シャープペンシル
【課題】把持部材1に対しスライド部材3を筆圧により長手方向に往復動させて芯ホルダー18を回転し、芯ホルダー18の回転により芯19及びチャック5を回転させる。また、ロック機構を操作することにより把持部材1に対しスライド部材3の長手方向への移動を不能に選択できるシャープペンシルに適用できる。
【解決手段】チャック5に押圧された締具6を受け止める連結具9をスライド部材3に対し回動可能に構成し、スライド部材3に対し把持部材1を長手方向に適宜移動可能に構成する。前記スライド部材3に対し把持部材1の長手方向への移動を可能か不可能に選択できるロック機構を設ける。また、スライド部材3に対して摺動部材15を長手方向に往復動させて芯ホルダー18を所定角度毎に回転させる回転機構を構成する。そして、前記ロック機構を操作して、スライド部材3に対して摺動部材15を長手方向に移動可能にした場合には、芯19を回転させる。
【解決手段】チャック5に押圧された締具6を受け止める連結具9をスライド部材3に対し回動可能に構成し、スライド部材3に対し把持部材1を長手方向に適宜移動可能に構成する。前記スライド部材3に対し把持部材1の長手方向への移動を可能か不可能に選択できるロック機構を設ける。また、スライド部材3に対して摺動部材15を長手方向に往復動させて芯ホルダー18を所定角度毎に回転させる回転機構を構成する。そして、前記ロック機構を操作して、スライド部材3に対して摺動部材15を長手方向に移動可能にした場合には、芯19を回転させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筆記圧による先部材の往復動によって芯ホルダーが一方向に回転し、この芯ホルダーの回転に伴い芯及びチャックを回転させるシャープペンシルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に筆記具は若干傾けて筆記するが、シャープペンシルを傾けて筆記すると芯が片減りしてしまうために、芯の端面が楕円状になってしまい筆記幅が次第に太くなってしまうものであった。そのため、細い筆記幅を保つためにはシャープペンシルを回転する必要があった。
この点を解消するために、内軸に開口溝を構成し、この開口溝の一方の側壁は前部が大きく傾斜されるとともに後部が略垂直に形成され、かつ、他方の側壁は略同一に傾斜されて形成され、更に、連結具に前記開口溝に係合される突起を構成するとともに、連結具の後端に係止爪を形成し、前記内軸に対し回動自在に設けられた回転部材の前端に周方向に多数のカム歯を形成し、前記回転部材に対しチャックを長手方向には摺動自在で回動不能に構成し、前記連結具と回転部材の間にリターンスプリングを張架し、かつ、回転部材を前記リターンスプリングより大きい取付時荷重のスプリングにより長手方向前方に付勢し、回転部材を前記内軸に押圧するとともに、通常連結具の係止爪と回転部材のカム歯を適宜離間して構成し、芯に筆圧が加えられると芯ガイド部材を連結した連結具の突起が内軸の右側側壁に沿って左回転しながら後退し、連結具の係止爪が回転部材のカム歯に当接すると連結具とともに回転部材も左回転し、回転部材とともにチャック及び芯が一定量左回転するシャープペンシルが知られている。(特許文献1参照)
【0003】
しかしながら、上記シャープペンシルは、軸筒及び先部材内で芯、チャック及び芯ガイド部材が同時に往復動するため、芯の移動が軸筒を把持した手に直接伝わり、非常に筆記しにくいものであった。また、芯に筆記圧を加えた時、先部材より突出した芯ガイド部材及び芯の後退が目に入ってしまい、不快感が生じてしまうものであった。また、筆記圧による芯の回転をしないで筆記することができなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−36391号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
解決しようとする問題点は、軸筒及び先部材内を芯、チャック及び芯ガイド部材が同時に往復動するため、芯の移動が軸筒を把持する手に直接伝わって筆記しにくい点と、筆記中に先部材より突出した芯及び芯ガイド部材の移動が目に入ってしまい不快感が生じる点である。更に、筆記圧による芯の回転をしないで筆記することができない点である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、チャックの頭部に締具を外嵌し、前記チャックをチャックスプリングにより長手方向後方に付勢し、チャックに押圧された締具を受け止める連結具をスライド部材に対し回動可能に構成し、このスライド部材に対し把持部材を長手方向に適宜移動可能に構成するとともに、スライド部材に対し把持部材の長手方向への移動を可能か不可能に選択できるロック機構を設け、更に、スライド部材に対し摺動部材を長手方向には移動可能で回動不能に構成し、スライド部材に対して摺動部材を長手方向に往復動させることによって芯ホルダーを一方向に所定角度毎に回転させる回転機構を構成し、ロック機構を操作して、スライド部材に対して摺動部材を長手方向に移動可能にした場合には、筆記を行なうことにより芯ホルダーの回転に伴って芯を回転させることができ、また、スライド部材に対して摺動部材を長手方向に移動不可能にした場合には、筆記を行っても芯が回転しないことを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、ロック機構を操作することにより、筆記圧による先部材の往復動によって芯ホルダーが一方向に回転し、この芯ホルダーの回転に伴い芯及びチャックを回転する状態と、筆記した時に芯が回転しない状態を任意に選択できる利点が得られるものである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本発明の実施例1のシャープペンシルを示す断面図である。(実施例1)
【図2】図2は、本発明の実施例1のシャープペンシルを示す主要部拡大断面図である。(実施例1)
【図3】図3は、図2のA−A線を示す拡大断面図である。(実施例1)
【図4】図4は、図2における摺動部材と回転部材による回転機構の展開状態を示す主要部拡大説明図である。(実施例1)
【図5】図5は、実施例1のシャープペンシルにおいて筆圧を加えた状態を示す主要部断面図である。(実施例1)
【図6】図6は、図5における摺動部材と回転部材の回転機構の展開状態を示す主要部拡大説明図である。(実施例1)
【図7】図7は、図5の状態から筆圧を解除した状態における摺動部材と回転部材の回転機構の展開状態を示す主要部拡大説明図である。(実施例1)
【図8】図8は、実施例1のシャープペンシルにおいて、ロック機構により芯の回転を防止した状態を示す主要部拡大断面図である。(実施例1)
【図9】図9は、本発明の実施例2のシャープペンシルを示す主要部拡大断面図である。(実施例2)
【図10】図10は、図9におけるロック部材のカム部と前軸のカム部の展開状態を示す主要部拡大説明図である。(実施例2)
【図11】図11は、実施例2のシャープペンシルにおいて、ロック機構により芯の回転を防止した状態を示す主要部拡大断面図である。(実施例2)
【図12】図12は、図11におけるロック部材のカム部と前軸のカム部の展開状態を示す主要部拡大説明図である。(実施例2)
【図13】図13は、本発明の実施例3のシャープペンシルを示す主要部拡大断面図である。(実施例3)
【図14】図14は、実施例3のシャープペンシルにおいて、ロック機構により芯の回転を防止した状態を示す主要部断面図である。(実施例3)
【図15】図15は、本発明の実施例4のシャープペンシルを示す主要部拡大断面図である。(実施例4)
【図16】図16は、図15における摺動部材と回転部材による回転機構の展開状態を示す主要部拡大説明図である。(実施例4)
【図17】図17は、実施例4のシャープペンシルにおいて筆圧を加えた状態を示す主要部拡大断面図である。(実施例4)
【図18】図18は、図17における摺動部材と回転部材の回転機構の展開状態を示す主要部拡大説明図である。(実施例4)
【図19】図19は、実施例4のシャープペンシルにおいて、ロック機構により芯の回転を防止した状態を示す主要部拡大断面図である。(実施例4)
【図20】図20は、本発明の実施例5のシャープペンシルを示す主要部拡大断面図である。(実施例5)
【図21】図21は、図20のシャープペンシルを示す主要部拡大平面図である。(実施例5)
