出されて巻取シャフト34が回転し始めると凸部が退避案内部に案内されて案内体の軸方向に退避移動して、シェード20の側端部26が閉位置におけるカバー体50の内側端部に接触する前にカバー体がシェード20の経路上から退避する。その後、カバー体の凸部が保持案内部に案内され、シェード20の引出操作中、案内体の軸方向において略一定の開位置に維持される。
【0110】
上記のように、カバー体を巻取シャフト34の軸方向に直交する方向に沿って移動させる構成によると、巻取装置30を設置スペースの幅方向いっぱいに設置することができる。
【0111】
上記のように構成されたシェード装置10によると、スリット4のうちシェード20の収納状態でも開放された部分(ステイ40により塞ぎきれない部分)をカバー体50により塞ぐように構成されている。そして、このカバー体50が連動機構60により巻取シャフト34の回動に連動して開位置と閉位置との間で移動され、シェード20の収納状態でステイ40と閉位置に移動されたカバー体50とによってスリット4を塞ぐようになっている。このため、シェード20の収納状態おいてスリット4を全体的に塞ぐことができる。また、シェード20の引出状態においてはカバー体50が開位置に移動するため、カバー体50のシェード20に対する干渉も防止することができる。
【0112】
また、連動機構60により、巻取シャフト34の回動に連動してカバー体50を動作させるように構成されているため、シェード20の引出収納操作のみによって容易にスリット4の開閉を行うことができる。
【0113】
また、カバー体50を巻取装置30側に設けているため、スリット4を全体的に塞ぐための構成をステイ40に設ける場合と比較して、ステイ40自体の重量を軽くすることができる。これにより、一対のアーム80、各連結部C1〜C3、一対のアーム80が支持される巻取装置30のベース32等の構成部材の強度向上のために要求される部材変更等を省略できるという利点もある。また、当該変更に伴うコストも省略することができる。そして、ステイ40の重量が小さくなることにより、駆動機構部90に掛かる負荷も軽減することができる。
【0114】
さらに、ステイ40の構成を簡易にすることができるため、シェード20を引出収納操作する際に、引っ掛かり等のトラブルを抑制することができる。
【0115】
また、カバー体50を巻取シャフト34の軸方向に沿って移動させるように構成されているため、巻取シャフト34の軸方向に対して直交する方向においてスペースの確保が困難な場合にも、適用することができる。そして、カバー体50が車内側に突出するような動作がないため、シェード20の引出時に、カバー体50がウインドウ1の車内側に重なるのを避けることができる。
【0116】
また、巻取シャフト34の軸周りの回転力が伝達手段により伝えられて案内体62が軸周りに回転されると、案内体62の案内凹部63内を凸部57が移動してカバー体50が案内体62に対して軸方向に相対移動される。このため、シェード20の形状、最大引出量等に応じて案内凹部63の経路を設定することで、シェード20の引出収納動作に伴う巻取シャフト34の回動に連動して、カバー体50について所望の開閉移動をさせることができる。
【0117】
また、巻取シャフト34と一体に回転する巻取シャフト側ギア36と案内体62と一体に回転する連動ギア64とが、中間ギア66を介して回動されるため、カバー体50の移動量等の設計変更を中間ギア66の変更により行うことができ、設計自由度が高いという利点もある。
【0118】
また、案内体がスクリューギアであるため、巻取シャフト34の回転量に対して、カバー体50を、移動量を一定にして移動させることができる。すなわち、シェード20の側端部26が直線状である場合には、カバー体50とシェード20の側端部26との間隔を一定に保ったまま安定してシェード20の引出収納操作を行うことができる。
【0119】
また、巻取装置30にカバー体案内部39が設けられているため、案内体62の軸方向(巻取シャフト34の軸方向)の移動以外のカバー体50の移動、姿勢変更を規制し、カバー体50の動作を安定させることができる。
【0120】
また、ステイ40に補助カバー部48が設けられているため、ステイ40とカバー体50とにより、より確実にスリット4全体を塞ぐことができる。
【符号の説明】
【0121】
1 ウインドウ
3 ウインドウ周辺部材
4 スリット
10 シェード装置
20 シェード
22 短辺端部
24 長辺端部
30 巻取装置
34 巻取シャフト
36 巻取シャフト側ギア
39 カバー体案内部
40 ステイ
48 補助カバー部
50 カバー体
57 凸部
60 連動機構
62 案内体
63 案内凹部
64 連動ギア
66 中間ギア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウインドウ周辺部材に形成されたスリットを通じてウインドウを遮蔽可能なシェード装置であって、
軸周りに回動可能に支持された巻取シャフトを有する巻取装置と、
対向する短辺端部と長辺端部とを有し、前記長辺端部が前記巻取シャフトに取り付けられ、前記巻取装置に対して前記スリットを通じて引出収納可能なシェードと、
前記シェードの前記短辺端部に取り付けられたステイと、
前記スリットを部分的に塞ぐ閉位置と、前記スリットを開放する開位置との間で移動可能なカバー体と、
前記巻取シャフトの回動に連動して前記カバー体を前記開位置と前記閉位置との間で移動可能に構成され、前記シェードの収納状態において、前記ステイと前記カバー体とによって前記スリットを塞ぐように前記カバー体を前記閉位置に移動させる連動機構と
を備えるシェード装置。
【請求項2】
請求項1に記載のシェード装置であって、
前記連動機構は、前記カバー体を、前記巻取シャフトの軸方向に沿って移動可能に構成されているシェード装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のシェード装置であって、
前記連動機構は、
案内凹部が形成され、軸周りに回転可能な案内体と、
前記巻取シャフトの回転力を前記案内体の軸周りの回転力として伝える伝達手段と
を有し、
前記カバー体は、前記案内体の前記案内凹部内に配設可能な凸部を有し、
前記案内凹部は、前記カバー体の前記凸部が内側に配設された状態で、前記案内体の回転により前記凸部を前記案内体の軸方向に案内可能に形成されている、シェード装置。
【請求項4】
請求項3に記載のシェード装置であって、
前記伝達手段は、
前記巻取シャフトに対して同軸上に相対回転不能に連結された巻取シャフト側ギアと、
前記巻取シャフト側ギアに噛み合って回転可能な中間ギアと、
前記案内体に対して同軸上に相対回転不能に連結され、前記中間ギアに噛み合って回転可能な連動ギアと
を有しているシェード装置。
【請求項5】
請求項3又は請求項4に記載のシェード装置であって、
前記案内体は、スクリューギアであるシェード装置。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載のシェード装置であって、
前記巻取装置は、前記カバー体を、前記巻取シャフトの軸方向に案内するカバー体案内部を有しているシェード装置。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載のシェード装置であって、
前記ステイは、前記シェードの収納状態において前記カバー体に対して前記シェードの引出収納方向にずれた位置で、長手方向側方に延出する補助カバー部を有している、シェード装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−255789(P2011−255789A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−132106(P2010−132106)
【出願日】平成22年6月9日(2010.6.9)
【出願人】(000117135)芦森工業株式会社 (447)
【Fターム(参考)】