説明

シナカルセトを調製するためのプロセス

式(I)で表されるN−[(1R)−1−(1−ナフチル)エチル]−3−[3−(トリフルオロメチル)−フェニル]プロパン−1−アミン(即ち、シナカルセト)及び式(V)、(Va)及び(Vb)で表されるその中間体のそれぞれを調製するためのプロセス。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有効成分であるシナカルセト、その中間体、及びその薬学的に許容される塩(特に塩酸塩)のそれぞれを調製するためのプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
シナカルセト(CNC)、即ち、式(I):
【0003】
【化1】

【0004】
で表されるN−[(1R)−1−(1−ナフチル)エチル]−3−[3−(トリフルオロメチル)−フェニル]プロパン−1−アミンは塩酸塩として治療に用いられる。
【0005】
欧州連合でMIMPARA(登録商標)として市販されているシナカルセトの塩酸塩(CNC・HCl)は、カルシウム受容体を活性化することによって副甲状腺ホルモンの分泌を抑制するカルシウム擬態剤(calcimimetic agent)である。
【0006】
MIMPARA(登録商標)は、透析を受けている慢性腎疾患患者における続発性副甲状腺機能亢進症(SHPT)の治療用、及び副甲状腺摘出が臨床的に不適切又は禁忌である患者における原発性副甲状腺機能亢進症(PHPT)の治療用に認可されている。
【0007】
特許文献1には、一般にシナカルセト及びその塩を含むアリールアルキルアミン類が開示されている。
【0008】
特許文献2には、シナカルセト又はその薬学的に許容される塩や複合体が化合物22Jとして具体的に記載されている。また、特許文献2には、適切な芳香族アルデヒドやケトンを好適なアリールアミンで縮合した後、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(NaBH3CN)やトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムで還元する還元的アミノ化アプローチや、水素化ジイソブチルアルミニウム(DIBAL−H)を介在させて芳香族アミンをアリールニトリルで縮合した後、中間体のアルミニウム−イミン複合体をシアノ水素化ホウ素ナトリウムや水素化ホウ素ナトリウムで還元することによって、シナカルセトと類似の構造を有するようなカルシウム受容体活性分子を調製するための合成方法も開示されている。水素化ジイソブチルアルミニウムの存在下でニトリルを第一級アミンや第二級アミンで縮合させて、対応するイミンを生成する方法については、特許文献3に一般的に開示されている。
【0009】
非特許文献1のスキーム1に記載のシナカルセトの調製には、次のスキーム1:
【0010】
【化2】

【0011】
に示すように、チタンテトライソプロポキシド(Ti(O−i−Pr)4)によって1(R)−(1−ナフチル)エチルアミン(R−NEA)を3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]プロピオンアルデヒドと反応させて対応するイミンを得た後、最終的にエタノール中でシアノ水素化ホウ素ナトリウムで還元することが含まれる。
【0012】
非特許文献2には、次のスキーム2:
【0013】
【化3】

【0014】
に示すように、3−(トリフルオロメチル)桂皮酸を対応するアルコールに還元した後、酸化して所望のアルデヒドを得ることによって、出発物質の3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]プロピオンアルデヒドを調製することが開示されている。
【0015】
非特許文献3に記載のように、上述のシナカルセトの合成にはTi(O−i−Pr)4やDIBAL−H等の試薬が用いられるが、シナカルセトを商業規模で調製するためには該試薬を大量に扱う必要があり、このような感湿性で自然発火性の試薬を大量に取り扱うことで合成がより困難になる。
【0016】
特許文献4には、3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]プロパン−1−オールの酸化を含む、3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]プロピオンアルデヒドを調製するための他のプロセスが開示されている。
【0017】
特許文献5には、次のスキーム3:
【0018】
【化4】

【0019】
に記載のように、3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]プロパノールの水酸基部分を良好な脱離基に転化することと、得られた化合物を、好ましくは塩基の存在下で(R)−(1−ナフチル)エチルアミンと結合させることを含む、シナカルセトを調製するための他のプロセスが開示されている。
【0020】
特許文献6によると、上述の特許文献5に記載のようにシナカルセトを合成する際に種々の溶媒を用いながら、様々な量のシナカルセトカルバメートを生成することができる。特許文献6には、クロマトグラフィー法による測定で約0.03面積%〜約0.15面積%の量のシナカルセトカルバメートを含有するシナカルセト塩酸塩を調製するためのプロセスであって、次の工程:(a)クロマトグラフィー法による測定で約3面積%〜約6面積%の量のシナカルセトカルバメートを含有するシナカルセトをアセトン、直鎖又は分岐鎖のC28エーテル、その混合物又は水に溶解する工程と、(b)塩化水素を添加して沈殿物を得る工程と、(c)シナカルセト塩酸塩を回収する工程とを含むプロセスが開示されている。
【0021】
特許文献7では、次のスキーム4:
【0022】
【化5】

【0023】
に記載のように、3−(トリフルオロメチル)桂皮酸を還元して3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−プロパン酸を得ることと、必要に応じて3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−プロパン酸を好適な酸誘導体に転化することと、得られた3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−プロパン酸、或いは転化を行った場合には前記酸誘導体を(R)−(1−ナフチル)エチルアミンと結合させて(R)−N−(1−(ナフタレン−1−イル)エチル)−3−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)プロパンアミドを得ることと、(R)−N−(1−(ナフタレン−1−イル)エチル)−3−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)プロパンアミドをシナカルセトに還元することとを含む、シナカルセトを調製するためのプロセスが提供されている。
【0024】
非特許文献4には、水酸化パラジウムの存在下で3−(トリフルオロメチル)桂皮酸を還元して3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−プロパン酸を得、それを(R)−1−(1−ナフチル)エチルアミンと結合させて対応するアミドを得ることを含む、シナカルセト塩酸塩への合成順序が開示されている。その後、還元剤としての三フッ化ホウ素−THF及び水素化ホウ素ナトリウムの存在下で該アミドを還元する。完全に転化した後、得られたアミン−ボラン複合体に水を添加して加水分解し、次のスキーム5:
【0025】
【化6】

【0026】
に記載のように、トルエン中に抽出した粗シナカルセトを塩酸と反応させてシナカルセト塩酸塩を得る。
【0027】
特許文献8及び非特許文献3には、(R)−N−(1−(ナフタレン−1−イル)エチル)−3−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)プロパンアミドを介したシナカルセト塩酸塩を調製するための他のプロセスが開示されている。
【0028】
特許文献9には、次のスキーム6:
【0029】
【化7】

