説明

シューマイ成形装置

【課題】支持部材間に架け渡された麺皮が、支持部材から離脱することを防止するようにしたシューマイ成形装置を提供すること。
【解決手段】具材供給手段3の具材供給ノズル30の下方位置で麺皮Waを架け渡す支持部材20の最上流側の支持部材20の位置に、支持部材20’の切欠部bに残存する接続部Wjを含む麺皮Wa2の表面に接触し、麺皮Wa2を支持部材20との間で保持する麺皮接触保持部材10を配設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シューマイ成形装置に関するもので、特に、支持部材間に架け渡された麺皮が、支持部材から離脱することを防止するようにしたシューマイ成形装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、シューマイ成形装置として、図7に示すように、ターンテーブルTに備えた成形用穴40に麺皮Waを供給するとともに、具材Wbを充填し、順次シューマイを成形するようにしたシューマイ成形装置9が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
このシューマイ成形装置9において、麺皮Waは、平行に配設した無端状の循環駆動部材21を構成するチェーン間に複数の板状の支持部材20の基端20b側を等間隔に架け渡してなる麺皮支持移送手段2に、隣接する支持部材20の先端20a側の間隔が広がる位置で麺皮供給手段(図示省略)から麺皮Waを支持部材20の先端20aに架け渡すようにして供給される。
このようにして供給された麺皮Waは、押圧手段60によって、支持部材20の先端20aに押し付けられた後、押切手段61のローラRによって、支持部材20の先端に間隔をあけて形成された切欠部bに接続部Wjが残存するように押し切られ、隣接する支持部材20間の先端20a側の間隔が狭まる成形用穴40の上方位置まで移送される。
そして、支持部材20間に架け渡された麺皮Waの上方から下降するように昇降可能に設けられた具材供給手段3の具材供給ノズル30を、麺皮Waの上表面を押し下げながら下降させて、麺皮Waを成形用穴40に供給するようにしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公平5−30638号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来のシューマイ成形装置9は、図8(a)〜図8(b)に示すように、麺皮Waを成形用穴40へ供給する際に、具材供給ノズル30を下降させることによって、麺皮Waの上表面を押し下げ、接続部Wjによって繋がっている麺皮Waを引きちぎるようにして切断するようにしている。
この際、具材供給ノズル30の下方位置で麺皮Waを架け渡す支持部材20の最上流側の支持部材20’の位置では、この支持部材20’を境にして、それより下流側の麺皮Wa1は成形用穴40に供給され、接続部Wjを含む上流側の麺皮Wa2は、支持部材20’に架け渡された状態が保持されるようにしている。
すなわち、上記従来のシューマイ成形装置9は、支持部材20’を境に下流側の麺皮Wa1が成形用穴40に供給されるときに、図8(d1)に示すように、麺皮Wa1が面Cの位置で切断されるとともに、接続部Wjを含む上流側の麺皮Wa2が、押切手段61のローラRによって押し切られたときの支持部材20’の切欠部bを含む先端20aに付着した状態がそのまま維持されることによって、支持部材20’に架け渡された状態が保持されるようにしている。
【0005】
しかしながら、麺皮Waの性状等によって、例えば、麺皮Waの引張強度が強い場合には、図8(d2)に示すように、具材供給ノズル30を下降させることによって、麺皮Waの上表面を押し下げ、接続部Wjによって繋がっている下流側の麺皮Wa1を引きちぎるようにして切断するときに、接続部Wjを介して上流側の麺皮Wa2が引っ張られて移動することにより、接続部Wjを含む上流側の麺皮Wa2と支持部材20’の切欠部bを含む先端20aとの付着が切れることがあった。
そして、接続部Wjを含む上流側の麺皮Wa2と支持部材20’の切欠部bを含む先端20aとの付着が切れてしまうと、図8(d3)及び図8(d4)に示すように、接続部Wjを介して接続されていた下流側の麺皮Wa1が切断されると、接続部Wjを含む上流側の麺皮Wa2は、支持部材20’から離脱し、図8(b)の二点鎖線で示すように垂れ下がった状態となる。
