説明

シューティング対戦用玩具

【課題】 接近戦をしているときのスリリングな感覚を実感することを可能にして、ユーザの遊びが単調なものとならない対戦玩具を提供し、ユーザの購買意欲を惹起する。
【解決手段】 他のプレイヤが操作する対戦玩具の電波信号発信手段37から発信された電波信号の電波強度を、電波強度判定手段41により判定し、判定結果に応じてダメージ値を決定するパラメータ値を変更する。赤外線信号受信手段31が他のプレイヤが操作する対戦玩具の赤外線信号発生手段25が発生した赤外線信号を受信した場合には、識別情報と、変更されたパラメータ値とに基づいてダメージ値を決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、赤外線信号を送受信することにより、撃ち合いを行うシューティング対戦用玩具に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2006−64823号公報(特許文献1)には、赤外線信号を送受信することができるロボット玩具(シューティング対戦用玩具)を無線操縦して、互いのロボット玩具同士が撃ち合いをするシューティングシステムが開示されている。そしてこのロボットは、他のロボットから送信された赤外線信号を受信した場合には、攻撃を受けたことを示す被弾信号(電波信号)をゲーム判定装置に電送する。
【0003】
また、特開2004−24584号公報(特許文献2)には、赤外線信号にこの赤外線信号を送信したプレイヤを特定する識別情報を含めて送信する光線銃玩具(シューティング対戦用玩具)が記載されている。そしてこの公報に示された光線銃玩具には、赤外線信号を送信したプレイヤ及び送信したプレイヤの攻撃内容等を表示する表示部が設けられている。
【特許文献1】特開2006−64823号公報
【特許文献2】特開2004−24584号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来提案されているシューティング対戦用玩具では、赤外線信号により仮想弾が当たったか否か、誰が撃った弾に当たったか、そしてどの程度のダメージを受けているかを知ることに開発の重点が置かれていた。従来の玩具では、対戦相手が近い位置にいる場合でも、また遠い位置にいる場合でも、同じ感覚で遊ぶことになる。そのため接近戦をしているときのスリリングな感覚を実感することができず、遊びが単調なものとならざるを得なかった。
【0005】
本発明の目的は、接近戦を実感できるシューティング対戦用玩具を提供することにある。
【0006】
本発明の他の目的は、攻撃を受けた際の玩具間の距離を、ダメージの大きさに反映させることができるシューティング対戦用玩具を提供することにある。
【0007】
本発明の更に他の目的は、対戦相手との距離を実感して、しかも対戦相手を認識することができるシューティング対戦用玩具を提供することにある。
【0008】
本発明の更に他の目的は、他のシューティング対戦用玩具との距離に応じて与えるたダメージが変化することを実感できるシューティング対戦用玩具を提供することにある。
【0009】
本発明の更に他の目的は、近距離からの攻撃を成功させた場合に、プレイ状態を有利な状態にすることができるシューティング対戦用玩具を提供することにある。
【0010】
本発明の更に他の目的は、他のシューティング対戦用玩具との距離情報を出力することができるシューティング対戦用玩具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のシューティング対戦用玩具は、接近戦を実感できるようにするために、赤外線信号発生手段と、赤外線信号受信手段と、ダメージ値決定手段と、ダメージ状態決定手段と、ダメージ状態発現手段と、電波信号発信手段と、電波信号受信手段と、電波強度判定手段とを備えている。赤外線信号発生手段は、シューティング用の赤外線信号を発生する。例えば、シューティング対戦用玩具が光線銃玩具であれば、引き金をプレイヤが操作することに応じて赤外線信号発生手段は赤外線信号を発生する。赤外線信号は、対戦相手または対戦相手のシューティング対戦用玩具にダメージを与えるために送信される仮想弾となる信号である。
【0012】
赤外線信号受信手段は、他のシューティング対戦用玩具が発生した赤外線信号を受信する。赤外線信号受信手段の構成は任意である。赤外線信号を受信する受信センサ部とこの受信センサ部からの信号を処理する信号処理部とは、一箇所にあってもよいし、別個にあってもよい。例えば、受信センサ部を玩具の本体から離して、プレイヤの頭部や胸部に受信センサ部を装着できるようにしてもよい。また受信センサ部を玩具本体に設けるようにしてもよい。赤外線信号受信手段は、他のシューティング対戦用玩具が発生した赤外線信号を受信したことをダメージ値決定手段に出力する。
【0013】
ダメージ値決定手段は、赤外線信号受信手段が赤外線信号を受信するとパラメータ値に基づいてダメージ値を決定する。本願明細書において、ダメージ値とは、他のシューティング対戦用玩具が発生した赤外線信号を1回受信したことにより、プレイヤまたはシューティング対戦用玩具が受けた1回分のダメージの量である。また、本願明細書において、パラメータ値はダメージ値を演算により決定する際に用いられる媒介変数であって、このパラメータを用いる演算式は任意に定めることができる。なお後に詳しく説明するように、本発明では、ダメージ値決定手段が、後述する電波強度判定手段の判定結果に応じてパラメータ値を変更することを特徴としている。
【0014】
ダメージ状態決定手段は、ダメージ値決定手段により決定したダメージ値に基づいて、ダメージ状態を決定する。ダメージ状態の決定の仕方は任意である。例えば、ダメージ値を積算した積算値または所定値からダメージ値を減算して得た減算値に基づいてダメージ状態を決定してもよい。このように構成することにより、プレイヤまたはシューティング対戦用玩具が今までに受けたダメージ値の総量またはプレイヤまたはシューティング対戦用玩具が受けることができるダメージの残量をダメージ状態とすることができる。
【0015】
ダメージ状態は、ダメージ状態発現手段により外部に発現される。ダメージ状態発現手段は、視覚、聴覚及び/または触覚によってダメージ状態を確認できるようにするものであればどのような構成であってもよい。視覚による確認のためには、一般的には表示画面を用いればよく、聴覚による確認のためには、一般的にはブザー等の発音装置を用いればよく、触覚による確認のためには、一般的には振動発生装置等を用いればよい。特にダメージ状態発現手段を、表示画面を備えた表示手段によりダメージ値及び/またはダメージ状態を視覚によって確認できる表示態様で表示するように構成してもよい。このように構成することにより、ダメージ値及び/またはダメージ状態を確認することが容易となり、プレイの最中に、戦況を確認できる。
【0016】
