説明

シャワーヘッド装着用使い捨てビデノズル

【課題】シャワーヘッド装着用使い捨てビデノズルを提供する。
【解決手段】シャワーヘッドの噴出口面を覆う噴出口面カバー部であって、その内側に、シャワーヘッドからの噴出水を受け集める水受け凹部が形成された噴出口面カバー部と、前記噴出口面カバー部の外側より突出した中空棒状の膣内挿入部と、からなるシャワーヘッド装着用使い捨てビデノズルであって、前記膣内挿入部は、長手方向に延びる外側が丸味を帯びた複数の縁部と、該縁部と縁部を連接する面部とを備え、そして前記面部及びその両隣の前記縁部とで溝部を形成し、また前記膣内挿入部の先端部及び前記面部は、前記水受け凹部に受け集められた水を吐出させる適当数の吐出口を備えて成り、前記吐出口は、該吐出口から外へ水が渦流を形成して吐出されるように、前記膣内挿入部の長手方向及び周方向の両方に対して各々、所定角度傾斜して形成されて成る、シャワーヘッド装着用使い捨てビデノズル。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャワーヘッド装着用使い捨てビデノズル及び、該ビデノズルを装着して使用するビデノズル交換自在なビデシャワー具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の健康・衛生思想の普及や女性の社会進出の高まりにより、女子高生や働く女性において、自分の体臭を気にする人が非常に多い。女性の人体局部を洗浄するために用いられるビデも、一般に広く普及するものとなった。
ビデには、浴室に専用設備として設置される先付けタイプのもの、アダプターを介して浴室に設置される後付けタイプのもの、温水洗浄便座に組み込まれたユニットタイプのもの、携帯用のもの等、多くの種類が提案されている。
先付けタイプやユニットタイプのビデは、外陰部に水又は温水を噴出させるため、外陰部を洗浄することは可能であるが、膣内まで充分に洗浄することはできない。携帯用のビデは容器を手で押すことにより容器内の洗浄水を膣内に噴出させて用いるため、充分な洗浄力を得ることは困難である。
これに対して、アダプターを介して浴室のシャワーヘッドに設置することが可能な使い捨てビデ(後付けタイプ)は、外陰部及び膣内を充分に洗浄することが可能であり、一度使用した後は廃棄するので衛生的である。
【0003】
図9に、登録実用新案第3041493号公報(特許文献1)に開示された、従来の使い捨てビデ(ビデノズル1)の一例を示す。ビデノズル1は、膨出部2を図中矢印方向に指で押し、開口縁部3を、シャワーヘッド4に設けられたシャワーフェイス部5の外周縁部6に嵌合させて、使用する。ビデノズル1の先端ノズル部7の外周面8には還流溝9が形成されており、還流溝9の中央部先端寄りに、水又は温水を噴出させるための噴出口10が設けられている。
図10に、図9のビデノズル1の拡大した部分破断斜視図を示す。図10において、突端面11には、噴出口12が設けられている。
特許文献1に開示されたビデノズル1は、使用時に先端ノズル部7を膣内に挿入し、シャワーヘッド4からの水又は温水を噴出口10及び12から噴出させることにより、膣内を洗浄する。膣内に噴出された水又は温水は、膣内を洗浄した後、還流溝9を通って膣外に排出される。
【特許文献1】登録実用新案第3041493号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のビデノズル1においては、図10に示されるように、膣内を洗浄するための水又は温水は、噴出口12から先端ノズル部7の長手方向(図中、下方向)に、また噴出口10から先端ノズル部7の長手方向と直交する方向(図中、図面上部方向)に噴出されるのみである。
膣内壁には多数のヒダや凹凸が存在するため、噴出口10及び噴出口12から水又は温水を噴出させるのみでは、噴出口10及び噴出口12近傍の膣内壁が主に洗浄されるにすぎず、ヒダや凹凸により遮蔽された膣内部分を洗浄することは困難である。
また、噴出口10は還流溝9内に存在するため、噴出口10からの洗浄水と、還流溝9内を通って膣外に排出される還流水とが混合し、還流水によって洗浄水が汚染される。