この状態で、麺皮Wa2は、成形用穴40の上方位置まで移送されるが、正常なシューマイの成形を行うことができず、また、装置の連続稼働の支障になったり、装置の故障の原因にもなっていた。
【0006】
本発明は、上記従来のシューマイ成形装置の有する問題点に鑑み、支持部材間に架け渡された麺皮が、支持部材から離脱することを防止するようにしたシューマイ成形装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明のシューマイ成形装置は、平行に配設した無端状の循環駆動部材間に複数の板状で先端に間隔をあけて切欠部を形成した支持部材の基端側を等間隔に架け渡してなる麺皮支持移送手段と、該麺皮支持移送手段の支持部材の先端に支持部材間に架け渡すように麺皮を供給する麺皮供給手段と、麺皮支持移送手段の支持部材の先端位置で麺皮を前記切欠部に残存するように押し切る押切手段と、支持部材間に架け渡された麺皮の上方から下降するように昇降可能に設けられた具材を供給する具材供給ノズルを有する具材供給手段と、下降した具材供給ノズルの先端部が挿入されることによって麺皮及び具材が充填される成形用穴を有する成形手段とを備えたシューマイ成形装置において、前記具材供給手段の具材供給ノズルの下方位置で麺皮を架け渡す支持部材の最上流側の支持部材の位置に、支持部材の切欠部に残存する接続部を含む麺皮の表面に接触し、該麺皮を支持部材との間で保持する麺皮接触保持部材を配設したことを特徴とする。
このシューマイ成形装置は、具材供給ノズルを下降させて麺皮を成形用穴へ供給する際に、麺皮接触保持部材を、具材供給ノズルの下方位置で麺皮を架け渡す支持部材の最上流側の支持部材の切欠部に残存する接続部を含む麺皮の表面に接触させることによって、接続部によって繋がっている下流側の麺皮を引きちぎるようにして切断するときに、接続部を介して上流側の麺皮が引っ張られて移動することによって接続部を含む上流側の麺皮と支持部材の切欠部を含む先端との付着が切れることを防止する。
【0008】
この場合において、麺皮接触保持部材を、昇降可能に配設することができる。
この構成により、麺皮支持移送手段の駆動中には麺皮接触保持部材を上昇させることができ、麺皮接触保持部材が支持部材の先端と摺接することによる麺皮接触保持部材及び支持部材の摩耗を防止することができる。
【0009】
また、各支持部材の上流側の面に沿って、支持部材間に架け渡された麺皮を、該麺皮が突き刺さることにより保持する複数の尖頭部を間隔をあけて備えた麺皮刺衝保持部材を配設することができる。
各支持部材の上流側の面に沿って配設した麺皮刺衝保持部材の尖頭部に麺皮が突き刺さり、支持部材に架け渡された麺皮が支持部材に対して相対的に移動することを防止する。
【発明の効果】
【0010】
本発明のシューマイ成形装置によれば、具材供給ノズルを下降して麺皮を成形用穴へ供給する際に、麺皮接触保持部材を、具材供給ノズルの下方位置で麺皮を架け渡す支持部材の最上流側の支持部材の切欠部に残存する接続部を含む麺皮の表面に接触させることによって、接続部によって繋がっている下流側の麺皮を引きちぎるようにして切断するときに、接続部を介して上流側の麺皮が引っ張られて移動することによって接続部を含む上流側の麺皮と支持部材の切欠部を含む先端との付着が切れることがなく、これにより、支持部材間に架け渡された麺皮が支持部材から離脱しないようにして、シューマイの成形不良や装置の連続稼働の停止及び装置の故障を防止することができる。
【0011】
また、麺皮接触保持部材を昇降可能とすることにより、麺皮支持移送手段の駆動中には麺皮接触保持部材を上昇させ、麺皮接触保持部材が支持部材の先端と摺接しないようにして麺皮接触保持部材及び支持部材の摩耗を防止することができる。
【0012】
また、各支持部材の上流側の面に沿って、複数の尖頭部を間隔をあけて備えた麺皮刺衝保持部材を配設することにより、麺皮刺衝保持部材の尖頭部に麺皮が突き刺さり、支持部材に架け渡された麺皮が支持部材に対して相対的に移動しないようにして、麺皮と支持部材の付着が切れることをより確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明のシューマイ成形装置の一実施例を示す一部切り欠き断面の正面図である。
