説明

シュレッダのカッタ構造

【課題】被細断物をカットする段階で、被細断物のカッタよりも手前の部分が、カッタにより前後方向に振られる振幅を小さくすることにより、細断処理時に発生する騒音を抑制する。
【解決手段】カッタ15a,15bの外周面に、刃16と切欠凹部17とを、回転方向に向かって交互に繰り返すように設けるとともに、刃16の刃先角βを35°≦β≦55°、カッタ15a,15bの回転中心Oと刃先を結ぶ線に対する刃16の手前側の面とのなす刃のすくい角δを20°≦δ≦40°、刃の外側端面の刃先側の延長線と刃先から離れた側の端面とがなす角度αを5°≦α≦35°の範囲内に設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば紙・書類等の紙葉状をした不用紙(以下、これを被細断物という)を細断処理するシュレッダのカッタ構造に係り、特に、細断処理時に発生する音を抑えて小さくすることができるようにしたシュレッダのカッタ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のシュレッダのカッタ構造、特にカッタの刃に関するものとして、例えば特許文献1が知られている。
特許文献1に記載されているカッタは、外周に複数の同形の切欠凹部を挟んで複数の同形の刃が、回転方向に向かって交互に繰り返して列設されたもので、外周円に沿う刃の長さを、切欠凹部の長さよりも大とし、被細断物を細かい短冊状にカットする構造になっている。
【特許文献1】実開昭62−156351号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特許文献1に記載されているシュレッダのカッタは、刃の外周面がカッタの回転中心を同心とした円弧状をなしており、この形状のカッタ同士で被細断物を細断するとき、被細断物のカッタよりも手前の部分が、両カッタにより、前後方向に大きく振られて、騒音発生の大きな要因となっている。
【0004】
本発明は、上述のような従来の課題を解決するためになされたものであって、被細断物をカットする段階で、被細断物のカッタよりも手前の部分が、カッタにより前後方向に振られる振幅を小さくすることにより、細断処理時に発生する騒音を抑制することができるようにしたシュレッダのカッタ構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によると、上記課題は、次のようにして解決される。
(1)ほぼ円盤状とした複数のカッタを各々列設してなる1対の回転軸を有し、この1対の回転軸を、各列の隣接するカッタ間に他の列のカッタの刃を交互に入り込ませて互いに平行に配設し、両列の互いに隣接するカッタ同士が摺り合わされた状態で互いに逆方向に回転するようにしてなるシュレッダのカッタ構造において、前記カッタは、外周面に、刃と切欠凹部とを、回転方向に向かって交互に繰り返すように設けるとともに、前記刃の刃先角βを35°≦β≦55°、カッタの回転中心と刃先を結ぶ線に対する刃の手前側の面とのなす刃のすくい角δを20°≦δ≦40°、刃の外側の刃先側端面の延長線と刃先から離れた側の端面とがなす角度αを5°≦α≦35°の範囲内に設定する。
【0006】
(2)上記(1)項において、刃の外側端面の中央部に、側面視でカッタの仮想外周面よりも回転中心側に凹んだ凹み部を設ける。
【0007】
(3)上記(1)または(2)項のいずれかにおいて、切欠凹部の底面を、側面視でカッタの仮想円とほぼ同心円をなすようにして形成する。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載の発明によると、被細断物をカットする段階で、被細断物のカッタよりも手前の部分が、カッタによって前後方向に振られる振幅を小さくすることができ、もって細断処理時に発生する騒音を抑制することができる。
【0009】
