説明

シックナー

【課題】長期にわたって作動させても、攪拌槽の内周壁において凝集物が塊状に付着しにくいシックナーの提供を目的とする。
【解決手段】シックナー1は、攪拌槽10の内部において回転軸21を中心として回転可能な攪拌翼22を有する。回転軸21は、上端側においてアーム27に接続されている。また、アーム27には、チェーン25が揺動可能なように取り付けられている。チェーン25は、回転軸21の回転に伴って攪拌槽10内において揺動し、攪拌槽10の内周壁10aに接触する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシックナーに関するものであり、特に攪拌槽の内周壁への異物の付着を最小限に抑制可能なものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、下記特許文献1に開示されているような構成のシックナーが提供されており、セメント系組成物を構成する骨材を湿式処理において使用された水等の処理に使用されている。
【0003】
特許文献1に開示されているような従来技術のシックナーの大半は、有底で筒状の攪拌槽と、攪拌翼とを備えた構成とされている。攪拌翼は、攪拌槽の底部側に配されており、攪拌槽内で回転することにより、攪拌槽内に投入された液体と所定の凝集剤との反応によって攪拌槽の底部側に沈降した凝集物が固化するのを防止する役割を担っている。
【0004】
【特許文献1】特開平5−15754号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記したように、シックナーを使用する場合は、攪拌槽内に凝集剤等が投入され、攪拌槽内に存在する液体との反応によって凝集物が発生する。ここで、従来技術のシックナーにおいて、攪拌槽内で発生した凝集物の一部が攪拌槽の内周壁に付着することがあった。
【0006】
シックナーの作動に伴って攪拌槽の内周壁に付着する凝集物は、液体と凝集剤との反応で発生する凝集物のごく一部であるため、これが直ちにシックナーの作動に対して悪影響を及ぼす可能性は低かった。しかし、シックナーの使用を長期間にわたって継続すると、攪拌槽の内周壁に付着している凝集物の量が次第に増加し、やがて大きな塊となって攪拌槽の底部側に落下し、攪拌翼の作動等に悪影響を及ぼす場合があった。
【0007】
また、上記したようにして凝集物が塊状となって攪拌槽の底部側に落下した場合は、この落下物を除去する等してシックナーのメンテナンスを行う必要があった。ここで、従来より一般的に使用されているシックナーは、攪拌槽の径が数メートルから数十メートルにも及ぶ大規模なものである。そのため、凝集物の落下に伴ってメンテナンスを行う場合は、数日程度の期間にわたってシックナーを作動停止状態とせねばならなかった。従って、従来より、攪拌槽の内周壁において凝集物が塊状に付着しにくいシックナーの提供が望まれていた。
【0008】
そこで、かかる問題点を解消すべく、本発明は、長期にわたって作動させても、攪拌槽の内周壁において凝集物が塊状に付着しにくいシックナーの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した課題を解決すべく提供される請求項1に記載の発明は、有底筒状であって処理対象物を投入可能な攪拌槽と、当該攪拌槽内に投入された処理対象物を攪拌可能な攪拌手段とを有し、当該攪拌手段が、回転軸と、当該回転軸の軸方向に対して交差する方向に伸びる攪拌翼と、支持体と、回動手段とを有し、前記攪拌翼が、回転軸の回転に連動して攪拌槽内で回転可能とされており、前記支持体が、前記回転軸と連動して回転するように取り付けられており、前記回動手段が、可撓性を有する長尺体を備えており、前記長尺体が、攪拌槽の内周壁に近接した位置において上下方向に伸びるように配されており、前記長尺体の上端側が支持体によって支持され、当該支持部分よりも下端側の部位が揺動自在とされていることを特徴とするシックナーである。
【0010】