【図2】(a)は同装置の麺皮接触保持部材及び支持部材に配設した麺皮刺衝保持部材を示す側面図、(b)は支持部材に配設した麺皮刺衝保持部材を示す一部切り欠きの拡大正面図である。
【図3】同装置の麺皮接触保持部材の変形実施例を示す一部切り欠き断面の正面図である。
【図4】(a)は同装置の麺皮支持移送手段を除いた平面図、(b)は(a)のX−X断面図である。
【図5】麺皮接触保持部材、ガイド部材及び具材供給手段の作動要領を示し、(a)は作動開始前の状態で、麺皮保持手段が支持部材から離間しガイド部材が上昇位置にある状態を、(b)は作動開始状態で、麺皮保持手段が切欠部に残存する接続部を含む麺皮の表面に接触した状態を示す。
【図6】図5に続く麺皮接触保持部材、ガイド部材及び具材供給手段の作動要領を示し、(a)は作動中の状態で、麺皮保持手段が切欠部に残存する接続部を含む麺皮の表面に接触した状態で具材供給ノズルが麺皮を押し下げ始めた状態を、(b)は作動完了状態でガイド部材が下降位置にある状態を示す。
【図7】従来のシューマイ成形装置を示す一部切り欠き断面の正面図である。
【図8】同装置の具材供給手段の作動要領と、麺皮の架け渡し状態とを説明する概略図で、(a)は具材供給手段の作動前を、(b)は具材供給ノズルが作動し麺皮を押し下げ始めた状態を、(c)は麺皮の架け渡し状態を示す一部切り欠きの平面図を、(d1)は(c)のY−Y拡大断面図を、(d2)は具材供給手段の作動によって支持部材の切欠部に残存する接続部が引っ張られ、上流側の麺皮が支持部材の先端に乗り上げた状態の拡大断面図を、(d3)は上流側の麺皮が乗り上げた後に麺皮の接続部分が切断された状態の拡大断面図を、(d4)は支持部材に乗り上げた上流側の麺皮が支持部材から外れる状態の拡大断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明のシューマイ成形装置の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【0015】
図1〜図6に、本発明のシューマイ成形装置の一実施例を示す。
このシューマイ成形装置1は、平行に配設した無端状の循環駆動部材21間に複数の板状で先端20aに間隔をあけて切欠部bを形成した支持部材20の基端20b側を等間隔に架け渡してなる麺皮支持移送手段2と、麺皮支持移送手段2の支持部材20の先端20aに支持部材20間に架け渡すように麺皮Waを供給する麺皮供給手段(図示省略)と、麺皮支持移送手段2の支持部材20の先端20a位置で麺皮Waを切欠部bに残存するように押し切る押切手段61と、支持部材20間に架け渡された麺皮Waの上方から下降するように昇降可能に設けられた具材Wbを供給する具材供給ノズル30を有する具材供給手段3と、下降した具材供給ノズル30の先端部30aが挿入されることによって麺皮Wa及び具材Wbが充填される成形用穴40を有する成形手段4と、具材供給手段3の具材供給ノズル30の下方位置で麺皮Waを架け渡す支持部材20の最上流側の支持部材20の位置に、支持部材20’の切欠部bに残存する接続部Wjを含む麺皮Wa2の表面に接触し、麺皮Wa2を支持部材20との間で保持する麺皮接触保持部材10を配設するようにしている。
【0016】
麺皮支持移送手段2の無端状の循環駆動部材21は、チェーンを用いるようにしているが、板状の支持部材20を取り付けることができるものであればこれに限定されず、例えば、タイミングベルト等を用いることもできる。
この麺皮支持移送手段2は、シューマイの成形行程に合わせて、駆動機構(図示省略)により、間欠的に運転される。
【0017】
支持部材20は、図2に示すように、基端20b、20b側が、循環駆動部材21の側面に配設した取付部材22に固定され、平行に配設した循環駆動部材21に複数の支持部材20が等間隔に架け渡されるようにしている。
支持部材20の先端20a側は、全体を刃状に形成するとともに、適宜間隔をあけて複数の切欠部bを形成し、後述の押切手段61によって麺皮Waを押し切った際に、麺皮Waの一部が接続部Wjとして切欠部bに残存し、接続部Wjを形成して、麺皮Waが繋がった状態に維持されるとともに、接続部Wjを含む麺皮Waが支持部材20の切欠部bを含む先端20aに付着するようにしている(図8(c)参照)。