特に本発明のシューティング対戦用玩具は、電波信号発信手段と、電波信号受信手段と、電波強度判定手段とをさらに備えている。電波信号発信手段は、所定の電波信号を発信する。所定の電波信号は、予め定めた周波数の電波信号である。この周波数は、各シューティング対戦用玩具ごとに、同じであってもよいが、各シューティング対戦用玩具ごとに電波信号の周波数が異なることが好ましい。また複数のシューティング対戦用玩具を用いて対戦する場合には、複数のシューティング対戦用玩具を2以上のグループ単位にわけて、各グループごとに電波信号の周波数を変えるようにしてもよい。なお電波信号の周波数が対戦で使用するすべてのシューティング対戦用玩具で同じである場合には、自分が発信した電波信号を区別できるように電波信号に識別情報を含めておけばよい。電波信号受信手段は、他のシューティング対戦用玩具の電波信号発信手段が発信した電波信号を受信する。使用される電波信号の周波数が複数ある場合には、電波信号受信手段としては、複数種類の周波数判別できる機能を有しているものを用いる。また周波数が1種類の場合には、前述のように電波信号に含まれる識別情報を判別する機能を有する電波信号受信手段を用いればよい。
【0017】
電波信号発信手段は、対戦中、常時、電波信号を発信していてもよいし、周期的に電波信号を発信してもよいし、所定の条件下で電波信号を発信するようにしてもよい。所定の条件下とは、例えばシューティング対戦用玩具が所定の速さ以上の速さで動いているときとか、赤外線信号発生手段が赤外線信号を発生するのと同時等である。
【0018】
電波強度判定手段は、電波信号受信手段が受信した電波信号の電波強度を判定する。電波信号は、電波信号発信手段から出力された後は、電波信号発信手段から離れるほど減衰していく。そのため電波信号発信手段が発信する電波信号の強度が予め分かっていれば、受信した電波信号の強度を判定することにより、電波信号を発信したシューティング対戦用玩具の電波信号発信手段とその電波信号を受信した他のシューティング対戦用玩具の電波信号受信手段との間のおおまかな距離を判定することが可能である。すなわち電波強度判定手段の判定結果を利用すると、対戦相手または対戦相手のシューティング対戦用玩具が、自分または自分のシューティング対戦用玩具の近くにきていること、すなわち接近戦の状況にあることを、検知できる。本発明においては、ダメージ値決定手段が、電波強度判定手段の判定結果に応じてパラメータ値を変更する。その結果、接近戦になったときには、接近戦になっていないときと比べて、ダメージ値が変わることになる。接近戦において、相手の攻撃の威力が増すという設定であれば、電波強度判定手段の判定結果に応じてパラメータ値を大きくすることになる。逆に、接近戦では、当たりやすくなるため、相手の攻撃の威力を低減させるという設定であれば、判定結果に応じてパラメータ値を小さくするようにしてもよい。いずれにしてもパラメータ値が変わり、ダメージ値の増減量が変わることにより、プレイヤは接近戦を意識することになる。その結果、本発明によれば、従来よりも接近戦を意識したスリリングな遊びを体験することができる。
【0019】
ダメージ値決定手段によるパラメータ値の変更の態様は前述のように任意であるが、電波強度判定手段が判定した電波強度に連続的または段階的に比例して、パラメータ値を変更してもよい。なお、本発明においては、「比例」とは、正比例及び逆比例の双方の意味を含むものである。このようにすると、他のシューティング対戦用玩具に距離が近ければ近いほど大きなダメージ値とすることができる。また、電波強度判定手段が判定した電波強度が予め定めた2以上のレベル範囲のいずれに含まれるかを判定し、判定したレベル範囲に応じてパラメータ値を変更するようにしてもよい。このようにすると、レベル範囲ごとのパラメータ値を設定すればよいので、ダメージ値決定手段の構成が簡単になる。また急に振動が大きくなったり、急に振動が小さくなったりするので、スリリング感を更に増大させることができる。
【0020】
また電波強度判定手段の判定結果を利用して、直接的に接近戦状態になっていることをプレイヤに知らせるようにしてもよい。判定結果を外部に発現させる構成は任意であるが、表示画面を利用して視覚的に表示する場合には、電波強度表示指令発生手段をさらに設ける。そして電波強度表示指令発生手段により表示画面を備えた表示手段に判定結果を表示させて、視覚によって電波強度を確認できる表示態様とすることができる。
【0021】
また、振動発生手段を備えることにより、電波強度が予め定めたレベルを超えている状態であると電波強度判定手段が判定している間、プレイヤの身体に振動を伝えるように構成してもよい。このような振動発生手段を設けると、対戦に熱中している最中であっても、振動により接近戦状態に入ったことを知ることができるため、スリリング感を味わうことができる。その上、振動を受けたときには、直ぐに接近戦に対する対応を取ることができるので、従来と比べてスピーディーに対戦を進めることができる。なおこのような振動発生手段を設ける場合には、電波強度が強くなるほど、振動が強くなる機能を振動発生手段に設けるようにしてよい。このようにすると、振動の強さによって、対戦相手との距離を触覚で知ることができ、さらにスリリング感を増大させることができる。
【0022】
また本発明においては、赤外線信号発生手段を、赤外線信号の発生源を識別するための識別情報を含めて赤外線信号を発生するように構成することができる。また電波信号発信手段を、電波信号の発信源を識別するための識別情報を含めて電波信号を発信するように構成することができる。このようにすると、複数のシューティング対戦用玩具を用いて多人数で対戦をしている場合でも、識別情報を利用して、誰からの攻撃でダメージを受けたのかを知る機能や、誰が自分の近くにいるのかを知ることができる機能、自分のダメージ量を相手に知らせる機能等のように、様々な機能をシューティング対戦用玩具に付加することが可能になる。また、赤外線信号及び電波信号の双方に識別情報が含まれるように、赤外線信号発生手段及び電波信号発信手段を構成してもよい。このように構成した場合には、シューティング対戦用玩具により多くの機能を付加することが可能になる。
【0023】
なお赤外線信号または電波信号に発生源または発信源を識別するための識別情報が含まれている場合には、識別情報を判定する機能をダメージ値決定手段が備えることにより、識別情報に応じてパラメータ値を決定する機能を実現することができる。識別情報に基づいてパラメータ値を決定できれば、自分の周囲にある他のシューティング対戦用玩具が味方の玩具の場合には、パラメータ値を変えず、自分の周囲にある他のシューティング対戦用玩具が敵の玩具である場合にはパラメータ値を変更するなどの設定が可能なる。またシューティング対戦用玩具の種類ごとに、パラメータ値を変更することが可能になり、接近戦だけでなく、他のシューティング対戦用玩具の武器としての性能によってもパラメータ値を変更することが可能になって、さらに作戦をたてる楽しみを増すことができる。
【0024】
また電波信号発信手段が、識別情報を含んだ電波信号を発信することができる場合には、各玩具は識別情報を判定する識別情報判定手段を更に設ける。そしてこの場合には電波信号発信手段を、識別情報及びダメージ状態を通知する情報を含んで電波信号を送信するように構成することができる。このように構成すると、識別情報判定手段が識別情報を発信した他のシューティング対戦用玩具を判定し、判定された他のシューティング対戦用玩具に対して、シューティング対戦用玩具が受けたダメージ状態を知らせることができる。その結果、ダメージを与えた側も、与えたダメージの大きさを知ることが可能となる。
