説明

シス−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテンの組成物及び使用

本発明は、数多くの用途において有用性を有する組成物、方法、及びシステム、特に以下の構造(式I):


を有する化合物:シス−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン(Z−HFO−1336mzzm)を含む組成物に関する使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2009年12月16日出願の米国仮特許出願61/287,033(その開示事項は参照として本明細書中に包含する)の利益を主張する。
本発明は、数多くの用途において有用性を有する組成物、方法、及びシステム、特に以下の構造:
【0002】
【化1】

【0003】
を有する化合物:シス−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン(Z−HFO−1336mzzm)を含む組成物に関する使用に関する。
【背景技術】
【0004】
本発明の組成物は、次世代の低地球温暖化係数材料に関する継続した探査の一環である。かかる材料は、非常に低い地球温暖化係数及びゼロのオゾン層破壊係数によって評価される低い環境影響を有していなければならない。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、数多くの用途において有用性を有する組成物、方法、及びシステム、特に以下の構造:
【0006】
【化2】

【0007】
を有する化合物:シス−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン(Z−HFO−1336mzzm)を含む組成物に関する使用に関する。
本発明の幾つかの態様は、単独か、又は本明細書において以下に詳細に記載するような1種類以上の他の化合物と組み合わせた化合物:Z−HFO−1336mzzmを包含する。好ましくは、化合物:Z−HFO−1336mzzmを含む混合物は非共沸性である。
【0008】
Z−HFO−1336mzzmとして示される生成物は、小さい割合、例えば約0.5重量%乃至約5重量%以下の、特にE−HFO−1336mzzmなどの他の成分を含むことが通常的であり、予測されることを留意すべきである。本明細書において用いる「Z−HFO−1336mzzmから実質的に構成される」という用語は、かかる組成物を広く包含するように意図される。本明細書において用いる「から構成される」及び「から構成され」という用語は、かかる他の成分を含まない。本明細書において記載する本発明の全ての態様は、所望の場合には、これらの態様が好ましくは少量(例えばppm)の不純物以外には示されている実際の成分のみから構成されるように実質的に精製形態で得ることができる。
【0009】
本発明の組成物は、少数の好ましい用途が挙げられる発泡剤、冷媒、加熱剤、動力サイクル薬剤、洗浄剤、エアゾール噴射剤、滅菌剤、潤滑剤、香味料及び香料抽出剤、燃焼性低下剤、及び炎抑制剤のような広範囲の用途において用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の組成物は全て、化合物:Z−HFO−1336mzzmを含む。本発明の幾つかの態様、特に発泡剤組成物又は発泡性組成物として用いるものには、場合によって他の成分を含ませることができ、その幾つかを下記において詳細に記載する。
【0011】
化合物:Z−HFO−1336mzzmに加えて、本発明の幾つかの態様は、2〜6個、好ましくは3〜5個の炭素原子、より好ましくは3〜4個の炭素原子、及び幾つかの態様においては最も好ましくは3個の炭素原子、並びに少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含む少なくとも1種類の更なるフルオロアルケンを含むか又は実質的にこれらから構成される組成物に関する。本発明のフルオロアルケン化合物は、本明細書において時には簡便の目的のために、それらが少なくとも1つの水素を含む場合にはヒドロフルオロオレフィン又は「HFO」と呼ぶ。
【0012】
本出願人らは、必須成分として化合物:Z−HFO−1336mzzm、及びHFO、HFC、HFE、炭化水素、エーテル、アルデヒド、ケトン、及び他のもの、例えばギ酸メチル、ギ酸、トランス−1,2−ジクロロエチレン、二酸化炭素のような少なくとも1種類の更なる化合物、シス−HFO−1234ze+HFO−1225yez;これらと水の混合物;これらとCOの混合物;これらとトランス−1,2−ジクロロエチレン(DCE)の混合物;これらとギ酸メチルの混合物;シス−HFO−1234ze+COを有する混合物;シス−HFO−1234ze+HFO−1225yez+COを有する混合物;及びシス−HFO−1234ze+HFC−245faを有する混合物;を含む幾つかの組成物を開発した。かかる組成物においては、化合物:Z−HFO−1336mzzmの量は広く変化させることができ、例えば全ての場合において組成物中の全ての他の成分を計上した後の組成物の残りを構成する。
【0013】
幾つかの好ましい態様においては、組成物中の化合物:Z−HFO−1336mzzmの量は、以下の範囲:約1重量%〜約99重量%;約30重量%〜約99重量%;約50重量%〜約99重量%;約75重量%〜約99重量%;約85重量%〜約99重量%;約20重量%〜約80重量%;約90重量%〜約99重量%;約95重量%〜約99重量%;約1重量%〜約20重量%;約1重量%〜約40重量%;約1重量%〜約50重量%;約5重量%〜約20重量%;約5重量%〜約40重量%;約5重量%〜約60重量%;約10重量%〜約80重量%;約10重量%〜約90重量%;約20重量%〜約80重量%;約20重量%〜約90重量%;にしたがうことができる。
【0014】
本発明の好ましい組成物は、環境的に許容でき、地球の成層圏オゾン層の破壊に寄与しない。本発明の化合物及び組成物は、大きくないオゾン層破壊係数(ODP)、好ましくは約0.5以下のODP、更により好ましくは約0.25以下のODP、最も好ましくは約0.1以下のODP;及び又は、約150以下の地球温暖化係数(GWP)、更により好ましくは約50以下のGWP;を有する。
【0015】
本明細書において用いるODPは、世界気象協会のレポートである"Scientific Assessment of Ozone Depletion, 2002"(参照により本明細書中に包含する)において定義されている。
【0016】
本明細書において用いるGWPは、二酸化炭素のものに対して100年間の時間範囲にわたって定義されるものであり、上記のODPに関するものと同じ参照文献において定義されている。
【0017】
このタイプの好ましい組成物を下表1に示す(全てのパーセントは重量%であり、用語「約」が前置されていると理解される。
【0018】
【表1−1】