【0018】
麺皮支持移送手段2への麺皮Waの供給は、隣接する支持部材20間の先端20aに架け渡すように供給するものであれば、特に限定されるものではないが、本実施例においては、支持部材20間の先端20a側の間隔が広がる位置、具体的には、具材供給手段3の上流側の循環駆動部材21の折り返し位置で麺皮供給手段(図示省略)から循環駆動部材21の駆動に同期して支持部材20の先端20aに架け渡すように行うようにしている。
このようにして供給された麺皮Waは、押圧手段60によって、支持部材20の先端20aに押し付けられた後、押切手段61のローラRによって、その一部が接続部Wjとして残存するように押し切られ、隣接する支持部材20間の先端20a側の間隔が狭まる成形用穴40の上方位置、具体的には、循環駆動部材21の直線位置まで移送される。
この位置では、隣接する支持部材20間の先端20a側の間隔が狭まるため、支持部材20の先端20aに架け渡された麺皮Waは、中間部が弛んだ状態で垂れ下がった状態となる。
なお、麺皮Waの供給も循環駆動部材21の直線位置で行い(この場合には、隣接する支持部材20の間隔を、本実施例における間隔よりも大きくとるようにする。)中間部が弛んでいない状態で押切手段61及び具材供給手段3に移送させることもできる。
【0019】
押切手段61は、支持部材20の先端20a上を押圧しながら移動するローラRを備え、支持部材20の先端20aとローラR間で、切欠部bに位置する麺皮Waを接続部Wjとして残し、その余の部分の麺皮Waを切断するとともに、接続部Wjを含む麺皮Waが支持部材20の切欠部bを含む先端20aに付着するようにしている。
【0020】
具材供給手段3は、支持部材20間に架け渡された麺皮Waの上表面を押し下げながら下降させて、麺皮Waを成形用穴40に供給する機能と、貯溜手段(図示省略)に貯留されているペースト状の具材Wbを、例えば、ピストンポンプ(図示省略)の押圧動作によって、成形用穴40に挿入した具材供給ノズル30の先端部30aから成形用穴40に充填する機能とを有している。
【0021】
麺皮接触保持部材10は、具材供給手段3の具材供給ノズル30の下方位置で麺皮Waを架け渡す支持部材20の最上流側の支持部材20’の位置に、支持部材20’の切欠部bに残存する接続部Wjを含む麺皮Wa2の表面に接触し、麺皮Wa2を支持部材20との間で保持するもので、図1〜図2に示すように、切欠部bに残存する接続部Wjを含む麺皮Wa2の表面に接触する接触部材11と、この接触部材11を昇降させる昇降機構12とから構成されている。
接触部材11の材質は、特に限定されるものではなく、本実施例においては、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の合成樹脂材料を用いるようにしている。
接触部材11は、図1に示すように、接触部材11の一側面が、具材供給手段3の具材供給ノズル30が出没する筐体の側面に摺接するように配設する。
【0022】
昇降機構12は、接触部材11の上部に配設され、接触部材11の下部を、支持部材20の先端20aに当接する位置まで下降させるとともに、先端20aから離間した位置に上昇させるもので、本実施例においては、エアシリンダを使用するようにしている。
また、具材供給ノズル30の昇降と連動して(この場合、具材供給ノズル30が麺皮Waを押し下げる直前に切欠部bに残存する接続部Wjを含む麺皮Wa2に接触するように連動させるようにして)昇降させることもできる。
【0023】
麺皮接触保持部材10は、接触部材11を、ばね鋼等の金属からなる可撓性材料からなる薄板状の材料を使用し、図3に示すように、円弧状に屈曲させて、具材供給手段3の側面適所に固定し、移送されてくる麺皮Waの切欠部bに残存する接続部Wjを含む麺皮Waと接触するように構成することもできる。
【0024】
また、各支持部材20の上流側の面に沿って、支持部材20間に架け渡された麺皮Waを、麺皮Waが突き刺さることにより保持する複数の尖頭部13aを、支持部材20の先端20aと略同じ高さ位置となるように間隔をあけて備えた麺皮刺衝保持部材13を配設することができる。