本発明のシックナーは、攪拌槽や攪拌手段に加えて回動手段を有し、回動手段が攪拌手段を構成する回転軸と連動して回転する支持部材に長尺体の上端側を支持させた構成とされている。そのため、本発明のシックナーは、回転軸の回転に連動して、長尺体も攪拌槽内で回転する。
【0011】
また、本発明のシックナーにおいて、長尺体は、支持部材に支持されている長尺体の支持部分よりも下端側の部位が揺動自在とされている。そのため、回転軸の回転に伴い、長尺体は攪拌槽内で揺動しながら回動することとなる。
【0012】
一方、本発明のシックナーにおいて、長尺体は、攪拌槽の内周壁に近接した位置において上下方向に伸びるように配されている。そのため、上記したようにして長尺体が攪拌槽内で回動すると、遠心力や攪拌槽内における処理対象物の流れの影響を受けて長尺体が攪拌槽の内周壁側に近接したり、内周壁に接触することとなる。従って、本発明のシックナーは、仮に作動に伴って攪拌槽内に存在する処理対象物中に含まれる成分が凝集し、攪拌槽の内周壁に付着するようなことがあっても、内周壁に付着した凝集物は、塊状となるまでに攪拌槽内で回動している長尺体によって払いのけられることとなる。
【0013】
本発明のシックナーでは、攪拌槽の内周壁に処理対象物中に含まれる成分の凝集物が付着したり、凝集物が攪拌槽の内周壁において塊状となるのを防止することができる。そのため、本発明のシックナーでは、従来技術のシックナーで問題となっていた塊状の凝集物の落下に伴う攪拌翼の作動停止等の問題がほとんど起こらない。また、本発明のシックナーは、かかる問題が起こる可能性が低いため、従来技術のシックナーよりもメンテナンスの頻度を抑制することができる。
【0014】
ここで、上記請求項1に記載のシックナーは、長尺体がチェーンによって構成されたものであってもよい(請求項2)。
【0015】
また、上記した請求項1又は2に記載のシックナーは、長尺体が支持体に対して支持されている位置と攪拌槽の内周壁との間隔が、回転軸と連動して支持体が回転した際に、長尺体の下端側の部位が攪拌槽の内周壁に届く距離以下であることが望ましい(請求項3)。
【0016】
かかる構成とした場合、回転軸と連動して支持体が回転して長尺体の下端側の部位が攪拌槽の内周壁に近接すると、長尺体の全長のうち多くの部分が前記内周壁に接触することとなる。そのため、本発明のような構成とすれば、内周壁に凝集物が付着するのをより一層確実に防止することができる。
【0017】
上記した請求項1〜3のいずれかに記載のシックナーは、処理対象物がモルタル成分を含むものである場合に、当該モルタル成分を攪拌槽内で沈殿させるために好適に使用できる(請求項4)。
【0018】
また、上記請求項1〜3のいずれかに記載のシックナーは、処理対象物が、コンクリート廃材から骨材成分を主成分とするものを選別する際に発生するモルタル成分を含むものである場合に、当該モルタル成分を攪拌槽内で沈殿させるために好適に使用することができる(請求項5)。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、長期にわたって作動させても、攪拌槽の内周壁において凝集物が塊状に付着しにくいシックナーを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
続いて、本発明の一実施形態にかかるシックナー1について、図面を参照しながら詳細に説明する。シックナー1は、図1や図3に示すように攪拌槽10と攪拌手段20とを備えている。攪拌槽10は、有底で円筒状の形状を有するものであり、内部に処理対象となる処理対象物を投入することができる構造となっている。処理対象物としては、例えばモルタル成分等のような所定の成分を含む液体を採用することができる。攪拌槽10の底面は、図1に示すように外周側から略中央側に向かうに従って下方に向けて緩やかに傾斜したテーパー状とされている。また、攪拌槽10は、底面の略中央部分、すなわち底面の最も低い位置に開閉自在な排出口11を有する。
【0021】
