説明

シミュレーションプログラムを使用してレーザ切断プロセスの切断結果を判定する方法

本発明は、切断面に沿った凝固溝の形成及び/又は切断面の下縁におけるヒゲの形成に基づいて判断するレーザ切断プロセスの切断結果を判定する方法に関する。シミュレーションプログラムにおいて、パラメータ空間Pからの値P0のセットを用いて仮想的に動作できる仮想レーザ切断機が用意される。ステップa)では、パラメータセットP0が前記仮想切断機に入力され、ステップb)では、仮想的な切断が形成され、溶融被膜厚及び切断フロントの頂部における溶融フロントの位置の時間発展が、切断深さと時間とに依存して、初期値及び境界値を有する偏微分方程式DGLから計算され、次にステップc)では、吸収フロントの時間経過を切断面に射影することによって、切断面上の溝振幅の空間的分布が指定され、及び/又は、切断面の上縁における溶融被膜厚と流出速度の時間経過から、切断面の下縁におけるヒゲの空間的分布が計算され、ステップd)では、仮想的な切断結果をさらなる評価のために用意される(104)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切断面に沿った凝固溝の形成及び/又は切断面の下縁におけるヒゲの形成に基づいて判断するレーザ切断プロセスの切断結果を判定する方法に関する。この方法では、シミュレーションプログラムにおいて、パラメータ空間Pからの値P0のセットを用いて仮想的に動作させることのできる仮想的なレーザ切断機械が仕立てられる。
【0002】
レーザ切断は確立された切断方法である。レーザを援用した製造方法では、レーザ切断は工業的応用という点で先導的位置を占めている。ユーザの観点からすると、そのような製造方法には、品質が高ければ高い生産性が要求される。
【0003】
現在、1mm〜30mmの範囲の板厚に対するマクロ用途でのレーザ切断には、約10μmの放射波長と1〜6kWのレーザ出力を有する高出力CO2レーザ(10μエミッタ)が産業的に使用されている。さらに、今日では、約1μmの放射波長と、現在のところ1〜8kWのレーザ出力と、CO2レーザよりも明らかに良好な放射品質とを有する、ファイバレーザやディスクレーザ(1μエミッタ)のような放射源が手に入る。このような1μエミッタは確立された10μエミッタに比べて大きな経済的利点を有している。ただし、1μエミッタは10μエミッタに比べて切断品質が低く、このことが1μエミッタを使用する妨げとなる。
【0004】
ワークピースに沿った切断の品質は、切断面に形成される溝構造と溶融した材料によって切断面の下縁に形成されるヒゲのモフォロジーに基づいて判定することができる。
【0005】
切断面の平坦さと直角度の他に、溝とヒゲの形成が少ないことが要求される。
【0006】
切断と溶接のプロセス連鎖は、切断面の品質が接合部間隙の下準備にとってどのような意味を持つかを知ることとのできる1つの例である。研磨及び整直による後処理を必要としない細い溶接継目をレーザによって形成することができるためには、ヒゲや酸化物のない平らで直角かつ滑らかな切断面を有するように、継ぎ合わされる部材を裁断することが望ましい。
【0007】
上述の理由により、ワークピースの切断面と切断縁に沿った溝、ヒゲ及び酸化物層の形成をもたらすメカニズムを研究した。
−切断面に溝が生じる。溝の振幅は或る特定の切断深さ以降は飛躍的に増大する。つまり、細かい溝から粗い溝への交代が起こる。
−粗い溝の振幅は切断すべき材料の厚さの増大と共に大きくなる。
−粗い溝は繰り返し中断されるか、又は不規則な距離を有する(切断方向における溝の数は切断深さと共に変わる)。この軸構造又は溝の中断は切断面の不規則な構造を作り出し、望ましくない。今日では、10μエミッタに関して達成可能な溝振幅は1μエミッタの場合よりも小さい。
−とりわけ切断面の下部に、又は材料の厚さが大きい場合に、最大の振幅を有する溝が生じる。この溝は溶融金属の凝固によって切断面に生じる。
−特に送り速度が高い場合には、溶融物は完全には下縁から離れない。付着して凝固した溶融物は不所望なヒゲを形成する。ヒゲの発生のメカニズムは部分的にしか理解されていない。そのため、今日の切断設備の実現可能な生産性を利用し尽くすには程遠い。
−溶接継目のひびと穴の形成は、炎切断で生じるような酸化された接合縁が原因となりうる。それゆえ、切断面が酸化しないように、不活性切断ガスによる溶断が行われる。
【0008】
文献EP-B1 0929 376には、15mm以上の大きな厚さの材料の切断に適したレーザ光線加工の方法が記載されている。この方法によれば、レーザ光線の浸透を大きくするために、軸方向に材料の厚さに沿って位置決めされた複数の焦点が形成される。ただし、この文献で推奨されている措置にもかかわらず、溝とヒゲは相変わらず強く発生することは明白である。さらに、深いところに焦点を有するレーザ光線の一部は、材料の上縁において切り口に不所望な口広げ(丸め)をもたらす。 1μエミッタによって2mm以上の板厚に対して高品質の切断を入れるには、また、10μエミッタによって15mm以上の板厚さに対して高品質の切断を入れるには、今日の先行技術では不十分である。この技術的限界の理由は、(1μエミッタ及び10μエミッタと、レーザパラメータ及び方法パラメータの現在調整可能な値を用いた実験の経験によれば)切断品質の限界を拡大することはできないことと、例えばビーム成形の必要とされる根本的に新しい作用を認識し、その後、ビーム成形に措置を講じることができるためには、溝とヒゲの発生に関する現在の理解では十分でないことである。