【0019】
【表1−2】

【0020】
【表1−3】

【0021】
【表1−4】

【0022】
組成物の使用:
上記記載のように、本発明の組成物は、広範囲の用途において、CFC及びより望ましくないHCFCを含む組成物に対する代替物として用いることができる。例えば、本組成物は、少数の好ましい用途が挙げられる発泡剤、冷媒、加熱剤、動力サイクル薬剤、洗浄剤、エアゾール噴射剤、滅菌剤、潤滑剤、香味料及び香料抽出剤、燃焼性低下剤、及び炎抑制剤として有用である。これらの使用のそれぞれを下記においてより詳細に議論する。
【0023】
発泡剤:
而して、本発明は、発泡剤としてZ−HFO−1336mzzmを、場合によっては、発泡剤としても作用する他の化合物(以下においては便宜のために(しかしながら限定の目的ではなく)共発泡剤と呼ぶ)、界面活性剤、ポリオール、触媒、難燃剤、ポリマー変性剤、着色剤、染料、溶解度向上剤、流動性調整剤、可塑剤、充填剤、成核剤、粘度低下剤、蒸気圧調整剤、安定剤など(しかしながらこれらに限定されない)の1種類以上の場合によって用いる更なる化合物と共に用いることを含む方法及びシステムを包含する。フォーム、特に噴霧フォーム及びパネル用フォームのために用いる発泡剤として好ましいブレンドとしては、Z−HFO−1336mzzmと、炭化水素(特にシクロペンタンなどのペンタン類)、及び245fa、365mfc、及び1233zdのそれぞれとのブレンドが挙げられる。Z−HFO−1336mzzmのシス異性体が好ましいが、トランス異性体及び/又はラセミ化合物などの複数の異性体の混合物は幾つかのフォームのタイプにおいて有用であると予測される。
【0024】
この使用に関し、本発明の組成物中の化合物:Z−HFO−1336mzzmの量は、以下の範囲:約1重量%〜約99重量%;約30重量%〜約99重量%;約50重量%〜約99重量%;約75重量%〜約99重量%;約85重量%〜約99重量%;約20重量%〜約80重量%;約90重量%〜約99重量%;約95重量%〜約99重量%;約1重量%〜約20重量%;約1重量%〜約40重量%;約1重量%〜約50重量%;約5重量%〜約20重量%;約5重量%〜約40重量%;約5重量%〜約60重量%;約10重量%〜約80重量%;約10重量%〜約90重量%;約20重量%〜約80重量%;約20重量%〜約90重量%;にしたがうことができる。量の他の範囲が表1に示されており、これらの量は同様に本発明組成物のこの使用に適用することができる。
【0025】
幾つかの好ましい態様においては、分散剤、気泡安定剤、界面活性剤、及び他の添加剤を本発明の発泡剤組成物中に含ませることもできる。幾つかの界面活性剤は随意であるが、好ましくは気泡安定剤として働かせるために加える。幾つかの代表的な材料は、DC-193、B-8404、及びL-5340の名称で販売されており、これらは一般に、米国特許2,834,748、2,917,480、及び2,846,458(これらのそれぞれは参照として本明細書中に包含する)において開示されているもののようなポリシロキサンポリオキシアルキレンブロックコポリマーである。発泡剤混合物のための他の場合によって用いる添加剤としては、トリ(2−クロロエチル)ホスフェート、トリ(2−クロロプロピル)ホスフェート、トリ(2、3−ジブロモプロピル)ホスフェート、トリ(1,3−ジクロロプロピル)ホスフェート、ジアンモニウムホスフェート、種々のハロゲン化芳香族化合物、酸化アンチモン、アルミニウム三水和物、ポリ塩化ビニルなどのような炎抑制剤を挙げることができる。成核剤に関しては、特にタルクなどの成核機能を有する全ての公知の化合物及び材料を本発明において用いるために利用することができる。
【0026】
勿論、組成物の特定の特性(例えばコスト)を調節する他の化合物及び/又は成分を本組成物中に含ませることもでき、全てのかかる化合物及び成分を存在させることは本発明の広い範囲内である。
【0027】
本発明による共発泡剤は、物理的発泡剤、化学的発泡剤(好ましくは幾つかの態様においては水を含む)、又は物理的及び化学的発泡剤特性の組み合わせを有する発泡剤を含んでいてよい。
【0028】
広範囲の共発泡剤を本発明にしたがって用いることができると意図されるが、幾つかの態様においては、本発明の発泡剤組成物は、共発泡剤として1種類以上のHFC、より好ましくは1種類以上のC〜CHFC、及び/又は1種類以上の炭化水素、より好ましくはC〜C炭化水素を含むことが好ましい。例えば、HFCに関しては、本発泡剤組成物に、ジフルオロメタン(HFC−32)、フルオロエタン(HFC−161)、ジフルオロエタン(HFC−152)、トリフルオロエタン(HFC−143)、テトラフルオロエタン(HFC−134)、ペンタフルオロエタン(HFC−125)、ペンタフルオロプロパン(HFC−245)、ヘキサフルオロプロパン(HFC−236)、ヘプタフルオロプロパン(HFC−227ea)、ペンタフルオロブタン(HFC−365mfc)、ヘキサフルオロブタン(HFC−356)、及び全てのかかるHFCの全ての異性体の1以上を含ませることができる。
【0029】
炭化水素に関しては、本発泡剤組成物に、幾つかの好ましい態様においては、例えば、熱硬化性フォームに関してはイソ、n−、及び/又はシクロペンタン、並びに熱可塑性フォームに関してはブタン又はイソブタンを含ませることができる。勿論、水、CO、CFC(例えばトリクロロフルオロメタン(CFC−11)及びジクロロジフルオロメタン(CFC−12))、ヒドロクロロカーボン(HCC、例えばジクロロエチレン(好ましくはトランス−1,2−ジクロロエチレン)、塩化エチル、及びクロロプロパン)、HCFC、C〜Cアルコール(例えばエタノール及び/又はプロパノール及び/又はブタノールなど)、C〜Cアルデヒド、C〜Cケトン、C〜Cエーテル(エーテル(例えばジメチルエーテル及びジエチルエーテル)、ジエーテル(例えばジメトキシメタン及びジエトキシメタン)など)、及びギ酸メチル、並びにこれらのいずれかの組合せのような他の材料を含ませることができるが、かかる成分は負の環境影響のために多くの態様において好ましくないと考えられる。
【0030】
幾つかの態様においては、以下のHFC異性体の1以上が本発明の組成物において共発泡剤として用いるのに好ましい:
1,1,1,2,2−ペンタフルオロエタン(HFC−125);
1,1,2,2−テトラフルオロエタン(HFC−134);
1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a);
1,1−ジフルオロエタン(HFC−152a);
1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFC−227ea);
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン(HFC−236fa);
1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa);及び
1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(HFC−365mfc)。
【0031】
上記に記載の任意の更なる共発泡剤、及び本組成物中に含ませることができる任意の更なる成分の相対量は、組成物に関する特定の用途にしたがって本発明の一般的な広い範囲内で広く変化させることができ、全てのかかる相対量は本発明の範囲内であるとみなされる。
【0032】
幾つかの態様においては、本発明の発泡剤組成物は、少なくとも1種類の共発泡剤、及び全体で不燃性である発泡剤組成物を製造するのに十分な量のZ−HFO−1336mzzmを含むことが好ましい。
【0033】
本発明の発泡剤組成物には、広く変化する量の化合物:Z−HFO−1336mzzmを含ませることができる。しかしながら、本発明による発泡剤として用いるのに好ましい組成物に関しては、Z−HFO−1336mzzmは、組成物の少なくとも約1重量%、より好ましくは少なくとも約5重量%、更により好ましくは少なくとも約15重量%の量で存在する。
【0034】
幾つかの好ましい態様においては、発泡剤は少なくとも約50重量%の1種類又は複数の本発泡剤化合物を含み、幾つかの態様においては、発泡剤はZ−HFO−1336mzzmから実質的に構成される。この点に関し、1種類以上の共発泡剤を用いることは本発明の新規で基本的な特徴と合致することが留意される。例えば、水は共発泡剤としてか、又は多数の態様においては他の共発泡剤(例えばペンタン、特にシクロペンタンなど)と組み合わせて用いることが意図される。
【0035】
幾つかの好ましい態様においては、発泡剤組成物は、約30重量%〜約95重量%のZ−HFO−1336mzzm、及び約5重量%〜約90重量%、より好ましくは約5重量%〜約65重量%の共発泡剤を含む。幾つかのかかる態様においては、共発泡剤は、HO、HFC、炭化水素、アルコール(好ましくはC、C、及び/又はCアルコール)、CO、及びこれらの組合せを含み、好ましくはこれらから構成される。
【0036】
共発泡剤がHOを含む好ましい態様においては、組成物は、全発泡剤組成物の約5重量%〜約50重量%、より好ましくは全発泡剤の約10重量%〜約40重量%、更により好ましくは約10重量%〜約20重量%の量のHOを含む。
【0037】
共発泡剤がCOを含む好ましい態様においては、組成物は、全発泡剤組成物の約5重量%〜約60重量%、より好ましくは全発泡剤の約20重量%〜約50重量%、更により好ましくは約40重量%〜約50重量%の量のCOを含む。
【0038】
共発泡剤がアルコール(好ましくはC、C、及び/又はCアルコール)を含む好ましい態様においては、組成物は、全発泡剤組成物の約5重量%〜約40重量%、より好ましくは全発泡剤の約10重量%〜約40重量%、更により好ましくは約15重量%〜約25重量%の量のアルコールを含む。
【0039】
HFC共発泡剤を含む組成物に関しては、HFC共発泡剤(好ましくはC、C、C、及び/又はCHFC)、更により好ましくはジフルオロメタン(HFC−152a)(HFC−152aは押出熱可塑性材料のために特に好ましい)、及び/又はペンタフルオロプロパン(HFC−245))は、好ましくは全発泡剤組成物の約5重量%〜約80重量%、より好ましくは全発泡剤の約10重量%〜約75重量%、更により好ましくは約25重量%〜約75重量%の量で組成物中に存在する。更に、かかる態様においては、HFCは好ましくはC〜CHFC、更により好ましくはCHFCであり、HFC−245faのような五フッ素化CHFCが幾つかの態様において非常に好ましい。
【0040】
HC共発泡剤を含む組成物に関しては、HC共発泡剤(好ましくはC、C、及び/又はCHC)は、好ましくは全発泡剤組成物の約5重量%〜約80重量%、更により好ましくは全発泡剤の約20重量%〜約60重量%の量で組成物中に存在する。
【0041】
発泡剤の例:
この例は、炭化水素共発泡剤と組み合わせて用いるZ−HFO−1336mzzmの性能、特に硬質ポリウレタン断熱フォーム中におけるZ−HFO−1336mzzm及びシクロペンタン共発泡剤を含むか又は実質的にこれらから構成される組成物の有用性を示す。
【0042】
一般的な冷蔵庫電気機器タイプのポリウレタンフォーム配合物(フォーム形成混合物)を与える。ポリオールブレンドは、1種類又は複数の商業的なポリオール、1種類又は複数の触媒、1種類又は複数の界面活性剤、及び水から構成されていた。フォーム形成プロセスのために標準的な商業的ポリウレタンフォーム処理装置を用いる。全物理的発泡剤の約50モル%の濃度のZ−HFO−1336mzzm及び約50モル%の濃度のシクロペンタンを含むか又は実質的にこれらから構成される発泡剤混合物を形成する。物理的発泡剤は、ポリオールブレンドに個々に加えることができ、或いはポリオールブレンドに導入する前に予めブレンドすることができる。
【0043】
この例は、全ての得られるフォームの物理特性及び熱伝導特性がこれらの発泡剤混合物の商業的な使用のために好適であることを示す。
発泡性組成物:
本発明の一態様は発泡性組成物を提供する。当業者に公知なように、発泡性組成物は一般に、フォームを形成することができる1種類以上の成分を含む。本明細書において用いる「フォーム形成剤」という用語は、フォーム構造、好ましくは概して多孔質のフォーム構造を形成することができる成分又は複数の成分に関する組合せを指すように用いる。本発明の発泡性組成物は、かかる1種類又は複数の成分、及び発泡剤化合物、好ましくはZ−HFO−1336mzzmを含む。
【0044】
この使用に関しては、本発明の組成物中の化合物:Z−HFO−1336mzzmの量は以下の範囲:約1重量%〜約99重量%;約30重量%〜約99重量%;約50重量%〜約99重量%;約75重量%〜約99重量%;約85重量%〜約99重量%;約20重量%〜約80重量%;約90重量%〜約99重量%;約95重量%〜約99重量%;約1重量%〜約20重量%;約1重量%〜約40重量%;約1重量%〜約50重量%;約5重量%〜約20重量%;約5重量%〜約40重量%;約5重量%〜約60重量%;約10重量%〜約80重量%;約10重量%〜約90重量%;約20重量%〜約80重量%;約20重量%〜約90重量%;にしたがうことができる。量の他の範囲を表1に示し、これらの量は本発明の組成物のこの使用に同様に適用することができる。
【0045】
