説明

ショーケース内温度制御方法

【課題】冷蔵冷凍ショーケースに接続された共用の冷却機の稼働に必要な消費電力を節約することのできるショーケース内温度制御方法を提供すること。
【解決手段】
共用の冷却機からの冷媒の供給により冷却される複数台の冷蔵冷凍ショーケースのケース内温度が取りうる制御温度範囲を、前記商品の品質を維持できるものとして経験的及び/又は統計的に得られる範囲であって可及的に広い範囲に設定した。従って、一度、ショーケース内を冷却すると、ケース内温度が上限温度付近まで上昇するまでの時間が従来よりも長くなるので、全てのショーケースに対して同時に冷却を行わない時間が生じる率を増加させることができ、ショーケース内の冷却の停止、すなわち、冷却機による冷媒の供給を停止することのできる時間を増加させることができる。これによって、冷却機の稼働時間を減少させることができ、電力を削減することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンビニエンスストアやスーパーマーケット等の食品販売を行う店舗に設置され、共用の冷却機によって冷却される冷蔵冷凍ショーケース型の冷蔵庫又は冷凍庫の庫内温度の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、コンビニエンスストアやスーパーマーケット等の食品販売を行う店舗では、例えば、青果、卵、ペットボトル、缶飲料、冷食などの各種商品が、冷蔵冷凍ショーケース内に陳列して販売されている。このような冷蔵冷凍ショーケースは、一般的に、冷却用のコンプレッサを有する共用の冷却機に複数接続され、その共用の冷却機によって冷却される。このような冷蔵冷凍ショーケースの冷却機による温度制御に関しては、特許文献1等の多くの文献に記載されている。
【0003】
特許文献1等に記載された従来の冷蔵冷凍ショーケースでは、複数の冷蔵冷凍ショーケースがそれぞれに対応して設置され所定の制御部によって制御される電磁弁の開閉によって冷媒の供給と停止が切り替えられるようになっており、全ての冷蔵冷凍ショーケースの電磁弁が閉塞されると、冷凍機が停止するように制御されている。すなわち、全ての冷蔵冷凍ショーケースの冷却を行っていない時間帯のみ冷却機を停止することができる。
【0004】
上述の冷蔵冷凍ショーケースに陳列される各種商品においては、商品の保存を行うために冷蔵冷凍ショーケースのケース内温度の上限温度と下限温度を当該商品毎に設定し、ケース内温度が上限温度と下限温度の間として定められる制御温度範囲に収まるように保たれる。
【0005】
従来の大まかなケース内温度の制御の流れとしては、先ず、冷蔵冷凍ショーケースに設置された電磁弁を開放して、冷却機によってショーケースを冷却する。そして、ケース内温度が下限温度付近に到達すると、電磁弁を閉塞して、ショーケースへの冷媒の供給を停止する。そして、冷媒の供給が停止されて冷却が停止されることによってケース内温度が上限温度付近に到達すると、再び電磁弁を開放して冷却を再開する。このようにショーケースを冷却する冷却状態と、冷却を停止する非冷却状態を繰り返すことで、ケース内温度が制御温度範囲に保たれる。
【0006】
基本的に共用の冷却機で冷却される複数の冷蔵冷凍ショーケースは、それぞれに対応する電磁弁の開閉によって、冷却状態と非冷却状態が切り替えられるが、共用の冷却機に接続された全てのショーケースに対応する電磁弁が閉塞されると、電力を節減するために冷却機の稼働自体が停止される。
【0007】
上述の制御温度範囲としては、商品毎に定められた所定期間、すなわち、賞味期限の間、その商品の品質を確実に保持できるように、その商品の保存に実際に必要な温度よりも低い温度で設定されている。例えば、青果であれば、12〜13℃で保存しても問題がないにもかかわらず、制御温度範囲が9℃〜10℃に定められている。
【0008】
【特許文献1】特開2005−127545号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述のように、従来のケース内温度は、商品の安全を確実に守るために必要以上に低く設定されている。しかし、このように上限温度を低く設定することによって、上述の制御温度範囲が非常に狭い範囲となってしまい、一度ケース内を下限値付近までも冷却しても、冷却を停止するとケース内温度がすぐに上限温度に到達してしまうので、各冷蔵冷凍ショーケース内の冷却状態と非冷却状態を頻繁に切り替える必要があった。
【0010】
従って、各ショーケースに設置された電磁弁がそれぞれ頻繁に開閉されているので全ての電磁弁が同時に閉塞される率が低くなるので、冷却機の稼働を停止することのできる時間が少なく、非常に大量の電力を消耗するという問題があった。
【0011】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、冷蔵冷凍ショーケース内を冷却する共用の冷却機の稼働を停止できる時間を増加させ、その冷却機の稼働に必要な消費電力を節約することのできるショーケース内温度制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、共用の冷却機からの冷媒の供給により冷却される複数台の冷蔵冷凍ショーケースのケース内温度が、該冷蔵冷凍ショーケース内商品の品質を所定期間維持するための上限温度と下限温度の間の制御温度範囲内に収まるように制御するショーケース内温度制御方法において、前記制御温度範囲は、前記商品の品質を維持できるものとして経験的及び/又は統計的に得られる範囲であって可及的に広い範囲に設定されたことを特徴とする。
