説明

シュレッダ装置

【課題】裁断対象部材の挿入口から裁断部までの搬送経路上に、裁断不可部材を認識する認識部と、認識された裁断不可部材を分離する分離部とを配設することによって、裁断対象部材に紛れ込んで挿入された裁断不可部材を、裁断前に分離して回収することができ、本来裁断すべきでない裁断不可部材が裁断されてしまうことを自動的に、かつ、確実に防止することができるようにする。
【解決手段】裁断対象部材21を挿入する挿入口と、前記裁断対象部材21を裁断する裁断部15と、前記挿入口から裁断部15まで裁断対象部材21を搬送する搬送経路上に配設された認識部12及び分離部13とを有し、前記認識部12は、前記裁断対象部材21に紛れ込んで搬送された裁断不可部材22を認識し、前記分離部13は、前記認識部12によって認識された裁断不可部材22を前記裁断対象部材21から分離する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シュレッダ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、銀行、郵便局、信用金庫、消費者金融会社等の金融機関においては、住所変更等の顧客情報の更新や、振込等の金融取引を営業店の窓口やカウンタで依頼すると、営業店の担当者が必要事項が記載された依頼伝票等の帳票に記載された事項をデータ管理サーバ等のコンピュータに入力する。そして、記載された事項が入力された帳票は、不要となり、廃棄される。
【0003】
しかし、金融機関の営業店の窓口やカウンタで受け付ける帳票は、顧客の個人情報や機密事項が記載されているので、そのまま廃棄することができない。そこで、前記窓口やカウンタには、紙等を細かく裁断するシュレッダ装置(例えば、特許文献1及び2参照。)が配設されている。このようなシュレッダ装置に投入された帳票は、裁断片を繋(つな)ぎ合わせて復元することが実質的に不可能な程度に細かく裁断される。したがって、不要となった帳票をシュレッダ装置に投入し、その裁断片を廃棄することによって、帳票に記載された情報の漏洩(えい)を防止することができる。
【0004】
なお、シュレッダ装置の投入口には、異物の進入や、制限枚数以上の紙束の投入を防止するためのガイドが配設されたり、自動的に紙を投入するための給紙装置が配設されたりすることもある。これにより、安全に、かつ、効率的にシュレッダ装置を使用することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−086941号公報
【特許文献2】特開2007−204209号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記従来のシュレッダ装置では、裁断する紙の間に紙幣、重要書類等の裁断すべきでない紙が混入していても、そのまま裁断してしまう。例えば、金融機関の営業店の窓口やカウンタでは、多量の紙幣を取り扱っているので、紙幣が依頼伝票等の帳票に紛れ込んでしまい、帳票とともにシュレッダ装置に投入されてしまう可能性もある。このような場合、紙幣までも細かく裁断されてしまうこととなる。
【0007】
また、一般の企業、事業所等においても、重要書類が不要書類に紛れ込んでしまい、不要書類とともにシュレッダ装置に投入されてしまう可能性もある。このような場合、重要書類までも細かく裁断され、再現不能となってしまう。
【0008】
本発明は、前記従来のシュレッダ装置の問題点を解決して、裁断対象部材の挿入口から裁断部までの搬送経路上に、裁断不可部材を認識する認識部と、認識された裁断不可部材を分離する分離部とを配設することによって、裁断対象部材に紛れ込んで挿入された裁断不可部材を、裁断前に分離して回収することができ、本来裁断すべきでない裁断不可部材が裁断されてしまうことを自動的に、かつ、確実に防止することができるシュレッダ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そのために、本発明のシュレッダ装置においては、裁断対象部材を挿入する挿入口と、前記裁断対象部材を裁断する裁断部と、前記挿入口から裁断部まで裁断対象部材を搬送する搬送経路上に配設された認識部及び分離部とを有し、前記認識部は、前記裁断対象部材に紛れ込んで搬送された裁断不可部材を認識し、前記分離部は、前記認識部によって認識された裁断不可部材を前記裁断対象部材から分離する。
【0010】
本発明の他のシュレッダ装置においては、さらに、前記分離部は、前記裁断対象部材を把持する把持手段、及び、振動を発生する振動発生手段を備え、前記裁断対象部材を把持して振動を付与することによって、前記裁断対象部材に付着した裁断不可部材を分離する。
【0011】
