説明

シラングラフトオレフィンポリマー、それらから調製される組成物および物品、ならびにそれらの製造方法

【課題】シラングラフトポリオレフィンポリマーを含有する組成物、それらから調製される有用な接着剤配合物の調製、他の用途および物品ならびにそれらの製造方法を提供する。
【解決手段】少なくとも1種のシラングラフトエチレン/α−オレフィンポリマーを含有する組成物、およびそれらを含有する接着剤。前記少なくとも1種のシラングラフトエチレン/α−オレフィンポリマーは、1から3.5の分子量分布を有するエチレン/α−オレフィンポリマーから形成され、エチレン/α−オレフィンポリマーを少なくとも1種のシラン化合物および少なくとも1種の開始剤と反応させることにより調製する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(先行出願の参照)
本出願は、2005年7月11日出願の米国特許仮出願第60/698,183号の利
益を主張するものであり、その全体が参照により本出願に組み込まれる。
【0002】
本発明は、シラングラフト(または「シラン化」)ポリオレフィンポリマー、特に、3
50°Fで50,000cP未満の溶融粘度を有するシラングラフトエチレン/α−オレ
フィンポリマーを含有する組成物、それらから調製される有用な接着剤配合物の調製、他
の用途および物品ならびにそれらの製造方法に関する。前記シラングラフトエチレン/α
−オレフィンポリマーは、好ましくは、1から3.5の分子量分布を有するエチレン/α
−オレフィンポリマーから形成される。
【背景技術】
【0003】
高い使用温度(例えば、104°F(40℃)およびそれより上)で接着強度を維持す
る、無溶媒、低粘度ホットメルト接着剤(HMA)および感圧接着剤(PSA)配合物が
必要とされている。
【0004】
ケースおよびカートンの封止、自動車、グラフィックアート、不織布、パネルアセンブ
リ、高性能テープ、接触ホットメルト接着剤、板紙コーティング、インク、パーソナルケ
アおよび化粧用製品、シーラント、着色剤および添加剤濃縮物、カーペット用接着テープ
、ならびに木工用接着剤を含む(しかし、これらに限定されない)様々な用途において使
用することができる、無溶媒、低粘度接着剤配合物も必要とされている。
【0005】
現在、高分子量(MW)スチレンブロックコポリマー(SBC)に基づく高性能感圧接
着剤(PSA)の一部は、溶媒を使用してしか製造できない。これらは、粘度(分子量)
が高いため、ホットメルトから塗布することができない。環境と費用、両方の理由で無溶
媒接着剤を使用する傾向にある。また、ウレタン化学に基づく反応性ホットメルトは、イ
ソシアネート化学を用いるので、高価であり、安全性に問題がある。
【0006】
米国特許公開第2005/0043455号には、シラン化合物でフリーラジカル変性
された、ならびに170℃で測定したとき10mPa.sと50,000mPa.sとの
間の粘度、および10J/gより高い融解熱を有する、結晶性ポリオレフィンホモポリマ
ーまたはコポリマーワックスが、開示されている。変性に使用されるシラン化合物は、少
なくとも1つのオレフィン性二重結合と、ケイ素に直接付いている少なくとも1つのアル
コキシラジカルとを含む。変性に使用されるポリオレフィンワックスは、メタロセン触媒
を使用して調製される(要約参照)。この参照文献には、使用されるシランの量(そのポ
リオレフィンワックスに基づき0.1から40重量パーセント)に比べて高い、フリーラ
ジカル開始剤のレベル(そのポリオレフィンワックスに基づき0.1から10重量パーセ
ント)の使用が開示されている(例えば、パラグラフ[0097]、[0098]および
[0116]参照)。欧州特許第EP0944670B1号には、85以下の硬度(Sh
ore A)を有するシラングラフトエチレンα−オレフィン共重合体エラストマーと場
合によっては結晶性オレフィンポリマーとを含む架橋性エラストマー組成物が開示されて
いる。湿気への暴露により、この架橋性組成物は、85以下の硬度(ShoreA)とそ
の架橋性組成物のものより大きい耐磨耗性とを有するグラフトおよび架橋された無孔エラ
ストマー組成物へと転化する(要約参照)。この特許には、シランの好ましい量、0.1
から3.5重量パーセントの使用、および10:1から30:1のシランの開始剤に対す
る比での比較的高い開始剤レベルの使用が開示されている(例えば、パラグラフ[002
6]および[0027]参照)。
【0007】
国際公開番号WO2005/100501には、1)機能性成分と、2)粘着付与剤と
、3)1つ以上のC3からC40オレフィン、場合によっては1つ以上のジオレフィン、
および5モル未満のエチレンを含み、ならびに1ニュートン以上のDot T−Peel
、そのポリマーのMzで測定される0.95以下の分枝指数(g’)、および100,0
00以下のMwを有するオレフィンポリマーとを含む物品が開示されている。前記機能性
成分は、機能性ポリマー、機能性オリゴマーおよびベータ成核剤からなる群より選択され
る(要約参照)。この参照文献における実験例は、主として、無水マレイン酸グラフトポ
リプロピレン系ポリマーに関する。
【0008】
米国特許第5,824,718号には、ワイヤーおよびケーブルの被覆、ウェザースト
リップ、繊維として有用である、シランがグラフトされた実質的に線状の硬化性エチレン
ポリマーが開示されている。これらのシラングラフトポリマーは、充填される場合もあり
、充填されない場合もあり、ならびに多くの市販の被覆剤に比べて早く硬化することがで
きる(要約参照)。この特許には、0.5から200g/10分の好ましいメルトインデ
ックス(I2)を有するエチレン/α−オレフィン系ポリマーが開示されている(例えば
、4欄7〜10行目参照)。関連特許、米国特許第5,742,858号および同第6,
048,935号も参照。米国特許第4,806,594号には、(a)エチレン、プロ
ピレンまたは1−ブテンのシラングラフトホモポリマーからなる群より選択される少なく
とも1種のポリマーを含む、水硬化性組成物が開示されている(要約参照)。この特許の
実施例では、比較的高い分子量のポリエチレンがシラン化される(例えば、実施例1〜1
9参照)。
【0009】
米国特許第5,995,474号には、シランがグラフトされた、主として非晶質のポ
リ−α−オレフィンを含む、接着剤組成物が開示され、これは、ケイ素に直接付いている
1〜3個のアルコキシ基と少なくとも1つのオレフィン性二重結合含有部分とを有するシ
ラン化合物をこの非晶質ポリ−α−オレフィンにグラフトさせ、その後、水によりその接
着剤組成物を架橋させることによって調製される(要約参照)。この特許は、主として、
プロピレン系ポリマーに関する。さらなるグラフトポリマーが、米国特許第5,994,
474号、同第5,705,565号、同第6,414,102号、同第6,043,4
01号、同第5,498,809号、同第5,266,627号;および欧州特許第EP
0850138B1号に開示されている。グラフトブレンド組成物は、米国特許第6,3
95,791号、同第6,583,222号、同第6,583,188号に開示されてい
る。以下の特許/出願は、主として、ベースポリマーに関する:米国特許第6,172,
015号、同第6,335,410号、同第4,039,560号;米国特許公開第20
03114322号(WO01/072855)、WO03/087178、WO03/
040201、WO90/01503、WO04/031292、およびWO04/03
5680。
【0010】
接着剤組成物に使用するための優れた接着特性を有するシラン化ポリオレフィンが必要
とされている。さらに、環境と費用の両方の理由で無溶媒接着剤が必要とされている。本
発明のシラン化ポリオレフィンおよびこれらのポリオレフィンに基づく接着剤配合物は、
これらの問題点を満たしている。該接着剤配合物に使用されるケイ素化ポリマーは、SB
C系の高性能テープと同様の性能を有し、溶媒を必要としない。加えて、本明細書に開示
されるシラン化ポリオレフィンポリマーは、より安価であり、より安全に使用できる。さ
らに、この湿気硬化性シラン化学により、高温動作能力(104°F(40℃)またはそ
れより上)が求められる、フード適用下での、自動車などにおけるホットメルト接着剤の
使用が可能となる。本発明のシラン化ポリオレフィンは、ホットメルト接着剤用途と感圧
接着剤用途の両方のための接着剤配合物の調製に使用することができる。
【発明の開示】
【0011】
本発明は、シラングラフトポリオレフィンおよびポリオレフィンブレンドに関し、特に
、350°F(177℃)で50,000cP未満の溶融粘度を有する少なくとも1種の
シラングラフトエチレン/α−オレフィンポリマーを含有する組成物に関する。これらの
シランがグラフトされ硬化されたエチレン/α−オレフィンポリマーは、1から3.5の
分子量分布を有するエチレン/α−オレフィンポリマーから形成される。
【0012】
本発明は、これらのシラングラフトエチレン/α−オレフィンポリマーに基づく接着剤
組成物をも提供する。これらの接着剤組成物は、110°F(43℃)以上の引き剥がし
接着破壊温度(Peel Adhesion Failure Temperature)(PAFT)および140°F(
60℃)以上の剪断接着破壊温度(Shear Adhesion Failure Temperature)(SAFT)
を含む、優れた接着特性を有する。
【0013】
本発明は、1から3.5の分子量分布を有するエチレン/α−オレフィンポリマーを少
なくとも1種のシラン化合物および少なくとも1種の開始剤と反応させることにより、シ
ラングラフトエチレン/α−オレフィンポリマーの調製物をも提供し、この場合、前記「
少なくとも1種のシラン化合物」の前記「少なくとも1種の開始剤」に対する重量比は、
20:1から400:1、好ましくは30:1から400:1、さらに好ましくは30:
1から200:1、さらにいっそう好ましくは30:1から100:1である。もう1つ
の態様において、前記「少なくとも1種のシラン化合物」の前記「少なくとも1種の開始
剤」に対する重量比は、40:1から400:1、好ましくは40:1から200:1、
およびさらに好ましくは40:1から100:1である。
【0014】
本発明は、少なくとも1種のシラン化合物から形成される少なくとも1種のシラングラ
フトエチレン/α−オレフィンポリマーを含有する組成物をも提供し、この場合、前記エ
チレン/α−オレフィンポリマーにグラフトされるシラン化合物の量は、前記反応性組成
物の総重量に基づき、0.25重量パーセントより多く、好ましくは0.5重量パーセン
トより多く、さらに好ましくは1重量パーセントより多く、およびさらにいっそう好まし
くは2重量パーセントより多い。
【0015】
本発明の1つの実施形態において、前記エチレン/α−オレフィンポリマーは、1H N
MRによって決定したとき、0.001と0.5との間、好ましくは0.01と0.4と
の間、およびさらに好ましくは0.1と0.3との間の、すべての不飽和(ビニル、ビニ
リデン、シスおよびトランス)の合計に対する末端ビニル基の比Rvを含む。
【0016】
本発明は、後述するとおり、シラングラフトプロピレン/α−オレフィンポリマーなど
の他のシラングラフトポリオレフィンをも提供し、またシラングラフトポリオレフィンブ
レンドをも提供する。
【0017】
さらに、本発明は、エチレン/α−オレフィン系ポリマーから形成される少なくとも1
種の硬化シラングラフトエチレン/α−オレフィンポリマーを含有する、樹脂および組成
物を提供し、この場合の組成物は、前記エチレン/α−オレフィン系ポリマーを前記硬化
シラングラフトエチレン/α−オレフィンポリマーの代わりに含有する類似の組成物と比
較して、良好な機械特性を有する。本発明の組成物と比較組成物の両方についての前記機
械的特性は、同じ試験条件下で測定される。
【0018】
本発明のシラングラフトポリオレフィンは、本明細書に記載するような態様および/ま
たは実施形態を2つ以上含むことがある。
【0019】
本発明の組成物は、本明細書に記載するような態様および/または実施形態を2つ以上
含むことがある。
【0020】
本発明の方法またはプロセスは、本明細書に記載するような態様および/または実施形
態を2つ以上含むことがある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
シラン化ポリオレフィン
本発明は、シラングラフトポリオレフィンおよびポリオレフィンブレンドに関し、特に
、350°F(177℃)で50,000cP未満の溶融粘度を有するシラングラフトエ
チレン/α−オレフィンポリマー、およびこれらのポリマーに基づく組成物に関する。前
記シラングラフトエチレン/α−オレフィンポリマーは、1から3.5の分子量分布を有