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、把持部材に対しスライド部材を筆圧により長手方向に往復動させることによって芯ホルダーを回転し、この芯ホルダーの回転によって芯及びチャックを回転させるとともに、ロック機構を操作することにより把持部材に対しスライド部材の長手方向への移動を不能に選択できるシャープペンシルを実現した。
【実施例1】
【0010】
以下、図1、図2、図3、図4、図5、図6、図7及び図8に基づいて、本発明における実施例1のシャープペンシルを説明する。また、図1の左側を前方とし、右側を後方とする。先ず、図1及び図2において、シリコンゴム等の軟質材で構成された把持部材1を前軸2に固定して取り付ける。この前軸2に前方よりスライド部材3を挿入するとともに後方より固定駒4を挿入し、スライド部材3と固定駒4を圧入固着する。このスライド部材3の後端と固定駒4の外段4Aとの間に前軸2の内鍔2Aを位置させ、前記前軸2の内鍔2Aはスライド部材3の後端と固定駒4の外段4Aの間を適宜前後動可能に構成する。また、スライド部材3の前部には円周方向等間隔に4個貫通したキー溝3Aを形成し、このキー溝3Aに前軸2の前部内面に内方に突出して形成されたキー2Bが係合し、スライド部材3と前軸2は長手方向には適宜移動可能でかつ回動不能に構成される。更に、前軸2のキー2Bの一部はスライド部材3の貫通したキー溝3Aより内方に突出して構成される。
【0011】
シャープペンシルの機構部は、頭部5Aが数分割されたチャック5と、チャック5の頭部5Aに外嵌される締具6と、チャック5の後部に固着されるコネクター7と、コネクター7に圧入固着されるパイプ状の芯タンク8と、締具6を受け止める連結具9と、連結具9とコネクター7の間に取付時荷重が100g程度で取り付けられるチャックスプリング10とにより構成される。更に、芯タンク8の前部にゴム等の軟質材からなる前Oリング11をコネクター7の外鍔7Aと接触させて取り付ける。
【0012】
前記機構部をスライド部材3の前方より挿入し、スライド部材3の内鍔3Bを連結具9の後部外鍔9Aが挿通し、スライド部材3の内鍔3Bが連結具9の前部外鍔9Bと後部外鍔9Aの間に回転自在に係合される。
【0013】
先部材12の表面後部に雄ネジ部12Aを構成し、この雄ネジ部12Aの後方に位置する後部に後雄ネジ部12Bを形成するとともに、後端から切り欠かれて前方に伸びたキー溝12Cを相対位置に形成する。
【0014】
次に、ロック機構を説明する。先ず、ロック部材13に雌ネジ部13Aを形成するとともに係止部13Bを後方に伸ばして構成する。このロック部材13を先部材12に長手方向に移動可能に螺合する。しかも、このロック部材13の係止部13Bは前軸2の前端と当接可能に構成する。そして、通常は、ロック部材13の係止部13Bと前軸2の前端とが適宜離間して構成し、図1及び図2の状態にすれば、先部材12及びスライド部材3に対して前軸2が長手方向に移動可能となっている。
【0015】
更に、前記回転部材14を回転させるための回転機構を説明する。図4に示したように、回転部材14に、前外鍔の後面に形成した前カム14Aと後外鍔の前面に形成した後カム14Bを構成する。この回転部材14の前カム14Aは、右回転方向に向かって後方に傾斜する多数の傾斜面14Cと、傾斜面14Cと傾斜面14Cの間に位置する垂直面14Dにより構成する。また、回転部材14の後カム14Bは、右回転方向に向かって前方に傾斜する多数の傾斜面14Eと、傾斜面14Eと傾斜面14Eの間に位置する垂直面14Fにより構成する。更に、摺動部材15の内側部に、前端面に形成した前カム15Aと後段面に形成した後カム15Bを構成する。この摺動部材15の前カム15Aは、左回転方向に向かって前方に傾斜する多数の傾斜面15Cと、傾斜面15Cと傾斜面15Cの間に位置する垂直面15Dにより構成する。また、摺動部材15の後カム15Bは、左回転方向に向かって後方に傾斜する多数の傾斜面15Eと、傾斜面15Eと傾斜面15Eの間に位置する垂直面15Fにより構成する。更に、摺動部材15の前カム15Aの傾斜面15Cと後カム15Bの傾斜面15Eは同数で、前カム15Aの垂直面15Dと後カム15Bの垂直面15Fが長手方向に合わされている。また、回転部材14の前カム14Aの傾斜面14Cと後カム14Bの傾斜面14Eも摺動部材15の前カム15Aの傾斜面15C及び後カム15Bの傾斜面15Eと同数で、前カム14Aの傾斜面14Cの略中心に後カム14Bの垂直面14Fが位置する。前記摺動部材15の内側部を前記回転部材14の前カム14Aと後カム14Bの間に取り付け、回転部材14の前カム14Aと摺動部材15の前カム15Aを対面させるとともに、回転部材14の後カム14Bと摺動部材15の後カム15Bを対面させて構成する。また、回転部材14に対し摺動部材15は長手方向に適宜前後動可能に構成し、回転部材14の前カム14Aと摺動部材15の前カム15A及び回転部材14の後カム14Bと摺動部材15の後カム15Bは当接可能に構成する。
【0016】
更に、前記回転部材14の内面に後方から長手方向前方に伸びたキー溝14Gを相対位置に形成する。また、前部に芯ガイドパイプ16を固定した中駒17に芯ホルダー18を取り付ける。前記中駒17の外面の相対位置にキー17Aを形成する。この中駒17を回転部材14の後方から挿入し、中駒17のキー17Aを回転部材14のキー溝14Gに係合させることにより、回転部材14に対して中駒17及び芯ホルダー18を長手方向には摺動可能で回動不能に構成する。この芯ホルダー18はゴム製で、芯19を50g程度の摩擦力で保持する。
【0017】
前記回転部材14及び摺動部材15は先部材12に内蔵されるが、先部材12のキー溝12Cに摺動部材15の相対位置に形成された突部15Gが挿入され、先部材12に対して摺動部材15は長手方向に移動可能で回動不能に構成される。また、摺動部材15の突部15Gは先部材12の後部周面より円周方向外方に突出する。また、先部材12の内段12Dと摺動部材15の外段15Hとの間に前スプリング20を取り付け、摺動部材15を長手方向後方に付勢する。
【0018】
上記先部材12を前記スライド部材3に着脱可能に螺合し、先部材12の係止段12Eと連結具9の前端との間に回転部材14を回動可能に内蔵し、取付時荷重100g程度で取り付けられた前スプリング20により長手方向後方に付勢された摺動部材15の後カム15Bを回転部材14の後カム14Bに当接するとともに、摺動部材15の突部15Gを前軸2のキー2Bに当接させる。すると、前軸2の内鍔2Aが固定駒4の外段4Aに当接される。
【0019】
更に、前軸2の後方から円筒状の重量体21を挿入し、重量体21を芯タンク8の外面と固定駒4の内面の間に長手方向に摺動可能に遊嵌する。尚、芯タンク8の外面と重量体21の内面との隙間より重量体21の外面と固定駒4の内面との隙間を狭く構成する。
【0020】
後軸22にはクリップ23が一体に構成されるとともに、後軸22の前方より中子24を挿入する。この中子24の内鍔24A前端にはがゴム等の軟質材からなる後Oリング25を圧入固着する。また、後軸22の後方より押圧部材26を挿入し、中子24の開口窓24Bに押圧部材26の係止突起26Aを係止するとともに押圧部材26の前端を中子24の内鍔24Aに当接し、中子24と押圧部材26を連結する。更に、後軸22の内鍔22Aと押圧部材26の外段26Bとの間には取付時荷重300g程度でリターンスプリング27を取り付け、押圧部材26を長手方向後方に付勢する。この押圧部材26には内孔26Cが形成されて芯19が通過可能に構成されるとともに、押圧部材26の後部内側26Dに消しゴム28が取り付けられる。また、押圧部材26の後部外側26Eには消しゴム28を覆うためにノブ29が着脱可能に嵌合される。
【0021】
この後軸22を前記前軸2に着脱可能に螺合するとともに、芯タンク8内に予備の芯19を収納して振出式のシャープペンシルを構成する。
【0022】
前記シャープペンシルで筆記を行うと、芯19が紙面に押圧され図5に示したように、筆圧を受けるチャック5、締具6、連結具9、スライド部材3、固定駒4、先部材12及び回転部材14は停止しているが、スライド部材3に対し手で把持された前軸2及び把持部材1は前進し、前軸2のキー2Bに突部15Gが当接した摺動部材15も前軸2とともに前スプリング20を圧縮しながら前進する。すると、摺動部材15の前カム15Aが回転部材14の前カム14Aに当接し、摺動部材15の前カム15Aの傾斜面15Cが回転部材14の前カム14Aの傾斜面14Cに当接する。しかし、摺動部材15は突部15Gが先部材12のキー溝12Cに挿入されて回動不能となっているので、回転部材14の前カム14Aの傾斜面14Cが摺動部材15の前カム15Aの傾斜面15Cの略半分を滑って、図6に示したように回転部材14が前方に対して右回転する。すると、回転部材14とともに中駒17、芯ガイドパイプ16及び芯ホルダー18も右回転するために、芯19も右に回転する。
