説明

シュレッダー

【課題】包装箱や使用説明書に確実に損傷を与えつつ、再生紙として再利用可能な寸法に包装箱や使用説明書を切断するシュレッダーを提供する。
【解決手段】医薬品を収納する包装箱1及び/又は包装箱1に収納される使用説明書を処理対象物とするシュレッダー2であり、当該シュレッダー2は、間隔を空けて並置され水平軸周りに互いに逆向きに回転する一対の回転軸51,51と、回転軸51の軸方向に間隔を空けて各回転軸51に取り付けられ包装箱1及び/又は使用説明書を切断する切断刃52と、隣り合う切断刃52の間において各回転軸51に取り付けられ包装箱1及び/又は使用説明書に孔を開ける損傷刃53と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シュレッダーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、不要になった紙などを切断するためのシュレッダーが多数開発され実用化に至っている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載のシュレッダーは、間隔を空けて並置され且つ水平軸周りに互いに逆向きに回転する一対の回転軸と、前記各回転軸に取り付けられ且つ回転軸の軸方向に間隔を空けて配置された複数の切断刃と、を備えて構成されている。また、一方の回転軸に取り付けられた切断刃と、他方の回転軸に取り付けられた切断刃とは、その外周縁同士が接触した状態で軸方向に沿って交互に隙間無く配置されている。そして、当該シュレッダーでは、回転軸の回転に伴って、紙などが、一対の回転軸同士の間に引き込まれつつ、一方の回転軸に取り付けられた切断刃と他方の回転軸に取り付けられた切断刃との間で切断されるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−323232号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、医薬品を収納する包装箱や当該包装箱に収納される使用説明書(以下、「包装箱」という。)を製造する過程において、欠陥が生じることがある。このような欠陥が生じたときには、廃棄物処理業者に包装箱を引き渡して焼却処分することが一般的に行われている。また、焼却処分する際には、包装箱が転売されて不正利用されるのを防止するため、薬品製造会社の社員が廃棄物処理業者に同行して、確実に焼却処分されたことを確認している。そのため、廃棄に掛かる費用や手間が増大していた。
【0006】
そこで、シュレッダーを用いて包装箱を切断して、切断された包装箱を再生紙の材料として再利用(リサイクル)することで、廃棄に掛かる費用や手間を低減することが考えられる。なお、リサイクル業者は、包装箱を回収する条件として、長さや幅に関する最低限必要な寸法(最小寸法)を定めている。
【0007】
しかし、従来のシュレッダーでは、一方の回転軸に取り付けられた切断刃と、他方の回転軸に取り付けられた切断刃とが、その外周縁同士が接触した状態で軸方向に沿って交互に隙間無く配置されているため、包装箱が最小寸法より小さく切断され易く、再生紙の材料として包装箱を利用することが困難であった。
【0008】
本発明は、このような観点から創案されたものであり、包装箱や使用説明書に確実に損傷を与えつつ、再生紙として再利用可能な寸法に包装箱や使用説明書を切断できるシュレッダーを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため本発明は、医薬品を収納する包装箱及び/又は前記包装箱に収納される使用説明書を処理対象物とするシュレッダーであって、間隔を空けて並置され、水平軸周りに互いに逆向きに回転する一対の回転軸と、前記回転軸の軸方向に間隔を空けて前記各回転軸に取り付けられ、前記包装箱及び/又は前記使用説明書を切断する切断刃と、隣り合う前記切断刃の間において前記各回転軸に取り付けられ、前記包装箱及び/又は前記使用説明書に孔を開ける損傷刃と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、隣り合う切断刃の間に損傷刃を設けることにより、損傷刃で包装箱や使用説明書に孔を開けて、確実に損傷を与えることが可能となるため、隣り合う切断刃の間隔を広げて、包装箱や使用説明書の切断寸法を大きく取ることが可能となる。したがって、再生紙として再利用可能な寸法に包装箱や使用説明書を切断することができる。