請求項2記載の発明によると、刃の外側端面の中央部に、側面視でカッタの仮想外周面よりも回転中心側に凹んだ凹み部を設けてあるので、被細断物のカッタよりも手前の部分が、両カッタによって振られて前後方向に動く幅をさらに小さくすることができる。
【0010】
請求項3記載の発明によると、切欠凹部の底面を、側面視でカッタの仮想円とほぼ同心円をなすように形成してあるので、切断された直後の被細断物の前後方向の動きを抑制して、騒音を小さくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を図面に基づいて説明する。図1は、本発明のカッタ構造の一実施形態を備えるシュレッダの斜視図、図2は、同じく、縦断側面図、図3は、同じく、投入口における挿入通路を形成する上下ガイド板による作動状態を概略的に示す要部拡大縦断側面図である。
【0012】
このシュレッダ(1)は、図1及び図2に示すように、前後寸法が短く、左右寸法が長い縦長の有底箱状体からなるケース本体(2)を備えている。このケース本体(2)は、上面と前面とが開放し、内部は、上下に収容空間(2a)(2b)が区画形成されている。
【0013】
ケース本体(2)内の上部収容空間(2a)には、細断ユニット(3)が取外し可能に組付けられている。細断ユニット(3)は、前部に操作パネル(4)を設けた上面カバー(5)を有し、この上面カバー(5)の上面ほぼ中央部には、紙・書類等の被細断物(A)が投入される投入口(6)が設けられている。この投入口(6)には、ケース本体(2)の後方に向けて所定の角度で下降傾斜する挿入通路(7)が続いている。
【0014】
挿入通路(7)は、上下1対のガイド板(8)(9)により形成されており、第1通路部(7a)と、この第1通路部(7a)の下端に、屈曲部(7b)を介して連設された第2通路部(7c)とからなっている。
【0015】
上側ガイド板(8)は、上面カバー(5)に固定されており、図3に示すように、第1通路部(7a)の上面となる第1ガイド面を形成する基端部(8a)と、第2通路部(7c)の上面となる第2ガイド面を形成する先端部(8b)とを有し、先端部(8b)は、第1通路部(7a)から第2通路部(7c)に向けて挿入されて来る被細断物(A)の先端を下方に向けて案内する目的と、能力以上の硬い物、例えばプラスチック板や金属板等が挿入されたとき、その挿入を抑止する目的で、挿入通路(7)の屈曲部(7b)を形成するように、下方に向けて屈曲または湾曲させてられている。
【0016】
下側ガイド板(9)は、第1通路部(7a)の下面となる第1ガイド面を形成する基端部(9a)と、第2通路部(7c)の下面となる第2ガイド面を形成する先端部(9b)とを有し、投入口(6)側の端部(9c)が軸(10)をもって上面カバー(5)に枢着され、先端部(9b)側が下方に傾動自在に取り付けられている。なお、下側ガイド板(9)の先端部(9b)は、上側ガイド板(8)の先端部(8b)と協働して、第2通路部(7a)が後下方に向かって拡開するように、ほぼ真下に向かって垂下するように屈曲させられている。
【0017】
下側ガイド板(9)は、上側ガイド板(8)との間に、数枚の紙類を重ねた状態で挿入可能な挿入通路(7)を形成するための間隔(a)を確保するように、基端部(9a)が上側ガイド板(8)の基端部(8a)と平行に配置され、この間隔(a)を維持するように、板ばね(11)により、上向きに付勢されている。また、下面側には、投入口(6)から挿入通路(7)の間隔(a)以上の異物や厚紙等の厚い物が挿入され、下側ガイド板(9)が板ばね(11)の付勢力に抗して下方(矢印方向)に傾動したとき、この傾動による下側ガイド板(9)の移動を検知する、リミットスイッチからなる厚物検知センサ(12)が設けられている。
【0018】
挿入通路(7)の下方には、後部と前部の1対の細断ローラ(13a)(13b)が、互いに噛合せた状態で配設されている。ここで、細断ローラ(13a)(13b)間の噛み合い部(B)と挿入通路(7)との関係は、図3に示すように、上側ガイド板(8)の先端部(8b)から真っ直ぐ斜め後下方に向かって延びる延長線(C1)が、噛み合い部(B)の中心に対して、わずかの距離(x)だけ後方に変位するように設定してある。