【0023】
次に、筆記を止め芯19を紙面より離すと、手で把持された前軸2及び把持部材1に対して、前スプリング20により前方に付勢された先部材12及びスライド部材3が前進する。すると、スライド部材3とともに、連結具9、締具6、チャック5、回転部材14、中駒17、芯ガイドパイプ16、芯ホルダー18が芯19とともに前進する。そして、回転部材14の後カム14Bの傾斜面14Eが摺動部材15の後カム15Bの傾斜面15Eに当接し、回転部材14の後カム14Bの傾斜面14Eが摺動部材15の後カム15Bの傾斜面15Eの略半分を滑って図7に示したように、回転部材14が前方に対して右回転する。また、固定駒4の外段4Aが前軸2の内鍔2Aに当接し、図1及び図2の状態に復帰する。すると、回転部材14の後カム14Bの傾斜面14Eは摺動部材15の後カム15Bの傾斜面15Eを1つ乗り越えて右隣りの傾斜面15Eに当接され、図7に示したように芯19は回転部材14の後カム14Bの1つの傾斜面14E寸法だけ右に回転する。尚、チャック5、コネクター7及び芯タンク8と押圧部材26が分離されているとともに、固定駒4と重量体21の隙間より重量体21と芯タンク8の隙間が大きく構成されているので、芯タンク8の回転を押圧部材26や重量体21によって妨げられる恐れはない。
【0024】
筆記を行うことによって芯19が摩耗した場合には、手で把持した把持部材1を振ると、重量体21が先ず後方に移動して後Oリング25に当接する。その反動で把持部材1を前方に振ると、重量体21は前方に移動して前Oリング11に当接する。この重量体21の慣性力によりチャック5、コネクター7、芯タンク8を前進させ、従来公知の振出式シャープペンシルと同様に一定量芯19を繰り出す。
【0025】
また、芯19の回転を止めたい場合には、ロック機構を構成するロック部材13を回転させて後退させ、係止部13Bを前軸2に当接させ図8の状態にする。すると、先部材12及びスライド部材3に対して前軸2が長手方向に移動できなくなり、筆記を行なっても芯19が回転しない。
【0026】
更に、携帯時に中駒17及び芯ガイドパイプ16を後退させれば、先部材12内に芯ガイドパイプ16を没入させることができる。
【実施例2】
【0027】
以下、図9、図10、図11及び図12に基づいて本発明における実施例2のシャープペンシルを説明する。尚、図2と同一部材は同一の符号を付してその説明を省略する。先ず、先部材112の表面後部112Fを隆起させて構成するとともに、その表面後部112Fに円周方向に伸びた突条部112Gを形成する。この先部材112の後部に後端から切り欠かれて伸びたキー溝112Cを相対位置に形成する。また、ロック部材113の内面に円周方向に伸びた凹条部113Cを形成するとともに、後方に伸ばしたカム部113Dを相対位置に形成する。このカム部113Dには、係止部113Bと係止部113Bより更に後方に伸びたストッパー部113Eを形成する。また、前軸102のカム部102Cには、後方に切り欠かれた凹部102Dを相対位置に形成する。このロック部材113の凹条部113Cを先部材112の突条部112Gに回動自在に取り付ける。また、ロック機構は、ロック部材113のカム部113Dを前軸102の凹部102Dに合わせて図9及び図10に示した状態にすれば、ロック部材113のカム部113Dと前軸102のカム部102Cが適宜離間して、先部材112及びスライド部材3に対して前軸102が長手方向に移動可能となる。したがって、この状態では回転部材14の回転機構が働き、筆記を行えば芯19が回転する。
【0028】
また、芯19の回転を止めて筆記したい場合には、ロック機構を構成するロック部材113を前方に対して右に回転させれば、ロック部材113のストッパー部113Eが前軸102のカム部102Cに形成した凹部102Dの縁102Eに当接してロック部材113の回転が停止されるとともに、ロック部材113の係止部113Bが前軸102のカム部102Cに接触して図11及び図12に示した状態となる。この状態では、先部材112及びスライド部材3に対して前軸102が長手方向前方に移動できなくなり、筆記を行なっても芯19が回転しない。
【実施例3】
【0029】
以下、図13及び図14に基づいて本発明における実施例3のシャープペンシルを説明する。尚、図1と同一部材は同一の符号を付してその説明を省略する。先ず、軟質材で構成された把持部材1を前軸202に固定して取り付ける。また、ロック機構は、前軸202の後部に雌ネジ部202Fを形成する。更に、ロック部材213の前部に雄ネジ部213Fを形成するとともに、後部213Gを太径に形成する。前記前軸202の雌ネジ部202Fにロック部材213の雄ネジ部213Fが長手方向に移動可能に螺合され、かつ、ロック部材213の後部213Gが固定駒104の外鍔104Bに被さって構成される。そして、図13に示した状態では、先部材212に対して摺動部材15は長手方向に移動可能に構成される。したがって、この状態では回転部材14の回転機構が働き、筆記を行えば芯19が回転する。
【0030】
また、芯19の回転を止めたい場合には、ロック機構を構成するロック部材213を回転させて前軸202を長手方向前方に移動させる。すると、図14に示した状態となり、前軸202のキー202Bに押されて摺動部材15が前方に移動し、先部材212のキー溝212Cの前端縁に摺動部材15の突部15Gが当接する。この状態では、先部材212及びスライド部材3に対して前軸202及び摺動部材15が長手方向に往復動できなくなり、筆記を行っても芯19が回転しない。
【0031】
この実施例3の場合には、筆記中にロック部材213が指に当たらないので、誤作動が発生する恐れが少なくなる。
【実施例4】
【0032】
以下、図15、図16、図17及び図18に基づいて本発明における実施例4のシャープペンシルを説明する。尚、図2と同一部材は同一の符号を付してその説明を省略する。先ず、図15において、先部材312の表面後部に雄ネジ部312Aを構成し、この雄ネジ部312Aの後方に位置する後部に後雄ネジ部312Bを形成するとともに、後端から切り欠かれて前方に伸びたキー溝312Cを相対位置に形成する。また、前部に芯ガイドパイプ16を固定した回転部材114を先部材312に回動可能に内蔵する。この回転部材114に芯19を50g程度の摩擦力で保持するゴム製の芯ホルダー18を取り付ける。
【0033】
次に、前記回転部材114を回転させるための回転機構を説明する。回転部材114に突部114Hを形成し、この突部114Hの前面に前カム114Aを形成するとともに、突部114Hの後面に後カム114Bを形成する。この回転部材114の前カム114Aは、図16に示したように、右回転方向に向かって前方に傾斜する多数の傾斜面114Cと、傾斜面114Cと傾斜面114Cの間に位置する垂直面114Dにより構成する。また、回転部材114の後カム114Bは、右回転方向に向かって後方に傾斜する多数の傾斜面114Eと、傾斜面114Eと傾斜面114Eの間に位置する垂直面114Fにより構成する。また、摺動部材115に、前内鍔115Iの後面に形成した前カム115Aと後内鍔115Jの前面に形成した後カム115Bを構成する。この摺動部材115の前カム115Aは、左回転方向に向かって後方に傾斜する多数の傾斜面115Cと、傾斜面115Cと傾斜面115Cの間に位置する垂直面115Dにより構成する。また、摺動部材115の後カム115Bは、左回転方向に向かって前方に傾斜する多数の傾斜面115Eと、傾斜面115Eと傾斜面115Eの間に位置する垂直面115Fにより構成する。更に、摺動部材115の前カム115Aの傾斜面115Cと後カム115Bの傾斜面115Eは同数で前カム115Aの傾斜面115Cの略中心に後カム115Bの垂直面115Fが位置する。また、回転部材114の前カム114Aの傾斜面114Cと後カム114Bの傾斜面114Eも摺動部材115の前カム115Aの傾斜面115C及び後カム115Bの傾斜面115Fと同数で、前カム115Aの垂直面115Dと後カム115Bの垂直面115Fが長手方向に合わされている。前記摺動部材115の前カム115Aと後カム115Bの間に回転部材114の突部114Hを取り付け、回転部材114の前カム114Aと摺動部材115の前カム115Aを対面させるとともに、回転部材114の後カム114Bと摺動部材115の後カム115Bを対面させて構成する。また、回転部材114に対し摺動部材115は長手方向に適宜前後動可能に構成し、回転部材114の前カム114Aと摺動部材115の前カム115A及び回転部材114の後カム114Bと摺動部材115の後カム115Bは当接可能に構成する。