【0013】
これにより、商品の品質の維持に支障がない程度に可及的に広げられた制御温度範囲が採用されることとなる。従って、一度、冷蔵冷凍ショーケース内を冷却すると、ケース内温度が上限温度付近まで上昇するまでの時間が従来よりも長くなるので、全ての冷蔵冷凍ショーケースに対して同時に冷却を行わない時間が生じる率を増加させることができ、冷蔵冷凍ショーケース内の冷却の停止、すなわち、冷却機による冷媒の供給を停止することのできる時間を増加させることができる。これによって、冷却機の稼働時間を減少させることができ、電力を削減することができる。
【0014】
請求項2に記載の発明は、共用の冷却機からの冷媒の供給により冷却される複数台の冷蔵冷凍ショーケースのケース内温度が、該冷蔵冷凍ショーケース内商品の品質を所定期間維持するための上限温度と下限温度の間の制御温度範囲内に収まるように制御するショーケース内温度制御方法において、前記上限温度は、前記商品の品質を維持できるものとして経験的及び/又は統計的に得られる温度であって可及的に高い温度に設定されたことを特徴とする。
【0015】
これによれば、商品の品質が損なわれることのないほぼ限界の上限温度が採用されたので、本発明の制御温度範囲は、従来の制御温度範囲と比較して、大気温度に近い範囲に分布することになる。従って、ショーケース内を冷却するための冷熱量を低減することができるので、冷却機の稼働に使用される電力を削減することができる。
【0016】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のショーケース内温度制御方法において、前記下限温度は、前記商品の品質を維持できるものとして経験的及び/又は統計的に得られる温度であって可及的に高い温度に設定されたことを特徴とする。
【0017】
これによれば、商品の品質が損なわれることのないほぼ限界の下限温度が採用されたので、制御温度範囲全体が大気温度により近い範囲に分布することとなる。従って、ショーケース内を冷却するための冷熱量をより確実に低減することができる。
【0018】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のショーケース内制御方法において、前記下限温度は、前記制御温度範囲が可及的に広い範囲となるように設定されたことを特徴とする。
【0019】
これにより、制御温度範囲全体を従来よりも広げることができ、大気温度に近い範囲に分布させることができる。従って、冷却機による冷媒の供給を停止できる時間を増加させ、冷却のための冷熱量を低減させることができるので、電力を削減することができる。
【0020】
また、制御温度範囲全体が大気温度に近いことにより、ケース内温度の温度上昇速度が従来よりも遅い。従って、ケース内温度を一度下限温度付近まで冷却すると、上限温度付近まで上昇するまでの時間、すなわち、そのショーケース内の冷却を行う必要のない時間を増加させることができる。これにより全てのショーケースが同時に冷却を必要としない時間が発生する率を増加させることができる。すなわち、冷却機を停止させることのできる時間を増加させることができる。
【0021】
請求項5に記載の発明は、請求項3又は4に記載のショーケース内温度制御方法において、前記各冷蔵冷凍ショーケースには、前記冷却機からの冷媒の供給と供給停止とを切り替えてケース内温度を制御する切替え制御部がそれぞれ設けられ、前記切替え制御部は、対応する冷蔵冷凍ショーケースのケース内温度が前記下限温度となったときに、前記冷媒の供給を停止し、該冷媒の供給停止後、前記ケース内温度が上限温度となったときに、前記冷媒の供給を開始し、前記全ての冷蔵冷凍ショーケースの切替え制御部が同時に前記供給停止状態となったときに前記冷却機の稼働を停止することを特徴とする。
【0022】
上述の請求項2の発明によれば、制御温度範囲全体が大気温度に近づいたことによって、ケース内温度が下限温度から上限温度に到達するまでの時間も長くなり、冷媒の供給を停止している時間も長くなるので、全ての冷蔵冷凍ショーケースに対して冷媒の供給を停止する共通の時間が増加する。
【0023】
また、上述の請求項3の発明によれば、制御温度範囲全体が大気温度に近い範囲に分布しているので、ケース内温度が下限温度に到達するまで冷蔵冷凍ショーケースに供給する冷媒の量を少なくすることができるので、冷却機の稼働に使用する電力量を低減することができる。
【0024】
そして、本発明によれば、全ての冷蔵冷凍ショーケースに対して冷媒の供給が停止されると冷却機の稼働も停止されるので、冷却機の稼働自体を停止させることのできる時間を増加させることができる。これにより、冷却機の稼働に使用する電力を削減することができる。
【0025】
