説明

シクロヘキサノンおよびシクロヘキサノールの製造方法

本発明は、シクロヘキサノンおよびシクロヘキサノールの製造方法であって、(a)シクロヘキシルハイドロパーオキサイドをさらに含む有機溶液中に存在する酸および/または二酸化炭素を、その有機溶液を第1の塩基水溶液と50〜80℃の温度で混合することによって中和して、pHが8.5〜13の第1の水相と第1の有機相とを含む第1の混合物を生成する工程、(b)第1の水相を第1の混合物から分離して、第1の有機相を含む残留混合物を得る工程、(c)前記残留混合物を第2の塩基水溶液と60〜110℃の温度で混合することによって、前記残留混合物中に存在するシクロヘキシルハイドロパーオキサイドを分解して、第2の水相と、シクロヘキサノンおよびクロヘキサノールを含む第2の有機相とを含む、第2の混合物を生成する工程、(d)80℃より高い温度で、第2の水相を第2の有機相から分離する工程を含む方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、シクロヘキサノンおよびシクロヘキサノールの製造方法であって、
(a)シクロヘキシルハイドロパーオキサイドをさらに含む有機溶液中に存在する酸および/または二酸化炭素を、その有機溶液を第1の塩基水溶液と混合することによって中和して、第1の水相および第1の有機相を含む第1の混合物を生成する工程、
(b)第1の水相を第1の混合物から分離して、第1の有機相を含む残留混合物を得る工程、
(c)前記残留混合物を第2の塩基水溶液と混合することによって、前記残留混合物中に存在するシクロヘキシルハイドロパーオキサイドを分解して、第2の水相と、シクロヘキサノンおよびクロヘキサノールを含む第2の有機相とを含む、第2の混合物を生成する工程、
(d)第2の水相を第2の有機相から分離する工程
を含む方法を提供する。
【0002】
このような方法は、例えば、EP−A−4105号明細書に記載されている。EP−A−4105号明細書に記載されている方法では、シクロヘキサンの酸化によって得られた、シクロヘキシルハイドロパーオキサイド、酸および二酸化炭素を含む混合物を中和に供し、塩基水溶液の添加によって、そのような酸化混合物中の酸および二酸化炭素を中和して、水相および有機相を含む混合物を得る。中和は、80〜170℃、好ましくは130〜160℃の温度で行う。水相のpHは、25℃で7より大きく、好ましくは8〜13である。中和後、水相を分離し、得られた有機溶液を分解に供し、シクロヘキシルハイドロパーオキサイドをシクロヘキサノンおよびシクロヘキサノールに分解する。分解は80〜170℃の温度で行う。EP−A−4105号明細書には、分解反応の完了後、得られた水層を分離することができ、得られた有機溶液から蒸留により、シクロヘキサノンおよびシクロヘキサノールを単離することができることが記載されている。
【0003】
EP−A−4105号明細書の方法では、シクロヘキサノンおよびシクロヘキサノールへの選択率が低いことがわかった。また、分解反応の完了後に得られる混合物から水相を分離することが困難であることもわかった。意外なことに、EP−A−4105号明細書に記載された方法では、分解で得られた有機溶液を蒸留する蒸留塔内で、ファウリングおよび/または副生物の生成が起きることもわかった。
【0004】
したがって、シクロヘキサノンおよびシクロヘキサノールへの選択率を高め、同時に、分解後に得られる混合物の分離を改善することが本発明の目的である。
【0005】
この目的は、50〜80℃の温度、第1の水相のpH8.5〜13で中和を行い、60〜110℃の温度で分解を行い、かつ、80℃より高い温度で、分解後得られた混合物を分離することによって達成される。前記中和は、また、50〜80℃の温度では、シクロヘキサノンおよびシクロヘキサノールの製造プロセスに悪影響を及ぼしたり、また特に、シクロヘキシルハイドロパーオキサイドをさらに含む有機溶液中に存在する、酸および/または二酸化炭素の中和プロセスに悪影響を及ぼしたりすることなく行えることも今わかっている。
【0006】
したがって、本発明は、シクロヘキサノンおよびシクロヘキサノールの製造方法であって、
(a)シクロヘキシルハイドロパーオキサイドをさらに含む有機溶液中に存在する酸および/または二酸化炭素を、その有機溶液を第1の塩基水溶液と50〜80℃の温度で混合することによって中和して、pHが8.5〜13の第1の水相と第1の有機相とを含む第1の混合物を生成する工程、
(b)第1の水相を第1の混合物から分離して、第1の有機相を含む残留混合物を得る工程、
(c)前記残留混合物を第2の塩基水溶液と60〜110℃の温度で混合することによって、前記残留混合物中に存在するシクロヘキシルハイドロパーオキサイドを分解して、第2の水相と、シクロヘキサノンおよびクロヘキサノールを含む第2の有機相とを含む、第2の混合物を生成する工程、
(d)80℃より高い温度で、第2の水相を第2の有機相から分離する工程
を含む方法を提供するものである。