図1に示すように、攪拌槽10の上端側の位置には、溢出流路12が設けられている。溢出流路12は、攪拌槽10内に投入された処理対象物の上澄み液をオーバーフローさせて排出するための流路であり、図2に示すように攪拌槽10の外周面に沿って設けられている。また、溢出流路12に対してさらに外周側には、環状路13が設けられている。環状路13は、溢出流路12を取り囲むように設けられており、上面13aが略水平とされている。また、環状路13には、上面13aに対して略垂直上方に立ち上がった環状の垂直面13bがある。垂直面13bについても、攪拌槽10の外周を取り囲むように円周状に設けられている。
【0022】
攪拌手段20は、攪拌槽10内に投入された処理対象物の攪拌を主目的として設けられたものである。攪拌手段20は、回転軸21、攪拌翼22、支持体23、駆動手段24、並びに、チェーン25(回動手段、長尺物)に大別される。
【0023】
回転軸21は、図1や図3に示すように、攪拌槽10の略中央部分に略垂直に配されている。回転軸21の下端側の位置には、攪拌槽10内に投入された処理対象物を攪拌するために攪拌翼22が取り付けられている。攪拌翼22は、回転軸21の回転に連動し、攪拌槽10の底面に沿って回転可能な構成とされている。
【0024】
回転軸21は、上端側に取り付けられた支持体23を介して駆動手段24から動力を受けて回転する。支持体23は、アーム27と車輪28とを備えている。図3に示すように、アーム27は、シックナー1を上方から見た状態において、攪拌槽10の中央から径方向に向けて放射状に伸びている。回転軸21は、アーム27の交差部分に固定されている。車輪28は、各アーム27の先端側の位置において下面側に取り付けられている。図1に示すように、車輪28は、攪拌槽10の外側に設けられた環状路13上を走行可能とされている。
【0025】
駆動手段24は、図3に示すように、2本のアーム27に取り付けられている。駆動手段24,24は、それぞれ攪拌槽10の軸心に対して点対称の位置関係にある。駆動手段24は、2つの駆動ローラ30,30を備えており、各駆動ローラ30,30が駆動源たるモータ31,31の回転軸に接続されている。
【0026】
図1や図3に示すように、駆動手段24は、駆動ローラ30,30によって攪拌槽10の外周に沿って設けられた環状路13の垂直面13bを挟持する構成とされている。そのため、モータ31,31を作動させ、駆動ローラ30,30を回転させると、駆動手段24が環状路13に沿って攪拌槽10の外周を移動すると共に、これに連動してアーム27に固定された回転軸21や攪拌翼22が攪拌槽10内で回転する。
【0027】
支持体23を構成する各アーム27の先端側、すなわち攪拌槽10の径方向外側の位置には、チェーン25が取り付けられている。図1に示すように、チェーン25は、上端側がアーム27に支持されている。また、チェーン25は、支持体23の停止時に、当該支持部分よりも下方側の部分が攪拌槽10の内周壁10aに沿って上下方向に伸びるように取り付けられている。チェーン25は、支持体23に支持されている部分よりも下方側の部分が攪拌槽10内で揺動自在とされている。すなわち、チェーン25の下端側は、自由端とされている。
【0028】
アーム27に対する支持体23の取り付け位置、すなわち支持体23の停止時に攪拌槽10の内周壁10aと、これに沿って配されたチェーン25との間隔dは、支持体23が回転した際に、図3に示すようにチェーン25が内周壁10aに届く距離以下となるように調整されている。なお、チェーン25と内周壁10aとの間隔dは、実験的に設定されたものであっても、支持体23の回転速度やチェーン25の重量等の影響を考慮して理論的に導出されたものであってもよい。
【0029】
続いて、本実施形態のシックナー1の動作について説明する。攪拌槽10内に投入された処理対象物や、この処理対象物中に含まれている成分を凝集させるための凝集剤を攪拌する場合は、駆動手段24のモータ31が作動状態とされる。これに伴い、駆動手段24の駆動ローラ30,30が環状路13の垂直面13bを挟持した状態で回転する。これにより、支持体23のアーム27や、これに接続された回転軸13、攪拌翼22が攪拌槽10内で回転し、攪拌槽10内にある処理対象物や凝集剤等が攪拌される。
