説明

シャワー器具

【課題】シャワー出口からの放水流量を低下させることなく、原水に機能剤の成分を十分に溶出させることができるシャワー器具を提供する。
【解決手段】シャワーヘッド2の流路の途中に機能剤を収容可能な収容部33が設けられ、機能剤を収容した収容部33に水を流過させることで機能剤の成分を水中に溶出させるシャワー器具であって、収容部33には、収容部33の嵌合孔23から流入した水の向きを変更してこの水を攪拌流にする主板部28が設けられていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、シャワー器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、薬剤徐放機能付きのシャワー器具が知られている。このシャワー器具は、シャワーヘッド内部に着脱自在に浄水用のカートリッジを備えたものであり、このカートリッジ内に、アスコルビン酸、亜硫酸カルシウムなどの塩素を中和する薬剤を収容し、これらをカートリッジ内に流過する原水に徐々に溶出させるようにしている(例えば、特許文献1参照)。
ところで近年、上記シャワー器具においては、さらなる商品性の向上を図るべく塩素の中和に加えて、心理的作用をもたらしてストレスなどの緩和に効果のある、いわゆる芳香剤、保湿剤及び清涼剤などの機能剤を塩素中和後の水に添加するようにしたものが提案されている。
【特許文献1】特開平9−187681号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、従来のシャワー器具においては、シャワーヘッド内部のスペースに制約があるため、粉状あるいは粒状の機能剤を収容部に収容し、収容部の一端側の入口から他端側の出口に向けて原水を流過させるようにしている。そのため、収容部内部に収容された粉状あるいは粒状の機能剤が出口側に偏ってしまう場合があり、機能剤の偏りによって圧損が発生してシャワー出口からの放水流量が低下してしまうという課題がある。
また、収容部の出口側に機能剤が偏ってしまうと、収容部内に導入された原水が十分に機能剤に接触することなく出口から流出してしまういわゆるショートパスが発生して、原水に機能剤の成分が十分に溶出しない場合がある。
【0004】
そこで、この発明は、シャワー出口からの放水流量を低下させることなく、原水に機能剤の成分を十分に溶出させることができるシャワー器具を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、請求項1に記載した発明は、シャワーヘッド(例えば、実施の形態におけるシャワーヘッド1)の流路の途中に機能剤を収容可能な収容部(例えば、実施の形態における収容部33)が設けられ、前記機能剤を収容した前記収容部に原水を流過させることで前記機能剤の成分を前記原水中に溶出させるシャワー器具であって、前記収容部には、該収容部の導入口(例えば、実施の形態における嵌合孔23)から流入した原水の向きを変更して該原水を攪拌流にする攪拌手段(例えば、実施の形態における主板部28)が設けられていることを特徴としている。
このように構成することで、シャワーヘッドに導入された原水が流路を介して収容部の導入口から収容部内に流入したのち攪拌手段によって攪拌流になるので、収容部内に収容された機能剤が攪拌されて、例えば、収容部の流出口側に機能剤が偏るのを防止することができる。
【0006】
請求項2に記載した発明は、請求項1に記載の発明において、前記収容部の下面には、前記導入口とシャワーヘッドのシャワー出口に通ずる出水孔(例えば、実施の形態における出水孔25)とが設けられ、該出水孔が前記シャワーヘッドのシャワー出口(例えば、実施の形態におけるシャワー出口5)の下端よりも上方位置となるように前記収容部が配置されていることを特徴とする。
このように構成することで、例えば、シャワーの使用を一旦止めてシャワーヘッドをシャワー掛けに係止した場合に、収容部の中に残留している原水が、出水孔を介してより下方のシャワー出口から自重により排出されるため、機能剤が原水中に浸され続けることがなく、機能剤が無駄に溶出して消費されることがない。