【0019】
細断ローラ(13a)(13b)は、図3に示すように、回転軸(14a)(14b)に等間隔に円盤状のカッタ(15a)(15b)が列設して取り付けられたものである。各カッタ(15a)(15b)の外周面には、複数の刃(16)と切欠凹部(17)とが、回転方向に向かって交互に繰り返すようにして設けられている。
【0020】
また、図5及び図6に示すように、刃(16)の刃先角(β)は35°≦β≦55°、カッタ(15a)(15b)の回転中心(O)と刃先とを結ぶ線に対する刃の手前側の面とのなす刃のすくい角(δ)は、20°≦δ≦40°、また刃(16)の外側の刃先側端面の延長線と刃先から離れた側の端面とがなす角度(α)は、5°≦α≦35°の範囲内となるように設定してある。
【0021】
カッタ(15a)(15b)における刃(16)の外側端面(16a)の中央部には、図6に明確に示してあるように、側面視でカッタ(15a)(15b)の仮想外周面(27)よりも回転中心(O)側にくの字状に凹んだ凹み部(28)が設けられ、切欠凹部(17)の底面(17a)は、側面視において、カッタ(15a)(15b)の仮想円(29)とほぼ同心円をなすようにしてある。
【0022】
また、図6に示すように、カッタ(15a)(15b)の刃先を通る仮想外周円(27)の半径を(R1)、切欠凹部(17)の底面(17a)を通る仮想円(29)の半径を(R2)、切欠凹部(17)の底面(17a)とカッタ(15a)(15b)の刃(16)の手前側の面との間の接続半径を(R3)としたとき、接続半径(R3)が、半径(R1)と半径(R2)との差の1/3〜2/3の範囲内となるようにしてある。
【0023】
各回転軸(14a)(14b)におけるカッタ(15a)(15b)の刃(16)及び切欠凹部(17)は、図2〜図5に示すように、互いに逆になるようにして設けてある。また、1対の回転軸(14a)(14b)は、図4に示すように、一方の回転軸(14a)のカッタ列におけるカッタ(15a)(15a)間に、他方の回転軸(14b)のカッタ列におけるカッタ(15b)(15b)の刃(16)を交互に入り込ませて、互いに平行に配設され、上面カバー(5)の下方に配設した正逆転可能のモータ(18)が正転駆動されると、両列の互いに隣接するカッタ(15b)(15b)同士が摺り合わされた状態で互いに逆方向に回転し、被細断物(A)の細断が行われるようになっている。
【0024】
ケース本体(2)内の下部収容空間(2b)には、細断部から排出される細断屑を収容する屑収容箱(C)が、前面の開口部(2c)から出し入れ可能に収容されている。下部収容空間(2b)の底部上面には、リミットスイッチからなる屑収容箱検知センサ(19)が設置されており、この屑収容箱検知センサ(19)は、屑収容箱(C)が定位置に位置しているか否かを検知する。
【0025】
ケース本体(2)の径上部には、第1の転倒検知センサ(20a)が、同じく、底面中央には、第2の転倒検知センサ(20b)がそれぞれ設置され、第1の転倒検知センサ(20a)は、例えば、内蔵したフォトセンサがボールの転動によりON/OFFするようにした非接触型の振子型スイッチのような僅かな、振動や衝撃で作動する高精度で信頼性の高いセンサからなり、ケース本体(2)の初期転倒状態を検知する。一方、第2の転倒検知センサ(20b)は、例えばロッドセンサからなり、ケース本体(2)が、例えば約20度以上傾斜したときに作動し、これらの組合せによりケース本体(2)の転倒を正確に検知するようになっている。
【0026】
ケース本体(2)の前面には、扉(21)が開閉自在に設けられており、この扉(21)の開閉状態は、ケース本体(2)の扉ヒンジ部(21a)近傍に設けたリミットスイッチからなる扉開検知センサ(22)により検知されるようになっている。この扉開検知センサ(22)は、扉(21)の開状態で、駆動部のモータ(18)の作動を停止し、扉(21)の閉状態では、モータ(18)の駆動を許容するように作動する。