【0030】
また、上記したようにしてアーム27が回転し始めると、アーム27に支持されているチェーン25についても攪拌槽10内で、内周壁10aに沿って回動する。この際、チェーン25は、回転に伴って発生する遠心力や、攪拌槽10内における液流の影響を受けて揺動する。これにより、図3に示すように、チェーン25のうち、アーム27への装着部分よりも下端側の部分が攪拌槽10の内周壁10aに対して近接したり離反したりして接触する。
【0031】
上記したように、本実施形態のシックナー1では、攪拌槽10内において攪拌翼22が回転するのと共に、チェーン25が攪拌槽10の内周壁10a近傍を回動し、内周壁10aに接触等する。そのため、シックナー1によって処理対象物を処理すれば、内周壁10aに凝集物が付着するのを防止できる。また、シックナー1は、仮に処理対象物の処理に伴って処理対象物中に含まれる成分が凝集して内周壁10aに付着するようなことがあっても、内周壁10aに付着した凝集物が塊状となるまでの間に攪拌槽10内で回動しているチェーン25によって払いのけられる。このため、シックナー1は、長期にわたって使用を継続しても、内周壁10aにおいて凝集物が塊状となって大きく成長するのを防止することができる。
【0032】
また、シックナー1では、内周壁10aに凝集物が付着したり、凝集物が塊状に成長するのを防止できるため、従来技術において問題となっていた凝集物の落下に伴う攪拌翼22の回転停止等の不具合が起こりにくい。また、シックナー1は、このような不具合が起こりにくいため、メンテナンスをさほど頻繁に行わなくてもよい。
【0033】
上記実施形態では、支持体23を構成するアーム27にチェーン25を取り付けた構成を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、チェーン25に代わって例えばワイヤー等のように長尺状であって可撓性を有するものを採用することができる。また、チェーン25のように全長にわたって可撓性を有するものではなくてもよく、例えば長さ方向中間部から下端側の部位だけが可撓性を有するものや、可撓性を有さない部材を可撓性を有する部材で連結したもの等を採用することも可能である。
【0034】
また、上記実施形態では、チェーン25が支持体23を構成するアーム27に取り付けられた例を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば回転軸21や攪拌翼22と連動して回動する部材を別途設け、これにチェーン25を取り付けた構成としてもよい。
【実施例】
【0035】
続いて、上記実施形態に示したシックナー1の利用形態の一例である、再生骨材の製造方法について図面を参照しながら詳細に説明する。図4は、本実施例の再生骨材の製造方法を模式的に示した概念図である。図4に示す再生骨材の製造方法は、大別して前処理フロー、粗骨材回収フロー、細骨材回収フローの3つのフローにより構成されている。前処理フロー、粗骨材回収フローおよび細骨材回収フローは、いずれも複数の工程により構成されている。以下、図面を参照しながら再生骨材の製造方法について順を追って説明する。
【0036】
本実施例の再生骨材の製造方法は、図4に示すような骨材再生プラント50によって建築物の解体現場等において発生したコンクリート廃材の塊(以下、必要に応じて塊状物Bと称す)が処理される。さらに具体的には、骨材再生プラント50で塊状物Bを処理する場合は、先ず前処理フローの第1段階(破砕工程)としてトラック等で搬送されてきた塊状物Bがホッパー51内に投入される。
【0037】
ホッパー51に投入された塊状物Bは、往復動しているレシプロフィーダ52によって移送され、ジョークラッシャー53(破砕機)に投入される。ここで、ジョークラッシャー53は、固定板55と、回転体57の回転に伴い固定板55に対して近接離反する方向に往復動する可動板56とを有する。そのため、ジョークラッシャー53の固定板55と可動板56との間に塊状物Bが投入されると、これが破砕されコンクリート破砕物Vとなる。塊状物Bを破砕する破砕工程が完了すると、コンクリート破砕物Vが磨鉱機60に投入され、製造工程が磨鉱工程に移行する。