請求項6に記載の発明は、請求項3〜5の何れか1項に記載のショーケース内温度制御方法において、前記1つの冷却機によって冷却される前記複数の冷蔵冷凍ショーケースは、少なくとも一部重複する前記制御温度範囲を有し、前記複数の冷蔵冷凍ショーケースの前記制御温度範囲の前記下限温度の内で一番高い最大下限温度と、前記上限温度の内で一番低い最小上限温度値を基準温度として設定し、前記冷却機による冷却で前記冷蔵冷凍ショーケースの前記ケース内温度が全て該冷蔵冷凍ショーケース毎に対応する前記制御温度範囲内に収まった状態になった後に開始され、前記冷却によって前記各冷蔵冷凍ショーケース内の少なくとも1台のケース内温度が、前記最大下限温度まで降下したとき、前記冷却機の稼働を停止し、前記冷却の停止によって前記複数の冷蔵冷凍ショーケースの内の少なくとも1台のケース内温度が、前記最小上限温度まで上昇したとき、前記冷却機を稼働させ冷媒の供給を開始することを特徴とする。
【0026】
これにより、冷媒を供給する時間帯と冷媒の供給を停止する時間帯とが全ての冷蔵冷凍ショーケースで確実に共通することとなる。すなわち、例えば、1台の冷蔵冷凍ショーケースに対してのみ冷却が必要であるために冷却機を稼働させておかなければならないという状況が発生しなくなる。従って、冷却機の稼働割合を低減させることができ、消費電力を削減することができる。
【0027】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載のショーケース内温度制御方法において、前記冷却機の稼働の停止は、前記冷却によって前記各冷蔵冷凍ショーケース内の少なくとも1台のケース内温度が、前記最大下限温度まで降下したときではなく、前記下限温度が前記最大下限温度に設定されている冷蔵冷凍ショーケース自体のケース内温度が前記最大下限温度まで降下した時にのみ、その稼働が停止され、前記上限温度が前記最小上限温度に設定されている冷蔵冷凍ショーケース自体のケース内温度が前記最小上限温度まで上昇した時にのみ、その稼働が開始されることを特徴とする。
【0028】
これにより、請求項5の構成の場合とおなじく、冷媒を供給する時間帯と冷媒の供給を停止する時間帯とが全ての冷蔵冷凍ショーケースで確実に共通することとなる。すなわち、例えば、1台の冷蔵冷凍ショーケースに対してのみ冷却が必要であるために冷却機を稼働させておかなければならないという状況が発生しなくなる。従って、冷却機の稼働割合を低減させることができ、消費電力を削減することができる。
【0029】
請求項8に記載の発明は、請求項7の何れか1項に記載のショーケース内温度制御方法において、前記上限温度及び下限温度の設定は、前記商品毎の熱容量を加味して行われ、該熱容量は、前記商品が収納されている包装体の熱容量を含めたものであることを特徴とする。
【0030】
熱容量が高い商品は、与えられる熱エネルギに対する商品温度の変化が小さい。すなわち、商品自体の保温効果が高いので、熱容量が高くない商品に比べてケース内温度の変化に対する耐性が高くなる。従って、上限温度及び下限温度を、ケース内温度が取り得る値である制御温度範囲が広くなるように設定することができ、冷却機による冷媒の供給を停止できる時間を増加させ、冷却のための冷熱量を低減させることができるので、電力を削減することができる。
【0031】
また、ペットボトル等の熱容量の大きな包装体に収容された商品本体では、外部から熱エネルギを与えても、この包装体によって多くの熱エネルギが奪われる。従って、熱容量の高い包装体に収納された商品本体は、そのような包装体に収納されていない商品と比べ、実際に外部からうける熱エネルギが少なくなる。従って、外気の温度変化に対する商品本体の品質の耐性が高くなるので、上限温度及び下限温度を、ケース内温度が取り得る値である制御温度範囲が広くなるように設定することができ、冷却機による冷媒の供給を停止できる時間を増加させ、冷却のための冷熱量を低減させることができるので、電力を削減することができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明に係るショーケース内温度制御方法によれば、商品の品質の維持に支障がない程度に可及的に広げられた制御温度範囲が採用されることとなる。従って、一度、冷蔵冷凍ショーケース内を冷却すると、ケース内温度が上限温度付近まで上昇するまでの時間が従来よりも長くなるので、全ての冷蔵冷凍ショーケースに対して同時に冷却を行わない時間が生じる率を増加させることができ、冷蔵冷凍ショーケース内の冷却の停止、すなわち、冷却機による冷媒の供給を停止することのできる時間を増加させることができる。また、商品の品質が損なわれることのないほぼ限界の上限温度が採用されたので、本発明の制御温度範囲は、従来の制御温度範囲と比較して、大気温度に近い範囲に分布することになる。従って、冷却機の稼働時間を減少させることができ、電力を削減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
(第1の実施の形態)
以下、本発明にかかる第1の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0034】
図1は、本実施の形態のショーケース内温度制御方法を実施するための店舗内の各機器の構成を示す説明図である。図示のように、店舗内には、商品が陳列される冷蔵冷凍ショーケース10、12、14と、この冷蔵冷凍ショーケース10、12、14に冷媒を供給することで各ショーケースケース内の冷却を行う共用の冷却機16と、パーソナルコンピュータ等で構成され冷蔵冷凍ショーケース10、12、14のケース内温度に関わる制御を行う制御部18と、が設置されている。