【0011】
また、前記損傷刃は、隣り合う前記切断刃の間において複数配置されている構成とするのが好ましい。
【0012】
かかる構成によれば、包装箱や使用説明書の損傷範囲を拡大させることが可能となり、隣り合う切断刃の間隔を広げても、より確実に包装箱や使用説明書に損傷を与えることができる。
【0013】
また、前記損傷刃は、円盤状に形成されており、外周面には、周方向に沿って等角度離間し且つ外方に向かって突出する複数の突起部が形成されている構成とするのが好ましい。
【0014】
かかる構成によれば、包装箱や使用説明書の損傷範囲を拡大させることが可能となり、より確実に包装箱や使用説明書に損傷を与えることができる。
【0015】
また、前記一対の回転軸同士の間に前記包装箱及び/又は前記使用説明書を投入する投入部をさらに備え、前記投入部は、前記一対の回転軸よりも下方において前記包装箱及び/又は前記使用説明書を貯留するバケットと、前記バケットを傾動自在に保持する保持部と、前記保持部を上下方向に移動自在に支持する本体部と、前記保持部を上下方向に移動させる移動手段と、前記一対の回転軸の上方に設置され、前記バケットに貯留された前記包装箱及び/又は前記使用説明書を受け取って前記一対の回転軸同士の間に供給するホッパと、を有し、前記バケットは、前記保持部に対して傾動自在に連結された傾動軸と、前記傾動軸よりも前記ホッパ側に設けられた被押圧部と、を有し、前記本体部は、前記保持部の上昇に伴って、前記被押圧部を下方に向かって押圧する押圧部を有する構成とするのが好ましい。
【0016】
かかる構成によれば、バケットに包装箱や使用説明書を大量に貯留することができるとともに、バケットを上昇させることによって大量の包装箱や使用説明書をホッパを介して一対の回転軸同士の間に供給することができるので、大量の包装箱や使用説明書を効率よく切断処理及び孔開け処理することができる。また、バケットを上昇させることによってバケットのホッパ側の被押圧部を下方に押圧して、バケットをホッパ側に傾けることができるので、バケットを傾けるための駆動装置を別途設ける必要がなく、投入部の構成を簡素化することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明のシュレッダーによれば、包装箱や使用説明書に確実に損傷を与えつつ、再生紙として再利用可能な寸法に包装箱や使用説明書を切断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本発明の実施形態に係るシュレッダーの処理対象物である包装箱の一例を示す図であり、(a)は組み立てられた状態の包装箱を示す斜視図、(b)は折り畳まれた状態の包装箱を示す斜視図である。
【図2】実施形態に係るシュレッダーの右側面図である。
【図3】投入部を拡大して示した右側面図である。
【図4】投入部を拡大して示した正面図である。
【図5】処理部及び回収部の正面図である。
【図6】処理部の図5に示すI−I矢視平面図である。
【図7】図6に示す処理部の拡大平面図である。
【図8】図8は、切断刃の構成を示す図であり、(a)は正面図、(b)は斜視図である。
【図9】図9は、損傷刃の構成を示す図であり、(a)は正面図、(b)は斜視図である。
【図10】処理部の図6に示すII−II矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。説明において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0020】
シュレッダーの説明に先立って、処理対象物である包装箱について図1を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態に係るシュレッダーの処理対象物である包装箱の一例を示す図であり、(a)は組み立てられた状態の包装箱を示す斜視図、(b)は折り畳まれた状態の包装箱を示す斜視図である。