【0025】
上述のように、自分のシューティング対戦用玩具が受信した赤外線信号を発生させた他のシューティング対戦用玩具に、赤外線信号を受信したことを電波信号を利用して知らせると、自分のシューティング対戦用玩具が発生した赤外線信号により、他のプレイヤのシューティング対戦用玩具が受けたダメージ値及び/またはダメージ状態を即座に確認することができるので、遊びの楽しみを増すことが出来る。
【0026】
多数のシューティング対戦用玩具を用いて、敵と味方とに分かれて遊ぶ場合には、所定の距離範囲内に味方がいることを条件にして、複数のシューティング対戦用玩具で、1台のシューティング対戦用玩具または1台のシューティング対戦用玩具を持つプレイヤを連係または共同攻撃できるようにすることができる。この場合には、電波強度判定手段に、複数の電波信号の電波強度が予め定めた電波強度レベル以上あることを判定すると解除信号を出力する機能を設ける。解除信号は、受信した複数の電波信号の電波強度が予め定めた電波強度レベル以上である場合に、後述する赤外線信号受信手段に設けられた出力待機機能及び/またはダメージ値決定手段に設けられた決定待機機能を無効にするために出力される。そして赤外線信号受信手段には、前の赤外線信号を受光してから予め定めた時間が経過するまでの間、次の赤外線信号を受信しても、赤外線信号を受信したことを示す信号を出力しない出力待機機能と、電波強度判定手段から解除信号が出力されている間は、出力待機機能を無効とする無効処理機能とを設ける。このようにすると所定の距離の範囲内に複数の敵がいると、解除信号が電波強度判定手段から出力される。その結果、近い位置にいる複数の敵がほぼ同時に攻撃してきた場合には、解除信号によって赤外線信号受信手段が、出力待機機能を無効とされているために、複数のシューティング対戦用玩具からの赤外線信号を受信することが可能になる。その結果、短時間のうちに、ダメージ量を増大させることが可能になって、多数のシューティング対戦用玩具を用いて遊ぶ場合における作戦をたてる楽しさを増大させることができる。
【0027】
また、電波強度判定手段が、複数の電波信号の電波強度が予め定めた電波強度レベル以上あることを判定すると解除信号を出力する機能を備えている場合には、ダメージ値決定手段に、赤外線信号受信手段が前の赤外線信号を受信してから予め定めた時間が経過するまでの間、次の赤外線信号を受信しても、ダメージ値を決定しない決定待機機能と、電波強度判定手段から解除信号が出力されている間は、決定待機機能を無効とする無効処理機能を備えるように構成してもよい。このような構成にしても、味方が所定の距離の範囲内に複数いる場合における、複数のシューティング対戦用玩具を用いた共同攻撃が可能になる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、玩具同士の距離関係に応じてダメージ値を決定するために用いるパラメータ値を変更するので、ダメージ値またはダメージ状態をダメージ状態発現手段の動作により確認することにより、接近戦を実感しながらシューティング対戦を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下図面を参照して、本発明のシューティング対戦用玩具の実施の形態を説明する。図1は、本実施のシューティング対戦用玩具を光線銃玩具に適用した実施の形態の一例の斜視図を示しており、図2(A)及び(B)は図1の光線銃玩具の右側面図及び表示部を起こした状態の背面図を示している。これらの図においては、光線銃玩具1は、一端に赤外線信号を発射する赤外線信号発生部3を備えた銃本体5と、銃本体5の他端の下部に設けられたグリップ部7とを有している。赤外線信号発生部3の構造は任意である。赤外線発生源としては、赤外線LEDを用いることができる。また赤外線信号発生部3は、赤外線信号の放射角を可変できるような構造を有している。銃本体5の内部には、赤外線LED等を含む各種の電気部品と信号処理手段が内蔵されている。
【0030】
また銃本体5の下部でグリップ部7の近くには、グリップ部7を握ったプレイヤの人差し指で操作する引き金部9が設けられている。そして銃本体5の一方の側壁には、グリップ部7側の一辺にヒンジが設けられた画像表示部11を収納する凹部(図示せず)が形成されている。図1及び図2(A)の例では、画像表示部11がこの凹部に収納されている。そして図2(B)に示す状態では、画像表示部11がヒンジを中心にして回動して銃本体5に対して直交するように起立している。図2(B)の状態にすれば、グリップ部7を手で握るプレイヤは、対戦中であっても画像表示部11の表示画面13を見ることができる。銃本体5の他端の上壁部分には、他のプレイヤが使用する光線銃玩具1から発射された赤外線信号を受光する赤外線信号受信部15が固定されている。この赤外線信号受信部15は、赤外線信号を受光すると、その信号を電気信号に変換して、後述する赤外線信号受信手段に伝送する。銃本体5の一端の上壁部分には、電波信号発信部17が固定されている。また銃本体5の一端の底壁部分には、電波信号受信部19が固定されている。電波信号発信部17及び電波信号受信部19は、共に電波信号を放射したり受信するアンテナとして機能するものである。トランシーバと同様に、電波信号発信部17及び電波信号受信部19は、1つのアンテナを共用するように構成してよいのは勿論である。また銃本体5の上壁には、銃本体5の内部に内蔵されたスピーカからの音を放出する放音部21が設けられている。本実施の形態の光線銃玩具は、銃身が短いピストル型であるが、銃身が長いライフル型やマシンガン型の光線銃玩具にも本発明を適用できるのは勿論である。
【0031】
図3は、光線銃玩具1の銃本体5の内部に内蔵された信号処理回路の構成の一例を示すブロック図である。この信号処理回路は、図1に示した引き金部9が引かれると、発射指令を出力する発射指令発生手段23と、発射指令発生手段23から発射指令が出力されると図1に示した赤外線信号発生部3から赤外線信号を発生するために動作状態となる赤外線信号発生手段25とを備えている。赤外線信号は、1以上の赤外線LEDと、赤外線LEDへの給電電流を制御して赤外線LEDの発光を制御する電流制御回路とを含んで構成されている。赤外線信号発生手段25は、発射指令を受信している間だけ、所定の周波数の赤外線信号を出力する。なお1回発射指令を受信してから、所定の時間だけ赤外線信号を出力して、その後赤外線信号の出力を停止してもよいし、発射指令を受信している間中、断続的に赤外線信号を出力するようにしてもよい。この赤外線信号は、対戦相手または対戦相手のシューティング対戦用玩具にダメージを与えるために送信される仮想弾となる信号である。本実施の形態の赤外線信号発生手段25は、赤外線信号の発生源を識別するための識別情報を含めて赤外線信号を発生するように構成されている。自己の識別情報は、識別情報記憶手段27に記憶されている。本実施の形態の識別情報記憶手段27は、自己の識別情報だけでなく、対戦相手が使用するシューティング対戦用玩具を識別するための識別情報も併せて記憶している。なおこの玩具では、相手の識別情報は、識別情報設定手段29により設定できるようになっている。なお対戦可能なすべてのシューティング対戦用玩具の識別情報を予め識別情報記憶手段27に記憶しておいてもよいのは勿論である。なお本実施の形態においては、赤外線信号の周波数を変更することにより識別情報を赤外線信号に含めるようにしてもよいし、基本周波数の赤外線信号に識別情報信号を重ねることにより、識別情報を赤外線信号に含めてもよい。また、多数の光線銃玩具を用いて、敵と味方とに分かれて遊ぶ場合には、敵または味方であることの情報も識別情報に含めることができる。この情報も識別情報設定手段29を利用して行うことができる。