【0009】
こうした理由により、今日では、当業者が提案する1μエミッタによる切断を改善する措置は、10μエミッタによる切断の経験から既知のものばかりである。これらの措置は今まで成功に導かなかったので、1μエミッタは未だに10μエミッタの切断品質に達することができていない。さらには、切断品質の違いを説明できる物理的な原因も未知である。
【0010】
先行する技術と学問によれば、少なくとも2つの種類の溝、すなわち溶融溝と凝固溝が存在し、それらのモフォロジーが基礎となる発生メカニズムのヒントとなることが立証されている。
【0011】
J. Dowden編The Theory of Laser Materials Processing, Springer Series in Materials Science, 2009, Vol. 119, 第21−69頁, ISBN 13 978-1-4020-9339-5に所収のSchulz, W他による文献’Simulation of Laser Cutting’, には、レーザ切断のシミュレーションが記載されている。このシミュレーションのために、とりわけ微分方程式が示されている。また、この文献はウェーバー数にも関わっている。J. Phys. D: Appl. Phys., 1999, Vol. 32, 第1219−1228頁に所収のSchulz, W.他による文献Dynamics or ripple formation and melt flow in laser beam cuttingでは、金属をレーザ切断する際の溝の形成と溶融流れの動特性が研究されている。これら2つの文献における記述に従えば、レーザ切断時の溝の形成を計算すること、それも外部からシステムに作用する妨害をつねに仮定した上で計算することが可能である。またこれら文献によれば、溶融溝しか考察されない。
【0012】
溶融溝は、切断面の上側に、凝固した溶融物の存在しない溶融フロントの動きによってのみ生じ、凝固溝に比べて振幅が小さく、技術的には副次的な意味しか有していない。
【0013】
凝固溝は、波状に形成された溶融フロントと波状に凝固した溶融物によって、比較的深い切断深さに、典型的には切断すべき金属薄板の上縁から1〜2mm下に発生し、溶融溝に比べて大きな振幅を有しており、技術的により大きな意味を持っている。
【0014】
先行する技術と学問では、溝とヒゲの発生がレーザパラメータ、機械パラメータ及び材料パラメータとどのように関係しているかは明らかにされていない。この理由から、新しいレーザ光源(例えばファイバレーザ)を用いて高品質の切断を形成することも依然として一般的でない。このことが新しい光線源の広範な使用を妨げており、世界中で研究対象となっている。
【0015】
本発明の課題は、場合によって使用される現実のレーザ切断機の所定のパラメータと切断すべき材料の所定のパラメータと必要なプロセスパラメータを用いてレーザ切断プロセスの切断結果を求めることのできる方法を提供することである。また、切断面の粗さを意図的に調節することのできる手段も与えられるべきである。
【0016】
この課題は請求項1に記載された特徴を有する方法によって解決される。この方法の有利な実施形態は従属請求項から明らかとなる。
【0017】
本発明による方法はレーザ切断プロセスの切断結果を求めることを可能にする。この方法によれば、所定のレーザ切断機で行われるべき切断プロセスの結果が、切断面に沿った凝固溝の形成及び/又は切断面の下縁におけるヒゲの形成に基づいて判定される。この方法は実物のレーザ切断機で実行されるのではない。むしろ、パラメータ空間Pからの値P0のセットを用いて動作させることのできる仮想的なレーザ切断機のシミュレーションプログラムが用意される。
【0018】
このパラメータ空間Pは
【数1】

によって定義される。ここで、
λLaser レーザ光線の波長
I0(t) 時間依存するレーザ光線の強度の最大値
f(x, z, t) 時間依存するレーザ光線の強度の空間的分布
s(x, z, t) 時間依存するレーザ光線の方向の空間的分布
(x, z, t) 時間依存するレーザ光線の偏光状態の空間的分布
Pg(x, z, t) 時間依存する切断ガスの圧力
τg(x, z, t) 時間依存する切断ガスの剪断応力
v0(t) レーザ光線軸とワークピースとの間の相対速度として定義された時間依存する送り速度
d 切断される材料の板厚
ρs 固体状態における切断される材料の厚さ
cρs 固体状態における材料の比熱容量
λs 固体状態における材料の熱伝導率
ρl 溶融物の密度
ρl 溶融物の比熱容量
λl 溶融物の熱伝導率
Hm 切断される材料の溶融エンタルピー
Hv 切断される材料の蒸発エンタルピー
Tm 切断される材料の溶融温度
Tv 切断される材料の蒸発温度
η 溶融物の動粘性率
σ 溶融物の表面張力
ncs 固体状態における材料の複素屈折率
ncl 溶融物の複素屈折率