本発明の更に他のシュレッダ装置においては、さらに、前記認識部は、前記裁断対象部材の画像の読取を行う画像入力部を備え、該画像入力部から取得した前記裁断対象部材の画像データと、あらかじめ取得されている前記裁断不可部材の画像データとに基づいて、前記裁断対象部材に付着する裁断不可部材を認識する。
【0012】
本発明の更に他のシュレッダ装置においては、さらに、前記認識部は磁気センサ部を更に備える。
【0013】
本発明の更に他のシュレッダ装置においては、さらに、前記認識部による裁断不可部材の認識と、前記分離部による裁断不可部材の裁断対象部材からの分離とを、裁断不可部材が認識されなくなるまでは所定回数繰り返して実行する。
【0014】
本発明の更に他のシュレッダ装置においては、さらに、前記裁断不可部材は紙幣である。
【0015】
本発明の更に他のシュレッダ装置においては、さらに、前記裁断不可部材は重要書類である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、シュレッダ装置においては、裁断対象部材の挿入口から裁断部までの搬送経路上に、裁断不可部材を認識する認識部と、認識された裁断不可部材を分離する分離部とが配設されている。これにより、裁断対象部材に紛れ込んで挿入された裁断不可部材を、裁断前に分離して回収することができるので、本来裁断すべきでない裁断不可部材が裁断されてしまうことを自動的に、かつ、確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態におけるシュレッダ装置の構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態におけるシュレッダ装置の認識部の構成を示す図であり、搬送経路の側方からみた状態を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態におけるシュレッダ装置の分離部の構成を示す図であり、認識部からみた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0019】
図1は本発明の実施の形態におけるシュレッダ装置の構成を示す図である。
【0020】
図において、10は、本実施の形態におけるシュレッダ装置であり、裁断対象部材21を裁断して細かな裁断片とする装置である。前記裁断対象部材21は、例えば、書類、帳票等の紙であるが、樹脂シート、アルミ箔(はく)等のように、薄手のフィルム状又はシート状の部材であれば、紙以外の材質から成るものであってもよく、また、フロッピー(R)ディスク、CD−ROM、DVD−ROM等の薄い記録媒体であってもよい。なお、本実施の形態においては、説明の都合上、裁断対象部材21が書類、帳票等の紙であるものとして、説明する。
【0021】
そして、前記シュレッダ装置10は、例えば、一般の企業、事業所、役所、学校等の事務所、コンビニエンスストア、スーパーマーケット等の商店の店舗等に配設され、不要となった書類、帳票等を裁断片を繋ぎ合わせて復元することが実質的に不可能な程度に細かく裁断し、書類、帳票等に記載された情報が漏洩しないようにして廃棄するために使用されるものであるが、いかなる場所において使用されてもよく、また、いかなる目的で使用されてもよい。なお、本実施の形態においては、説明の都合上、シュレッダ装置10は、銀行、郵便局、信用金庫、消費者金融会社等の金融機関における営業店の窓口やカウンタに配設され、依頼伝票等の帳票や書類を裁断して廃棄するために使用されるものとして、説明する。
【0022】
図に示されるように、前記シュレッダ装置10は、自動給送部11、認識部12、分離部13、回収部14、裁断部15、収納部16及び搬送手段17を有する。
【0023】
前記自動給送部11は、裁断対象部材21をシュレッダ装置10に挿入するために該シュレッダ装置10の筐(きょう)体に形成された図示されない挿入口に配設され、裁断対象部材21を自動的に前記挿入口から挿入してシュレッダ装置10内の搬送経路に給送する装置であり、例えば、一般的な複写機、プリンタに取り付けられているADF(Auto Document Feeder:自動給紙装置)等と同様のものである。そして、帳票、書類等の裁断対象部材21は、複数が積み重ねられた状態で自動給送部11上に載置され、一番下から順次前記挿入口に挿入される。
【0024】
図に示される例において、シュレッダ装置10内における裁断対象部材21の搬送経路は、挿入口から水平に右方向に進み、次に垂直に上昇し、再び水平に右方向に進み、最後に垂直に下降して収納部16に至るように形成されている。これにより、裁断対象部材21は、矢印A及びBで示されるように、シュレッダ装置10内を移動する。なお、前記搬送経路の形態は、必ずしも図に示されるようなものである必要はなく、任意に変更することができる。