麺皮刺衝保持部材13により、麺皮刺衝保持部材13の尖頭部13aに麺皮Waが突き刺さり、支持部材20に架け渡された麺皮Waが支持部材20に対して相対的に移動しないようにして、麺皮Waと支持部材20の付着が切れることを防止することができる。特に、麺皮刺衝保持部材13の尖頭部13aに麺皮Waが突き刺さることによって、移送方向及びこれと直交する方向の麺皮Waの移動が規制され、移送による振動等で麺皮Waと支持部材20の付着が切れることを防止することができる。
また、麺皮刺衝保持部材13により、前述の麺皮供給手段(図示省略)から麺皮Waを支持部材20の先端20aに架け渡した際に、支持部材20に架け渡された麺皮Waが支持部材20に対して相対的に移動しないようにして、支持部材20の先端20aに架け渡された麺皮Waの長さが変動することを防止することができる。
【0025】
また、麺皮Waを成形用穴40へ供給する際に、具材供給ノズル30を下降させることによって、麺皮Waの上表面を押し下げ、一部が接続部Wjとして残存して繋がっている麺皮Waの接続部Wjを切断するようにしているが、麺皮Waが架け渡された支持部材20の先端20aから麺皮Waが切断されて離脱するタイミングに架け渡されている麺皮Waの両端間でずれが生じることがあり、このように麺皮Waの両端間で離脱するタイミングにずれが生じると、具材供給ノズル30が当接している麺皮Waの位置が当初の当接から移動することとなり、成形用穴40に供給される麺皮Waに偏りが生じ、具材Wbが麺皮Waに完全に包まれていないシューマイが成形される等の成形不良の原因となる。
これに対処するために、本実施例においては、下降した具材供給ノズル30の先端部30aが貫通するガイド孔50を有し、麺皮支持移送手段2の支持部材20間に架け渡された麺皮Waの下表面Fが接触しない成形用穴40の直上の下降位置P2(図6参照)と、麺皮Waの下表面Fが接触し、麺皮Waをガイド孔50の周縁部で支持する上昇位置P1(図5参照)との間で昇降可能とされたガイド部材5を配設するようにしている。
【0026】
このガイド部材5は、上記麺皮支持移送手段2の隣接する支持部材20間の先端20a側の間隔が狭まる位置、すなわち、具材供給手段3と成形用穴40との間に位置するブロック状部材51からなり、このブロック状部材51に、下降した具材供給ノズル30の先端部30aが貫通するガイド孔50を設けるようにしている。
そして、ガイド部材5は、麺皮支持移送手段2の支持部材20間に架け渡された麺皮Waの下表面Fが接触しない成形用穴40の直上の下降位置P2と、麺皮Waの下表面Fが接触し、麺皮Waをガイド孔50の周縁部で支持する上昇位置P1との間を、昇降機構52によって昇降移動されるように構成されている。
なお、ガイド部材5の下降位置P2は、麺皮支持移送手段2の支持部材20間に架け渡された麺皮Waの下表面Fが接触しない限りにおいて、ガイド部材5の上下方向の厚み寸法と併せて任意に設定することができるが、麺皮Waが拘束されずに成形用穴40まで下降する距離を可及的に小さくすることができるように設定することが望ましい。
【0027】
ガイド孔50は、成形用穴40の内径と略同径となる大きさに形成するようにするが、図4に示すように、ガイド孔50の具材供給手段3側の周縁に角穴状で、かつ、下方に向かって断面積が縮小する傾斜面からなる導入部50aを施すことによって、麺皮Waがガイド孔50を通過する際に円滑に予備成形を行うことができるようにしている。
【0028】
昇降機構52は、ブロック状部材51の両端部に配設され、ブロック状部材51を上昇位置P1と下降位置P2との間で昇降させるもので、本実施例においては、エアシリンダを使用するようにしている。
【0029】
この場合、ガイド部材5を、麺皮Waを支持した状態で上昇位置P1から下降位置P2まで、具材供給ノズル30と共に下降するようにすることができる。
これにより、麺皮Waが拘束されずに成形用穴40まで下降する距離を小さくすることができ、麺皮Waを成形用穴40に確実かつ安定して供給することができる。
【0030】
ところで、ガイド部材5を具材供給ノズル30と共に下降させる方式としては、例えば、以下の態様がある。
(1)下降してきた具材供給ノズル30の先端部30aがガイド部材5の上面位置又はガイド孔50に挿入された段階で、ガイド部材5を具材供給ノズル30と共に同じ速度で下降位置P2まで下降するようにする方式。