x 材料とレーザ光線軸との間の相対運動方向における座標
z 材料上面に垂直な座標
t 時間
である。
【0019】
方法としては、ステップa)において、シミュレーションプログラムの進行のためにパラメータセットP0が仮想切断機に入力される。
【0020】
ステップb)では、仮想切断機による仮想切断プロセスにおいて、Pからの所与のパラメータセットP0について、溶融被膜厚h=h(z,t)と切断フロントの頂部における溶融フロントの位置M=M(z,t)の時間発展を切断深さz(0<z<d、dは板厚)と時間tとに依存して、v0に正規化された下記の偏微分方程式DGLから計算することによって、仮想ワークピースに切断を形成する。
【0021】
【数2】

ここで、h0(z)とM0(z)は任意の初期分布であり、m0(t;P0)は切断フロントの上縁の位置であり、vp=vp(z,t)は溶融フロントの速度であり、vs=G(z,t;h,P0)は溶融物の上面における流速であり、D(z,t;h,P0)は溶融被膜ダイナミクスの減衰である。
【0022】
次に、ステップc)において、送り速度v0によって定まる、tをxに写像する伝達関数を用いて、位置M(z,t)−h(z,t)として定義される吸収フロントの時間経過を切断面に射影することによって、切断面上の溝振幅R(x,z)の空間的分布が指定される。付加的に又は代替的に、切断面の上縁における溶融被膜厚h(z=d,t)と流出速度G(z=d,t;h(z=d,t),P0)の時間経過から、切断面の下縁におけるヒゲB(x)の空間的分布が計算される。
【0023】
最後に、ステップd)では、R(x,z)及び/又はB(x)を含む仮想的な切断結果がさらなる評価のために用意される。
【0024】
このように、本発明の方法によれば、仮想切断機が仮想切断面における凝固溝の形成と仮想切断面の下縁におけるヒゲの形成の計算に利用される。この計算のためには、微分方程式DGLが考慮される。とりわけ、本方法によれば、切断面における溝振幅の空間的分布を調整できる切断パラメータの時間変調を指定することができる。微分方程式∂M/∂t=vp−1は無次元の方程式である。つまり、変数は基準量を、すなわち送り速度v0を基準にしてスケーリングされている。ここで、送り速度v0はレーザ光線軸とワークピースとの間の相対速度として定義されている。また、vpに関する微分方程式もv0を基準にしてスケーリングされている。
【0025】
切断面上の溝振幅を意図的に調整できるようにするこの方策は、溝をできるだけ小さく保つためにだけ利用されるのではなく、切断面に絵や文字を描くためにも利用することができる。しかし、本発明の方法の1つの適用分野は、可能な限り小さな溝振幅の物理的限界に達するような切断パラメータを指定することにある。ここで、「可能な限り小さな溝振幅」という記述は、切断条件を最適化しても、技術的に避け得ない切断パラメータの変動によって生じる特定の切断条件の下では溝は残る、つまり除去されず、より小さい値へと制限することしかできないということを意味している。
【0026】
本発明による方法の基礎であるシミュレーションプログラムでは、凝固溝とヒゲは軸方向に進む波が切断フロントの頂部に起きることによって、つまり、切断フロントの頂部における削取りの変動によって生じるものであり、それには2つの物理的な原因が存在するという認識が利用される。
【0027】
この認識では、溝とヒゲは次の2つの原因により生じる。
−切断に内在する不安定性
−外乱、これはレーザパラメータ及び機械パラメータの避けられない変動から、
−又は材料特性(例えば結晶粒界)の空間的変動から、
−又は切断方法のパラメータの変調(例えばレーザ光線又は切断ガス流の変調)の意図的な設定から生じる。
【0028】
シミュレーションプログラムは、切断面上の溝振幅Rの空間的分布を計算することのできる物理的な溝モデルを基礎としている。溝振幅R=R(x,z)は、切断面に沿った切断位置x及び切断深さzならびに切断のパラメータPに依存する。
【0029】
パラメータ空間Pからの値P0のセットは、レーザパラメータ、機械パラメータ及び材料パラメータを含んでおり、とりわけ、レーザ光線の強度や、追い出さなければならない溶融物に向けて切断ガス流を駆動する力(これはガス圧の空間的勾配と溶融被膜の表面におけるガスの剪断応力である)のような、空間的に分布した値を考慮する。
【0030】
また、このパラメータセットが、パラメータの平均値の他に、これらのパラメータの技術的に避けられない変動も含んでいることが重要である。
【0031】
さらに、このパラメータセットは、パラメータの平均値とこれらのパラメータの技術的に避けられない変動の他に、意図的に設定された時間変調も含む。パラメータの時間変調によって、生産性、例えば切断の速度を高めることができる。なお、この最適化はシミュレーションプログラムによって仮想レーザ切断機において、したがって低いコストで行うことができる。この最適化の可能性は、パラメータの時間変調によって溝のモフォロジーを意図的に設定することができるため、決められた溝構造をこの溝構造が最小化されるまで形成することができることに因っている。この変調は最終的には切断時に切断面に文字又は絵を形成するためにも利用できる。
【0032】