【0007】
請求項3に記載した発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記収容部が、前記シャワーヘッドに着脱自在に設けられ、該シャワーヘッドの上部に前記収容部を出し入れする開口部(例えば、実施の形態における上部開口部26)が設けられていることを特徴とする。
このような構成とすることで、前記シャワーヘッドの開口部から収容部を容易に出し入れすることができる。
【0008】
請求項4に記載した発明は、請求項3に記載の発明において、前記攪拌手段が、前記シャワーヘッドの開口部を閉塞する蓋(例えば、実施の形態における蓋4)であることを特徴とする。
このような構成とすることで、シャワーヘッドの蓋によって収容部に導入された原水を攪拌流にすることができる。
【0009】
請求項5に記載した発明は、請求項1乃至4の何れか一項に記載の発明において、前記収容部の上流側には、原水を浄化する浄化手段(例えば、実施の形態における浄水カートリッジ18)が設けられていることを特徴とする。
このような構成とすることで、浄化手段によって浄化された原水を収容部に導入することができる。
【0010】
請求項6に記載した発明は、請求項1乃至5の何れか一項に記載の発明において、前記攪拌手段には、前記収容部内での攪拌流の偏りを防止する整流手段(例えば、実施の形態における整流部31)が設けられていることを特徴とする。
このように構成することで、収容部内の原水をより確実に攪拌流にすることができる。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載した発明によれば、シャワーヘッドに導入された原水が流路を介して収容部の導入口から収容部内に流入したのち攪拌手段によって攪拌流になるので、収容部内に収容された機能剤が攪拌されて、例えば、収容部の流出口側に機能剤が偏るのを防止することができる。したがって、機能剤が偏ることで発生する圧損を抑制することができるため、シャワー出口からの放水流量の低下を防止し、さらに、機能剤を効率よく原水と接触させることができるため、原水に機能剤を十分に溶出させることができる効果がある。
【0012】
請求項2に記載した発明によれば、請求項1の効果に加え、例えば、シャワーの使用を一旦止めてシャワーヘッドをシャワー掛けに係止した場合に、収容部の中に残留している原水が、出水孔を介してより下方のシャワー出口から自重により排出されるため、機能剤が残留している原水中に浸され続けることがなく、機能剤が無駄に溶出して消費されることがない。したがって、シャワーの使用再開直後であっても機能剤が適量溶出した水をシャワー出口から放出することができる効果がある。
【0013】
請求項3に記載した発明によれば、請求項1または2の効果に加え、前記シャワーヘッドの開口部から収容部を容易に出し入れすることができるため、例えば、機能剤の交換作業や補充作業の負担を軽減することができる。
【0014】
請求項4に記載した発明によれば、請求項3の効果に加え、シャワーヘッドの蓋によって収容部に導入された原水を攪拌流にすることができるため、簡単な構造で機能剤を攪拌することができ、したがって、シャワーヘッド形状の制約を低減して意匠性を向上することができる効果がある。
【0015】
請求項5に記載した発明によれば、請求項1乃至4の何れか一項の効果に加え、浄化手段によって浄化された原水を収容部に導入することができるため、浄化していない原水の場合と同量の機能剤であってもより芳香作用や、保湿作用などを際立たせることが可能となる効果がある。
【0016】
請求項6に記載した発明によれば、請求項1乃至5の何れか一項の効果に加え、収容部内の原水をより確実に攪拌流にすることができるため、収容部内で機能剤がより均一に攪拌され、この結果、さらに原水への機能剤の溶出を促進することができる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、この発明の実施の形態を図1から図10に基づいて説明する。