【0034】
この回転部材114及び摺動部材115は先部材312に内蔵されるが、先部材312のキー溝312Cに摺動部材115の相対位置に形成された突部115Gが挿入され、先部材312に対して摺動部材115は長手方向に移動可能で回動不能に構成される。また、摺動部材115の突部115Gは先部材312の後部表面より外方に突出する。更に、先部材312の内段312Dと摺動部材115の外段115Hとの間に前スプリング20を取り付け、摺動部材115を長手方向後方に付勢する。
【0035】
上記先部材312をスライド部材3に着脱可能に螺合し、先部材312の係止段312Eと連結具9の前端との間に回転部材114を回動可能に内蔵し、取付時荷重100g程度で取り付けられた前スプリング20により長手方向後方に付勢された摺動部材115の前カム115Aを回転部材114の前カム114Aに当接するとともに、摺動部材115の突部115Gを前軸2のキー2Bに当接させる。すると、前軸2の内鍔2Aが固定駒4の外段4Aに当接され、振出式のシャープペンシルを構成する。
【0036】
前記シャープペンシルで筆記を行うと、芯19が紙面に押圧され図17に示したように、筆圧を受けるチャック5、締具6、連結具9、スライド部材3、固定駒4、先部材312及び回転部材114は停止しているが、スライド部材3に対し手で把持された前軸2及び把持部材1は前進し、前軸2のキー2Bに突部115Gが当接した摺動部材115も前軸2とともに前スプリング20を圧縮しながら前進する。すると、摺動部材115の後カム115Bが回転部材114の後カム114Bに当接し、摺動部材115の後カム115Bの傾斜面115Eが回転部材114の後カム114Bの傾斜面114Eに当接する。しかし、摺動部材115は突部115Gが先部材312のキー溝312Cに挿入されて回転不能となっているので、回転部材114の後カム114Bの傾斜面114Eが摺動部材115の後カム115Bの傾斜面115Eの略半分を滑って図16に示したように回転部材114が前方に対して右回転する。この回転部材114とともに、回転部材114に取り付けられた芯ホルダー18が右回転すると芯19も右に回転する。この時、芯19を保持するチャック5も、締具6及び連結具9とともにスライド部材3に対して右に回転する。
【0037】
次に、筆記を止め芯19を紙面より離すと、手で把持された前軸2及び把持部材1に対して、前スプリング20により前方に付勢された先部材312及びスライド部材3が前進する。すると、スライド部材3とともに、連結具9、締具6、チャック5、回転部材114、芯ホルダー18が芯19とともに前進する。そして、回転部材114に形成された前カム114Aの傾斜面114Cが摺動部材115に形成された前カム115Aの傾斜面115Cに当接し、回転部材114の前カム114Aの傾斜面114Cが摺動部材115の前カム115Aの傾斜面115Cの略半分を滑って回転部材114が前方に対して右回転する。また、固定駒4の外段4Aが前軸2の内鍔2Aに当接し、図15の状態に復帰する。すると、回転部材114の前カム114Aの傾斜面114Cは摺動部材115の前カム115Aの傾斜面115Cを1つ乗り越えて右隣りの傾斜面115Cに当接され、芯19は回転部材114の後カム114Bの1つの傾斜面114E寸法だけ右に回転する。尚、チャック5、コネクター7及び芯タンク8が回転する時、芯タンク8と押圧部材26が分離されているとともに、固定駒4と重量体21の隙間より重量体21と芯タンク8の隙間が大きく構成されているので、芯タンク8の回転を押圧部材26や重量体21によって妨げられる恐れはない。
【0038】
筆記を行うことによって芯19が摩耗した場合には、手で把持した把持部材1を振ると、重量体21が先ず後方に移動して後Oリング25に当接する。その反動で把持部材1を前方に振ると、重量体21は前方に移動して前Oリング11に当接する。この重量体21の慣性力によりチャック5、コネクター7、芯タンク8を前進させ、従来公知の振出式シャープペンシルと同様に一定量芯19を繰出す。
【0039】
また、芯19の回転を止めたい場合には、ロック機構を構成するロック部材13を回転させて後退させ、係止部13Bを前軸2に当接させ図19の状態にする。すると、先部材312及びスライド部材3に対して前軸2が長手方向に移動できなくなり、筆記を行なっても芯19が回転しない。
【実施例5】
【0040】
以下、図20及び図21に基づいて本発明における実施例5のシャープペンシルを説明する。尚、図2と同一部材は同一の符号を付してその説明を省略する。先ず、先部材412を透明あるいは着色した透明性を有する合成樹脂で構成し、表面に梨地加工や不透明のインキで印刷を行うかあるいは転写を行うとともに、その一部に透明性を有する窓部412Hを相対位置に形成する。更に、先部材412の後部に後端から切り欠かれて伸びたキー溝412Cを相対位置に形成する。また、回転部材214に表示部材30を圧入固着して取り付ける。この表示部材30には芯19の回転が目視できるように表示30Aが設けられる。この表示部材30の表示30Aは、印刷、転写あるいはシール等により構成する。尚、図示していないが、表示部材は回転部材と一体に構成しても良い。
【0041】
この回転部材214を前記先部材412内に内蔵するとともに、先部材412のキー溝412Cに摺動部材15の突部15Gを挿入する。そして、先部材412をスライド部材3に着脱可能に螺合して取り付ける。すると、表示部材30に形成された表示30Aが先部材412の窓部412Hより目視可能となる。したがって、回転部材214が回転する状態を先部材412の窓部412Hより常時目視することができる。
【0042】
尚、先部材412の窓部412Hは、円周状に形成したり円周方向等間隔に複数形成することが好ましい。
【0043】
この実施例5のシャープペンシルの場合には、芯19の回転を示す表示30Aが先部材412の窓部412Hを通して目視でき、筆記中に表示30Aが目視し易いという利点が得られる。
【0044】
尚、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、把持部材、前軸、先部材、スライド部材、固定駒、回転部材、摺動部材、連結具といった部材は説明を簡略化するためにそれぞれ1個の部材として図示しているが、それぞれ2個以上の部材を螺合、圧入等により一体化すれば良い。また、回転部材、中駒、芯ガイドパイプに取り付けられる芯ホルダーは、ゴムに限定されるものではなく、金属の板を筒状に形成し、その一部に弾性部を形成したり、あるいは回転部材、中駒あるいは芯ガイドパイプ等の一部に弾性部を形成して一体に構成しても良い。更に、上記実施例は前カムの傾斜面の略中心に後カムの垂直面を位置させて構成しているが、これは説明を明確にするためであって、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、互いに当接する前カムの傾斜面同士が接触して合致した時、互いに当接可能な後カムの接触面同士は離間するとともに傾斜面寸法の略半分程度円周方向にずれて構成され、かつ、前カムの傾斜面と後カムの傾斜面が円周方向に対して逆向きに傾斜して構成されていれば良い。
【産業上の利用可能性】
【0045】
筆記圧による先部材の前後動により芯を回転させることができるとともに、先部材の前後動を可能か不可能をロック機構により選択できるシャープペンシルに適用できる。
【符号の説明】
【0046】
1 把持部材
3 スライド部材
5 チャック
5A チャック5の頭部
6 締具
9 連結具
10 チャックスプリング
15 摺動部材
18 芯ホルダー
19 芯
115 摺動部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、筆記圧による先部材の往復動によって芯ホルダーが一方向に回転し、この芯ホルダーの回転に伴い芯及びチャックを回転させるシャープペンシルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に筆記具は若干傾けて筆記するが、シャープペンシルを傾けて筆記すると芯が片減りしてしまうために、芯の端面が楕円状になってしまい筆記幅が次第に太くなってしまうものであった。そのため、細い筆記幅を保つためにはシャープペンシルを回転する必要があった。