従って、特許文献1のビデノズル1を使用しても、膣内を充分に洗浄することはできない。
【0005】
本発明者は、前記従来技術の問題点を解決すべく鋭意研究した結果、洗浄水を渦流を形成して膣内前方に噴出させることにより、また、使用時における洗浄水と還流水との混合を無くすことにより、膣内を充分に洗浄することが可能であることを見出し、本発明を完成させた。
【0006】
本発明の目的とするところは、膣内を充分に洗浄することが可能なシャワーヘッド装着用使い捨てビデノズル及び、該ビデノズルを装着して使用するビデノズル交換自在なビデシャワー具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
即ち、本発明のシャワーヘッド装着用使い捨てビデノズルは、
シャワーヘッドの噴出口面を覆う噴出口面カバー部であって、その内側に、シャワーヘッドからの噴出水を受け集める水受け凹部が形成された噴出口面カバー部と、
前記噴出口面カバー部の外側より突出した中空棒状の膣内挿入部と、
からなるシャワーヘッド装着用使い捨てビデノズルであって、
前記膣内挿入部は、長手方向に延びる外側が丸味を帯びた複数の縁部と、該縁部と縁部を連接する面部とを備え、そして
前記面部及びその両隣の前記縁部とで溝部を形成し、また
前記膣内挿入部の先端部及び前記面部は、前記水受け凹部に受け集められた水を吐出させる適当数の吐出口を備えて成り、
前記吐出口は、該吐出口から外へ水が渦流を形成して吐出されるように、前記膣内挿入部の長手方向及び周方向の両方に対して各々、所定角度傾斜して形成されて成る
ことを特徴とする。
また、本発明のビデノズル交換自在なビデシャワー具は、シャワーヘッドと、本発明のシャワーヘッド装着用使い捨てビデノズルから成ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明のシャワーヘッド装着用使い捨てビデノズルは、膣内挿入部の面部に備えられた吐出口から水又は温水が、洗浄水として、渦流を形成して外へ吐出されるため、膣内壁に多数のヒダや凹凸が存在する膣内を充分に洗浄することが可能である。また、本発明のシャワーヘッド装着用使い捨てビデノズルでは、膣内を洗浄した水又は温水が、還流水として、溝部から膣外に排出されるため、還流水によって洗浄水が汚染されることがない。
本発明のビデノズル交換自在なビデシャワー具は、シャワーヘッドに、本発明のシャワーヘッド装着用使い捨てビデノズルを容易に装着することができるので、ビデ又はシャワーとして、適宜切り換えて使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
実施例1:
以下、本発明を図面を参照してより詳細に説明する。
図1に、本発明の実施例1のシャワーヘッド装着用使い捨てビデノズルを示す。ビデノズル13は、シャワーヘッドの噴出口面を覆う噴出口面カバー部14と、該噴出口面カバー部14の外側より突出した中空棒状の膣内挿入部15とからなる。膣内挿入部15は、長手方向に延びる外側が丸味を帯びた複数の縁部16と、該縁部16と縁部16を連接する面部17とを備えている。面部17及びその両隣の縁部16とで溝部18を形成する。本例では、面部17の左右に二条の溝部18が形成されている。
膣内挿入部15の先端部は吐出口19を備えて成り、膣内に挿入し易いよう、丸味を帯びて形成されている。二条の溝部18の一方(図中、右側の溝部18)は吐出口20を備えて成り、使用時に吐出口19から、図中破線で示すように洗浄水W1が斜め前方に向けて吐出される。また使用時に吐出口20から、実線破線で示すように洗浄水W2が斜め前方に向けて吐出される。吐出口20は、後に詳しく説明するように、膣内挿入部15の長
手方向及び周方向の両方に対して各々、所定角度傾斜して形成されて成るため、吐出口20からの洗浄水W2は、斜め前方に向けて吐出された後膣内壁に当たり、更に膣内壁に沿って左回りの渦流を形成しながら前方の膣内部に向かって吐出される。
本例では、二条の溝部18の一方に吐出口20が備えられているが、面部17の中央部に吐出口20が備えられていてもよい。
【0010】
