説明

シャワー装置

【課題】大粒の雨を浴びているような量感のある浴び心地のシャワーを享受させることができると共に、全ての散水孔から安定して吐水することが可能なシャワー装置を提供する。
【解決手段】シャワー装置F2は、給水部31と、給水部の下流側に設けられ、通過する水を下流側に噴射するための絞り部32と、絞り部を通って噴射される水に空気を混入させて気泡混入水と成すための開口331が形成されている空気混入部33と、気泡混入水を吐出するための複数の散水孔343が形成されている散水部34と、を備え、空気混入部において絞り部から噴射された水の噴射方向に直交する断面積を、散水部において前記散水孔が形成されている面に沿った方向において変化させることで、絞り部側で狭くなるように形成する断面積変化手段を有する減速手段とを備え、減速手段によって発生した速度分布を平準化させるための速度分散手段を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャワー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この技術分野において、いわゆるエジェクタ効果を利用して水に空気を混入させ、気泡混入水と成して吐出するシャワー装置が知られている。シャワー装置は、その装置内に流入した水を複数の散水孔に分散して吐水するものであるから、吐水に空気を混入させる場合には、装置内に流入した水に空気を混入させてから各散水孔に分散させるように構成されている。
【0003】
このようなシャワー装置の一例として、下記特許文献1に記載されているようなシャワー装置が提案されている。下記特許文献1に記載されているシャワー装置は、円盤状のハウジングシェルの前面に複数の散水孔が設けられており、ハウジングシェルの後面の中央から流入させた水をそれら複数の散水孔に分配して吐出するものである。このシャワー装置では、ハウジングシェルに水が流入してから空気を混入させて気泡混入水とし、この気泡混入水を円盤状のハウジングシェルの前面全体に分布するように形成されている複数の散水孔に分配するものであるので、気泡混入水の進行方向に乱流発生拡張部を配置し、この乱流発生拡張部に気泡混入水を衝突させて方向を転換させ、気泡混入水をハウジングシェルの前面全体に行き渡るようにしている。
【0004】
また、このようなシャワー装置の別な一例として、下記特許文献2に記載されているようなシャワー装置も提案されている。下記特許文献2に記載されているシャワー装置は、湯水混合栓等のコックを開くと、ホースから水が供給されてオリフィス部材内を水が通過する。このとき、オリフィス部材の下流側に設けられている減圧室においては減圧状態が形成されるので、この減圧室内に開口した内側吸引口から空気が吸引され、水と空気とが混合される。下記特許文献2に記載されているシャワー装置はこのようにして気泡混入水を生成し、シャワーヘッドに設けられた複数の散水孔から吐出するものである。このシャワー装置では、生成後の気泡混入水は、減圧室の下流側に設けられている区画管内のネジ部材や更にその下流側のシャワーヘッド内壁に当たって方向が転換されながら散水孔に向かっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2006−509629号公報
【特許文献2】特許第3747323号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、水に空気を混入させ気泡混入水と成してシャワー吐水を行うにあたって、その気泡混入水が使用者に当たった際の使用感をどのように設定するかは、シャワーを浴びる使用者が感じる質感として重要なものである。上記特許文献2に記載のシャワー装置では、同文献の段落0015に記載されているように、途切れ途切れに水が使用者に当たる感覚を実現するためのものである。この「途切れ途切れ」とは、不均一な粒径に粒化された水滴が使用者に当たることで、大きな粒径の水滴が当たれば強い水浴び感を使用者に与え、小さな粒径の水滴が当たれば弱い水浴び感を使用者に与えることになり、これら水浴び感の強弱を断続的に使用者に与えることができることを表現しているものと思われる。本発明者らの具体的な考察によれば、生成直後の気泡混入水は水に対して空気が略均一に混入されていると推察されるところ、生成後の気泡混入水がネジ部材やシャワーヘッド内壁に当たって方向が転換されることで気泡同士の衝突が発生し、散水孔に到達した段階では気泡径が不均一になっているものと考えられる。そして、このような気泡混入水を散水孔から吐出することで不均一な粒径の水滴となし、それら不均一な粒径の水滴を使用者に当てることで上述したような感覚を実現しているものと考えられる。
【0007】
一方、上記特許文献1に記載のシャワー装置によって吐出される気泡混入水の性状については同文献に記載がないが、上記特許文献2に記載のシャワー装置同様に気泡径が不均一な気泡混入水を散水孔に供給し吐出することで不均一な粒径の水滴となし、それら不均一な粒径の水滴を使用者に当てているものと考えられる。上記特許文献1に記載のシャワー装置は、気泡混入水の進行方向に乱流発生拡張部を配置し、この乱流発生拡張部に気泡混入水を衝突させて方向を転換させていることからして、上記特許文献2に記載のシャワー装置においても同様の不均一な気泡成長が起こっており、不均一な粒径の水滴を使用者に当てているものと考えられるからである。
【0008】
本発明者らはこのような状況に対して、大粒の雨を浴びているような量感のある心地良い浴び心地のシャワー吐水を可能とするシャワー装置を提供しようと考えた。これに対して上述した従来の技術では、既述の通り不均一な粒径の水滴が使用者に当たる感覚を実現するものであるから、大粒の雨を浴びているような量感のある浴び心地のシャワー吐水を提供するものではなかった。