【0007】
本発明の方法のさらなる利点は、本発明の方法で得られるシクロヘキサノンおよびシクロヘキサノールの選択性が向上することである。
【0008】
前記中和は55〜70℃の温度で行うことが好ましい。
【0009】
第1の水相のpHは、25℃での測定で9より大きいことが好ましい。第1の水相のpH(25℃で測定)が9より大きいと、分解反応完了後に得られる混合物からの第2の水相の分離が大きく改善され、第2の有機相中のナトリウム含量が減少することがわかった。第2の有機相中のナトリウム含量が低下すると、第2の有機相を含む残留混合物を蒸留する蒸留塔内での、塩の沈殿などによるファウリング、および/または、アルドール縮合などによる副生物の生成が減少することがわかった。第1の水相のpHに特に上限はない。しかしながら、第1の水相のpHが大きくなると、塩基の消費量が増大する。したがって、第1の水相のpHは、13未満であることが好ましく、11未満であることがより好ましく、10.5未満であることがよりいっそう好ましい。第1の水相のpHは9〜10であることが特に好ましい。第1の水相のpHの調節は、適切な方法であればいかなる方法で行ってもよい。好ましい方法としては、シクロヘキシルハイドロパーオキサイドと酸および/または二酸化炭素とを含む有機溶液を、第1の水相のpHが所望の値になるような量の第1の塩基水溶液と混合する方法が挙げられる。
【0010】
前記分解は、70〜110℃の温度で行うことが好ましく、80〜110℃の温度で行うことがより好ましい。
【0011】
第2の有機相からの第2の水相の分離は、85℃より高い温度で行うことが好ましく、90℃より高い温度で行うことがより好ましい。第2の有機相からの第2の水相の分離を高い温度で行うと、分離の効率が高くなる。第2の有機相からの第2の水相の分離は、最後の分解反応器の出口温度で行うことが好ましい。
【0012】
前記分解工程で得られた第2の混合物は、第2の水相、および、シクロヘキサノンとシクロヘキサノールとを含む第2の有機相を含む。本発明の方法は、第2の有機相から第2の水相を分離する工程をさらに含む。前記分離は、前記分離後に第2の有機相中のナトリウム含量が100ppm未満、より好ましくは50ppm未満、よりいっそう好ましくは10ppm未満(第2の有機相に対して)となるように行うことが好ましい。意外なことに、第1の水相のpHが、分解反応完結後に得られる混合物からの第2の水相の分離に大きく影響することがわかった。前記分離は、デカンテーション、および/または、プレート分離器もしくは静電分離器の使用など、有機相から水相を分離する操作として当業者に知られるいかなる操作によって行ってもよい。好ましい一実施態様では、1つ以上の重力沈降槽とその後のプレート分離器の使用によって、前記分離を行う。
【0013】
本発明の方法においては、シクロヘキシルハイドロパーオキサイドをさらに含む有機溶液中に存在する、酸および/または二酸化炭素の中和は、有機溶液を第1の塩基水溶液と混合することによって行う。前記混合は、例えば充填塔、フローもしくはラインミキサー、ポンプ、スタティックミキサー、攪拌槽、またはこれらの組み合わせを使用するなど、適切であればいかなる方法で実施してもよい。混合工程は、また、第1の塩基水溶液を有機溶液中へ圧入する工程を含んでいてもよい。
【0014】
前記中和で得られる第1の混合物は、中和された酸を含む第1の水相と、シクロヘキシルハイドロパーオキサイドを含む第1の有機相とを含む。本発明の方法は、第1の水相を第1の混合物から分離して、第1の有機相を含む残留混合物を得る工程をさらに含む。前記分離は、例えば1基以上の重力沈降槽を使用してデカンテーションを行うなど、適切な方法であればいかなる方法で行ってもよい。
【0015】
本発明の方法は、第1の水相の少なくとも一部を排出する工程(パージ)をさらに含むことが好ましい。1つの実施態様では、本発明の方法は、第1の有機相から第1の水相を分離する工程、分離された第1の水相の一部を排出する工程、および、分離された第1の水相の別の部分、好ましくは第1の水相の残りの部分を分解工程へ供給する工程をさらに含む。別の一実施態様では、本発明の方法は、第1の有機相から第1の水相の一部を分離して、分離された第1の水相と、第1の有機相および第1の水相の残りの部分を含む残留混合物を得る工程、分離された第1の水相を排出する工程、および、残留混合物を分解工程へ供給する工程を含む。
【0016】
本発明の方法では、前記残留混合物中に存在するシクロヘキシルハイドロパーオキサイドの分解は、前記残留混合物を第2の塩基水溶液と混合して、第2の水相と、シクロヘキサノンおよびシクロヘキサノール(cylohexanol)を含む第2の有機相とを含む第2の混合物を生成することによって行われる。前記混合は、例えば充填塔、フローもしくはラインミキサー、ポンプ、スタティックミキサー、攪拌槽、またはこれらの組み合わせを使用するなど、適切であればいかなる方法で実施してもよい。混合工程は、また、第2の塩基水溶液を残留混合物中へ圧入する工程を含んでいてもよい。好ましい実施態様では、分解は、例えばインラインミキサーまたは直列に接続された複数の連続攪拌槽反応器など、プラグフロー特性を有する反応ゾーンで行われる。