するエチレン/α−オレフィンポリマーから形成される。前記シラングラフトエチレン/
α−オレフィンポリマーは、湿気への暴露により硬化(架橋)させることができ、この硬
化反応を、硬化触媒または活性化剤の存在下で加速させることができる。本発明はまた、
このようなシラングラフトエチレン/α−オレフィンポリマーから調製される接着剤配合
物をも提供する。
【0022】
1つの実施形態において、前記シラングラフトエチレン/α−オレフィンポリマーは、
2,00cPから50,000cPの溶融粘度を有する。2,000cPから50,00
0cPの範囲内のすべての個々の値およびサブレンジをここに含み、本明細書において開
示する。溶融粘度は、350°F(177℃)でブルックフィールド粘度計を使用して測
定する。好ましくは、前記溶融粘度は、4,000cPから40,000cP、さらに好
ましくは5,000cPからと30,000cPである。もう1つの実施形態において、
前記溶融粘度は、4,000cPから20,000cP、さらに好ましくは6,000か
らと18,000cPである。
【0023】
もう1つの実施形態において、前記シラングラフトエチレン/α−オレフィンポリマー
は、5,000から25,000、好ましくは6,000から20,000、およびさら
に好ましくは7,000から16,000の数平均分子量を有する。5,000から25
,000の範囲内のすべての個々の値およびサブレンジをここに含み、本明細書において
開示する。もう1つの実施形態において、前記数平均分子量は、6,000から15,0
00、さらに好ましくは7,000から14,000である。本明細書に開示するすべて
の分子量は、「g/モル」の単位を有する。
【0024】
もう1つの実施形態において、前記シラングラフトエチレン/α−オレフィンポリマー
は、10,000から50,000、好ましくは12,000から40,000、および
さらに好ましくは14,000から32,000の重量平均分子量を有する。10,00
0から50,000の範囲内のすべての個々の値およびサブレンジをここに含み、本明細
書において開示する。もう1つの実施形態において、前記重量平均分子量は、10,00
0から40,000、好ましくは11,000から30,000、およびさらに好ましく
は12,000から26,000である。10,000から40,000の範囲内のすべ
ての個々の値およびサブレンジをここに含み、本明細書において開示する。
【0025】
もう1つの実施形態において、前記シラングラフトエチレン/α−オレフィンポリマー
は、1から5、好ましくは1.5から4、およびさらに好ましくは2から3の分子量分布
を有する。1から5の分子量分布範囲内のすべての個々の値およびサブレンジをここに含
み、本明細書において開示する。
【0026】
もう1つの実施形態において、前記シラングラフトエチレン/α−オレフィンポリマー
は、0.855g/cm3から0.93g/cm3、好ましくは0.86g/cm3から0
.90g/cm3、さらに好ましくは0.865g/cm3から0.895g/cm3の密
度を有する。0.84g/cm3から0.93g/cm3の密度範囲内のすべての個々の値
およびサブレンジをここに含み、本明細書において開示する。
【0027】
さらに、本発明は、本発明のシラングラフトエチレンポリマーの製造方法を提供し、こ
れは、エチレン/α−オレフィンポリマーのポリマー鎖内の残存不飽和に、および/また
はそのポリマー鎖内の飽和基に、シラン部分をグラフトさせることによる。前記ポリマー
は、2種以上のポリオレフィンのブレンドで存在することもある。
【0028】
1つの実施形態において、グラフト反応に使用されるシランの量は、前記反応性組成物
の総重量に基づき、2重量パーセントであるかそれより多く、好ましくは3重量パーセン
トであるかそれより多く、さらに好ましくは5重量パーセントであるか、それより多く、
ならびにシランの開始剤に対する重量比は、20:1から400:1、好ましくは30:
1から400:1、さらに好ましくは30:1から200:1、さらにいっそう好ましく
は30:1から100:1であり、20:1から400:1のすべての個々の比の値およ
びサブレンジを含む。これらの個々の比およびサブレンジが本明細書において開示される
。もう1つの実施形態において、シランの開始剤に対する重量比は、40:1から400
:1、好ましくは40:1から300:1、さらに好ましくは40:1から200:1、
さらにいっそう好ましくは40:1から100:1である。
【0029】
もう1つの実施形態において、ポリオレフィン鎖にグラフトされるシラン構成成分の量
は、FTIR分析によって決定したとき、前記反応性組成物の総重量に基づき(または反
応性組成物に添加されるシラン化合物の初期重量に基づき)、0.5重量パーセントより
多い。さらなる実施形態において、この量は、1重量パーセントより多く、および尚、さ
らなる実施形態において、この量は、2重量パーセントより多い。0.5重量パーセント
より多いすべての個々の値およびサブレンジは、本発明の範囲内と見なし、本明細書にお
いて開示する。
【0030】
さらにもう1つの実施形態において、前記エチレン/α−オレフィンポリマーは、1
NMRによって決定したとき、0.001から0.5、好ましくは0.01から0.4、
およびさらに好ましくは0.1から0.3の、すべての不飽和(ビニル、ビニリデン、シ
スおよびトランス)の合計に対する末端ビニル基の比、Rvを含有する。0.001から
0.5のすべての個々の比の値およびサブレンジをここに含み、本明細書において開示す
る。
【0031】
本発明は、エチレン/α−オレフィン系ポリマーから形成される少なくとも1種の硬化
シラングラフトエチレン/α−オレフィンポリマーを含有する組成物をさらに提供し、こ
の場合の組成物は、前記エチレン/α−オレフィン系ポリマーを前記硬化シラングラフト
エチレン/α−オレフィンポリマーの代わりに含む類似の組成物の平均破断強度より大き
い平均破断強度を有する。好ましい実施形態において、本発明の組成物の平均破断強度は
、前記類似の組成物の平均破断強度より、少なくとも15パーセント、好ましくは少なく
とも25パーセント、最も好ましくは少なくとも50パーセント大きい。
【0032】
本発明は、エチレン/α−オレフィン系ポリマーから形成される少なくとも1種の硬化
シラングラフトエチレン/α−オレフィンポリマーを含有する組成物をさらに提供し、こ
こで、前記組成物は、前記エチレン/α−オレフィン系ポリマーを前記硬化シラングラフ
トエチレン/α−オレフィンポリマーの代わりに含む類似の組成物の平均破断伸びより大
きい平均破断伸びを有する。好ましい実施形態において、本発明の組成物の平均破断伸び
は、前記類似の組成物の平均破断伸びより、少なくとも15パーセント、好ましくは少な
くとも25パーセント、さらに好ましくは少なくとも50パーセント、最も好ましくは少
なくとも100パーセント大きい。
【0033】
本発明は、エチレン/α−オレフィン系ポリマーから形成される少なくとも1種の硬化
シラングラフトエチレン/α−オレフィンポリマーを含有する組成物をさらに提供し、こ
こで、前記組成物は、前記エチレン/α−オレフィン系ポリマーを前記硬化シラングラフ
トエチレン/α−オレフィンポリマーの代わりに含む類似の組成物の平均破断エネルギー
より大きい平均破断エネルギーを有する。好ましい実施形態において、本発明の組成物の
平均破断エネルギーは、前記類似の組成物の平均破断エネルギーより、少なくとも15パ
ーセント、好ましくは少なくとも25パーセント、さらに好ましくは少なくとも50パー
セント、最も好ましくは少なくとも100パーセントまたは125パーセント大きい。
【0034】
本発明は、少なくとも1種の硬化シラングラフトエチレン/α−オレフィンポリマーを
含有する組成物をさらに提供し、ここで、前記組成物は、100℃から150℃の温度で
、104dyn/cm2と106dyn/cm2との間の貯蔵弾性率G’を有する。
【0035】
本発明は、少なくとも1つの硬化シラングラフトエチレン/α−オレフィンポリマーを
含有する組成物をさらに提供し、ここで、150℃での本発明の貯蔵弾性率G’と100
℃での本発明の組成物の貯蔵弾性率G’との絶対パーセント差は、50パーセント未満、
好ましくは25パーセント未満、さらに好ましくは20パーセント未満である。
【0036】
本発明は、エチレン/α−オレフィン系ポリマーから形成される少なくとも1種の硬化
シラングラフトエチレン/α−オレフィンポリマーを含有する組成物をさらに提供し、こ
こで、前記組成物は、前記エチレン/α−オレフィン系ポリマーを前記硬化シラングラフ
トエチレン/α−オレフィンポリマーの代わりに含む類似の組成物の「−1mmのTMA
プローブ侵入深さ」より高い温度で「−1mmのTMAプローブ侵入深さ」を有する。好
ましい実施形態において、本発明の「−1mmのTMAプローブ侵入深さ」の温度は、そ
の類似の組成物の「−1mmのTMAプローブ侵入深さ」の温度より少なくとも4℃、好
ましくは少なくとも6℃、さらに好ましくは少なくとも8℃高い。
【0037】
シラン
シラン架橋プロセスに適するシランとしては、一般式(I)
CH2=CR−(COO)x(Cn2nySiR’3 (I)
のものが挙げられるが、これに限定されない。
【0038】
この式において、Rは、水素原子またはメチル基であり;xおよびyは、0または1で
あり、但し、xが1であるとき、yは1であることを条件とし;nは、1から12(両端
の値を含む)、好ましくは1から4の整数であり;ならびに各R’は、独立して、1から
12個の炭素原子を有するアルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、ブトキシ)、ア
リールオキシ基(例えば、フェノキシ)、アラルオキシ基(例えば、ベンジルオキシ)、
1から12個の炭素原子を有する脂肪族アシルオキシ基(例えば、ホルミルオキシ、アセ
チルオキシ、プロパノイルオキシ)、アミノもしくは置換アミノ基(例えば、アルキルア
ミノ、アリールアミノ)、または1から6個の炭素原子を有する低級アルキル基を含むが
、これらに限定されない有機基であり、但し、3個のR’基のうちの1個以下がアルキル
であることを条件とする。もう1つの実施形態において、3個のR’基のうちの2個以下
がアルキル基である。
【0039】
加えて、有効にエチレンポリマーにグラフトし、それらを架橋させる、任意のシランま
たはシラン混合物を、本発明の実施の際に使用することができる。適するシランとしては
、エチレン性不飽和ヒドロカルビル基、例えばビニル、アリル、イソプロペニル、ブテニ
ル、シクロヘキセニルまたはγ−(メタ)アクリルオキシアリル基と加水分解性の基、例
えばヒドロカルビルオキシ、ヒドロカルボニルオキシまたはヒドロカルビルアミノ基の両
方を含む不飽和シランが挙げられる。加水分解性の基の例としては、メトキシ、エトキシ
、ホルミルオキシ、アセトキシ、プロピオニルオキシおよびアルキルまたはアリールアミ
ノ基が挙げられる。好ましいシランは、前記ポリマーにグラフトすることができる不飽和
アルコキシシランである。これらのシランおよびそれらの調製方法は、Meverden
らの米国特許第5,266,627号にさらに十分に記載され、前記特許は、その全体が
本明細書に参照により組み込まれる。好ましいシランとしては、ビニルトリメトキシシラ
ン、ビニルトリエトキシシラン、3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート(
γ−(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン)、およびこれらの混合物が挙
げられる。
【0040】
使用されるシランの量は、エチレンポリマーの性質、シラン、加工条件、グラフト効率
、最終用途および類似の因子に依存して変わる場合がある。本発明の接着剤用途について
、ベース樹脂をグラフトするために反応押出で使用されるシランの量は、前記反応性組成
物の重量に基づき、少なくとも2重量パーセント、好ましくは少なくとも4重量パーセン
トまたは少なくとも5重量パーセントである。もう1つの実施形態において、ベース樹脂
をグラフトさせるために反応押出で使用されるシランの量は、前記反応性組成物の重量に
基づき、少なくとも10重量パーセントである。
【0041】
グラフト反応
分解してラジカルを形成することによりグラフト反応を開始させることができる幾つか
のタイプの化合物があり、それらとしては、数ある中でもアゾ含有化合物、カルボン酸の
ペルオキシ酸およびペルオキシエステル、アルキルヒドロペルオキシド、ならびにジアル
キルおよびジアシルペルオキシドが挙げられる。これらの化合物およびそれらの特性の多