図1(a)に示すように、包装箱1は、略直方体を呈し、その内部に図示しない医薬品及び使用説明書を収納する。また、包装箱1の表面には、図示しない医薬品の名称や製造会社の名称などが記載されている。この包装箱1を処理する場合には、略扁平状に折り畳まれた状態で(図1(b)参照)、シュレッダー2(図2参照)に投入される。
【0021】
<シュレッダー2>
図2は、実施形態に係るシュレッダーの右側面図である。
本実施形態のシュレッダー2は、投入された包装箱1(図1参照)を切断すると共に、包装箱1に孔を開ける装置である。シュレッダー2は、図2に示すように、包装箱1を投入する投入部3と、投入された包装箱1の切断処理及び孔開け処理を行う処理部5と、切断及び孔開けされた包装箱1を回収する回収部7と、を主に有している。
【0022】
また、シュレッダー2は、その全体を箱状の筐体21に覆われている。説明の便宜のため、図2では筐体21を二点鎖線で描いている。筐体21の前面21aには、作業台22が設けられており、作業台22の上方には投入部3に通じる投入用扉(図示省略)が設けられている。また、筐体21の後面21bには、換気装置23が設置されている。なお、筐体21の後面21bの下部には、切断及び孔開けされた包装箱1を回収するための回収用扉(図示省略)が設けられている。
【0023】
<投入部3>
図3は、投入部を拡大して示した右側面図である。図4は、投入部を拡大して示した正面図である。
図2乃至図4に示すように、投入部3は、処理すべき包装箱1を貯蔵するバケット31と、バケット31を傾動自在に保持する保持部32と、保持部32を上下方向に移動自在に支持する本体部33と、保持部32を上下方向に移動させる移動手段34と、バケット31に貯蔵された包装箱1を受け取って処理部5に供給するホッパ35と、を備えている。
【0024】
バケット31は、上部が開口した箱状の容器であり、処理すべき包装箱1を貯蔵するとともに、後記するホッパ35に貯蔵した包装箱1を供給する機能を有している。
バケット31は、図3に示すように、側面視で、上辺よりも下辺が短い台形状を呈しており、後側(処理部5側)の傾斜面31aは、傾動軸31bを介して保持部32に傾動自在に固定されている。バケット31は、図3に示すように、傾動軸31bよりも後側の位置に被押圧部31cを有している。被押圧部31cは、バケット31が上昇したときに後記する押圧部33dによって相対的に下方に押圧されることで、バケット31を処理部5側に傾ける機能を有している。被押圧部31cは、図4に示すように、バケット31の側面から突出しており、押圧部33dに対して前後方向に移動可能なように例えばローラ部材などで構成されている。
バケット31の開口部の左右側部には、フランジ部31d、31dが斜め上方に向かって延出形成されており、バケット31を傾けたときに包装箱1が左右にこぼれ難いようになっている。
【0025】
保持部32は、図3、図4に示すように、バケット31の下方に配置されてバケット31を傾動自在に保持する凹溝状の部材である。保持部32の左右の側壁32a,32aの後側の上面には、軸受32b、32bが設けられており、この軸受32bには、バケット31の傾動軸31bが傾動自在に固定されている。
また、保持部32の左右の側面(図3では右側の側面のみ図示)の前寄りの位置及び後寄りの位置には、後記する4本のガイド部材33aにスライド自在にそれぞれ外嵌するスライド部32cが設けられている。
【0026】
本体部33は、図2乃至図4に示すように、保持部32を上下に移動自在に支持するガイド部材33aと、このガイド部材33aを支持する支持枠33bと、を備えている。
【0027】
ガイド部材33aは、垂直に立設された円柱状の部材であり、保持部32の左右側方に、互いに前後に離間して2本ずつ(合計4本)配置されている。ガイド部材33aは、保持部32の各スライド部32cに挿通されており、保持部32の上下の移動を許容しながら、水平方向の移動を制限している。ガイド部材33aの上端及び下端は、支持枠33bに固定されている。
【0028】
支持枠33bは、例えば軽量形鋼などを組み合わせて構成された骨組部材である。支持枠33bの形状は、必要に応じて適宜に構成すればよい。