幾つかの態様においては、フォームを形成することができる1種類以上の成分は、フォームを形成することができる熱硬化性組成物及び/又は発泡性組成物を含む。熱硬化性組成物の例としては、ポリウレタン及びポリイソシアヌレートフォーム組成物、並びにフェノール樹脂フォーム組成物が挙げられる。この反応及び発泡プロセスは、気泡寸法を制御及び調節し、且つ形成中にフォーム構造を安定化するように働く触媒及び界面活性剤材料のような種々の添加剤を用いることによって向上させることができる。更に、本発明の発泡剤組成物に関して上記に記載した任意の1種類以上の更なる成分を本発明の発泡性組成物中に含ませることができることが意図される。かかる熱硬化性フォームの態様においては、1種類以上の本組成物は、発泡性組成物中の発泡剤としてか又はその一部として、或いは好ましくは適当な条件下で反応及び/又は発泡してフォーム又は気泡構造を形成することができる1種類以上の成分を含む2以上の部分の発泡性組成物の一部として含まれる。
【0046】
本発明の幾つかの他の態様においては、発泡させることができる1種類以上の成分は、熱可塑性材料、特に熱可塑性ポリマー及び/又は樹脂を含む。熱可塑性フォーム成分の例としては、例えば式:Ar−CHCH(式中、Arは、ポリスチレン(PS)のようなベンゼン系の芳香族炭化水素基である)のモノビニル芳香族化合物のようなポリオレフィンが挙げられる。本発明による好適なポリオレフィン樹脂の他の例としては、ポリエチレンのようなエチレンホモポリマー及びエチレンコポリマーなどの種々のエチレン樹脂、ポリプロピレン(PP)、並びにポリエチレンテレフタレート(PET)が挙げられる。幾つかの態様においては、熱可塑性発泡性組成物は押出可能な組成物である。
【0047】
フォームを形成するための全ての現在公知で利用できる方法及びシステムを、本発明に関連して用いるように容易に適合させることができると意図される。例えば、本発明方法は、一般に、本発明による発泡剤を発泡性又はフォーム形成性組成物中に含ませ、次に好ましくは本発明による発泡剤の体積膨張を引き起こすことを含む工程又は一連の工程によって組成物を発泡させることを必要とする。
【0048】
一般に、発泡剤を含ませるため、及び発泡させるために現在用いられているシステム及び装置は、本発明にしたがって用いるように容易に適合させることができると意図される。実際、本発明の1つの有利性は、既存の発泡方法及びシステムと一般に適合しうる改良された発泡剤が与えられることであると考えられる。
【0049】
而して、本発明は、熱硬化性フォーム、熱可塑性フォーム、及び現場成形フォームなどの全てのタイプのフォームを発泡させるための方法及びシステムを含むことが当業者に認められるであろう。而して、本発明の1つの特徴は、本発泡剤が、ポリウレタン発泡装置のような通常の発泡装置と関連して通常の処理条件において用いられることである。したがって、本方法は、ポリオールプレミックスタイプの運転、ブレンドタイプの運転、第3の流れの発泡剤の添加、及びフォームヘッドにおける発泡剤の添加を包含する。
【0050】
熱可塑性フォームに関しては、好ましい方法は、一般に、本発明による発泡剤を、熱可塑性材料、好ましくはポリオレフィンのような熱可塑性ポリマー中に導入し、次に熱可塑性材料を、発泡を引き起こすのに有効な条件にかけることを含む。例えば、発泡剤を熱可塑性材料中に導入する工程には、発泡剤を、熱可塑性材料を含むスクリュー押出機中に導入することを含ませることができ、発泡を引き起こす工程には、熱可塑性材料上への圧力を低下させて、それによって発泡剤の膨張を引き起こして材料の発泡に寄与するとを含ませることができる。
【0051】
特に本明細書に含まれる開示事項を考慮すると、本発明の発泡剤を形成し及び/又は発泡性組成物に加える順番及び方法は、一般に本発明の実施可能性に影響を与えないことが当業者に認められるであろう。例えば、押出可能なフォームの場合には、発泡剤の種々の成分、及び更には発泡性組成物の成分を押出装置に導入する前に混合しないことが可能であり、或いは更には、複数の成分を押出装置内の同じ位置に加えないことも可能である。更に、発泡剤は直接か又はプレミックスの一部として導入し、これを次に発泡性組成物の他の部分に加えることができる。
【0052】
而して、幾つかの態様においては、成分が押出機内で混合され及び/又はこのようにしてより効率的に操作されるようになるという見込みの下で、発泡剤の1種類以上の他の成分を添加する場所の上流である押出機内の第1の位置において発泡剤の1種類以上の成分を導入することが望ましい可能性がある。しかしながら、幾つかの態様においては、発泡剤の2種類以上の成分を前もって混合し、一緒に発泡性組成物中に直接導入するか、或いはプレミックスの一部として導入して、それを次に発泡性組成物の他の部分に更に添加する。
【0053】
フォーム:
本発明の一態様は、フォーム、特にパネル用フォーム及び噴霧フォーム、好ましくはポリウレタン及びポリイソシアヌレートから形成されるフォームを形成する方法に関する。この方法は、一般に本発明の発泡剤組成物を用意し、発泡剤組成物を発泡性組成物に(直接か又は間接的に)加え、当該技術において周知なようにフォーム又は気泡構造を形成するのに有効な条件下で発泡性組成物を反応させることを含む。"Polyurethanes Chemistry and Technology", Vol. I及びII, Saunders及びFrisch, 1962, John Wiley and Sons, New York, NY(参照として本明細書中に包含する)に記載されているもののような当該技術において周知の任意の方法を、本発明のフォームの態様にしたがって用いることができ、又は用いるように適合させることができる。
【0054】
この使用に関しては、本発明の組成物中の化合物:Z−HFO−1336mzzmの量は以下の範囲:約1重量%〜約99重量%;約30重量%〜約99重量%;約50重量%〜約99重量%;約75重量%〜約99重量%;約85重量%〜約99重量%;約20重量%〜約80重量%;約90重量%〜約99重量%;約95重量%〜約99重量%;約1重量%〜約20重量%;約1重量%〜約40重量%;約1重量%〜約50重量%;約5重量%〜約20重量%;約5重量%〜約40重量%;約5重量%〜約60重量%;約10重量%〜約80重量%;約10重量%〜約90重量%;約20重量%〜約80重量%;約20重量%〜約90重量%;にしたがうことができる。量の他の範囲を表1に示し、これらの量は本発明の組成物のこの使用に同様に適用することができる。
【0055】
一般に、かかる好ましい方法は、イソシアネート、ポリオール又は複数のポリオールの混合物、1種類以上の本組成物を含む発泡剤又は複数の発泡剤の混合物、並びに、触媒、界面活性剤、及び場合によっては難燃剤、着色剤、又は他の添加剤のような他の材料を混合することによってポリウレタン又はポリイソシアヌレートフォームを製造することを含む。
【0056】
多くの用途においては、ポリウレタン又はポリイソシアヌレートフォームのための成分を予めブレンドした配合物で与えることが好都合である。より通常的には、フォーム配合物は2つの成分に予めブレンドする。イソシアネート及び場合によっては幾つかの界面活性剤及び発泡剤が、通常は「A」成分と呼ばれる第1の成分を構成する。ポリオール又はポリオール混合物、界面活性剤、触媒、発泡剤、難燃剤、及び他のイソシアネート反応性成分が、通常は「B」成分と呼ばれる第2の成分を構成する。したがって、ポリウレタン又はポリイソシアヌレートフォームは、少量の製造のためには手作業での混合、及び好ましくはブロック、スラブ、積層体、現場注入パネル及び他の部材、噴霧適用フォーム、泡などを形成する機械混合技術のいずれかによって、A側及びB側の成分を混合することによって容易に製造される。場合によっては、難燃剤、着色剤、補助発泡剤、及び更には他のポリオールのような他の成分を、1以上の更なる流れとして混合ヘッド又は反応場に加えることができる。しかしながら、最も好都合には、これらは全て1つの上記記載のB成分中に含ませる。
【0057】
本方法及びシステムはまた、本発明による発泡剤を含む一成分フォーム、好ましくはポリウレタンフォームを形成することも含む。幾つかの好ましい態様においては、好ましくは、容器内の圧力において液体であるフォーム形成剤中に溶解させることによって発泡剤の一部をフォーム形成剤中に含ませ、発泡剤の第二の部分を別の気相として存在させる。かかるシステムにおいては、含有され/溶解される発泡剤は、大部分がフォームを膨張させるように機能し、別の気相はフォーム形成剤に対して推進力を付与するように機能する。
【0058】
かかる一成分系は、通常はかつ好ましくは、エアゾールタイプの缶のような容器中に収容し、而して本発明の発泡剤は、好ましくは、フォームの膨張、及び/又はフォーム/発泡性材料をパッケージから移送するためのエネルギー、及び好ましくはその両方を与える。幾つかの態様においては、かかるシステム及び方法は、完全に配合された系(好ましくは、イソシアネート/ポリオール系)をパッケージに充填し、本発明による気体発泡剤をパッケージ、好ましくはエアゾールタイプの缶の中に含ませることを含む。
【0059】
また、幾つかの態様においては、本組成物を超臨界又は近超臨界状態で発泡剤として利用することが望ましい可能性があることも意図される。
本発明はまた、Z−HFO−1336mzzmを単独か又は1種類以上の他の化合物と組み合わせて含むか又は実質的にこれらから構成される発泡剤を含むポリマーフォーム配合物から製造される全てのフォーム(独立気泡フォーム、連続気泡フォーム、噴霧フォーム、パネル用フォーム、硬質フォーム、軟質フォーム、スキン層付きフォーム等を含むが、これらに限定されない)に関する。
【0060】
本出願人らは、本発明によるフォーム、特にポリウレタンフォームのような熱硬化性フォームの一つの有利性は、好ましくは熱硬化性フォームの態様と関連して、特にそして好ましくは低温条件下で図1に示すように例えばK−因子又はラムダによって測定することができる、非常にすぐれた熱性能を達成する能力であることを見出した。本フォーム、特に本発明の熱硬化性フォームは広範囲の用途において用いることができると意図されるが、幾つかの好ましい態様においては、本発明は、冷蔵庫用フォーム、冷凍庫用フォーム、冷蔵庫/冷凍庫用フォーム、パネル用フォーム、及び他の低温又は極低温製造用途などの本発明による電気器具用フォームを包含する。
【0061】
本発明によるフォームは、幾つかの好ましい態様においては、断熱効率(特に熱硬化性フォームに関して)、寸法安定性、圧縮強さ、断熱特性の経時変化などの1つ以上の非常にすぐれた特徴、性質、及び/又は特性を、全て多くの本発明の好ましい発泡剤に関連する低いオゾン層破壊係数及び低い地球温暖化係数に加えて与える。幾つかの非常に好ましい態様においては、本発明は、同じ発泡剤(又は通常用いられる発泡剤であるHFC−245fa)を同じ量で用いるが、Z−HFO−1336mzzmを用いずに製造されるフォームに比べて向上した熱伝導性を示すフォーム物品に成形されるフォームなどの熱硬化性フォームを与える。
【0062】
他の好ましい態様においては、本フォームは、本発明の範囲外の発泡剤を用いて製造されるフォームと比べて向上した機械特性を示す。例えば、本発明の幾つかの好ましい態様は、実質的に同一の条件の下でシクロペンタンから構成される発泡剤を使用することにより製造されるフォームよりも優れており、好ましくは少なくとも相対的に約10%、更により好ましくは少なくとも相対的に約15%大きな圧縮強さを有するフォーム及びフォーム物品を与える。
【0063】
更に、幾つかの態様においては、本発明にしたがって製造されるフォームは、発泡剤がHFC−245faから構成されることを除いて実質的に同じ条件下でフォームを製造することにより生成する圧縮強さに商業ベースで匹敵する圧縮強さを有することが好ましい。幾つかの好ましい態様においては、本発明のフォームは、少なくとも約12.5%の降伏(平行方向及び縦方向)、更により好ましくはそれぞれのかかる方向において少なくとも少なくとも約13%の降伏の圧縮強さを示す。
【0064】
パネル用フォームの例:
発泡剤として80/20重量%のZ−HFO−1336mzzm/シクロペンタンのブレンドを用いて製造されるパネル用フォームは、発泡剤としてZ−HFO−1336mzzm/イソペンタンのブレンド又はZ−HFO−1336mzzm/n−ペンタンのブレンドのいずれかを用いて製造されるフォームよりも非常に良好な物理特性及び断熱性の値を与える。更に、80/20重量%のZ−HFO−1336mzzm/シクロペンタンの発泡剤ブレンドを用いて製造したパネル用フォームは相当により短いタックフリータイムを有していた。ほぼ同等のフォーム密度を有するZ−HFO−1336mzzm/シクロペンタンのブレンドを用いて製造したフォームは、最も高い圧縮強さを有していた。また、Z−HFO−1336mzzm/シクロペンタンのブレンドを用いて製造したフォームは、Z−HFO−1336mzzm/イソペンタンのブレンド又はZ−HFO−1336mzzm/n−ペンタンのブレンドのいずれかを用いるフォームよりも、経時劣化後のより低い熱伝導性及び断熱性値のより良好な保持を示した。
【0065】
発泡剤として80/20重量%のZ−HFO−1336mzzm及び炭化水素を用いて製造されるパネル用フォームは、以下のようにして製造した。ポリオールマスターバッチ組成物を表2に示し、一方、対応する量の発泡剤による一般的なパネル用フォーム配合物を表3に示す。
【0066】
【表2】