くが記載されている(参照文献:J. Branderup, E. Immergut, E. Grulke, eds. "Polyme
r Handbook," 4th ed., Wiley, New York, 1999, Section II, pp. 1-76.)。開始剤の分
解により形成される化学種は、酸素系フリーラジカルであることが好ましい。その開始剤
が、カルボン酸のペルオキシエステル、ペルオキシケタール、ジアルキルペルオキシドお
よびジアシルペルオキシドから選択されることは、さらに好ましい。
【0042】
前記シランは、任意の従来的方法により、一般には、ラジカル開始剤、例えばペルオキ
シドおよびアゾ化合物などの存在下で、または電離放射線により、前記ポリマーにグラフ
トさせることができる。有機系開始剤、例えば、ペルオキシド開始剤、例えばジクミルペ
ルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、t−ブチルペルベンゾエート、ベンゾイルペ
ルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、t−ブチルペルオクトエート、メチルエチルケ
トンペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、
ラウリルペルオキシド、およびt−ブチルペルアセテート、t−ブチルα−クミルペルオ
キシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、ジ−t−アミルペルオキシド、t−アミルペルオ
キシベンゾエート、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシ
クロヘキサン、α,α’−ビス(t−ブチルペルオキシ)−1,3−ジイソプロピルベン
ゼン、α,α’−ビス(t−ブチルペルオキシ)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、2
,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン、および2,5−ビス
(t−ブチルペルオキシ)−2,5−ジメチル−3−ヘキシンのうちのいずれか1つであ
ることが好ましい。適するアゾ化合物は、亜硝酸アゾビスイソブチルである。
【0043】
使用される開始剤およびシランの量は、例えば、グラフトポリマーにおけるグラフト度
および硬化ポリマーにおける架橋度などの、シラングラフトポリマーの最終構造に影響を
及ぼす。そしてまた、その結果として得られる構造が、その最終製品の物理的および機械
的特性に影響を及ぼす。一般に、使用される開始剤およびシランの量は、そのポリマーの
所望の架橋レベルおよび結果として得られる特性をもたらすように決められる量を超える
ことはない。
【0044】
グラフト反応は、共重合体骨格へのグラフトを最大にし、且つ、そのオレフィン共重合
体にグラフトされないグラフト化剤のホモ重合などの副反応を最小にする条件下で行うべ
きである。グラフト反応は、メルト、溶液、固体状態、膨潤状態で行うことができる。シ
ラン化は、多種多様な装置、例えば、二軸スクリュー押出機、一軸スクリュー押出機、ブ
ラベンダー、バッチ式反応装置(しかし、これらに限定されない)において行うことがで
きる。
【0045】
開始剤の量は様々であり得るが、本発明の接着剤用途には、前記反応性組成物の総量に
基づき、少なくとも100ppmの開始剤、好ましくは少なくとも300ppmの開始剤
が使用される。開始剤は、300ppmから1500ppmまたは2000ppmの量で
存在し得る。300ppmから2000ppmの間のすべての個々の値およびサブレンジ
をここに含み、本明細書において開示する。シランの開始剤に対する重量比も様々であり
得るが、本発明の接着剤用途についてのシラン:開始剤重量比は、好ましくは20:1か
ら400:1、さらに好ましくは30:1から400:1、さらにいっそう好ましくは4
8:1から350:1、または55:1から333:1である。もう1つの実施形態にお
いて、シラン:開始剤の重量比は、好ましくは30:1から300:1、さらに好ましく
は30:1から200:1、さらにいっそう好ましくは30:1から100:1である。
もう1つの実施形態において、シラン:開始剤の重量比は、40:1から400:1、好
ましくは40:1から300:1、さらに好ましくは40:1から200:1、さらにい
っそう好ましくは40:1から100:1である。反応のグラフト効率とのバランスが取
れたこれらのシランの開始剤に対する比により、優れた接着特性をもたらすシラングラフ
トポリマーが得られた。
【0046】
一般には120℃から260℃、好ましくは130℃から250℃の溶融温度での押出
機の第一段階におけるシランおよび開始剤と樹脂とのブレンドにより、十分にシラン化さ
れた樹脂が生成されることが判明した。120℃から260℃のすべての個々の温度値お
よび範囲をここに含み、本明細書において開示する。
【0047】
上述のとおり、グラフト反応は、ポリマー骨格へのグラフトを最大にし、且つ、そのオ
レフィンポリマーにグラフトされないグラフト化剤のホモ重合などの副反応を最小にする
条件下で行うべきである。一部のシラン化剤は、分子構造の立体的特徴、低い反応性およ
び/または他の理由のために、最小限のホモ重合しか被らないか、ホモ重合をまったく被
らない。
【0048】
シラン化ポリオレフィンの硬化
硬化(架橋)は、架橋触媒を用いて促進される。また、グラフトされた特定のシランの
架橋を有効に促進する任意の触媒を使用することができる。これらの触媒としては、一般
に、有機塩基、カルボン酸および有機金属化合物(有機チタン酸塩および錯体、または鉛
、コバルト、鉄、ニッケル、亜鉛および錫のカルボン酸塩を含む)が挙げられる。ジブチ
ル錫ジラウレート、ジオクチル錫マレエート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオ
クテート、酢酸第一錫、オクタン酸第一錫、ナフテン酸鉛、カプリル酸亜鉛、およびナフ
テン酸コバルトを使用することができる。触媒の量は、対象の特定の系に依存する。触媒
または触媒混合物は、対象の組成物の成分の総重量に基づき、0.01重量パーセントか
ら1.0重量パーセントの量(その間のすべての個々の量およびサブレンジを含む)で存
在し得る。
【0049】
特許請求の範囲に記載する本発明の一部の実施形態では、放射線、熱、湿気および架橋
段階を併用する複式架橋システムを有効に利用することができる。例えば、シラン架橋剤
と共に過酸化物架橋剤を、放射線と共に過酸化物架橋剤を、またはシラン架橋剤と共に硫
黄含有架橋剤を使用することが望ましいことがある。複式架橋システムは、米国特許第5
,911,940号および同第6,124,370号に開示され、それらの特許請求の範
囲に記載されている。前記特許の全内容が、本明細書に参照により組み込まれる。
【0050】
エチレン/α−オレフィンポリマー
上記シラングラフトポリマーの調製に使用されるエチレン/α−オレフィンポリマーは
、エチレンと少なくとも1種の適するコモノマーの共重合体である。
【0051】
本発明のシラングラフトポリマーの調製に使用されるエチレン/α−オレフィンポリマ
ーは、5以下の、好ましくは4以下の分子量分布(Mw/Mn)を有する。さらに好ましく
は、前記エチレン/α−オレフィンポリマーは、1から3.5、好ましくは1から3の分
子量分布を有する。1から5のすべての個々の値およびサブレンジをここに包含し、本明
細書において開示する。
【0052】
好ましい成分としては、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−
ヘキセン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、非共
役ジエン、ポリエン、ブタジエン、イソプレン、ペンタジエン、ヘキサジエン(例えば、
1,4−ヘキサジエン)、オクタジエン、スチレン、ハロ置換スチレン、アルキル置換ス
チレン、テトラフルオロエチレン、ビニルベンゾシクロブテン、ナフテン類、シクロアル
カン(例えば、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクテン)、およびこれらの混
合物が挙げられるが、それらに限定されない。一般におよび好ましくは、前記エチレンを
3〜C20α−オレフィンと共重合させる。好ましいコモノマーとしては、プロペン、1
−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテンおよび1−オクテンが挙げられ、
さらに好ましくは、プロペン、1−ブテン、1−ヘキセンおよび1−オクテンが挙げられ
る。
【0053】
前記シラングラフトポリマーの調製に使用されるエチレン/α−オレフィンポリマーは
、2,000cPから50,000cPの溶融粘度を有する。2,000cPから50,
000cPのすべての個々の値およびサブレンジを含み、本明細書において開示する。溶
融粘度は、350°F(177℃)でBrookfield粘度計を使用して測定する。
好ましくは、前記溶融粘度は、4,000cPから40,000cP、さらに好ましくは
5,000cPから30,000cPである。もう1つの実施形態において、前記溶融粘
度は、4,000cPから20,000cP、さらに好ましくは6,000cPから18
,000cPである。
【0054】
1つの実施形態において、前記シラングラフトポリマーの調製に使用されるエチレン/
α−オレフィンポリマーは、ASTM D−1238(190℃、2.16kgの負荷)
を用いて決定したとき、200g/10分から3,500g/10分、好ましくは250
g/10分から1,900g/10分、およびさらに好ましくは300g/10分から1
,500g/10分のメルトインデックス(I2)を有する。200g/10分から3,
500g/10分のすべての個々の値およびサブレンジを含み、本明細書において開示す
る。もう1つの実施形態において、前記メルトインデックス(I2)は、ASTM D−
1238(190℃、2.16kgの負荷)を用いて決定したとき、200g/10分か
ら3,500g/10分、好ましくは450g/10分から1,900g/10分、およ
びさらに好ましくは450g/10分から1,500g/10分である。
【0055】
もう1つの実施形態において、前記シラングラフトポリマーの調製に使用されるエチレ
ン/α−オレフィンポリマーは、4,000から30,000、好ましくは5,000か
ら25,000、およびさらに好ましくは6,000から14,000の数平均分子量を
有する。もう1つの実施形態において、前記数平均分子量は、5,000から15,00
0である。4,000から30,000のすべての個々の値およびサブレンジを含み、本
明細書において開示する。本明細書に開示するすべての分子量は、「g/モル」の単位を
有する。
【0056】
もう1つの実施形態において、本発明のシラングラフトポリマーの調製に使用されるエ
チレン/α−オレフィンポリマーは、8,000から60,000、好ましくは10,0
00から50,000、およびさらに好ましくは12,000から26,000の重量平
均分子量を有する。もう1つの実施形態において、前記重量平均分子量は、10,000
から30,000である。8,000から60,000のすべての個々の値およびサブレ
ンジを含み、本明細書において開示する。本明細書に開示するすべての分子量は、「g/
モル」の単位を有する。
【0057】
もう1つの実施形態において、本発明のシラングラフトポリマーの調製に使用されるエ
チレン/α−オレフィンポリマーは、DSCによって測定したとき、60パーセント以下
、好ましくは、40パーセント以下、さらに好ましくは、35パーセント以下、およびさ
らにいっそう好ましくは25パーセント以下または15パーセント以下の結晶化度パーセ
ントを有する。好ましくは、これらのポリマーは、2パーセントから60パーセントのす
べての個々の値およびサブレンジを含む、2パーセントから60パーセントの結晶化度パ
ーセントを有する。このような個々の値およびサブレンジを本明細書において開示する。
【0058】
もう1つの実施形態において、本発明のシラングラフトポリマーの調製に使用されるエ
チレン/α−オレフィンポリマーは、重合性モノマーの総モル数に基づき、2モル%より
多い、好ましくは3mol%より多い、最終ポリマーへのコモノマーの組み込みを有する
。コモノマー組み込み量は、重合性モノマーの総モル数に基づき、6モル%より多いこと
があり、10モル%より多いことさえある。
【0059】
もう1つの実施形態において、本発明のシラングラフトポリマーの調製に使用されるエ
チレン/α−オレフィンポリマーは、0.855g/cm3から0.93g/cm3、好ま