【0035】
冷蔵冷凍ショーケース10、12、14は、その内部に陳列される商品を、図示しないエバポレータによって冷却機16から供給される冷媒を気化させることで冷却し保存するものである。そして、この冷蔵冷凍ショーケース10、12、14には、ケース内温度を測定する温度センサ10a、12a、14aがそれぞれ設けられている。この温度センサ10a、12a、14aによる温度の測定値は、リアルタイムで制御部18に送信される。
【0036】
冷蔵冷凍ショーケース10、12、14には、冷却保存を必要とする商品が種類毎に陳列され保存されている。例えば、冷蔵冷凍ショーケース10に卵が陳列され、冷蔵冷凍ショーケース12に青果が陳列され、冷蔵冷凍ショーケース14にペットボトル入りの飲料が収容される。
【0037】
また、冷蔵冷凍ショーケース10、12、14には、それぞれ、制御部18からの指令により冷却機16からの冷媒の供給の停止と実行を切り替える電磁弁20、22、24が設置されている。
【0038】
冷却機16は、図示しないコンプレッサによって冷媒を圧縮し、冷蔵冷凍ショーケース10、12、14に送り供給することで冷蔵冷凍ショーケース10、12、14のショーケース内を冷却する。なお、この冷媒としては、例えば、イソブタンやハイドロフルオロカーボンが用いられる。
【0039】
制御部18は、冷却機16の稼働と停止を切り替えるとともに、電磁弁20、22、24の開閉を温度センサ10a、12a、14aから受信する測定値に基づいて開閉する切り替え制御部として機能する。本実施の形態では、この制御部18は、CPUやMPU等の演算手段、メモリやハードディスク等の記憶手段、LAN等のデータ送受信手段を有するパーソナルコンピュータで構成されている。
【0040】
図2は、制御部18のソフトウェア構成の説明図である。図示のように、制御部18は、メモリやハードディスク等の記憶手段によって実現される上限温度データベース30及び下限温度データベース32と、CPUやMPU等の演算手段により実現される温度値データ抽出手段33、制御信号生成手段34と、LAN等のネットワーク及びUSBやIEEE1394等の入出力インターフェイスで構成されるデータ送受信手段である温度測定値受信手段36、電磁弁開閉信号送信手段38、冷却機稼働・停止信号送信手段40を有している。
【0041】
上限温度データベース30は、冷蔵冷凍ショーケース10、12、14に収容される商品毎の種類毎に、その商品を賞味期間の間維持できるような上限温度を記憶している。
【0042】
この上限温度は、商品毎の腐り易さや色の変化等の性質を考慮して、その商品の賞味期間の間、品質を維持できるものとして経験的及び/又は統計的に得られる温度であって可及的に高い温度である。すなわち、商品の品質を確実に維持しつつ、従来の上限温度よりもできるだけ高く設定されたものである。
【0043】
図3(A)は、従来のケース内温度制御における上限温度と対比して、上限温度データベース30に記録された商品毎の上限温度の一例に対して示した表である。図示のように、従来の上限温度と比較すると、本発明の上限温度が高い温度に設定されていることが容易に理解される。例えば、従来の卵の上限温度は、約6.5℃であったが、本実施の形態においては、11℃に設定されている。
【0044】
下限温度データベース32は、冷蔵冷凍ショーケース10、12、14に収容される商品毎の種類に応じて、冷蔵冷凍ショーケース10、12、14の下限温度を記憶しているものである。
【0045】
本実施の形態では、下限温度データベース32には、冷蔵冷凍ショーケース10、12、14に収容される商品毎の種類に応じて、ケース内温度として許容される最低値となる下限温度を記録しているものである。この下限温度は、商品毎の腐り易さや色の変化等の性質を考慮して、その商品の賞味期間の間、品質を保持できるように定められるものである。本実施の形態では、ケース内の冷却にかかる電力を削減するために、従来の下限温度よりも高い値を採用する。また、本実施の形態における下限温度の採用は、上述の上限温度との間として定義される制御温度範囲が、従来の制御温度範囲よりも広くなるように行われる。
【0046】
図3(B)は、従来のケース内温度制御における下限温度と対比して、下限温度データベース30に記録された商品毎の下限温度の一例を示した表である。図示のように、従来の下限温度と比較すると、本発明の下限温度がやや高い温度値であることが容易に理解される。例えば、従来の卵の下限温度は、約5.5℃であったが、本実施の形態においては、8℃に設定されている。
【0047】
これによって、冷却機16によって冷蔵冷凍ショーケース10、12、14内を下限温度まで冷却する際に必要な冷熱量が従来よりも少なくなるので、冷却機16の稼働のための電力の消費を削減することができる。
【0048】
また、上述のように、本実施の形態の制御温度範囲は、従来の制御温度範囲よりも広くなる。例えば、従来、卵を保存する場合の上限温度は6.5℃で、下限温度は5.5℃であったが、本実施の形態では、上限温度が11℃であり、下限温度が8℃である。従って、従来の制御温度範囲の幅が1℃程度であったのに対して、本実施の形態の制御温度範囲の幅は、3℃となっており、広い範囲に亘っている。
【0049】