【0025】
そして、前記搬送経路に沿って、複数の搬送手段17が配設されている。該搬送手段17は、例えば、搬送ローラ、搬送ベルト、ガイド部材等であり、一般的なシュレッダ装置、複写機、プリンタ等の内部に配設されて紙等のフィルム状又はシート状の部材を搬送するために使用されている搬送手段と同様のものである。そして、前記搬送手段17は、搬送経路の両側に配設され、裁断対象部材21の表裏両面から裁断対象部材21を挟み込むようにして保持し、搬送する。なお、複数の搬送手段17のうちのいくつかは、図示されない駆動モータ等の駆動源から駆動力を受けて駆動される。
【0026】
また、前記認識部12は、前記搬送経路における垂直に上昇する部分に沿って配設され、搬送手段17によって搬送される裁断対象部材21を認識するとともに、裁断対象部材21に紛れ込んで前記挿入口から挿入された裁断不可部材22を識別する。該裁断不可部材22は、本来裁断すべきでない紙幣、重要書類等の部材であり、オペレータ等の誤り、不注意等によって、例えば、裁断対象部材21の間に挟み込まれて紛れ込んだものである。なお、裁断不可部材22はいかなる種類のものであってもよいが、本実施の形態においては、説明の都合上、裁断不可部材22が紙幣であるものとして、説明する。
【0027】
さらに、前記分離部13は、前記搬送経路における垂直に上昇する部分に沿って配設され、前記認識部12によって識別された裁断不可部材22を裁断対象部材21から分離して、搬送経路から排出する。前記分離部13は、搬送経路を挟んで前記認識部12とほぼ対向する位置に配設され、具体的には、裁断不可部材22が付着した状態で搬送されてきた裁断対象部材21を把持し、該裁断対象部材21に対して振動を付与することによって、前記裁断不可部材22を裁断対象部材21から分離させる。なお、分離部13は、一般的なバイブレータ等から成る図示されない振動発生手段を備え、該振動発生手段が発生した振動を付与する。また、裁断不可部材22の分離は搬送経路における垂直に上昇する部分において行われるので、裁断対象部材21から分離した裁断不可部材22は、図において矢印Cで示されるように、自重によって搬送経路における垂直に上昇する部分を通って落下する。
【0028】
そして、矢印Cで示されるように落下した裁断不可部材22は、搬送経路における垂直に上昇する部分の下方に配設された回収部14によって受け止められた後、シュレッダ装置10の筐体外に排出されて回収される。前記回収部14は、具体的には、例えば、斜めに配設された樋(とい)状のシュート、又は、ローラコンベア、ベルトコンベア等のコンベアであるが、いかなる種類のものであってもよく、受け止めた裁断不可部材22をシュレッダ装置10の筐体に形成された図示されない返却口から排出するものであれば、いかなる構造を備えるものであってもよい。
【0029】
また、前記認識部12及び分離部13を通過して更に搬送された裁断対象部材21は、図において矢印Bで示されるように、再び水平に右方向に進んだ後に落下して、搬送経路の終端に位置する裁断部15に投入される。該裁断部15は、例えば、一対の裁断刃付回転ロール等のように、一般的なシュレッダ装置が備える裁断装置と同様の構造の裁断装置を備え、投入された裁断対象部材21を、その裁断片21aを繋ぎ合わせても裁断対象部材21を復元することが実質的に不可能な程度にまで、細かく裁断する。
【0030】
そして、前記裁断部15から排出された裁断対象部材21の裁断片21aは、前記裁断部15の下方に配設された収納部16内に収納される。該収納部16は、例えば、上面が開放された容器等のように、一般的なシュレッダ装置が備える裁断片収容容器と同様の構造のものであるが、裁断片21aを収容可能なものであれば、いかなる構造を備えるものであってもよい。
【0031】
また、前記シュレッダ装置10は、CPU、MPU等の演算手段、磁気ディスク、半導体メモリ等の記憶手段、通信インターフェイス等を備える図示されない制御部を備える。該制御部は、一種のコンピュータであり、前記自動給送部11、認識部12、分離部13、回収部14、裁断部15、収納部16及び搬送手段17を含むシュレッダ装置10の各部の動作を制御する。
【0032】
次に、前記認識部12の構成について詳細に説明する。
【0033】
図2は本発明の実施の形態におけるシュレッダ装置の認識部の構成を示す図であり、搬送経路の側方からみた状態を示す図である。
【0034】
ここでは、図に示されるように、搬送経路における垂直に上昇する部分に配設された搬送手段17は、ローラ17aと、該ローラ17aの回りに掛け回されたベルト17bとを備えるものであり、裁断対象部材21は書類であり、裁断不可部材22は紙幣であるものとして説明する。
【0035】