しくは0.86g/cm3から0.90g/cm3、およびさらに好ましくは0.865g
/cm3から0.895g/cm3の密度を有する。0.855g/cm3から0.93g
/cm3のすべての個々の値およびサブレンジを個々に含み、本明細書に開示する。
【0060】
もう1つの実施形態において、本発明のシラングラフトポリマーの調製に使用されるエ
チレン/α−オレフィンポリマーは、25,000以下の数平均分子量(Mn)を有し、
5,000から25,000の間のすべての個々の値およびサブレンジを含む5,000
から25,000の数平均分子量が最も好ましい。これらの個々の値およびサブレンジを
本明細書において開示する。
【0061】
もう1つの実施形態において、本発明のシラングラフトポリマーの調製に使用されるエ
チレン/α−オレフィンポリマーは、40,000以下の重量平均分子量(Mw)を有し
、10,000から40,000の間のすべての個々の値およびサブレンジを含む10,
000から40,000の重量平均分子量が最も好ましい。これらの個々の値およびサブ
レンジを本明細書において開示する。
【0062】
本発明に適するエチレン/α−オレフィンコポリマーの例としては、The Dow
Chemical Companyから入手できるAFFINITY(商標)ポリマーが
挙げられる。本発明に適するエチレン/α−オレフィンポリマーの他の例としては、米国
特許第6,335,410号、同第6,054,544号および同第6,723,810
号に記載されている低分子量エチレンポリマーが挙げられる。これらの特許の各々の全内
容は、本明細書に参照により組み込まれる。他の適するポリマーとしては、エチレン−α
−オレフィンブロックコポリマーおよび共重合体、ならびに当分野では公知の他のエチレ
ン系ブロックコポリマーおよび共重合体が挙げられる。
【0063】
前記シラングラフトポリマーの調製に使用されるエチレン/α−オレフィンポリマーは
、米国特許第5,064,802号、同第5,132,380号、同第5,703,18
7号、同第6,034,021号、同第5,321,106号(欧州特許第EP 0 4
68 651号)、および同第6,118,013号(欧州特許第EP 0 514 8
28号);ならびにWO 93/19104(米国特許第5,374,696号、同第5
,532,394号、同第5,723,398号)、およびWO 95/00526(米
国特許第5,470,993号、同第5,556,928号、同第5,624,878号
)に開示されているような、幾何拘束型触媒を使用して調製された「均一」または「均一
分枝」ポリマーである場合もある。これらの特許および公報はすべて、それら全体が本明
細書に参照により組み込まれる。このようなポリマーを調製するために使用される触媒の
もう1つの適するクラスは、米国特許第5,044,438号、同第5,057,475
号、同第5,096,867号および同第5,324,800号に開示されているメタロ
セン触媒である。これらの特許はすべて、それら全体が本明細書に参照により組み込まれ
る。幾何拘束型触媒は、メタロセン触媒と見なされることがあり、時として、両方とも「
シングルサイト触媒」と呼ばれる。本発明において使用するための他の適するポリマーは
、米国特許第5,272,236号、同第5,278,272号、同第6,054,54
4号、同第6,335,410号および同第6,723,810号に記載されている。こ
れらの特許はすべて、それら全体が本明細書に参照により組み込まれる。
【0064】
前記シラングラフトポリマーの調製に使用されるエチレン/α−オレフィンポリマーは
、2つの反応装置で重合させることができ、この場合、第一の反応装置で第一のポリマー
を重合させ、その第一のポリマーを製造する反応装置と直列または並列に接続された第二
の反応装置で、(より高い分子量の、および/または異なる密度の、および/または均一
である)第二のポリマーを重合させる。このようなデュアル重合を用いて、所望の特性を
有する反応装置内ポリマーブレンドを調製する。この例は、WO94/00500に開示
されている。
【0065】
プロピレン/α−オレフィンポリマー
もう1つの実施形態において、上記のシラン化および/または硬化反応は、エチレン/
α−オレフィンポリマーに加えて、他のオレフィン系ポリマーをシラン化および/または
硬化するために用いることができる。例えば、少なくとも50モル% 重合プロピレンを
含有するプロピレン/α−オレフィンポリマーの、上で説明したようなシラン化および硬
化は、本発明の範囲に包含される。適するポリプロピレン系ポリマーとしては、VERS
IFY(商標)ポリマー(The Dow Chemical Company)および
VISTAMAXX(商標)ポリマー(ExxonMobil Chemical Co
.)、LICOCENE(商標)ポリマー(Clariant)、EASTOFLEX(
商標)ポリマー(Eastman Chemical Co.)、REXTAC(商標)
ポリマー(Hunstman)およびVESTOPLAST(商標)ポリマー(Degu
ssa)が挙げられる。他の適するポリマーとしては、プロピレン−α−オレフィンブロ
ックコポリマーおよび共重合体、ならびに当分野において公知の他のプロピレン系ブロッ
クコポリマーおよび共重合体が挙げられる。
【0066】
本発明は、350°F(177℃)で50,000cP未満の溶融粘度を有する、少な
くとも1種のシラングラフトプロピレン/α−オレフィンポリマーを含む組成物を提供す
る。
【0067】
好ましい実施形態において、本発明のシラングラフトポリマーの調製に使用されるプロ
ピレン/α−オレフィンポリマーは、5以下の、好ましくは、4以下の分子量分布を有す
る。さらに好ましくは、前記プロピレン/α−オレフィンポリマーは、1.5から3.5
、さらに好ましくは2から3の分子量分布を有する。1.5から5のすべての個々の値お
よびサブレンジをここに含み、本明細書において開示する。
【0068】
前記シラングラフトポリマーの調製に使用されるプロピレン/α−オレフィンポリマー
は、プロピレンと少なくとも1種の適するコモノマーとの共重合体である。好ましいコモ
ノマーとしては、エチレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、
3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、非共役ジエン、
ポリエン、ブタジエン、イソプレン、ペンタジエン、ヘキサジエン(例えば、1,4−ヘ
キサジエン)、オクタジエン、スチレン、ハロ置換スチレン、アルキル置換スチレン、テ
トラフルオロエチレン、ビニルベンゾシクロブテン、ナフテン類、シクロアルケン(例え
ば、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクテン)、およびこれらの混合物が挙げ
られるが、それらに限定されない。一般におよび好ましくは、前記コモノマーは、C2
たはC4〜C20α−オレフィンである。好ましいコモノマーとしては、エチレン、1−ブ
テン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテンおよび1−オクテンが挙げられ、さら
に好ましくは、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセンおよび1−オクテンが挙げられる。
【0069】
1つの実施形態において、本発明のシラングラフトポリマーの調製に使用されるプロピ
レン/α−オレフィンポリマーは、DSCによって測定したとき、60パーセント以下、
好ましくは、40パーセント以下、およびさらに好ましくは、35パーセント以下の結晶
化度パーセントを有する。好ましくは、これらのポリマーは、2パーセントから60パー
セントのすべての個々の値およびサブレンジを含む、2パーセントから60パーセントの
結晶化度パーセントを有する。このような個々の値およびサブレンジを本明細書において
開示する。
【0070】
もう1つの実施形態において、本発明のシラングラフトポリマーの調製に使用されるプ
ロピレン/α−オレフィンポリマーは、重合性モノマーの総モルに基づき、2モル%より
多い、好ましくは3mol%より多い、最終ポリマーへのコモノマーの組み込みを有する
。コモノマー組み込み量は、重合性モノマーの総モル数に基づき、6モル%より多いこと
があり、10モル%より多いことさえある。
【0071】
もう1つの実施形態において、本発明のシラングラフトポリマーの調製に使用されるプ
ロピレン/α−オレフィンポリマーは、0.855g/cm3から0.895g/cm3
好ましくは0.86g/cm3から0.89g/cm3、およびさらに好ましくは0.86
g/cm3から0.88g/cm3の密度を有する。0.855g/cm3から0.895
g/cm3のすべての個々の値およびサブレンジを個々に含み、本明細書に開示する。
【0072】
1つの実施形態において、前記シラングラフトポリマーの調製に使用されるプロピレン
/α−オレフィンポリマーは、50,000cP未満、好ましくは250cPから50,
000cPの溶融粘度を有する。250cPから50,000cPのすべての個々の値お
よびサブレンジを含み、本明細書において開示する。溶融粘度は、350°F(177℃
)でBrookfield粘度計を使用して測定する。好ましくは、前記溶融粘度は、5
00cPから20,000cP、さらに好ましくは1,000cPから10,000cP
である。
【0073】
もう1つの実施形態において、本発明のシラングラフトポリマーの調製に使用されるプ
ロピレン/α−オレフィンポリマーは、3,000から35,000、好ましくは5,0
00から20,000、およびさらに好ましくは6,000から15,000の数平均分
子量を有する。3,000から35,000のすべての個々の値およびサブレンジを含み
、本明細書において開示する。本明細書に開示するすべての分子量は、「g/モル」の単
位を有する。
【0074】
もう1つの実施形態において、本発明のシラングラフトポリマーの調製に使用されるプ
ロピレン/α−オレフィンポリマーは、6,000から70,000、好ましくは10,
000から40,000、およびさらに好ましくは12,000から30,000の重量
平均分子量を有する。6,000から70,000のすべての個々の値およびサブレンジ
を含み、本明細書において開示する。
【0075】
シラン化ポリオレフィンブレンド
本発明のもう1つの実施形態では、上述したようなシランおよび硬化剤を使用して、2
種以上のポリオレフィンのブレンドを、シラン化および/または硬化に付す。
【0076】
反応押出機の第一段階で個々のポリマーをシランおよび開始剤とブレンドすることによ
り、シランをポリオレフィンブレンドのポリマーと反応させることができる。反応(シラ
ングラフト)が起こるプロセス温度は、滞在時間および開始剤の半減期に依存して、一般
には150℃から260℃の間、好ましくは200℃から235℃の間である。グラフト
反応は、ポリマー骨格へのグラフトを最大にし、且つ、副反応を最小にする条件下で行う
べきである。
【0077】
1つの実施形態において、樹脂ブレンドはエチレン/α−オレフィンポリマーおよびプ
ロピレン/α−オレフィンポリマーを含有する。適するエチレン/α−オレフィンポリマ
ーおよびプロピレン/α−オレフィンポリマーとしては、上で説明したものが挙げられる
が、それらに限定されない。
【0078】
添加剤
本発明において使用される代表的なポリマーおよび樹脂は、1つ以上の安定剤、例えば
、酸化防止剤、例えばIrganox(商標)1010およびIrgafos(商標)1
68(両方とも、Ciba Specialty Chemicalsによって供給され
ている)で処理される。ポリマーは典型的には、押出または他の溶融プロセスの前に、1
種以上の安定剤で処理される。他のポリマー添加剤としては、紫外線吸収剤、静電防止剤
、顔料、染料、成核剤、フィラースリップ剤、難燃剤、可塑剤、加工助剤、潤滑剤、安定
剤、発煙防止剤、粘度調節剤および粘着防止剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0079】
接着剤組成物
上述したような1種以上のシラングラフトポリマーまたはブレンドに基づく接着剤組成
物(ホットメルト接着剤(HMA)および感圧接着剤(PSA))は、従来の技法により
、例えば、混合装置においてその配合物の構成成分を、硬化触媒と共にまたは硬化触媒を
伴わずに、溶融ブレンドすることにより、調製することができる。本発明の接着剤組成物
は、350°F(177℃)の適用温度用に設計された標準的な包装用銘柄のホットメル
ト接着剤と比較して良好な耐熱性を示し、ならびに300°F(149℃)未満の適用温