図1〜図9おいて、1はこの実施の形態のシャワー器具を構成するシャワーヘッドを示している。このシャワーヘッド1は、主にヘッド本体2とジョイント部3と蓋4とで構成されている。なお、図1,2,4,6〜9において、紙面の上下方向を、シャワーヘッド1の上下方向として説明する。
【0018】
ヘッド本体2は、断面略円形の筒状に形成されており、その周壁2aがジョイント部3との接続部分から上方に向って徐々に拡径して形成されている。この周壁2a上部の一側には複数の小孔で構成されたシャワー出口5が形成されており、このシャワー出口5の若干下方から周壁2aの中心となる軸線Lが徐々にシャワー出口5側に向かって湾曲するように形成されている(図1参照)。そのため、シャワー出口5が配置されている側の周壁2aが下方に向くような傾斜となっている。
【0019】
また、図8,9に示すように、ヘッド本体2の周壁2aは上方に向かって拡径するにつれて周壁2aの厚さが徐々に増加し、ヘッド本体2の上部開口部(開口部)26の周縁が最も肉厚となっている(図8参照)。一方、ヘッド本体2の内部には、このヘッド本体2の内部を上下に仕切る隔壁7が形成され、この隔壁7の中央部分に孔8が形成されている。なお、ヘッド本体2の形状は、断面略円形で上方に向かって徐々に拡径する形状に限るものではなく、基本的に表面積が必要となるシャワー出口5が配置される上部よりも、使用者がグリップする部分である下部の断面が小径に形成されていれば良い。
【0020】
ジョイント部3は、原水である水道水をシャワーヘッド1に供給するための給水ホース9をヘッド本体2に接続するものであり、このジョイント部3の下部は、給水ホース9を挿入可能なホース導入通路10が形成された略筒状になっている。一方、ジョイント部3の外径はヘッド本体2の下端の外径と略同径に形成されており、ジョイント部3とヘッド本体2とのお互いの外周面が面一となっている。ジョイント部3の外周面には、このジョイント部3とヘッド本体2との接続部よりも若干下方に突起3aが形成されており、この突起3aがシャワーヘッド1を持った手に引っかかる滑り止めになっている。
【0021】
ジョイント部3の上部には、ヘッド本体2の下部開口部11に嵌合する嵌合部12が形成され、さらに、この嵌合部12の中央部分には上方に突出する凸部13が形成されている。このジョイント部3の上部には、上下方向に沿って導入通路14が形成されており、この導入通路14がホース導入通路10と連通している。ジョイント部3とヘッド本体2とが接続された状態では、ジョイント部3の凸部13の上面と、隔壁7の下面とが当接し、導入通路14と孔8とが連通するようになる。ここで、ホース導入通路10の上部には、ホース導入通路10の下部よりも若干大径な空間部分Sが形成されており、例えば、空間部分Sを備えたホース導入通路10の上部と、ホース導入通路10の下部との間に形成された段差部分によって給水ホース9の端部が図示しないリング状の金具などを用いて係止されるようになっている。
【0022】
ここで、前述したジョイント部3とヘッド本体2との接続方法としては、単にジョイント部3の嵌合部12をヘッド本体2の下部開口部11に挿入して固定する構成以外、種々の接続方式が採用でき、例えば、嵌合部12の外周に雄ねじ、下部開口部11に雌ねじを形成して螺合して接続したり、嵌合部12と下部開口部11のうち、一方に爪部、他方に凹部を設けて、嵌合部12を下部開口部11に挿入した際に爪部を凹部に係止させて接続しても良く、また、前記凹部を環状に形成してジョイント部3を回動可能に構成しても良く、このように回動自在に構成することで給水ホース9のねじれを防止することができる。なお、嵌合部12と接続されるヘッド本体2の下部開口部11には、漏水防止用のOリング15が取り付けられている。
【0023】
