説明

シミュレーション装置及びシミュレーション方法並びにシミュレーションプログラム

【課題】 多様な受動素子部材の形状毎に対して、正確な漏れ磁束に起因する放射性ノイズの検証を行うことができる。
【解決手段】 プリント回路基板上に設置された受動素子部材から発生される漏れ磁束を検証するシミュレーション装置1において、少なくとも受動素子部材のコア形状を入力する形状入力手段10と、入力された受動素子部材のコア形状から三次元モデリングを生成する三次元モデリング生成手段20と、三次元モデリング内の領域を区分し、区分された領域毎に解析試料データを登録する解析試料データ登録手段30と、解析試料データを登録された三次元モデリングのデータに基づいて有限要素法を実行することにより、漏れ磁束を検証するための計算を行う計算手段40を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシミュレーション装置及びシミュレーション方法並びにシミュレーションプログラムに関し、特にインダクタンスを利用するために電線を巻いたコイル等からなる受動素子部材から発生される漏れ磁束を検証するシミュレーション装置及びシミュレーション方法並びにシミュレーションプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子機器や電子回路素子などが受ける電磁ノイズには、無線放送、TV、携帯電話などが大気中に放射する放射電磁界に起因する放射性ノイズと、電子機器や回路素子に接続される電源線、信号線、アースなどを伝導する伝導性ノイズとがあり、近年LSIやメモリなどを搭載したデジタル機器が電磁ノイズ(放射性ノイズ及び伝導性ノイズ)により誤動作することが問題になっている。
【0003】
図3に示すように一つのプリント回路基板上において、放射性ノイズと伝導性ノイズは互いに影響を及ぼしあい、特に放射性ノイズは、空間を電磁波として伝播するノイズであって、受動素子部材の漏れ磁束が原因となって発生するものである。
【0004】
近年、デジタル回路やアナログ回路を搭載するプリント回路基板における配線の放射性ノイズの影響を事前検証できる放射性ノイズシミュレータ製品が販売されている。
【0005】
また、受動素子部材のコア形状種は多様であって、例えばコア形状がボール型とする電子回路素子に関する技術が、特許文献1に提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4008403号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、既存の放射性ノイズシミュレータ製品ではコア形状の作成自由度が低く、例えば、特許文献1に記載されたようなボール型であるコア形状を忠実に再現した上で放射性ノイズの事前検証であるシミュレーションを行うことができないという問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、上記事情に鑑み、定型的なコア形状のみならず、ボール型やその他の型からなるコア形状を忠実に再現した上で、放射性ノイズの事前検証を行うシミュレーション装置及びシミュレーション方法並びにシミュレーションプログラムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のシミュレーション装置は、プリント回路基板上に設置された受動素子部材から発生される漏れ磁束を検証するシミュレーション装置において、少なくとも受動素子部材のコア形状を入力する形状入力手段と、入力された受動素子部材のコア形状から三次元モデリングを生成する三次元モデリング生成手段と、三次元モデリング内の領域を区分し、区分された領域毎に解析試料データを登録する解析試料データ登録手段と、解析試料データを登録された三次元モデリングのデータに基づいて有限要素法を実行することにより、漏れ磁束を検証するための計算を行う計算手段を備えたものである。
【0010】
「受動素子部材」とは、インダクタンスを利用するために電線を巻いたコイル等からなるものであって、トランスまたはチョークコイル等を備えた部材である。
【0011】
「形状入力手段」は、少なくとも受動素子部材のコア等の形状を入力するものであって、例えば、円柱型のコアとは異なる形状であるコア形状を入力するものであってもよい。また、ボール型であるコア形状を入力するものであってもよい。
【0012】