【0009】
本発明者らはこの新しい浴び心地のシャワー吐水を提供するため、散水孔内及び散水孔から吐出された直後の気泡混入水の状態に着目した。散水孔内及び散水孔から吐出された直後の気泡混入水は、気体と液体という異なった2種類の流体が同一流路管内に混在・移動している気液二相流の状態にあるから、代表的な流動様式である気泡流・スラグ流・環状流のいずれかの流動様式で流動しているものと考えられる。これら流動様式はそれぞれ気泡の混在状態が異なることから、散水孔から吐出された後の粒化の状態は異なるものと考えられる。そこで本発明者らは、上述した従来の技術では、散水孔に供給される気泡混入水の気泡径が不均一であるため、これら気泡流・スラグ流・環状流が混在した状態で気泡混入水が吐出され、結果として不均一な粒径の水滴が使用者に当たる感覚となってしまっているのではないかと仮定し、散水孔に供給する気泡混入水の気泡径を均一なものとなるように制御することが必要だと考えた。
【0010】
しかしながら、シャワー装置に水を供給する際には通常一つの供給口から供給するものであり、そのように一つの供給口から供給される水に対して空気を混入させて気泡混入水を生成するものである。これに対して、散水孔は多数設けられるものであるから、気泡混入水の進行方向を転換して各散水孔に分配する際に気泡混入水に刺激を与えることになってしまい、気泡を成長させずに各散水孔から吐出させることは極めて困難である。
【0011】
本発明者らはこのような課題を解決し、気泡径を極力均一に保った気泡混入水を散水孔に供給することで、比較的大きく均一な粒径に粒化された水滴を連続して使用者に着水させ、使用者は大粒の雨を浴びているような量感のある浴び心地のシャワーを享受することができるシャワー装置を提供することを目的として本発明の基本構想に想到したものである。
【0012】
このように本発明者らが想到したシャワー装置は、気泡径を極力均一に保った気泡混入水を散水孔に供給することで、比較的大きく均一な粒径に粒化された水滴を連続して使用者に着水させ、使用者は大粒の雨を浴びているような量感のある浴び心地のシャワーを享受することができるものである。具体的には、水を供給するための給水部と、前記給水部の下流側に設けられ、前記給水部よりも流路断面積を減少させ、通過する水を下流側に噴射するための絞り部と、前記絞り部の下流側に設けられ、前記絞り部を通って噴射される水に空気を混入させて気泡混入水と成すための開口が形成されている空気混入部と、前記空気混入部の下流側に設けられ、気泡混入水を吐出するための複数の散水孔が形成されている散水部とを備えるものである。さらに、空気混入部及び散水部に一時的に貯留される水と空気との気液界面に突入した水を、複数の散水孔の中で最も空気混入部側に形成されてなる最前列散水孔に到達するまでの間に減速させるための減速手段を備え、その減速手段が、空気混入部において絞り部から噴射された水の噴射方向に直交する断面積を、散水部において散水孔が形成されている面に沿った方向において変化させ、絞り部側で狭くなるように構成することで、散水部に形成されている複数の散水孔の中で空気混入部側に配置されている散水孔から水が吐出され難くなるという課題をも解決した優れたシャワー装置である。
【0013】
しかしながらこのような構成を採用することで、散水部に形成されている複数の散水孔の中で中央側に配置されている散水孔から水が吐出され難くなるという従来には無かった新たな課題を見出した。
【0014】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、気泡径を極力均一に保った気泡混入水を散水孔に供給することで、比較的大きく均一な粒径に粒化された水滴を連続して使用者に着水させ、使用者は大粒の雨を浴びているような量感のある浴び心地のシャワーを享受することができると共に、全ての散水孔から安定して吐水することが可能なシャワー装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するために本発明に係るシャワー装置は、空気を混入させた気泡混入水を吐出するシャワー装置であって、水を供給するための給水部と、前記給水部の下流側に設けられ、前記給水部よりも流路断面積を減少させ、通過する水を下流側に噴射するための絞り部と、前記絞り部の下流側に設けられ、前記絞り部を通って噴射される水に空気を混入させて気泡混入水と成すための開口が形成されている空気混入部と、前記空気混入部の下流側に設けられ、気泡混入水を吐出するための複数の散水孔が、前記絞り部から噴射される水の噴射方向に沿って形成されている散水部と、前記空気混入部及び前記散水部に一時的に貯留される水と空気との気液界面に前記絞り部から噴射された水が突入することで気泡混入水が生成されるものであって、その気液界面に突入した水を、前記複数の散水孔の中で最も前記空気混入部側に形成されてなる最前列散水孔に到達するまでの間に減速させるための減速手段と、を備え、前記減速手段は、前記空気混入部において前記絞り部から噴射された水の噴射方向に直交する断面積を、前記散水部において前記散水孔が形成されている面に沿った方向において変化させることで、前記絞り部側で狭くなるように形成する断面積変化手段を有し、さらに、前記断面積変化手段によって水を減速させることで、水の噴射方向に直交し、かつ、散水孔が形成されている面に沿った方向に発生した水の速度分布を平準化させるために、水の速度が速いほうから水の速度が遅いほうへ水の速度を分散させる速度分散手段を備えることを特徴とする。