【0067】
【表3】

【0068】
【表4】

【0069】
反応性:
3つのフォーム全てに関して同等の乳化時間及びゲル化時間が記録される。しかしながら、Z−HFO−1336mzzm/シクロペンタンのブレンドを用いるフォームのタックフリータイムは、発泡剤としてZ−HFO−1336mzzm/イソペンタンのブレンド又はZ−HFO−1336mzzm/n−ペンタンのブレンドを用いるフォームよりも非常に短い。タックフリータイムにおいては、フォームの外表面がその粘性を失い、フォームを成形型から取り出すことができる。Z−HFO−1336mzzm/シクロペンタンのブレンドを用いるフォームは、他の炭化水素ブレンドを用いるこれらの2つのフォームよりも速い離型時間を与えることができる。
【0070】
圧縮強さ:
3つのフォーム全ての縦方向/平行方向の圧縮強さの比は同等であるが、Z−HFO−1336mzzm/シクロペンタンのブレンドを用いるフォームの密度に対する縦方向の圧縮強さの比及び密度に対する平行方向の圧縮強さの比は、他の2つのフォームよりも非常に大きい。この結果は、同等のフォーム密度を有するZ−HFO−1336mzzm/シクロペンタンのブレンドによって発泡させるフォームは、3つのフォーム全ての中で最も高い圧縮強さを与えることを示した。
【0071】
寸法安定性:
29℃において7日後の寸法安定性の評価においては大きな差は見られなかった。高温/多湿寸法安定性の評価に関する結果は、この段階においては結論が出ない。
【0072】
熱伝導性:
まず、Z−HFO−1336mzzm/シクロペンタンのブレンドを用いるフォームは、評価した全ての温度において他の2つのフォームよりも僅かに良好な断熱値を示す。フォームを8日間経時変化させた後においては、熱伝導率の差はより大きいように見える。Z−HFO−1336mzzm/イソペンタン又はZ−HFO−1336mzzm/n−ペンタンのブレンドを用いるフォームと比べると、Z−HFO−1336mzzm/シクロペンタンのブレンドを用いるフォームは経時変化後の断熱値のより良好な保持を与える。
【0073】
噴霧フォームの例:
Z−HFO−1336mzzm、1233zd(E)、1233zd(E)/1336mzzmの30/70モル%ブレンド、及び1233zd(E)/1336mzzmの70/30モル%ブレンドを用いて製造したスプレーは同等の密度を有していた。これらのフォームからの熱伝導性のデータは予測される直線関係を示さない。実際、70/30モル%−1233zd(E)/1336mzzm及び30/70モル%−1233zd(E)/1336mzzmを用いて製造されるフォームは、1233zd(E)を用いて製造されるものに対して向上したk−因子及び優れた経時変化を有する。これは予期しない結果である。
【0074】
発泡剤としてZ−HFO−1336mzzm、1233zd(E)、1233zd(E)/1336mzzmの30/70モル%ブレンド、及び1233zd(E)/1336mzzmの70/30モル%ブレンドを用いる噴霧フォームを以下のようにして製造した。ポリオールマスターバッチ組成物を表5に示し、一方、対応する量の発泡剤を用いる一般的な噴霧フォーム配合物を表6に示す。このフォームは、3秒間の注入時間及び8秒間の混合時間を用いて製造した。原材料の温度は50°F−ポリオール/70°F−MDIであった。
【0075】
【表5】