度に適する粘度も有する。
【0080】
上記接着剤組成物の粘度は、最終用途に依存する。カートンおよび封止用接着剤につい
ては、350°F(177℃)で500〜1500cPの範囲の粘度が、一般的である。
【0081】
上記接着剤組成物は、再循環および再パルプ化プロセスに適用できる低い密度を有する
とさらに特徴付けられる。これらの接着剤は、110°F(43℃)より高い、好ましく
は122°F(50℃)より高い、およびさらに好ましくは140°F(60℃)より高
い引き剥がし接着温度(PAFT)値を有する、優れた耐熱性を示す。これらの接着剤は
、優れた冷温柔軟度も示す。特性のこの組み合わせが、これらの接着剤を適用温度が低い
包装用接着剤ならびに汎用包装用接着剤によく適するものにする。
【0082】
上述したようなシラングラフトポリマーまたはブレンドは、好ましくは、その接着剤配
合物の総重量に基づき20重量パーセントから65重量パーセントの量で存在する。20
パーセントから65パーセントのすべての個々の値およびサブレンジをここに含み、本明
細書において開示する。好ましくは、前記シラングラフトポリマーまたはブレンドは、2
5重量パーセントから45重量パーセント、さらに好ましくは30重量パーセントから4
0重量パーセントの量で存在する。
【0083】
加えて、または代案として、前記シラングラフトポリマーまたはブレンドは、次のもの
と併用することができる。(a)低密度ポリエチレンならびにグラフトおよびマレイン酸
化バージョン、エチレンビニルアセテートコポリマー、エチレンn−ブチルアクリレート
コポリマー、エチレンメチルアクリレートコポリマーを含む(しかし、これらに限定され
ない)、エチレンの他のホモポリマー、コポリマーおよびターポリマー;(b)プロピレ
ンのホモポリマー、コポリマーおよびターポリマー;(c)一般配置A−B−Aトリブロ
ック、A−B−A−B−A−Bマルチブロック、A−Bジブロックを有するものを含む、
ゴム状ブロックコポリマー、および放射状ブロックコポリマー;ならびに(d)他のオレ
フィン系ポリマー。適するポリマーとしては、VERSIFY(商標)ポリマー(The
Dow Chemical Company)、VISTAMAXX(商標)ポリマー
(ExxonMobil Chemical Co.)、LICOCENE(商標)ポリ
マー(Clariant)、EASTOFLEX(商標)ポリマー(Eastman C
hemical Co.)、REXTAC(商標)ポリマー(Hunstman)、VE
STOPLAST(商標)ポリマー(Degussa)、および高耐衝撃性ポリプロピレ
ンが挙げられる。他の適するポリマーとしては、米国特許第5,917,100号、同第
5,750,813号および同第6,107,530号に記載されているような低分子量
ポリオレフィンが挙げられる。前記特許は、すべて、それら全体が本明細書に参照として
組み込まれている。これらの追加のポリマーは、約20重量パーセント以下の量で使用す
ることができるが、これらの追加のポリマーの量は、増えることもあり、減ることもあり
、そして最終接着剤の所望の特性および用途(単数および複数)に依存する。
【0084】
1つの実施形態において、接着剤組成物は、少なくとも次のものを含有する。
a)その接着剤中20重量パーセントから65重量パーセントの、50,000cP未
満の(350°F(177℃)での)溶融粘度と、1より大きく、且つ、3.5以下の分
子量分布と、0.855から0.895g/cm3の密度とを有する、少なくとも1種の
シラングラフトエチレン/α−オレフィンポリマー;
b)その接着剤中10重量パーセントから60重量パーセントの、少なくとも1種の粘
着付与樹脂;および
c)その接着剤中0重量パーセントから40重量パーセントの、少なくとも1種のワッ
クス。
【0085】
もう1つの実施形態において、前記接着剤組成物は、少なくとも次のものを含有する。
(a)その接着剤中25〜100重量パーセントの、0.86から0.88g/cm3
の粘度と、3,500から50,000、好ましくは3,500から20,000cPの
350°F(177℃)での溶融粘度とを有する、少なくとも1種のシラングラフトエチ
レン/α−オレフィンポリマー;
(b)その接着剤中0〜50重量パーセントの、少なくとも1種の粘着付与剤;
(c)その接着剤中0〜35重量パーセントの、少なくとも1種のワックス(これは、
好ましくは、パラフィン系ワックス、結晶性ワックス、またはメタロセンもしくは幾何拘
束型触媒から調製された、0.86から0.88g/cm3の密度と、10から2,00
0cPの350°F(177℃)での溶融粘度とを有するワックス、あるいはこれらの組
み合わせから選択される)。
【0086】
もう1つの実施形態において、前記接着剤組成物は、少なくとも1種のシラングラフト
エチレン/α−オレフィンポリマーおよび/または少なくとも1種のシラングラフトプロ
ピレン/α−オレフィンポリマーを含有し、この場合、シラングラフトポリマーは、該組
成物の総重量に基づき15から50重量パーセントの量で存在し、ならびに該組成物は、
該組成物の総重量に基づき0から40重量パーセントの少なくとも1種の粘着付与剤、お
よび該組成物の総重量に基づき0から40重量パーセントの少なくとも1種の油を、さら
に含有する。
【0087】
もう1つの実施形態において、前記接着剤組成物は、少なくとも1種のシラングラフト
エチレン/α−オレフィンポリマーおよび/または少なくとも1種のシラングラフトプロ
ピレン/α−オレフィンポリマーを含有し、この場合、シラングラフトポリマーは、該組
成物の総重量に基づき15から50重量パーセントの量で存在し、ならびに該組成物は、
該組成物の総重量に基づき0から40重量パーセントの少なくとも1種の粘着付与剤、お
よび該組成物の総重量に基づき0から40重量パーセントの少なくとも1種のワックスを
さらに含有する。
【0088】
もう1つの実施形態において、前記接着剤組成物は、少なくとも1種のシラングラフト
エチレン/α−オレフィンポリマーおよび/または少なくとも1種のシラングラフトプロ
ピレン/α−オレフィンポリマーを含有し、該組成物は、
a)110°F(43℃)以上の引き剥がし接着破壊温度(PAFT)、および/また

b)140°F(60℃)以上の剪断接着破壊温度(SAFT)
を有する。
【0089】
もう1つの実施形態において、本発明は、少なくとも1種のシラングラフトエチレン/
α−オレフィンポリマーおよび/または少なくとも1種のシラングラフトプロピレン/α
−オレフィンポリマー、ならびに少なくとも1種のスチレン−エチレン−ブチレン−スチ
レン(SEBS)ポリマーを含む組成物を提供する。さらなる実施形態において、前記組
成物は、少なくとも1種の粘着付与剤および/または少なくとも1種の油および/または
少なくとも1種のワックスをさらに含む。
【0090】
ここで有用なワックスとしては、パラフィン系ワックス、微結晶性ワックス、高密度、
低分子量ポリエチレンワックス、熱分解ワックス、副産ポリエチレンワックス、フィッシ
ャー・トロプシュ(Fischer-Tropsch)ワックス、酸化フィッシャー・トロプシュワック
ス、および官能化ワックス(例えば、ヒドロキシステアラミドワックスおよび脂肪アミド
ワックス)が挙げられるが、これらに限定されない。高密度、低分子量ポリエチレンワッ
クス、副産ポリエチレンワックスおよびフィッシャー・トロプシュワックスを含むように
専門用語「合成高融点ワックス」が用いられることは、当分野では一般的である。適する
ワックスとしては、米国特許第6,335,410号、同第6,054,544号および
同第6,723,810号に記載されているものも挙げられる。前記特許は、すべて、そ
れら全体が参照により本明細書に取り入れられている。
【0091】
具体例としての粘着付与樹脂としては、脂肪族、脂環式および芳香族炭化水素および変
性炭化水素および水素化バージョン;テルペンおよび変性テルペンおよび水素化バージョ
ン;ロジンおよびロジン誘導体および水素化バージョン;ならびにこれらの混合物が挙げ
られるが、それらに限定されない。70℃から150℃の環球式軟化点を有する粘着付与
樹脂は、Brookfield粘度計を使用して測定したとき、3000センチポアズ以
下の、350°F(177℃)での粘度を一般に有する。有用な例としては、テネシー州
、キングスポートのEastman Chemical Co.からのEastotac
(登録商標)H−100、H−115、H130およびH142が挙げられ、これらは、
部分水素化脂環式石油炭化水素樹脂であり、それぞれ、100℃、115℃、130℃お
よび142℃の軟化点を有する。これらの樹脂は、異なる水素化レベルを示すEグレード
、Rグレード、LグレードおよびWグレードで入手することができ、Eが最低水素化レベ
ルであり、Wが最高水素化レベルである。
【0092】
他の有用な粘着付与樹脂としては、Escorez(登録商標)5300、5637お
よび5400、部分水素化脂環式石油炭化水素樹脂、ならびにEscorez(登録商標
)5600、部分水素化芳香族変性石油炭化水素樹脂が挙げられる。これらの樹脂は、す
べて、テキサス州、ヒューストンのExxonMobil Chemical Co.か
ら入手できる。他の粘着付与樹脂としては、オハイオ州、アクロンのGoodyear
Chemical Co.から入手できる脂肪族、芳香族石油炭化水素樹脂である、Wi
ngtack(登録商標)Extra;Hercolite(登録商標)2100、部分
水素化脂環式石油炭化水素樹脂;ならびにd−リモネンから製造されるスチレン化テルペ
ン樹脂であり、フロリダ州、パナマ・シティーのArizona Chemical C
o.から入手できる、Zonatac(登録商標)105および501 Liteが挙げ
られる。
【0093】
熱、光、または原料からの残留触媒のようなものによって誘導される、酸素との反応に
起因する劣化から接着剤を保護するために、安定剤および酸化防止剤を添加されることが
ある。本発明の場合のように適用温度を下げることは、劣化の低減も助ける。このような
酸化防止剤は、ニューヨーク州、ホーソーンにあるCiba−Geigyから市販され、
ヒンダードフェノール系酸化防止剤であるIrganox(登録商標)565、1010
および1076を含む。これらは、フリーラジカルスカベンジャーとして作用する一次酸
化防止剤であり、単独で使用することができ、または他の酸化防止剤、例えば、Ciba
−Geigyから入手できるIrgafos(登録商標)168のような亜リン酸系酸化
防止剤と併用することができる。亜リン酸系酸化防止剤は、二次酸化防止剤とみなされ、
これは、一般には単独で使用されず、主として過酸化物分解剤として使用される。他の利
用可能な酸化防止剤としては、コネチカット州、スタンフォードのCytec Indu
striesから入手できるCyanox(登録商標)LTDP、およびルイジアナ州、
バトンルージュのAlbemarle Corp.から入手できるEthanox(登録
商標)1330が挙げられるが、これらに限定されない。多数の他の酸化防止剤は、単独
使用に利用でき、または他のそのような酸化防止剤と併用で利用できる。使用される場合
、酸化防止剤は、その接着剤配合物の総重量に基づき、一般には0.5重量パーセント未
満、好ましくは0.2重量パーセント未満の量で存在する。
【0094】
上記接着剤は、さらに、油を含むことがある。油は、一般に、感圧接着剤の粘度を減少
させるために使用される。使用される場合、油は、その接着剤配合物の総重量に基づき、
50重量パーセント未満、好ましくは40重量パーセント未満、およびさらに好ましくは
35重量パーセント未満の量で存在する。具体例としての油類としては、白色鉱油(例え
ば、Witcoから入手できるKaydol(登録商標)油)、およびShellfle
x(登録商標)371ナフテン系油(Shell Oil Companyから入手でき
る)およびCalsol 5550(Calumet Lubricantsからのナフ
テン系油)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0095】
上記接着剤配合物は、上述したような1種以上の架橋触媒も含有することがある。
【0096】
上記接着剤は、標準的な溶融ブレンド手順によって調製することができる。詳細には、
上記シラングラフトポリマーまたはブレンドと、粘着付与剤と、他の成分とを、均質混合
物が得られるまで、不活性ガスブランケットのもとで溶融ブレンドすることができる。そ
れらの接着剤成分を劣化させることなく均質なブレンドを製造する任意の混合方法は、例
えば、攪拌機を装備した容器および任意の加熱メカニズムで十分である。成分のブレンド
は、ブレンドされる成分の性質に依存して、室温で行うこともあり、または室温より高い