【0027】
投入口(6)における挿入通路(7)の間口幅方向には、図1に示すように、被細断物(A)の挿入状態を検知する左右1対の用紙センサ(23)(23)が設置されている。各用紙センサ(23)は、図2及び図3に示すように、上側ガイド板(8)と下側ガイド板(9)とに、互いに対向するように設けられた投光素子(24a)と受光素子(24b)とからなっている。
【0028】
操作パネル(4)上には、図1に示すように、スタート/リスタート釦(25a)、リバース釦(25b)、ストップ釦(25c)等のボタンスイッチ類(25)や、電源のON/OFF、運転中または停止中、厚物有り、屑収容箱満杯、開扉・屑収容箱なし、モータ過熱等を表示するLED表示ランプ群(26)が設けられている。
【0029】
次に、このシュレッダの動作について説明する。
投入口(6)から被細断物(A)が投入されると、これが2個の用紙センサ(23)(23)により検知され、モータ(18)が正転駆動させられ、細断ローラ(13a)(13b)が回転させられる。投入口(6)から投入された被細断物(A)は、図3中に、矢印(D)で示すように、投入口(6)では、下側ガイド板(9)上を滑りながら第1通路部(7a)内を進む。先端が第2通路(7c)内に到達すると、上側ガイド板(8)の先端部(8b)に当接し、その後、その先端部(8b)の下面に摺接しつつ、第2通路部(7b)内を後下方に向かって進む。第2通路部(7b)を出ると、そのまま噛み合い部(B)に向かって進み、噛み合い部(B)に入る。
【0030】
噛み合い部(B)に噛み込まれた被細断物(A)は、図7に示すように、カッタ(15a)(15b)との間に噛み込まれ、被細断物(A)の先端部分が、例えば図7(a)〜(j)のように、カッタ(15a)(15b)の外側端に沿って前後方向に振られながら、カッタ(15a)(15b)間に引き込まれて行く。
【0031】
ここで、本実施の形態の構造では、カッタ(15a)(15b)の刃(16)の刃先角(β)を35°≦β≦55°、カッタ(15a)(15b)の回転中心(O)と刃先とを結ぶ線に対する刃の手前側の面とのなす刃のすくい角(δ)を20°≦δ≦40°、刃の外側の刃先側端面の延長線と刃先から離れた側の端面とがなす角度(α)を5°≦α≦35°の範囲内に設定し、さらに刃(16)の外側端面(16a)の中央部に凹み部(28)を設け、切欠凹部(17)の底面(17a)を、側面視において、カッタ(15a)(15b)の仮想円(29)とほぼ同心円をなすようにしてあるので、カッタ(15a)(15b)の間に噛み込まれた被細断物(A)は、カッタ(15a)(15b)の外側端に沿って振られる幅が小さくなり、細断処理時に発生する音が抑えられて、小さな音で細断処理され、短冊状にカットされる。
【0032】
また、カッタ(15a)(15b)の刃(16)は、接続半径(R3)を、半径(R1)と半径(R2)との差の1/3から2/3の範囲内に設定してあるので、被切断物(A)への噛み込みが良く、被切断物(A)のカット不良が起きにくく、かつ短冊状にカットされた被細断物(A)が切欠凹部(17)から出やすく、これによって常に良好なカット性能を維持することができる。
【0033】
なお、細断部である細断ローラ(13a)(13b)に、最大細断枚数を超えて被細断物(A)が投入され、細断部が過負荷状態になると、オートリバースされ、細断部から第2通路部に向かって戻される。このとき、本実施の形態の構造では、上側ガイド板(8)の先端部(8b)から真っ直ぐ斜め後下方に向かって延びる延長線(C1)を、細断ローラ(13a)(13b)間の噛み合い部(B)の噛み合い中心に対して、距離(x)だけ若干後方にずらしているとともに、第2通路部(7c)が後下方に向かって拡開するようにしてあるので、リバースされる被細断物(A)は、上側及び下側ガイド板(8)(9)にひっかかることなく簡単に取り出すことができる。
【実施例】
【0034】