【0032】
またこの信号処理回路は、対戦相手が発射した赤外線信号を図1に示した赤外線信号受信部15が受信したときに、受信した赤外線信号を信号処理する赤外線信号受信手段31を備えている。赤外線信号受信手段31は、受信した赤外線信号を電気信号に変換する機能を有している。そして赤外線信号受信手段31は、赤外線信号を受信すると、変換した電気信号を後述する識別情報判定手段33及びダメージ値決定手段35に出力する。
【0033】
さらにこの信号処理回路は、周囲に所定の周波数の電波信号を常時発信する電波信号発信手段37を備えている。電波信号の周波数は、対戦に使用されるすべての光線銃玩具において、同じ周波数である。なお同じ周波数を用いるため、電波信号に電波信号の発信源を区別するための識別情報を含めている。本実施の形態では、電波信号発信手段37は、識別情報記憶手段27に記憶した自己の識別情報を電波信号に含めて発信する。したがって自分自身の光線銃玩具1が発信した電波信号と、対戦相手の光線銃玩具が発信した電波信号とは、明確に区別することが可能である。
【0034】
本実施の形態で用いる電波信号発信手段37は、対戦中、常時、電波信号を発信していている。しかし周期的に電波信号を発信してもよいし、所定の条件下で電波信号を発信するようにしてもよいのは勿論である。所定の条件下とは、例えば光線銃玩具に加速度センサを装備し、光線銃玩具の動きを加速度センサで測定して、所定の加速度または速さ以上で光線銃玩具が動いているときとか、赤外線信号発生手段が赤外線信号を発生するのと同時、あるいは他のシューティング対戦用玩具が発生した赤外線信号を受信するのと同時等の条件である。
【0035】
また信号処理回路は、他の光線銃玩具が発信した電波信号を受信する電波信号受信手段39を備えている。図1に示した電波信号受信部(アンテナ)19は、電波信号受信手段39に含まれるものである。光線銃玩具ごとに使用される電波信号の周波数が異なる場合には、電波信号受信手段39としては、複数種類の周波数を判別できる機能を有しているものを用いる。本実施の形態では、各光線銃玩具で使用する周波数が同じであるため、電波信号受信手段39が受信した電波信号は識別情報判定手段33に入力される。識別情報判定手段33は、電波信号に含まれる識別情報に基づいて、電波信号の発信源を識別する。また受信した電波信号は、電波強度判定手段41に入力される。
【0036】
電波強度判定手段41は、電波信号受信手段39が受信した電波信号の電波強度を判定する。他の光線銃玩具から発信された電波信号は、他の光線銃玩具に含まれる電波信号発信手段37から出力された後は、電波信号発信手段37から離れるほど減衰していく。そのため電波信号発信手段37が発信する電波信号の強度が予め分かっていれば、受信した電波信号の強度を判定することにより、電波信号を発信した他の光線銃玩具の電波信号発信手段37とその電波信号を受信した他の光線銃玩具の電波信号受信手段39との間のおおまかな距離を判定することが可能になる。すなわち電波強度判定手段41の判定結果を利用すると、対戦相手または対戦相手の光線銃玩具が、自分または自分の光線銃玩具の近くにきていること、すなわち接近戦の状況にあることを、検知できる。本実施の形態では、電波強度判定手段41の判定結果は、ダメージ値決定手段35、振動発生手段43、音響発生手段45及び画像表示手段47に与えられている。
【0037】
ダメージ値決定手段35は、赤外線信号受信手段31が赤外線信号を受信するとパラメータ値に基づいてダメージ値を決定する。そして本実施の形態におけるダメージ値決定手段35は、電波強度判定手段41の判定結果に応じてパラメータ値を変更する。ダメージ値決定手段35によるパラメータ値の変更の態様は任意である。例えば、電波強度判定手段41が判定した電波強度に連続的または段階的に正比例して、パラメータ値を変更してもよい。このようにすると、他の光線銃玩具に距離が近ければ近いほど、ダメージ値を大きな値とすることができる。また、電波強度判定手段41が判定した電波強度が予め定めた2以上のレベル範囲のいずれに含まれるかを判定し、判定したレベル範囲に応じてパラメータ値を変更するようにダメージ値決定手段35を構成してもよい。このようにすると、レベル範囲ごとのパラメータ値を設定すればよいので、ダメージ値決定手段35の構成が簡単になる。また急に振動が大きくなったり、急に振動が小さくなったりするので、スリリング感を更に増大させることができる。
【0038】
いずれにしてもダメージ値決定手段35におけるダメージ値の決定で使用するパラメータ値を電波強度判定手段41の判定結果に応じて変更すると、接近戦におけるダメージ値と、接近戦ではないときのダメージ値とは異なることになる。例えば、接近戦において、相手の攻撃の威力が増すという設定にするのであれば、電波強度判定手段41の判定結果に応じてパラメータ値を大きくすればよい。逆に、接近戦では、相手の仮想弾に当たりやすくなるため、相手の攻撃の威力を低減させるという設定にするのであれば、判定結果に応じてパラメータ値を小さくするようにすればよい。いずれにしてもパラメータ値が電波強度判定手段41の判定結果により変わり、ダメージ値の増減量が変わることにより、プレイヤは接近戦を意識することになる。
【0039】
この例では、電波強度判定手段41の判定結果を利用して、直接的に接近戦状態になっていることをプレイヤに知らせるために、振動発生手段43、音響発生手段45及び画像表示手段47を用いている。振動発生手段43は、図1に示したグリップ部7内に配置されている。振動発生手段43は、電波強度判定手段41の判定結果に応じて、電波強度が強くなるほど、振動が強くなるように振動を可変する機能を有している。このような振動発生手段43を設ければ、電波強度が予め定めたレベルを超えている状態であることを電波強度判定手段41が判定している間、プレイヤの身体に振動を伝えることができる。その結果、対戦に熱中している最中であっても、振動により接近戦状態に入ったことを知ることができる。特に、本例のように、電波強度が強くなるほど、振動が強くなる機能を有する振動発生手段43を設けると、振動の強さによって、対戦相手との距離を触覚で知ることができるので、スリリング感を増大させることができる。
【0040】
またこの例では、電波強度判定手段41の判定結果を、音響発生手段45により音響表示する。すなわち音響発生手段45は、電波強度判定手段41の判定結果に応じて、電波強度が予め定めたレベルより大きくなると、銃本体5内に配置したスピーカから所定の音響を発生する。音響は、図1に示した放音部21から外部に放音される。振動発生手段43から与えられる振動に加えて、音響発生手段45から与えられる音響が加わると、臨場感を増大させることができる。