一方、隔壁7で仕切られたヘッド本体2の上部には、浄水カートリッジ(浄化手段)18が着脱自在に収容されている。この浄水カートリッジ18は上方に向かって突設された浄水出口16と、下方に向かって突設された原水入口17とを備えたヘッド本体2の長手方向に沿う筒状に形成されている。そして、この浄水カートリッジ18の浄水出口16の上端の位置が、シャワー出口5の上縁の位置と略同じ高さに設定されている。ここで、浄水カートリッジ18は、その内部に塩素中和剤である粉状または粒状のアスコルビン酸および亜硫酸カルシウム、さらには、吸着材である活性炭などが収容されており、原水入口17から浄水カートリッジ18に導入された水道水は、塩素中和剤によって塩素が中和され、さらに、残留した塩素や雑菌などが活性炭などの吸着材で吸着除去されて浄水出口16から流出することとなる。なお、浄水カートリッジ18内部には、原水入口17と浄水出口16とを介して塩素中和剤や吸着材の粉体や粒体が浄水カートリッジ18の外部に漏れ出さないようにフィルタ(図示せず)が設けられている。
【0024】
ここで、浄水カートリッジ18の原水入口17は前述した隔壁7の孔8に嵌合するようになっている。この原水入口17は下方に向かって縮径して形成されており、一方、孔8は上方に向かって拡径して形成され、原水入口17を孔8内にスムーズに案内することができるようになっている。また、ヘッド本体2の下部内周面には、この周方向の所定間隔に、ヘッド本体2の長手方向に沿う複数のリブ19が形成され、さらに、このリブ19の上端には、ヘッド本体2の内側に向かって低くなる傾斜が形成されており、浄水カートリッジ18がスムーズに案内されるようになっている。なお、浄水カートリッジ18内部に亜硫酸カルシウムを用いる場合、図示しないバイパス路を用いて、シャワー出口5の直前に原水である水道水を合流させることで、未反応分の亜硫酸カルシウムを水道水中の塩素と反応させることができるため、亜硫酸カルシウムの反応効率を向上することができ、この結果、浄水カートリッジ18の交換寿命を延ばせる点で好適である。
【0025】
ところで、浄水カートリッジ18の上端には、上方に開口した凹状のカゴ20が着脱自在に取り付けられている。このカゴ20は、蓋4とともに収容部33を構成するものであり、芳香剤、保湿剤、清涼剤などのいわゆる機能剤のうち、とりわけリラクゼーション機能を有した、ヒアルロン酸、コラーゲン、ビタミンC等の成分を含んだ水溶性のカプセル(例えば、直径5mm程度)が収容可能になっている。ここで、水溶性のカプセルCは、カプセルC内に含まれる成分を水中に溶出させて、1回(例えば、10〜20分程度を想定)のシャワーの使用で使い切るように設定されている。なお、カプセルCを使い切る時間はシャワー1回分相当の時間に限られるものではなく2回分以上に相当する時間から適宜設定しても良いが、衛生面を考慮すると、1回のシャワーで使い切るのが好適である。
【0026】
収容部33をより具体的に説明すると、カゴ20の下部には、浄水カートリッジ18の浄水出口16に対応する位置に、浄水出口16と嵌合する嵌合孔(導入口)23が形成されており、この嵌合孔23の周縁に嵌合孔23を補強するためのリング状のリブ24が形成されている。また、このカゴ20の上端部分は、ヘッド本体2の上部開口部の直径よりも若干大きいリング状のフランジ部21を備えており、このフランジ部21が、ヘッド本体2の上端の内周側で係止されるようになっている。
【0027】
そして、図10(a)〜(c)に示すように、カゴ20の凹状に形成された主壁部22は、その上部のフランジ部21から下部の嵌合孔23に渡って外側に向かって凸となる断面略弧状を呈しており、この断面略弧状の部分に、複数の出水孔25が形成されている。収容部33は、出水孔25の位置がシャワー出口5の下端よりも上方位置となるように配置されており、例えば、図示しないシャワー掛けにシャワーヘッドを係止させた縦置き状態でシャワーの使用を停止した場合に、収容部33内の水が自重によって出水孔25を経由してシャワー出口5から排出されるようになっている。
【0028】
また、カゴ20の複数の出水孔25は、孔の断面がひょうたん形状を呈するものと、略楕円形状を呈するものとが混在しており、これらひょうたん形状および略楕円形状に形成された出水孔25の長手方向が、嵌合孔23を中心に放射状となるように配置されている。なお、出水孔25の形状はひょうたん形状、略楕円形状に限るものではない。また、カゴ20の主壁部22に出水孔25を形成するように構成したが、カゴ20を構成する周壁全体を網目状のもので構成するようにしても良い。