本発明のカッタ(15a)(15b)の間に噛み込まれた被細断物(A)が、カッタ(15a)(15b)の外周面に沿って振られる幅が小さくなり、細断処理時に発生する音が抑えられ、小さくすることができる作用・効果を確認するために、以下の実証試験1〜3を行った。
【0035】
(実証試験1)
まず、カッタ(15a)(15b)の各刃先角度(β)を30°,35°,40°,45°,50°,55°,60°,65°としたとき、その切味、耐久性を検証するために、実証試験1を行った。その試験結果は、図8に示すように、刃先角度(β)が35°〜60°の範囲では、切味、耐久性共に実用の範囲であった。なお、図8中における切味、耐久性の記号は、それぞれ記号◎→○→△→×に向かうにしたがって低下し、×は実用の範囲外であることを示す。
【0036】
(実証試験2)
続いて、切味、耐久性共に実用の範囲である刃先角度(β)をそれぞれ35°,40°,45°,50°,55°,60°とし、かつ、凹み部(28)の字角度(α)を5°,15°,25°,35°,40°としたときの、騒音の大きさを検証する実証試験2を行った。その試験結果は、図9に示すように、角度(α)が5°〜35°の範囲では、切味、騒音共に実用の範囲であった。なお、図9中における騒音の記号は、それぞれ記号◎→○に向かうにしたがって低下し、また「−」はすくい角(δ)が範囲外となることを示す。
【0037】
(実証試験3)
続いて、カッタ(15a)(15b)の各刃後側角度(θ)を15°,20°,25°,30°,35°,40°,45°,50°としたときの、切味、耐久性を検証する実証試験3を行った。その試験結果は、図10に示すように、刃後側角度(θ)が15°〜50°の範囲では、切味は実用の範囲であった。なお、図10中における切味の記号は、それぞれ記号◎→○→△に向かうにしたがって低下する。
【0038】
(実証試験4)
続いて、すくい角(δ)をそれぞれ15°,20°,25°,30°,35°,40°,45°とし、また図6に示すようにカッタ(15a)(15b)の各刃先を通る仮想外周円の半径を(R1)、切欠凹部(17)の底面を通る仮想円の半径を(R2)、切欠凹部(17)の底面(17a)とカッタ(15a)(15b)の刃(16)の手前側の面との間の接続半径を(R3)としたとき、接続半径(R3)の部分、すなわち切欠凹部(17)の凹部R値の目詰まり状態を検証した。その試験結果は、図11に示すように、0.8≦R≦3の範囲では、凹部R値の目詰まりはなく、切断物(A)への噛み込みが良く、被切断物(A)のカット不良も起きにくく、また短冊状にカットされた被細断物(A)が切欠凹部(17)から出やすく、これによって常に良好なカット性能を維持することができることが判った。なお、図11中における目詰まりの記号は、それぞれ記号◎→○→△に向かうにしたがって低下し、また「−」は実施できない状態になることを示す。
【0039】
また、凹部R値(接続半径(R3))は、(R1),(R2)との関係で示すと、次のようになる。
R(0.8)=0.5/3(R1−R2)
R(1.5)=1/3(R1−R2)
R(2.3)=1.5/3(R1−R2)
R(3)=2/3(R1−R2)
R(3.8)=2/3(R1−R2)
すなわち、0.8≦R3≦3は、次式で表すことができる。
[(R1−R2)/3≦R3≦(R1−R2)/1.5]
【0040】
したがって、上記実証試験1〜4から、刃(16)の刃先角(β)を35°≦β≦55°、すくい角(δ)を20°≦δ≦40°、角度(α)を5°≦α≦35°とすれば、切れ味及び耐久性を落とすことなく、被細断物(A)が、カッタ(15a)(15b)の外側端に沿って振られる幅を小さくして、細断処理時に発生する音を抑えて小さくすることができる効果が得られことが判明した。また、接続半径(R3)を[(R1−R2)/3≦R3≦(R1−R2)/1.5]の範囲に設定すると、切欠凹部(17)の目詰まりもなく、常に良好なカット性能を維持できることが判明した。