そして、後に詳細に説明するが、このように従来よりも制御温度範囲が広くなることによって、冷却機16の稼働時間が短縮され、冷却のための電力を削減することができる。
【0050】
また、上限温度及び下限温度が従来と比較して高い温度に設定されているので、制御温度範囲全体が大気温度に近い範囲に亘ることとなる。これにより、冷蔵冷凍ショーケース10、12、14内の冷却のために必要な冷熱量が少なくなるので、結果的に冷却のための電力を削減することができる。
【0051】
一方、例えば、青果のように、ケース内温度変化に対して、商品温度自体の変化が小さいもの、すなわち、熱容量の大きな商品は、制御温度範囲をより広く設定することができる。青果であれば、上限温度が15℃に設定され、下限温度が、8℃に設定されている。そして、制御温度範囲の幅は、4℃で従来よりも3℃分広くなっている。
【0052】
また、ペットボトル入りの飲料水やプラスチック容器に収容されたお菓子等のように、商品を収納する包装体の熱容量がかなり高い場合は、その包装体が外気の温度変化によって受ける熱エネルギを吸収する。従って、商品本体が受ける熱エネルギは小さく、その温度変化自体も小さくなるので、ケース内の温度変化に対する商品本体の品質の耐性も高くなる。これにより、制御温度範囲を広くすることができる。例えば、図に示されるペットボトル入りの飲料の場合、上限温度が9℃に設定され、下限温度が5℃に設定されている。更に、制御温度範囲の幅は、4℃で従来よりも2℃分広くなっている。
【0053】
温度値データ抽出手段33は、上限温度データベース30と下限温度データベース32から、冷蔵冷凍ショーケース10、12、14毎に対応する上限温度と下限温度のデータを抽出する。
【0054】
制御信号生成手段34は、温度値データ抽出手段33により抽出された上限温度と下限温度のデータに基づいて、温度測定値受信手段36で受信した各温度センサ10a、12a、14aの温度測定値に応じて電磁弁20、22、24を開閉させる開閉信号と冷却機16の稼働状態と・停止状態を切り替える稼働停止切り替え信号を生成する。
【0055】
具体的には、例えば、冷蔵冷凍ショーケース10の温度センサ10aにより温度測定値受信手段36に送信された温度測定値が、冷蔵冷凍ショーケース12に対して定められた上限温度に達した場合に、制御信号生成手段34が、電磁弁20を開放させる信号を生成する。また、電磁弁20の開放後、温度測定値が下限温度に達した場合には、電磁弁20を閉塞させる信号を生成する。
【0056】
更に、電磁弁20、22、24を閉塞する信号を全て生成すると、冷却機16の稼働を停止する冷却機停止信号を生成し、その後、上述の温度測定値の上昇によって電磁弁20、22、24の何れかを開放すると、冷却機16を再び稼働させる冷却機稼働信号を生成する。
【0057】
温度測定値受信手段36は、温度センサ10a、12a、14aで測定される冷蔵冷凍ショーケース10、12、14の温度を例えば無線で温度センサ10a、12a、14aから受信する。なお、本実施の形態の温度測定値受信手段36は、温度センサ10a、12a、14aで常に測定されているケース内温度をリアルタイムで受信する。
【0058】
電磁弁開閉信号送信手段38は、制御信号生成手段34で生成された開閉信号を電磁弁20、22、24に送信する。冷却機稼働・停止信号送信手段40は、制御信号生成手段34によって生成された冷却機稼働信号と冷却停止信号を冷凍機11に送信する。
【0059】
以下、本実施の形態のショーケース内温度制御方法における各電磁弁20、22、24の開閉状態と、冷却機16の稼働状態について説明する。
【0060】
図4は、本実施の形態の各冷蔵冷凍ショーケース10、12、14に対して冷却を行っている冷却時間帯と、冷却を行っていない非冷却時間帯を示す説明図である。
【0061】
図示のように、本実施の形態のショーケース内温度制御方法が開始されると、各冷蔵冷凍ショーケース10、12、14、例えば、冷蔵冷凍ショーケース10、12、14の電磁弁20、22、24が開放され、冷却機16によって、各ショーケース10、12、14のケース内温度が大気温度程度であった状態からそれぞれの下限温度に到達するまで冷却される。なお、図では、冷蔵冷凍ショーケース10、12、14が下限温度まで冷却された時点が、A1、B1、C1でそれぞれ表されている。
【0062】
具体的には、この制御開始時の冷却で、各冷蔵冷凍ショーケース10、12、14のケース内温度は、大気温度と同等程度の状態(例えば、18℃程度)から、冷蔵冷凍ショーケース10のケース内温度が下限温度の8℃、冷蔵冷凍ショーケース12のケース内温度が下限温度の11℃、冷蔵冷凍ショーケース14のケース内温度が下限温度の5℃に低下される。
【0063】
そして、例えば、冷蔵冷凍ショーケース10では、上述のように、ケース内温度が下限温度(図のA2)となると、電磁弁20が閉塞されて非冷却時間帯に突入する。そして、この非冷却時間帯において、冷蔵冷凍ショーケース10のケース内温度が上限温度である11℃まで到達する(図のA3)と、再び電磁弁20が開放され冷却時間帯に突入する。
【0064】
以後、この冷却時間帯と非冷却時間帯を繰り返すことによって、冷蔵冷凍ショーケース10のケース内温度の制御が行われる。なお、冷蔵冷凍ショーケース12、14に関しても、それぞれ上限温度と下限温度が冷蔵冷凍ショーケース10と異なってはいるが、同様の制御が行われる。