【0076】
【表6】

【0077】
反応性:
乳化時間、ゲル化時間、及びタックフリータイムの間の関係を予測する。これらは製造した全てのフォームに関して同等である。
【0078】
【表7】

【0079】
フォームの品質/気泡寸法/連続気泡含量:
製造したフォームはよく混合されており、品質において同等であった。製造されたフォームのブロック密度は同等であり、コア密度に対するブロック密度の比も同様である。ブロック密度は、試料の切断前の正方形のフォームの密度である。コア密度は、試料の中央部から取り出されるk−因子試料の密度である。フォームを等モル量の発泡剤を用いて製造したので、これが推測される。
【0080】
【表8】

【0081】
圧縮強さ:
発泡剤の濃度と縦方向及び平行方向の圧縮強さとの間に線状関係はない。しかしながら、線状関係からの差は最小であると考えられる。
【0082】
【表9】

【0083】
寸法安定性:
1233zd(E)にZ−HFO−1336mzzmを加えると、低温及び高温多湿環境の両方の中でのフォームの寸法安定性に悪影響を与える。これは低温環境中での収縮を増大させる。高温多湿環境中においては、ブレンドから製造されるフォームはいずれかのニートの化合物から製造されるフォームよりも多く膨潤する。
【0084】
【表10】

【0085】
熱伝導性:
これらのブレンドを用いて製造されるフォームの熱伝導性は、1233zd(E)を用いて製造されるものを超えて大きく向上する。これらが向上するだけでなく、向上は発泡剤ブレンドに加えるZ−HFO−1336mzzmの量と非線状の関係である。低い平均温度における向上が大きく、1233zd(E)の濃度に依存していないことは特に興味深い。更に、ブレンドから製造されるフォームは1233zd(E)及びZ−HFO−1336mzzmのフォームよりもゆっくりと経時変化する。
【0086】
【表11】

【0087】
Z−HFO−1336mzzm、245fa、245fa/Z−HFO−1336mzzmの30/70モル%ブレンド、及び245fa/Z−HFO−1336mzzmの70/30モル%ブレンドを用いて製造されたフォームは同等の密度を有していた。これらのフォームからの寸法安定性及び熱伝導性のデータは予測される線状関係を示さない。実際、70/30モル%の245fa/Z−HFO−1336mzzmを用いて製造されるフォームは、245faを用いて製造されるものに対して向上したk−因子及び優れた経時変化を有する。これは予期しない結果である。
【0088】
発泡剤としてZ−HFO−1336mzzm、245fa、245fa/Z−HFO−1336mzzmの30/70モル%ブレンド、及び245fa/Z−HFO−1336mzzmの70/30モル%ブレンドを用いてフォームを製造した。ポリオールマスターバッチ組成物を上表5に示し、一方、相当量の発泡剤を用いる一般的な噴霧フォーム配合物を下表12に示す。フォームは、3秒の注入時間及び8秒の混合時間を用いて製造した。原材料の温度は、50°F−ポリオール/70°F−MDIであった。
【0089】
【表12】

【0090】
【表13】

【0091】
物理特性:
反応性:
乳化時間、ゲル化時間、及びタックフリータイムの間の関係を予測する。Z−HFO−1336mzzmのような高沸点物質を加えるとフォーム系の乳化時間及びゲル化時間が延びると予測される。
【0092】
【表14】

【0093】
フォームの品質/気泡寸法/連続気泡含量:
製造したフォームはよく混合されており、品質において同等であった。製造されたフォームのブロック密度は同等であり、コア密度に対するブロック密度の比も同様である。フォームを等モル量の発泡剤を用いて製造したので、これが推測される。
【0094】
【表15】

【0095】
縦方向/平行方向の圧縮強さの比においてほぼ線状の関係がある。この比は245faの使用量を減少させると低下する。
【0096】
【表16】

【0097】
寸法安定性:
245faフォームにZ−HFO−1336mzzmを加えると、低温及び高温多湿環境の両方におけるフォームの寸法安定性が向上する。これは高温多湿環境において最も明らかである。実際、ブレンドはいずれかの純粋な化合物よりも良好に機能する。これは予期しない結果である。
【0098】
【表17】

【0099】
熱伝導性:
まず、Z−HFO−1336mzzm、及びZ−HFO−1336mzzm/245faの70/30モル%ブレンドを用いて製造するフォームは、高沸点発泡剤によって伝統的に見られる「ホッケースティック」状の曲線形状を示す。これは、発泡剤の沸点より低い温度においてフォームマトリクス内で発泡剤が濃縮することが原因である。30/70モル%のZ−HFO−1336mzzm/245faブレンドは共沸性組成物ではないので同じ曲線形状を示さないことは予期しないことである。更に、このブレンドを用いて製造されるフォームの熱伝導性は、245faを用いて製造されるものと同等であるか又は僅かに向上する。70/30モル%の245fa/Z−HFO−1336mzzmのブレンドで製造されるフォームは、245fa及びZ−HFO−1336mzzmのフォームよりもゆっくりと経時変化する。
【0100】
【表18】