支持枠33bは、図3、図4に示すように、バケット31及び保持部32の左右側方であって後方寄りの位置に、2本の縦枠33cを有している。2本の縦枠33cの上部には、バケット31の被押圧部31cを下向きに押圧する押圧部33dが、内側(バケット31側)に向かって突設されている。
【0029】
移動手段34は、図4に示すように、保持部32を上下に移動させる装置であり、駆動モータ34aと、ボールねじ34bと、移動部34cと、を有している。
駆動モータ34aは、保持部32の左側であって支持枠33bの上部に固定されている。ボールねじ34bの上端は、駆動モータ34aの出力軸に固定されており、ボールねじ34bの下端は、ブラケット34dを介して支持枠33bの下部に回転自在に固定されている。移動部34cは、保持部32の左側の側面に固定されている。移動部34cは、ボールねじ34bを挿通するねじ孔34eを有しており、ボールねじ34bの回転に伴って上下に移動するようになっている。
【0030】
また、移動手段34を補助する装置として、保持部32の右側に、バランスシリンダ37が設置されている。バランスシリンダ37は、シリンダ37aと、ロッド37bと、を備えている。シリンダ37aは、保持部32の右側であって支持枠33bの上部に固定されている。ロッド37bの上端側は、シリンダ37aに挿入されており、ロッド37bの下端側は、保持部32の右側の側面に固定されている。シリンダ37aは、例えば高圧エアが供給されており、ロッド37bに上向きの力を付与している。そのため、バケット31及び保持部32を上方に移動する際に、移動手段34が負担すべき荷重が軽減される。
【0031】
ホッパ35は、図2及び図5に示すように、四角筒状かつテーパ状の部材である。ホッパ35は、図示しないブラケット等を介して支持枠33bに固定されて、処理部5の上方に配置されている。
ホッパ35は、バケット31から包装箱1を投入するための開口である投入口35aと、包装箱1を処理部5に供給するための開口である供給口35bと、投入口35aと供給口35bとを連結するテーパ部35cと、投入口35aの周縁に立設された壁部35dと、を有している。
投入口35aは、供給口35bよりも前後方向の幅が大きく形成されており、バケット31側に大きく張り出している。テーパ部35cは、投入口35aから供給口35bに向かって下り傾斜となっている。供給口35bの左右の側面は、後記する処理部5の切断刃52及び損傷刃53の形状に合わせて円弧状に切り欠かれている。壁部35dは、平面視で略コ字状に形成されており、投入口35aの後縁と、左右両縁の後ろ寄りの部分に立設されている。
【0032】
<処理部5>
図5は、処理部及び回収部の正面図である。図6は、処理部の図5に示すI−I矢視平面図である。図7は、図6に示す処理部の拡大平面図である。図8は、切断刃の構成を示す図であり、(a)は正面図、(b)は斜視図である。図9は、損傷刃の構成を示す図であり、(a)は正面図、(b)は斜視図である。図10は、処理部の図6に示すII−II矢視断面図である。
処理部5は、包装箱1を切断すると共に、包装箱1に孔を開ける装置であり、バケット31の後方であってホッパ35の下方に設置されている。処理部5は、投入部3用の支持枠33bの後方に連結された処理部5用の支持枠57に固定されている。
【0033】
処理部5は、図5乃至図7に示すように、水平軸周りに回転する一対の回転軸51,51と、回転軸51の軸方向に沿って間隔を空けて配置され且つ各回転軸51に取付けられた複数の切断刃52,52と、隣り合う切断刃52の間に配置され且つ各回転軸51,51に取り付けられた複数の損傷刃53,53と、一対の回転軸51,51を回転自在にそれぞれ支持する軸受部54,54と、一対の回転軸51,51を回転させるための駆動部55,55と、駆動部55,55の回転力を一対の回転軸51,51にそれぞれ伝達するギア部56,56と、を有している。
【0034】
一対の回転軸51,51は、図6、図7に示すように、軸方向に直交する方向に間隔を空けて並置されており、包装箱1を挟み込む部分(切断刃52同士及び損傷刃53同士が対向する部分)5Aにおいて、上から下に向かって回転するように、互いに逆向きに回転している。