【0029】
図8,9に示すように、前述したヘッド本体2には、前述したカゴ20とともに機能剤の収容部33を構成し、この上部開口部26を閉塞する蓋4が着脱自在に設けられている。より具体的には、この蓋4のヘッド本体2への取り付け方法はねじ込み式となっており、上部開口部26の周縁の外径と略同径の円盤状の主板部(攪拌手段)28と、この主板部28の内面の周縁からヘッド本体2側に突出したリング状の凸部29とで構成されている。このリング状の凸部29の内周面には、図示しない雌ねじ部が形成され、一方、上部開口部26の周縁のヘッド本体2には、前述したフランジ部21が当接するリング状の凸部30が形成され、この凸部30の外周面に図示しない雄ねじ部が形成されている。そして、蓋4の雌ねじ部をヘッド本体2の雄ねじ部に螺合することで、蓋4をヘッド本体2に取り付けて上部開口部26を蓋4で閉塞するようにしている。ここで、蓋4をヘッド本体2に取り付けることで、凸部29の上面と、蓋4の内面とによってフランジ部21が挟持され、この結果、蓋4によってカゴ20の上部開口部も閉塞されることとなる。なお、ヘッド本体2への蓋4の取付方法は上記ねじ込み式に限るものではなく、蓋4が着脱可能に構成されていればよく、例えば、凸部29の内側に凸部30を単に嵌合させて固定するようにしても良い。
【0030】
さらに、蓋4の主板部28の内面には、浄水カートリッジ18の浄水出口16と対向する位置、すなわち浄水出口16から流出する水の流出方向と蓋4の内面とが交わる位置に、略球面状の整流部(整流手段)31が突設されている。この整流部31は、浄水出口16から流出する水の向きを変更して、この整流部31を中心に放射状に均一に分流させるためのものである。より具体的には、この整流部31は、浄水出口16から流出する断面略円形の水柱の中心軸と交わる部分が主板部28から最も突出して形成され、略球面上の部分から放射状に徐々に傾斜が緩やかになって、この傾斜が主板部内面に収束するように形成されている。
【0031】
ここで、上述した実施の形態のシャワーヘッド1では、カゴ20と、このカゴ20の上部開口部に開閉自在に設けられた蓋4とで収容部33を構成し、蓋4を開閉することで機能剤を補充・交換するいわゆる開閉式のものについて説明したが、他の態様として、例えば、所望の機能剤を予め収容したカゴ20に蓋4を外れないように固定した、いわゆるカートリッジ式のものをヘッド本体2に着脱自在に設け、このカートリッジ式の収容部33を着脱することで機能剤を交換するようにしても良い。
【0032】
また、上述した実施の形態では、蓋4によってシャワーヘッド1とカゴ20との両方の上部開口部を同時に閉塞するように構成したが、個別の蓋で閉塞するようにしても良い。具体的には、蓋4の主板部28と整流部31と同様の機能を備えた専用の蓋でカゴ20を閉塞して収容部33を構成するとともに、蓋4から整流部31を除いた専用の蓋でヘッド本体2の上部開口部26を閉塞するようにしてもよい。この場合、収容部33を開閉式またはカートリッジ式から適宜選択して採用できるのは言うまでもない。
【0033】
次に、上述したシャワーヘッド1の作用を説明する。
まず、図示しない水道を開栓すると、給水ホース9を介してシャワーヘッド1に水道水が供給される。この供給された水道水は、ジョイント部3の導入通路14、原水入口17を経由して浄水カートリッジ18に導入される。そして、浄水カートリッジ18内では、導入された水道水が浄水カートリッジ18内に収容された塩素中和剤と触れることで、塩素中和剤が水道水中に溶出して水道水の塩素が中和され、さらに活性炭によって水道水中の雑菌などが除去されて、この浄化された水が浄水出口16から流出する。
【0034】