【0016】
本発明においては、給水部から供給される水が絞り部を通って空気混入部及び散水部に向けて噴射され、空気混入部及び散水部に一時的に貯留された水が散水部の複数の散水孔から外部へと吐出される。絞り部を通って噴射される水は、空気混入部に形成されている開口から取り込まれた空気を伴って、空気混入部及び散水部に一時的に貯留された水と空気との気液界面に突入することで気泡混入水となり、散水部の複数の散水孔から散水される。
【0017】
絞り部を通って噴射された水が気液界面に突入して気泡混入水となる段階では、気泡混入水中の気泡は略均一な径となるように構成できるので、気泡混入水はその略均一な気泡径のまま散水孔が形成された位置まで到達することができる。このように略均一な気泡径の気泡を含む気泡混入水が散水孔に供給されると、散水孔内及び散水孔から吐出された直後において気泡流又はスラグ流を形成することができる。このように略均一な気泡径の気泡を含み気泡流又はスラグ流として形成される気泡混入水が散水孔から吐出されると、環状流のようにミスト化することなく、吐出方向と略直交する方向にせん断されて略均一に粒化される。従って、比較的大きく均一な粒径に粒化された水滴が連続して使用者に着水し、使用者は大粒の雨を浴びているような量感のある浴び心地のシャワーを享受することができる。
【0018】
また本発明では、絞り部を通って噴射され気液界面に突入した水が、減速手段によって、複数の散水孔の中で最も空気混入部側に形成されてなる最前列散水孔に到達するまでの間に減速させられるように構成されているので、気液界面に突入した水が、そのままの勢いで手前側に形成されている最前列散水孔を通り過ぎてしまうような状態を確実に回避することができる。従って、気液界面に突入することで生成された気泡混入水は、最前列散水孔に到達するまでに最前列散水孔から吐出されることが可能なように十分に減速され、最前列散水孔を含む全ての散水孔から安定的に満遍なく水を吐出することができる。
【0019】
また本発明では、空気混入部において絞り部から噴射された水の噴射方向に直交する断面積を絞り部側で狭くなるように形成されてなる断面積変化手段によって減速手段を構成しているので、その狭くなる部分において、絞り部から噴射された水が散水部に一時的に貯留されることによって形成される気液界面を更に絞り部側に向かわないように押しとどめることができる。従って、気液界面を絞り部と散水部に形成された最前列散水孔との間に確実に位置させると共に、気液界面に突入した水を最前列散水孔に到達するまでに確実に減速させることが可能となり、最前列散水孔を含む全ての散水孔から確実に吐水させることができる。
【0020】
また本発明では、空気混入部の水の噴射方向に直交する断面積を、散水孔が形成されている面に沿った方向において変化させることで断面積変化手段を構成しているので、気液界面に突入した水が減速される際の流れ方向が、散水孔が形成されている面に沿った方向となり、散水孔が形成されている面に交わる方向ではなくなるため、散水孔が形成されている面に交わる方向に水の流れが発生し難くなる。従って、散水部に形成されている散水孔に満遍なく水が行き渡りやすくなって、例えば最前列散水孔が形成されている領域で吐水方向に向かわない水の流れができてしまい最前列散水孔を飛び越えてしまうような水の流れができ難くなるため、最前列散水孔を含む全ての散水孔から確実に吐水させることができる。
【0021】
更に本発明では、減速手段として空気混入部の水の噴射方向に直交する断面積を、散水孔が形成されている面に沿った方向において変化させることで、水の噴射方向に直交する断面積を絞り部側で狭くなるように形成された断面積変化手段を採用しているために、気液界面に突入した水が散水部に到達するまでの間に、水の噴射方向に直交し、かつ、散水孔が形成されている面に沿った方向において、中央側で速度が速くなり側端側で速度が遅くなるという速度分布を持つようになるが、その速度分布を平準化させるために水の速度が速いほうから水の速度が遅いほうへ水の速度を分散させるように構成されているので、気液界面に突入した水を水の噴射方向に直交し、かつ、散水孔が形成されている面に沿った方向の中央側においても確実に減速させることができる。従って、散水部に形成されている散水孔に満遍なく水が行き渡りやすくなって、散水部の中央側に配置される散水孔を含む全ての散水孔から安定的に満遍なく水を吐出することができる。
【0022】
また本発明にかかるシャワー装置では、前記速度分散手段は、水の噴射方向に直交し、かつ、散水孔が形成されている面に沿った方向の中央側で、流路を狭めることによって水の速度を分散させるように構成されていることも好ましい。
【0023】
この好ましい態様では、水の噴射方向に直交し、かつ、散水孔が形成されている面に沿った方向の中央側で、流路を狭めることによって水の速度を分散させるように構成されているので、水の速度の速い中央側から側端側に向かって、確実に水の速度が分散される。
【0024】
また本発明にかかるシャワー装置では、前記速度分散手段は、水の噴射方向に直交し、かつ、散水孔が形成されている面に沿った方向の中央側で、側端側よりも流路を狭める割合を大きくすることによって水の速度を分散させるように構成されていることも好ましい。
【0025】
この好ましい態様では、水の噴射方向に直交し、かつ、散水孔が形成されている面に沿った方向の中央側で、側端側よりも流路を狭める割合を大きくするので、水の速度の速い中央側では確実に側端側に向かって水の速度が分散されるとともに、側端側では中央側から分散されてきた水の速度を吸収できるので、水の噴射方向への流れを大きく乱すことなく水の速度を平準化でき、散水部に形成されている散水孔に満遍なく水が行き渡りやすくなって、散水部の中央側に配置される散水孔を含む全ての散水孔から安定的に満遍なく水を吐出することができる。