図2に、図1をI方向から見た上面図を示す。四つの縁部16は一緒になって、丸味を帯びた先端部を形成する。本例では、四つの面部17は、中空円筒面部として形成されている。面部17は湾曲しているので、一つの面部17と該面部17の左右の縁部16との間に、二条の溝部18が形成される。四つの面部17の先端部には、それぞれ一つの吐出口19が形成されている。また、二条の溝部18の一方には吐出口20が形成されており、二条の溝部18の他方には、吐出口20は形成されていない。従って、吐出口19からの洗浄水W1及び吐出口20からの洗浄水W2は、膣内を洗浄した後還流水となり、吐出口20が形成されていない側の溝部18を通って膣外に排出されるので、洗浄水と還流水とが混合することはない。
【0011】
図3に、図1をII方向から見た斜視図を示す。図3から明らかなように、本例では、四つの面部17のうち、対向する一組の面部17にはそれぞれ、所定の間隔を設けて三つの吐出口20が形成されており、対向する他の一組の面部17にはそれぞれ、所定の間隔を設けて二つの吐出口20が、前記三つの吐出口20とは膣内挿入部15の長手方向の位置を異ならしめて、形成されている。
【0012】
図4(A)に、図3のA−A線に沿った断面図を示す。また図4(B)に、図3の膣内挿入部15の一部分(破線で囲んだIII部分)についての、B−B線に沿った断面図を示す。
図4(A)において、吐出口20(線Pに沿う方向に形成されている)は、該吐出口20が形成された面部17に対して、即ち、膣内挿入部15の周方向に対して、角度βを有して形成されている。この場合、面部17は円筒面であるが、面部17に形成された吐出口20の開口部は線Mに沿う(線Mを含む)方向の面に含まれるので、線Mに沿う(線Mを含む)方向の面の傾きを、吐出口20が形成された面部17の傾きとして定義する。
角度βは、10度ないし80度、好ましくは30度ないし60度、最も好ましくは40度ないし50度、例えば45度である。
図4(B)において、吐出口20(線Pに沿う方向に形成されている)は、膣内挿入部15の軸線Lに対して、即ち、膣内挿入部15の長手方向に対して、角度αを有して形成されている。
角度αは、10度ないし80度、好ましくは30度ないし60度、最も好ましくは40度ないし50度、例えば45度である。
【0013】
図5は、本発明のシャワーヘッド装着用使い捨てビデノズルの、膣内挿入部に設けられた吐出口の傾きを説明するための図である。
平面Sは、面部17の吐出口20が形成された面であり、線Mを含み、軸線Lに平行である。図5において、吐出口20(線Pに沿う方向に形成されている)は、軸線Lに対して角度αだけ、平面S(又は、線M)に対して角度βだけ、傾斜して形成されていることが判る。
【0014】
実施例2:
図6に、本発明の実施例2のシャワーヘッド装着用使い捨てビデノズルを示す。本例のビデノズル21は、二条の溝部18のうち図中左側の溝部18が吐出口20を備えて成り、洗浄水W2が、膣内壁に沿って右回りの渦流を形成しながら前方の膣内部に向かって吐出されること以外は、図1に示される実施例1のビデノズル13と同一の構造を有する。
【0015】
前記実施例1及び前記実施例2のビデノズルにおいて、材質は医療用のポリオレフィン、例えば医療用のポリプロプレン、ポリエチレン等であってよい。前記ビデノズルの膣内挿入部及び噴出口面カバー部、並びに前記膣内挿入部に設ける縁部、面部及び溝部の大きさ、形状、色等は、本発明の目的を達成し得る範囲内において、適宜選択してよい。
同様に、前記膣内挿入部に設ける吐出口の数、位置、大きさ及び形状も、充分な洗浄力が得られるように選択する。
ビデノズルの膣内挿入部が、噴出口面カバー部に対して回転可能に設けられていてもよい。
本発明のビデノズルは、慣用の成形法、例えば分割金型を用いる射出成形法により、製造することができる。なお、本発明のビデノズルの膣内挿入部の厚さは、傾斜した吐出口を形成し得るように、充分な厚さとする。
本発明のビデノズルは、使用時に洗浄水に右渦流を形成せしめるタイプと洗浄水に左渦流を形成せしめるタイプとを製造し得るので、右渦流タイプ一つと左渦流タイプ一つとを組み合わせて使用すると、1種のみを使用する場合よりも、膣内をより充分に洗浄することができる。