【0017】
前記分解は、シクロヘキシルハイドロパーオキサイドのシクロヘキサノンおよびシクロヘキサノールへの分解を触媒する水溶性金属塩触媒、例えばコバルト、クロム、ニッケル、鉄、マンガンおよび銅などの遷移金属塩の存在下に行うことが好ましい。分解は、遷移金属塩としてコバルトおよび/またはクロムの塩、例えば硫酸塩または硝酸塩を用いて行うことが好ましい。水溶性金属塩の濃度は、広い範囲、例えば0.1〜100ppmの濃度(水相の重量に対し、金属として計算された値)で変化させることができる。1〜10ppmの濃度を適用することが好ましい。
【0018】
第1および第2の塩基水溶液とは、溶解した塩基を含む水溶液をいう。塩基は、アルカリ土類金属の水酸化物および/またはアルカリ土類金属の1種以上の塩、あるいは、アルカリ金属の水酸化物および/またはアルカリ金属の1種以上の塩が好ましい。したがって、第1および第2の塩基水溶液は、アルカリ土類金属の水酸化物および/またはアルカリ土類金属の1種以上の塩を含む水溶液であるか、あるいは、アルカリ金属の水酸化物および/またはアルカリ金属の1種以上の塩を含む水溶液であることが好ましい。より好ましくは、第1および第2塩基水溶液は、アルカリ金属の水酸化物および/またはアルカリ金属の1種以上の塩を含む水溶液である。適したアルカリ(土類)金属塩は、アルカリ(土類)金属のリン酸塩、アルカリ(土類)金属の炭酸塩およびアルカリ(土類)金属の重炭酸塩である。好ましいアルカリ(土類)金属塩は、アルカリ(土類)金属の炭酸塩およびアルカリ(土類)金属の重炭酸塩である。好ましいアルカリ土類金属はマグネシウムである。アルカリ金属は、カリウムまたはナトリウムが好ましく、ナトリウムがより好ましい。好ましい一実施態様では、第1および第2の塩基水溶液は、さらに、カルボン酸塩を含む。カルボン酸塩が存在すると、シクロヘキシルハイドロパーオキサイドから所望の生成物であるシクロヘキサノンおよびシクロヘキサノールへの分解反応速度が増大する。カルボン酸部分が、好ましくは1〜24個、より好ましくは1〜12個のC原子を含む、1価および多価カルボン酸の塩が適している。カルボン酸の適した例としては、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、ステアリン酸、デカン酸、グルタル酸、アジピン酸およびヘプタンジカルボン酸が挙げられる。異なるカルボン酸の混合物を使用することは、それらが容易に入手可能なことから、特に好ましい。第1および第2の塩基水溶液中のカルボン酸塩の濃度は、5重量%より大きいことが好ましく、10重量%より大きいことがより好ましい。第1および第2の塩基水溶液中のカルボン酸塩の濃度は、適用された反応条件での塩基水溶液中におけるカルボン酸塩の溶解限度未満であることが好ましい。
【0019】
第1の塩基水溶液は、アルカリ金属の炭酸塩、アルカリ金属の重炭酸塩およびアルカリ金属のカルボン酸塩を含む水溶液であることが好ましい。第1の塩基水溶液は、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウムおよびカルボン酸のナトリウム塩を含む水溶液であることがより好ましい。第1の水相の酸塩、重炭酸塩および炭酸塩の合計量は、40重量%以下、20重量%以上(第1の水相に対して)であることが好ましい。
【0020】
第2の塩基水溶液は、アルカリ金属の水酸化物、好ましくは水酸化ナトリウムを含む水溶液であることが好ましい。第2の塩基水溶液は、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ金属の炭酸塩およびアルカリ金属のカルボン酸塩を含む水溶液であることがより好ましい。第2の水相の酸塩および炭酸塩の合計量は、40重量%以下、20重量%以上(第2の水相に対して)であることが好ましい。
【0021】
第2の水相のpHは、効率的なシクロヘキシルハイドロパーオキサイドの分解のためには、25℃における測定で13より大きいことが好ましい。第2の水相のpHの調節は、適切な方法であればいかなる方法で行ってもよい。好ましい方法としては、最後の分解反応器における第2の水相のpHが所望の値となるような量のアルカリ金属水酸化物の水溶液を、分解工程に供給することによって、第2の水相のpHを調節する方法が挙げられる。
【0022】
第2の有機相に対する第2の水相の体積比は、0.01より大きいことが好ましく、0.02より大きいことがより好ましく、0.05より大きいことがより好ましく、0.1より大きいことがよりいっそう好ましい。有機相に対する水相の体積比を増大させると、分解反応速度が増大する。有機相に対する水相の体積比には、特定の上限はない。有機相に対する水相の体積比を1より大きくしてもよいが、特に有利な点はない。したがって、第2の有機相に対する第2の水相の体積比は、好ましくは1未満であり、より好ましくは0.6未満である。好ましい一実施態様では、第2の有機相に対する第2の水相の体積比が所望の値となるような量の第2の塩基水溶液を第2の有機相に混合する。