そして、認識部12は、画像入力部12a及び磁気センサ部12bを備える。前記画像入力部12aは、搬送経路を搬送される裁断対象部材21及び裁断不可部材22の画像を取得する装置であり、例えば、スキャナであって、裁断対象部材21及び裁断不可部材22に光を照射する蛍光灯から成る光源、及び、前記裁断対象部材21及び裁断不可部材22の表面からの反射光を受光するCCD(Charge Coupled Device:電荷結合素子)等から成るライン型イメージセンサのようなイメージセンサを備える。なお、前記スキャナは、カラー画像の読取が可能なカラースキャナであることが望ましいが、モノクロスキャナであってもよい。なお、図に示される例において、画像入力部12aは上下に二分されているが、必ずしも二分されている必要はなく、単体であってもよいし、逆に三つ以上に分割されていてもよい。
【0036】
また、前記磁気センサ部12bは、紙幣の印刷インキに含有される磁性体を検出することによって紙幣である裁断不可部材22を検出する。これにより、例えば、画像入力部12aからみて裁断対象部材21の裏側(図における左側)に存在する紙幣としての裁断不可部材22をも検出して認識することができる。なお、図に示される例において、磁気センサ部12bは、3つであって、画像入力部12aの上下両端及び中央にそれぞれ配設されているが、その個数及び配設される位置は適宜変更することができる。
【0037】
そして、認識部12は、搬送経路における垂直に上昇する部分を搬送される裁断対象部材21の画像データを(裁断不可部材22も一緒に搬送されている場合には該裁断不可部材22の画像も含まれる)画像入力部12aから取得し、あらかじめ入力されて記憶手段に記憶されている紙幣としての裁断不可部材22の画像データと比較し、紙幣としての裁断不可部材22の有無、及び、ある場合にはその位置を判別する。また、認識部12は、磁気センサ部12bによる検出結果からも、紙幣としての裁断不可部材22の有無、及び、ある場合にはその位置を判別する。
【0038】
次に、前記分離部13の構成について詳細に説明する。
【0039】
図3は本発明の実施の形態におけるシュレッダ装置の分離部の構成を示す図であり、認識部からみた状態を示す図である。なお、図において、(a)は通常の場合を示す図、(b)は裁断不可部材が裁断対象部材の上端近傍に位置する場合を示す図である。
【0040】
図に示されるように、分離部13は、裁断対象部材21の幅方向両端部を把持するための把持手段13aを備える。図に示される例において、把持手段13aは、裁断対象部材21の上端近傍を把持する左右一対の第1把持手段13a−1、裁断対象部材21の中間近傍を把持する左右一対の第2把持手段13a−2、及び、裁断対象部材21の下端近傍を把持する左右一対の第3把持手段13a−3を備えるものであるが、その個数及び配設される位置は適宜変更することができる。第1把持手段13a−1、第2把持手段13a−2及び第3把持手段13a−3を統合的に説明する場合には、把持手段13aとして説明する。
【0041】
また、左右の第1把持手段13a−1同士、第2把持手段13a−2同士及び第3把持手段13a−3同士の間隔は、図示されない調整手段によって、書類である裁断対象部材21の幅寸法に適合するように調整される。すなわち、左右の第1把持手段13a−1、第2把持手段13a−2及び第3把持手段13a−3が、それぞれ、裁断対象部材21の幅方向両端部を把持することができる位置になるように調整される。例えば、挿入口から挿入された裁断対象部材21のうちの最大サイズの裁断対象部材21の幅方向両端部を把持することができるように、左右の第1把持手段13a−1同士、第2把持手段13a−2同士及び第3把持手段13a−3同士の間隔が調整される。
【0042】
通常は、すべての把持手段13aによって裁断対象部材21を把持する必要はなく、図3(a)に示されるように、最上位に位置する左右一対の第1把持手段13a−1によってのみ裁断対象部材21の幅方向両端部を把持する。この状態で振動発生手段を作動させて裁断対象部材21に振動を付与すると、裁断対象部材21に紛れ込んで挿入口から挿入され、図3(a)に示されるように、裁断対象部材21に付着して搬送された裁断不可部材22は、振動によって裁断対象部材21から分離して自重によって落下する。なお、裁断対象部材21は、第1把持手段13a−1によって把持されているので、振動が付与されても、落下することはない。
【0043】