【0101】
方法及びシステム:
表1は、Z−HFO−1336mzzmを含むか又は実質的にこれから構成される本発明の組成物を記載する。これらの組成物は、熱を伝達するための方法及びシステムにおける熱伝達流体、例えば冷却、空調、例えば自動車用空調システム、及びヒートポンプシステムにおいて用いる冷媒などとして、数多くの方法及びシステムに関連して有用である。本発明の組成物はまた、好ましくはかかるシステム及び方法においてエアゾール噴射剤を含むか又はそれから構成されるエアゾールを生成させるシステム及び方法において用いるのにも有利である。フォームを形成する方法、並びに消火及び鎮火する方法も、本発明の幾つかの態様として含まれる。本発明はまた、幾つかの形態においては、かかる方法及びシステムにおいて本組成物を溶媒組成物として用いる物品から残留物を除去する方法も提供する。
【0102】
熱伝達方法:
好ましい熱伝達方法は、一般に、Z−HFO−1336mzzmを含むか又は実質的にこれから構成され、特に表1に記載するブレンドを含むか又は実質的にこれから構成される組成物を準備し、組成物へか又は組成物から熱を伝達させて組成物の相を変化させることを含む。例えば、本方法は、好ましくは本冷媒組成物を冷却する物体又は流体の近傍で蒸発させることによって流体又は物品から熱を吸収してZ−HFO−1336mzzmを含むか又は実質的にこれから構成される蒸気を生成させることによって冷却を与える。
【0103】
この使用に関しては、本発明の組成物中の化合物:Z−HFO−1336mzzmの量は以下の範囲:約1重量%〜約99重量%;約30重量%〜約99重量%;約50重量%〜約99重量%;約75重量%〜約99重量%;約85重量%〜約99重量%;約20重量%〜約80重量%;約90重量%〜約99重量%;約95重量%〜約99重量%;約1重量%〜約20重量%;約1重量%〜約40重量%;約1重量%〜約50重量%;約5重量%〜約20重量%;約5重量%〜約40重量%;約5重量%〜約60重量%;約10重量%〜約80重量%;約10重量%〜約90重量%;約20重量%〜約80重量%;約20重量%〜約90重量%;にしたがうことができる。量の他の範囲を表1に示し、これらの量は本発明の組成物のこの使用に同様に適用することができる。
【0104】
好ましくは、本方法は、通常は圧縮器又は同様の装置によって冷媒蒸気を圧縮して比較的高圧の本組成物の蒸気を生成させる更なる工程を含む。一般に、蒸気を圧縮する工程によって、蒸気に対して熱が加えられ、これにより比較的高圧の蒸気の温度上昇が引き起こされる。好ましくは、本方法は、この比較的高温で高圧の蒸気から、蒸発工程及び圧縮工程によって加えられる熱の少なくとも一部を取り出すことを含む。熱取り出し工程は、好ましくは、蒸気が比較的高圧条件にある間に高温で高圧の蒸気を凝縮して、Z−HFO−1336mzzmを含むか又は実質的にこれから構成される比較的高圧の液体を生成させることを含む。この比較的高圧の液体は、好ましくは、次に見かけ上等エンタルピーの減圧にかけて、比較的低温で低圧の液体を生成させる。かかる態様においては、この低下した温度の冷媒液体を、次に冷却する物体又は流体から伝達される熱により蒸発させる。
【0105】
本発明の他の方法の態様においては、本発明の組成物は、加熱する液体又は物体の近傍でZ−HFO−1336mzzmを含むか又は実質的にこれから構成され、特に表1に記載するブレンドを含むか又は実質的にこれから構成される冷媒を凝縮することを含む、加熱を生成させる方法において用いることができる。かかる方法は、上述したように、上記の冷却サイクルに対して逆のサイクルであることが多い。
【0106】
この使用に関しては、本発明の組成物中の化合物:Z−HFO−1336mzzmの量は以下の範囲:約1重量%〜約99重量%;約30重量%〜約99重量%;約50重量%〜約99重量%;約75重量%〜約99重量%;約85重量%〜約99重量%;約20重量%〜約80重量%;約90重量%〜約99重量%;約95重量%〜約99重量%;約1重量%〜約20重量%;約1重量%〜約40重量%;約1重量%〜約50重量%;約5重量%〜約20重量%;約5重量%〜約40重量%;約5重量%〜約60重量%;約10重量%〜約80重量%;約10重量%〜約90重量%;約20重量%〜約80重量%;約20重量%〜約90重量%;にしたがうことができる。量の他の範囲を表1に示し、これらの量は本発明の組成物のこの使用に同様に適用することができる。
【0107】
冷媒組成物:
而して、本方法、システム、及びZ−HFO−1336mzzm、特には表1に記載するブレンドを含むか又は実質的にこれらから構成される組成物は、自動車用空調システム及び装置、商業用冷却システム及び装置、冷凍機、住宅用冷蔵庫及び冷凍庫、一般的な空調システム、ヒートポンプなどに関連して用いるように適合させることができる。
【0108】
多くの既存の冷却システムは、現在は既存の冷媒と関連して用いるように適合されており、本発明の組成物はシステムの変更を行うか又は行わないでかかるシステムの多くにおいて用いるように適合させることができると考えられる。多くの用途において、本発明の組成物は、現在は比較的高い能力を有する冷媒をベースとするシステムにおける代替品としての有利性を与えることができる。更に、例えば効率性の理由のために本発明のより低い能力の冷媒組成物を用いてより高い能力の冷媒を置き換えることが望ましい態様においては、かかる態様の本組成物は潜在的な有利性を与える。而して、幾つかの態様においては、Z−HFO−1336mzzmを単独か又は1種類以上の他の化合物と組み合わせて含むか又は実質的にこれらから構成され、特に表1に記載するブレンドを含むか又は実質的にこれから構成される組成物を、HCFC−123又はHFC−134aのような既存の冷媒の代替物として用いることが好ましい。幾つかの用途においては、本発明の冷媒によって、より大型の容積型圧縮器を有効に用いることが潜在的に可能になり、それによってHCFC−123又はHFC−134aのような他の冷媒よりも良好なエネルギー効率が得られる。したがって、本発明の冷媒組成物、特にZ−HFO−1336mzzmを含むか又は実質的にこれから構成される組成物は、冷媒置換用途に関するエネルギーベースの競争上の優位性を達成する可能性を与える。
【0109】
上記に記載のように本発明の組成物には広範囲の量の本発明の化合物を含ませることができると意図されるが、本発明の冷媒組成物は組成物の少なくとも約50重量%、更により好ましくは少なくとも約70重量%の量のZ−HFO−1336mzzmを含むことが一般に好ましい。
【0110】
本発明の組成物には、特定の機能を高めるか又はそれを組成物に与える目的で、或いは幾つかの場合には組成物のコストを下げるために、他の成分を含ませることができる。例えば、本発明による冷媒組成物、特に蒸気圧縮システムにおいて用いるものは、一般に組成物の約30〜約50重量%の量の潤滑剤を含む。更に、本組成物には、潤滑剤の相溶性及び/又は溶解性を促進する目的でプロパンのような相溶化剤を含ませることもできる。プロパン、ブタン類、及びペンタン類などのかかる相溶化剤は、好ましくは組成物の約0.5〜約5重量%の量で存在する。
【0111】
米国特許第6,516,837号(その開示事項は参照によって包含する)によって開示されているように、界面活性剤と可溶化剤の組合せを本組成物に加えて油溶性を促進させることもできる。ヒドロフルオロカーボン(HFC)冷媒と共に冷却機において用いられるポリオールエステル(POE)及びポリアルキレングリコール(PAG)、シリコーン油、鉱油、アルキルベンゼン(AB)及びポリ(α−オレフィン)(PAO)のような通常用いられる冷却潤滑剤を、本発明の冷媒組成物と共に用いることができる。
【0112】
特にZ−HFO−1336mzzmを含むか又は実質的にこれから構成され、特に表1に規定するブレンドを含むか又は実質的にこれから構成されるものなどの本発明の組成物はまた、商業用空調システムと関連して通常用いられる冷凍機において有利性(元々のシステムか、或いはR−12及びR−500のような冷媒の代替として用いる場合のいずれか)を有する。幾つかのかかる態様においては、本Z−HFO−1336mzzm組成物中に約0.5〜約5%のCFIのような燃焼性抑制剤を含ませることが好ましい。
【0113】
幾つかの好ましい態様においては、本発明の組成物は更に潤滑剤を含む。任意の種々の通常の潤滑剤を本発明の組成物において用いることができる。潤滑剤に関する重要な要件は、冷媒系中で用いる場合に、圧縮器が潤滑されるようにシステムの圧縮器に十分な潤滑剤が戻されなければならないということである。而して、任意の与えられたシステムに関する潤滑剤の好適性は、部分的には冷媒/潤滑剤の特徴によって、及び部分的にはその中で潤滑剤を用いることが意図されるシステムの特徴によって決定される。好適な潤滑剤の例としては、鉱油、アルキルベンゼン、ポリオールエステル、例えばポリアルキレングリコール、PAG油などが挙げられる。パラフィン油又はナフテン油を含む鉱油は商業的に入手できる。商業的に入手できる鉱油としては、WitcoからのWitco LP 250(登録商標)、Shrieve ChemicalからのZerol 300(登録商標)、WitcoからのSunisco 3GS、及びCalumetからのCalumet R015が挙げられる。商業的に入手できるアルキルベンゼン潤滑剤としては、Zerol 150(登録商標)が挙げられる。商業的に入手できるエステルとしては、Emery 2917(登録商標)及びHatcol 2370(登録商標)として入手できるネオペンチルグリコールジペラルゴネートが挙げられる。他の有用なエステルとしては、リン酸エステル、二塩基酸エステル、及びフルオロエステルが挙げられる。好ましい潤滑剤としては、ポリアルキレングリコール及びエステルが挙げられる。幾つかのより好ましい潤滑剤としてはポリアルキレングリコールが挙げられる。
【0114】
本冷媒組成物を冷却システムに導入するための任意の広範囲の方法を本発明において用いることができる。例えば、1つの方法は、冷却システムの低圧側に冷媒容器を取り付け、冷却システムの圧縮器を始動させて冷媒をシステム中に吸引することを含む。かかる態様においては、冷媒容器をはかりの上に配置して、システムに導入される冷媒組成物の量をモニターすることができるようにすることができる。所望量の冷媒組成物がシステム中に導入されたら充填を停止する。或いは、当業者に公知の広範囲の充填具が商業的に入手できる。したがって、上記の開示事項を考慮すれば、当業者は過度の実験を行うことなく、本発明にしたがって本発明の冷媒組成物を冷却システム中に導入することが容易にできるであろう。
【0115】
冷媒の例:
この例は、冷媒組成物として用いるための本発明の組成物の使用を示す。
遠心冷凍機用に選択した流体は2,2−ジクロロ−1,1,1−トリフルオロエタン(R−123)である。R−123のオゾン層破壊係数のために、これはモントリオール議定書下で現在は使用禁止されている。R−123に関する代替流体を見出す際には、高い成績係数(COP)を維持することが重要である。単一段階の冷凍機は、低圧ガスを圧縮し、それを蒸発器に送る圧縮器から構成されている。次に、高圧の流体を比較的高い温度で凝縮し、この場合に関しては凝縮器を40℃に保持する。次に、凝縮した流体を膨張装置に通して流体の温度及び圧力の両方を低下させて蒸発器中に導入し、この場合には蒸発器を2℃に保持する。次に、低温で低圧のガスを用いて物体から熱を伝達除去する。これには、蒸発器内で流体を蒸発させることによって冷却することが必要である。R.C. Downing, Fluorocarbon Refrigerants Handbook, 3章, Prentice-Hall, 1988のような熱力学のテキストにおいて概説されている標準的な冷媒サイクル分析法を用いて、冷媒の熱力学的性能を計算することができる。2℃の凝縮器温度、40℃の蒸発器温度、及び0.75の圧縮器効率において、単一圧縮器冷凍機のCOPを求めた。COPを保持する能力はHCFC−123のものと同等であり、一方、非オゾン層破壊性であり、非常に低いGWPを有しており、これによりZ−HFO−1336mzzmは遠心冷凍機のためにうってつけの流体である。
【0116】
動力サイクルの用途:
ランキンサイクルシステムは、熱エネルギーを機械的軸動力に変換する単純で信頼できる手段であることが公知である。低グレードの熱エネルギーに遭遇する場合には、水/蒸気の代わりに有機作動流体が有用である。低グレードの熱エネルギー(通常は400°F以下)で運転する水/蒸気システムは、大きな体積及び低い圧力を伴う。システムの寸法を小さく且つ効率を高く維持するためには、室温付近の沸点を有する作動流体が用いられる。かかる流体は、より高い容量及び好ましい移送に役立つより高い気体密度、並びに低い運転温度において水と比較してより高い効率に役立つ熱伝達特性を有する。工業環境においては、特に工業環境がプロセス又は貯蔵において施設に既に大量の可燃物を有している場合には、トルエン及びペンタンのような可燃性の作動流体を用いる機会がより多い。例えば、人口の多い地域又はビルの近辺での発電のように可燃性の作動流体を用いることに関連する危険性が許容できないものである場合には、CFC−113及びCFC−11のような他の流体が用いられていた。これらの材料は不燃性であるが、これらのオゾン層破壊係数のためにこれらは環境に対して危険であった。理想的には、有機作動流体は環境的に許容でき、不燃性で、低いオーダーの毒性のものであり、正圧で運転されるものでなければならない。
【0117】
有機ランキンサイクル(ORC)システムは、工業プロセスからの廃熱を回収するためにしばしば用いられている。熱電供給(コジェネレーション)用途においては、発電機セットの一次原動機を駆動するのに用いる燃料の燃焼からの廃熱を回収し、これを用いて、例えば熱を供給するためか、或いは吸収冷凍機を運転して冷却を与えるための熱を供給するための熱水を生成させる。幾つかの場合においては、熱水に対する需要は小さいか又は存在しない。最も困難なケースは、熱的要件が変動し、負荷整合が困難になり、熱電供給システムの効率的な運転が混乱する場合である。このような場合においては、有機ランキンサイクルシステムを用いることによって廃熱を軸動力に変換することがより有用である。軸動力を用いて例えばポンプを運転することができ、或いはこれを用いて電気を生成させることができる。このアプローチを用いることによって、システム全体の効率がより高く、燃料の利用率がより大きい。同量の燃料投入量についてより多くの電力を生成させることができるので、燃料の燃焼からの大気放出を減少させることができる。
【0118】
廃熱を生成するプロセスは、燃料電池、内燃エンジン、内部圧縮エンジン、外部燃焼エンジン、及びタービンからなる群から選択される少なくとも1つである。廃熱の他の源は、精油業者、石油プラント、石油及びガスのパイプライン、化学産業、商業ビル、ホテル、ショッピングモール、スーパーマーケット、製パン所、食品加工産業、レストラン、塗料硬化オーブン、家具製造、プラスチック成形、セメント窯、木材窯(乾燥)、か焼運転、製鉄業、ガラス産業、鋳造所、製錬所、空調、冷却、及びセントラルヒーティングにおける運転に関連して見出すことができる。米国特許7,428,816(その開示事項は参照として本明細書中に包含する)を参照。
【0119】
ORC動力サイクルのために好ましい組成物を下表19に記載する(全てのパーセントは重量%であり、「約」の語が前置していると理解される)。
【0120】
【表19−1】