【0035】
切断刃52は、図8に示すように、円盤状に形成されており、その外周面には、周方向に沿って等角度離間する複数の(例えば4つの)刃部52a,52aが形成されている。また、切断刃52の中心には、回転軸51が嵌合される六角形状の孔部52bが貫通して形成されている。一方の回転軸51に取り付けられる切断刃52と、他方の回転軸51に取り付けられる切断刃52とは、挟み込む部分5Aにおいて、刃部52aの側面同士が接触するように(軸方向に重なり合うように)配置されている。
【0036】
損傷刃53は、図7に示すように、隣り合う各切断刃52の間において回転軸51の軸方向に沿って間隔を空けて3枚ずつ配置されており、損傷刃53同士の間及び切断刃52と損傷刃53の間には、切断刃52及び損傷刃53よりも小径のカラー58が回転軸51に嵌装されている。損傷刃53は、図9に示すように、円盤状に形成されており、その外周面には、周方向に沿って等角度離間し且つ外方に向かって突出する複数の(例えば6つの)突起部53a,53aが形成されている。
【0037】
突起部53aは、内方から外方に向かうにつれて周方向の幅が幅狭となる段差状に形成されており、損傷刃53の外周面に連続して形成された基端部53cと、この基端部53cより周方向の幅が小さく形成され且つその先端面が円弧面に形成された先端部53dと、から構成されている。また、損傷刃53の中心には、回転軸51が嵌合される六角形状の孔部53bが貫通して形成されている。一方の回転軸51に取り付けられる損傷刃53と、他方の回転軸51に取り付けられる損傷刃53とは、挟み込む部分5Aにおいて、突起部53aの側面同士が接触するように(軸方向に重なり合うように)配置されている。
【0038】
ここで、図7に示すように、隣り合う切断刃52,52の間隔をP1(mm)とし、損傷刃53同士の間隔及び切断刃52と損傷刃53の間隔をP2(mm)としたときに、P1は例えば46mmに設定され、P2は例えば11.5mmに設定されることが好ましい。このように設定すると、46mmより大きい長さ寸法及び幅寸法を有する包装箱1が投入されたときには、包装箱1が切断されると共に孔を開けられることになる。また、46mm以下の長さ寸法及び幅寸法を有する包装箱1が投入されたときには、少なくとも包装箱1が孔を開けられることになる。なお、P1及びP2は、前記数値に限定されることなく、リサイクル業者の定める最小寸法を考慮して適宜設定されることになる。
【0039】
軸受部54は、図5、6に示すように、例えば滑り軸受などで構成されており、処理部5用の支持枠57に固定されている。
駆動部55は、例えば電動モータなどで構成されており、一対の回転軸51の左右両側にそれぞれ配置されている。駆動部55の出力軸55aは、水平に配置されている。
ギア部56は、図5に示すように、回転軸51の一端部に連結された第1ギア56aと、第1ギア56aに噛み合うとともに駆動部55の出力軸55aに連結された第2ギア56bと、を有しており、第1ギア56aと第2ギア56bのギア比を調節することにより、一対の回転軸51,51が所定の速度とトルクで回転するようになっている。
【0040】
<回収部7>
回収部7は、図5に示すように、処理部5から落下する包装箱1を案内するシュート71と、処理された包装箱1を収集する容器72と、容器72を固定するための固定用治具73と、を備えている。
【0041】
シュート71は、下方に向かうほど左右方向の幅が狭くなるように形成された筒状部材である。シュート71は、処理部5の直下に設置されている。
容器72は、上端が開口した有底四角筒状の部材である。容器72は、シュート71の下方に配置されている。
固定用治具73は、矢倉状に骨組みされたフレーム部73aと、容器72の上縁を挟んで把持する把持部73bと、を有している。把持部73bは、フレーム部73aの下端部に設けられている。フレーム部73aは、図示しない固定具を介して支持枠57に固定されている。
【0042】
本実施形態に係るシュレッダー2は、基本的には以上のように構成されるものであり、次に、本実施形態に係るシュレッダー2の動作及び作用効果について、図1乃至図10を適宜参照して説明する。