なお、図3(b)に示されるように、裁断不可部材22が裁断対象部材21の上端近傍、かつ、幅方向一端近傍に付着している場合もあり得る。この場合、最上位に位置する第1把持手段13a−1によって裁断対象部材21を把持すると、裁断不可部材22をも把持することとなるので、振動を付与しても、該裁断不可部材22が裁断対象部材21から分離することがなく、したがって、落下することがない。そこで、図における矢印Dで示されるように、裁断対象部材21を把持する把持手段13aを、第1把持手段13a−1から第2把持手段13a−2に変更する。これにより、裁断不可部材22を、振動によって裁断対象部材21から分離させて落下させることができる。つまり、裁断不可部材22がいずれかの把持手段13aによって把持される位置に存在する場合には、当該把持手段13aによる裁断対象部材21の把持を禁止して、他の把持手段13aに裁断対象部材21の把持を行わせる。これにより、裁断不可部材22を把持することなく、裁断対象部材21のみを把持することができ、裁断不可部材22の位置がどこであっても、裁断不可部材22を、振動によって裁断対象部材21から分離させて落下させることができる。
【0044】
次に、前記構成のシュレッダ装置10の動作について説明する。
【0045】
まず、オペレータは、書類である裁断対象部材21を複数積み重ねた状態で自動給送部11上に載置し、起動スイッチ等の図示されない操作手段を操作して、シュレッダ装置10に裁断動作を開始させる。すると、自動給送部11は、積み重ねられた状態の裁断対象部材21を、その一番下に位置するものから順次挿入口に挿入する。これにより、書類である裁断対象部材21は、1枚ずつ挿入口から搬送経路に送り込まれ、搬送手段17によって搬送される。
【0046】
このように、1枚ずつ裁断対象部材21を搬送経路に送り込むことによって、重なった裁断対象部材21同士の間に紙幣である裁断不可部材22が挟み込まれたまま搬送されることがないので、裁断不可部材22の認識不能となることが防止される。
【0047】
続いて、搬送経路に送り込まれた裁断対象部材21は、図1において矢印Aで示されるように、挿入口から水平に右方向に進んが後に垂直に上昇し、認識部12の位置に到達する。すると、認識部12は、画像入力部12aが取得した前記裁断対象部材21の画像データを取得し、あらかじめ入力されて記憶手段に記憶されている紙幣である裁断不可部材22の画像データと比較し、紙幣である裁断不可部材22の有無を判別する。また、認識部12は、磁気センサ部12bによる検出結果からも、紙幣である裁断不可部材22の有無を判別する。
【0048】
そして、認識部12が裁断不可部材22はないと判断した場合、前記裁断対象部材21は、搬送手段17によって更に搬送され、図1において矢印Bで示されるように、再び水平に右方向に進んだ後に落下して、裁断部15に投入される。これにより、前記裁断対象部材21は、細かく裁断されて裁断片21aとなって裁断部15から排出され、裁断片21aは、裁断部15の下方に配設された収納部16内に収納される。
【0049】
また、認識部12が裁断不可部材22があると判断した場合には、分離部13が前記裁断対象部材21を把持して振動を付与する。この場合、分離部13は、図3に示されるように、把持手段13aによって裁断対象部材21の幅方向両端部を把持した状態で振動装置を作動させて、裁断対象部材21に振動を付与する。すると、該裁断対象部材21に付着して搬送された裁断不可部材22は、振動によって裁断対象部材21から分離して自重によって落下する。
【0050】
なお、振動を付与しても裁断不可部材22が裁断対象部材21から分離しない場合もあり得る。例えば、裁断対象部材21に粘着テープ、接着剤等の粘着性部材が付着しており、裁断不可部材22が前記粘着性部材によって裁断対象部材21に強固に付着しているような場合である。
【0051】
そこで、分離部13が所定の時間だけ振動を付与した後、認識部12は、再度、画像入力部12aが取得した前記裁断対象部材21の画像データ、及び、磁気センサ部12bによる検出結果に基づいて、裁断不可部材22の有無を判別する。そして、認識部12が裁断不可部材22があると判断した場合には、分離部13は再度、前記裁断対象部材21を把持して振動を付与する。
【0052】
以上の動作を所定回数だけ繰り返して実行することによって、裁断不可部材22を裁断対象部材21から確実に分離させる。なお、以上の動作を所定回数だけ繰り返して実行しても、裁断不可部材22が裁断対象部材21から分離しない場合には、裁断不可部材22とともに裁断対象部材21も、落下させる。
【0053】
そして、裁断不可部材22は、図1において矢印Cで示されるように、搬送経路における垂直に上昇する部分を通って落下し、回収部14によって受け止められた後、シュレッダ装置10の筐体外に排出されて回収される。なお、裁断不可部材22が裁断対象部材21から分離しない場合には、裁断不可部材22とともに落下した裁断対象部材21も、同様に、回収部14によって受け止められた後、シュレッダ装置10の筐体外に排出されて回収される。