また、シミュレーションプログラムでは、発生したヒゲの特性を物理的な溝モデルを利用して切断面の下縁における計算された溝振幅R(x,z)から計算及び考慮することで、切断面におけるヒゲの形成も考慮される。
【0033】
ヒゲは下記の値によって特徴付けられる。
−送り方向におけるヒゲ幅bB、すなわち、送り方向において測定した、凝固した溶融物が金属薄板の下面又は切断面の下縁に付着している距離、
−ヒゲ体積VB、すなわち、切断された金属薄板の下方に、つまり下側切断縁の下方に付着している凝固した溶融物の体積、
−ヒゲ高さhB、すなわち、切断された金属薄板の下方に付着している凝固した溶融物の高さ。
【0034】
これによって、シミュレーションプログラムでは、ヒゲがヒゲ玉のようなもの又はヒゲ繊維のようなものから成っているか否かも考慮される。ヒゲ玉は、定義から、ヒゲ高さhBがヒゲ幅bB以下である場所に生じ、ヒゲ繊維はヒゲ高さhBがヒゲ幅bBよりも大きい場合に生じる。
【0035】
パラメータ空間Pの値P0のセットにおいては、例えば下縁における溶融被膜表面の溶融温度Tm及び蒸発温度Tvのような熱物理的パラメータと、例えば溶融物の表面張力のような材料パラメータも考慮される。
【0036】
本発明による方法は、反応性切断ガスジェットを用いたレーザ切断にも、不活性切断ガスジェットを用いたレーザ切断にも使用可能である。後者の方法に関しては、レーザ光線溶断、急速切断、高速切断のバリエーションが区別される。
【0037】
シミュレーションプログラムに基づいて、理想的な前提条件を満たすか又は自在に設定可能な仮想レーザ切断機の設定値の下で、パラメータ空間Pからのパラメータをそのつど変更しながらステップa)〜d)を繰り返すことでパラメータ値P0を変化させることによって、そのつどの予め決められた溝モフォロジー(例えば最小粗度)とヒゲなしの切断のためにパラメータPの理論的に最適な値Poptを求めることができる。 今日使用可能な切断機は技術的に完全ではなく、各メーカーごとに限定された設計空間を有するシミュレーションプログラムを使用して本発明による方法から得られた理論的に最適な、仮想切断機からのパラメータセットは、実際の切断機でつねに実行できるわけではない。したがって、シミュレーションプログラムで得られた結果は、シミュレーションプログラムからの結果に基づいて、不所望な溝振幅の形成及び/又は不所望なヒゲの形成をもたらす原因又はパラメータを求めることによって、所定のパラメータで実際のレーザ切断機を改善するか、又は新たに寸法選定するのに使用することができる。そのために、パラメータ空間Pからの個々の値P0が考察及び分析され、パラメータ空間Pからの値P0に最も良く近似する値がパラメータ空間Pから選択され、変化させられる。
【0038】
このような近似は仮想的に行われるが、パラメータ空間Pからの値P0を繰り返し変化させることによっても行うことができる。必要ならば、発見された近似されたパラメータを現実の試し切断において検査してもよい。本方法を介して得られた知識から、必要な方法パラメータ、又は、レーザ切断機の必要な部品、例えばレーザ光線と切断ガス流の形成に関わる部品の境界条件も導き出すことができる。
【0039】
本発明による方法の重要なステップは、切断面上の溝とヒゲ形成の数学的物理的な計算にある。この計算は、少なくとも5次の複数の連成非線形偏積分微分方程式(微分の他に動的変数の積分も含む微分方程式)の高次元セットに基づいている。ここで、関与する偏微分方程式のいくつかは公知のKuramoto-Sivashinsky方程式である。もっとも、本発明による方法は、この複雑な課題を解決するために、発明者によって開発された非常に単純化されたシステムに基づいている。この単純化されたシステムは、高次の微分方程式に代えて、ただ2つの動的変数に関する2つの1次偏微分方程式だけから成っている。
【0040】
これら2つの微分方程式
【数3】

によって、溶融被膜厚h=h(z,t)と切断フロントの頂部における溶融フロントの位置M=M(z,t)の時間発展が、切断深さz(0<z<d、dは板厚)と時間tとに依存して計算される。初期値及び境界値はh(z,t=0)=h0(z),M(z,t=0)=M0(z) h(z=0,t)=0,M(z=0,t)=m0(t;P0)である。ここで、h0(z)とM0(z)は任意の初期分布であり、m0(t;P0)は切断フロントの上縁の位置であり、vp=vp(z,t)は溶融フロントの速度であり、vs=G(z,t;h,P0)は溶融物の上面における流速であり、D(z,t;h,P0)は溶融被膜ダイナミクスの減衰である。
【0041】
シミュレーションプログラムを基礎とするモデルに入力することができ、かつ切断フロントの頂部において指定されるべきその他の値については、下記の値
−切断フロントの上縁の位置m0(t;P0)、
−溶融フロントの速度vp=vp(z,t)、
−溶融物の上面における流速vs=G(z,t;h,P0)、
−溶融被膜ダイナミクスの減衰D(z,t;h,P0
を求めるために、文献から公知の種々の物理的モデルを考慮してもよい。
【0042】
これらの値を計算するために、いくつかの近似段階を指定してもよい。
【0043】