【0026】
また本発明にかかるシャワー装置では、前記速度分散手段は、散水部内に突出する棒状突起であることも好ましい。
【0027】
この好ましい態様では、散水部内に突出する棒状突起によって速度分散手段を構成しているので、水の噴射方向に直交し、かつ、散水孔が形成されている面に沿った方向に向かって水の速度が確実に分散される。散水孔が形成されている面に交わる方向ではなく、散水孔が形成されている面に沿った方向に向かって水の速度が分散されるので、水の噴射方向への流れを大きく乱すことなく水の速度を平準化でき、散水部に形成されている散水孔に満遍なく水が行き渡りやすくなって、散水部の中央側に配置される散水孔を含む全ての散水孔から安定的に満遍なく水を吐出することができる。
【0028】
また本発明にかかるシャワー装置では、前記棒状突起は前記絞り部に対向する側面が前記絞り部に向かう凸状を成すように形成されていることも好ましい。
【0029】
この好ましい態様では、棒状突起の絞り部に対向する側面を、絞り部に向かう凸状を成すように形成しているので、棒状突起に散水部内を進行する水流が当たって速度が分散される際の抵抗を抑制することができ、散水部に形成されている散水孔に満遍なく水が行き渡りやすくなって、散水部の中央側に配置される散水孔を含む全ての散水孔から安定的に満遍なく水を吐出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本願発明の第一実施形態に係るシャワー装置を示す図であって、(A)は平面図を示し、(B)は側面図を示し、(C)は下面図を示している。
【図2】図1の(B)におけるC−C断面を示す断面図である。
【図3】図1の(A)におけるD−D断面側から見た断面斜視図である。
【図4】図1の(A)におけるD−Dを示す図であって、シャワー装置内の水の流れを示す図である。
【図5】図2の空気混入部近傍を拡大して示す拡大断面図である。
【図6】図2の散水部近傍を拡大して示す拡大断面図である。
【図7】本発明の変形例のシャワー装置における散水部近傍を拡大して示す拡大断面図である。
【図8】図6に示す散水部をさらに拡大し、一つの棒状突起近傍を示す断面図である。
【0031】
続いて、本発明の実施形態であるシャワー装置について図1を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施形態に係るシャワー装置F2を示す図であって、図1の(A)は平面図を示し、図1の(B)は側面図を示し、図1の(C)は下面図を示している。図1の(A)に示されるように、シャワー装置F2は主に略直方体を成す本体3によって構成されており、シャワー装置F2(本体3)の上面3aには開口331が形成されている。図1の(B)に示されるように、シャワー装置F2の上面3aと対向する下面3bには複数の散水突起342が設けられている。各散水突起342には散水孔343が形成されている。図1の(C)に示されるように、本体3の下面3bには複数の散水突起342が設けられている。本実施形態の場合、散水突起342は7行×5列に35個形成されている。
【0032】
続いて、図1の(B)のC−C断面図である図2を参照しながらシャワー装置F2について説明を加える。図2に示されるように、シャワー装置F2は、給水部31と、絞り部32と、空気混入部33と、散水部34とを備えている。
【0033】
給水部31は、水を供給するための部分であって、給水口31dから導入した水を絞り部32へと供給する部分である。給水口31dには図示しない給水手段(給水ホース等)が接続可能であって、その給水手段から供給される水が給水部31から絞り部32へと供給される。給水部31は、水の進行方向に沿うように本体3の一部分としての側壁31e及び側壁31fを有しており、側壁31eと側壁31fとは互いに平行になるように配置されている。
【0034】
絞り部32は、給水部31の下流側に設けられており、給水部31よりも流路断面積を減少させ、通過する水を下流側に噴射するための部分である。絞り部32は、水の進行方向に沿うように本体3の一部分としての側壁32e及び側壁32fを有しており、側壁32eと側壁32fとは互いに平行になるように配置されている。絞り部32には、複数の絞り流路321が設けられている。絞り流路321は、側壁32eから側壁32fに向う方向に沿って二段に渡って並設されている。絞り流路321の配置の様子を図11に示す。図11は、図1の(B)のE矢視図である。図11に示すように、絞り流路321は、上段に10個が一列を成すように形成され、下段に9個が一列を成すように形成されている。下段の絞り流路321は上段の各絞り流路321の間に位置するように配置され、上段の絞り流路321と下段の各絞り流路321とは互いに最も近接する絞り流路321への距離が略同一なものとなるように交互に配置されている。換言すれば、上下段の複数段に渡って並設されている複数の絞り流路321それぞれは、隣接する段に設けられている一対の絞り流路321に対して等距離に位置するように交互に配置されている。
【0035】