【0016】
実施例3:
図7に、本発明のビデノズルを装着したビデシャワー具の一例を示す。図7(A)に示されるように、シャワーヘッド22にビデノズル23を装着して使用する。図7(B)は、図7(A)をビデノズル23側から見た図である。
【0017】
実施例4:
図8に、本発明のビデノズルを装着したビデシャワー具の別の例を示す。図8(A)に示されるように、シャワーヘッド24にビデノズル25を装着して使用する。シャワーヘッド24には取手26が設けられている。従って、図8(B)に示されるように、使用時に、取手26のシャワーヘッド24への取り付け部分を手の指27の間に挟持することにより、ビデノズル25の膣内挿入部を、膣内に容易に挿入することができる。
【0018】
本発明のビデノズルを装着して使用するビデシャワー具は、前記ビデノズルが交換自在で且つ前記ビデノズルが使用し易いように、適するデザインのシャワーヘッドを使用するとよい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施例1のシャワーヘッド装着用使い捨てビデノズルを示す斜視図である。
【図2】図1をI方向から見た上面図である。
【図3】図1をII方向から見た斜視図である。
【図4】図4(A)は、図3のA−A線に沿った断面図であり、図4(B)は、図3の膣内挿入部15の一部分(破線で囲んだIII部分)についての、B−B線に沿った断面図である。
【図5】本発明のシャワーヘッド装着用使い捨てビデノズルの、膣内挿入部に設けられた吐出口の傾きを説明するための図である。
【図6】本発明の実施例2のシャワーヘッド装着用使い捨てビデノズルを示す斜視図である。
【図7】本発明のビデノズルを装着したビデシャワー具の一例を示す図である。
【図8】本発明のビデノズルを装着したビデシャワー具の別の例を示す図である。
【図9】従来の使い捨てビデの一例を示す斜視図である。
【図10】図9のビデノズルの拡大した部分破断斜視図である。
【符号の説明】
【0020】
1,13,21,23,25:ビデノズル 2:膨出部
3:開口縁部 4,22,24:シャワーヘッド
5:シャワーフェイス部 6:外周縁部
7:先端ノズル部 8:外周面
9:還流溝 10,12,19,20:噴出口
11:突端面 14:噴出口面カバー部
15:膣内挿入部 16:縁部
17:面部 18:溝部
26:取手 27:手の指

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャワーヘッドの噴出口面を覆う噴出口面カバー部であって、その内側に、シャワーヘッドからの噴出水を受け集める水受け凹部が形成された噴出口面カバー部と、
前記噴出口面カバー部の外側より突出した中空棒状の膣内挿入部と、
からなるシャワーヘッド装着用使い捨てビデノズルであって、
前記膣内挿入部は、長手方向に延びる外側が丸味を帯びた複数の縁部と、該縁部と縁部を連接する面部とを備え、そして
前記面部及びその両隣の前記縁部とで溝部を形成し、また
前記膣内挿入部の先端部及び前記面部は、前記水受け凹部に受け集められた水を吐出させる適当数の吐出口を備えて成り、
前記吐出口は、該吐出口から外へ水が渦流を形成して吐出されるように、前記膣内挿入部の長手方向及び周方向の両方に対して各々、所定角度傾斜して形成されて成る
ことを特徴とする、シャワーヘッド装着用使い捨てビデノズル。
【請求項2】
シャワーヘッドと、請求項1記載のシャワーヘッド装着用使い捨てビデノズルから成ることを特徴とする、ビデノズル交換自在なビデシャワー具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2007−7244(P2007−7244A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−193673(P2005−193673)
【出願日】平成17年7月1日(2005.7.1)
【特許番号】特許第3787787号(P3787787)
【特許公報発行日】平成18年6月21日(2006.6.21)
【出願人】(503339188)株式会社成玄 (2)
【Fターム(参考)】