【0030】
に示すように、触媒及び少なくとも1種の塩基の存在下で3−ブロモトリフルオロトルエンをアリルアミン(R)−N−(1−(ナフタレン−1−イル)エチル)プロパ−2−エン−1−アミンに結合させて、(R,E)−N−(1−(ナフタレン−1−イル)エチル)−3−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)プロパ−2−エン−1−アミン(CNC−エン)を得、不飽和シナカルセトを還元してシナカルセトを得る、シナカルセトを調製するためのプロセスが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0031】
【特許文献1】米国特許第6,011,068号
【特許文献2】米国特許第6,211,244号
【特許文献3】米国特許第5,504,253号
【特許文献4】国際公開第2008/035212号
【特許文献5】米国特許第7,250,533号
【特許文献6】米国特許第7,294,735号
【特許文献7】米国特許出願第2007/259964号
【特許文献8】MU特許出願第2007/00555号
【特許文献9】米国特許第7,393,967号
【非特許文献】
【0032】
【非特許文献1】「ドラッグオブザフューチャー 2002(Drag of the Future 2002)」、2002年、27(9)、p831〜836、(2002)
【非特許文献2】「テトラヘドロン・レターズ(Tetrahedron letters)」、2004年、(45)、p8355〜8358、脚注12
【非特許文献3】「シンセティック・コミュニケーションズ(Synthetic Communications)」、2008年、38、p1512〜1517
【非特許文献4】「テトラヘドロン・レターズ(Tetrahedron letters)」、2008年、(49)、p13〜15
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0033】
本発明は、シナカルセト、その薬学的に許容される塩及びその中間体をもたらす新規で効率的なプロセスであって、工業的規模に好都合であり、所望の製品を高収率でもたらすプロセスを提供する。特に、本発明者らは、市販されており、容易に入手可能な、安価で安全な出発物質から開始する多成分マンニッヒ型反応を含む一工程又は数工程の合成でシナカルセトの全骨格を構築可能であることを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0034】
即ち、本発明の目的は、シナカルセト及びその塩、特に塩酸塩、及びその中間体を調製するための方法であって、大量生産に利用することのできる方法を提供することである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明は、その一実施形態において、式(V):
【0036】
【化8】

【0037】
で表されるシナカルセト中間体を調製するためのプロセスであって、次の工程:
a)式(II):
【0038】
【化9】

【0039】
で表される3−(トリフルオロメチル)アセトフェノンと式(III):
【0040】
【化10】

【0041】
で表される(R)−(1−ナフチル)エチルアミンとをホルムアルデヒドの存在下で反応させる工程を含むプロセスを提供する。
【0042】
或いは、本発明は、式(V)で表される化合物を調製するためのプロセスであって、次の工程:
b)上述の式(II)で表される化合物を、
(i)次式:
HNR12
(式中、R1及びR2は独立して水素又はC1〜C5のアルキルを表わし、R1及びR2の一方が水素の場合、他方は水素ではなく、或いは、R1及びR2が共にC4〜C7のアルキレンブリッジを形成し、これらに結合している窒素原子を含めて複素環を形成し、C4〜C7のアルキレンブリッジの1個の−CH2−基はホルムアルデヒドの存在下で−O−に置換されていてもよい)で表される化合物、又は
(ii)次式:
(CH32+=CH2 Hal-
(式中、Halはハロゲン原子である)で表されるN−メチル−N−メチレンメタンアミニウムハライド
と反応させて式(IV):
【0043】
【化11】

【0044】
(式中、R1及びR2は上述と同義である)で表される化合物を得る工程と、
c)次式:
3−X、CO(OR32、SO2(OR32、PO(OR33、CH3PO(OR32及び(4−NO264O)PO(OR32(式中、R3はC1〜C4のアルキルであり、XはI、Br、OSO2CF3又はOSO2Fである)で表される化合物から成る群から選択されるアルキル化剤を用いて式(IV)で表される化合物をアルキル化して、式(IVa):
【0045】
【化12】

【0046】
(式中、Yは上述のX、R3OCO2、R3OSO3、(R3O)2PO2、CH3PO2OR3又は(4−NO2−C64O)PO2OR3)で表される化合物を得る工程と、
d)式(IVa)で表される化合物を式(III)で表される(R)−(1−ナフチル)エチルアミンと結合させる工程とを含むプロセスを提供する。
【0047】
その後、式(V)で表される化合物はシナカルセトの調製に用いることができる。
【0048】
1〜Cnのアルキル(式中、nは1〜5の値をとり得る)とは、炭素数が1〜nで飽和の直鎖又は分岐の炭化水素鎖であり、分子の残部と単結合で連結している炭化水素鎖を示す。このような基の例としては、メチル、エチル、n−プロピル、1−メチルエチル(イソプロピル)、n−ブチル、n−ペンチル、1,1−ジメチルエチル(t−ブチル)等が挙げられる。
【0049】
本発明の好ましい態様では、ホルムアルデヒド試薬はパラホルムアルデヒドとして提供される。
【0050】
式HNR12で表される化合物において、R1及びR2が独立して水素又はC1〜C5のアルキルを表わす場合、R1及びR2は同時に水素とはなり得ない。
【0051】
式HNR12で表される化合物において、R1及びR2がこれらに結合している窒素原子と共に複素環を形成し、C4〜C7のアルキレンブリッジの1個の−CH2−基が−O−に置換し得る場合、形成される複素環はピロリジン、ピペリジン、オキサゾリジン又はモルホリンであり、好ましくはモルホリンである。
【0052】
ハロゲン原子HalはCl、Br、F又はIであり、好ましくはIである。
【0053】
本発明によれば、マンニッヒ型反応を用いて、メチレンブリッジによる式(II)で表されるケトン部分と式(III)で表され第二級アミンとのホルムアルデヒドを介在させた縮合を行うことが好ましい。通常、上述の工程a)にて前記カップリング反応を行う場合、遊離アミンと平衡して存在する式(III)で表されるアミンの塩酸塩を用いる。特に、工程a)でのマンニッヒ型反応は、酸性媒体(例えば、HBrや硫酸、HCl、メタンスルホン酸から選択される酸、好ましくはHCl又はメタンスルホン酸)中で行うことができ、水、アセトニトリル、直鎖又は分岐鎖のC1〜C5のアルコール(例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル又はtert−ブチルアルコール)、メチルイソブチルケトン(MIBK)及びジオキサンから選択し得る溶媒中で反応物を混合し、好ましくは、sec−ブチルアルコール等の高沸点アルコール中、又はニート条件(即ち、無溶媒条件)下で反応物を混合する。反応は、選択された溶媒の還流温度(25℃〜150℃で変動し得る)で、該溶媒に応じて約1〜約90時間行う。その後、直鎖又は環状のC4〜C8のエーテル(例えば、1,2−ジメトキシエタン、2−メトキシエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)又は1,4−ジオキサン)や直鎖又は分岐鎖のC5〜C8の環状又は芳香族炭化水素(例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、イソオクタン、トルエン又はキシレン、好ましくはトルエン)から選択される抗溶媒の添加又は冷却によって式(V)で表される化合物を反応媒体から沈殿させるか、或いは、式(V)で表される化合物を好適な有機溶媒(例えば、上述のC4〜C8のエーテル、酢酸エチル(EtOAc)、DCM又はトルエン、好ましくはトルエンを用いて抽出する。
【0054】
或いは、ホルムアルデヒドを介在させたマンニッヒ縮合を用い、式(II)で表される化合物と上述の工程b)の(i)に記載の式HNR12で表される好適な化合物との結合を、水、アセトニトリル、上述の直鎖又は分岐鎖のC1〜C5のアルコール、MIBK及びジオキサンから選択し得る溶媒、より好ましい溶媒はsec−ブチルアルコール等の高沸点アルコールに応じて25℃〜120℃の温度で行うことによって、式(IV)で表されるマンニッヒ塩基を生成することができる。また、式(IV)で表されるマンニッヒ塩基は、式(II)で表される化合物と工程b)の(ii)に記載のN−メチル−N−メチレンメタンアミニウムハライド(エッシェンモーザー塩、好ましくはヨウ化物)との反応を酸性媒体(例えば、HBr、硫酸、HC及びメタンスルホン酸から選択される酸、好ましくはHCl又はメタンスルホン酸)中で行い、水、アセトニトリル、上述の直鎖又は分岐鎖のC1〜C5のアルコール、MIBK及びジオキサンから選択し得る溶媒中で反応物を混合する(より好ましくは、sec−ブチルアルコール等の高沸点アルコール中、又はニート条件、即ち、無溶媒条件下で反応物を混合する)ことによっても得ることができる。反応は、選択された溶媒の還流温度(25℃〜150℃で変動し得る)で該溶媒に応じて約1時間〜約90時間行う。
【0055】
工程c)では、アルキル化反応を0℃〜80℃の温度で行うことができる。通常、該反応を25℃〜40℃の温度で行い、約1〜48時間以内に完了する。アルキル化剤は上述の式R3X(式中、XとしてはIが好ましい)で表される化合物が好ましく、式R3Xで表される化合物としてはCH3Iがより好ましい。
【0056】
工程d)では、カップリング反応を、EtOAc、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル及びトルエンから選択される有機溶媒、好ましくはアセトニトリル又はトルエン、より好ましくはトルエン中、必要に応じて好適な有機塩基(例えば、炭酸カルシウムや炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属炭酸塩や水酸化物、好ましくは、炭酸ナトリウム又は炭酸カリウムや、トリエチルアミンやジイソプロピルエチルアミン等のC1〜C5のアルキルアミンの存在下、0〜80℃の温度で約2〜24時間に亘って行うことができる。
【0057】
明確にするため、上述のプロセスを次のスキーム7で示すことができる。
【0058】
【化13】