図2に戻ってその他の部分の説明を続ける。空気混入部33は、絞り部32の下流側に設けられており、絞り部32を通って噴射される水に空気を混入させて気泡混入水と成すための開口331が形成されている部分である。空気混入部33は、水の進行方向に沿うように本体3の一部分としての側壁33ea,33eb及び側壁33fa,33fbを有している。側壁33eaと側壁33faとは互いに平行になるように配置されている。側壁33ebは側壁33eaの下流側に連続して設けられている壁であって、側壁33eaに繋がっている部分よりも下流側に向かって外側に流路を広げるように斜めに配置されている。同様に、側壁33fbは側壁33faの下流側に連続して設けられている壁であって、側壁33faに繋がっている部分よりも下流側に向かって外側に流路を広げるように斜めに配置されている。
【0036】
散水部34は、空気混入部33の下流側に設けられており、気泡混入水を吐出するための複数の散水孔343が形成されている部分である。散水孔343は、本体3に取り付けられる散水部材341に形成されている。散水部材341には、散水突起342が設けられており、本体3に形成されている孔(図に明示せず)を散水突起342が貫通して外部に露出している。散水部34には更に、散水部内に発生する渦流を抑制するための速度分散手段として機能する棒状突起344が設けられている。棒状突起344は、近接する散水孔343と等距離に位置するように、散水孔343の間に分散配置されている。散水孔343と棒状突起344との関係については後述する。
【0037】
図2に示すように、給水部31を構成する側壁31eと、絞り部32を構成する側壁32eと、空気混入部33の一部を構成する側壁33eaとは同一面上に位置するように配置されている。空気混入部33の残部を構成する側壁33ebは本体3の外側側面に向かうように斜めに配置され、散水部34を構成する側壁34eに繋がっている。同様に、給水部31を構成する側壁31fと、絞り部32を構成する側壁32fと、空気混入部33の一部を構成する側壁33faとは同一面上に位置するように配置されている。空気混入部33の残部を構成する側壁33fbは本体3の外側側面に向かうように斜めに配置され、散水部34を構成する側壁34fに繋がっている。
【0038】
続いて、図1の(A)のD−D断面側から見た断面斜視図である図3を参照しながらシャワー装置F2について説明を加える。図3に示されるように、給水部31は、側壁31eと側壁31fとを繋ぐ側壁31b及び側壁31cを有している。側壁31b及び側壁31cは、水が進行する方向に直交する方向に沿った長さが、側壁31e及び側壁31fよりも長くなるように形成されている。従って、給水部31は流路断面が扁平形状となるように形成されている。給水部31と絞り部32との境界部分には、前壁面31aが設けられていて、側壁31e,31f,31b,31cは前壁面31aに繋がっている。前壁面31aは、側壁31bから側壁31cに延びる部分と、側壁31cから側壁31bに延びる部分とで構成されている。
【0039】
前壁面31aを下流側に越えた領域には絞り部32が設けられている。絞り部32は、側壁32eと側壁32fとを繋ぐ側壁32b及び側壁32cを有している。側壁32b及び側壁32cは、水が進行する方向に直交する方向に沿った長さが、側壁32e及び側壁32fよりも長くなるように形成されている。従って、絞り部32の側壁32b,32c,32e,32fで囲まれた流路断面は扁平形状となるように形成されている。絞り部32と空気混入部33との境界部分には仕切壁32aが設けられていて、側壁32e,32f,32b,32cは仕切壁32aに繋がっている。仕切壁32aには、複数の貫通孔が穿たれており、それによって複数の絞り流路321が形成されている。
【0040】
仕切壁32aを下流側に越えた領域には空気混入部33が設けられている。空気混入部33は、側壁33ea,33ebと側壁33fa,33fbとを繋ぐ側壁33b、側壁33ea,33ebと側壁33fa,33fbとを繋ぐ側壁であって側壁33bと対向し相対的に側壁33bから遠い位置に配置されている側壁33c、側壁33ea,33ebと側壁33fa,33fbを繋ぐ側壁であって側壁33bと対向し相対的に側壁33bに近い位置に配置されている側壁33dを有している。側壁33cは散水部34側に、側壁33dは絞り部32側に、それぞれ配置されており側壁33cと側壁33dとを繋ぐ段差部33gが形成されている。側壁33b,33c,33dは、水が進行する方向に直交する方向に沿った長さが、側壁33ea,33eb及び側壁33fa,33fbよりも長くなるように形成されている。従って、空気混入部33は流路断面が扁平形状となるように形成されている。
【0041】
側壁33cよりも下流側の領域には散水部34が設けられている。散水部34は、側壁34eと側壁34fとを繋ぐ側壁であって、空気混入部33の側壁33bと同一面を形成する側壁34bを有している。更に散水部34は、側壁34eと側壁34fとを繋ぐ側壁であって、空気混入部33の側壁33cよりも一段後退した面を形成する側壁34cを有している。側壁34b,34c,34e,34fは、給水口31dと対向するように位置し流路の末端として機能する奥側の側壁34aに繋がっている。更に散水部34は、側壁34bと対向する本体3の部分に、側壁34cと当接するように配置される散水部材341を有している。散水部材341は、本体3に設けられた凹部に嵌め込まれており、側壁34bに対向する面は空気混入部33の側壁33cと同一面を形成するように構成されている。散水部材341は上述したように散水突起342を有しており、散水突起342の先端部分が本体3から突出するように本体3に対して取り付けられている。
【0042】
続いて、シャワー装置F1内部の水の流れについて図4を参照しながら説明する。図4は、図1の(A)のD−D断面を簡略化して示す図であって、シャワー装置F1に水を供給した際の内部の水の状態を示す図である。
【0043】