「三次元モデリング生成手段」は、コンピュータ上で、入力された受動素子部材のコア等の形状を三次元的に表すものである。例えば、サーフェース面を生成するものであってもよい。
【0013】
「解析試料データ」は、受動素子部材のコア等を構成する部品、その他コア等の周辺に存在する空気等に関するデータをいう。例えば、受動素子部材のコアの透磁率および/またはコアの電流密度に関するデータであってもよい。
【0014】
「計算手段」は、コンピュータにより、プリント回路基板上に設置された受動素子部材のコア等から発生される漏れ磁束を検証するために、有限要素法を実行することにより計算を行うものである。
【0015】
「表示手段」は、漏れ磁束の検証結果等を表示するものであって、例えば、計算手段により検証された漏れ磁束の状況と、プリント回路基板を表す図とを畳み重ねるように表示するものであってもよい。
【0016】
本発明のシミュレーション方法は、プリント回路基板上に設置された受動素子部材から発生される漏れ磁束を事前検証するシミュレーション方法において、少なくとも受動素子部材のコア形状を入力し、入力された受動素子部材のコア形状から三次元モデリングを生成し、三次元モデリング内の領域を区分し、区分された領域毎に解析試料データを登録し、解析試料データを登録された三次元モデリングのデータに基づいて有限要素法を実行することにより、漏れ磁束を検証するための計算を行う。
【0017】
本発明のシミュレーションプログラムは、プリント回路基板上に設置された受動素子部材から発生される漏れ磁束を事前検証するシミュレーションプログラムにおいて、少なくとも受動素子部材のコア形状を入力する形状入力機能と、入力された受動素子部材のコア形状から三次元モデリングを生成する三次元モデリング生成機能と、三次元モデリング内の領域を区分し、区分された領域毎に解析試料データを登録する解析試料データ登録機能と、解析試料データを登録された三次元モデリングのデータに基づいて有限要素法を実行することにより、漏れ磁束を検証するための計算を行う計算機能をコンピュータに実現させるものである。
【0018】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【発明の効果】
【0019】
本発明のシミュレーション装置及びシミュレーション方法並びにシミュレーションプログラムによれば、入力された受動素子部材のコア形状から三次元モデリングを生成し、三次元モデリング内の領域を区分し、区分された領域毎に解析試料データを登録し、解析試料データを登録された三次元モデリングのデータに基づいて有限要素法を実行することにより、漏れ磁束を検証するための計算を行うことにより、受動素子部材のコア形状を忠実に再現した上で、正確な漏れ磁束に起因する放射性ノイズの検証を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態におけるシミュレーション装置の構成を表す機能ブロック図
【図2】本発明の実施形態におけるシミュレーションを行う手順を示したフローチャート
【図3】本発明の実施形態における放射性ノイズと伝導性ノイズの関係を示す図
【図4】有限要素法における領域の要素分割を説明するための図
【図5】有限要素法における1次三角形要素を説明するための図
【図6】強制電流回路を説明するための図
【図7】本発明の実施形態における2Dにおけるコア形状の比較図
【図8】本発明の実施形態におけるコアの形状作成を表す図
【図9】本発明の実施形態におけるサーフェース形成を表す図
【図10】本発明の実施形態における試料割り当て画面を表す図
【図11】本発明の実施形態におけるメッシュサイズ指定画面を表す図
【図12】本発明の実施形態におけるメッシュ形成を表す図
【図13】本発明の実施形態における解析結果表示選択画面を表す図
【図14】本発明の実施形態における特定形状のコア磁束密度ベクトルの大きさを表す図
【図15】本発明の実施形態における磁束シミュレーションの条件を表す図
【図16】本発明の実施形態における磁束密度分布の比較を(パターン1)表す図
【図17】本発明の実施形態におけるボール型コア外側脚の透磁率
【図18】本発明の実施形態における磁束密度分布の比較を(パターン2)表す図
【図19】本発明の実施形態における放射性ノイズマップを(パターン1)表す図
【図20】本発明の実施形態における放射性ノイズマップを(パターン2)表す図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0022】