【0043】
初めに、図2に示すように、シュレッダー2の操作者は、筐体21の前面21aにある投入用扉(図示省略)を開けて、略扁平状に折り畳まれた状態の包装箱1(図2参照)をバケット31に投入する。なお、初期状態では、バケット31は処理部5よりも下方に配置されているので、包装箱1を容易に投入することができる。バケット31が一杯になったら、操作者は、操作盤を操作して、シュレッダー2の運転を開始する。
【0044】
シュレッダー2の運転が開始されると、図4に示すように、移動手段34の駆動モータ34aによってボールねじ34bが回転し、移動部34cが上昇するとともに、移動部34cに固定された保持部32及びこの保持部32に保持されたバケット31が上昇する。このとき、保持部32の右側面にはバランスシリンダ37が取り付けられており、保持部32にロッド37bを介して上向きの力が加えられているので、移動手段34が負担する荷重が軽減される。
【0045】
図3に示すように、バケット31及び保持部32が上昇すると、バケット31の後端部に設けた被押圧部31cが、縦枠33cに設けた押圧部33dに当接する(図3の二点鎖線参照)。この状態で、さらに保持部32が上昇すると、バケット31の被押圧部31cは相対的に下向きに押圧される。これにより、バケット31は、保持部32の上昇に伴って傾動軸31bを中心にして後端側が下を向くように傾動を開始する。なお、被押圧部31cは、ローラで構成されているので、バケット31の傾動に伴って押圧部33dの下面に沿って前後に滑らかに移動することができる。
【0046】
図10に示すように、バケット31が傾動すると、バケット31に貯蔵されていた包装箱1が、投入口35aからホッパ35内に落下する。ホッパ35に落下した包装箱1は、テーパ部35cに案内されて供給口35bから処理部5の上に供給される。これにより、大量の包装箱1を一度に容易に処理部5に供給することができる。
【0047】
図10に示すように、一対の回転軸51,51は、包装箱1を挟み込む部分(切断刃52同士及び損傷刃53同士が対向する部分)5Aにおいて、上から下に向かって回転するように、互いに逆向きに回転している。
【0048】
このような処理部5の上に供給された包装箱1は、一方の回転軸51に取り付けられた切断刃52と他方の回転軸51に取り付けられた切断刃52との間に挟み込まれて切断されると共に、一方の回転軸51に取り付けられた損傷刃53と他方の回転軸51に取り付けられた損傷刃53との間に挟み込まれて孔を開けられる。
【0049】
切断され且つ孔を開けられた包装箱1は、シュート71を通って容器72の内部に堆積する。すべての包装箱1の切断及び孔開けが完了したら、操作者は、筐体21の後面21bに設けられた回収用扉(図示省略)を開き、容器72を取り出し、切断され且つ孔を開けられた包装箱1を回収してリサイクル業者に引き渡す。これにより、包装箱1の廃棄に掛かる費用や手間を低減することが考えられる
【0050】
以上説明した本実施形態によれば、隣り合う切断刃52,52の間に損傷刃53を設けることにより、損傷刃53で包装箱1に孔を開けて、確実に損傷を与えることが可能となるため、隣り合う切断刃52,52の間隔を広げて、包装箱1の切断寸法を大きく取ることが可能となる。したがって、再生紙として再利用可能な寸法に包装箱1を切断することができる。
【0051】
また、隣り合う切断刃52,52の間において複数配置されているため、包装箱1の損傷範囲を拡大させることが可能となり、隣り合う切断刃52,52の間隔を広げても、より確実に包装箱1に損傷を与えることができる。
【0052】
また、損傷刃53,53は、円盤状に形成されており、外周面には、周方向に沿って等角度離間し且つ外方に向かって突出する複数の突起部53a,53aが形成されているため、包装箱1の損傷範囲を拡大させることが可能となり、より確実に包装箱1に損傷を与えることができる。
【0053】