この点を解消するために、内軸に開口溝を構成し、この開口溝の一方の側壁は前部が大きく傾斜されるとともに後部が略垂直に形成され、かつ、他方の側壁は略同一に傾斜されて形成され、更に、連結具に前記開口溝に係合される突起を構成するとともに、連結具の後端に係止爪を形成し、前記内軸に対し回動自在に設けられた回転部材の前端に周方向に多数のカム歯を形成し、前記回転部材に対しチャックを長手方向には摺動自在で回動不能に構成し、前記連結具と回転部材の間にリターンスプリングを張架し、かつ、回転部材を前記リターンスプリングより大きい取付時荷重のスプリングにより長手方向前方に付勢し、回転部材を前記内軸に押圧するとともに、通常連結具の係止爪と回転部材のカム歯を適宜離間して構成し、芯に筆圧が加えられると芯ガイド部材を連結した連結具の突起が内軸の右側側壁に沿って左回転しながら後退し、連結具の係止爪が回転部材のカム歯に当接すると連結具とともに回転部材も左回転し、回転部材とともにチャック及び芯が一定量左回転するシャープペンシルが知られている。(特許文献1参照)
【0003】
しかしながら、上記シャープペンシルは、軸筒及び先部材内で芯、チャック及び芯ガイド部材が同時に往復動するため、芯の移動が軸筒を把持した手に直接伝わり、非常に筆記しにくいものであった。また、芯に筆記圧を加えた時、先部材より突出した芯ガイド部材及び芯の後退が目に入ってしまい、不快感が生じてしまうものであった。また、筆記圧による芯の回転をしないで筆記することができなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−36391号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
解決しようとする問題点は、軸筒及び先部材内を芯、チャック及び芯ガイド部材が同時に往復動するため、芯の移動が軸筒を把持する手に直接伝わって筆記しにくい点と、筆記中に先部材より突出した芯及び芯ガイド部材の移動が目に入ってしまい不快感が生じる点である。更に、筆記圧による芯の回転をしないで筆記することができない点である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、チャックの頭部に締具を外嵌し、前記チャックをチャックスプリングにより長手方向後方に付勢し、チャックに押圧された締具を受け止める連結具をスライド部材に対し回動可能に構成し、このスライド部材に対し把持部材を長手方向に適宜移動可能に構成するとともに、スライド部材に対し把持部材の長手方向への移動を可能か不可能に選択できるロック機構を設け、更に、スライド部材に対し摺動部材を長手方向には移動可能で回動不能に構成し、スライド部材に対して摺動部材を長手方向に往復動させることによって芯ホルダーを一方向に所定角度毎に回転させる回転機構を構成し、ロック機構を操作して、スライド部材に対して摺動部材を長手方向に移動可能にした場合には、筆記を行なうことにより芯ホルダーの回転に伴って芯を回転させることができ、また、スライド部材に対して摺動部材を長手方向に移動不可能にした場合には、筆記を行っても芯が回転しないことを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、ロック機構を操作することにより、筆記圧による先部材の往復動によって芯ホルダーが一方向に回転し、この芯ホルダーの回転に伴い芯及びチャックを回転する状態と、筆記した時に芯が回転しない状態を任意に選択できる利点が得られるものである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本発明の実施例1のシャープペンシルを示す断面図である。(実施例1)
【図2】図2は、本発明の実施例1のシャープペンシルを示す主要部拡大断面図である。(実施例1)
【図3】図3は、図2のA−A線を示す拡大断面図である。(実施例1)
【図4】図4は、図2における摺動部材と回転部材による回転機構の展開状態を示す主要部拡大説明図である。(実施例1)
【図5】図5は、実施例1のシャープペンシルにおいて筆圧を加えた状態を示す主要部断面図である。(実施例1)
【図6】図6は、図5における摺動部材と回転部材の回転機構の展開状態を示す主要部拡大説明図である。(実施例1)
【図7】図7は、図5の状態から筆圧を解除した状態における摺動部材と回転部材の回転機構の展開状態を示す主要部拡大説明図である。(実施例1)
【図8】図8は、実施例1のシャープペンシルにおいて、ロック機構により芯の回転を防止した状態を示す主要部拡大断面図である。(実施例1)
【図9】図9は、本発明の実施例2のシャープペンシルを示す主要部拡大断面図である。(実施例2)
【図10】図10は、図9におけるロック部材のカム部と前軸のカム部の展開状態を示す主要部拡大説明図である。(実施例2)
【図11】図11は、実施例2のシャープペンシルにおいて、ロック機構により芯の回転を防止した状態を示す主要部拡大断面図である。(実施例2)
【図12】図12は、図11におけるロック部材のカム部と前軸のカム部の展開状態を示す主要部拡大説明図である。(実施例2)
【図13】図13は、本発明の実施例3のシャープペンシルを示す主要部拡大断面図である。(実施例3)
【図14】図14は、実施例3のシャープペンシルにおいて、ロック機構により芯の回転を防止した状態を示す主要部断面図である。(実施例3)
【図15】図15は、本発明の実施例4のシャープペンシルを示す主要部拡大断面図である。(実施例4)
【図16】図16は、図15における摺動部材と回転部材による回転機構の展開状態を示す主要部拡大説明図である。(実施例4)
【図17】図17は、実施例4のシャープペンシルにおいて筆圧を加えた状態を示す主要部拡大断面図である。(実施例4)
【図18】図18は、図17における摺動部材と回転部材の回転機構の展開状態を示す主要部拡大説明図である。(実施例4)
【図19】図19は、実施例4のシャープペンシルにおいて、ロック機構により芯の回転を防止した状態を示す主要部拡大断面図である。(実施例4)
【図20】図20は、本発明の実施例5のシャープペンシルを示す主要部拡大断面図である。(実施例5)
【図21】図21は、図20のシャープペンシルを示す主要部拡大平面図である。(実施例5)
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、把持部材に対しスライド部材を筆圧により長手方向に往復動させることによって芯ホルダーを回転し、この芯ホルダーの回転によって芯及びチャックを回転させるとともに、ロック機構を操作することにより把持部材に対しスライド部材の長手方向への移動を不能に選択できるシャープペンシルを実現した。
【実施例1】
【0010】
以下、図1、図2、図3、図4、図5、図6、図7及び図8に基づいて、本発明における実施例1のシャープペンシルを説明する。また、図1の左側を前方とし、右側を後方とする。先ず、図1及び図2において、シリコンゴム等の軟質材で構成された把持部材1を前軸2に固定して取り付ける。この前軸2に前方よりスライド部材3を挿入するとともに後方より固定駒4を挿入し、スライド部材3と固定駒4を圧入固着する。このスライド部材3の後端と固定駒4の外段4Aとの間に前軸2の内鍔2Aを位置させ、前記前軸2の内鍔2Aはスライド部材3の後端と固定駒4の外段4Aの間を適宜前後動可能に構成する。また、スライド部材3の前部には円周方向等間隔に4個貫通したキー溝3Aを形成し、このキー溝3Aに前軸2の前部内面に内方に突出して形成されたキー2Bが係合し、スライド部材3と前軸2は長手方向には適宜移動可能でかつ回動不能に構成される。更に、前軸2のキー2Bの一部はスライド部材3の貫通したキー溝3Aより内方に突出して構成される。
【0011】
シャープペンシルの機構部は、頭部5Aが数分割されたチャック5と、チャック5の頭部5Aに外嵌される締具6と、チャック5の後部に固着されるコネクター7と、コネクター7に圧入固着されるパイプ状の芯タンク8と、締具6を受け止める連結具9と、連結具9とコネクター7の間に取付時荷重が100g程度で取り付けられるチャックスプリング10とにより構成される。更に、芯タンク8の前部にゴム等の軟質材からなる前Oリング11をコネクター7の外鍔7Aと接触させて取り付ける。
【0012】
前記機構部をスライド部材3の前方より挿入し、スライド部材3の内鍔3Bを連結具9の後部外鍔9Aが挿通し、スライド部材3の内鍔3Bが連結具9の前部外鍔9Bと後部外鍔9Aの間に回転自在に係合される。
【0013】