【0059】
本発明は、その他の実施形態において、上述の式(V)で表される化合物を調製し、該化合物をシナカルセトに転化することによってシナカルセトを調製するためのプロセスを包含する。
【0060】
本発明はその他の実施形態において、式(Va):
【0061】
【化14】

【0062】
で表されるシナカルセト中間体の調製であって、次の工程:
e)還元剤の存在下、又は接触水素化プロセスによって式(V)で表される化合物を還元する工程を含む調製を提供する。
【0063】
式(Va)で表される化合物は、工程e)において、ジアステレオ異性体混合物、即ち、(R)−及び(S)−3−((R)−1−(ナフタレン−1−イル)エチルアミノ−1−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)プロパン−1−オールの混合物として得られる。
【0064】
好適な還元剤としては、ルイス酸と組み合わせて、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素リチウム、水素化ジイソブチルアルミニウム及び1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンが挙げられる。ガス状水素と共に用いられる好適な還元触媒としては、Pd/C、PtO2(アダムス触媒)、ラネーニッケル又はPdCl2が挙げられる。工程e)における反応は、還元剤に応じて、例えば、水や上述のC1〜C4のアルコール、上述のC4〜C8のエーテル又はその混合物から選択される溶媒中、0℃〜40℃の温度で約0.5〜10時間に亘って行うことができる。触媒Pd/C、PtO2又はPdCl2を用いる場合、H2圧は通常1気圧である。ラネーニッケルを用いる場合、H2圧は適度に高い(--1000psi)。通常、水素化は約5〜約24時間に亘って行う。
【0065】
還元を接触移動水素化(CTH)条件下で行う場合、例えば、ギ酸やギ酸アンモニウム、ギ酸ナトリウム等の好適な水素含有供給物質(好ましくは、ギ酸アンモニウム又はギ酸ナトリウム)を用いる。水素供与体としての水素含有供給物質を活性化するため、上述の触媒を用いるが、触媒によって水素含有供給物質から基質への水素移動が促進される。CTHは当業者に公知の如何なる方法によっても実施することができる。特に、CTH技法を工程e)における反応で用いる場合、式(V)で表される化合物を、例えば、トルエン、酢酸及び上述のC1〜C5のアルコール、好ましくはエチルアルコールから選択される溶媒に、ギ酸、ギ酸アンモニウム又はギ酸ナトリウム、好ましくはギ酸アンモニウム又はギ酸ナトリウムの存在下、選択された溶媒の還流温度で約5〜48時間かけて溶解する。
【0066】
その後、式(Va)で表される化合物をシナカルセトの調製に用いることができる。
【0067】
本発明は、その他の実施形態において、上述の式(Va)で表される化合物を調製し、該化合物をシナカルセトに転化することによってシナカルセトを調製するためのプロセスを包含する。
【0068】
本発明は、その他の実施形態において、式(VI):
【0069】
【化15】

【0070】
で表されるシナカルセト中間体の調製であって、次の工程:
f)脱水剤を用いて式(Va)で表される化合物を脱水する工程、又は
g)上述の式(V)で表される化合物を酸の存在下、Znを用いて還元して、式(VI)で表される化合物を式(I)で表されるシナカルセトとの混合物として得る工程を含む調製を提供する。
【0071】
工程f)における反応は、例えば、硫酸、リン酸、無水酢酸、PCl5、トルイル酸、カンファースルホン酸及びトシル酸から選択される好適な脱水剤を用い、40℃〜130℃の温度で、例えば、トルエン、酢酸及びその混合物から選択される溶媒の存在下又は非存在下で約1〜48時間に亘って行うことができる。
【0072】
工程g)における還元は、亜鉛粉末の存在下、例えば、水や上述のC1〜C5のアルコール、トルエン、アセトニトリルから選択される溶媒中で、例えば、HBrやHClから選択される酸、好ましくはHClを用いた酸性媒体にて行うことができるが、好ましくは、還元は、メタノールと水の混合液中、25℃〜80℃の温度で約1〜48時間に亘って行う。式(I)で表されるシナカルセトと式(VI)で表される対応する不飽和誘導体は、共に工程g)における反応から得られる。通常、式(VI)で表される化合物は、8:1〜1:8のHPLC比で反応から回収される。好ましい態様においては、式(VI)で表される化合物は、過剰な亜鉛の存在下、1:1のメタノール/水混合液を用い、25℃の温度で操作することによって、2:1の比で反応混合物から回収される。
【0073】
その後、式(VI)で表される化合物をシナカルセトの調製に用いることができる。
【0074】
本発明は、その他の実施形態において、上述の式(VI)で表される化合物を調製し、該化合物をシナカルセトに転化することによってシナカルセトを調製するためのプロセスを包含する。
【0075】
本発明は更に、上述の式(I)で表されるシナカルセトの調製であって、次の工程:
h)式(VI)で表される化合物の二重結合を還元して、式(I)で表される化合物を得る工程を含む調製を提供する。
【0076】
工程h)における式(VI)で表される化合物の還元は、接触水素化、即ち、触媒の存在下で分子状水素を用いる、或いは、接触移動水素化(CTH)、即ち、触媒の存在下で水素含有物質によって放出される水素を用いることによって行うことができる。CTHは当業者に公知の如何なる方法によっても実施することができる。例えば、式(VI)で表される不飽和シナカルセトを上述のC1〜C5のアルコールに溶解し、例えば、Pd/C、PtO2(アダムス触媒)、ラネーニッケル又はPdCl2等の触媒の存在下でH2圧に曝露することができる。Pd/C、PtO2又はPdCl2を用いる場合、H2圧は通常1気圧である。ラネーニッケルを用いる場合、H2圧は適度に高い(--1000psi)。通常、水素化は約5〜約24時間に亘って行う。CTH反応条件を実施する場合、式(VI)で表される化合物を、例えば、トルエン、酢酸又は上述のC1〜C5のアルコールから選択される溶媒に、ギ酸、ギ酸アンモニウム又はギ酸ナトリウム、好ましくはギ酸アンモニウム又はギ酸ナトリウムの存在下、選択された溶媒の還流温度で約5〜48時間かけて溶解する。
【0077】
上述の工程を組み合わせて、式(I)で表されるシナカルセトを最終的に生成する連続プロセスを得ることができる。
【0078】
上述の工程a)、e)、f)及びh)を用いる場合、本発明のプロセスは式(I):
【0079】
【化16】