溶融フロントvp=N[M−h,QA]の速度vpが2つの微分方程式を非線形に結び付けていることを考慮しなければならない。溶融フロントの速度vpは非線形演算子Nによって計算され、非線形演算子Nはさらに吸収されたエネルギー流密度QAに依存する。
【0044】
吸収されたエネルギー流密度QA
【数4】

は、入射角μの正弦と、最大強度I0の吸収率A(μ)と、レーザ光線の強度分布f(0<f<1)とから計算される。入射角はレーザのエネルギー流密度の方向ベクトル5と溶融被膜の表面の法線ベクトルとが成す角度である。強度分布f(0<f<1)は空間座標x、zとパラメータPfに依存している。ここで、xは送り方向を、zは放射の伝播方向を表しており、分布fはパラメータPfによってパラメータ化される。
【0045】
溶融物の表面x=M−hにおける流速vs=G(z,t;h,P0)は、切断ガス流と溶融流とから決まる関数Gによって指定される。
【0046】
微分方程式DGL中の減衰D(z,t;h,P0)はある特定のモデルではゼロに設定され、考慮されない。
【0047】
発生するヒゲの特性は、本発明に従い、物理的な溝モデルを利用して、切断面の下縁における計算された溝振幅R(x,z=d)から下記のようにして計算される。
【0048】
送り方向におけるヒゲ幅bB、つまり、金属薄板の下面で測定された、送り方向における凝固溶融物が付着している距離は、bB=v0(t2−t1)によって計算される。ここで、v0は送り速度である。本発明によれば、流出した溶融物は時点t1と時点t2の間は剥がれることができないので、金属薄板に付着し、凝固する。時間t1は条件We=We(h(z=d,t);P0)<Wecritによって定められている。ここで、値We=(ρvs2)/(σ/hd)はウェーバー数と呼ばれるものであり、hdは金属薄板の下面における溶融被膜の有次元の厚さを表している。時間t2は条件We>Wecritによって定義される。つまり、期間t2−t1はその間にWeがWecritを下回る時間区間である。ウェーバー数の表現式中で、値vs=G(z,t;h,P0)とhdについては、物理的な溝モデルからの解が使用されなければならない。値Wecritは特別に定められており、そのためには、物理的モデル又は実験結果を考慮するようにしてよい。
【0049】
ウェーバー数は液滴の形成の目安として役立つ無次元の指標である。ウェーバー数が大きければ大きいほど、変形作用は大きくなり、液滴はさらに球形から遠ざかる。ヒゲ形成とウェーバー数との間の関係は当業者には周知である。
【0050】
上述のヒゲ体積VB、すなわち、切断された金属薄板の下に付着した凝固した溶融物の体積は、見つけ出されたヒゲ幅bB=v0(t2−t1)の値で決定される。ヒゲ幅bB=v0(t2−t1)のこの値と、流出速度vsと、条件VB=V(t2−t1)とから、ヒゲ体積VBの値が導かれる。なおここで、体積V(t2−t1)は期間t2−t1の間に下面z=dにおいて流出する溶融物によって決まる。
【0051】
切断された金属薄板の下に付着した凝固した溶融物の高さであるヒゲ高さhBは、微分方程式DGLの解h(z=d,t)と、ヒゲ幅bBの値と、ヒゲ体積VBとから計算される。
【0052】
送り速度v0によって決まる、tをxに写像する伝達関数で、VB(t)の時間経過を射影することによって、切断面hB(x)の下縁に沿ってヒゲ体積/ヒゲ高さの空間的分布を指定することができる。
【0053】
さらに、蒸発によるヒゲ形成をもたらすパラメータを求めるために、溶融物の表面における温度Ts(t)=T(M(z=d,t)−h(z=d,t),z=d,t)を求めてもよい。なお、T(x,z,t)は溶融物の温度を表す。溶融物の中の温度は熱伝導方程式を用いて求められる。Ts>蒸発温度Tvならば、ヒゲ形成が生じている。
【0054】
仮想的な切断結果を判定するために、R(x,z)及び/又はB(x)から成る仮想的な切断結果から、溝の1つ又は複数の特性値K、例えば切断面Rzの粗度と、ヒゲの1つ又は複数の特性値K、例えばヒゲ体積VB、ヒゲ高さhB、ヒゲ幅bBが導き出される。どの特性値を考慮するかの選択は本方法の各ユーザに任されている。特性値はユーザ独自に選択され、切断結果の判定にはR(x,z)及び/又はB(x)で十分である。
【0055】
方法における各結果をさらに最適化するために、請求項1に示されている方法ステップa)〜d)はパラメータ空間P内のパラメータセットP0の環境で少なくとも1回繰り返される。これにより、パラメータセットP0について、切断結果又は特性値KのPからのパラメータによる数学的な偏微分として定義される感度を指定することができる。
【0056】
代替的な措置によって、それも微分方程式DGLの解構造の数学的な分析によって、切断結果又は特性値KのPからのパラメータによる数学的な偏微分として定義されるこれらの感度をパラメータに対して指定してもよい。
【0057】
感度を指定するための別の代替的措置は自動微分による。自動微分は、関数の数学的な偏微分を求めるための、当業者には良く知られた数学的手法である。
【0058】