【0038】
磨鉱工程では、磨鉱機60によってコンクリート破砕物Vが磨鉱される。ここで使用される磨鉱機60は、図5のように中空体状の本体65(攪拌室)内に複数本のロッド棒68(磨鉱処理部材)を配したロッドミル状のものであり、本体65が回転する構成となっている。磨鉱機60は、円筒形の本体65の一端側にコンクリート破砕物Vを投入するための投入口66が設けられており、他方側に排出口67を設けた構成となっている。
【0039】
排出口67には、開口径を変化させるように移動可能な自在調整板70が設けられている。排出口67は、この自在調整板70の固定位置を調整することにより排出する砂利砕石の直径を選択可能にしている。また、排出口67の外側には、金網状の篩71でなるトロンメル式分級機72を設けている。なお、本実施形態では、磨鉱処理部材としてロッド棒68を使用しているが、これを鉄製等の球状態に代えてもよく、また、上記ロッド棒68や球状態等の磨鉱処理部材を使用せずに、砂利砕石分同士を磨鉱させるようにしてもよい。
【0040】
磨鉱機60の投入口66にコンクリート破砕物Vが水と共に投入され、本体65が所定の回転数で回転を開始するとコンクリート破砕物Vの磨鉱が開始される。磨鉱工程では、本体65内でコンクリート破砕物Vとロッド棒68とがぶつかりあって粉砕され、コンクリート破砕物Vの表面に付着しているモルタル分が剥離され磨鉱される。本体65の回転時間が所定時間に達すると、本体65の回転が停止し、排出口67からコンクリート破砕物Vとこれに付着していたモルタル分の混合物が排出され磨鉱工程が完了する。
【0041】
図4に示すように、磨鉱工程において磨鉱機60の排出口67から排出されたコンクリート破砕物Vは、振動篩58に供給され、処理工程が分離工程に移行する。分離工程では、コンクリート破砕物Vが振動篩58において直径が30mm以上である砂利砕石分(以下、過大砕石分Uと称す)と、直径が5mm〜30mm程度である大径の砂利砕石分(以下、粗砂利砕石分Sと称す)と、直径が5mmよりも小さい砂礫分Gとに分類される。即ち、粗砂利砕石分Sは、コンクリート破砕物Vのうち粗骨材に相当する大きさに粉砕されたものであり、砂礫分Gは、細骨材に相当する大きさに粉砕されたものである。過大砕石分Uは、ジョークラッシャー53に供給されるコンクリート破砕物Vと同等あるいはこれより僅かに小さい程度であり、コンクリート破砕物Vが磨鉱機60において十分に破砕されずに排出されたものである。そのため、過大砕石分Uは、図4に矢印で示すように磨鉱機60の投入口66に戻され、再度破砕される。
【0042】
また、粗砂利砕石分Sは、粗骨材として利用可能な粗骨材成分を主成分とし、これらの表面に付着するなどしたモルタル分や夾雑物を含むものである。また、砂礫分Gは、細骨材として利用可能な細骨材成分を主成分とするものであり、これらの表面に付着するなどしたモルタル分や夾雑物を含んでいる。コンクリート破砕物Vが振動篩58において粒径に応じて3種類に分離する分離工程が終了すると、処理フローが前処理フローから細骨材回収フローおよび粗骨材回収フローに移行する。
【0043】
処理フローが細骨材回収フローに進行すると、上記した分離工程において振動篩58によって選別された砂礫分Gの混合物(混合破砕物P)が磨鉱機61に投入され、磨鉱される。磨鉱機61は、上記した磨鉱機60と同一の構造である。混合破砕物Pは、磨鉱機61において磨鉱されることにより、モルタル分Mの付着量が少ない再生細骨材Nとなる。磨鉱機61から取り出される再生細骨材Nには、混合破砕物Pから剥離され、微粒化されたモルタル分Mや木屑等の夾雑物が混在している。そのため、磨鉱機61から取り出された再生細骨材Nやモルタル分M等の混合物は、スパイラル分級機75に投入され、再生細骨材N(砂)とモルタル分Mや夾雑物を含む廃棄物とに分離される。
【0044】