図4に示すように、給水部31に給水手段(図示しない)から水が所定圧力以上で供給されると、絞り部32に形成された絞り流路321を通って下流側に噴射される。絞り流路221から下流側の空気混入部33及び散水部34に噴射された水は、空気混入部33の側壁33b,33c,33d,33e,33f及び散水部34の側壁34b,34c,34d,34eと干渉しないように、最も遠くに位置する散水孔343までその噴射水仮想直線BW1が延びている。噴射水仮想直線BW1は、絞り部32から噴射される水の噴射方向を延伸させた仮想的な直線である。
【0044】
このように絞り部32から水が噴射されると、散水部34及び空気混入部33の少なくとも一部に一時的に水が溜まり、その溜まった水と空気との界面である気液界面BW3が形成される。従って、噴射水仮想直線BW1に沿って噴射された水が気液界面BW3から溜まった水に対して突入し、空気混入部33に存在する空気を巻き込んで気泡混入水BWが生成される。気泡混入水BWは各水流BW2に分かれて各散水孔343から外部に吐出される。空気混入部33には開口331が形成されているので、噴射水仮想直線BW1に沿って噴射された水が気液界面BW3から溜まった水に対して突入し、空気混入部33に存在する空気を巻き込んでも、空気が常に供給される状態を維持することができる。
【0045】
このように本発明の第一実施形態は、水を供給するための給水部31と、給水部31の下流側に設けられ、給水部31よりも流路断面積を減少させ、通過する水を下流側に噴射するための絞り部32と、絞り部32の下流側に設けられ、絞り部32を通って噴射される水に空気を混入させて気泡混入水BWと成すための開口331が形成されている空気混入部33と、空気混入部33の下流側に設けられ、気泡混入水BWを吐出するための複数の散水孔343が形成されている散水部34と、を備え、絞り部32から噴射される水の噴射方向を延伸させた噴射水仮想直線BW1が、空気混入部33及び散水部34を構成する内壁(側壁33b,33c,33d,33e,33f、側壁34b,34c,34e,34f、散水部材341)と干渉することなく散水孔343が形成された位置まで到達し、絞り部32から噴射される水が空気混入部33及び散水部34を構成する内壁(側壁33b,33c,33d,33e,33f、側壁34b,34c,34e,34f、散水部材341)によってはその進行方向が変えられずに散水孔343の入口に到達することで、空気を混入させた気泡混入水BWを吐出するシャワー装置F1を提供するものである。
【0046】
本実施形態においては、給水部31から供給される水が絞り部32を通って空気混入部33及び散水部34に向けて噴射され、空気混入部33及び散水部34に一時的に貯留された水が散水部33の複数の散水孔343から外部へと吐出される。絞り部32を通って噴射される水は、空気混入部33に形成されている開口331から取り込まれた空気を伴って、空気混入部33及び散水部34に一時的に貯留された水と空気との気液界面BW3に突入することで気泡混入水BWとなり、散水部34の複数の散水孔343から散水される。
【0047】
本実施形態の場合、絞り部32から噴射される水の噴射方向を延伸させた噴射水仮想直線BW1が、空気混入部33及び散水部34を構成する内壁と干渉することなく散水孔343が形成された位置まで到達するように構成されているので、絞り部32から噴射される水は空気混入部33及び散水部34を構成する内壁によってはその流れが乱されることなく散水孔343が形成された位置まで到達する。すなわち、絞り部32から噴射される水は散水孔が形成された散水面に沿って噴射されており、気泡混入水はその流れが撹拌されることなく散水孔から順次吐出されていく。
【0048】
絞り部32を通って噴射された水が気液界面BW3に突入して気泡混入水BWとなる段階では、気泡混入水BW中の気泡は略均一な径となるように構成できるので、気泡混入水BWはその略均一な気泡径のまま散水孔343が形成された位置まで到達することができる。
【0049】
このように略均一な気泡径の気泡を含む気泡混入水BWが散水孔343に供給されると、散水孔343内及び散水孔343から吐出された直後において気泡流又はスラグ流を形成することができる。このように略均一な気泡径の気泡を含み気泡流又はスラグ流として形成される気泡混入水BWが散水孔343から吐出されると、環状流のようにミスト化することなく、吐出方向と略直交する方向にせん断されて略均一に粒化される。
【0050】
散水部34には更に、空気混入部33に発生する速度分布を平準化するための速度分散手段として機能する棒状突起344が設けられている。棒状突起344は、近接する散水孔343と等距離に位置するように、散水孔343の間に分散配置されている。散水孔343と棒状突起344との位置関係を、図5を参照しながら説明する。
【0051】
図5に示されるように、散水部34内を流れる水流WFの進行方向からみて、散水孔343が列状に配置されている各列の中間に、円形断面の棒状突起344が列状に配置されている。また、水流WFの進行方向に直交する方向からみても、散水孔343が列状に配置されている各列の中間に、円形断面の棒状突起344が列状に配置されている。
【0052】