請求項1に係る方法のステップa)〜d)をパラメータ空間Pからのそのつど異なるパラメータで繰り返すことによって、レーザ切断プロセスのパラメータ空間Pから、決められた切断面を達成するための、及び/又は、所定のレーザ切断機で達成可能な切断面を求めるための、及び/又は、切断面に課された要求に関する条件を満たす又は少なくとも近似する最適化されたレーザ切断機の部品を設計するためのパラメータの値が求められる。
【0059】
上記の措置から、求めた値が機械に固有のパラメータ(機械固有の設計空間DMと呼ばれる)を有する実際のレーザ切断機に転用できない場合には、切断面に課された要求に関する条件を満たす又は少なくとも近似する決められた切断面を達成する切断プロセスのパラメータ空間Pからのパラメータの値を介して、実際のレーザ切断機の部品を改善及び/又は新開発するためのルールを導くことができる。なお、上記DMは、実際のレーザ切断機に対する構造上の変更なしに達成可能な、Pの部分集合である。
【0060】
切断面に絵や文字を描くためには、切断のパラメータの値、場合によっては位置と時間とに依存する値が指定される。また、これらの値と共に、切断面上の溝振幅の空間的分布が設定されるべきである。
【0061】
溝振幅が可能な限り小さいという条件のある特別なケースについては、可能な限り小さな溝振幅の物理的限界が達成されるような切断パラメータが指定される。なお、可能な限り小さな溝振幅の物理的限界は、例えば技術的に避けられない切断パラメータの変動によって限定される。
【0062】
課された要求に従って切断結果を判定するために考慮される特性値Kを計算するために、請求項1に係る方法の有利な実施形態では、微分方程式DGLの種々の解が、様々な初期値h(z,t=0)=h0(z)及びM(z,t=0)=M0(z)に対する動的安定性に関して数学的手法によって分析される。不安定な解が存在する場合には、不安定性の度合いから、溝振幅R(x,z)の分布の下限が指定され、それと共にそれぞれの特性値Kが計算される。
【0063】
また、切断面に課された要求に関する条件が満たされる又は少なくとも近似されるP又はDMの部分集合を指定してもよい。P(パラメータ空間)及びDM(設計空間)のこのような部分集合は、レーザ切断設備及び/又は切断プロセスを設計する際にユーザが遵守べき限界である。
【0064】
以下では、本発明の方法の基本的な流れを、添付した図1に示されている概略的なダイヤグラムに基づいて手短に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の方法の基本的な流れを概略的に示す。
【0066】
本発明の方法は、ダイヤグラムに示されているように、参照符号100で表された仮想的な切断機を用いる。本方法を実行するには、一方では設計空間DMが把握され(ステップ101)、他方では要求される切断結果が入力される(ステップ102)。ステップ102では、最小化されるべき費用関数も定められる。
【0067】
仮想切断機100を開始するために、ステップ103において、例えば現在の実際の切断機の機械パラメータを把握することによって、開始点P0が定められる。値P0のセットは既に上で定義されたパラメータ空間Pから選択される。
【0068】
仮想切断機によって仮想的な切断を形成することによって、シミュレーションプログラムが開始される。なお、仮想切断機は実際の値に基づいていてよい。シミュレーションプログラムは、切断面上の溝振幅R(x,z)の空間的分布と切断面の下縁におけるヒゲB(x)の空間的分布とを含む切断結果を出力する。
【0069】
ステップ104では、切断結果が判定される。
【0070】
ステップ105では、仮想的に求められた切断結果が要求される切断結果(ステップ102)の条件に一致しているか否かが決定される。一致している場合には、方法はステップ106へと進み、ステップ106において、パラメータ空間Pからの値P0のセットが、ステップ101において入力された機械の設計空間DMと一致しているか否かが検査される。
【0071】
ステップ105において、切断結果が要求される切断結果と一致していないと判定された場合、方法はステップ107へと進み、ステップ107において、パラメータ空間Pからの値P0のセットが変更される。このような変更は、例えば請求項6から8のいずれかに1項に係る発明によって求められる感度に基づいて行われる。変更された値P0は仮想切断機100を駆動するために使用される。
【0072】
ステップ105、107及び104を経由するループは、ステップ105において切断結果が要求される切断結果と一致するまで繰り返される。
【0073】
ステップ106での問いへの回答が否である場合、方法はステップ108で終了する。ステップ108では、ステップ102において指定された要求される切断結果の条件を満たす又は少なくとも近似するためには、シミュレーションプログラムを実行するのに用いたパラメータ(設計空間DM)を有する実際の切断機の特性を積極的に変更することが必要であるとの言明が下される。
【0074】
ステップ106での問いへの回答が肯定でる場合には、方法はさらにステップ109へと進み、ステップ109において、パラメータ空間Pからの値P0の新たなセットが実際のレーザ切断機に適用される。なお、この実際のレーザ切断機のパラメータはステップ103又はステップ107において定められている。
【0075】
ステップ110では、実際のレーザ切断機で行われるステップがテストされる。