または低い温度で行うこともある。
【0097】
さらに、接着剤配合物の成分は、支持体に塗布するための押出コーターに添加すること
がある。前記接着剤は、ペレット、ピローなどの形状、または任意の他の所望の構造で供
給することができる。
【0098】
前記接着剤は、ケースおよびカートン封止のためおよびトレー形成のための包装産業で
の使用に理想的に適する。これらの包装材は、未使用および再循環クラフト紙、高および
低密度クラフト紙、ボール紙、ならびに様々なタイプの処理および被覆クラフト紙および
ボール紙などの材料、およびこれらの材料の波形バージョンから製造することができる。
これらの接着剤は、複合材料、例えば、アルコール飲料の包装に使用されるタイプの包装
材も接着することができる。これらの複合材料としては、アルミニウム箔でラミネートさ
れたボール紙が挙げられ、これは、フィルム材料、例えばポリエチレン、Mylar(商
標)、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデン、エチレンビニルアセテートおよび様々な他
のタイプのフィルムにさらにラミネートされる。このようなフィルム材料は、アルミニウ
ム箔が不在の状態で、ボール紙またはクラフト紙に直接接着されることもある。本発明の
接着剤配合物を包装産業で使用される様々な支持体と共に使用できることは、通常の当業
者には理解される。
【0099】
前記接着剤は、ケースおよびカートンの封止、自動車、グラフィックアート、不織布、
パネルアセンブリ、高性能テープ、木工用HMA、触圧ホットメルト接着剤、板紙コーテ
ィング、インク、パーソナルケアおよび化粧用製品、シーラント、着色剤および添加剤濃
縮物、カーペット用接着テープ、木工用接着剤、ならびに異形材包装用接着剤を含む(し
かし、これらに限定されない)様々な用途においても使用することができる。
【0100】
シラングラフトポリマーおよびブレンドに基づく他の用途
前記シラングラフトポリマーまたはブレンドを1種以上の熱可塑性または熱硬化性ポリ
マーとブレンドし、他の用途において使用することができる。
【0101】
熱可塑性ポリマーとしては、天然または合成樹脂、例えば、スチレンブロックコポリマ
ー、ゴム、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、
低密度ポリエチレン(LDPE)、エチレン/ビニルアセテート(EVA)コポリマー、
エチレン−カルボン酸コポリマー(EAA)、エチレンアクリレートコポリマー、ポリブ
チレン、ポリブタジエン、ナイロン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリプロピレン
、エチレン−プロピレン共重合体(例えば、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロ
ピレン−ジエンモノマーゴム)、塩素化ポリエチレン、熱可塑性加硫エラストマー、エチ
レンエチルアクリレートポリマー(EEA)、エチレンスチレン共重合体(ESI)、ポ
リウレタン、およびグラフト変性オレフィンポリマーなど、ならびにこれらのポリマーの
2種以上の組み合わせが挙げられる。
【0102】
本発明のブレンド組成物は、熱成形、ブロー成形、射出成形およびオーバーモールド加
工、カレンダー加工、繊維形成プロセス、ワイヤーおよびケーブル、押出コーティングお
よび分散液をはじめとする様々な用途において使用することができる。
【0103】
加工助剤(可塑剤とも呼ばれる)も個々のブレンド成分に含まれるまたは最終ブレンド
に添加することがある。これらとしては、フタレート、例えばジオクチルフタレートおよ
びジイソブチルフタレート、天然油、例えばラノリン、ならびに石油精製から得られるパ
ラフィン、ナフテン系および芳香族油、ならびにロジンまたは石油原料からの液体樹脂が
挙げられるが、これらに限定されない。加工助剤として有用な具体例としての油類として
は、白色鉱油、例えば、Kaydol(商標)油(Witcoから入手できる、Witc
oの登録商標)およびShellflex(商標)371ナフテン系油(Shell O
il Companyから入手できる、Shell Oil Companyの登録商標
)が挙げられる。別の適する油としては、Tuflo(商標)油(Lyondellから
入手できる、Lyondellの登録商標)である。
【0104】
本発明のシラングラフトポリマーは、ブレンド成分として使用されるとき、ホットメル
ト接着剤、押出コーティングおよびラミネーション系におけるポリマー接着を強化するた
めに使用することもできる。
【0105】
本発明のシラングラフトポリマーのさらにもう1つの利点は、それらの低い結晶化度が
、それらへのフィラー(例えば、タルク、カーボンブラック、シリカ、水酸化マグネシウ
ム、炭酸カルシウム、アルミニウム三水和物など)および/または他の添加剤、例えば酸
化防止剤(例えば、Irganox 1010、ヒンダードフェノール;Irgafos
168、亜リン酸系;など)、粘着性添加剤(例えば、ポリイソブチレン)、粘着防止
剤、着色剤、顔料、ワックス、成核剤、エキステンダー油、難燃剤および粘着付与剤の高
レベルの負荷を可能にする点である。前記シラングラフトポリマーに組み込むことができ
るフィラーの量は、そのフィラー含有組成物の分子構造による、および/またはそのポリ
マーによってもたらされる他の強化にそのフィラーが干渉しない範囲による制限しか受け
ない。該組成物とフィラーを合わせた重量に基づき、70重量パーセント、80重量パー
セント以上の固体レベルを達成することができる。この高い負荷容量は、例えば、比較的
少量のポリマーを使用して、はるかに多い量の組成物に1種以上のフィラーおよび/また
は添加剤を導入する、マスターバッチ用途において、特に有用である。
【0106】
定義
本明細書に列挙する任意の数値範囲は、1単位刻みで下の値から上の値までのすべての
値を含むが、但し、いずれかの下の値からいずれかの上の値の間にも少なくとも2単位の
隔たりがあることを条件とする。例として、例えば、分子量、粘度、メルトインデックス
などのような組成的、物理的または機械的特性が、100から1,000であると述べら
れている場合、100、101、102などのようなすべての個々の値、および100か
ら144、155から170、197から200などのようなサブレンジは、本明細書に
明確に列挙されていると解釈する。1未満である値を含有する、または1より大きい分数
(例えば、1.1、1.5など)を含有する範囲についての1単位は、適宜、0.000
1、0.001、0.01または0.1であると考えられる。10未満の数(例えば、1
から5)を含有する範囲についての1単位は、一般には0.1であると考えられる。これ
らは、何を具体的に指しているかの単なる例であり、列挙されている最低値と最高値の間
の数値のすべての可能な組み合わせが、本出願において明確に述べられていると考えなけ
ればならない。溶融粘度、メルトインデックス、数平均分子量、重量平均分子量、分子量
分布、様々な温度(Tm、Tc)、結晶化度パーセント、シランの量、開始剤の量、硬化触
媒の量、シラン:開始剤比、コモノマーパーセント、グラフトされるシランの量、末端ビ
ニル不飽和の比、密度および他の特性に関して、数値範囲がここで論じるように列挙され
ている。
【0107】
用語「組成物」は、本明細書で用いる場合、該組成物を含む材料の混合物、ならびに該
組成物の材料から形成される反応生成物および分解生成物を含有する。
【0108】
用語「ブレンド」または「ポリマーブレンド」は、本明細書で用いる場合、2種以上の
ポリマーのブレンドを意味する。このようなブレンドは、混和性である場合もあり、混和
性でない場合もある。このようなブレンドは、相分離している場合もあり、していない場
合もある。このようなブレンドは、透過電子分光分析から決定したとき、1つ以上のドメ
イン構造を含有する場合もあり、含有しない場合もある。
【0109】
用語「ポリマー」は、本明細書で用いる場合、同じタイプのモノマーであろうと、異な
るタイプのモノマーであろうと、モノマーを重合させることにより調製された高分子化合
物を指す。従って、一般用語ポリマーは、1つだけのタイプのモノマーから調製されたポ
リマーを指すために通常は用いられる用語ホモポリマー、および本明細書において後で定
義する用語共重合体を包含する。用語「エチレン/α−オレフィンポリマー」および「プ
ロピレン/α−オレフィンポリマー」は、後述するような共重合体を示す。
【0110】
用語「共重合体」は、本明細書で用いる場合、少なくとも2種の異なるタイプのモノマ
ーの重合により調製されたポリマーを指す。従って、一般用語共重合体は、2種の異なる
モノマーから調製されたポリマーをいうために通常は用いられるコポリマー、および2種
より多くの異なるタイプのモノマーから調製されたポリマーを含む。
【0111】
用語「エチレン/α−オレフィンポリマー」は、本明細書で用いる場合、50モルパー
セント以上の重合エチレンモノマーを含有するエチレン系共重合体を指す。
【0112】
用語「プロピレン/α−オレフィンポリマー」は、本明細書で用いる場合、50モルパ
ーセント以上の重合プロピレンモノマーを含有するプロピレン系共重合体を指す。
【0113】
用語「シラン(が)グラフト(された)」は、本明細書で用いる場合、1種以上のシラ
ン剤から誘導されるシランを含有する部分の、ポリマー構造の骨格への、化学結合を指す
。このような部分は、ポリマー構造内に(ペンダント基として)連結されることがあり、
またはポリマー構造の末端に結合されることがあり、ならびにその骨格に沿った特定の位
置に1つ以上のシラン部分が一緒に結合されることがある。加えて、この用語は、グラフ
トポリマーのあらゆる有意な程度の架橋前に、架橋反応により2つ以上のポリマー鎖を接
続する少量のシラン部分も含む。
【0114】
用語「均一(な)」および「均一(に)分枝(した)」は、α−オレフィンコモノマー
が所与のポリマー分子内にランダムに分布し、実質的にすべてのポリマー分子が同じエチ
レン対コモノマー比を有する、エチレン/α−オレフィンポリマー(また共重合体)に関
して用いられる。
【0115】
本発明の実施の際に使用することができる均一分枝エチレン共重合体としては、線状エ
チレン共重合体、および実質的に線状のエチレン共重合体が挙げられる。
【0116】
共重合体に重合したコモノマーに由来する長鎖分枝はないが短鎖分枝を有し、ならびに
それらが同じポリマー鎖内にも、異なるポリマー鎖間にも均一に分布している、エチレン
ポリマーは、均一分枝線状エチレン共重合体に含まれる。すなわち、ちょうど、例えばE
lstonが米国特許第3,645,992号に記載したような一様分枝分布重合プロセ
スを用いて製造された線状低密度ポリエチレンポリマーまたは線状高密度ポリエチレンポ
リマーの場合のように、均一分枝線状エチレン共重合体には長鎖分枝がない。均一分枝線
状エチレン/α−オレフィン共重合体の市販例としては、三井化学株式会社(Mitsu
i Chemical Company)により供給されているTAFMER(商標)ポ
リマーおよびExxonMobil Chemical Companyにより供給され
ているEXACT(商標)ポリマーが挙げられる。
【0117】
本発明において使用される実質的に線状のエチレン共重合体は、米国特許第5,272
,236号、同第5,278,272号、同第6,054,544号、同第6,335,
410号および同第6,723,810号に記載され、各々の全内容は、本明細書に参照
により組み込まれる。実質的に線状のエチレン共重合体は、コモノマーが所与の共重合体
分子内にランダムに分布しているもの、および実質的にすべての共重合体分子が、その共
重合体内に同じエチレン/コモノマー比を有するものである。
【0118】
加えて、実質的に線状のエチレン共重合体は、長鎖分枝を有する均一分枝エチレンポリ
マーである。長鎖分枝は、そのポリマー骨格と同じコモノマー分布を有し、またそのポリ
マー骨格の長さとほぼ同じ長さを有することができる。一般に、「実質的に線状の」は、
平均で、1000の全炭素(骨格炭素と分枝炭素の両方を含む)当たり0.01の長鎖分
枝から1000の全炭素当たり3の長鎖分枝で置換されているポリマーに関する。
【0119】
一部のポリマーは、1000の全炭素当たり0.01の長鎖分枝から1000の全炭素
当たり1の長鎖分枝、さらに好ましくは、1000の全炭素当たり0.05の長鎖分枝か
ら1000の全炭素当たり1の長鎖分枝、および特に、1000の全炭素当たり0.3の
長鎖分枝から1000の全炭素当たり1の長鎖分枝で置換されていることがある。
【0120】
実質的に線状のポリマーの市販例としては、ENGAGE(商標)ポリマーおよびAF
FINITY(商標)ポリマー(両方とも、The Dow Chemical Com