【0080】
で表されるシナカルセトを調製するプロセスであって、次の工程:
a)式(II):
【0081】
【化17】

【0082】
で表される3−(トリフルオロメチル)アセトフェノンと式(III):
【0083】
【化18】

【0084】
で表される(R)−(1−ナフチル)エチルアミンとをホルムアルデヒドの存在下で反応させて、式(V):
【0085】
【化19】

【0086】
で表される化合物を得る工程と、
e)還元剤の存在下、又は接触水素化プロセスによって式(V)で表される化合物を還元して、式(Va):
【0087】
【化20】

【0088】
で表される化合物を得る工程と、
f)脱水剤を用いて式(Va)で表される化合物を脱水して、式(VI):
【0089】
【化21】

【0090】
で表される化合物を得る工程と、
h)式(VI)で表される化合物を還元して、式(I)で表されるシナカルセトを得る工程とを含む。
【0091】
上述の工程a)、g)及びh)を用いる場合、本発明のプロセスは式(I):
【0092】
【化22】

【0093】
で表されるシナカルセトを調製するプロセスであって、次の工程:
a)式(II):
【0094】
【化23】

【0095】
で表される3−(トリフルオロメチル)アセトフェノンと式(III):
【0096】
【化24】

【0097】
で表される(R)−(1−ナフチル)エチルアミンとをホルムアルデヒドの存在下で反応させて、式(V):
【0098】
【化25】

【0099】
で表される化合物を得る工程と、
g)上述の式(V)で表される化合物を酸の存在下、Znを用いて還元して、式(VI):
【0100】
【化26】

【0101】
で表される化合物を式(I)で表されるシナカルセトとの混合物として得る工程と、
h)式(VI)で表される化合物を還元して、式(I)で表されるシナカルセトを得る工程とを含む。
【0102】
上述の工程b)、c)、d)、e)、f)及びh)を用いる場合、本発明のプロセスは式(I):
【0103】
【化27】

【0104】
で表されるシナカルセトを調製するプロセスであって、次の工程:
b)上述の式(II)で表される化合物を、
(i)次式:
HNR12
(式中、R1及びR2は独立して水素又はC1〜C5のアルキルを表わし、R1及びR2の一方が水素の場合、他方は水素ではなく、或いは、R1及びR2が共にC4〜C7のアルキレンブリッジを形成し、これらに結合している窒素原子を含めて複素環を形成し、C4〜C7のアルキレンブリッジの1個の−CH2−基はホルムアルデヒドの存在下で−O−に置換されていてもよい)で表される化合物、又は
(ii)次式:
(CH32+=CH2 Hal-
(式中、Halはハロゲン原子である)で表されるN−メチル−N−メチレンメタンアミニウムハライドと反応させて式(IV):
【0105】
【化28】

【0106】
(式中、R1及びR2は上述と同義である)で表される化合物を得る工程と、
c)次式:
3−X、CO(OR32、SO2(OR32、PO(OR33、CH3PO(OR32及び(4−NO264O)PO(OR32(式中、R3はC1〜C4のアルキルであり、XはI、Br、OSO2CF3又はOSO2Fである)で表される化合物から成る群より選択されるアルキル化剤を用いて、式(IV)で表される化合物をアルキル化して式(IVa):
【0107】
【化29】

【0108】
(式中、Yは上述のX、R3OCO2、R3OSO3、(R3O)2PO2、CH3PO2OR3又は(4−NO2−C64O)PO2OR3)で表される化合物を得る工程と、
d)式(IVa)で表される化合物を式(III)で表される(R)−(1−ナフチル)エチルアミンと結合させて、式(V):
【0109】
【化30】

【0110】
で表される化合物を得る工程と、
e)還元剤の存在下、又は接触水素化プロセスによって式(V)で表される化合物を還元して、式(Va):
【0111】
【化31】

【0112】
で表される化合物を得る工程と、
f)脱水剤を用いて式(Va)で表される化合物を脱水して、式(VI):
【0113】
【化32】

【0114】
で表される化合物を得る工程と、
h)式(VI)で表される化合物を還元して、式(I)で表されるシナカルセトを得る工程とを含む。
【0115】
上述の工程b)、c)、d)、g)及びh)を用いる場合、本発明のプロセスは式(I):
【0116】
【化33】

【0117】
で表されるシナカルセトを調製するプロセスであって、次の工程:
b)上述の式(II)で表される化合物を、
(i)次式:
HNR12
(式中、R1及びR2は独立して水素又はC1〜C5のアルキルを表わし、R1及びR2の一方が水素の場合、他方は水素ではなく、或いは、R1及びR2が共にC4〜C7のアルキレンブリッジを形成し、これらに結合している窒素原子を含めて複素環を形成し、C4〜C7のアルキレンブリッジの1個の−CH2−基はホルムアルデヒドの存在下で−O−に置換されていてもよい)で表される化合物、又は
(ii)次式:
(CH32+=CH2 Hal-
(式中、Halはハロゲン原子である)で表されるN−メチル−N−メチレンメタンアミニウムハライドと反応させて式(IV):
【0118】
【化34】

【0119】
(式中、R1及びR2は上述と同義である)で表される化合物を得る工程と、
c)次式:
3−X、CO(OR32、SO2(OR32、PO(OR33、CH3PO(OR32及び(4−NO264O)PO(OR32(式中、R3はC1〜C4のアルキルであり、XはI、Br、OSO2CF3又はOSO2Fである)で表される化合物から成る群より選択されるアルキル化剤を用いて、式(IV)で表される化合物をアルキル化して式(IVa):
【0120】
【化35】

【0121】
(式中、Yは上述のX、R3OCO2、R3OSO3、(R3O)2PO2、CH3PO2OR3又は(4−NO2−C64O)PO2OR3)で表される化合物を得る工程と、
d)式(IVa)で表される化合物を式(III)で表される(R)−(1−ナフチル)エチルアミンと結合させて、式(V):
【0122】
【化36】