【0076】
したがって、Pからのどの切断パラメータが溝振幅の不所望な形成及び/又はヒゲの不所望な形成をもたらすのか、理論的に最適な値Poptである所望の切断結果に対するPからのパラメータの最良の近似Panは何であるかを決定することにより、実際の切断機を調整することができる。
【0077】
そのために、実際の切断機の設計空間が定められる。実際の切断機の設計空間はPからのパラメータの実際に調整可能な値Prealを含む。所望の切断結果への最良の近似を達成するパラメータの値Panは、仮想レーザ切断機を使用することにより見つけ出される。結果は実際の切断機で試される。所望の切断結果と実際の切断機で達成される切断結果との間に残るかもしれない不一致は、設計空間の指定を反復して精緻化することにより改善することができる。
【0078】
レーザ切断の際に、溶融物の大部分をレーザ光線の前方又は側方に追いやるのであれば、本発明はつねに使用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
切断面に沿った凝固溝の形成及び/又は切断面の下縁におけるヒゲの形成に基づいて判断するレーザ切断プロセスの切断結果を判定する方法であって、
シミュレーションプログラムにおいて、パラメータ空間Pからの値P0のセットを用いて仮想的に動作させることのできる仮想レーザ切断機を用意し、前記パラメータ空間Pは
【数1】

により定義されており、
ここで、
λLaserは、レーザ光線の波長であり、
I0(t)は、レーザ光線の経時的強度の最大値であり、
f(x, z, t)は、レーザ光線の経時的強度の空間的分布であり、
s(x, z, t)は、時間依存するレーザ光線の方向の空間的分布であり、
p(x, z, t)は、時間依存するレーザ光線の偏光状態の空間的分布であり、
Pg(x, z, t)は、時間依存する切断ガスの圧力であり、
Tg(x, z, t)は、時間依存する切断ガスの剪断応力であり、
v0(t)は、レーザ光線軸とワークピースとの間の相対速度として定義された時間依存する送り速度であり、
dは、切断される材料の板厚であり、
ρsは、固体状態における切断される材料の厚さであり、
cpsは、固体状態における材料の比熱容量であり、
λsは、固体状態における材料の熱伝導率であり、
ρlは、溶融物の密度であり、
plは、溶融物の比熱容量であり、
λlは、溶融物の熱伝導率であり、
Hmは、切断される材料の溶融エンタルピーであり、
Hvは、切断される材料の蒸発エンタルピーであり、
Tmは、切断される材料の溶融温度であり、
Tvは、切断される材料の蒸発温度であり、
ηは、溶融物の動粘性率であり、
σは、溶融物の表面張力であり、
ncsは、固体状態における材料の複素屈折率であり、
clは、溶融物の複素屈折率であり、
ここで、
xは材料とレーザ光線軸との間の相対運動方向における座標であり、
zは材料上面に垂直な座標であり、
tは時間であり、
前記仮想切断機を始動させるために、
ステップa)において、例えば現在の実際の切断機の機械パラメータを把握することによって、開始点P0を定め、上で定義されたパラメータ空間Pから値P0のセットを選択し、前記シミュレーションプログラムの進行のために、前記パラメータセットP0を前記仮想切断機に入力し、
ステップb)において、前記シミュレーションプログラムを開始し、該シミュレーションプログラムにおいて、実際の値に基づいていてもよい前記仮想切断機によって仮想的な切断を形成し、Pからの所与のパラメータセットP0について、溶融被膜厚h=h(z,t)及び切断フロントの頂部における溶融フロントの位置M=M(z,t)の時間発展を、切断深さz(0<z<d、dは板厚)と時間tとに依存して、v0に正規化された偏微分方程式DGL
【数2】

から計算し、ここで、h0(z)及びM0(z)は任意の初期分布を、m0(t;P0)は溶融フロントの上縁の位置を、vp=vp(z,t)は溶融フロントの速度を、vs=G(z,t;h,P0)は溶融物の表面における流速を、D(z,t;h,P0)は溶融被膜ダイナミクスの減衰を表しており、
次にステップc)において、送り速度v0により決まる、tをxに写像する伝達関数を用いて、位置M(z,t)−h(z,t)として定義される吸収フロントの時間経過を切断面に射影することによって、切断面上の溝振幅R(x,z)の空間的分布を指定し、
及び/又は、切断面の下縁における溶融被膜厚h(z=d,t)と流出速度G(z=d,t;h(z=d,t),P0)の時間経過から、切断面の下縁におけるヒゲB(x)の空間的分布を計算し、
ステップd)において、R(x,z)及び/又はB(x)を含む仮想的な切断結果をさらなる評価のために用意し、
さらなるステップにおいて、前記ステップa)〜d)を前記パラメータ空間Pからのそのつど変更されたパラメータで繰り返すことによって、決められた切断面を達成するための、及び/又は、所定のレーザ切断機で達成可能な切断面を求めるための、及び/又は、切断面に課された要求に関する条件を満たす又は少なくとも近似する最適化されたレーザ切断機の部品を設計するための、レーザ切断プロセスの前記パラメータ空間Pからのパラメータの値を求め、