panyから入手できる)が挙げられる。
【0121】
実質的に線状のエチレン共重合体は、均一分枝エチレンポリマーのユニークな類を構成
する。それらは、Elstonが米国特許第3,645,992号に記載した従来の均一
分枝線状エチレン共重合体の周知の類とは実質的に異なり、またさらに、それらは、従来
の不均一チーグラー・ナッタ触媒重合線状エチレンポリマー(例えば、例えばAnder
sonらが米国特許第4,076,698号において開示した技術を用いて製造された、
超低密度ポリエチレン(ULDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)または高
密度ポリエチレン(HDPE))と同じ類ではなく、例えば、低密度ポリエチレン(LD
PE)、エチレン−アクリル酸(EAA)コポリマーおよびエチレンビニルアセテート(
EVA)コポリマーなどの、高圧フリーラジカル開始型高分枝ポリエチレンと同じ類でも
ない。
【0122】
本発明において有用な均一に分枝した、実質的に線状のエチレン共重合体は、比較的狭
い分子量分布を有するにもかかわらず、優れた加工性を有する。驚くべきことに、この実
質的に線状のエチレン共重合体の、ASTM D−1238による、メルトフロー比(I
10/I2)は、多種多様であり得、その分子量分布(Mw/Mn、すなわちMWD)に本質
的に依存し得る。この驚くべき挙動は、従来の均一分枝線状エチレン共重合体、例えば、
Elstonが米国特許第3,645,992号に記載したもの、および不均一に分枝し
た従来のチーグラー・ナッタ重合の線状ポリエチレン共重合体、例えばAnderson
らが米国特許第4,076,698号に記載したもの、とは完全に相反する。実質的に線
状のエチレン共重合体とは異なり、(均一に分枝していようと、不均一に分枝していよう
と)線状エチレン共重合体は、分子量分布の増加につれて、I10/I2値も増加するよう
なレオロジー特性を有する。
【0123】
「骨格」は、個別の分子を指し、「ポリマー」または「バルクポリマー」は、従来の意
味で、反応装置において形成されたポリマーを指す。
【0124】
「長鎖分枝(LCB)」は、例えば、Randallの方法(Rev.Micromo
le.Chem.Phys.,C29(2&3),p.285−297)を用いて、13
核磁気共鳴(13C NMR)分光分析などの当業界では公知の従来の技法により、決定す
ることができる。2つの他の方法には、低角レーザー光散乱検出器と連結したゲル透過ク
ロマトグラフィー(GPC−LALLS)、および差動式回転粘度計検出装置と連結され
たゲル透過クロマトグラフィー(GPC−DV)がある。長鎖分枝検出のためのこれらの
技法の使用、およびそれらの基礎理論は、文献に十分詳細に記録されている。例えば、Z
imm, B.H. and Stockmayer,W.H.,J. Chem.Ph
ys.,17,1301(1949)およびRudin,A.,Modern Meth
ods of Polymer Characterization, John Wi
ley & Sons,New York(1991)pp. 103−112参照。
【0125】
「実質的に線状のエチレンポリマー」とは対照的に、「線状エチレンポリマー」は、測
定可能なまたは明白な長鎖分枝がないポリマーを意味し、すなわち、一般に、このポリマ
ーは、1000の全炭素当たり平均で0.01未満の長鎖分枝で置換されている。
【0126】
測定
溶融粘度は、Brookfield Laboratories DVII+Visc
ometerおよび使い捨てアルミニウムサンプルチャンバを使用して、次の手順に従っ
て決定する。一般に、使用するスピンドルは、10から100,000センチポアズの範
囲の粘度の測定に適するSC−31ホットメルトスピンドルである。サンプルをそのチャ
ンバに注入し、そしてまたそれをBrookfield Thermoselに挿入し、
所定の位置に固定する。このサンプルチャンバは、スピンドルが挿入され、回転している
とき、チャンバがひっくり返らないようにすることを保障するために、Brookfie
ld Thermoselの底面に適合するノッチを底面に有する。溶融したサンプルが
、サンプルチャンバの頂部より約1インチ下(約8グラムの樹脂)になるまで、サンプル
を必要温度に加熱する。粘度計装置を下げ、スピンドルをサンプルチャンバに沈める。そ
の粘度計のブラケットがそのThermoselの正しい位置になるまで、下げ続ける。
粘度計のスイッチを入れ、30から60パーセントの範囲のトルク読取に導く剪断速度で
動作するように設定する。読取は、約15分間または値が安定するまで1分ごとに行い、
この15分のまたは値が安定した時点での最終読取を記録する。
【0127】
エチレン系ポリマーについての平均分子量および分子量分布は、Polymer La
boratories Model PL−210またはPolymer Labora
tories Model PL−220のいずれかからなるクロマトグラフシステムで
決定する。ポリエチレン系ポリマーについては、カラムおよび回転式区画を140℃で動
作させる。カラムは、3本のPolymer Laboratories 10−mic
ron Mixed−Bカラムである。溶媒は、1,2,4トリクロロベンゼンである。
サンプルは、50ミリリットルの溶媒中0.1グラムのポリマーの濃度で調製する。サン
プルを調製するために使用する溶媒は、200ppmのブチル化ヒドロキシトルエン(B
HT)を含有する。2時間、160℃で静かに攪拌することにより、サンプルを調製する
。注入容量は、100マイクロリットルであり、流量は、1.0ミリリットル/分である
。GPCカラムセットの較正は、Polymer Laboratories(英国)か
ら購入した狭い分子量分布のポリスチレン標準物質で行う。(Williams and Ward, J. Po
lym. Sci., Polym. Let., 6, 621 (1968)に記載されているように)次の方程式を用いて
、ポリスチレン標準物質のピーク分子量をポリエチレン分子量に変換する。
【数1】

(式中、Mは、分子量であり、Aは、0.4315の値を有し、Bは、1.0である。)
【0128】
ポリエチレン当量分子量の計算は、Viscotek TriSECソフトウェア V
ersion 3.0を使用して行った。ポリプロピレン系ポリマーの分子量は、AST
M D6474.9714−1に従って、Mark−Houwink比を用いて決定する
ことができ、この場合、ポリスチレンについては、a=0.702およびlog K=−
3.9であり、ポリプロピレンについては、a=0.725およびlog K=−3.7
21である。ポリプロピレン系サンプルについてのカラムおよび回転式区画は、160℃
で動作させる。
【0129】
用語「MI」とは、ポリエチレン系ポリマーについてはASTM D−1238、Co
ndition 190℃/2.16kg(ポリプロピレン系ポリマーについてはCon
dition 230℃/2.16kg)を用いて測定される、g/10分でのメルトイ
ンデックス、I2を意味する。メルトインデックスは、米国特許第6,335,410号
、同第6,054,544号、同第6,723,810号に記載されているように、Br
ookfield粘度からも決定される。
【0130】
表記「I10」は、ASTM D−1238、Condition 190℃/10.0
kgを用いて測定される、g/10分でのメルトインデックスを指す。
【0131】
示差走査熱分析(DSC)を用いて、ポリエチレン(PE)系サンプルおよびポリプロ
ピレン(PP)系サンプルにおける結晶化度を測定する。サンプルを190℃の温度で薄
膜にプレスする。約5から8mgの薄膜サンプルを計量し、DSCパンに入れる。蓋をパ
ンに圧着して、密閉雰囲気を確保する。サンプルパンをDSCセル内に配置し、その後、
PEについては180℃(PPについては230℃)の温度に、約10℃/分の速度で加
熱する。この温度で3分間、サンプルを保持する。その後、サンプルを、PEについては
−60℃(PPについては−40℃)に、10℃/分の速度で冷却し、3分間、その温度
で等温保持する。次に、サンプルを、完全に溶融するまで、10℃/分の速度で加熱する
(第二加熱)。第二加熱曲線から決定した融解熱(Hf)を、PEについては292J/
g(PPについては165J/g)の理論融解熱で割り、この量に100を掛けることに
よって、結晶化度パーセントを計算する(例えば、(PEについて)結晶化度%=(Hf
/292J/g)×100)。
【0132】
特に明記しない限り、各共重合体サンプル(ベースポリマー、シラングラフトポリマー
および硬化シラングラフトポリマー)の融点(Tm)は、上述したとおりDSCから得ら
れる第二加熱曲線から決定する。結晶化温度(Tc)は、第一冷却曲線から測定する。
【0133】
密度は、ASTM D−792に従って測定する。測定される密度は、「クイック密度
」であり、これは、成形時から1時間後にその密度を決定したことを意味する。
【0134】
キシレン抽出可能%は、ASTM D−2765 Procedure Aに従って測
定した。
【0135】
プロトン核磁気共鳴(1H NMR)分光分析−末端基
1H NMR分析を用いて、末端基構造を決定した。2.5mLの溶媒中の約0.100
gのポリマーを10mm NMR管に添加することにより、サンプルを調製した。溶媒は
、1,1,2,2−テトラクロロエタン−d2とパークロロエチレンの50/50混合物
であった。その管およびその内容物を110℃で加熱およびボルテックスすることにより
、サンプルを溶解し、均一化した。Varian Unity Plus 400MHz
NMRスペクトロメータを使用して、データを収集した。このPresat実験に使用
した取得パラメータとしては、30μ秒のパルス幅、データファイル当たり200の過渡
値、1.6秒の取得時間、10000Hzのスペクトル幅、32Kデータ点のファイルサ
イズ、温度設定点 110℃、D1遅延時間 4.40秒、Satdly 4.0秒、16
のSatpwrが挙げられる。
【0136】
すべての不飽和の合計に対する末端ビニル基の比、Rvを下記で定義する。上述したよ
うに、Rvは、1H NMR分光分析を用いて決定することができ、またはそれに決定力が
ない場合には、サンプル中の異なる炭素に対応するピークの強度が、そのサンプル中の寄
与核の総数に正比例する条件下で13C NMR分光分析により決定することができる。Rv
値を次のとおり定義する。
【数2】

(式中、[ビニル]は、ビニル数/(1000個の炭素原子)で表される、単離されたポ
リマー中のビニル基の濃度であり;[ビニリデン]、[シス]および[トランス]は、そ
れぞれ、量/(1000個の炭素原子)で表される、単離されたポリマー中のビニリデン
、シスおよびトランスの濃度である。
【0137】
フーリエ変換赤外分光法(FTIR)分析
ビニルトリエトキシシラン(VTES)がグラフトされたランダムエチレン/オクテン
コポリマー中のシランの量を、フーリエ変換赤外分光法(FTIR)によって決定した。
他のポリマーおよび/または他のシラン化剤について、当業者は、適切な較正を実行して
、FTIRからシラン含量を決定することができる。
【0138】
シラングラフトポリマーから、油圧プレスで、75℃で2分間、低(接触)圧で、およ
び1分間、高圧(20,000psi)で加熱することにより、7〜10ミル厚のサンプ
ルフィルムを形成した。サンプルをそのプレスから取り出し、室温に冷却した。その後、
サンプルをフィルムホルダー内に配置し、1時間、50℃の真空オーブンに入れた。サン
プルを1時間、そのオーブン内に置いた後、およびサンプルを24時間、室温で保持した
後、FTIRスペクトルを収集した。FTIRスペクトルについて言えば、吸光度に関し
て64のスキャンを4cm-1の分解能で収集した。次の2つのピークの正味吸光度は、注
記する2つの最小値と接するベースラインを用いて計算した。
1105cm-1(Si−O) 1153〜993cm-1
2023cm-1(厚) 1195〜2114cm-1
【0139】
スペクトルは、オーブン内での1時間の後に収集し、室温での24時間の後に再び収集
した(最初のオーブン老化により、グラフトされていないシランの95パーセントが除去
されることとなる)。ビニルトリエチレンシランのパーセント(%VTES)は、110
5cm-1ピークの2023cm-1ピークに対する比よって決定される。この比の値を次の
方程式で用いて、VTESパーセントを決定する。
%VTES = (0.1156 × ピーク高さ1105cm-1)+0.0345 ピー
ク高さ2023cm-1
【0140】
機械的分析
ASTM D−1708に従って、Model 1125 Instron 引張フレ