モルタルM等を含む廃棄物は、上記実施形態に示したシックナー1にモルタル分Mを凝集させることが可能な凝集剤と共に投入される。これにより、モルタルM等を含む廃棄物は、水と分離され、排出口11から取り出されて廃棄される。
【0045】
一方、処理フローが粗骨材回収フローに進行すると、図4に示すように、上記した分離工程において振動篩58によって選別された粗砂利砕石分Sは、比重選別装置80に投入され、処理工程が粗砂利分離工程に進行する。
【0046】
ここで、粗砂利砕石分Sは、磨鉱機60による破砕および磨鉱により表面に付着していたモルタル分Mが除去された再生粗骨材Rを主成分とすると共に、振動篩58において除去しきれなかった幾分の微粉状のモルタル分Mや夾雑物等が混在している。また、粗砂利砕石分Sには、再生粗骨材Rと同様の粒径に固まり、磨鉱機60では破砕しきれなかった粗骨材状のモルタル分Mも含まれている。そこで、これらを選別して再生粗骨材Rを回収すべく、粗砂利砕石分Sは、比重選別装置80に投入される。
【0047】
粗砂利砕石分Sが比重選別装置80に投入されると、処理工程が粗砂利分離工程に移行する。比重選別装置80は、図6に示すように、分離用水が貯留された水槽81を備えている。水槽81には、多数の通孔82を有する網目状のスクリーンプレート83が分離用水に浸されるようにほぼ水平に設置されている。スクリーンプレート83の上方は、粗砂利砕石分Sを分離するための分離室84として機能する。また、スクリーンプレート83の下方は、3つの区画に分割され、第1槽86a、第2槽86b及び第3槽86cが形成されている。各槽の下端部は開口されており、スクリーンプレート83の通孔82から落下する比重の重い骨材を排出可能な構成とされている。
【0048】
第1,2,3槽86a,86b,86cのそれぞれには、下方に向けて開口した気室87a,87b,87cが設けられている。気室87a,87b,87cは、それぞれ独立的に外部から空気を強制的に導入するとともに、この内部にある空気を吸引して排出可能な構成とされている。比重選別装置80は、気室87a,87b,87cへの空気の給排気が所定の周期で繰り返される構成となっている。また、各気室87a,87b,87cにおける空気の給排気のタイミングは、上流側(第1槽86a側)から下流側(第3槽86c側)に向けて徐々にずらされている。そのため、比重選別装置80が作動すると、水槽81内の水位は、気室87a,87b,87cにおける空気の給排気に伴って上下動し、上流側から下流側に向けて水槽81の分離用水が波打つ。
【0049】
水槽81の下流端、即ち第3槽86cよりも下流側には、シューター91が設けられており、シューター91の上端には、分離室84に向けて開口した入口93(取り入れ部)が設けられている。入口93の内部には、モータによって回転するロータリゲート95が設けられている。シューター91の入口93は、スクリーンプレート83の上面から所定の高さにわたって開口されており、その開口上端は、水槽81内の分離用水の水位よりも低い位置となされている。また、シューター91の入口93には、上下方向に移動し、入口93の開度を調整するためのカットゲート96が配設されている。
【0050】
シューター91の入口93の上方には、分離室84内に蓄積された粗砂利砕石分Sのうち、上部側に蓄積された比重の軽いものを排出するための取り出し部97が設けられている。この取り出し部97と入口93とは隔壁98(境界部)により仕切られている。隔壁98は、水槽81からオーバーフローした比重の小さい骨材原料を水槽81外へ円滑に自然流下させるために、外方へしたがって下方に傾斜されている。
【0051】