【0065】
ここで、図に破線の長方形で囲まれた領域内の時間帯は、冷蔵冷凍ショーケース10、12、14の電磁弁20、22、24が全て閉塞される、すなわち、全ての冷蔵冷凍ショーケース10、12、14の冷却が停止される共通非冷却時間帯である。従って、この共通非冷却時間帯において上述のように冷却機16の稼働が停止され、電力の削減が行われる。本実施の形態においても従来のショーケース内温度制御方法と同様に、全ての冷蔵冷凍ショーケース10、12、14の電磁弁20、22、24が閉塞されている時間帯のみ冷却機16の稼働を停止することができる。
【0066】
そして、冷蔵冷凍ショーケース10、12、14の内、いずれかの冷却が再開される、すなわち、電磁弁20、22、24の何れかが開放されると、冷却機16が再び稼働を始める。
【0067】
図5は、本実施の形態の各商品と同じ商品において従来のショーケース内温度制御方法を適用した場合の各冷蔵冷凍ショーケースの冷却時間帯と冷却停止時間帯の関係を示す説明図である。図示のように、従来のショーケース内温度制御方法においては、各冷蔵冷凍ショーケースの制御温度範囲が狭いため、電磁弁20、22、24の開閉が頻繁に行われ、冷却機16を停止できる共通非冷却時間帯の数(破線の長方形で囲まれた領域の数)も多いので、冷却機16が頻繁に稼働と停止を繰り返すこととなってしまう。従って、電力の消費効率が著しく低かった。また、上述のように、冷却機16を停止できる共通非冷却時間帯は自体の数は、多いものの、その間隔は狭く、冷却機16の稼働時間による電力の消費も大きかった。
【0068】
本実施の形態のショーケース内温度制御方法では、図4、図5を比較することで理解されるように、冷蔵冷凍ショーケース10、12、14の制御温度範囲が従来よりも広がっている。従って、一度、冷蔵冷凍ショーケース10、12、14内を冷却すると、各ショーケース10、12、14ともケース内温度が上限温度付近まで上昇するまでの時間が従来よりも長くなるので、全体として、冷蔵冷凍ショーケース10、12、14内の冷却の停止、すなわち、冷却機16による冷媒の供給を停止することのできる時間を増加させることができる。これによって、冷却機の稼働時間を減少させることができ、電力を削減することができる。
【0069】
また、本実施の形態では、商品の品質が損なわれることのないほぼ限界の上限温度及び下限温度が採用されたので、制御温度範囲が大気温度に近い範囲に確実に分布することになる。従って、ショーケース10、12、14内を冷却するための冷熱量が従来と比較して低減する。これにより、冷却機16に使用される電力が従来よりも少なくなるので、冷却機16の稼働のための電力量を節減することができる。
【0070】
更に、制御温度範囲全体が大気温度に近いことにより、ケース内温度の温度上昇速度が従来よりも遅い。従って、ケース内温度を一度下限温度付近まで冷却すると、上限温度付近まで上昇するまでの時間、すなわち、電磁弁を閉塞する時間を増加させることができる。これにより全てのショーケース10、12、14が同時に冷却を必要としない時間、すなわち、全ての電磁弁20、22、24を閉塞して冷却機16を停止させることのできる時間を増加させることができる。
【0071】
更に、本実施の形態では、電磁弁20、22、24の開閉頻度も小さくなっている。従って、全ての電磁弁20、22、24が同時に閉塞される共通の非冷却時間帯の数が少なくなり、冷却機16の稼働と停止の切り替えも少なくなる。これによって、電磁弁20、22、24が全て閉塞されている状態、すなわち、冷却機16の稼働が停止されている状態と、少なくとも1つの電磁弁20、22、24が開放されている状態、すなわち、冷却機16の稼働が停止している状態と、の切り替えの頻度が低下するので、冷却機16を始動させる回数も減り、冷却機の始動に費やされる電力を削減することができる。
【0072】
(第2の実施の形態)
以下、第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同様の要素には、同一の符号を付し、その説明を省略する。本実施の形態では、説明の簡略化のため、制御の開始時における冷蔵冷凍ショーケース10、12、14のケース内温度が全て大気温度とほぼ同じ温度(例えば10℃)であるものとする。
【0073】
図6には、本実施の形態で冷蔵冷凍ショーケース10、12、14にそれぞれ収容されている干物、精肉、納豆の制御温度範囲を示す。図示のように、干物の制御温度範囲が−0.5℃(下限温度)〜2.0℃(上限温度)であり、精肉の制御温度範囲が−1.0℃〜1.0℃であり、納豆の制御温度範囲が−1.5℃〜4.0℃である。
【0074】
このように本実施の形態においては、干物、精肉、納豆が収容された各ショーケース10、12、14に対応する制御温度範囲は、一部重複する温度範囲(−1.5〜1.0℃)を有している。
【0075】
以下、本実施の形態のショーケース内温度制御方法の流れについて説明する。図7は、本実施の形態のショーケース内温度制御における各冷蔵冷凍ショーケース10、12、14の制御温度範囲を示す図である。
【0076】