次に、浄水出口16から流出する水は、水道の水圧で収容部33内に噴射されて、蓋4の内面に形成された整流部31に接触して整流部31を中心に放射状に蓋4の内面に沿って均一に分散して収容部33の外側に向かって流れる。そして、この蓋4に沿って流れた水は主壁部22の内面に接触することで、その流れの向きを変えて、今度は主壁部22に沿って収容部33の内側の浄水出口16に向けて流れることとなる。この浄水出口16に向かう流水の一部は主壁部22の途中に形成された出水孔25から流出することとなる。
【0035】
そして、浄水出口16に向かう流水は、浄水出口16から導入される水に合流して再び整流部31に当たることとなり、水道を閉栓するまで上述の工程が繰り返される。つまり、カゴ20と蓋4とで構成される収容部33内に水溶性の機能剤のカプセルCを収容することで、機能剤のカプセルCは、水流に乗って一箇所に留まることなく攪拌されることとなる。ここで、機能剤のカプセルCを攪拌することから上述した収容部33内の水の流れを攪拌流と称する。
【0036】
攪拌されながら機能剤のカプセルCは浄水出口16から供給される水と十分に接触して機能剤の成分が適度に溶出する。この機能剤の成分が適度に含まれる水は、出水孔25からヘッド本体2の内部空間に流出し、ヘッド本体2の周壁2aに設けられたシャワー出口5からシャワーヘッド1の外部に流出することとなる。
【0037】
したがって、上述した実施の形態によれば、シャワーヘッド1に導入された水道水が収容部33内に流入したのち主板部28の整流部31に当たり攪拌流になるので、収容部33内に収容された機能剤のカプセルCが攪拌されて、例えば、収容部33の浄水出口16側に機能剤のカプセルCが偏るのを防止することができ、圧損によって放水流量が低下するのを防止することができる。また、カプセルCが攪拌されることで、ショートパスが発生しないので水流が必ずカプセルCと接触し、シャワー出口5から放出される水に機能剤を十分に溶出させることができる。
【0038】
また、カゴ20の出水孔25の位置がシャワー出口5の下端よりも上方位置となるように配置されているので、水道を閉栓してシャワーヘッド1の使用を一旦止めて例えばシャワー掛けに係止させた場合、収容部33の中に残留している水が、出水孔25よりも下方に位置したシャワー出口5の小孔から自重により排出されて、機能剤のカプセルCが滞留した水に浸され続けることがないため、機能剤が無駄に溶出して消費されるようなことがなく、さらに、シャワーヘッド1の使用を再開した直後であっても機能剤の成分を適量含む水をシャワー出口から放出させることができる。
【0039】
さらに、ヘッド本体2の上部開口部26から収容部33のカゴ20を容易に出し入れすることができるため、例えば、家族など複数人でシャワーヘッド1を共用する場合であっても、芳香剤の種類や保湿剤の有無など使用者毎の好みに従って、機能剤のカプセルCを容易に交換することができ、この結果、シャワーヘッド1の中程に収容部33が配置されている場合と比較して、交換作業や補充作業の負担を大幅に軽減することができる。
【0040】
そして、蓋4によって収容部33に導入された水を攪拌流にすることができるため、例えば、収容部33に流入方向の異なる複数の入り口を設けて収容部33内部の水を攪拌する場合と比較して、構造が単純になるため、シャワーヘッド形状の制約を低減して意匠性を向上させることができる。
【0041】
また、浄水カートリッジ18によって浄化された水を収容部33に導入することで浄化していない水道水に同量の機能剤を添加した場合よりも芳香作用や、保湿作用などをより際立たせることが可能となるため、リラクゼーション効果の向上を図ることができる。
【0042】
さらに、整流部31によって収容部33内に導入された水に均一な攪拌流を付与することができるため、収容部33内で機能剤のカプセルCがより均一に攪拌され、この結果、水への機能剤の溶出を促進することが可能となる。
【0043】
なお、上述した実施の形態に限られるものではなく、例えば、シャワーヘッド1よりも上流側に浄水器が設けられる場合など、浄水カートリッジ18を省略して単に流路を形成するようにしても良い。このように浄水カートリッジ18を省略した場合には、浄水カートリッジ18をヘッド本体2から出し入れする必要がなくなるので、ヘッド本体2からカゴ20が外れないようにしても良い。