【0041】
さらにこの例では、図1に示した表示画面13を有する画像表示部11を含む画像表示手段47に、電波強度判定手段41の判定結果に基づいて電波強度を表示画面13に視覚によって確認できる表示態様で表示するために必要な指令を与える電波強度表示指令発生手段46を備えている。画像表示手段47は、電波強度表示指令発生手段46からの指令に基づいて、表示画面13上に電波強度を棒グラフ表示等の適宜の表示態様で表示する。このようにすると振動発生手段43及び音響発生手段45が動作状態になる前から、表示画面13を見ることにより、対戦相手と自分との間の距離を知ることができる。その結果、攻撃作戦を練る楽しみが増す利点が得られる。
【0042】
前述のダメージ値決定手段35が決定したダメージ値は、ダメージ状態決定手段49に入力される。ダメージ状態決定手段49は、ダメージ値決定手段35により決定したダメージ値に基づいて、ダメージ状態を決定する。本例では、ダメージ値を積算した積算値または所定値からダメージ値を減算して得た減算値に基づいてダメージ状態を決定している。このように構成すると、プレイヤまたは光線銃玩具1が今までに受けたダメージ値の総量またはプレイヤまたは光線銃玩具1が受けることができるダメージの残量をダメージ状態として決定することができる。そしてこのようにして決定したダメージ状態は、ダメージ状態発現手段51により外部に発現される。本例では、ダメージ状態発現手段51として、視覚によりダメージ状態を表示する画像表示手段47を用い、聴覚によりダメージ状態を確認できるようにするために音響発生手段45を用い、触覚によってダメージ状態を確認できるようにするために振動発生手段43を用いる。本例では、ダメージ状態決定手段49が決定したダメージ状態だけでなく、ダメージ状態決定手段49に入力されるダメージ値も一緒に画像表示手段47に含まれる表示画面13(図1)に表示するようにしている。このように構成すると、ダメージ値及び/またはダメージ状態を確認することが容易となり、プレイの最中に、接近戦における戦況を確認できて、作戦の立案の参考とすることができる。
【0043】
本例では、識別情報判定手段33が、赤外線信号受信手段31が受信した赤外線信号に含まれる識別情報及び電波信号受信手段39が受信した電波信号に含まれる識別情報を判定する。そしてその判定結果をダメージ値決定手段35及び電波強度判定手段41に与えるようにしている。ダメージ値決定手段35には、判定された識別情報に基づいて、受信した赤外線信号が味方のグループの光線銃玩具から発射されたものか敵のグループの光線銃玩具から発射されたものかを判定し、その判定結果によりパラメータ値を変更する機能が付加されている。この例では、味方に撃たれた場合には、ペナルティを科すようにパラメータ値を大きくするようにしている。すなわち、本例では、まずダメージ値決定手段35は、赤外線信号受信手段31が受信した赤外線信号により特定された他のプレイヤが操作する光線銃玩具1についての識別情報を、識別情報記憶手段27から得る。そして、ダメージ値決定手段35は、与えられた識別情報によりパラメータ値を決定する。さらに、ダメージ値決定手段35は、電波強度判定手段41から得られた電波強度の判定結果に基づいて、パラメータ値を変更して、ダメージ値を決定する。
【0044】
また本例では、電波強度判定手段41には、識別情報判定手段33からの識別情報の判定結果を受けて、味方のグループの光線銃玩具1が近くにある場合と、敵のグループの光線銃玩具1が近くにある場合とを区別して、判定結果にこの区別結果を付加して出力する機能が付加されている。また振動発生手段43、音響発生手段45及び/または電波強度表示指令発生手段46には、接近している相手が敵か味方かを区別して、その区別が判る態様でそれぞれ動作する機能が付加されている。これらの機能が付加されている結果、複数の味方と複数の敵とで対戦する場合でも、敵と味方を認識して対戦することが可能になる。
【0045】
なお上記実施の形態における信号処理回路には、次のように機能を更に付加したり、次のような変形を加えることができる。まず赤外線信号を受信した場合に、ダメージ値決定手段35により決定したダメージ値またはダメージ状態決定手段49で決定したダメージ状態と、受信した赤外線信号を発生した光線銃玩具1の識別情報とを電波信号に含めて、電波信号発信手段37から電波信号を発信する機能を付加することができる。このようにすると相手のダメージ状態を知りながら対戦することができる。この場合には、識別情報判定手段33に、電波信号に含まれている相手プレイヤのダメージ量を示す情報を判別する機能を付加する。そしてさらに、その判別結果を、画像表示手段47に表示するための相手ダメージ量表示指令発生手段を更に付加してもよい。また、プレイヤの光線銃玩具が受信した赤外線信号を発生させた他のプレイヤの光線銃玩具に、赤外線信号を受信したことを電波信号を利用して知らせるようにしてもよい。すなわち、電波信号に赤外線信号を受信したことを示す情報を含めて、相手プレイヤに発信することにより、他のプレイヤまたは他のプレイヤの光線銃玩具が受けたダメージ値及び/またはダメージ状態を即座に確認することができるので、遊びの楽しみを増すことが出来る。
【0046】
図4は、図3の信号処理回路をマイクロコンピュータを利用して実現する場合において、二人で対戦を行う場合のように、特に識別情報を使用しないで対戦を行う場合における1台の光線銃玩具において動作状態となるソフトウエアのアルゴリズムを示すフローチャートである。まずステップST1で、光線銃玩具1は、電波信号発信手段37より電波信号を発信させる。他の電波信号発信手段37から発信された電波信号が、光線銃玩具1の電波信号受信手段39により受信されて処理される(ステップST2)。電波信号は、電波信号発信手段37から常時発信されており、電波信号受信手段39は、電波信号を連続的に受信しており、受信した電波信号の強度を判定している。次に発射指令が出力されたか否かを判定する(ステップST3)。発射指令は、プレイヤが引き金部9を引いて発射指令発生手段23が発射信号を出力したことをステップST3で判断する。ステップST3で発射指令が出力されたと判断した場合には、ステップST4に進み、赤外線信号発生手段25から赤外線信号を出力する。ステップST4で赤外線信号を出力すると、ステップST1に戻って電波信号の発信を再度行う。ステップST3で発射指令が出力されていないと判定された場合には、ステップST5に進んで、他の光線銃玩具1から発生した赤外線信号を受信したか否かを判定する。ステップST5での判定結果がNOである場合には、ステップST1に戻って、電波信号の発信を再び行い、発射指令の出力または赤外線信号の受信があるまで、電波信号の発信及び受信処理を繰り返す。
【0047】