このように本発明の実施形態は、水を供給するための給水部31と、給水部31の下流側に設けられ、給水部31よりも流路断面積を減少させ、通過する水を下流側に噴射するための絞り部32と、絞り部32の下流側に設けられ、絞り部32を通って噴射される水に空気を混入させて気泡混入水と成すための開口331が形成されている空気混入部33と、空気混入部33の下流側に設けられ、気泡混入水を吐出するための複数の散水孔343が形成されている散水部34と、を備え、絞り部32から噴射される水の噴射方向を延伸させた噴射水仮想直線が、空気混入部33及び散水部34を構成する内壁(側壁33b,33c,33d,33ea,33eb,33fa,33fb、側壁34b,34c,34e,34f、散水部材341)と干渉することなく散水孔343が形成された位置まで到達するように構成され、空気を混入させた気泡混入水を吐出するシャワー装置F2を提供するものである。すなわち、絞り部32から噴射される水は散水孔が形成された散水面に沿って噴射されており、気泡混入水はその流れが乱されることなく散水孔から順次吐出されていく。
【0053】
また本実施形態に係るシャワー装置F2では、空気混入部33の構成を工夫することで、気液界面に突入した水を、複数の散水孔343の中で最も空気混入部33側に形成されている最前列散水孔343に到達するまでの間に減速させる減速手段として機能させている。具体的には、空気混入部33において絞り部32から噴射された水の噴射方向に直交する断面積を、絞り部32側で狭くなるように形成することで断面積変化手段を構成し、この断面積変化手段によって減速手段の機能を実現している。このように、空気混入部33において絞り部32から噴射された水の噴射方向に直交する断面積を絞り部32側で狭くなるように形成することで断面積変化手段を構成しているので、その狭くなる部分において、絞り部32から噴射された水が散水部34に一時的に貯留されることによって形成される気液界面を更に絞り部32側に向かわないように押しとどめることができる。従って、気液界面を絞り部32と散水部34に形成された最前列散水孔343(複数の散水孔343の中で最も絞り部32側に形成されている散水孔343の総称)との間に確実に位置させると共に、気液界面に突入した水を最前列散水孔343に到達するまでに確実に減速させることが可能となり、最前列散水孔343を含む全ての散水孔343から確実に吐水させることができる。
【0054】
また本実施形態に係るシャワー装置F2では、空気混入部33において絞り部32から噴射された水の噴射方向に直交する断面積を、散水部34において散水孔343が形成されている面(側壁34cに沿った面)に沿った方向において変化させている。このように構成することで、気液界面に突入した水が減速される際の流れ方向が、散水孔343が形成されている面に沿った方向となり、散水孔343が形成されている面に交わる方向ではなくなるため、散水孔343が形成されている面に交わる方向に水の流れが発生し難くなる。従って、散水部34に形成されている散水孔343に満遍なく水が行き渡りやすくなって、最前列散水孔343が形成されている領域で吐水方向に向かわない水の流れができてしまい最前列散水孔343を飛び越えてしまうような水の流れができ難くなるため、最前列散水孔343を含む全ての散水孔343から確実に吐水させることができる。
【0055】
また本実施形態に係るシャワー装置F2では、空気混入部33において絞り部32から噴射された水の噴射方向に直交する断面積を、徐々に変化させることで断面積変化手段を構成している。このように構成することで、空気混入部33において気液界面に突入した後の水の流れは徐々に変化する側面に沿ったものとなる。従って、空気混入部33において気液界面に突入した後の水の流れが澱んだり渦巻いたりといったように乱れ難くなり、最前列散水孔343を含む全ての散水孔343から確実に吐水させることができる。
【0056】
また本実施形態に係るシャワー装置F2では、散水部34内に棒状突起344を配置することで、気液界面に突入した水によって散水部34内に発生する水流の速度分布を抑制するための速度分散手段を構成している。この速度分散手段としての棒状突起344について詳述する。
【0057】
散水部において、壁面から受ける摩擦により、水流の中央部と側壁部に速度差が生じる。図5に示す通り、側壁部は壁面摩擦の影響により、中央部に比べ低く、散水部に向かって凸状の速度分布となっている。棒状突起344は、気液界面に突入した水によって散水部34内に発生する水流WFを小分けして分水流WF1,WF2,WF3,WF4にするものである。このように棒状突起344を構成することで散水部34内の速度分布を平準化することができる。より具体的には、気液界面に突入した水によって散水部34内に発生する水流を小分けにすることで、中央部の水流は速度が高く、小分けにされた流路を通過する際の抵抗が大きいため、速度の低く抵抗の少ない側壁部側に流れるようにすることで、中央部と側端部の速度を平準化することができる。従って、複数設けられた散水孔344に、平準化された水流が到達することで、散水孔344から均一な速度で吐水され、使用者に良好な浴び心地のシャワーを提供することができる。
【0058】
また本発明の変形例のシャワー装置における散水部近傍を拡大して示す拡大断面図を図7に示す。図7において、中央側の棒状突起444aは太く形成され、側端側の棒状突起444bは細く形成されている。すなわち、中央側で密に配置し、側壁側で疎に配置している。この態様では、水の噴射方向に直交し、かつ、散水孔が形成されている面に沿った方向の中央側で、流路を狭める割合を側端側よりも大きくすることで水の速度を分散させるように構成されているので、水の速度の速い中央側から水の速度の遅い側端側に向かって、より確実に水の速度が分散される。
【0059】
また図8に示すように、本実施形態に係るシャワー装置F2では、棒状突起344は、絞り部32に対向する側面が絞り部32に向かう凸状を成すように、具体的には円柱状に形成されている。このように構成することで、棒状突起344に散水部34内を進行する水流WFが当たって小分けされ分水流WF1,WF1,WF2,WF2となる際の抵抗を抑制することができ、散水部に形成されている散水孔に満遍なく水が行き渡りやすくなって、散水部の中央側に配置される散水孔を含む全ての散水孔から安定的に満遍なく水を吐出することができる。