図1は、本発明の実施形態におけるシミュレーション装置1の構成を表す機能ブロック図である。
【0023】
図1、2に示すシミュレーション装置1は、プリント回路基板上に設置された受動素子部材から発生される漏れ磁束を検証する装置であって、受動素子部材の形状を入力する形状入力手段10と、入力された受動素子部材の形状から三次元モデリングを生成する三次元モデリング生成手段20と、三次元モデリング内の領域を区分し、区分された領域毎に解析試料データを登録する解析試料データ登録手段30と、解析試料データを登録された三次元モデリングのデータに基づいて有限要素法を実行することにより、漏れ磁束を検証するための計算を行う計算手段40と、計算手段40により検証された漏れ磁束の状況と、プリント回路基板を表す図とを畳み重ねるように表示する表示手段50を備えたものである。なお、図1のようなシミュレーション装置1の構成は、補助記憶装置(不図示)に読み込まれたシミュレーションプログラムをコンピュータ上で実行することにより実現される。このとき、このシミュレーションプログラムは、CD−ROM等の記憶媒体に記憶され、もしくはインターネット等のネットワークを介して配布され、コンピュータにインストールされるものである。
【0024】
以下、本発明の実施形態では、シミュレーション装置1はパーソナルコンピュータとして説明するが、シミュレーション装置1は、サーバ、携帯端末型のコンピュータ機等であってもよい。
【0025】
受動素子部材は、インダクタンスを利用するために電線を巻いたコイル等からなるものであって、例えば、トランスまたはチョークコイル等を備えた部材である。
【0026】
形状入力手段10は、デジタル回路やアナログ回路を搭載するプリント回路基板に搭載する電子部品、例えば受動素子部材等の形状を入力するものである。この形状入力手段10は、あらゆる形状を入力することを可能とし、例えば、特許文献1に記載されたボール型である受動素子部材の形状を入力することができる。
【0027】
三次元モデリング生成手段20は、コンピュータ上で、形状入力手段10により入力された受動素子部材等の形状を三次元的に表すものを生成するものである。例えば、サーフェース面を生成するものであってもよい。
【0028】
解析試料データ登録手段30は、解析試料データから受動素子部材を構成する部品等に関するデータを登録するものである。例えば、解析試料データは、受動素子部材を構成する部品等に関するデータであって、例えば、受動素子部材のコアの透磁率および/またはコアの電流密度に関するデータである。ユーザは、解析試料データ登録手段30を介して、受動素子部材のコアの透磁率および/またはコアの電流密度に関するデータを登録することができる。また、予め解析試料DB5に登録されている解析試料データを選択することにより、ユーザは、解析試料データ登録手段30を介して、解析試料データの登録を行ってもよい。
【0029】
計算手段40は、コンピュータにより、プリント回路基板上に設置された受動素子部材から発生される漏れ磁束を検証するために、有限要素法を実行することにより計算を行うものである。
【0030】
また、表示手段50は、漏れ磁束の検証結果等を表示するディスプレイであって、計算手段40により検証された漏れ磁束の状況と、プリント回路基板を表す図とを畳み重ねるように表示するものである。
【0031】
ここで、図4、5、6を参照しながら、有限要素法の基本的な考え方について説明する。図4は、有限要素法における領域の要素分割を説明するための図である。図5は、有限要素法における1次三角形要素を説明するための図である。図6は、強制電流回路を説明するための図である。
【0032】
有限要素法は、図4に示す領域Sを多数の有限要素(FiniteElement)と呼ばれる小領域に分割し、各要素内のポテンシャル分布を単純な関数で近似して、その近似関数をつないで全体領域を近似して解析を行う方法である。この方法により、複雑な形状を有する領域に対しても容易に適用できるようになり、汎用性が高くなる。
【0033】
要素の形状については、特に制限はなく、図5に示すような三角形がよく用いられている。図5において、三角形の頂点を節点(Node)と呼び、はじめからポテンシャル値のわかっている既知節点と、ポテンシャル値のわかっていない未知節点の2種類が存在する。以後、要素eの節点の座標ポテンシャルは式(1)のように表す。
【0034】
【数1】