ステップST5での判定結果がYESである場合には、ステップST6に進み、ステップST2で受信した電波信号の強度の判定結果に基づいて、ダメージ値を決定するパラメータ値を変更する必要があるか否かを判定する。例えば、電波強度が予め定めたレベルを超えていると判断したときには、パラメータ値の変更が必要であると判断し、そうでない場合にはパラメータ値の変更は不要であると判断する。パラメータ値を変更する必要があると判定した場合には、パラメータ値を変更し(ステップST7)、ステップST8でダメージ値を算出する。ステップST6でパラメータ値を変更する必要がないと判定された場合には、パラメータ値を変更することなく、ステップST8でダメージ値を算出する。ステップST9では、算出されたダメージ値に基づいてダメージ状態を決定し、ステップST10でダメージ状態を外部に発現し、ダメージについての処理を終了させる。ステップST11では、積算されたダメージ値が一定以上になったり、プレイヤにより対戦を終了する旨の入力があったか否かを判定し、入力が無かった場合には、ステップST1に戻って、電波信号の送信を再度行う。対戦を終了する旨の入力等があった場合には、対戦終了となる。上記のアルゴリズムは、一例であり、実際上は、赤外線信号の出力処理のステップと、赤外線信号の受信処理との順番が入れ替わっていてもよい。また電波強度に基づいてパラメータ値を変更する処理をすることができれば、他のアルゴリズムであってもよい。
【0048】
図5及び図6は、各光線銃玩具ごとに識別情報を付与して、敵グループと、味方グループとに分かれて対戦を行う場合において用いるソフトウエアのアルゴリズムの一例を示すフローチャートである。図6は、図5のフローチャートのステップの一部を詳細に表したフローチャートである。まず図5のフローチャートでは、ステップST101で、識別情報を含んだ電波信号を発信する。識別情報は、各光線銃玩具1を特定するための情報の他に、光線銃玩具1を操作するプレイヤが敵または味方のどちらのグループに属しているかのグループ情報を含んでいる。識別情報を含む電波信号は、電波信号発信手段37から常時発信されており、電波信号受信手段39は、識別情報を含む電波信号を連続的に受信している。ステップST102では、他の光線銃玩具1の電波信号発信手段37から発信された識別情報を含む電波信号を電波信号受信手段39が受信した後に、その受信された電波信号の強度を判定する。ステップST102ではさらに、判定した電波信号の強度に基づいて、電波強度レベルを決定して、識別情報とともに記憶する。ステップST103からステップST105までは、図4のステップST3からステップST5までと同じ動作をするので説明を省略する。
【0049】
ステップST105で、識別情報を含む赤外線信号を受信した場合には、ステップST106に進み、識別情報に基づいてパラメータ値を決定する。ステップST106ではさらに、ステップST102で判定した電波強度レベルに基づいてパラメータ値を変更する必要があるか否かを判定する。
【0050】
図6は、図5のステップST106において具体的に実行しているステップを示すフローチャートである。ステップST106aで赤外線信号に含まれる識別情報に基づいて敵か見方の判断がなされる。この例では、味方に攻撃された場合には、ダメージ値は大きくならないものとして信号処理をするものとする。ステップST106aで敵からの攻撃であることを判定すると、ステップST106bへと進み、味方からの攻撃であると判定すると、ステップST108へと進む。ステップST106bに進んだ場合には、電波信号の強度を判定して、識別情報ごとの電波強度を決定してパラメータ値を決定する。ステップST106bでは、電波信号の強度が予め定めた強度Jy1よりも大きいか否かを判定する。電波信号の強度がJy1よりも大きい場合には、電波強度のレベルを1(Lv=1)と定める(ステップST106c)。電波信号の強度が予め定めた強度Jy1よりも小さい場合には、ステップST106dに進む。ステップST106dでは、赤外線信号に含まれる識別情報と同じ識別情報を含む電波信号の強度が予め定めた強度Jy2よりも大きいか否かを判定する。電波信号の強度がJy2よりも大きい場合には、電波強度のレベルを2(Lv=2)と定める(ステップST106e)。電波信号の強度が予め定めた強度Jy2よりも小さい場合には、ステップST106fに進む。ステップST106fでは、赤外線信号に含まれる識別情報と同じ識別情報を含む電波信号の強度が予め定めた強度Jy3よりも大きいか否かを判定する。電波信号の強度がJy3よりも大きい場合には、電波強度のレベルを3(Lv=3)と定める(ステップST106g)。電波信号の強度が予め定めた強度Jy3よりも小さい場合には、ステップST106hに進み、電波強度のレベルを4(Lv=4)と定める。ステップST107では、識別情報ごとに判定した電波強度レベルを記憶してパラメータ値を変更する。ここで「識別情報ごとに」とは、複数の敵がいる場合には、赤外線信号に含まれる識別情報に基づいて判定した相手ごとにの意味である。このようにすると以後の処理において、誰からの攻撃でダメージを受けたのかが認識できるため、攻撃相手に攻撃結果を知らせることも可能になる。
【0051】
ステップST108からステップST111までは、図4のステップST8からステップST11までと実質的に同じであるため説明を省略する。
【0052】
なお、ソフトウエアの構成を変更することにより、味方グループの光線銃玩具1が発生した赤外線信号を受信した場合の、ダメージ値を決定するパラメータ値は、0にするようにしてもよいし、またはペナルティとして敵から攻撃された場合のパラメータ値よりも値を大きくするようにすることもできるのは勿論である。
【0053】
電波強度レベルによるパラメータ値の変更の仕方は任意であり、識別情報との組み合わせにより、パラメータ値の変更パターンを変えてもよい。図7には、相手の光線銃玩具の種類によって複数種類のパラメータ値の変更パターンを用意する場合のパラメータ値の変更例を示している。図7では、A乃至Cの3種類の識別情報に応じて、パラメータ値の変更パターンを変えている。受信した信号に含まれる識別情報がAまたはBである場合には、電波強度が強いほど、パラメータ値が大きくなるように設定されている。このように設定すると、敵グループのプレイヤが操作する光線銃玩具との距離が近いほど、大きなダメージを受けることになる。逆に、識別情報がCの場合のように、電波強度が強いほど、パラメータ値が小さくなるように設定してもよい。
【0054】
表示画面13上へのダメージ値及び/またはダメージ状態の表示の方法は任意である。図8(A)乃至(C)には、ダメージ値及び/またはダメージ状態を数字、ゲージで表示した例を示してある。図5のアルゴリズムのように、赤外線信号及び/または電波信号に識別情報を含めると、赤外線信号を発生した敵グループのプレイヤの識別情報をダメージ値及び/またはダメージ状態と併せて表示することができる。
【0055】