【0023】
第1の、好ましい実施態様では、本方法は、分離された第2の水相の一部を中和工程へ供給する工程、および、分離された第2の水相の一部を分解工程へ供給する工程をさらに含む。この場合、第1および第2塩基水溶液は、前記分離により得られた第2の水相の一部を含む。第1および第2の塩基水溶液は、前述したように、その時点で既にカルボン酸塩を含んでいよう。カルボン酸は分解の副生物として生成し、そこではアルカリ(土類)金属の存在により、カルボン酸の塩が生成される。
【0024】
第2の、より好ましい実施態様では、本方法は、前記第2の有機相から第2の水相を分離する工程の後に、前記分離された第2の水相を2つの部分に分ける工程、前記分離された第2の水相の一方の部分(A部)を中和工程へ供給する工程、および、前記分離された第2の水相の他方の部分(B部)を分解工程へ供給する工程をさらに含む。第1の塩基水溶液が、前記分離された第2の水相のA部であり、また、第2の塩基水溶液の一部が、前記分離された第2の水相のB部であって、かつ、第2の塩基水溶液の残りの部分が、アルカリ金属水酸化物の水溶液であることが好ましい。アルカリ金属水酸化物水溶液の分解工程への供給量は、最後の分解反応器における第2の水相のpHが所望の値となるような量とすることが好ましい。第2の水相のpHは25℃での測定で13より大きいことが好ましい。分離された第2の水相の中和工程への供給量は、第1の水相の25℃の測定でのpHが8.5より大きく、かつ、13未満となるような量であることが好ましく、9より大きく、かつ、11未満となるような量であることがより好ましく、9〜10となるような量であることがよりいっそう好ましい。分離された第2の水相の分解工程への供給量は、第2の有機相に対する第2の水相の体積比が所望の値となるような量とすることが好ましい。第2の有機相に対する第2の水相の体積比は、0.01より大きいことが好ましく、1未満であることが好ましい。前記第2の実施態様では、本発明の方法は、さらに、第1の水相の少なくとも一部を排出する工程(パージ)を含む。1つの実施態様では、本発明の方法は、第1の有機相から第1の水相を分離する工程、分離された第1の水相の一部を排出する工程、分離された第1の水相の別の部分、好ましくは残りの第1の水相を分解工程へ供給する工程を含む。別の一実施態様では、本発明の方法は、第1の有機相から第1の水相の一部を分離して、分離された第1の水相と、第1の有機相および第1の水相の残りの部分を含む残留混合物を得る工程、分離された第1の水相を排出する工程、および、残留混合物を分解工程へ供給する工程を含む。プロセス内に水が蓄積するのを避けることができるだけの量の第1の水相を第1の混合物から分離し、排出することが好ましい。
【0025】
本発明により中和される酸および/または二酸化炭素、並びに、本発明により分解されるシクロヘキシルハイドロパーオキサイドは、例えば、0.1〜20重量%のシクロヘキシルハイドロパーオキサイドおよび0.1〜3重量%の酸を含む(有機溶液に対して)有機溶液など、酸およびシクロヘキシルハイドロパーオキサイドを含むものであればいかなる有機溶液中に存在していてもよい。
【0026】
前記中和工程へ供給される、有機溶液中に存在するシクロヘキシルハイドロパーオキサイドおよび酸は、種々の公知の方法で得ることができる。
【0027】
シクロヘキシルハイドロパーオキサイドおよび酸の製造は、例えば、生成されたシクロヘキシルハイドロパーオキサイドの分解を促進する物質の存在下または非存在下に、酸素含有ガスによりシクロヘキサンを酸化して、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、シクロヘキサノール、シクロヘキシルハイドロパーオキサイド、酸、二酸化炭素、エステル、低沸点化合物および高沸点化合物を含む酸化混合物を得る工程を含む。低沸点化合物とは、沸点がシクロヘキサノンより低く、シクロヘキサンより高い有機化合物を意味する。例えばブタノール、ペンタナル、ヘキサナル、ペンタノールおよびエポキシシクロヘキサンなどが挙げられる。高沸点化合物とは、沸点がシクロヘキサノールより高い有機化合物を意味する。例えば2−シクロヘキシリデンシクロヘキサノン、2−ヘキシリデンシクロヘキサノンおよび2−(シクロヘキセン−1−イル)シクロヘキサノンなどが挙げられる。酸化は、通常、液相で行われる。酸素含有ガスとしては、例えば純酸素、富酸素もしくは貧酸素の空気、または窒素もしくは他の不活性ガスと混合した酸素などが使用される。適した酸化温度は、120〜200℃である。140〜190℃の酸化温度を使用することが好ましい。酸化反応は、通常、5分〜24時間行われる。圧力は、通常、0.3〜5MPa、好ましくは0.4〜2.5MPaである。