(2)下降してきた具材供給ノズル30の先端部30aがガイド部材5の上面位置又はガイド孔50に挿入された段階で、ガイド部材5を具材供給ノズル30より遅い速度で下降位置P2まで下降するようにする方式。この場合、ガイド部材5の下降位置P2への到達と、麺皮Waのガイド孔50の通過とが、ほぼ一致するようにすることが好ましい。
特に、(2)の方式によれば、麺皮Waがガイド孔50を通過する際に相対速度を小さくすることができ、予備成形を円滑に行うことができる。
【0031】
成形手段4は、成形用穴40を備えた従来公知の成形手段4を適宜用いることができるが、ここでは、成形用穴40を備えたターンテーブルTを間欠的に回転させながら、具材供給手段3の下方位置で、成形用穴40に麺皮Waの供給及び具材Wbの充填を受け、成形位置で、成形用穴40から延出している麺皮Waによって具材Wbを包み込み、送出位置で、成形用穴40から押し上げられた成形されたシューマイを次工程に送り出すようにしたものを用いるようにしている。
【0032】
次に、このシューマイ成形装置1の動作について説明する。
麺皮接触保持部材10の接触部材11を、支持部材20’の先端20aから離間した位置に待機させ、麺皮Waが支持部材20間に架け渡された状態で麺皮支持移送手段2を駆動し、隣接する支持部材20間の先端20a側の間隔が狭まる、具材供給手段3の具材供給ノズル30と成形用穴40との間に位置させるようにする。
その後、昇降機構52によって、中間部が弛んだ状態で垂れ下がった状態となっている麺皮Waの下表面Fにガイド孔50の周縁部が接して、麺皮Waを支持する上昇位置P1までガイド部材5を上昇させる(図5(a)参照)。
【0033】
そして、具材供給ノズル30を下降する前、すなわち、具材供給ノズル30の先端部30aが麺皮Waに当接する前に、麺皮接触保持部材10を下降させ、接触部材11を切欠部bに残存する接続部Wjを含む麺皮Wa2に接触させ、麺皮Wa2を支持部材20’との間で保持するようにする。
そして、麺皮Waの下表面Fをガイド孔50の周縁部で支持して、麺皮Waが水平方向に移動しないようにした状態(摩擦力による拘束をかけた状態)にして、具材供給ノズル30の下降を開始させる(図5(b)参照)。
【0034】
この状態から、さらに具材供給ノズル30を下降させることによって、麺皮Waの上表面を押し下げ、接続部Wjによって繋がっている麺皮Waを切断して成形用穴40へ供給する際に、麺皮接触保持部材10を、支持部材20’の切欠部bに残存する接続部Wjを含む麺皮Wa2の表面に接触させることによって、接続部Wjによって繋がっている下流側の麺皮Wa1を引きちぎるようにして切断するときに、接続部Wjを介して上流側の麺皮Wa2が引っ張られて移動することによって接続部Wjを含む上流側の麺皮Wa2と支持部材20’の切欠部bを含む先端20aとの付着が切れることを防止することができる。
また、麺皮刺衝保持部材13により、麺皮刺衝保持部材13の尖頭部13aに麺皮Waが突き刺さり、支持部材20に架け渡された麺皮Waが支持部材20に対して相対的に移動しないようにして、麺皮Waと支持部材20の付着が切れることを防止することができる。特に、麺皮刺衝保持部材13の尖頭部13aに麺皮Waが突き刺さることによって、移送方向及びこれと直交する方向の麺皮Waの移動が規制され、移送による振動等で麺皮Wa(Wa2)と支持部材20(20’)の付着が切れることを防止することができる。
これにより、支持部材20間に架け渡された麺皮Wa2が支持部材20’から離脱しないようにして、シューマイの成形不良や装置の連続稼働の停止及び装置の故障を防止することができる。
また、ガイド部材5によって、具材供給ノズル30が当接している麺皮Waの位置が移動することを防止しながら、ガイド孔50に麺皮Waが押し込まれることにより、麺皮Waの偏りが生じることを防止することができる。なお、麺皮Waが架け渡された支持部材20の先端20aから麺皮Waが切断されて離脱するタイミングも、麺皮Waの両端間で同じとなる(図6(a)参照)。
【0035】
そして、さらに具材供給ノズル30を下降させることによって、切断された麺皮Waの上表面を押し下げ、麺皮Waをガイド部材5のガイド孔50を通過させる際に予備成形して成形用穴40に供給し、その中に、具材供給ノズル30の先端部30aから具材Wbを供給して、充填する(図6(b)参照)。