図9は、近くにいる複数の敵から連続的に攻撃を受けた場合(接近戦の場合)には、連続攻撃を認め、遠くにいる複数の敵から連続的に攻撃を受けた場合(接近戦ではない場合)には、連続攻撃を認めないというコンセプトでダメージ状態を決定する場合に用いるソフトウエアのアルゴリズムを示している。図9のアルゴリズムでは、図5のアルゴリズムのステップST102とステップST103の間にステップST112乃至ST114を付加している。自分の周囲の近くに複数の敵がいないことをステップST112で判断するとステップST114へと進み、後に説明する「出力待機有効状態」となり、自分の周囲の近くに複数の敵がいることをステップ112で判断するとステップST113へと進んで「出力待機無効状態」となる。ステップST112の判断は、図3の電波強度判定手段41で実行することになる。そこでこのアルゴリズムを実現する場合には、電波強度判定手段41として、複数の電波信号の電波強度が予め定めた電波強度レベル以上あるか否かを判定する機能を有するものを用いる。さらに、この例では赤外線信号受信手段31に、前の赤外線信号を受光してから予め定めた時間が経過するまでの間、次の赤外線信号を受信しても、赤外線信号を受信したことを示す信号を出力しない出力待機機能と、電波強度判定手段から解除信号が出力されている間は、出力待機機能を無効とする無効処理機能とを設けている。そして、電波強度判定手段41に、複数の電波信号の電波強度が予め定めた電波強度レベル以上あることを判定すると解除信号を出力する機能を設けている。解除信号は、受信した複数の電波信号の電波強度が予め定めた電波強度レベル以上である場合に、赤外線信号受信手段31の出力待機機能を無効にするために出力される。複数の電波信号の電波強度が予め定めた電波強度レベル以上ない場合(近くに敵がいない場合)には、赤外線信号受信手段31に設けられた出力待機機能が有効なものとなって、赤外線信号受信手段31は「出力待機有効状態」になる。「出力待機有効状態」は、1回赤外線信号を受信すると、所定の時間が経過するまでは、仮に次の赤外線信号を受信したとしても、赤外線信号を受信したことを示す信号を出力しない状態(所定の時間が経過するまで赤外線信号の受信を無効とする状態)である。したがって「出力待機有効状態」になると、複数の敵からの連続的な攻撃は認められない。これに対して複数の電波信号の電波強度が予め定めた電波強度レベル以上ある場合(近くに敵がいる場合)には、電波強度判定手段41から出力された解除信号が、赤外線信号受信手段31に無効処理機能を発揮させる。無効処理機能は、解除信号を受信している間、出力待機機能を無効にして、赤外線信号受信手段31を「出力待機無効状態」にする。この「出力待機無効状態」では、前述の「所定の時間」の制限が解除される。すなわち複数の敵から連続的に攻撃されて、連続的に赤外線信号を赤外線信号受信手段31が受信した場合には、連続的に受信したすべての赤外線信号に基づいてダメージ値の決定を行うことになる。すなわちこのような構成を採用すると、接近した位置に複数の敵がいる場合には、合同または共同攻撃が可能となることを意味する。具体的には、赤外線信号受信手段31を、通常は「出力待機有効状態」にあり、電波強度判定手段41から解除信号が入力されている期間は、「出力待機無効状態」となるように構成すればよい。
【0056】
また、赤外線信号受信手段31に出力待機機能及び無効処理機能を設けるのに代えて、ダメージ値決定手段35に、赤外線信号受信手段31が前の赤外線信号を受信してから予め定めた時間が経過するまでの間、次の赤外線信号を受信しても、ダメージ値を決定しない決定待機機能と、電波強度判定手段41から解除信号が出力されている間は、決定待機機能を無効とする無効処理機能を設けるようにしてもよい。この場合には、複数の電波信号の電波強度が予め定めた電波強度レベル以上でない場合(近くに敵がいない場合)には、ダメージ値決定手段35に設けられた決定待機機能がその機能を発揮して、ダメージ値決定手段35を「決定待機有効状態」にする。「決定待機有効状態」は、1回赤外線信号を受信すると、所定の時間が経過するまでは、仮に次の赤外線信号を受信したとしてもダメージ値を決定しない状態(所定の時間が経過するまでダメージ値を無効とする状態)である。したがって「決定待機有効状態」になると、複数の敵からの連続的な攻撃は認められない。これに対して複数の電波信号の電波強度が予め定めた電波強度レベル以上ある場合(近くに敵がいる場合)には、電波強度判定手段41から出力された解除信号が、ダメージ値決定手段35に無効処理機能を発揮させる。無効処理機能は、解除信号を受信している間、決定待機機能を無効にして、ダメージ値決定手段35を「決定待機無効状態」にする。この「決定待機無効状態」では、前述の「所定の時間」の制限が解除される。このように構成しても、接近した位置に複数の敵がいる場合に、連係または共同攻撃を可能とすることができる。具体的には、ダメージ値決定手段35を、通常は「決定待機有効状態」にあり、電波強度判定手段41から解除信号が入力されている期間は、「決定待機無効状態」となるように構成する。なお、この場合には、図9のST113「出力待機無効」及びST114「出力待機有効」を「決定待機有効」及び「決定待機無効」に変更する以外は、図9のアルゴリズムと同じアルゴリズムを用いればよい。
【0057】
また敵が周囲にいる状況をプレイヤに表示する態様は任意である。図10(A)乃至(C)は、電波強度情報に基づいて、プレイヤが操作する2つの光線銃玩具1間の距離情報を、表示画面13に表示する場合と振動を発生する場合の例を示している。図10(A)は、距離Dが長い場合の表示例を示しており、この場合には振動は発生しない。また図10(B)は距離Dが小さくなってきたときの表示例を示しており、僅かに振動が発生する。そして図10(C)はかなり接近しているときの表示例を示しており、振動は強いものとなっている。なお表示画面13に表示する表示の態様は、文字、数字、ゲージまたは画面の色を変えるなど適宜の態様とすることができる。音響発生手段による音響表示を行う場合には、音の長さ、音色、音量等でダメージ値、ダメージ状態、他のプレイヤに与えたダメージ値、他のプレイヤのダメージ状態または電波強度指令による電波強度を、区別して外部に発現させることが可能である。さらに振動発生手段を用いる場合には、振動時間、振動の大きさ、振動のパターン等によりダメージ値、ダメージ状態、他のプレイヤに与えたダメージ値、他のプレイヤのダメージ状態または電波強度指令による電波強度を、外部に発現させることが可能である。
【0058】
上記各実施の形態のように、他のプレイヤまたは他のプレイヤが操作する玩具が発信する電波信号の強度を判定することにより、他のプレイヤまたは他のプレイヤが操作する玩具との距離を判定して、対戦の内容に反映させるようにしたので、接近戦をしているときのスリリングな感覚を実感することができる。その結果、本発明によれば、遊びが単調なものとならない利点が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本実施の形態の光線銃玩具の斜視図である。
【図2】(A)及び(B)は、本実施の形態の光線銃玩具の右側面図及び表示部を起こした状態の背面図である。
【図3】本実施の形態の光線銃玩具の主要部の構成を示すブロック図である。
【図4】図1の実施の形態を識別情報を用いない光線銃玩具で実現する場合に用いるプログラムのアルゴリズムを示すフローチャートである。
【図5】図1の実施の形態を識別情報を用いる光線銃玩具で実現する場合に用いるプログラムのアルゴリズムを示すフローチャートである。
【図6】識別情報を用いる光線銃玩具で実現する場合に用いる電波信号の強度レベルを識別情報ごとに判定して記憶するプログラムのアルゴリズムを示すフローチャートである。
【図7】電波信号の強度レベルと識別情報に応じたパラメータの設定の例を示す図である。