【0123】
で表される化合物を得る工程と、
g)上述の式(V)で表される化合物を酸の存在下、Znを用いて還元して、式(VI):
【0124】
【化37】

【0125】
で表される化合物を式(I)で表されるシナカルセトとの混合物として得る工程と、
h)式(VI)で表される化合物の二重結合を還元して、式(I)で表される化合物を得る工程とを含む。
【0126】
必要に応じて、式(I)で表される化合物を、その薬学的に許容される塩の生成に適した薬学的に許容される酸と反応させる。
【0127】
シナカルセト塩の生成に用いられ得る好適な薬学的に許容される酸としては、例えば、HCl、HBr、H2SO4、マレイン酸及びフマル酸が挙げられるが、HClが好ましい。
【0128】
シナカルセトは、当業者に公知のいずれの方法によっても薬学的に許容されるシナカルセト塩に転化することができる。薬学的に許容される好ましい塩は塩酸塩である。例えば、塩酸塩は、シナカルセトを塩化水素と反応させることを含む方法によって調製することができる。通常、シナカルセト塩基を有機溶媒に溶解し、水性又はガス状塩化水素と結合させてシナカルセト塩酸塩を得る。有機溶媒としては、トルエン、酢酸エチル又はMTBEが好ましい。
【0129】
式(II)及び(III)で表される出発物質は市販の化合物であるが、当該技術分野で入手し得る文献に従って調製することもできる。例えば、式(II)で表される3−(トリフルオロメチル)アセトフェノンは、米国特許第6,420,608号に開示の手順に従って調製することができる。
【0130】
本発明の他の目的物は、式(V):
【0131】
【化38】

【0132】
で表されるシナカルセト中間体である。
【0133】
本発明の更に他の目的は、式(Va):
【0134】
【化39】

【0135】
で表されるシナカルセト中間体、即ち、(R)−及び(S)−3−((R)−1−(ナフタレン−1−イル)エチルアミノ−1−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)プロパン−1−オールのジアステレオ異性体混合物である。
【0136】
本発明は、その更なる態様において、式(Vb):
【0137】
【化40】

【0138】
(式中、Bnはベンジルである)で表されるシナカルセト中間体の調製であって、次の工程:
j)上述の式(IVa)で表される化合物を式(IIIa):
【0139】
【化41】

【0140】
(式中、Bnは上述と同義である)で表される(R)−N−ベンジル−1−(1−ナフチル)エチルアミンと結合させる工程を含む調製を提供する。
【0141】
その後、式(Vb)で表される化合物はシナカルセトの調製に用いることができる。
【0142】
本発明は、その他の実施形態において、上述の式(Vb)で表される化合物を調製し、該化合物をシナカルセトに転化することによってシナカルセトを調製するためのプロセスを包含する。
【0143】
本発明は、その他の実施形態において、式(I)で表されるシナカルセトの調製であって、次の工程:
k)式(Vb)で表される化合物を式(I)で表されるシナカルセトに還元し、必要に応じて、式(I)で表されるシナカルセトを、式(I)で表される化合物との塩の生成に適した薬学的に許容される酸と反応させる工程を含む調製を提供する。
【0144】
本発明のこの態様においては、前記アルキル化マンニッヒ塩基を工程d)にて前述の式(III)で表される(R)−(1−ナフチル)エチルアミンと結合させるのに用いるのと類似の条件下、工程j)にてアルキル化マンニッヒ塩基(IVa)を式(IIIa)で表されるN−ベンジル−(R)−NEAと結合させる。反応は、塩基、例えば、炭酸カルシウムや炭酸カリウム、トリエチルアミンを用い得るが、好ましくは炭酸ナトリウムの存在下又は非存在下、EtOAc、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル及びトルエンから選択される溶媒(好ましくはアセトニトリル又はトルエン、より好ましくはトルエン)中、0℃〜80℃の温度で約2〜24時間に亘って行うことができる。
【0145】
本発明の他の目的物は、式(Vb):
【0146】
【化42】

【0147】
(式中、Bnはベンジルである)で表されるシナカルセト中間体である。
【0148】
式(IIIa)で表されるN−ベンジル−(R)−NEA塩酸塩(市販品を購入するか、又は通常の合成工程で目的に応じて調製)を遊離塩基に転化した後、式(IVa)で表されるアルキル化マンニッヒ塩基との結合を10℃〜40℃の温度、好ましくは25℃で、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム又は炭酸カルシウムから選択される塩基水溶液、好ましくは水酸化ナトリウム水溶液で中和し、上述のC4〜C8の直鎖又は環状の脂肪族エーテル、上述の脂肪族炭化水素又は芳香族炭化水素から選択される水と混和しない有機溶媒、好ましくはトルエンで抽出して行う。
【0149】
工程k)における式(Vb)で表される化合物の還元は、標準的な接触水素化条件、即ち、触媒の存在下で分子状水素を用いる条件下でカルボニル脱酸素化とN−脱ベンジル化を組み合わせて行って、式(I)で表されるシナカルセトを得ることができる。接触水素化は、当業者に公知の如何なる方法によっても行うことができる。例えば、式(Va)で表される中間体を上述のC1〜C4のアルコールに溶解し、Pd/CやPtO2等の触媒の存在下でH2圧に曝露することができる。Pd/C又はPtO2を用いる場合、H2圧は通常1気圧である。通常、水素化は約5〜約24時間に亘って行う。
【0150】
以下の実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらの実施例は単に説明のためであって、これによって本発明の範囲が限定されるものではない。
【実施例】
【0151】
[実施例1]
(R)−3−(1−(ナフタレン−1−イル)エチルアミノ)−1−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)プロパン−1−オン塩酸塩(V)の合成
方法A
【0152】
【化43】

【0153】
塩酸(R)−(1−ナフチル)エチルアミン(III)(100.0g)、パラホルムアルデヒド(15.9g)、3−(トリフルオロメチル)アセトフェノン(II)(135.7g)、30%w/w塩酸水溶液(5.6g)、エタノール(150.0g)及び水(10.0g)を反応器に投入し、HPLCによって充分な転化が確認されるまで、還流下で14時間攪拌した。次に、水(300.0g)及びトルエン(305.0g)を添加し、混合物を25℃で攪拌した。有機層と水層を分離し、沈殿を促すため、更に水(200.0g)を有機相に投入した。室温での濾過により標記化合物(95.6g)を単離し、水及びメチルtert−ブチルエーテルで洗浄し、50℃で乾燥した。
【0154】
(R)−3−(1−(ナフタレン−1−イル)エチルアミノ)−1−(3−(トリフルオロメチル)−フェニル)−プロパン−1−オン塩酸塩(V)のNMR
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6),δ(ppm, TMS): 10.00 (1H, br s; -NH2+-), 9.24 (1H, br s; -NH2+-), 8.31 (1H, d, J = 8.4; ArH), 8.23 (1H, d, J = 8.0 Hz; ArH), 8.16 (1H, br s; ArH), 8.08-7.96 (4H, m; ArH), 7.82 (1H, t, J = 8.0 Hz; ArH), 7.69-7.58 (3H, m; ArH), 5.47-5.36 (1H, m; -CH(CH3)-), 3.70-3.54 (2H, m; -CH2-), 3.41-3.26 (2H, m; -CH2-), 1.72 (3H, m, J = 6.4 Hz; -CH(CH3)-).
【0155】
方法B
塩酸(R)−(1−ナフチル)エチルアミン(III)(1.5g)、パラホルムアルデヒド(0.3g)、3−(トリフルオロメチル)アセトフェノン(II)(1.8g)、30%w/w塩酸水溶液(0.1g)、エタノール(4.5g)及び水(1.5g)を攪拌下で反応器に投入し、HPLCによって充分な転化が確認されるまでマイクロ波照射(最大250W)下で5分間反応させた。次に、水(10.0g)及びトルエン(3.0g)を添加し、得られた懸濁液を25℃で攪拌した。室温での濾過により標記化合物(1.6g)を単離し、水及びメチル2−プロパノールで洗浄し、50℃で乾燥した。
【0156】
[実施例2]
3−(ジメチルアミノ)−1−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)プロパン−1−オン塩酸塩(IV)の合成
【0157】
【化44】