先部材12の表面後部に雄ネジ部12Aを構成し、この雄ネジ部12Aの後方に位置する後部に後雄ネジ部12Bを形成するとともに、後端から切り欠かれて前方に伸びたキー溝12Cを相対位置に形成する。
【0014】
次に、ロック機構を説明する。先ず、ロック部材13に雌ネジ部13Aを形成するとともに係止部13Bを後方に伸ばして構成する。このロック部材13を先部材12に長手方向に移動可能に螺合する。しかも、このロック部材13の係止部13Bは前軸2の前端と当接可能に構成する。そして、通常は、ロック部材13の係止部13Bと前軸2の前端とが適宜離間して構成し、図1及び図2の状態にすれば、先部材12及びスライド部材3に対して前軸2が長手方向に移動可能となっている。
【0015】
更に、前記回転部材14を回転させるための回転機構を説明する。図4に示したように、回転部材14に、前外鍔の後面に形成した前カム14Aと後外鍔の前面に形成した後カム14Bを構成する。この回転部材14の前カム14Aは、右回転方向に向かって後方に傾斜する多数の傾斜面14Cと、傾斜面14Cと傾斜面14Cの間に位置する垂直面14Dにより構成する。また、回転部材14の後カム14Bは、右回転方向に向かって前方に傾斜する多数の傾斜面14Eと、傾斜面14Eと傾斜面14Eの間に位置する垂直面14Fにより構成する。更に、摺動部材15の内側部に、前端面に形成した前カム15Aと後段面に形成した後カム15Bを構成する。この摺動部材15の前カム15Aは、左回転方向に向かって前方に傾斜する多数の傾斜面15Cと、傾斜面15Cと傾斜面15Cの間に位置する垂直面15Dにより構成する。また、摺動部材15の後カム15Bは、左回転方向に向かって後方に傾斜する多数の傾斜面15Eと、傾斜面15Eと傾斜面15Eの間に位置する垂直面15Fにより構成する。更に、摺動部材15の前カム15Aの傾斜面15Cと後カム15Bの傾斜面15Eは同数で、前カム15Aの垂直面15Dと後カム15Bの垂直面15Fが長手方向に合わされている。また、回転部材14の前カム14Aの傾斜面14Cと後カム14Bの傾斜面14Eも摺動部材15の前カム15Aの傾斜面15C及び後カム15Bの傾斜面15Eと同数で、前カム14Aの傾斜面14Cの略中心に後カム14Bの垂直面14Fが位置する。前記摺動部材15の内側部を前記回転部材14の前カム14Aと後カム14Bの間に取り付け、回転部材14の前カム14Aと摺動部材15の前カム15Aを対面させるとともに、回転部材14の後カム14Bと摺動部材15の後カム15Bを対面させて構成する。また、回転部材14に対し摺動部材15は長手方向に適宜前後動可能に構成し、回転部材14の前カム14Aと摺動部材15の前カム15A及び回転部材14の後カム14Bと摺動部材15の後カム15Bは当接可能に構成する。
【0016】
更に、前記回転部材14の内面に後方から長手方向前方に伸びたキー溝14Gを相対位置に形成する。また、前部に芯ガイドパイプ16を固定した中駒17に芯ホルダー18を取り付ける。前記中駒17の外面の相対位置にキー17Aを形成する。この中駒17を回転部材14の後方から挿入し、中駒17のキー17Aを回転部材14のキー溝14Gに係合させることにより、回転部材14に対して中駒17及び芯ホルダー18を長手方向には摺動可能で回動不能に構成する。この芯ホルダー18はゴム製で、芯19を50g程度の摩擦力で保持する。
【0017】
前記回転部材14及び摺動部材15は先部材12に内蔵されるが、先部材12のキー溝12Cに摺動部材15の相対位置に形成された突部15Gが挿入され、先部材12に対して摺動部材15は長手方向に移動可能で回動不能に構成される。また、摺動部材15の突部15Gは先部材12の後部周面より円周方向外方に突出する。また、先部材12の内段12Dと摺動部材15の外段15Hとの間に前スプリング20を取り付け、摺動部材15を長手方向後方に付勢する。
【0018】
上記先部材12を前記スライド部材3に着脱可能に螺合し、先部材12の係止段12Eと連結具9の前端との間に回転部材14を回動可能に内蔵し、取付時荷重100g程度で取り付けられた前スプリング20により長手方向後方に付勢された摺動部材15の後カム15Bを回転部材14の後カム14Bに当接するとともに、摺動部材15の突部15Gを前軸2のキー2Bに当接させる。すると、前軸2の内鍔2Aが固定駒4の外段4Aに当接される。
【0019】
更に、前軸2の後方から円筒状の重量体21を挿入し、重量体21を芯タンク8の外面と固定駒4の内面の間に長手方向に摺動可能に遊嵌する。尚、芯タンク8の外面と重量体21の内面との隙間より重量体21の外面と固定駒4の内面との隙間を狭く構成する。
【0020】
後軸22にはクリップ23が一体に構成されるとともに、後軸22の前方より中子24を挿入する。この中子24の内鍔24A前端にはがゴム等の軟質材からなる後Oリング25を圧入固着する。また、後軸22の後方より押圧部材26を挿入し、中子24の開口窓24Bに押圧部材26の係止突起26Aを係止するとともに押圧部材26の前端を中子24の内鍔24Aに当接し、中子24と押圧部材26を連結する。更に、後軸22の内鍔22Aと押圧部材26の外段26Bとの間には取付時荷重300g程度でリターンスプリング27を取り付け、押圧部材26を長手方向後方に付勢する。この押圧部材26には内孔26Cが形成されて芯19が通過可能に構成されるとともに、押圧部材26の後部内側26Dに消しゴム28が取り付けられる。また、押圧部材26の後部外側26Eには消しゴム28を覆うためにノブ29が着脱可能に嵌合される。
【0021】
この後軸22を前記前軸2に着脱可能に螺合するとともに、芯タンク8内に予備の芯19を収納して振出式のシャープペンシルを構成する。
【0022】
前記シャープペンシルで筆記を行うと、芯19が紙面に押圧され図5に示したように、筆圧を受けるチャック5、締具6、連結具9、スライド部材3、固定駒4、先部材12及び回転部材14は停止しているが、スライド部材3に対し手で把持された前軸2及び把持部材1は前進し、前軸2のキー2Bに突部15Gが当接した摺動部材15も前軸2とともに前スプリング20を圧縮しながら前進する。すると、摺動部材15の前カム15Aが回転部材14の前カム14Aに当接し、摺動部材15の前カム15Aの傾斜面15Cが回転部材14の前カム14Aの傾斜面14Cに当接する。しかし、摺動部材15は突部15Gが先部材12のキー溝12Cに挿入されて回動不能となっているので、回転部材14の前カム14Aの傾斜面14Cが摺動部材15の前カム15Aの傾斜面15Cの略半分を滑って、図6に示したように回転部材14が前方に対して右回転する。すると、回転部材14とともに中駒17、芯ガイドパイプ16及び芯ホルダー18も右回転するために、芯19も右に回転する。
【0023】
次に、筆記を止め芯19を紙面より離すと、手で把持された前軸2及び把持部材1に対して、前スプリング20により前方に付勢された先部材12及びスライド部材3が前進する。すると、スライド部材3とともに、連結具9、締具6、チャック5、回転部材14、中駒17、芯ガイドパイプ16、芯ホルダー18が芯19とともに前進する。そして、回転部材14の後カム14Bの傾斜面14Eが摺動部材15の後カム15Bの傾斜面15Eに当接し、回転部材14の後カム14Bの傾斜面14Eが摺動部材15の後カム15Bの傾斜面15Eの略半分を滑って図7に示したように、回転部材14が前方に対して右回転する。また、固定駒4の外段4Aが前軸2の内鍔2Aに当接し、図1及び図2の状態に復帰する。すると、回転部材14の後カム14Bの傾斜面14Eは摺動部材15の後カム15Bの傾斜面15Eを1つ乗り越えて右隣りの傾斜面15Eに当接され、図7に示したように芯19は回転部材14の後カム14Bの1つの傾斜面14E寸法だけ右に回転する。尚、チャック5、コネクター7及び芯タンク8と押圧部材26が分離されているとともに、固定駒4と重量体21の隙間より重量体21と芯タンク8の隙間が大きく構成されているので、芯タンク8の回転を押圧部材26や重量体21によって妨げられる恐れはない。
【0024】
筆記を行うことによって芯19が摩耗した場合には、手で把持した把持部材1を振ると、重量体21が先ず後方に移動して後Oリング25に当接する。その反動で把持部材1を前方に振ると、重量体21は前方に移動して前Oリング11に当接する。この重量体21の慣性力によりチャック5、コネクター7、芯タンク8を前進させ、従来公知の振出式シャープペンシルと同様に一定量芯19を繰り出す。
【0025】
また、芯19の回転を止めたい場合には、ロック機構を構成するロック部材13を回転させて後退させ、係止部13Bを前軸2に当接させ図8の状態にする。すると、先部材12及びスライド部材3に対して前軸2が長手方向に移動できなくなり、筆記を行なっても芯19が回転しない。