先ず、電磁弁20、22、24を開放させた状態で冷却機16を稼働させ、冷蔵冷凍ショーケース10、12、14のケース内温度が全て、それぞれに対応して定められた制御温度範囲に収まると、本実施の形態のショーケース内温度制御が実行される。本実施の形態では、各ショーケース10、12、14とも初期のケース内温度は、約10℃程度であり、冷却機16によってほぼ一様に冷却されるので、ショーケース10、12、14間の温度差は、ほぼ生じない。従って、全ての冷蔵冷凍ショーケース10、12、14が、各上限温度の中の最低値、すなわち、最小上限温度である1.5℃を下回った段階で、上記ショーケース内温度制御が開始される。
【0077】
先ず、ショーケース内温度制御方法の実行が開始されると、各冷蔵冷凍ショーケース10、12、14の何れかのケース内温度が、冷蔵冷凍ショーケース10に対応して定められた下限温度(以下、最大下限温度)となるまで、引き続いて冷却される。なお、上述の最小上限温度及び最大下限温度は、図の破線で示されている。
【0078】
また、本実施の形態では、各冷蔵冷凍ショーケース10、12、14のケース内温度は、ほぼ同程度の値であるので、ほぼ同時に最大下限温度である−1.5℃に到達するが、例えば、各冷蔵冷凍ショーケース10、12、14の温度にある程度のずれが生じている場合(制御開始前の初期温度が異なる等)には、冷蔵冷凍ショーケース10、12、14の何れか1台が上記最大下限温度に到達するまで冷却が行われる。
【0079】
そして、冷蔵冷凍ショーケース10、12、14の何れかのケース内温度が、最大下限温度に到達すると、電磁弁20、22、24がほぼ同時に閉塞されて、冷却機16の稼働が停止される。
【0080】
冷却機16の稼働が停止されたことによって、冷蔵冷凍ショーケース10、12、14のケース内温度は、冷蔵冷凍ショーケース14に対応して定められた上限温度(最小上限温度)に到達するまで昇温する。
【0081】
なお、本実施の形態では、最大下限温度の場合と同様に、各冷蔵冷凍ショーケース10、12、14のケース内温度がほぼ同時に最小上限温度である1.5℃に到達するが、各冷蔵冷凍ショーケース10、12、14の温度にある程度のずれが生じている場合には、冷蔵冷凍ショーケースの何れか1台が上記最小上限温度に到達するまで、冷却機16の稼働を停止した状態で各冷蔵冷凍ショーケース10、12、14のケース内温度を昇温させる。
【0082】
上述のように、本実施の形態では、冷蔵冷凍ショーケース10、12、14の内の少なくとも1台が最大下限温度に達すると、電磁弁20、22、24を全て閉塞して冷却機16の稼働を停止し、冷蔵冷凍ショーケース10、12、14の内の少なくとも1台が最小上限温度に達すると、電磁弁20、22、24を全て開放して冷却機16を稼働させる。すなわち、冷蔵冷凍ショーケース10、12、14の制御温度範囲が最小上限温度及び最大下限温度を示す2つの破線に挟まれる範囲となる。
【0083】
これによって、冷媒を供給する時間帯と冷媒の供給を停止する時間帯とが全ての冷蔵冷凍ショーケース10、12、14で確実に共通することとなる。すなわち、例えば、1台の冷蔵冷凍ショーケース10のみに対して冷却が必要であるために冷却機16を稼働させておかなければならないという状況が発生しなくなる。従って、冷却機16の稼働割合を低減させることができ、消費電力を削減することができる。
【0084】
図8は、本実施の形態の各冷蔵冷凍ショーケースの冷却時間帯と非冷却時間帯を示す図である。図示のように、破線の長方形で囲まれた領域で示す冷却機16の稼働を停止できる時間帯が、第1の実施の形態(図4参照)と比較しても増加していることが容易に理解される。
【0085】
なお、本実施の形態では、各冷蔵冷凍ショーケース10、12、14の内の少なくとも1台のケース内温度が、最大下限温度まで降下したとき、冷却機16の稼働を停止し、冷却の停止によって冷蔵冷凍ショーケース10、12、14の内の少なくとも1台のケース内温度が、最小上限温度まで上昇したとき、冷却機16の冷媒供給を開始するようにしたが、例えば、下限温度として上述の最大下限温度(0.5℃)が設定されている冷蔵冷凍ショーケース10のケース内温度が、当該最大下限温度に到達した場合にのみ、冷却機16の稼働を停止し、一方、冷却の停止後、上限温度として上述の最小上限温度(1.5℃)が設定されている冷蔵冷凍ショーケース14のケース内温度が、当該最小上限温度に到達した場合にのみ、冷却機16を稼働させるようにしても良い。
【0086】
なお、本発明は、上記実施の形態に限られるものではなく、発明の要旨の範囲内で種々の変更が可能である。例えば、図3(A)、(B)に示した本実施の形態の上限温度及び下限温度の具体的な値は、これに限られるものではなく、その上限温度及び下限温度によって定まる制御温度範囲が、商品の賞味期限中の品質を保持するこができ従来の制御温度範囲よりも広い範囲に亘るという条件を満たすならば、他の種々の値を用いることができる。
【0087】
また、上記実施の形態では、冷却16に対して設置される冷蔵冷凍ショーケースが3台の場合について説明したが、冷蔵冷凍ショーケースの数は、これに限られるものではなく、2台又は、4台以上の場合であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本実施の形態のショーケース内温度制御方法を実施するための機器の構成を示す図である。
【図2】第1の実施の形態の制御部の構成を示す図である。
【図3】第1の実施の形態の上限温度と従来の上限温度の比較、及び第1の実施の形態の下限温度と従来の下限温度の比較を示す表である。