【0028】
本発明により分解されるべきシクロヘキシルハイドロパーオキサイドは、遷移金属化合物のような、生成されたシクロヘキシルハイドロパーオキサイドの分解を促進する物質の非存在下に、酸素含有ガスによりシクロヘキサンを酸化することによって得ることが好ましい(以下、シクロヘキサン無触媒酸化という)。シクロヘキサン無触媒酸化は、シクロヘキサン触媒酸化より、シクロヘキシルハイドロパーオキサイドの収率がより高いことから、好ましい。一般に、そのようなシクロヘキサン無職媒酸化で得られる混合物中には、少なくともシクロヘキサノンおよびシクロヘキサノールの重量パーセントと同程度の重量パーセントのシクロヘキシルハイドロパーオキサイドが含まれる。そのようなシクロヘキサン無触媒酸化で得られる混合物中のシクロヘキシルハイドロパーオキサイドの量が、シクロヘキサノンおよびシクロヘキサノールの量の少なくとも2倍となることもしばしばである。シクロヘキサン無触媒酸化とは対照的に、触媒酸化(通常、コバルト化合物および/またはクロム化合物が使用される)では、シクロヘキサノールおよびシクロヘキサノンが主な生成物であり、他に、比較的少量のシクロヘキシルハイドロパーオキサイドが含まれるが、シクロヘキシルハイドロパーオキサイドの大部分は酸化の過程でシクロヘキサノールに既に分解されている。触媒酸化では、シクロヘキサノール+シクロヘキサノンの重量パーセントに対して、50%未満のシクロヘキシルハイドロパーオキサイドを含有する混合物が得られる。この値は、シクロヘキサノール+シクロヘキサノンの重量パーセントと比較して、40%未満のパーオキサイドの量になることもしばしばである。それにもかかわらず、本発明の方法は、触媒酸化で得られるシクロヘキシルハイドロパーオキサイドの分解に対してもまた有利に適用することができる。
【0029】
場合により、酸素含有ガスによるシクロヘキサンの酸化により得られた反応混合物中に存在する酸および/または二酸化炭素を、前記中和工程に供する前に、酸素含有ガスによるシクロヘキサンの酸化により得られた混合物を、シクロヘキサンの全て、または、好ましくは一部を、好ましくはフラッシングまたは蒸留により分離することによって、濃縮することができる。
【0030】
本方法は、前記中和工程の前に、有機溶液中に存在する混在および/または溶解しているガスを脱ガスする工程をさらに含むことが好ましい。
【0031】
シクロヘキシルハイドロパーオキサイドと酸および/または二酸化炭素とを含む有機溶液がシクロヘキサンの酸化により得られたものである場合には、有機溶液はまた、通常、例えば(1)シクロヘキサンおよび/または(2)シクロヘキサノンおよび/または(3)シクロヘキサノールなどの他の化合物を含む。有機溶液中のシクロヘキシルハイドロパーオキサイドの濃度、二酸化炭素の濃度および酸の濃度は、重要ではない。シクロヘキシルハイドロパーオキサイドおよび酸は、例えば、0.1〜20重量%のシクロヘキシルハイドロパーオキサイドおよび0.1〜3重量%を含む(有機溶液に対して)有機溶液中に存在していてもよい。有機溶液中のシクロヘキサノンおよびシクロヘキサノールの合計濃度は、重要ではなく、例えば、0〜20重量%(全有機溶液に対して)である。
【0032】
本発明の方法は、シクロヘキサノンおよびシクロヘキサノールを得るために、水洗浄後に必要ならば、第2の有機相を蒸留する工程をさらに含むことが好ましい。
【0033】
好ましい一実施態様では、本発明は、シクロヘキサノンおよびシクロヘキサノールの製造方法であって、
(1)シクロヘキサンを酸素含有ガスにより酸化して、シクロヘキシルハイドロパーオキサイド、シクロヘキサン、シクロヘキサノール、シクロヘキサノン、酸、二酸化炭素、エステル、低沸点化合物および高沸点化合物を含む有機溶液を得る工程、
(2)場合により、前記有機溶液からシクロヘキサンを分離する工程、
(3)有機溶液を第1の塩基水溶液と混合することによって、酸化工程で生成された酸および二酸化炭素を中和して、第1の水相と第1の有機相とを含む第1の混合物を生成する工程、
(4)前記第1の混合物から第1の水相を分離して、第1の有機相を含む残留混合物を得る工程、
(5)前記残留混合物を第2の塩基水溶液と混合することによって、前記残留混合物中に存在するシクロヘキシルハイドロパーオキサイドを分解して、第2の水相と、シクロヘキサノンおよびシクロヘキサノールを含む第2の有機相とを含む第2の混合物を生成する工程、
(6)第2の有機相から第2の水相を分離する工程、
(7)第2の有機相を蒸留して、シクロヘキサノンおよびシクロヘキサノールを得る工程
を含む方法を提供する。
【0034】
この好ましい実施態様では、第2の有機相を蒸留して、シクロヘキサノンおよびシクロヘキサノールを得る工程が、次の工程:第2の有機相からシクロヘキサンを分離する工程(7.a)、第2の有機相から低沸点化合物を分離する工程(7.b)、第2の有機相からシクロヘキサノンを分離する工程(7.c)、および、第2の有機相からシクロヘキサノールを分離する工程(7.d)を含むことが好ましい。(7.a)、(7.b)、(7.c)および/または(7.d)の間に、他の精製工程および/または回収工程を行ってもよい。