【0060】
このように本実施形態に係るシャワー装置F2では、気液界面に突入した水によって散水部内に発生する水流の速度分布を平準化するための速度分散手段としての棒状突起344を備えることで、散水孔343に到達する水流の速度を平準化し、散水部に形成されている散水孔に満遍なく水が行き渡ることで、全ての散水孔から安定的に満遍なく水を吐出することができる。。上述したように本実施形態に係るシャワー装置F2では、気液界面に突入した水が一次的に散水孔343に到達するまでは空気混入部33及び散水部34を構成する内壁によってその流れが乱されることがないように構成されており、更に散水部において、水流の速度分布を平準化することができる。従って、散水部内で水流の速度分布が生じることに起因する吐水の乱れを抑制することができる。このように本実施形態に係るシャワー装置F2では散水孔343に供給される水流の速度分布を平準化することで、散水孔から均一な速度で吐水されることで良好な浴び心地のシャワーを使用者に提供できる。
【0061】
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。すなわち、これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、前述した各具体例が備える各要素およびその配置、材料、条件、形状、サイズなどは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0062】
F2:シャワー装置
3:本体
3a:上面
3b:下面
31:給水部
31a:前壁面
31b:側壁
31c:側壁
31d:給水口
31e:側壁
31f:側壁
32:絞り部
32a:仕切壁
32b:側壁
32c:側壁
32e:側壁
32f:側壁
33:空気混入部
33b:側壁
33c:側壁
33d:側壁
33ea:側壁
33eb:側壁
33fa:側壁
33fb:側壁
33g:段差部
34:散水部
34a:側壁
34b:側壁
34c:側壁
34e:側壁
34f:側壁
321:絞り流路
331:開口
341:散水部材
342:散水突起
343:散水孔
344:棒状突起
44a:側壁
44e:側壁
44f:側壁
441:開口
443:散水孔
444a:棒状突起
444b:棒状突起
BW:気泡混入水
BW1:噴射水仮想直線
BW2:水流
BW3:気液界面
WF:水流
WF1,WF2:分水流

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気を混入させた気泡混入水を吐出するシャワー装置であって、
水を供給するための給水部と、
前記給水部の下流側に設けられ、前記給水部よりも流路断面積を減少させ、通過する水を下流側に噴射するための絞り部と、前記絞り部の下流側に設けられ、前記絞り部を通って噴射される水に空気を混入させて気泡混入水と成すための開口が形成されている空気混入部と、
前記空気混入部の下流側に設けられ、気泡混入水を吐出するための複数の散水孔が、前記絞り部から噴射される水の噴射方向に沿って形成されている散水部と、
前記空気混入部及び前記散水部に一時的に貯留される水と空気との気液界面に前記絞り部から噴射された水が突入することで気泡混入水が生成されるものであって、その気液界面に突入した水を、前記複数の散水孔の中で最も前記空気混入部側に形成されてなる最前列散水孔に到達するまでの間に減速させるための減速手段と、を備え、
前記減速手段は、前記空気混入部において前記絞り部から噴射された水の噴射方向に直交する断面積を、前記散水部において前記散水孔が形成されている面に沿った方向において変化させることで、前記絞り部側で狭くなるように形成する断面積変化手段を有し、
さらに、前記断面積変化手段によって水を減速させることで、水の噴射方向に直交し、かつ、散水孔が形成されている面に沿った方向に発生した水の速度分布を平準化させるために、水の速度が速いほうから水の速度が遅いほうへ水の速度を分散させる速度分散手段を備えることを特徴とするシャワー装置。
【請求項2】
前記速度分散手段は、水の噴射方向に直交し、かつ、散水孔が形成されている面に沿った方向の中央側で、流路を狭めることによって水の速度を分散させるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のシャワー装置。
【請求項3】
前記速度分散手段は、水の噴射方向に直交し、かつ、散水孔が形成されている面に沿った方向の中央側で、側端側よりも流路を狭める割合を大きくすることによって水の速度を分散させるように構成されていることを特徴とする請求項2に記載のシャワー装置。
【請求項4】
前記速度分散手段は、散水部内に突出する棒状突起であることを特徴とする請求項2に記載のシャワー装置。
【請求項5】
前記棒状突起は前記絞り部に対向する側面が前記絞り部に向かう凸状を成すように形成されていることを特徴とする請求項4に記載のシャワー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−173084(P2011−173084A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−40238(P2010−40238)
【出願日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】