【0035】
各要素内でのポテンシャル近似関数としては、一般にその点の座標の1次式が用いられる。図5のように、要素が3節点を有する三角形であり、かつその要素内のポテンシャルが座標の1次式で近似されるような要素を1次三角形要素という。各節点のポテンシャルがわかれば、任意の点のポテンシャルは計算できるので、各節点のポテンシャルをいかにして求めるかという問題になる。この問題を有限要素法にて解く場合、たいていの物理現象がエネルギーとして最小になるように起こると、というエネルギー最小化原理により導かれる。これは数学的には汎関数の極値を求める問題に相当しており、変分問題と呼ばれている。
ここで、静磁界の方程式について、図6を参照しながら説明する。静磁界を支配するマクスウェルの電磁方程式は式(2)により表される。
【0036】
【数2】

【0037】
また、磁束密度B、磁界の強さH、電束密度D、電界の強さE、電流密度Jの間には、式(3)のような関係がある。なお、透磁率μ、誘電率ε、導電率σと表される。
【0038】
【数3】

【0039】
静磁界の場合、式(2)より、磁束の発散は常にゼロであるから、式(4)のような磁気ベクトルポテンシャルAが定義できる。
【0040】
【数4】

【0041】
また、領域に電流I0が流れている場合、ベクトルポテンシャルAは、式(5)で表される。
【0042】
【数5】

【0043】
変数原理を用いて解析を行うには、まず汎関数であるx(A)を求める必要がある。2次元静磁界の汎関数は次のようにして求められる。
【0044】
磁界の単位体積あたりのエネルギーは、式(6)で表される。
【0045】
【数6】

【0046】
図6で示す単位断面積の電流回路が有するエネルギーは、式(7)のように表される。なお、電流の流れている導体に沿った微笑ベクトルはdsであり、この導体に沿った積分路はCにより表す。
【0047】
【数7】

【0048】
また、符号がついているのは、電流回路の有するエネルギーが位置エネルギーに相当するからである。よって、電流の流れている部分を含む領域の全エネルギーは、式(8)のように表される。
【0049】
【数8】

【0050】
ここで、式(8)にエネルギー最小化原理を適用すると、全エネルギーを最小にしようとするのだから、式(9)をベクトルポテンシャルAで微分してゼロと置くと、式(9)のような静磁界のポアソン方程式が求まる。
【0051】
【数9】

【0052】
更に、有限要素法の計算手順の概要について説明する。有限要素法を用いた解析手順を以下のように簡単に説明すると、(1)まずポテンシャル分布を求めたい領域を多数の有限要素に分割する。小さな領域に分割し、各要素に導入した近似関数をつないで領域全体を近似する。このようにすることで、複雑な形状でも容易に解析を行うことができる。(2)各要素内のポテンシャル分布を適当な近似関数で仮定する。一般的に静磁界の式(9)の汎関数を近似関数として考えればよい。(3)節点のポテンシャルを未知数とする連立一次方程式を変分原理として用いて作成する。(4)境界条件を与えて、未知節点数を減少させる。(5)全体節点方程式を解く(6)磁束密度の計算を行う。ベクトルポテンシャルAが求まれば、式(10)を用いて磁束密度のx,y方向成分を求めることができる。一般に式(9)を直接解くことが困難であるので、問題はいかにして式(8)を解き、ベクトルポテンシャルAを求めるかである。有限要素法はその難解なボアソン方程式をより簡単に解く有益な手段である。
【0053】
【数10】