【図8】(A)乃至(C)は、赤外線信号を受信した結果、プレイヤが受けたダメージ値またはダメージ状態を示す表示画面の例を示す図である。
【図9】敵グループのプレイヤが複数人一定距離内にいる場合のプログラムのアルゴリズムを示すフローチャートである。
【図10】(A)乃至(C)は、敵グループのプレイヤとの距離についての情報を外部発現している様子を示す図である。
【符号の説明】
【0060】
1 光線銃玩具
3 赤外線信号発生部
5 銃本体
7 グリップ部
9 引き金部
11 画像表示部
13 表示画面
15 赤外線信号受信部
17 電波信号発信部
19 電波信号受信部
21 放音部
23 発射指令発生手段
25 赤外線信号発生手段
27 識別情報記憶手段
29 識別情報設定手段
31 赤外線信号受信手段
33 識別情報判定手段
35 ダメージ値決定手段
37 電波信号発信手段
39 電波信号受信手段
41 電波強度判定手段
43 振動発生手段
45 音響発生手段
46 電波強度表示指令発生手段
47 画像表示手段
49 ダメージ状態決定手段
51 ダメージ状態発現手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シューティング用の赤外線信号を発生する赤外線信号発生手段と、
他のシューティング対戦用玩具が発生した前記赤外線信号を受信する赤外線信号受信手段と、
前記赤外線信号受信手段が前記赤外線信号を受信するとパラメータ値に基づいてダメージ値を決定するダメージ値決定手段と、
前記ダメージ値に基づいてダメージ状態を決定するダメージ状態決定手段と、
前記ダメージ値及びダメージ状態を視覚、聴覚及び/または触覚によって確認できるようにするダメージ状態発現手段とを有するシューティング対戦用玩具であって、
所定の電波信号を発信する電波信号発信手段と、
前記他のシューティング対戦用玩具が発信する電波信号を受信する電波信号受信手段と、
前記電波信号受信手段が受信した電波信号の電波強度を判定する電波強度判定手段とをさらに備え、
前記ダメージ値決定手段は、前記電波強度判定手段の判定結果に応じて前記パラメータ値を変更することを特徴とするシューティング対戦用玩具。
【請求項2】
前記ダメージ値決定手段は、前記電波強度判定手段が判定した電波強度に連続的または段階的に比例して、前記パラメータ値を変更することを特徴とする請求項1に記載のシューティング対戦用玩具。
【請求項3】
前記ダメージ値決定手段は、前記電波強度判定手段が判定した電波強度が予め定めた2以上のレベル範囲のいずれに含まれるかを判定し、判定した前記レベル範囲に応じて前記パラメータ値を変更することを特徴とする請求項1に記載のシューティング対戦用玩具。
【請求項4】
前記ダメージ状態決定手段は、前記ダメージ値を積算した積算値または所定値から前記ダメージ値を減算して得た減算値に基づいて前記ダメージ状態を決定する請求項1に記載のシューティング対戦用玩具。
【請求項5】
前記赤外線信号発生手段は、発生源を識別するための識別情報を含めて前記赤外線信号を発生するように構成されている請求項1に記載のシューティング対戦用玩具。
【請求項6】
前記電波信号発信手段は、発信源を識別するための識別情報を含めて前記電波信号を発信するように構成されている請求項1に記載のシューティング対戦用玩具。
【請求項7】
前記赤外線信号発生手段は、発生源を識別するための識別情報を含めて前記赤外線信号を発生するように構成されており、
前記電波信号発信手段は、発信源を識別するための識別情報を含めて前記電波信号を発信するように構成されている請求項1に記載のシューティング対戦用玩具。
【請求項8】
前記ダメージ値決定手段は、前記識別情報を判定する機能と、前記識別情報に基づいて前記パラメータ値を変更する機能とを更に有している請求項5,6または7に記載のシューティング対戦用玩具。
【請求項9】
前記識別情報を判定する識別情報判定手段を更に備え、
前記電波信号発信手段は、前記識別情報判定手段が判定した前記識別情報を発生または発信した他のシューティング対戦用玩具に対して前記ダメージ状態を通知する情報を前記電波信号に含める機能を更に備えている請求項6または7に記載のシューティング対戦用玩具。
【請求項10】
前記電波信号発信手段は、前記赤外線信号受信手段が前記赤外線信号を受信すると、前記識別情報判定手段が判定した前記識別情報を発生または発信した他のシューティング対戦用玩具に対して前記ダメージ状態を通知する情報を含めた前記電波信号を発信する請求項9に記載のシューティング対戦用玩具。
【請求項11】
前記電波強度判定手段は、複数の電波信号の電波強度が予め定めた電波強度レベル以上あることを判定すると解除信号を出力する機能を更に有しており、
前記赤外線信号受信手段は、前の赤外線信号を受光してから予め定めた時間が経過するまでの間、次の赤外線信号を受信しても、赤外線信号を受信したことを示す信号を出力しない出力待機機能と、前記電波強度判定手段から前記解除信号が出力されている間は、前記出力待機機能を無効とする無効処理機能とを有している請求項1に記載のシューティング対戦用玩具。
【請求項12】
前記電波強度判定手段は、複数の電波信号の電波強度が予め定めた電波強度レベル以上あることを判定すると解除信号を出力する機能を更に有しており、
前記ダメージ値決定手段は、前記赤外線信号受信手段が前の赤外線信号を受信してから予め定めた時間が経過するまでの間、次の赤外線信号が受信しても、前記ダメージ値を決定しない決定待機機能と、前記電波強度判定手段から前記解除信号が出力されている間は、前記決定待機機能を無効とする無効処理機能とを有している請求項1に記載のシューティング対戦用玩具。
【請求項13】
前記ダメージ状態発現手段は、表示画面を備えた画像表示手段を更に備えており、前記ダメージ値及び/または前記ダメージ状態を、前記表示画面に視覚によって確認できる表示態様で表示することを特徴とする請求項1に記載のシューティング対戦用玩具。
【請求項14】
前記画像表示手段は、前記電波強度判定手段が判定している前記電波強度を前記表示画面に視覚によって確認できる表示態様で表示するために必要な指令を出力する電波強度表示指令発生手段を更に有することを特徴とする請求項12に記載のシューティング対戦用玩具。
【請求項15】
前記電波強度が予め定めたレベルを超えている状態を前記電波強度判定手段が判定している間、前記シューティング玩具を振動させる振動発生手段を更に備えている請求項1に記載のシューティング対戦用玩具。
【請求項16】
前記振動発生手段は、前記電波強度が強くなるほど、振動が強くなるように振動を可変する機能を有している請求項14に記載のシューティング対戦用玩具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2008−154713(P2008−154713A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−345455(P2006−345455)
【出願日】平成18年12月22日(2006.12.22)
【出願人】(506113602)株式会社コナミデジタルエンタテインメント (1,441)
【Fターム(参考)】