【0158】
1−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)エタノン(25.0g)(II)、塩酸ジメチルアミン(13.0g)、パラホルムアルデヒド(4.8g)、31%w/w塩酸水溶液(0.5mL)のエタノール(70mL)混合液を還流温度で24時間攪拌した後、冷却し、溶媒をトルエン(50mL)で洗い流した。次に、沈殿した淡黄色の固形物を濾過し、トルエンで洗浄し、乾燥して標記化合物(IV)(28.0g)を得た。
【0159】
[実施例3]
3−(ジメチルアミノ)−1−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)プロパン−1−オンヨウ化水素酸塩(IV)の合成
【0160】
【化45】

【0161】
1−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)エタノン(5.0g)(II)、ヨウ化N−メチル−N−メチレンメタンアミニウム(5.4g)、31%w/w塩酸水溶液(0.1mL)のエタノール(7mL)混合液を還流温度で24時間攪拌した後、冷却し、溶媒をトルエン(50mL)で洗い流した。次に、沈殿した淡黄色の固形物を濾過し、トルエンで洗浄し、乾燥して標記化合物(IV)(7.1g)を得た。
【0162】
[実施例4]
N,N,N−トリメチル−3−オキソ−3−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)プロパン−1−アミニウムヨウ化物(IVa)の合成
【0163】
【化46】

【0164】
1:1の水/トルエン混合液(50mL)中で3−(ジメチルアミノ)−1−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)プロパン−1−オン(IV)(15.0g)を激しく攪拌させた二相溶液に、30%w/w水酸化ナトリウム水溶液をpHが14になるまで室温で1時間かけて添加した。次に、有機層を分離し、無水Na2SO4で乾燥し、濾過した。次に、母液を反応器に投入し、強く攪拌しながらヨウ化メチル(22.6g)を30分間添加した。次に、混合物を室温で18時間保持してメチル化マンニッヒ塩基ヨウ化物塩(18.0g)(化合物(IVa))の黄色固形物を得、これを濾過、乾燥し、更なる精製を行うことなく、次の合成工程で用いた。
【0165】
[実施例5]
(R)−3−(1−(ナフタレン−1−イル)エチルアミノ)−1−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)プロパン−1−オン塩酸塩(V)の合成
【0166】
【化47】

【0167】
アセトニトリル(50mL)中でメチル化マンニッヒ塩基ヨウ化物塩(化合物(IVa))(20.5g)、(R)−(1−ナフチル)エチルアミン(11.0g)及び炭酸カリウム(14.7g)を激しく攪拌させた懸濁液を還流温度で8時間保持した後、室温まで冷却し、水(20mL)を添加し、酢酸エチル(25mL)で2回抽出した。次に、混合有機相を乾燥し、濃縮して、標記化合物(V)粗生成物(20.8g)を黄色油として得た。化合物(V)からその塩酸塩への転化、及びMTBEからの再結晶化の際に、更なる精製を行うことができた。
【0168】
[実施例6]
(R,E)−N−(1−(ナフタレン−1−イル)エチル)−3−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)プロパ−2−エン−1−アミン(VI)及び(R)−N−(1−(ナフタレン−1−イル)エチル)−3−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)プロパン−1−アミン(I)の混合物の合成
【0169】
【化48】

【0170】
化合物(V)の塩酸塩(3.0g)及び亜鉛粉末(1.42g)の1:1メタノール/水混合液(20mL)懸濁液に対し、31%w/w塩酸水溶液を室温で5時間かけて滴下した。次に、反応混合物を一部濃縮し、トルエン(50mL)で希釈し、相分離を行った。次に、有機層を30%w/w水酸化ナトリウム水溶液で中和し、無水Na2SO4で乾燥し、濾過して、化合物(VI)及びシナカルセト化合物(I)の混合物(2:1)として黄色油(2.5g)を得たが、これは更なる精製を行うことなく、他の合成工程で用いることができる。
【0171】
[実施例7]
(R)−及び(S)−3−((R)−1−(ナフタレン−1−イル)エチルアミノ−1−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)プロパン−1−オール(Va)の合成
【0172】
【化49】

【0173】
(R)−3−(1−(ナフタレン−1−イル)エチルアミノ)−1−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)プロパン−1−オン塩酸塩(V)(20.0g)をメタノール(61.9g)に5℃で懸濁させ、30%w/w水酸化ナトリウム水(6.8g)溶液を15分間かけて滴下した。反応混合物を15分間攪拌した後、水素化ホウ素ナトリウム(2.2g)及びソーダ水(30%w/w;0.7g)の水溶液(6.1g)をゆっくりと添加した。懸濁液を25℃で0.5時間攪拌し、反応が一旦完了した時点で(HPLCによるIPC)、トルエン(84.9g)及びメタノール(28.6g)を投入した。溶媒を減圧下、25℃〜30℃で約半分の量まで留出させ、有機相を分離し、塩水で洗浄した。混合水層をトルエン(84.3g)で抽出し、有機相を50℃(80〜100ミリバール)で留出させて量を減じた。得られた溶液をそのまま次の工程で用いるか、或いは、溶媒を更に留出させて残渣を得ることによって標記生成物(Va)粗生成物を単離した。
【0174】
[実施例8]
(R,E)−N−(1−(ナフタレン−1−イル)エチル)−3−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)プロパ−2−エン−1−アミン(VI)の合成
【0175】
【化50】

【0176】
(R)及び(S)−3−((R)−1−(ナフタレン−1−イル)エチルアミノ−1−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)プロパン−1−オールのジアステレオ異性体混合物を反応器内にトルエン溶液(33.7g)として投入した。次に、酢酸(76.9g)及び濃硫酸(96%w/w;49.0g)を25℃でゆっくりと添加し、反応混合物を110℃で1時間加熱した後、5℃まで冷却した。トルエン(85.0g)を添加して全体を希釈し、水(50.0g)を滴下した後、25℃で数分間攪拌した。有機相と水相を分離し、トルエン層を5℃まで冷却し、アンモニア水(28%w/w;40.0g)をpHが10になるまで添加して中和した。一旦室温まで到達した時点で、塩を可溶化するために水(30.0g)を添加し、相分離を行い、減圧蒸留によって有機層から溶媒を除去した。標記化合物(VI)粗生成物を淡黄色油として得た(17.7g)。
【0177】
(R,E)−N−(1−(ナフタレン−1−イル)エチル)−3−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)プロパ−2−エン−1−アミン(VI)のNMR:
1H NMR (400 MHz, CDCl3),δ(ppm, TMS): 8.21-8.17 (1H, m; ArH), 7.92-7.86 (1H, m; ArH), 7.78 (1H, d, J = 8.0 Hz; ArH), 7.72 (1H, d, J = 7.2 Hz; ArH), 7.58-7.45 (6H, m; ArH), 7.43-7.37 (1H, m; ArH), 6.48 (1H, d, J = 16.0 Hz; -ArCH=CHCH2-), 6.39 (1H, dt, J = 16.0, 6.0 Hz; -ArCH=CHCH2-), 4.76 (1H, q, J = 6.6 Hz; -CH(CH3)-), 3.46-3.33 (2H, m; -CH2-), 1.57 (3H, d, J = 6.6; -CH(CH3)-).
【0178】
[実施例9]
シナカルセト遊離塩基(I)の合成
【0179】
【化51】