【0054】
次いで本発明の実施形態における有限要素法を実行することによりシミュレーションを行うまでの手順、特に磁束密度を求めるために、汎用解析ツールに有限要素法を組み込んだ磁束シミュレータの解析方法を従来型コア(円柱型コア)の磁束シミュレーションを例に説明する。但し、汎用解析ツールGiDを用いることにより生成した図面を例に説明するが、本発明はGiDに限定されるものではない。図2は、シミュレーション装置1が、シミュレーションを行う手順を示したフローチャートである。
【0055】
まず、磁束解析を行うに際し、静磁界の解析を行うプログラムを解析モデルとして読み込む(S1)。なお、本シミュレーションプログラムは、磁気解析のみならず、熱解析、流体解析など様々な解析を行うように設定することも可能とする。
【0056】
ユーザは、形状入力手段10を介して、解析領域を決定した(S2)上で、受動素子部材のコアやその他の電子部品の形状を入力する(S3)。また、受動素子部材のコアといっても、図7に示すように多様の形状があるので、ユーザは、形状入力手段10を介して、受動素子部材形状DB5にアクセスし、予め登録された受動素子部材形状(受動素子部材内のコアやその他の部材を含む)を選択するだけで、受動素子部材のコアやその他の電子部品の形状を入力することも可能とする。図8は、作成された受動素子部材のコア形状の表示手段50の画面を表す図である。
【0057】
次に、三次元モデリング生成手段20は、形状入力手段10に入力された形状だけでは、ただのラインが引いてあるだけなので、面(サーフェース)として認識されていないので、サーフェースを形成し、ラインで囲まれた領域を面として決定する(S4)。ラインを選択して閉じた領域を作り、サーフェースのいずれの方向が表か裏かの設定を行う。例えば、汎用解析ツールGiDによれば、図9に示すようにピンクのラインがサーフェースの有無を示すことができる。
【0058】
次にユーザは、解析試料データ登録手段30を介して、三次元モデリング生成手段20により生成したモデルに対して、それぞれの解析試料データを決定する(S5)。コアの磁束解析では、空気、コア、コイル1、コイル2の4種類の領域に割り当てる。例えば、解析試料DB15に予め登録されている試料データは空気のみである場合、その他の試料を新たに登録する必要がある。例えば、図15に示すようにコア、コイル1、コイル2の透磁率や要素電流密度の値を指定し、試料として登録する。GiDにおいては、資料の登録は、割り当ては、図10のウインドウにより行う。また、特許文献1に記載されたボール型のコアの場合、図17に示すように透磁率を個別設定してもよい。
【0059】
次に、計算手段40は、解析試料データ登録手段30により試料データの決定を終えると、解析を行う領域全体を多数のメッシュで区切る(S6)。例えば、汎用解析ツールGiDの場合、ユーザは、「Generate mesh 」ボタンをクリックし、メッシュ形成され、図11に示すメッシュのサイズ指定をするとウインドウが現れるので、適当なサイズを設定し、「OK」ボタンをクリックすると、メッシュ形成を終え、図12に示すような受動素子部材部品に対してのメッシュ形成を作成できる。
【0060】
なお、例えば、汎用解析ツールGiDの場合、メッシュを作成したら、ユーザは、まず「Save as…」からgidファイルとして保存する。次に「Export」からbasテンプレート使用し、datファイルをソルバに転送したら、GiDを離れ、コマンドプロントを起動する。コマンドプロントでdatファイルが保存されているフォルダまで移動し、ファイルを変換する。
【0061】
次に表示手段50は、計算手段40により検証された漏れ磁束の状況と、プリント回路基板を表す図とを畳み重ねるように表示する。
【0062】
例えば、汎用解析ツールGiDを用いる場合において、再びGiDを起動させ、ポストプロセスモードに切り替え、「View results」ボタンをクリックすると、図13のような画面が表示手段50に表示される。図13の表示モードを選択すると、上述した有限要素法が実行され(S7)、図14に示されるような磁束密度ベクトルの絶対値、つまり磁束密度の大きさを色の濃淡によって、表された解析結果が表示される(S8)。所定の条件を変えることにより、図16または18のように、従来型のコアとボール型コアの場合におけるシュミレーション結果をそれぞれ表示できる。
【0063】
また、表示手段50は、図19、20のように特定の周波数域に応じて、漏れ磁束の状況と、プリント回路基板を表す図とを畳み重ねるように表示することができる。
【0064】
