説明

シャープペンシル用チャック

【課題】加工し易く、かつ長期間使用しても芯保持力が低下することなく確実に芯5を保持することができるシャープペンシル用チャック1に適用できる。
【解決手段】芯保持部1Aが2分割され楔作用により芯5を保持するシャープペンシル用チャック1。このチャック1の芯保持部1A内面にピッチの異なる2種類のネジ溝を形成する。更に、ピッチの異なる2種類のネジ溝は、ピッチの小さい第2ネジ溝1Cよりピッチの大きい第1ネジ溝1Bの方がネジ深さが大きく構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、芯の保持を確実に行うために芯保持部内面にネジ溝を形成したシャープペンシル用チャックに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、チャックの芯保持部内面に凹凸部を形成し、かつ該凹凸部の頂部に長手方向に伸びた0.01から0.05mmの極小幅の平坦部を形成したシャープペンシル用チャックが知られている。(特許文献1参照)
【0003】
しかしながら、上記シャープペンシル用チャックのように平坦部の幅を極小にするためには、ピッチの細かいタップで下穴径をタップの谷径に近づけて加工することになるが、タップの切削抵抗が大きくなり、タップが折れたり摩耗してしまい、芯保持部の頂部を平坦でかつ角部を鋭角に形成する為には、頻繁にタップを取り換えなければならず、コスト高になってしまうものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3007446号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
解決しようとする問題点は、シャープペンシル用チャックの芯保持部の頂部が平坦に形成されず、また、平坦の角部が丸まってしまう点である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、芯保持部が数分割され楔作用により芯を保持するシャープペンシル用チャックであって、芯保持部の内面にピッチの異なる2種類のネジ溝を形成したことを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、チャックの芯保持部内面にピッチの異なる2種類のネジ溝を形成することにより、それぞれのネジ溝のピッチは細かくしなくても良いので、加工がし易いとともに、1次タップ加工で形成した平坦部を2次タップ加工で更にネジ溝を形成する為、芯保持部の平坦部を極小幅に形成できるとともに頂部に形成した平坦の角部を鋭角に形成でき、長期に渡って確実に芯を保持できる利点が得られるものである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本発明の実施例1のシャープペンシル用チャックを示す主要部拡大断面図である。(実施例1)
【図2】図2は、本発明の実施例1のシャープペンシル用チャックにより芯を保持した状態を示す主要部断面図である。(実施例1)
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、加工し易くかつ長期に渡って使用しても芯保持力が低下することなく確実に芯を保持することができるシャープペンシル用チャックを実現した。
【実施例1】
【0010】
以下、図1及び図2に基づいて本発明における実施例1のシャープペンシル用チャックを説明する。また、図1の左側を前方とし右側を後方とする。先ず、シャープペンシル用チャック1の芯保持部1A内面を0.175mmのピッチでかつ溝深さ0.075mmで第1ネジ溝1Bを形成するとともに、0.125mmのピッチでかつ溝深さ0.050mmで第2ネジ溝1Cを形成する。この芯保持部1Aを2分割して構成する。更に、芯保持部1A外面に半球状に凹陥した凹部1Dを形成する。このチャック1の凹部1Dに金属製のボール2を回動可能に配置する。更に、チャック1の後部外段1Eと締具3の内段3Aとの間に取付時荷重5g〜30gでコイルスプリング4を取り付け、チャック1の凹部1Dに配置されたボール2を締具3のテーパー面3Bに押圧する。すると、チャック1の芯保持部1Aは締具3のテーパー面3Bとの楔作用により閉じられ芯5を保持する。また、チャック1の芯保持部1Aにより保持された芯5は、長手方向前方にはわずかな抵抗で移動できるが、長手方向後方には強い力で移動が阻止される。更に、締具3の前部に駒6を圧入固着し、ボール2の外れを防止する。
【0011】
以上説明したシャープペンシル用チャック1の製造方法としては、先ずチャック1の前部に芯保持部1A内面を形成するために、保持する芯5の外径と略同等の孔をキリにより形成する。その後に第1ネジ溝1Bを1次タップ加工でネジ切りを行って形成する。更に、第2ネジ溝1Cを2次タップ加工でネジ切りを行って形成する。その後、芯保持部1Aを含むチャック1の前部及び中間部を前端からカッターでスリ割りし、2分割して構成する。
【0012】
尚、本発明は、上記実施例1に限定されるものではなく、チャックの芯保持部外面に締具を外嵌し、締具あるいはチャックの芯保持部外面のどちらかにテーパー面を形成し、このテーパー面の楔作用によりチャックの芯保持部を閉じて芯を保持するノック式シャープペンシルに利用しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0013】
加工がし易く、かつ長期間使用しても芯保持力が低下することなく確実に芯を保持することができるシャープペンシル用チャックに適用できる。
【符号の説明】
【0014】
1 チャック
1A チャック1の芯保持部
2 ボール
3 締具
3B 締具3のテーパー面
5 芯

【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯保持部が数分割され楔作用により芯を保持するシャープペンシル用チャックであって、芯保持部の内面にピッチの異なる2種類のネジ溝を形成したことを特徴とするシャープペンシル用チャック。
【請求項2】
ピッチの異なる2種類のネジ溝は、ピッチの小さいネジ溝よりピッチの大きいネジ溝の方がネジ深さが大きく構成することを特徴とする請求項1記載のシャープペンシル用チャック。
【請求項3】
チャックの芯保持部を2つに分割し、この芯保持部外面にボールを設け、ボールと締具のテーパー面との楔作用により芯を長手方向前方にはわずかな抵抗で移動できるとともに、長手方向後方には強い力で移動を阻止することを特徴とする請求項1又は2記載のシャープペンシル用チャック。

【図1】
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【図2】
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