【0180】
化合物(VI)(3.0g)、PdCl2(0.01g)のエタノール(10mL)混合液を還流温度まで加熱し、ギ酸(0.3g)を5時間で添加した。次に、混合物を冷却し、トルエンで希釈し、中性になるまで30%w/w水酸化ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層を乾燥し、濃縮してシナカルセト遊離塩基(化合物(I))を得た(2.0g)。
【0181】
[実施例10]
シナカルセト遊離塩基(I)の合成
【0182】
【化52】

【0183】
化合物(VI)(3.0g)、PdCl2(0.01g)のメタノール(10mL)混合液を1バールの水素で加圧し、+25℃で10時間攪拌した。次に、混合物をセライト(Celite)(登録商標)パッドによって濾過し、濃縮してシナカルセト遊離塩基(化合物(I))を得た(2.0g)。
【0184】
[実施例11]
((R)−3−(ベンジル(1−(ナフタレン−1−イル)エチル)アミノ)−1−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)プロパン−1−オン(Vb)の合成
【0185】
【化53】

【0186】
塩酸(R)−N−ベンジル−1−(1−ナフチル)エチルアミン(8.0g)、トルエン(51.6g)、30%w/w水酸化ナトリウム水溶液(20.4g)及び水(14.5g)を反応器内に投入し、室温で0.5時間攪拌した。有機相を分離し、炭酸カリウム(6.2g)を介して反応器内に投入した。次に、混合物を80℃まで加熱し、メチル化マンニッヒ塩基ヨウ化物塩(IVa、Alk=R1=R2=Me、Y=I)(7.0g)のアセトニトリル(76.4g)懸濁液を20分間かけて滴下した。全体を80℃で14時間攪拌した後、水(60.0g)を添加し、2層を分離した。有機層を10%w/w塩酸水溶液(50.0g)で洗浄し、減圧溶媒除去によって、標記化合物(7.1g)粗生成物を塩酸塩の形でオフホワイトの粉末として得た。塩酸塩(7.1g)をトルエン(85.0g)及び水(46.0g)に懸濁させ、室温で30%w/w水酸化ナトリウム水溶液(27.6g)で処理することによって遊離塩基を得た。相分離及び溶媒除去によって標記化合物(6.5g)粗生成物を黄色油として得た。
【0187】
((R)−3−(ベンジル(1−(ナフタレン−1−イル)エチル)アミノ)−1−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)プロパン−1−オン(Vb)のNMR
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6),δ(ppm, TMS): 8.19 (1H, d, J = 8.4 Hz; ArH), 7.92-7.86 (3H, m; ArH), 7.86-7.83 (1H, m; ArH), 7.74 (1H, d, J = 8.4 Hz; ArH), 7.64-7.56 (2H, m; ArH), 7.45-7.36 (3H, m; ArH), 7.20-7.19 (4H, m; ArH), 7.19-7.11 (1H, m; ArH), 4.69 (1H, q, J = 6.8; -CH(CH3)-), 3.73 (1H, d, J = 14.0 Hz; PhCH2-), 3.58 (1H, d, J = 14.0 Hz; PhCH2-), 3.24-3.01 (2H, m; -CH2-), 3.00-2.89 (2H, m; -CH2-), 1.48 (3H, d, J = 6.8; -CH(CH3)-).

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次式(V):
【化1】

で表されるシナカルセト中間体。
【請求項2】
(R)−及び(S)−3−((R)−1−(ナフタレン−1−イル)エチルアミノ−1−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)プロパン−1−オールのジアステレオ異性体混合物である、次式(Va):
【化2】

で表されるシナカルセト中間体。
【請求項3】
次式(Vb):
【化3】

(式中、Bnはベンジルである)で表されるシナカルセト中間体。
【請求項4】
請求項1に記載の式(V)で表されるシナカルセト中間体を調製するためのプロセスであって、次の工程:
a)式(II):
【化4】

で表される3−(トリフルオロメチル)アセトフェノンと式(III):
【化5】

で表される(R)−(1−ナフチル)エチルアミンとをホルムアルデヒドの存在下で反応させて、式(V)で表される化合物を得る工程を含むプロセス。
【請求項5】
請求項1に記載の式(V)で表されるシナカルセト中間体を調製するためのプロセスであって、次の工程:
b)式(II):
【化6】

で表される3−(トリフルオロメチル)アセトフェノンを、
(i)次式:
HNR12
(式中、R1及びR2は独立して水素又はC1〜C5のアルキルを表わし、R1及びR2の一方が水素の場合、他方は水素ではなく、或いは、R1及びR2が共にC4〜C7のアルキレンブリッジを形成し、これらに結合している窒素原子を含めて複素環を形成し、C4〜C7のアルキレンブリッジの1個の−CH2−基はホルムアルデヒドの存在下で−O−に置換されていてもよい)で表される化合物、又は
(ii)次式:
(CH32+=CH2 Hal-
(式中、Halはハロゲン原子である)で表されるN−メチル−N−メチレンメタンアミニウムハライド
と反応させて式(IV):
【化7】

(式中、R1及びR2は上述と同義である)で表される化合物を得る工程と、
c)次式:
3−X、CO(OR32、SO2(OR32、PO(OR33、CH3PO(OR32及び(4−NO264O)PO(OR32(式中、R3はC1〜C4のアルキルであり、XはI、Br、OSO2CF3又はOSO2Fである)で表される化合物から成る群より選択されるアルキル化剤を用いて式(IV)で表される化合物をアルキル化して、式(IVa):
【化8】

(式中、Yは上述のX、或いはR3OCO2、R3OSO3、(R3O)2PO2、CH3PO2OR3又は(4−NO2−C64O)PO2OR3)で表される化合物を得る工程と、
d)式(IVa)で表される化合物を式(III):
【化9】

で表される(R)−(1−ナフチル)エチルアミンと結合させて、式(V)で表される化合物を得る工程とを含むプロセス。
【請求項6】
式(I):
【化10】

で表されるシナカルセトを調製するためのプロセスであって、請求項4又は5に記載の式(V)で表されるシナカルセト中間体を調製する工程と、該中間体を式(I)で表されるシナカルセトに転化する工程とを含むプロセス。
【請求項7】
請求項2に記載の式(Va)で表されるシナカルセト中間体を調製するためのプロセスであって、次の工程:
e)還元剤の存在下、又は接触水素化プロセスによって、請求項1に記載の式(V)で表される化合物を還元して、式(Va)で表される化合物を得る工程を含むプロセス。
【請求項8】
請求項7に記載の式(Va)で表されるシナカルセト中間体を調製するためのプロセスであって、請求項4又は5に記載の式(V)で表される化合物を調製する工程を含むプロセス。
【請求項9】
式(I):
【化11】

で表されるシナカルセトを調製するためのプロセスであって、請求項7又は8に記載の式(Va)で表されるシナカルセト中間体を調製する工程と、該中間体を式(I)で表されるシナカルセトに転化する工程とを含むプロセス。
【請求項10】
式(VI):
【化12】