なお、実施例は、角度をいずれも5°単位で異ならせて測定したものであるので、実際には特許請求の範囲に記載された角度の限界値より±2°〜3°の範囲においても同様も結果が得られた。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の一実施形態を備えるシュレッダの斜視図である。
【図2】同じく、縦断側面図である。
【図3】同じく、投入口における挿入通路を形成する上下ガイド板による作動状態を概略的に示す要部拡大縦断側面図である。
【図4】同じく、1対の細断ローラを示す概略平面図である。
【図5】同じく、1対のカッタの形状を示す拡大図である。
【図6】同じく、カッタの要部拡大図である。
【図7】同じく、1対の細断ローラが被細断物を細断する動作を示す図である。
【図8】同じく、刃先角度の切味と耐久性との関係を示す図である。
【図9】同じく、刃先角度とくの字角度の騒音と切味との関係を示す図である。
【図10】同じく、刃後側角度と切味との関係を示す図である。
【図11】同じく、すくい角と凹部R値の目詰まり関係を示す図である。
【符号の説明】
【0042】
(1)シュレッダ
(2)ケース本体
(2a)上部収容空間
(2b)下部収容空間
(2c)開口部
(3)細断ユニット
(4)操作パネル
(5)上面カバー
(6)投入口
(7)挿入通路
(7a)第1通路部
(7b)屈曲部
(7c)第2通路部
(8)上側ガイド板
(8a)基端部
(8b)先端部
(9)下側ガイド板
(9a)基端部
(9b)先端部
(9c)端部
(10)軸
(11)板ばね
(12)厚物検知センサ
(13a)細断ローラ
(13b)細断ローラ
(14a)回転軸
(14b)回転軸
(15a)カッタ
(15b)カッタ
(16)刃
(16a)外側端面
(17)切欠凹部
(17a)底面
(18)モータ
(19)屑収容箱検知センサ
(20a)第1の転倒検知センサ
(20b)第2の転倒検知センサ
(21)扉
(21a)扉ヒンジ部
(22)扉開検知センサ
(23)用紙センサ
(24a)投光素子
(24b)受光素子
(25)スイッチ類
(25a)スタート/リスタート釦
(25b)リバース釦
(25c)ストップ釦
(26)LED表示ランプ群
(27)仮想外周面
(28)凹み部
(29)仮想円
(A)被細断物
(B)噛み合い部
(C)屑収容箱
(D)矢印
(a)間隔
(x)ずれ量
(O)回転中心
(α)延長線と端面とがなす角度
(β)刃先角
(δ)すくい角
(θ)刃後側角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ほぼ円盤状とした複数のカッタを各々列設してなる1対の回転軸を有し、この1対の回転軸を、各列の隣接するカッタ間に他の列のカッタの刃を交互に入り込ませて互いに平行に配設し、両列の互いに隣接するカッタ同士が摺り合わされた状態で互いに逆方向に回転するようにしてなるシュレッダのカッタ構造において、
前記カッタは、外周面に、刃と切欠凹部とを、回転方向に向かって交互に繰り返すように設けるとともに、前記刃の刃先角βを35°≦β≦55°、カッタの回転中心と刃先を結ぶ線に対する刃の手前側の面とのなす刃のすくい角δを20°≦δ≦40°、刃の外側の刃先側端面の延長線と刃先から離れた側の端面とがなす角度αを5°≦α≦35°の範囲内に設定したことを特徴とするシュレッダのカッタ構造。
【請求項2】
刃の外側端面の中央部に、側面視でカッタの仮想外周面よりも回転中心側に凹んだ凹み部を設けた請求項1記載のシュレッダのカッタ構造。
【請求項3】
切欠凹部の底面を、側面視でカッタの仮想円とほぼ同心円をなすようにして形成したことを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載のシュレッダのカッタ構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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