【0044】
また、蓋4の主板部28の内面に整流部31を形成した場合について説明したが、整流部31を省略して浄水出口16から導入される水を主板部28の内面に直接当てるように構成してもよい。そして、整流部31は略球面状に形成するものに限られず、収容部33内に噴出する水柱の中心から放射状に形成されていれば、例えば円錐状の突起や、放射状のスリットなどを主板部28の内面に形成しても良い。さらに、シャワーヘッド1に水道水を直接供給する場合について説明したが、湯沸し器や浄水器を経由して供給するようにしても良いことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】この発明の実施の形態のシャワーヘッドの斜視図である。
【図2】この発明の実施の形態のシャワーヘッドの背面図である。
【図3】この発明の実施の形態のシャワーヘッドの上面図である。
【図4】この発明の実施の形態のシャワーヘッドの正面図である。
【図5】この発明の実施の形態のシャワーヘッドの下面図である。
【図6】この発明の実施の形態のシャワーヘッドの左側面図である。
【図7】この発明の実施の形態のシャワーヘッドの右側面図である。
【図8】この発明の実施の形態の図4のA−A線に沿うシャワーヘッドの断面図である。
【図9】この発明の実施の形態の図6のB−B線に沿うシャワーヘッドの断面図である。
【図10】この発明の実施の形態のカゴを示す図であり、(a)は上面図、(b)は(a)をC方向から見た矢視図、(c)は(a)をD方向から見た矢視図である。
【符号の説明】
【0046】
1 シャワーヘッド
4 蓋
5 シャワー出口
18 浄水カートリッジ(浄化手段)
23 嵌合孔(導入口)
25 出水孔
26 上部開口部(開口部)
28 主板部(攪拌手段)
31 整流部(整流手段)
33 収容部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャワーヘッドの流路の途中に機能剤を収容可能な収容部が設けられ、前記機能剤を収容した前記収容部に原水を流過させることで前記機能剤の成分を前記原水中に溶出させるシャワー器具であって、
前記収容部には、該収容部の導入口から流入した原水の向きを変更して該原水を攪拌流にする攪拌手段が設けられていることを特徴とするシャワー器具。
【請求項2】
前記収容部の下面には、前記導入口と前記シャワーヘッドのシャワー出口に通ずる出水孔とが設けられ、該出水孔が前記シャワー出口の下端よりも上方位置となるように前記収容部が配置されていることを特徴とする請求項1に記載のシャワー器具。
【請求項3】
前記収容部は、前記シャワーヘッドに着脱自在に設けられ、該シャワーヘッドの上部に前記収容部を出し入れする開口部が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のシャワー器具。
【請求項4】
前記攪拌手段は、前記シャワーヘッドの開口部を閉塞する蓋であることを特徴とする請求項3に記載のシャワー器具。
【請求項5】
前記収容部の上流側には、原水を浄化する浄化手段が設けられていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載のシャワー器具。
【請求項6】
前記攪拌手段には、前記収容部内での攪拌流の偏りを防止する整流手段が設けられていることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載のシャワー器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−289269(P2007−289269A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−118196(P2006−118196)
【出願日】平成18年4月21日(2006.4.21)
【出願人】(504346204)エムアールシー・ホームプロダクツ株式会社 (57)
【Fターム(参考)】