水槽81内に投入された粗砂利砕石分Sは、比重選別装置80の作動に伴い水槽81内に発生する分離用水の脈動に乗って水槽81内を浮遊、沈降しながら徐々に下流側に流れる。粗砂利砕石分S中のモルタルや夾雑物は、再生粗骨材Rに比べて水流発生時の浮遊力が大きく、水流停止時の沈降量が少ない。そのため、粗砂利砕石分Sの投入後、比重選別装置80が動作を継続させると、水中での浮遊力および沈降量の差に基づいて下方に再生粗骨材Rが層状に沈降し、その上方に粗骨材状に固まったモルタル分Mが積もる。また、砂礫分Gや微粒状のモルタル分Mのような軽重量なものは、一部が上方に積もり残部が分離用水中の上方を漂う。実際は、再生粗骨材Rについても、磨鉱機60における破砕、磨鉱の程度により表面に付着しているモルタル分の量は均一ではない。そのため、再生粗骨材Rの層についても、モルタル分の付着量が多いものが上方に移動し、モルタル分の付着が少ないものが下方に潜ることとなる。
【0052】
水槽81の下流側に層状に蓄積された粗砂利砕石分Sのうち、比重の大きな再生粗骨材Rは、カットゲート96を通過し、ロータリーゲート95によってシューター91内に強制的に取り入れられる。シューター91に取り入れられた再生粗骨材Rは、シューター91の下方の開口100から排出され回収される。
【0053】
一方、水槽81の上方側に蓄積された層は、モルタル分Mの付着量が多い軽比重の骨材や微粒状のモルタル分M、木屑等の夾雑物等の混合物である。これらの混合物は、利用価値の低い廃棄物である。そのため、前記した混合物は、上記実施形態において詳述したシックナー1に投入され、水分を取り去った後に廃棄される。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の一実施形態にかかるシックナーの構成を示す断面図である。
【図2】図1に示すシックナーの作動状態を示す断面図である。
【図3】図1に示すシックナーの平面図である。
【図4】本発明の一実施例にかかる再生骨材の製造方法を模式的に示した概念図である。
【図5】磨鉱機を示す断面図である。
【図6】比重選別装置を示す断面図である。
【符号の説明】
【0055】
1 シックナー
10 攪拌槽
10a 内周壁
20 攪拌手段
21 回転軸
22 攪拌翼
23 支持体
25 チェーン(回動手段、長尺物)
d 間隔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有底筒状であって処理対象物を投入可能な攪拌槽と、
当該攪拌槽内に投入された処理対象物を攪拌可能な攪拌手段とを有し、
当該攪拌手段が、回転軸と、当該回転軸の軸方向に対して交差する方向に伸びる攪拌翼と、支持体と、回動手段とを有し、
前記攪拌翼が、回転軸の回転に連動して攪拌槽内で回転可能とされており、
前記支持体が、前記回転軸と連動して回転するように取り付けられており、
前記回動手段が、可撓性を有する長尺体を備えており、
前記長尺体が、攪拌槽の内周壁に近接した位置において上下方向に伸びるように配されており、
前記長尺体の上端側が支持体によって支持され、当該支持部分よりも下端側の部位が揺動自在とされていることを特徴とするシックナー。
【請求項2】
長尺体がチェーンによって構成されていることを特徴とする請求項1に記載のシックナー。
【請求項3】
長尺体が支持体に対して支持されている位置と攪拌槽の内周壁との間隔が、回転軸と連動して支持体が回転した際に、長尺体の下端側の部位が攪拌槽の内周壁に届く距離以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のシックナー。
【請求項4】
処理対象物がモルタル成分を含むものであり、当該モルタル成分を攪拌槽内で沈殿させるために使用されるものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のシックナー。
【請求項5】
処理対象物が、コンクリート廃材から骨材成分を主成分とするものを選別する際に発生するモルタル成分を含むものであり、当該モルタル成分を攪拌槽内で沈殿させるために使用されるものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のシックナー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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