【0054】
一方、分離部13が所定の時間だけ振動を付与した後、認識部12が、再度、裁断不可部材22の有無を判別して、裁断不可部材22がないと判断した場合、裁断対象部材21は、搬送手段17によって更に搬送され、裁断部15に投入されて裁断される。
【0055】
このように、本実施の形態のシュレッダ装置10においては、金融機関における営業店の窓口やカウンタで、紙幣が紛れ込んでしまった書類がシュレッダ装置10の挿入口から挿入された場合であっても、紙幣が書類から分離されて回収されるので、紙幣の裁断を防止することができる。
【0056】
また、オペレータ、人手等によって紙幣が紛れ込んでいるか否かを確認する作業を省略することができ、作業時間を短縮することができる。
【0057】
なお、本実施の形態においては、裁断不可部材22を分離するために分離部13が裁断対象部材21に振動を付与する場合について説明したが、振動付与以外の方法によって裁断不可部材22を分離することもできる。例えば、分離部13が裁断対象部材21を揺さぶってもよい、すなわち、裁断対象部材21を把持した状態で該裁断対象部材21を揺動させてもよい。また、例えば、分離部13が裁断対象部材21を折り目が付かない程度に湾曲させてもよい。
【0058】
また、本実施の形態においては、裁断不可部材22が紙幣である場合について説明したが、裁断不可部材22は重要書類であってもよい。この場合、認識部12は、画像入力部12aが取得した裁断対象部材21の画像データに基づき、「部外秘」、「機密書類」等の重要書類であることを示す表示の有無を判別し、該表示がある場合には重要書類が紛れ込んでいるものと判断する。また、あらかじめ重要書類に磁性体を含有する印刷インキによる印刷がなされている場合には、認識部12は、磁気センサ部12bによる検出結果からも、重要書類の有無を判断することができる。
【0059】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、シュレッダ装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0061】
10 シュレッダ装置
12 認識部
12a 画像入力部
12b 磁気センサ部
13 分離部
13a−1 第1把持手段
13a−2 第2把持手段
13a−3 第3把持手段
15 裁断部
21 裁断対象部材
22 裁断不可部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)裁断対象部材を挿入する挿入口と、
(b)前記裁断対象部材を裁断する裁断部と、
(c)前記挿入口から裁断部まで裁断対象部材を搬送する搬送経路上に配設された認識部及び分離部とを有し、
(d)前記認識部は、前記裁断対象部材に紛れ込んで搬送された裁断不可部材を認識し、
(e)前記分離部は、前記認識部によって認識された裁断不可部材を前記裁断対象部材から分離することを特徴とするシュレッダ装置。
【請求項2】
前記分離部は、前記裁断対象部材を把持する把持手段、及び、振動を発生する振動発生手段を備え、前記裁断対象部材を把持して振動を付与することによって、前記裁断対象部材に付着した裁断不可部材を分離する請求項1に記載のシュレッダ装置。
【請求項3】
前記認識部は、前記裁断対象部材の画像の読取を行う画像入力部を備え、該画像入力部から取得した前記裁断対象部材の画像データと、あらかじめ取得されている前記裁断不可部材の画像データとに基づいて、前記裁断対象部材に付着する裁断不可部材を認識する請求項1又は2に記載のシュレッダ装置。
【請求項4】
前記認識部は磁気センサ部を更に備える請求項3に記載のシュレッダ装置。
【請求項5】
前記認識部による裁断不可部材の認識と、前記分離部による裁断不可部材の裁断対象部材からの分離とを、裁断不可部材が認識されなくなるまでは所定回数繰り返して実行する請求項1〜4のいずれか1項に記載のシュレッダ装置。
【請求項6】
前記裁断不可部材は紙幣である請求項1〜5のいずれか1項に記載のシュレッダ装置。
【請求項7】
前記裁断不可部材は重要書類である請求項1〜5のいずれか1項に記載のシュレッダ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−161324(P2011−161324A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−24224(P2010−24224)
【出願日】平成22年2月5日(2010.2.5)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【出願人】(591051645)株式会社OKIソフトウェア (173)
【Fターム(参考)】