【0035】
この好ましい実施態様では、第2の有機相を蒸留して、シクロヘキサノンおよびシクロヘキサノールを得る工程が、蒸留により第2の有機相からシクロヘキサンを分離して、シクロヘキサンを含む留出液と、シクロヘキサノン、シクロヘキサノール、低沸点化合物および高沸点化合物を含む第1の缶出液を得る工程、
蒸留により第1の缶出液から低沸点化合物を分離して、低沸点化合物を含む留出液と、シクロヘキサノン、シクロヘキサノールおよび高沸点化合物を含む第2の缶出液を得る工程、および
蒸留により第2の缶出液からシクロヘキサノンを分離して、シクロヘキサノンを含む留出液と、シクロヘキサノールおよび高沸点化合物を含む第3の缶出液を得る工程、並びに、
蒸留により第3の缶出液からシクロヘキサノールを分離して、シクロヘキサノールを含む留出液と、高沸点化合物を含む缶出液を得る工程、
を含むことがより好ましい。シクロヘキサノールは、その後、脱水素反応に供してもよい。上記蒸留工程の間に、他の精製工程および/または回収工程を行ってもよい。
【0036】
実施態様の説明
図1を参照すると、Iaは中和反応器を示す。ライン1は、酸、二酸化炭素およびシクロヘキシルハイドロパーオキサイドを含む有機溶液を示す。ライン2は第1の塩基水溶液を示し、分離器(分解工程で得られた混合物の分離工程に2基以上の分離器を含む場合には、最後の分離器)で得られた第2の水相(ライン6)の一部(A部)である。有機溶液は、中和反応器Iaに供給される前に、第1の塩基水溶液と予め混合される。中和後、第1の水相および第1の有機相を含む第1の混合物は、液/液分離器Ibに供給され、第1の水相と第1の有機相が分離される。分離された第1の水相の一部は、ライン3を通して排出される。有機相と第1の水相の残部を含む残留混合物(ライン4)は、分解反応器IIa(一連の分解反応器で分解が行われる場合には、最初の分解反応器)に供給される前に、第2の塩基水溶液(ライン5)と予め混合される。第2の塩基水溶液は、分離器(分解工程で得られた混合物の分離工程に2基以上の分離器を含む場合には、最後の分離器)で得られた第2の水相(ライン6)の一部(B部)(ライン9)と、アルカリ金属水酸化物、好ましくは水酸化カナトリウムの水溶液(ライン10)と混合することによって得られる。水溶性遷移金属塩触媒の水溶液は、ライン11を通して分解反応器IIaに供給される。一連の分解反応器で分解が行われる場合には、上記流れは最初の分解反応器に供給される。分解後、第2の水相および第2の有機相を含む第2の混合物は、液/液分離器IIb(分解工程で得られた混合物の分離工程に2基以上の分離器を含む場合には、最初の分離器)に供給され、第2の水相(ライン6)が第2の有機相(ライン7)から分離される。第2の有機相(ライン7)は、場合により、水で洗浄後、蒸留してシクロヘキサノンおよびシクロヘキサノールを得る。
【0037】
本発明を、以下の実施例により説明するが、これらに限定されるものではない。
【0038】
実施例1
シクロヘキサンの無触媒酸化で得られた酸化混合物(図1のライン1)は、シクロヘキサン、3.2重量%のシクロヘキシルハイドロパーオキサイド、0.5重量%のシクロヘキサノール、0.3重量%のシクロヘキサノンおよび副生物からなるものであった。この混合物は、他の副生物とともに、0.02重量%のCOおよび0.4重量%の混合有機酸(C1〜C6の範囲の1価および2価の酸)も含有していた。酸化混合物を60℃に冷却した。冷却した酸化混合物を、十分に攪拌した中和反応器(図1のIa)に供給する前に、シクロヘキシルハイドロパーオキサイドの分解反応器の後のプレート分離器から得られた塩基水溶液(図1のライン2)と予め混合した。塩基水溶液(ライン2)は、4.1重量%のNaCO、1.4重量%のNaOH、および、14.6重量%のC1〜C6の範囲の1価の酸と2価の酸のカルボン酸ナトリウム塩の混合物を含有していた。水溶液および有機溶液を、中和反応器(Ia)中で十分に混合し、微細な有機−水性エマルジョンを得た。このエマルジョン中の水相含量は3.8体積%であった。この反応器の出口で、COおよび有機酸は定量的に中和されていた。中和反応器の出口温度は65℃であった。この反応器の後、エマルジョンを重力沈降槽(図1のIb)へ供給し、エマルジョンから水相を分離した。得られた水相は、0.3重量%のNaCO、3.6重量%のNaHCOおよび21.5重量%のC1〜C6の範囲の1価の酸と2価の酸のカルボン酸ナトリウム塩の混合物を含有していた(NaOHは含まれていなかった)。流れ2の量は、重力沈降槽から流出する水相のpHが9.1となるように選択した。パージされる水相(図1のライン3)の量は、重力沈降槽を出る水相の65%であった。したがって、重力沈降槽を出る水相の35%が、分離された有機相と一体となった(図1のライン4)。