【0026】
更に、携帯時に中駒17及び芯ガイドパイプ16を後退させれば、先部材12内に芯ガイドパイプ16を没入させることができる。
【実施例2】
【0027】
以下、図9、図10、図11及び図12に基づいて本発明における実施例2のシャープペンシルを説明する。尚、図2と同一部材は同一の符号を付してその説明を省略する。先ず、先部材112の表面後部112Fを隆起させて構成するとともに、その表面後部112Fに円周方向に伸びた突条部112Gを形成する。この先部材112の後部に後端から切り欠かれて伸びたキー溝112Cを相対位置に形成する。また、ロック部材113の内面に円周方向に伸びた凹条部113Cを形成するとともに、後方に伸ばしたカム部113Dを相対位置に形成する。このカム部113Dには、係止部113Bと係止部113Bより更に後方に伸びたストッパー部113Eを形成する。また、前軸102のカム部102Cには、後方に切り欠かれた凹部102Dを相対位置に形成する。このロック部材113の凹条部113Cを先部材112の突条部112Gに回動自在に取り付ける。また、ロック機構は、ロック部材113のカム部113Dを前軸102の凹部102Dに合わせて図9及び図10に示した状態にすれば、ロック部材113のカム部113Dと前軸102のカム部102Cが適宜離間して、先部材112及びスライド部材3に対して前軸102が長手方向に移動可能となる。したがって、この状態では回転部材14の回転機構が働き、筆記を行えば芯19が回転する。
【0028】
また、芯19の回転を止めて筆記したい場合には、ロック機構を構成するロック部材113を前方に対して右に回転させれば、ロック部材113のストッパー部113Eが前軸102のカム部102Cに形成した凹部102Dの縁102Eに当接してロック部材113の回転が停止されるとともに、ロック部材113の係止部113Bが前軸102のカム部102Cに接触して図11及び図12に示した状態となる。この状態では、先部材112及びスライド部材3に対して前軸102が長手方向前方に移動できなくなり、筆記を行なっても芯19が回転しない。
【実施例3】
【0029】
以下、図13及び図14に基づいて本発明における実施例3のシャープペンシルを説明する。尚、図1と同一部材は同一の符号を付してその説明を省略する。先ず、軟質材で構成された把持部材1を前軸202に固定して取り付ける。また、ロック機構は、前軸202の後部に雌ネジ部202Fを形成する。更に、ロック部材213の前部に雄ネジ部213Fを形成するとともに、後部213Gを太径に形成する。前記前軸202の雌ネジ部202Fにロック部材213の雄ネジ部213Fが長手方向に移動可能に螺合され、かつ、ロック部材213の後部213Gが固定駒104の外鍔104Bに被さって構成される。そして、図13に示した状態では、先部材212に対して摺動部材15は長手方向に移動可能に構成される。したがって、この状態では回転部材14の回転機構が働き、筆記を行えば芯19が回転する。
【0030】
また、芯19の回転を止めたい場合には、ロック機構を構成するロック部材213を回転させて前軸202を長手方向前方に移動させる。すると、図14に示した状態となり、前軸202のキー202Bに押されて摺動部材15が前方に移動し、先部材212のキー溝212Cの前端縁に摺動部材15の突部15Gが当接する。この状態では、先部材212及びスライド部材3に対して前軸202及び摺動部材15が長手方向に往復動できなくなり、筆記を行っても芯19が回転しない。
【0031】
この実施例3の場合には、筆記中にロック部材213が指に当たらないので、誤作動が発生する恐れが少なくなる。
【実施例4】
【0032】
以下、図15、図16、図17及び図18に基づいて本発明における実施例4のシャープペンシルを説明する。尚、図2と同一部材は同一の符号を付してその説明を省略する。先ず、図15において、先部材312の表面後部に雄ネジ部312Aを構成し、この雄ネジ部312Aの後方に位置する後部に後雄ネジ部312Bを形成するとともに、後端から切り欠かれて前方に伸びたキー溝312Cを相対位置に形成する。また、前部に芯ガイドパイプ16を固定した回転部材114を先部材312に回動可能に内蔵する。この回転部材114に芯19を50g程度の摩擦力で保持するゴム製の芯ホルダー18を取り付ける。
【0033】
次に、前記回転部材114を回転させるための回転機構を説明する。回転部材114に突部114Hを形成し、この突部114Hの前面に前カム114Aを形成するとともに、突部114Hの後面に後カム114Bを形成する。この回転部材114の前カム114Aは、図16に示したように、右回転方向に向かって前方に傾斜する多数の傾斜面114Cと、傾斜面114Cと傾斜面114Cの間に位置する垂直面114Dにより構成する。また、回転部材114の後カム114Bは、右回転方向に向かって後方に傾斜する多数の傾斜面114Eと、傾斜面114Eと傾斜面114Eの間に位置する垂直面114Fにより構成する。また、摺動部材115に、前内鍔115Iの後面に形成した前カム115Aと後内鍔115Jの前面に形成した後カム115Bを構成する。この摺動部材115の前カム115Aは、左回転方向に向かって後方に傾斜する多数の傾斜面115Cと、傾斜面115Cと傾斜面115Cの間に位置する垂直面115Dにより構成する。また、摺動部材115の後カム115Bは、左回転方向に向かって前方に傾斜する多数の傾斜面115Eと、傾斜面115Eと傾斜面115Eの間に位置する垂直面115Fにより構成する。更に、摺動部材115の前カム115Aの傾斜面115Cと後カム115Bの傾斜面115Eは同数で前カム115Aの傾斜面115Cの略中心に後カム115Bの垂直面115Fが位置する。また、回転部材114の前カム114Aの傾斜面114Cと後カム114Bの傾斜面114Eも摺動部材115の前カム115Aの傾斜面115C及び後カム115Bの傾斜面115Fと同数で、前カム115Aの垂直面115Dと後カム115Bの垂直面115Fが長手方向に合わされている。前記摺動部材115の前カム115Aと後カム115Bの間に回転部材114の突部114Hを取り付け、回転部材114の前カム114Aと摺動部材115の前カム115Aを対面させるとともに、回転部材114の後カム114Bと摺動部材115の後カム115Bを対面させて構成する。また、回転部材114に対し摺動部材115は長手方向に適宜前後動可能に構成し、回転部材114の前カム114Aと摺動部材115の前カム115A及び回転部材114の後カム114Bと摺動部材115の後カム115Bは当接可能に構成する。
【0034】
この回転部材114及び摺動部材115は先部材312に内蔵されるが、先部材312のキー溝312Cに摺動部材115の相対位置に形成された突部115Gが挿入され、先部材312に対して摺動部材115は長手方向に移動可能で回動不能に構成される。また、摺動部材115の突部115Gは先部材312の後部表面より外方に突出する。更に、先部材312の内段312Dと摺動部材115の外段115Hとの間に前スプリング20を取り付け、摺動部材115を長手方向後方に付勢する。
【0035】
上記先部材312をスライド部材3に着脱可能に螺合し、先部材312の係止段312Eと連結具9の前端との間に回転部材114を回動可能に内蔵し、取付時荷重100g程度で取り付けられた前スプリング20により長手方向後方に付勢された摺動部材115の前カム115Aを回転部材114の前カム114Aに当接するとともに、摺動部材115の突部115Gを前軸2のキー2Bに当接させる。すると、前軸2の内鍔2Aが固定駒4の外段4Aに当接され、振出式のシャープペンシルを構成する。
【0036】
前記シャープペンシルで筆記を行うと、芯19が紙面に押圧され図17に示したように、筆圧を受けるチャック5、締具6、連結具9、スライド部材3、固定駒4、先部材312及び回転部材114は停止しているが、スライド部材3に対し手で把持された前軸2及び把持部材1は前進し、前軸2のキー2Bに突部115Gが当接した摺動部材115も前軸2とともに前スプリング20を圧縮しながら前進する。すると、摺動部材115の後カム115Bが回転部材114の後カム114Bに当接し、摺動部材115の後カム115Bの傾斜面115Eが回転部材114の後カム114Bの傾斜面114Eに当接する。しかし、摺動部材115は突部115Gが先部材312のキー溝312Cに挿入されて回転不能となっているので、回転部材114の後カム114Bの傾斜面114Eが摺動部材115の後カム115Bの傾斜面115Eの略半分を滑って図16に示したように回転部材114が前方に対して右回転する。この回転部材114とともに、回転部材114に取り付けられた芯ホルダー18が右回転すると芯19も右に回転する。この時、芯19を保持するチャック5も、締具6及び連結具9とともにスライド部材3に対して右に回転する。