【図4】第1の実施の形態の各冷蔵冷凍ショーケースの冷却時間帯と非冷却時間帯を示す図である。
【図5】従来の各冷蔵冷凍ショーケースの冷却時間帯と非冷却時間帯を示す図である。
【図6】第2の実施の形態の各冷蔵冷凍ショーケースの制御温度範囲を示す表である。
【図7】第2の実施の形態におけるショーケース内温度制御における各冷蔵冷凍ショーケースの制御温度範囲を示す図である。
【図8】第2の実施の形態における各冷蔵冷凍ショーケースの冷却時間帯と非冷却時間帯を示す図である。
【符号の説明】
【0089】
10 冷蔵冷凍ショーケース
12 冷蔵冷凍ショーケース
14 冷蔵冷凍ショーケース
16 冷却機
18 制御部(切り替え制御部)
20 電磁弁(切り替え制御部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
共用の冷却機からの冷媒の供給により冷却される複数台の冷蔵冷凍ショーケースのケース内温度が、該冷蔵冷凍ショーケース内商品の品質を所定期間維持するための上限温度と下限温度の間の制御温度範囲内に収まるように制御するショーケース内温度制御方法において、
前記制御温度範囲は、
前記商品の品質を維持できるものとして経験的及び/又は統計的に得られる範囲であって可及的に広い範囲に設定されたことを特徴とするショーケース内温度制御方法。
【請求項2】
共用の冷却機からの冷媒の供給により冷却される複数台の冷蔵冷凍ショーケースのケース内温度が、該冷蔵冷凍ショーケース内商品の品質を所定期間維持するための上限温度と下限温度の間の制御温度範囲内に収まるように制御するショーケース内温度制御方法において、
前記上限温度は、
前記商品の品質を維持できるものとして経験的及び/又は統計的に得られる温度であって可及的に高い温度に設定されたことを特徴とするショーケース内温度制御方法。
【請求項3】
前記下限温度は、
前記商品の品質を維持できるものとして経験的及び/又は統計的に得られる温度であって可及的に高い温度に設定されたことを特徴とする請求項2に記載のショーケース内温度制御方法。
【請求項4】
前記下限温度は、
前記制御温度範囲が可及的に広い範囲となるように設定されたことを特徴とする請求項3に記載のショーケース内制御方法。
【請求項5】
前記各冷蔵冷凍ショーケースには、前記冷却機からの冷媒の供給と供給停止とを切り替えてケース内温度を制御する切替え制御部がそれぞれ設けられ、
前記切替え制御部は、対応する冷蔵冷凍ショーケースのケース内温度が前記下限温度となったときに、前記冷媒の供給を停止し、
該冷媒の供給停止後、前記ケース内温度が上限温度となったときに、前記冷媒の供給を開始し、
前記全ての冷蔵冷凍ショーケースの切替え制御部が同時に前記供給停止状態となったときに前記冷却機の稼働を停止することを特徴とする請求項2〜4の何れか1項に記載のショーケース内温度制御方法。
【請求項6】
前記1つの冷却機によって冷却される前記複数の冷蔵冷凍ショーケースは、少なくとも一部重複する前記制御温度範囲を有し、
前記複数の冷蔵冷凍ショーケースの前記制御温度範囲の前記下限温度の内で一番高い最大下限温度と、前記上限温度の内で一番低い最小上限温度値を基準温度として設定し、
前記冷却機による冷却で前記冷蔵冷凍ショーケースの前記ケース内温度が全て該冷蔵冷凍ショーケース毎に対応する前記制御温度範囲内に収まった状態になった後に開始され、
前記冷却によって前記各冷蔵冷凍ショーケース内の少なくとも1台のケース内温度が、前記最大下限温度まで降下したとき、前記冷却機の稼働を停止し、
前記冷却の停止によって前記複数の冷蔵冷凍ショーケースの内の少なくとも1台のケース内温度が、前記最小上限温度まで上昇したとき、前記冷却機を稼働させ冷媒の供給を開始することを特徴とする請求項3〜5の何れか1項に記載のショーケース内温度制御方法。
【請求項7】
前記冷却機の稼働の停止は、
前記冷却によって前記各冷蔵冷凍ショーケース内の少なくとも1台のケース内温度が、前記最大下限温度まで降下したときではなく、
前記下限温度が前記最大下限温度に設定されている冷蔵冷凍ショーケース自体のケース内温度が前記最大下限温度まで降下した時にのみ、その稼働が停止され、
前記上限温度が前記最小上限温度に設定されている冷蔵冷凍ショーケース自体のケース内温度が前記最小上限温度まで上昇した時にのみ、その稼働が開始されることを特徴とする請求項6に記載のショーケース内温度制御方法。
【請求項8】
前記上限温度及び下限温度の設定は、前記商品毎の熱容量を加味して行われ、
該熱容量は、前記商品が収納されている包装体の熱容量を含めたものであることを特徴とする請求項2〜7の何れか1項に記載のショーケース内温度制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−302004(P2008−302004A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−151666(P2007−151666)
【出願日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【出願人】(507187938)
【出願人】(507187949)
【出願人】(507189585)
【出願人】(507187950)
【Fターム(参考)】