【0121】
【表19−2】

【0122】
この化合物の動力サイクル用途の他の具体的な態様は、作動流体がZ−HFO−1336mzzm及び場合によっては上表19に示すような1種類以上の更なる化合物を含むか又は実質的にこれらから構成される組成物である有機ランキンサイクルシステムにおける廃熱を回収するためのプロセスである。
【0123】
動力サイクルの例:
Smith, J.M.ら, Introduction to Chemical Engineering Thermodynamics; McGraw-Hill (1996)に概説されている手順にしたがって、有機ランキンサイクルにおける種々の作動流体の有効性を比較することができる。この例において有機ランキンサイクルの計算において用いる条件は、75%のポンプ効率、80%の膨張器効率、190℃のボイラー温度、45℃の凝縮器温度、及び1000Wのボイラーへ供給される熱量である。Z−HFO−1336mzzmの性能を、商業的に入手できる流体であるHFC−245fa(Honeywellから入手できる)と比較する。指定の条件におけるHFC−245fa及びZ−HFO−1336mzzmの熱効率は、それぞれ0.142及び0.145である。これは、Z−HFO−1336mzzmも不燃性であり、低い地球温暖化係数を有することを示す。
【0124】
この例は、ランキン動力サイクル組成物として用いるための本発明の組成物の使用を示す。有機ランキンサイクルにおける動力サイクル流体として化合物:Z−HFO−1336mzzmを用いると、熱効率が、動力サイクル流体としてHFC−245faを用いる同様のサイクルよりも約2%増加することが分かった。
【0125】
洗浄及び汚染物質除去:
本発明はまた、Z−HFO−1336mzzmを含むか又は実質的にこれから構成され、特に表1に規定するブレンドを含むか又は実質的にこれから構成される本発明の組成物を物品に適用することによって、製品、部材、部品、基材、又は任意の他の物品若しくはその一部から汚染物質を除去する方法も提供する。便宜上の目的から、「物品」という用語は、本明細書においては、全てのかかる製品、部材、部品、基材などを指すように用いられ、更に、任意の表面又はその一部を指すように意図される。更に、「汚染物質」という用語は、かかる物質が物品の上に意図的に配置されている場合であっても、物品の上に存在する任意の望ましくない材料又は物質を指すように意図される。例えば、半導体デバイスの製造においては、基板の上にフォトレジスト材料を堆積させてエッチング操作のためのマスクを形成し、次いでフォトレジスト材料を基板から除去することが通常的である。本発明において用いられる「汚染物質」という用語は、かかるフォトレジスト材料をカバーし且つ包含するように意図される。
【0126】
この使用に関しては、本発明の組成物中の化合物:Z−HFO−1336mzzmの量は以下の範囲:約1重量%〜約99重量%;約30重量%〜約99重量%;約50重量%〜約99重量%;約75重量%〜約99重量%;約85重量%〜約99重量%;約20重量%〜約80重量%;約90重量%〜約99重量%;約95重量%〜約99重量%;約1重量%〜約20重量%;約1重量%〜約40重量%;約1重量%〜約50重量%;約5重量%〜約20重量%;約5重量%〜約40重量%;約5重量%〜約60重量%;約10重量%〜約80重量%;約10重量%〜約90重量%;約20重量%〜約80重量%;約20重量%〜約90重量%;にしたがうことができる。量の他の範囲を表1に示し、これらの量は本発明の組成物のこの使用に同様に適用することができる。
【0127】
本発明の好ましい方法は、本組成物を物品に適用することを含む。多くの様々な洗浄方法において本発明の組成物を良好な有利性で用いることができると意図されるが、本組成物を超臨界洗浄法に関連して用いることが特に有利であると考えられる。超臨界洗浄は、米国特許第6,589,355号(参照として本明細書中に包含する)に開示されている。
【0128】
超臨界洗浄用途のためには、幾つかの態様においては、本発明の組成物に加えて、CO、及び超臨界洗浄用途に関連して用いることが公知の他の更なる成分のような他の成分を本洗浄組成物中に含ませることが好ましい。
【0129】
また、幾つかの態様においては、特定の亜臨界蒸気脱脂法や溶剤洗浄法に関連して本洗浄組成物を用いることが可能で且つ望ましい可能性もある。全ての溶媒の使用に関して、化合物:Z−HFO−1336mzzmを含む組成物は、好ましくは以下の化合物:シス−1234ze、シス−1233zd、HFC−245fa、メチラール(ジメトキシメタン)、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、及び/又はHFC−134aの1以上とブレンドすることができる。より好ましいブレンドは、以下の化合物:ペンタン類、ヘキサン類、HFC−365、C−O−CH、C−O−C、プロパン、ブタン、イソブタン、及び/又はジメチルエーテルの1以上とブレンドされているZ−HFO−1336mzzmを含む。最も好ましいブレンドは、以下の化合物:トランス−1,2−ジクロロエチレン、トランス−1234ze、トランス−1233zd、トランス−1336、HFC−43−10、HFC−152a、メタノール、エタノール、イソプロパノール、及び/又はアセトンの1以上とブレンドされているZ−HFO−1336mzzmを含む。
【0130】
本発明の他の洗浄の態様は、システムを製造及び運転する際に蒸気圧縮システム及びこれらの付属部品から汚染物質を除去することを含む。本明細書において用いる「汚染物質」という用語は、処理流体、潤滑剤、粒子状物質、スラッジ、及び/又はこれらのシステムの製造中に用いられるか若しくはこれらの使用中に生成する他の物質を指す。一般に、これらの汚染物質は、アルキルベンゼン、鉱油、エステル、ポリアルキレングリコール、ポリビニルエーテル、及び主として炭素、水素、及び酸素から形成される他の化合物のような化合物を含む。本発明の組成物はこの目的のために有用である。
【0131】
洗浄組成物の例:
この例は、洗浄組成物として使用するための、Z−HFO−1336mzzmを含むか又はそれから実質的に構成され、特に表1に規定するブレンドを含むか又は実質的にこれから構成される本発明の組成物の使用を示す。この使用に関しては、本発明の組成物中の化合物:Z−HFO−1336mzzmの量は以下の範囲:約1重量%〜約99重量%;約30重量%〜約99重量%;約50重量%〜約99重量%;約75重量%〜約99重量%;約85重量%〜約99重量%;約20重量%〜約80重量%;約90重量%〜約99重量%;約95重量%〜約99重量%;約1重量%〜約20重量%;約1重量%〜約40重量%;約1重量%〜約50重量%;約5重量%〜約20重量%;約5重量%〜約40重量%;約5重量%〜約60重量%;約10重量%〜約80重量%;約10重量%〜約90重量%;約20重量%〜約80重量%;約20重量%〜約90重量%;にしたがうことができる。量の他の範囲を表1に示し、これらの量は本発明の組成物のこの使用に同様に適用することができる。
【0132】
70重量%のZ−HFO−1336mzzmを約30重量%のトランス−1,2−ジクロロエチレンと共に含む混合物を製造する。幾つかのステンレススチール試験片を、鉱油、ロジンフラックス、又は他の汚染物質で汚す。次に、これらの試験片を溶媒ブレンド中に浸漬する。このブレンドは油を短時間で除去することができる。試験片を清浄性に関して視認観察する。他の混合物を用いて同様の結果が期待される。同様の結果はシリコンオイルを用いても期待される。
【0133】
噴霧可能な組成物用の噴射剤:
他の態様においては、Z−HFO−1336mzzmを含むか又はそれから実質的に構成され、特に表1に規定するブレンドを含むか又は実質的にこれから構成される本発明の組成物は、単独か又は公知の噴射剤と組み合わせて、噴霧可能な組成物において噴射剤として用いることができる。この使用に関しては、本発明の組成物中の化合物:Z−HFO−1336mzzmの量は以下の範囲:約1重量%〜約99重量%;約30重量%〜約99重量%;約50重量%〜約99重量%;約75重量%〜約99重量%;約85重量%〜約99重量%;約20重量%〜約80重量%;約90重量%〜約99重量%;約95重量%〜約99重量%;約1重量%〜約20重量%;約1重量%〜約40重量%;約1重量%〜約50重量%;約5重量%〜約20重量%;約5重量%〜約40重量%;約5重量%〜約60重量%;約10重量%〜約80重量%;約10重量%〜約90重量%;約20重量%〜約80重量%;約20重量%〜約90重量%;にしたがうことができる。量の他の範囲を表1に示し、これらの量は本発明の組成物のこの使用に同様に適用することができる。
【0134】
噴霧可能な組成物は、噴射する材料、及び、Z−HFO−1336mzzmを含むか又はそれから実質的に構成され、特に表1に規定するブレンドを含むか又は実質的にこれから構成される噴射剤を含む。不活性成分、溶媒、及び他の物質も、噴霧可能な混合物中に存在させることができる。好ましくは、噴霧可能な組成物はエアゾールである。噴霧する好適な材料としては、限定なしに、消臭剤、香水、ヘアスプレー、洗浄剤、及び艶出し剤のような化粧物質、並びに抗喘息薬及び口臭防止薬のような医薬物質が挙げられる。
【0135】
エアゾール用途に関しては、化合物:シス−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン(Z−HFO−1336mzzm)を含む組成物を、以下の化合物:シス−1234ze、シス−1233zd、HFC−245fa、メチラール(ジメトキシメタン)、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、及び/又はHFC−134aの1以上とブレンドすることができる。より好ましいブレンドは、以下の化合物:ペンタン類、ヘキサン類、HFC−365、C−O−CH、C−O−C、プロパン、ブタン、イソブタン、及び/又はジメチルエーテルの1以上とブレンドされているZ−HFO−1336mzzmを含む。最も好ましいブレンドは、以下の化合物:トランス−1,2−ジクロロエチレン、トランス−1234ze、トランス−1233zd、トランス−1336、HFC−43−10、HFC−152a、メタノール、エタノール、イソプロパノール、及び/又はアセトンの1以上とブレンドされているZ−HFO−1336mzzmを含む。
【0136】
この使用においては、噴霧する活性成分は、不活性成分、溶媒と混合し、他の物質を噴霧可能な混合物中に存在させることもできる。好ましくは、噴霧可能な組成物はエアゾールである。噴霧する好適な材料としては、限定なしに、潤滑剤、殺虫剤、洗浄剤、消臭剤、香水、及びヘアスプレーのような化粧物質、艶出し剤、並びに皮膚冷却剤(日焼けの処置)、局所麻酔薬、及び抗喘息薬のような医薬物質が挙げられる。
【0137】
他の形態においては、Z−HFO−1336mzzmを単独か又は1種類以上の他の化合物と組み合わせて含むか又は実質的にこれらから構成され、特に表1に規定するブレンドを含むか又は実質的にこれから構成される噴射剤を提供し、かかる噴射剤組成物は好ましくは噴霧可能な組成物である。本発明の噴射剤組成物は、好ましくは噴霧する材料、及びZ−HFO−1336mzzmを含むか又は実質的にこれから構成される噴射剤を含む。不活性成分、溶媒、及び他の材料を噴霧可能な混合物中に存在させることもできる。好ましくは、噴霧可能な組成物はエアゾールである。噴霧する好適な活性材料としては、限定なしに、潤滑剤、殺虫剤、洗浄剤、消臭剤、香水、及びヘアスプレーのような化粧物質、艶出し剤、並びに抗喘息成分のような医薬物質、並びに好ましくは吸収用の任意の他の医薬又は薬剤などの任意の他の医薬などが挙げられる。医薬又は他の治療薬は、好ましくは治療量で組成物中に存在し、組成物の残りの相当部分はZ−HFO−1336mzzmを含むか又は実質的にこれから構成される。
【0138】
工業用、民生用、又は医療用のエアゾール製品は、通常は1種類以上の活性成分、不活性成分、又は溶媒と共に1種類以上の噴射剤を含む。噴射剤は、製品をエアゾール化形態で放出する力を与える。幾つかのエアゾール製品は、二酸化炭素、窒素、亜酸化窒素、及び更には空気のような圧縮気体を用いて噴射されるが、殆どの市販のエアゾールは液化ガス噴射剤を用いる。最も一般的に用いられる液化ガス噴射剤は、ブタン、イソブタン、及びプロパンのような炭化水素である。ジメチルエーテルとHFC−152a(1,1−ジフルオロエタン)も、単独か又は炭化水素噴射剤とのブレンドで用いられる。残念なことに、これらの液化ガス噴射剤は全て高可燃性であり、それらをエアゾール配合物中に導入することによって、可燃性のエアゾール製品が得られることが多い。
【0139】
出願人は、それを用いてエアゾール製品を配合するための不燃性の液化ガス噴射剤に対する継続的な必要性を認識するに至った。本発明は、本発明の組成物、特にそして好ましくはZ−HFO−1336mzzmを含むか又は実質的にこれから構成され、特に表1に規定するブレンドを含むか又は実質的にこれから構成される、例えばスプレー式クリーナー、潤滑剤などを含む幾つかの工業用エアゾール製品、及び例えば薬品を肺や粘膜に供給するなどのための医薬エアゾールにおいて用いるための組成物を提供する。この例としては、喘息及び他の慢性閉塞性肺疾患の治療のため、並びに接近可能な粘膜又は鼻腔内に薬物を供給するための計量式吸入器(MDI)が挙げられる。而して、本発明は、治療が必要な生物に薬物又は他の治療成分を含む本発明の組成物を適用することを含む、(人間や動物などの)生物の病気、疾病、及び同様の健康に関連する問題を治療するための方法を包含する。幾つかの好ましい態様においては、本組成物を適用する工程は、本発明の組成物を含有するMDIを用意し(例えば、組成物をMDI中に導入し)、次に本組成物をMDIから放出することを含む。
【0140】
本明細書において用いる「不燃性」という用語は、標準的な引火点法の1つ、例えばASTM−1310−86:"Flash point of liquids by tag Open-cup apparatus"によって測定して引火点を示さない本発明の化合物及び組成物を指す。
【0141】
本組成物は、接点洗浄剤、ダスター、潤滑剤スプレーなどのような種々の工業用エアゾール又は他の噴霧可能な組成物、並びに、パーソナルケア製品、家庭用品、及び自動車用品のような民生用エアゾールを配合するために用いることができる。Z−HFO−1336mzzmは、計量式吸入器のような医薬エアゾールにおける噴射剤組成物の重要な成分として用いるのに特に好ましい。多くの用途における本発明の医薬エアゾール及び/又は噴射剤及び/又は噴霧可能な組成物は、Z−HFO−1336mzzmに加えて、ベータ作用薬、コルチコステロイド、又は他の薬物、及び場合によっては界面活性剤、溶媒、他の噴射剤、香味料、及び他の賦形剤のような他の成分を含む。
【0142】
滅菌:
特に医療分野で用いるための多くの物品、装置、及び材料は、患者や病院職員の健康及び安全などの健康上及び安全上の理由のために、使用する前に滅菌しなければならない。本発明は、滅菌する物品、装置、又は材料を、Z−HFO−1336mzzmを含むか又は実質的にこれから構成され、特に表1に規定するブレンドを含むか又は実質的にこれから構成され、場合によっては1種類以上の他の滅菌剤と組み合わせた本発明の組成物と接触させることを含む滅菌方法を提供する。
【0143】
この使用に関しては、本発明の組成物中の化合物:Z−HFO−1336mzzmの量は以下の範囲:約1重量%〜約99重量%;約30重量%〜約99重量%;約50重量%〜約99重量%;約75重量%〜約99重量%;約85重量%〜約99重量%;約20重量%〜約80重量%;約90重量%〜約99重量%;約95重量%〜約99重量%;約1重量%〜約20重量%;約1重量%〜約40重量%;約1重量%〜約50重量%;約5重量%〜約20重量%;約5重量%〜約40重量%;約5重量%〜約60重量%;約10重量%〜約80重量%;約10重量%〜約90重量%;約20重量%〜約80重量%;約20重量%〜約90重量%;にしたがうことができる。量の他の範囲を表1に示し、これらの量は本発明の組成物のこの使用に同様に適用することができる。
【0144】
多くの滅菌剤が当該技術において公知であり、本発明に関連して用いるように適合させることができると考えられるが、幾つかの好ましい態様においては、滅菌剤は、エチレンオキシド、ホルムアルデヒド、過酸化水素、二酸化塩素、オゾン、及びこれらの組み合わせを含む。幾つかの態様においては、エチレンオキシドが好ましい滅菌剤である。本明細書に含まれる教示事項を考慮すると、当業者であれば、本滅菌組成物及び方法に関連して用いられる滅菌剤と1種類又は複数の本化合物との相対割合を容易に決定することができ、全てのかかる範囲は本発明の広い範囲に含まれる。
【0145】
当業者に公知なように、エチレンオキシドのような幾つかの滅菌剤は非常に可燃性の成分であり、本発明による1種類又は複数の化合物は、組成物中に存在する他の成分と共に、滅菌組成物の可燃性を許容可能なレベルまで低減させるのに有効な量で本組成物中に含まれる。本発明の滅菌方法は高温又は低温のいずれでもよいが、本発明の滅菌は、約250°F〜約270°Fの温度において、好ましくは実質的に密閉された室内で本発明の化合物又は組成物を使用することを含む。このプロセスは通常は約2時間未満で完了させることができる。しかしながら、プラスチック物品及び電気部品のような幾つかの物品はかかる高温に耐えることができず、低温の滅菌を必要とする。
【0146】
滅菌の例:
低温滅菌方法においては、滅菌する物品を、ほぼ室温乃至約200°Fの温度、より好ましくはほぼ室温乃至約100°Fの温度において、Z−HFO−1336mzzmを含むか又は実質的にこれから構成される流体に曝露する。
【0147】
本発明の低温滅菌は、好ましくは、実質的に密閉され、好ましくは気密の室内で行なう少なくとも二工程のプロセスである。第一工程(滅菌工程)においては、洗浄して気体透過性の袋の中に収容した物品を室内に配置する。
【0148】