【0037】
次に、筆記を止め芯19を紙面より離すと、手で把持された前軸2及び把持部材1に対して、前スプリング20により前方に付勢された先部材312及びスライド部材3が前進する。すると、スライド部材3とともに、連結具9、締具6、チャック5、回転部材114、芯ホルダー18が芯19とともに前進する。そして、回転部材114に形成された前カム114Aの傾斜面114Cが摺動部材115に形成された前カム115Aの傾斜面115Cに当接し、回転部材114の前カム114Aの傾斜面114Cが摺動部材115の前カム115Aの傾斜面115Cの略半分を滑って回転部材114が前方に対して右回転する。また、固定駒4の外段4Aが前軸2の内鍔2Aに当接し、図15の状態に復帰する。すると、回転部材114の前カム114Aの傾斜面114Cは摺動部材115の前カム115Aの傾斜面115Cを1つ乗り越えて右隣りの傾斜面115Cに当接され、芯19は回転部材114の後カム114Bの1つの傾斜面114E寸法だけ右に回転する。尚、チャック5、コネクター7及び芯タンク8が回転する時、芯タンク8と押圧部材26が分離されているとともに、固定駒4と重量体21の隙間より重量体21と芯タンク8の隙間が大きく構成されているので、芯タンク8の回転を押圧部材26や重量体21によって妨げられる恐れはない。
【0038】
筆記を行うことによって芯19が摩耗した場合には、手で把持した把持部材1を振ると、重量体21が先ず後方に移動して後Oリング25に当接する。その反動で把持部材1を前方に振ると、重量体21は前方に移動して前Oリング11に当接する。この重量体21の慣性力によりチャック5、コネクター7、芯タンク8を前進させ、従来公知の振出式シャープペンシルと同様に一定量芯19を繰出す。
【0039】
また、芯19の回転を止めたい場合には、ロック機構を構成するロック部材13を回転させて後退させ、係止部13Bを前軸2に当接させ図19の状態にする。すると、先部材312及びスライド部材3に対して前軸2が長手方向に移動できなくなり、筆記を行なっても芯19が回転しない。
【実施例5】
【0040】
以下、図20及び図21に基づいて本発明における実施例5のシャープペンシルを説明する。尚、図2と同一部材は同一の符号を付してその説明を省略する。先ず、先部材412を透明あるいは着色した透明性を有する合成樹脂で構成し、表面に梨地加工や不透明のインキで印刷を行うかあるいは転写を行うとともに、その一部に透明性を有する窓部412Hを相対位置に形成する。更に、先部材412の後部に後端から切り欠かれて伸びたキー溝412Cを相対位置に形成する。また、回転部材214に表示部材30を圧入固着して取り付ける。この表示部材30には芯19の回転が目視できるように表示30Aが設けられる。この表示部材30の表示30Aは、印刷、転写あるいはシール等により構成する。尚、図示していないが、表示部材は回転部材と一体に構成しても良い。
【0041】
この回転部材214を前記先部材412内に内蔵するとともに、先部材412のキー溝412Cに摺動部材15の突部15Gを挿入する。そして、先部材412をスライド部材3に着脱可能に螺合して取り付ける。すると、表示部材30に形成された表示30Aが先部材412の窓部412Hより目視可能となる。したがって、回転部材214が回転する状態を先部材412の窓部412Hより常時目視することができる。
【0042】
尚、先部材412の窓部412Hは、円周状に形成したり円周方向等間隔に複数形成することが好ましい。
【0043】
この実施例5のシャープペンシルの場合には、芯19の回転を示す表示30Aが先部材412の窓部412Hを通して目視でき、筆記中に表示30Aが目視し易いという利点が得られる。
【0044】
尚、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、把持部材、前軸、先部材、スライド部材、固定駒、回転部材、摺動部材、連結具といった部材は説明を簡略化するためにそれぞれ1個の部材として図示しているが、それぞれ2個以上の部材を螺合、圧入等により一体化すれば良い。また、回転部材、中駒、芯ガイドパイプに取り付けられる芯ホルダーは、ゴムに限定されるものではなく、金属の板を筒状に形成し、その一部に弾性部を形成したり、あるいは回転部材、中駒あるいは芯ガイドパイプ等の一部に弾性部を形成して一体に構成しても良い。更に、上記実施例は前カムの傾斜面の略中心に後カムの垂直面を位置させて構成しているが、これは説明を明確にするためであって、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、互いに当接する前カムの傾斜面同士が接触して合致した時、互いに当接可能な後カムの接触面同士は離間するとともに傾斜面寸法の略半分程度円周方向にずれて構成され、かつ、前カムの傾斜面と後カムの傾斜面が円周方向に対して逆向きに傾斜して構成されていれば良い。
【産業上の利用可能性】
【0045】
筆記圧による先部材の前後動により芯を回転させることができるとともに、先部材の前後動を可能か不可能をロック機構により選択できるシャープペンシルに適用できる。
【符号の説明】
【0046】
1 把持部材
3 スライド部材
5 チャック
5A チャック5の頭部
6 締具
9 連結具
10 チャックスプリング
15 摺動部材
18 芯ホルダー
19 芯
115 摺動部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャックの頭部に締具を外嵌し、前記チャックをチャックスプリングにより長手方向後方に付勢し、チャックに押圧された締具を受け止める連結具をスライド部材に対し回動可能に構成し、このスライド部材に対し把持部材を長手方向に適宜移動可能に構成するとともに、スライド部材に対し把持部材の長手方向への移動を可能か不可能に選択できるロック機構を設け、更に、スライド部材に対し摺動部材を長手方向には移動可能で回動不能に構成し、スライド部材に対して摺動部材を長手方向に往復動させることによって芯ホルダーを一方向に所定角度毎に回転させる回転機構を構成し、ロック機構を操作して、スライド部材に対して摺動部材を長手方向に移動可能にした場合には、筆記を行うことにより芯ホルダーの回転に伴って芯を回転させ、また、スライド部材に対して摺動部材を移動不可能にした場合には、筆記を行っても芯が回転しないことを特徴とするシャープペンシル。
【請求項1】
チャックの頭部に締具を外嵌し、前記チャックをチャックスプリングにより長手方向後方に付勢し、チャックに押圧された締具を受け止める連結具をスライド部材に対し回動可能に構成し、このスライド部材に対し把持部材を長手方向に適宜移動可能に構成するとともに、スライド部材に対し把持部材の長手方向への移動を可能か不可能に選択できるロック機構を設け、更に、スライド部材に対し摺動部材を長手方向には移動可能で回動不能に構成し、スライド部材に対して摺動部材を長手方向に往復動させることによって芯ホルダーを一方向に所定角度毎に回転させる回転機構を構成し、ロック機構を操作して、スライド部材に対して摺動部材を長手方向に移動可能にした場合には、筆記を行うことにより芯ホルダーの回転に伴って芯を回転させ、また、スライド部材に対して摺動部材を移動不可能にした場合には、筆記を行っても芯が回転しないことを特徴とするシャープペンシル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2013−22828(P2013−22828A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−159715(P2011−159715)
【出願日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(303022891)株式会社パイロットコーポレーション (647)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(303022891)株式会社パイロットコーポレーション (647)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]