で表されるシナカルセト中間体を調製するためのプロセスであって、次の工程:
f)脱水剤を用いて請求項2に記載の式(Va)で表される化合物を脱水して、式(VI)で表される化合物を得る工程、又は
g)請求項1に記載の式(V)で表される化合物を酸の存在下、Znを用いて還元して、式(VI)で表される化合物を式(I)で表されるシナカルセトとの混合物として得る工程を含むプロセス。
【請求項11】
請求項10に記載の式(VI)で表されるシナカルセト中間体を調製するためのプロセスであって、請求項7又は8に記載の式(Va)で表される化合物を調製する工程を含むプロセス。
【請求項12】
請求項10に記載の式(VI)で表されるシナカルセト中間体を調製するためのプロセスであって、請求項4又は5に記載の式(V)で表される化合物を調製する工程を含むプロセス。
【請求項13】
式(I):
【化13】

で表されるシナカルセトを調製するためのプロセスであって、請求項10、11又は12に記載の式(VI):
【化14】

で表されるシナカルセト中間体を調製する工程と、式(VI)で表される化合物の二重結合を還元することによって該化合物を式(I)で表されるシナカルセトへ転化して、式(I)で表されるシナカルセトを得る工程とを含むプロセス。
【請求項14】
式(I):
【化15】

で表されるシナカルセトを調製するためのプロセスであって、次の工程:
a)式(II):
【化16】

で表される3−(トリフルオロメチル)アセトフェノンと式(III):
【化17】

で表される(R)−(1−ナフチル)エチルアミンとをホルムアルデヒドの存在下で反応させて、式(V):
【化18】

で表される化合物を得る工程と、
e)還元剤の存在下、又は接触水素化プロセスによって、式(V)で表される化合物を還元して、式(Va):
【化19】

で表される化合物を得る工程と、
f)脱水剤を用いて式(Va)で表される化合物を脱水して、式(VI):
【化20】

で表される化合物を得る工程と、
h)式(VI)で表される化合物を還元して、式(I)で表されるシナカルセトを得る工程とを含み、必要に応じてシナカルセトを薬学的に許容される塩に転化する工程を含むプロセス。
【請求項15】
式(I):
【化21】

で表されるシナカルセトを調製するためのプロセスであって、次の工程:
a)式(II):
【化22】

で表される3−(トリフルオロメチル)アセトフェノンと式(III):
【化23】

で表される(R)−(1−ナフチル)エチルアミンとをホルムアルデヒドの存在下で反応させて、式(V):
【化24】

で表される化合物を得る工程と、
g)上述の式(V)で表される化合物を酸の存在下、Znを用いて還元して、式(VI):
【化25】

で表される化合物を式(I)で表されるシナカルセトとの混合物として得る工程と、
h)式(VI)で表される化合物を還元して、式(I)で表されるシナカルセトを得る工程とを含み、必要に応じてシナカルセトを薬学的に許容される塩に転化する工程を含むプロセス。
【請求項16】
式(I):
【化26】

で表されるシナカルセトを調製するためのプロセスであって、次の工程:
b)式(II):
【化27】

で表される化合物を、
(i)次式:
HNR12
(式中、R1及びR2は独立して水素又はC1〜C5のアルキルを表わし、R1及びR2の一方が水素の場合、他方は水素ではなく、或いは、R1及びR2が共にC4〜C7のアルキレンブリッジを形成し、これらに結合している窒素原子を含めて複素環を形成し、C4〜C7のアルキレンブリッジの1個の−CH2−基はホルムアルデヒドの存在下で−O−に置換されていてもよい)で表される化合物、又は
(ii)次式:
(CH32+=CH2 Hal-
(式中、Halはハロゲン原子である)で表されるN−メチル−N−メチレンメタンアミニウムハライド
と反応させて式(IV):
【化28】

(式中、R1及びR2は上述と同義である)で表される化合物を得る工程と、
c)次式:
3−X、CO(OR32、SO2(OR32、PO(OR33、CH3PO(OR32及び(4−NO264O)PO(OR32(式中、R3はC1〜C4のアルキルであり、XはI、Br、OSO2CF3又はOSO2Fである)で表される化合物から成る群より選択されるアルキル化剤を用いて式(IV)で表される化合物をアルキル化して、式(IVa):
【化29】

(式中、Yは上述のX、R3OCO2、R3OSO3、(R3O)2PO2、CH3PO2OR3又は(4−NO2−C64O)PO2OR3)で表される化合物を得る工程と、
d)式(IVa)で表される化合物を式(III)で表される(R)−(1−ナフチル)エチルアミンと結合させて、式(V):
【化30】

で表される化合物を得る工程と、
e)還元剤の存在下、又は接触水素化プロセスによって、式(V)で表される化合物を還元して、式(Va):
【化31】

で表される化合物を得る工程と、
f)脱水剤を用いて式(Va)で表される化合物を脱水して、式(VI):
【化32】

で表される化合物を得る工程と、
h)式(VI)で表される化合物を還元して、式(I)で表されるシナカルセトを得る工程とを含み、必要に応じてシナカルセトを薬学的に許容される塩に転化する工程を含むプロセス。
【請求項17】
式(I):
【化33】

で表されるシナカルセトを調製するためのプロセスであって、次の工程:
b)上述の式(II)で表される化合物を、
(i)次式:
HNR12
(式中、R1及びR2は独立して水素又はC1〜C5のアルキルを表わし、R1及びR2の一方が水素の場合、他方は水素ではなく、或いは、R1及びR2が共にC4〜C7のアルキレンブリッジを形成し、これらに結合している窒素原子を含めて複素環を形成し、C4〜C7のアルキレンブリッジの1個の−CH2−基はホルムアルデヒドの存在下で−O−に置換されていてもよい)で表される化合物、又は
(ii)次式:
(CH32+=CH2 Hal-
(式中、Halはハロゲン原子である)で表されるN−メチル−N−メチレンメタンアミニウムハライドと反応させて式(IV):
【化34】

(式中、R1及びR2は上述と同義である)で表される化合物を得る工程と、
c)次式:
3−X、CO(OR32、SO2(OR32、PO(OR33、CH3PO(OR32及び(4−NO264O)PO(OR32(式中、R3はC1〜C4のアルキルであり、XはI、Br、OSO2CF3又はOSO2Fである)で表される化合物から成る群より選択されるアルキル化剤を用いて式(IV)で表される化合物をアルキル化して、式(IVa):
【化35】

(式中、Yは上述のX、R3OCO2、R3OSO3、(R3O)2PO2、CH3PO2OR3又は(4−NO2−C64O)PO2OR3)で表される化合物を得る工程と、
d)式(IVa)で表される化合物を式(III)で表される(R)−(1−ナフチル)エチルアミンと結合させて、式(V):
【化36】

で表される化合物を得る工程と、
g)上述の式(V)で表される化合物を酸の存在下、Znを用いて還元して、式(VI):
【化37】

で表される化合物を式(I)で表されるシナカルセトとの混合物として得る工程と、
h)式(VI)で表される化合物の二重結合を還元して、式(I)で表されるシナカルセトを得る工程とを含み、必要に応じてシナカルセトを薬学的に許容される塩に転化する工程を含むプロセス。

【公表番号】特表2012−506847(P2012−506847A)
【公表日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−532599(P2011−532599)
【出願日】平成21年10月16日(2009.10.16)
【国際出願番号】PCT/EP2009/063603
【国際公開番号】WO2010/049293
【国際公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【出願人】(307041023)
【氏名又は名称原語表記】ZaCh System S.p.A.
【Fターム(参考)】