以上により、本発明の実施形態によれば、入力された受動素子部材の形状から三次元モデリングを生成し、三次元モデリング内の領域を区分し、区分された領域毎に解析試料データを登録し、解析試料データを登録された三次元モデリングのデータに基づいて有限要素法を実行することにより、漏れ磁束を検証するための計算を行うことにより、受動素子部材の形状を忠実に再現した上で、正確な漏れ磁束に起因する放射性ノイズの検証を行うことができる。
【0065】
以上、本発明を実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0066】
1 シミュレーション装置
5 受動素子部材形状DB
10 形状入力手段
15 解析試料DB
20 三次元モデリング作成手段
30 解析試料データ登録手段
40 計算手段
50 表示手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント回路基板上に設置された受動素子部材から発生される漏れ磁束を検証するシミュレーション装置において、
少なくとも前記受動素子部材のコア形状を入力する形状入力手段と、
前記入力された受動素子部材のコア形状から三次元モデリングを生成する三次元モデリング生成手段と、
前記三次元モデリング内の領域を区分し、該区分された領域毎に解析試料データを登録する解析試料データ登録手段と、
前記解析試料データを登録された三次元モデリングのデータに基づいて有限要素法を実行することにより、漏れ磁束を検証するための計算を行う計算手段を備えた
ことを特徴とするシミュレーション装置。
【請求項2】
前記形状入力手段は、円柱型のコアとは異なる形状であるコア形状を入力する
ことを特徴とする請求項1に記載のシミュレーション装置。
【請求項3】
前記形状入力手段は、ボール型であるコア形状を入力する
ことを特徴とする請求項2に記載のシミュレーション装置。
【請求項4】
前記三次元モデリング生成手段は、前記入力された形状に基づき、サーフェース面を生成する
ことを特徴とする請求項1から3いずれか1項に記載のシミュレーション装置。
【請求項5】
前記解析試料データは、前記受動素子部材のコアの透磁率および/またはコアの電流密度に関するデータである
ことを特徴とする請求項1から4いずれか1項に記載のシミュレーション装置。
【請求項6】
前記計算手段により検証された漏れ磁束の状況と、前記プリント回路基板を表す図とを畳み重ねるように表示する表示手段を更に備えた
ことを特徴とする請求項1から5いずれか1項に記載のシミュレーション装置。
【請求項7】
プリント回路基板上に設置された受動素子部材から発生される漏れ磁束を事前検証するシミュレーション方法において、
少なくとも前記受動素子部材のコア形状を入力し、
前記入力された受動素子部材のコア形状から三次元モデリングを生成し、
前記三次元モデリング内の領域を区分し、該区分された領域毎に解析試料データを登録し、
前記解析試料データを登録された三次元モデリングのデータに基づいて有限要素法を実行することにより、漏れ磁束を検証するための計算を行う
ことを特徴とするシミュレーション方法。
【請求項8】
プリント回路基板上に設置された受動素子部材から発生される漏れ磁束を事前検証するシミュレーションプログラムにおいて、
少なくとも前記受動素子部材のコア形状を入力する形状入力機能と、
前記入力された受動素子部材のコア形状から三次元モデリングを生成する三次元モデリング生成機能と、
前記三次元モデリング内の領域を区分し、該区分された領域毎に解析試料データを登録する解析試料データ登録機能と、
前記解析試料データを登録された三次元モデリングのデータに基づいて有限要素法を実行することにより、漏れ磁束を検証するための計算を行う計算機能をコンピュータに実現させる
ことを特徴とするシミュレーションプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2011−18185(P2011−18185A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−162247(P2009−162247)
【出願日】平成21年7月8日(2009.7.8)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 研究集会名:2009年総合大会 主催者名 :社団法人電子情報通信学会 開催日 :平成21年3月18日
【出願人】(500133473)新東ホールディングス株式会社 (15)
【出願人】(504155293)国立大学法人島根大学 (113)
【Fターム(参考)】