次に、真空に引き、及び場合によっては空気を水蒸気で置換することによって、室から空気を排出する。幾つかの態様においては、室中に水蒸気を注入して、好ましくは約30%〜約70%の範囲の相対湿度を達成することが好ましい。かかる湿度は、所望の相対湿度が達成された後に室中に導入される滅菌剤の滅菌効果を最大にすることができる。滅菌剤が被包を透過して物品の隙間に到達するのに十分な一定の時間の後、滅菌剤と水蒸気を室から排出する。
【0149】
プロセスの好ましい第二工程(通気工程)においては、物品を通気して滅菌剤残留物を除去する。かかる残留物を除去することは、毒性の滅菌剤の場合においては特に重要であるが、実質的に非毒性の本発明の化合物を用いる場合にはこの工程は任意である。典型的な通気プロセスは、空気洗浄、連続通気、及びこれら二つの組み合わせを含む。空気洗浄はバッチプロセスであり、通常は、室を比較的短い時間、例えば12分間排気し、次に室中に空気を大気圧以上で導入することを含む。
【0150】
本明細書において用いる「非毒性」という用語は、Anesthesiology, vol.14, p.466-472, 1953(参照として本明細書中に包含する)において公開されている方法によって測定して、HFO−1233xdの毒性レベルよりも実質的に低く、好ましくは少なくとも約30相対%低い急性毒性レベルを有する本発明の化合物及び組成物を指す。
【0151】
滅菌剤の所望の除去が達成されるまでこのサイクルを任意の回数繰り返す。連続通気は、通常は室の一方の側の入口を通して空気を導入し、次に出口に僅かな真空を適用することによって室の他の側の出口を通してそれを排出することを含む。2つのアプローチを組み合わせることが多い。例えば、通常のアプローチは、空気洗浄、次に通気サイクルを行うことを含む。
【0152】
潤滑剤:
幾つかの好ましい態様においては、Z−HFO−1336mzzmを含むか又は実質的にこれから構成され、特に表1に規定するブレンドを含むか又は実質的にこれから構成される本発明の組成物は、更に潤滑剤を含む。任意の種々の通常の潤滑剤を本発明の組成物において用いることができる。潤滑剤に関する重要な要件は、冷媒系において用いる場合に、圧縮器が潤滑されるようにシステムの圧縮器に十分な潤滑剤が戻されなければならないということである。而して、任意の与えられたシステムに関する潤滑剤の好適性は、部分的には冷媒/潤滑剤の特徴によって、及び部分的にはその中で潤滑剤を用いることが意図されるシステムの特徴によって決定される。
【0153】
好適な潤滑剤の例としては、鉱油、アルキルベンゼン、ポリオールエステル、例えばポリアルキレングリコール、PAG油などが挙げられる。パラフィン油又はナフテン油を含む鉱油は商業的に入手できる。商業的に入手できる鉱油としては、WitcoからのWitco LP 250(登録商標)、Shrieve ChemicalからのZerol 300(登録商標)、WitcoからのSunisco 3GS、及びCalumetからのCalumet R015が挙げられる。商業的に入手できるアルキルベンゼン潤滑剤としては、Zerol 150(登録商標)が挙げられる。商業的に入手できるエステルとしては、Emery 2917(登録商標)及びHatcol 2370(登録商標)として入手できるネオペンチルグリコールジペラルゴネートが挙げられる。他の有用なエステルとしては、リン酸エステル、二塩基酸エステル、及びフルオロエステルが挙げられる。好ましい潤滑剤としては、ポリアルキレングリコール及びエステルが挙げられる。幾つかのより好ましい潤滑剤としてはポリアルキレングリコールが挙げられる。
【0154】
香味料及び香料の抽出:
Z−HFO−1336mzzmを含むか又は実質的にこれから構成され、特に表1に記載のブレンドを含むか又は実質的にこれから構成される本発明の組成物はまた、バイオマスから所望の物質を運搬、抽出、又は分離するために用いる場合にも有利性を与える。これらの物質としては、香味料及び香料のようなエッセンシャルオイル、燃料、医薬、栄養補助食品等として用いることができるオイルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0155】
この使用に関しては、本発明の組成物中の化合物:Z−HFO−1336mzzmの量は以下の範囲:約1重量%〜約99重量%;約30重量%〜約99重量%;約50重量%〜約99重量%;約75重量%〜約99重量%;約85重量%〜約99重量%;約20重量%〜約80重量%;約90重量%〜約99重量%;約95重量%〜約99重量%;約1重量%〜約20重量%;約1重量%〜約40重量%;約1重量%〜約50重量%;約5重量%〜約20重量%;約5重量%〜約40重量%;約5重量%〜約60重量%;約10重量%〜約80重量%;約10重量%〜約90重量%;約20重量%〜約80重量%;約20重量%〜約90重量%;にしたがうことができる。量の他の範囲を表1に示し、これらの量は本発明の組成物のこの使用に同様に適用することができる。
【0156】
抽出の例:
この目的に関する本組成物の好適性を、ジャスモンの試料を厚肉ガラスチューブ中に配置する試験手順によって示す。好適な量のZ−HFO−1336mzzmを含む本発明の組成物をガラスチューブに加える。次に、チューブを冷凍し、密封する。チューブを解凍すると、混合物がジャスモン及びZ−HFO−1336mzzmを含む本発明の組成物を含む1つの液相を有する場合には、この試験は、エアゾール及び他の配合物において香味料及び香料配合物に関する抽出剤、キャリア、又はデリバリーシステムの一部としての組成物の好ましい使用を達成する。また、植物などからの香味料及び香料の抽出剤としてのその潜在性も達成される。
【0157】
可燃性減少方法:
幾つかの他の好ましい態様によれば、本発明は、表1に規定するブレンドのようなZ−HFO−1336mzzmを含む組成物を流体に加えることを含む、流体の可燃性を減少させる方法を提供する。任意の広範囲の可燃性の流体に関係する可燃性を、本発明によって減少させることができる。例えば、エチレンオキシド、可燃性ヒドロフルオロカーボン及び炭化水素、例えばHFC−152a、1,1,1−トリフルオロエタン(HFC−143a)、ジフルオロメタン(HFC−32)、プロパン、ヘキサン、オクタンなどのような流体に関係する可燃性を、本発明によって減少させることができる。本発明の目的のためには、可燃性流体は、ASTM−E681などのような任意の標準的な通常の試験法によって測定して空気中で可燃性範囲を示す任意の流体であってよい。
【0158】
この使用に関しては、本発明の組成物中の化合物:Z−HFO−1336mzzmの量は以下の範囲:約1重量%〜約99重量%;約30重量%〜約99重量%;約50重量%〜約99重量%;約75重量%〜約99重量%;約85重量%〜約99重量%;約20重量%〜約80重量%;約90重量%〜約99重量%;約95重量%〜約99重量%;約1重量%〜約20重量%;約1重量%〜約40重量%;約1重量%〜約50重量%;約5重量%〜約20重量%;約5重量%〜約40重量%;約5重量%〜約60重量%;約10重量%〜約80重量%;約10重量%〜約90重量%;約20重量%〜約80重量%;約20重量%〜約90重量%;にしたがうことができる。量の他の範囲を表1に示し、これらの量は本発明の組成物のこの使用に同様に適用することができる。
【0159】
任意の好適な量の本化合物又は組成物を加えて、本発明にしたがって流体の可燃性を減少させることができる。当業者に認められるように、加える量は、少なくとも部分的に、対象の流体の可燃性の程度、及びその可燃性を減少させることが望まれている程度によって定まる。幾つかの好ましい態様においては、可燃性流体に加える化合物又は組成物の量は、得られる流体を実質的に不燃性にするのに有効なものである。
【0160】
可燃性減少の例:
この例は、他の組成物の可燃性流体を減少させるための本発明の組成物の使用を示す。
ASTM−E681装置内で、雰囲気条件において、イソペンタン蒸気とZ−HFO−1336mzzmを混合することによって、より多くのZ−HFO−1336mzzmを加えると燃焼下限界(LFL)が上昇することが分かる。これは、このブレンドに関してはイソペンタン単独のものよりも可燃性が低く、これによって安全に用いることがより容易な可燃性のより低い材料が得られることを示す。このより高いLFLによって、点火源及び潜在的な火災又は爆発に関する心配なしに、空気中のより高い濃度が可能である。
【0161】
2つのエアゾール缶にメタノール/水を充填し、一方をHFC−152aで加圧し、他方をHFC−152a/Z−HFO−1336mzzmで加圧する。エアゾール炎拡大試験手順におけるようにろうそくの炎の上方及び中に缶からのエアゾールを噴霧すると、Z−HFO−1336mzzmで加圧した缶からの炎拡大はより小さいことが観察される。
【0162】
炎抑制方法:
本発明は、炎を、Z−HFO−1336mzzmを含む本発明の組成物、特に表1に記載するブレンドに接触させることを含む炎を抑制する方法を更に提供する。所望の場合には、更なる炎抑制剤を、本発明の組成物と共に、混合してか又は補助的な炎抑制剤として用いることもできる。この目的のための化合物の1つの種類はフルオロケトンである。特に好ましいフルオロケトンは、3M CompanyからNovec 1230の商品名で販売されているドデカフルオロ−2−メチルペンタン−3−オンである。
【0163】
この使用に関しては、本発明の組成物中の化合物:Z−HFO−1336mzzmの量は以下の範囲:約1重量%〜約99重量%;約30重量%〜約99重量%;約50重量%〜約99重量%;約75重量%〜約99重量%;約85重量%〜約99重量%;約20重量%〜約80重量%;約90重量%〜約99重量%;約95重量%〜約99重量%;約1重量%〜約20重量%;約1重量%〜約40重量%;約1重量%〜約50重量%;約5重量%〜約20重量%;約5重量%〜約40重量%;約5重量%〜約60重量%;約10重量%〜約80重量%;約10重量%〜約90重量%;約20重量%〜約80重量%;約20重量%〜約90重量%;にしたがうことができる。量の他の範囲を表1に示し、これらの量は本発明の組成物のこの使用に同様に適用することができる。
【0164】
炎を本組成物と接触させるための任意の好適な方法を用いることができる。例えば、本発明の組成物を炎上に噴霧、注入などすることができ、或いは炎の少なくとも一部を組成物中に浸漬させることができる。
【0165】
炎抑制の例:
この例は、炎抑制組成物として用いるための、Z−HFO−1336mzzmを含むか又は実質的にこれから構成され、特に表1に記載のブレンドを含むか又は実質的にこれから構成される組成物の使用を示す。
【0166】
この使用に関しては、本発明の組成物中の化合物:Z−HFO−1336mzzmの量は以下の範囲:約1重量%〜約99重量%;約30重量%〜約99重量%;約50重量%〜約99重量%;約75重量%〜約99重量%;約85重量%〜約99重量%;約20重量%〜約80重量%;約90重量%〜約99重量%;約95重量%〜約99重量%;約1重量%〜約20重量%;約1重量%〜約40重量%;約1重量%〜約50重量%;約5重量%〜約20重量%;約5重量%〜約40重量%;約5重量%〜約60重量%;約10重量%〜約80重量%;約10重量%〜約90重量%;約20重量%〜約80重量%;約20重量%〜約90重量%;にしたがうことができる。量の他の範囲を表1に示し、これらの量は本発明の組成物のこの使用に同様に適用することができる。
【0167】
トータルフラッド炎抑制の適用を評価するためには、通常はNFPA−2001カップバーナーを用いる。ここで、必要な酸素を供給するための空気流を炎の周りに有する煙突内にヘプタンの小さな炎を配置する。炎が消火されるまで、この空気流にZ−HFO−1336mzzmを加える。NFPA−2001において概説されている適当な安全率を用いて得られる濃度を用いて炎を消火することができる。
【0168】
炎は、携帯用消火器を用いて局所的に消火することができる。かかる適用はストリーミング適用として分類される。UL−711を用いて、木材クリブの炎を発火させ、Z−HFO−1336mzzmを用いて消火する。第2に、Z−HFO−1336mzzmを用いてヘプタンパンの炎を試験する。このUL−711試験の結果によって、試験した消化器に関する評価が与えられる。
【0169】
好ましい態様を参照して本発明を特に示し且つ記載したが、本発明の範囲から逸脱することなく種々の変更及び修正を行うことができることは、当業者には容易に認められるであろう。特許請求の範囲は、開示されている態様、上記で議論したこれらの代替物、及びこれに対する全ての均等物をカバーするように解釈すると意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化合物:シス−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン、並びに、HFO,HFC、HFE、CFC、CO、オレフィン、有機酸、アルコール、炭化水素、エーテル、アルデヒド、ケトン、及び他のもの、例えばギ酸メチル、ギ酸、トランス−1,2−ジクロロエチレン、二酸化炭素、シス−HFO−1234ze+HFO−1225yezからなる群から選択される少なくとも1種類の更なる化合物;これらと水の混合物;これらとCOの混合物;これらとトランス−1,2−ジクロロエチレン(DCE)の混合物;これらとギ酸メチルの混合物;シス−HFO−1234ze+COを有する混合物;シス−HFO−1234ze+HFO−1225yez+COを有する混合物;及びシス−HFO−1234ze+HFC−245faを有する混合物;を含む混合物。
【請求項2】
更なる化合物が、トランス−1,2−ジクロロエチレン;二酸化炭素;シス−HFO−1234ze;HFO−1225yez;低分子量アルコール;低地球温暖化係数のオレフィン;クロロフルオロカーボン;ケトン;アルデヒド;有機酸;及びアルカン;からなる群から選択される1種類以上の化合物を含む、請求項1に記載の混合物。
【請求項3】
更なる化合物が、シス−HFO−1234ze;HFO−1234yf;HFO−1225ye(Z);HFO−1225ye(E);HFO−1225yc;HFO−1233zd;HFC−1233xf;(CFCFCH=CHF(E&Z);(CFCFCH=CF;CFCHFC=CHF(E&Z);及び(C)(CF)C=CH;からなる群から選択される1種類以上の化合物を含む、請求項1に記載の混合物。
【請求項4】
更なる化合物が、HFC−245eb;HFC−245ca;HFC−227ea;HFC−236ea;HFC−236fa;HFC−134a;HFC−134;HFC−152a;HFC−32;HFC−125;HFC−143a;HFC−365mfc;HFC−161;及びHFC−43−10mee;からなる群から選択される1種類以上の化合物を含む、請求項1に記載の混合物。
【請求項5】
更なる化合物が、CHF−O−CHF;CHF−O−CHF;CHF−O−CHF;CHF−O−CH;シクロ−CF−CH−CF−O;シクロ−CF−CF−CH−O;CHF−O−CF−CHF;CF−CF−O−CHF;CHF−O−CHF−CF;CHF−O−CF−CHF;CHF−O−CF−CHF;CF−O−CF−CH;CHF−CHF−O−CHF;CF−O−CHF−CHF;CF−CHF−O−CHF;CF−O−CH−CHF;CHF−O−CH−CF;CHF−CF−O−CHF;CHF−O−CF−CH;CHF−CF−O−CH;CHF−O−CHF−CHF;CHF−CHF−O−CHF;CF−O−CHF−CH;CF−CHF−O−CH;CHF−O−CH−CHF;CF−O−CH−CHF;CF−CH−O−CHF;及びCFH−CF−CF−O−CH;からなる群から選択される1種類以上の化合物を含む、請求項1に記載の混合物。
【請求項6】
更なる化合物が、プロパン;ブタン;イソブタン;ネオペンタン;イソペンタン;シクロペンタン;n−ヘキサン;イソヘキサン;及びヘプタン;からなる群から選択される1種類以上の化合物を含む、請求項1に記載の混合物。
【請求項7】
発泡剤組成物として用いるための請求項1に記載の混合物。
【請求項8】
HFO−1336mzzmとシクロペンタンの混合物を含む、パネル用フォームのために有用な請求項7に記載の発泡剤。
【請求項9】
HFO−1336mzzmとイソペンタンの混合物を含む、パネル用フォームのために有用な請求項7に記載の発泡剤。
【請求項10】
HFO−1336mzzmとn−ペンタンの混合物を含む、パネル用フォームのために有用な請求項7に記載の発泡剤。
【請求項11】
HFO−1336mzzmとHFC−245faの混合物を含む、噴霧フォームのために有用な請求項7に記載の発泡剤。
【請求項12】
HFO−1336mzzmとHFC−365mfcの混合物を含む、噴霧フォームのために有用な請求項7に記載の発泡剤。
【請求項13】
HFO−1336mzzmとHFO−1233zd(E)の混合物を含む、噴霧フォームのために有用な請求項7に記載の発泡剤。
【請求項14】
ポリオールプレミックス組成物として用いるための請求項1に記載の混合物。
【請求項15】
フォーム組成物として用いるための請求項1に記載の混合物。
【請求項16】
洗浄及び汚染物質除去組成物として用いるための請求項1に記載の混合物。
【請求項17】
ORC動力サイクルにおいて作動流体として用いるための請求項1に記載の混合物。

【公表番号】特表2013−514450(P2013−514450A)
【公表日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−544806(P2012−544806)
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際出願番号】PCT/US2010/060646
【国際公開番号】WO2011/084553
【国際公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(500575824)ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド (1,504)
【Fターム(参考)】