得られた混合物(ライン4)を、十分に攪拌した最初の分解反応器IIaに供給する前に、塩基水溶液(ライン5)と予め混合した。塩基水溶液(ライン5)は、シクロヘキシルハイドロパーオキサイド分解反応器の後のプレート分離器から得られた塩基水溶液(図1ライン6)の一部(ライン9)とNaOH水溶液(ライン10)とを混合することによって得た。中和および分解工程で消費された塩基を補充するために、追加のNaOH水溶液(ライン10)を流れ9に供給した。NaOHの供給量は、最後の分解反応器の出口で、水相中のNaOH濃度が0.4モル/リットルとなるような量とした。また、硫酸コバルトを含有する少量の水溶液(図1のライン11)を、シクロヘキシルハイドロパーオキサイドのシクロヘキサノールおよびシクロヘキサノンへの分解触媒として、最初の分解反応器に添加した。分解反応器群中に存在する水相中のコバルト濃度は、約5ppmであった。最後の分解反応器の後では、シクロヘキシルハイドロパーオキサイドの転化は完了していた。断熱的な温度上昇のために、最後の分解反応器の出口の温度は95℃であった。この反応器の出口で得られたエマルジョンを、プレート分離器の前に設置された2基の連続した重力沈降槽(図1のIIb)で沈降させた。L/L分離後に得られた有機相(図1のライン7)のナトリウム含量は5ppm未満であり、水相が効率的に除去されたことを示した。分離された有機相は、主としてシクロヘキサンを含み、さらに1.7重量%のシクロヘキサノンおよび1.7重量%のシクロヘキサノールを含んでいた。これは、シクロヘキシルハイドロパーオキサイドの分解反応選択率91.5%に対応する。分解反応器の後のL/L分離器からの水相の大部分を、最初の分解反応器(図1のライン9)にリサイクルさせた。分解反応器が約15体積%の水相を含有するように、この流れの大きさを制御した。分解反応器の後のL/L分離器からの水相の僅かの部分を、中和反応器への供給流れに供給した(図1のライン8)。この実験では、NaOHの全消費量は、生成されたシクロヘキサノン+シクロヘキサノール1トン当たり96kgであった。
【0039】
比較実験A
中和反応器Iaの出口における水相のpHが8.3になるように流れ2の流量を調節したことを変更点として実施例1を繰り返した。この実験では、また、流れ9を、分解反応器で得られるエマルジョンが約15体積%の水相を含有するように制御するとともに、流れ10および11を、最後の分解反応器の出口における水相中で、NaOHおよびコバルト含量がそれぞれ0.4モル/リットルおよび5ppmとなるように制御した。シクロヘキシルハイドロパーオキサイドは完全に転化されており、分解の選択率は91.5%であった。この実験では、実施例1と比べると、水相と有機相の分離がやや不良となり、所望のプロセス条件にプロセスを維持することがより困難になったようであった。また、このことが、有機生成物流れ8中のナトリウム含量が約5〜20ppmの間で変動する原因となった。この実験では、製造されたシクロヘキサノン+シクロヘキサノールの1トン当たりのNaOHの全消費量は、95kgであった。
【0040】
比較実験B
中和反応器Iaの出口における水相のpHがpH=7.5になるように、流れ2の流量を調節したことを変更点として実施例1を繰り返した。この場合、また、最後の分解反応器の最終出口で15体積%の水相(5ppmのコバルトおよび0.4モルNaOH/リットルを含有)を目標とした。しかしながら、分離がより困難な、より安定したエマルジョンが生成されたため、プロセスは極めて不安定なものとなった。シクロヘキシルハイドロパーオキサイドの転化はそれでもなお完結したものの、流れ7のナトリウム含量が大きく変動するのが観察された。ナトリウムの平均含量は>100ppmであり、下流の操作で好ましくない影響(リボイラでのファウリングおよび収量損失)が生じたために、この操作モードは放棄しなければならなかった。
【0041】
比較実験C
酸化混合物(流れ1)を95℃に冷却することを変更点として実施例1を繰り返した。中和反応器Iaの出口における水相のpHが9.1になるように、流れ2の流量を調節した。この実験では、また、流れ9を、分解反応器で得られるエマルジョンが約15%の水相を含有するように制御するとともに、流れ10および11を、最後の分解反応器の出口における水相中で、NaOHおよびコバルト含量がそれぞれ0.4モル/リットルおよび5ppmとなるように制御した。シクロヘキシルハイドロパーオキサイドの転化は完了し、分解反応の選択率は87.6%であった。実施例1に類似した、良好な相分離が得られた。流れ8のナトリウム含量は5ppm未満であった。この実験では、製造されたシクロヘキサノン/シクロヘキサノールの1トン当たりのNaOHの全消費量は、112kgであった。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の方法の好ましい一実施態様を示す。
【符号の説明】
【0043】
この図において、符号は次の意味を有する。
1 有機溶液
2 第1の塩基水溶液