さらに、バケット31に包装箱1を大量に貯留することができるとともに、バケット31を上昇させることによって大量の包装箱1をホッパ35を介して処理部5の上に供給することができるので、大量の包装箱1を効率よく切断処理及び孔開け処理することができる。また、バケット31を上昇させることによってバケット31のホッパ35側の被押圧部31cを下方に押圧して、バケット31をホッパ35側に傾けることができるので、バケット31を傾けるための駆動装置を別途設ける必要がなく、投入部3の構成を簡素化することができる。
【0054】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
本実施形態では、本発明のシュレッダー2を用いて包装箱1を処理する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、本発明のシュレッダー2を用いて包装箱1に収納される使用説明書を処理してもよい。
【0055】
また、本実施形態では、切断刃52に4つの刃部52aを形成したが、これに限定されるものではなく、刃部52aの数は適宜変更してよい。
【0056】
また、本実施形態では、回転軸51、切断刃52の孔部52b及び損傷刃53の孔部53bを六角形状に形成したが、これに限定されるものではなく、その形状は適宜変更してよい。
【0057】
また、本実施形態では、損傷刃53を、隣り合う各切断刃52の間において3枚ずつ配置したが、これに限定されるものではなく、損傷刃53の数は適宜変更してよい。
【0058】
また、本実施形態では、損傷刃53に6つの突起部53aを形成したが、これに限定されるものではなく、突起部53aの数は適宜変更してよい。
【符号の説明】
【0059】
1 包装箱
2 シュレッダー
3 投入部
31 バケット
31b 傾動軸
31c 被押圧部
32 保持部
33 本体部
33d 押圧部
34 移動手段
35 ホッパ
5 処理部
51 回転軸
52 切断刃
52a 刃部
52b 孔部
53 損傷刃
53a 突起部
53b 孔部
53c 基端部
53d 先端部
7 回収部
71 シュート
72 容器
73 固定用治具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬品を収納する包装箱及び/又は前記包装箱に収納される使用説明書を処理対象物とするシュレッダーであって、
間隔を空けて並置され、水平軸周りに互いに逆向きに回転する一対の回転軸と、
前記回転軸の軸方向に間隔を空けて前記各回転軸に取り付けられ、前記包装箱及び/又は前記使用説明書を切断する切断刃と、
隣り合う前記切断刃の間において前記各回転軸に取り付けられ、前記包装箱及び/又は前記使用説明書に孔を開ける損傷刃と、
を備えたことを特徴とするシュレッダー。
【請求項2】
前記損傷刃は、隣り合う前記切断刃の間において複数配置されていることを特徴とする請求項1に記載のシュレッダー。
【請求項3】
前記損傷刃は、円盤状に形成されており、外周面には、周方向に沿って等角度離間し且つ外方に向かって突出する複数の突起部が形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のシュレッダー。
【請求項4】
前記一対の回転軸同士の間に前記包装箱及び/又は前記使用説明書を投入する投入部をさらに備え、
前記投入部は、
前記一対の回転軸よりも下方において前記包装箱及び/又は前記使用説明書を貯留するバケットと、
前記バケットを傾動自在に保持する保持部と、
前記保持部を上下方向に移動自在に支持する本体部と、
前記保持部を上下方向に移動させる移動手段と、
前記一対の回転軸の上方に設置され、前記バケットに貯留された前記包装箱及び/又は前記使用説明書を受け取って前記一対の回転軸同士の間に供給するホッパと、を有し、
前記バケットは、前記保持部に対して傾動自在に連結された傾動軸と、前記傾動軸よりも前記ホッパ側に設けられた被押圧部と、を有し、
前記本体部は、前記保持部の上昇に伴って、前記被押圧部を下方に向かって押圧する押圧部を有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のシュレッダー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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