求めた値が、機械に固有の設計空間DMと呼ばれる、機械に固有のパラメータを有する実際のレーザ切断機に転用できない場合には、切断面に課された要求に関する条件を満たす又は少なくとも近似する決められた切断面を達成する切断プロセスの前記パラメータ空間Pからのパラメータの値を介して、実際のレーザ切断機の部品を改善及び/又は新開発するためのルールを導き、
前記DMは実際のレーザ切断機に対する積極的な変更なしに達成可能な、Pの部分集合である、
ことを特徴とするレーザ切断プロセスの切断結果を判定する方法。
【請求項2】
前記微分方程式DGL中の減衰D(z,t;h,P0)をゼロに設定する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
切断面の下縁におけるヒゲB(x)の空間的分布を計算するために、h(z=d,t)、G(z=d,t;h(z=d,t),P0)及びPMaterialを用いて、液圧特性値としてウェーバー数We(t)を求める、
請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
蒸発によるヒゲ形成をもたらすパラメータを求めるために、溶融物の表面における温度Ts(t)=T(M(z=d,t)−h(z=d,t),z=d,t)を求め、T(x,z,t)は溶融物の温度を表す、
請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
R(x,z)及び/又はB(x)から成る仮想的な切断結果から、溝及びヒゲの1つ又は複数の特性値Kを導き出す、
請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記パラメータセットP0について、前記切断結果又は前記特性値KをPからのパラメータで数学的に偏微分したものとして定義される感度を指定するために、前記パラメータ空間P内の前記パラメータセットP0の環境で前記ステップa)からd)を少なくとも1回繰り返す、
請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記パラメータセットP0について、前記切断結果又は前記特性値KをPからのパラメータで数学的に偏微分したものとして定義される感度を前記微分方程式DGLの解構造の数学的分析によって指定する、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記パラメータセットP0について、前記切断結果又は前記特性値KをPからのパラメータで数学的に偏微分したものとして定義される感度を自動微分によって指定する、
請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
切断面上の溝振幅の空間的分布を調整することにより切断面に絵又は文字を描くのに用いる切断パラメータの値を指定する、
請求項1に記載の方法。
【請求項10】
可能な限り小さな溝振幅の物理的限界を達成する切断パラメータの値を指定する、
請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記特性値Kを計算するために、前記微分方程式DGLの種々の解を、様々な初期値h(z,t=0)=h0(z)及びM(z,t=0)=M0(z)に対する動的安定性に関して数学的手法によって分析し、不安定な解が存在する場合には、不安定性の度合いから、溝振幅R(x,z)の分布の下限を指定し、そのつどの前記1つ又は複数の特性値Kを計算する、
請求項5から8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
切断面に課された要求に関する条件が満たされる又は少なくとも近似されるP又はDMの部分集合を指定する、
請求項1に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2013−518730(P2013−518730A)
【公表日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−552289(P2012−552289)
【出願日】平成23年1月25日(2011.1.25)
【国際出願番号】PCT/EP2011/000285
【国際公開番号】WO2011/095290
【国際公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(594102418)フラウンホーファー−ゲゼルシャフト ツル フェルデルング デル アンゲヴァンテン フォルシュング エー ファウ (63)
【氏名又は名称原語表記】Fraunhofer−Gesellschaft zur Foerderung der angewandten Forschung e.V.
【住所又は居所原語表記】Hansastrasse 27c, D−80686 Muenchen, Germany
【出願人】(507366094)
【氏名又は名称原語表記】Rheinisch−Westfaelische Technische Hochschule Aachen
【住所又は居所原語表記】Templergraben 55, D−52062 Aachen, Germany
【Fターム(参考)】