この場合、ガイド部材5を、麺皮Waを支持した状態で上昇位置P1から下降位置P2まで、具材供給ノズル30と共に下降するようにすることにより、麺皮Waが拘束されずに成形用穴40まで下降する距離を小さくすることができ、麺皮Waを成形用穴40に確実かつ安定して供給することができる。
【0036】
その後、具材供給ノズル30と麺皮接触保持部材10の接触部材11とを上昇させ、図5(a)に示す状態に復帰させるとともに、成形用穴40を備えたターンテーブルTを間欠的に回転させることによって、成形位置で、成形用穴40から延出している麺皮Waによって具材Wbを包み込み、送出位置で、成形用穴40から押し上げられた成形されたシューマイを次工程に送り出すようにする。
【0037】
このように、接続部Wjを含む上流側の麺皮Wa2と支持部材20’の切欠部bを含む先端20aとの付着が切れることを防止しながら、麺皮Waが支持部材20間に架け渡された状態で麺皮支持移送手段2を駆動し、隣接する支持部材20間の先端20a側の間隔が狭まる、具材供給手段3の具材供給ノズル30と成形用穴40との間に位置させるようにし、上記工程を繰り返すことによって、シューマイを連続して成形するようにする。
【0038】
以上、本発明のシューマイ成形装置について、その実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明のシューマイ成形装置は、支持部材間に架け渡された麺皮が、支持部材から離脱することを防止することができることから、各種シューマイを成形するシューマイ成形装置に用途に広く用いることができる。
【符号の説明】
【0040】
1 シューマイ成形装置
10 麺皮接触保持部材
11 接触部材
12 昇降機構
13 麺皮刺衝保持部材
13a 尖頭部
2 麺皮支持移送手段
20 支持部材
20' 支持部材
20a 先端
20b 基端
21 循環駆動部材
22 取付部材
3 具材供給手段
30 具材供給ノズル
30a 先端部
4 成形手段
40 成形用穴
41 底面構成部材
60 押圧手段
61 押切手段
b 切欠部
Wa 麺皮
Wa1 麺皮
Wa2 麺皮
Wj 接続部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平行に配設した無端状の循環駆動部材間に複数の板状で先端に間隔をあけて切欠部を形成した支持部材の基端側を等間隔に架け渡してなる麺皮支持移送手段と、該麺皮支持移送手段の支持部材の先端に支持部材間に架け渡すように麺皮を供給する麺皮供給手段と、麺皮支持移送手段の支持部材の先端位置で麺皮を前記切欠部に残存するように押し切る押切手段と、支持部材間に架け渡された麺皮の上方から下降するように昇降可能に設けられた具材を供給する具材供給ノズルを有する具材供給手段と、下降した具材供給ノズルの先端部が挿入されることによって麺皮及び具材が充填される成形用穴を有する成形手段とを備えたシューマイ成形装置において、前記具材供給手段の具材供給ノズルの下方位置で麺皮を架け渡す支持部材の最上流側の支持部材の位置に、支持部材の切欠部に残存する接続部を含む麺皮の表面に接触し、該麺皮を支持部材との間で保持する麺皮接触保持部材を配設したことを特徴とするシューマイ成形装置。
【請求項2】
前記麺皮接触保持部材を、昇降可能に配設したことを特徴とする請求項1記載のシューマイ成形装置。
【請求項3】
前記各支持部材の上流側の面に沿って、支持部材間に架け渡された麺皮を、該麺皮が突き刺さることにより保持する複数の尖頭部を間隔をあけて備えた麺皮刺衝保持部材を配設したことを特徴とする請求項1又は2記載のシューマイ成形装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−175956(P2012−175956A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−41925(P2011−41925)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000229047)日本スピンドル製造株式会社 (328)
【Fターム(参考)】