3 第1の水相
4 第1の有機相を含む残留混合物
5 第2の塩基水溶液
6 第2の水相
7 第2の有機相
8 A部
9 B部
10 アルカリ金属水酸化物の水溶液
11 水溶性遷移金属塩触媒の水溶液
Ia 中和反応器
Ib 液/液分離器
IIa 分解反応器
IIb 液/液分離器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シクロヘキサノンおよびシクロヘキサノールの製造方法であって、
(a)シクロヘキシルハイドロパーオキサイドをさらに含む有機溶液中に存在する酸および/または二酸化炭素を、その有機溶液を第1の塩基水溶液と50〜80℃の温度で混合することによって中和して、pHが8.5〜13の第1の水相と第1の有機相とを含む第1の混合物を生成する工程、
(b)第1の水相を第1の混合物から分離して、第1の有機相を含む残留混合物を得る工程、
(c)前記残留混合物を第2の塩基水溶液と60〜110℃の温度で混合することによって、前記残留混合物中に存在するシクロヘキシルハイドロパーオキサイドを分解して、第2の水相と、シクロヘキサノンおよびクロヘキサノールを含む第2の有機相とを含む、第2の混合物を生成する工程、
(d)80℃より高い温度で、第2の水相を第2の有機相から分離する工程
を含む方法。
【請求項2】
前記中和工程が、55〜70℃の温度で行われることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2の水相を第2の有機相から分離する工程が、90℃より高い温度で行われることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
第1の水相のpHが、25℃での測定で、9より大きく、かつ、13未満であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
第1の水相のpHが、25℃での測定で、9〜10であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
第2の水相のpHが、25℃での測定で、13より大きいことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記方法が、前記第2の水相を第2の有機相から分離する工程(d)の後に、前記分離された第2の水相の一部を前記中和工程(a)へ供給する工程、および、前記分離された第2の水相の一部を前記分解工程(c)へ供給する工程をさらに含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記方法が、前記第2の水相を第2の有機相から分離する工程(d)の後に、前記分離された第2の水相を2つの部分に分ける工程、前記分離された第2の水相の一方の部分(A部)を中和工程(a)へ供給する工程、および、前記分離された第2の水相の他方の部分(B部)を分解工程(c)へ供給する工程をさらに含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
第1の塩基水溶液が、前記分離された第2の水相のA部であり、第2の塩基水溶液の一部が、前記分離された第2の水相のB部であり、かつ、第2の塩基水溶液の他の一部が、アルカリ金属水酸化物の水溶液であることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
分離された第2の水相の中和工程への供給量が、第1の水相のpHが25℃での測定で8.5より大きくなるような量であることを特徴とする請求項7〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
分離された第2の水相の中和工程への供給量が、第1の水相のpHが25℃での測定で9〜10となるような量であることを特徴とする請求項7〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記方法が、第2の有機相を含む残留混合物を蒸留してシクロヘキサノンおよびシクロヘキサノールを得る工程をさらに含むことを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2008−528537(P2008−528537A)
【公表日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−552605(P2007−552605)
【出願日】平成18年1月17日(2006.1.17)
【国際出願番号】PCT/EP2006/001003
【国際公開番号】WO2006/079562
【国際公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【出願人】(503220392)ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ. (873)
【Fターム(参考)】