ームを用いて、5’’/分でマイクロ引張試験片を引っ張った。試験片を空気圧式グリッ
プ(60psi)で保持し、1000ポンドの較正済みロードセルを用いてモニターした
。試験は、20ポンドのフルスケールレンジで実行した。
【0141】
Rheometrics(現在はTA)ARESを用いて、ねじりモードで、窒素パー
ジしながら1rad/秒で、5℃単位で、−100℃から180℃の固体状態動的機械的
分光分析(DMS)データを集めた。
【0142】
熱機械的分析装置(TMA)データは、190℃でプレスし、室温に空冷したサンプル
メルトを用いて集めた。これらのサンプルは、少なくとも約0.2mm(8ミル)厚であ
った。使用した代表的なプローブ力は、102gm(1N)であった。このプローブ力を
継続的に印加した。プローブの直径は、1.0mm(40ミル)であった。サンプルを窒
素中、5℃/分の速度で加熱した。
【0143】
プログラムされたオーブンでの引き剥がし(100g)およびプログラムされたオーブ
ンでの剪断(500g)(PAFTおよびSAFT)
ガラス棒およびシムを用いて手でクラフト紙に各サンプルを塗布した。得られた塗膜は
、約8〜10ミル、すなわち0.008から0.010インチ(0.2から0.25mm
)厚である1インチ(2.5cm)幅のバンドである。それらの接着層を25℃、54パ
ーセントの相対湿度(RH)で硬化させ、8、24、48、72、96、144、192
、336および500時間の時点で試験した。
【0144】
PAFTおよびSAFTは、引き剥がしモード(PAFT)については100グラム重
および剪断モード(SAFT)については500グラム重でサンプルをプログラムされた
オーブンの中に配置し、ASTM D−4498に従って25℃/時の速度で25℃から
175℃に温度を上昇させることにより決定した。このオーブンは、サンプルが破壊する
温度を自動的に記録する。報告される結果は、4つから5つの接着層の平均破壊温度であ
る。
【0145】
繊維引裂試験
繊維引裂は、Inland Containerの「High Performanc
e」ダンボール板紙ストック、100パーセント未使用分、58#を用いて行った。ダン
ボール紙板紙ストックに関する繊維引裂パーセントは、標準的な工業試験法に従って導く
。接着剤を350°F/177℃に加熱し、波形の溝が縦方向に走る1×3インチ(25
×76mm)の長方形シートに切断した板紙ストックに塗布する。試験すべき接着剤は、
約5mm/0.2インチ幅のストリップとして、縦方向に進めながら塗布し、またスパチ
ュラまたはホットメルトアプリケータを用いて引き落としてもよい。その後、第二ストリ
ップを2秒以内に塗布し、中圧で5秒間保持してラミネートする。
【0146】
それらのサンプルを24時間、室温および54パーセントRH(相対湿度)で硬化させ
た。もう1つの事例では、72時間、室温および54パーセントRHで硬化させた。その
後、24時間、室温および54パーセントRHで硬化させた接着層を、0°F、35°F
、120°Fまたは140°Fの試験温度で引き離した。72時間、室温および54パー
セントRHで硬化させた接着層は、160°Fの試験温度で引き離した。その試験温度で
接着層を引裂くために、接着層は、コンディショニング時間終了後、直ちに試験した。接
着層は、1つの角の下にスパチュラの刃を挿入してその角を折り上げることにより引裂い
た。その後、接着層を、その折り曲げられた角がある側を上向きにして、水平面に置いた
。折り曲げられた角を手でつかみ、接着層を引裂いた。コンディショニング温度を維持す
るために加熱または冷却源のできる限り近くにそのラミネートを保持しながら、折り曲げ
られた角を、各シートの縦軸に対して約45から90度で、できる限りすばやく手で引っ
張って、接着層を引裂く。引裂かれた繊維のパーセントを25パーセント刻みで、すなわ
ち0パーセント、25パーセント、50パーセント、75パーセントおよび100パーセ
ントで、概算する(繊維引裂、すなわちFT)。特に明記しない限り、FT試験は、通常
、5つの反復試験サンプルで反復し、これら5つの試験の平均を報告する。
【0147】
ホットメルトまたは感圧接着剤のサンプル調製
粘着付与剤、油および触媒を150℃でブレンドした。樹脂(シランがグラフトされた
もの)をそのブレンドに添加し、その最終組成物を、なめらかな均質混合物が得られるま
で混合した。一般に、本発明の接着剤は、標準的な溶融ブレンド手順によって調製するこ
とができる。詳細には、ポリマー、粘着付与剤および任意の可塑剤またはワックスを、均
質混合物が得られるまで、不活性ガスブランケットのもと、高温(150℃から200℃
)で溶融ブレンドすることができる。成分を劣化させることなく均質なブレンドを生じさ
せる混合法、例えば、攪拌機を装備した加熱容器の使用による方法で十分である。
【0148】
引き剥がし試験手順
接着剤をMylarフィルム上に25gsm(平方メートル当たりのグラム)でホット
メルト塗布し、25℃および54パーセントRHでコンディショニングした。次の時間、
48、72、96、144、216、264および336時間の時点で、1インチ幅スト
リップをコンディショニングチャンバから取り出し、PSTC−1試験プロトコルを用い
、I−Massスリップ引き剥がし試験装置を用いて12’’/分の速度でステンレス鋼
に対する引き剥がし試験を行った。
【0149】
本発明のポリマー、組成物およびプロセス、ならびにそれらの使用は、後続の実施例に
よってさらに十分に説明する。後続の実施例は、本発明の例証を目的として提供するもの
であり、本発明の範囲の限定と解釈すべきではない。
【0150】
実施例
反応押出を用いる高メルトフローポリオレフィンのシラングラフト化
後述する特性を有する3つのランダムエチレン/オクテンコポリマー、EO1、EO2
およびEO(200MI)にシランをグラフトした。液体マスターバッチにおけるシラン
対過酸化物比は、55:1から333:1の範囲に変化した。樹脂およびシラン/過酸化
物マスターバッチを、そのマスターバッチの一定の重量%で押出機に供給した。EO1お
よびEO2コポリマーは、両方とも、Ciba Specialty Chemical
sから入手できるIrganox(商標)1010で安定させた。
【0151】
EO1は、次の特性を有するランダムエチレン/オクテンコポリマーである。0.87
g/ccの密度、350°F(177℃)で8200cPの溶融粘度、190℃/2.1
6kgで1000g/10分の見掛けのメルトインデックス(I2)、および結晶化度パ
ーセント約16。
【0152】
EO2は、0.874g/ccの密度、350°F(177℃)で17,000cPの
溶融粘度、190℃/2.16kgで500g/10分の見掛けのメルトインデックス(
2)、および結晶化度パーセント約18を有する、ランダムエチレン/オクテンコポリ
マーである。
【0153】
EO(200MI)は、0.870g/ccの密度、および190℃/2.16kgで
200g/10分の見掛けのメルトインデックス(I2)を有する、ランダムエチレン/
オクテンコポリマーである。
【0154】
メルトインデックス(見掛け)は、次の方程式(米国特許第6,335,410号参照
)から計算した。
【数3】

(式中、η=350°FにおけるcPでの溶融粘度)。
【0155】
代表的な手順
EO1コポリマーと、10重量% ビニルトリエトキシシラン(VTES、0.87ポ
ンド(0.395kg))および600ppm Trignox(登録商標)101(2
,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、4.1g)を含有する
液体シラン/過酸化物マスターバッチ混合物とを、共回転二軸スクリュー、連続押出機(
11バレル部押出機(eleven barrel section extruder)を伴うWerner & Pf
leidere−ZSK 30)の供給口に同時に添加した。各バレル部は、90mmの
長さであり、それらのバレル部が、縦方向に重ねられていた。内部バレル部3〜9の温度
を235℃に設定し、初期温度は、140℃から235℃の範囲に変化した。バレル部1
、2、10および11は加熱しなかったが、バレル部10および11の温度は、溶融した
樹脂からの熱伝達により上昇した。全押出量は、10ポンド/時(4.54kg/時)で
あり、押出機は、300RPMで動作させた。押出機を通る樹脂の滞在時間は、約1〜4
分であった。前記混合物をダイプレートを通して継続的に押出し、水中ペレタイザー内で
急冷し、ペレットに切断した。ペレット形成を容易にするためおよびペレットの凝集を防
止するために、ペレット水温を23℃未満で維持した。押出し中に、未反応シランの一部
(約225g)を、その押出機の末端の方に位置するバレル部9に位置する−25インチ
Hg(−635mmHg)に設定された真空ベントにより、その押出機から取り出した。
【0156】
押出機内のシランの重量百分率は、樹脂の質量流およびシラン/過酸化物マスターバッ
チの容積流量(これは、較正に基づいて質量流に変換した)から決定した。押出し後、完
成ペレットのサンプルを薄膜に成形し、その後、FTIR法によって試験して、樹脂中に
存在するシランの初期量を決定した。次に、その薄膜を真空オーブンにおいて50℃の高
温で少なくとも1時間、コンディショニングして、残留未結合シランを蒸発させた。その
コンディショニングされた薄膜サンプルに対してFTIR測定を繰り返して、そのポリマ
ーにおける最終シラングラフトレベルを得た。グラフトされたシランの百分率をFTIR
によって決定した。
【0157】
このFTIR手順については、対応する基準材料標準物質を用いて中性子活性化により
絶対シラングラフトレベルを測定する。その後、その同じ基準材料をFTIRによって測
定し、シラングラフト周波数でのピークを、中性子活性化法によって得られた絶対値と相
関させる。特定のタイプのポリマー標準物質についての実際のグラフトレベルに対するF
TIR吸光度の較正曲線を作成する。その後、グラフトされたサンプルをFTIRによっ
て試験し、標準物質について確率された相関方程式に基づいて、グラフトされたシランの
値を計算する。
【0158】
表1は、次の重量百分率の一覧を提供するものである。押出機に添加したシラン、押出
物中に残存するシラン、および樹脂にグラフトされたシラン。このシランおよび過酸化物
の重量は、各々、反応性組成物の総重量(ベース樹脂(または樹脂配合物)+シラン+過
酸化物)に基づく。表2は、追加のグラフトの結果を提供するものであり、高メルトイン
デックス、ランダムエチレン/1−オクテンコポリマー(見掛けのメルトインデックス=
200g/10分)についての、および70重量パーセントのこのコポリマーと30重量
パーセントの、上で説明したような、EO2コポリマーとを含有するブレンドについての
グラフトの結果も提供する。表2からわかるように、10.5重量パーセントのシランの
量に対して1000ppmの過酸化物が、より高いグラフト効率をもたらした。
【表1】

【表2】

【0159】
2種のグラフトポリマー、サンプル4および10(表1)を、物理的および機械的特性
に関してさらに特性付けし、接着剤試験用に配合した。
【0160】
シラングラフトポリオレフィンの硬化および機械的試験
樹脂/活性化剤ブレンドの配合およびその後の水中での硬化
2種のシラングラフト、高フローEOコポリマー(実施例4および10)を、水の存在
下、活性化剤としてジブチル錫ジラウレートを用いて、硬化させた。該シラングラフト樹
脂を密閉フォイルバッグ内に保管した。シラングラフト樹脂とジブチル錫ジラウレート(
ALDRICH 95%)をRheomix 3000(310mL/200グラム)ボ
ウルにおいて85℃でブレンドした。樹脂を添加する前に、Rheomixボウルを85
℃に予熱し、ローターを70rpmで始動させた。直ちに樹脂(200グラム)をボウル
に添加した。樹脂を溶融し、8分間、ローターの回転によって攪拌し、その後、ローター
を停止させ、ラムを持ち上げ、ジブチル錫ジラウレート(0.17mL)を添加した。ラ
ムを降ろし、ローターを70rpmで始動させた。該ブレンドをさらに5分間、混合させ
た。その後、ポリマーを取り出し、室温プレスでMylarフィルムにプレスして、サン
プルを固化させた。
【0161】
その後、固化したサンプルを、積層プレスを用いて、2つの5’’× 5’’プラーク
、80ミル厚、に成形した。その後、オーブン内で熱平衡化させておいた水のトレーの中
にそれらのプラークを配置し、90℃に加熱した。それらのプラークを水中で熱処理し(
硬化させ)、約84℃と87℃の間の温度で17時間、平衡化させた。それらのプラーク
を乾燥させ、ダイを使用してそれらのプラークからマイクロ引張試験片を切り取った。
【0162】
硬化サンプルおよびベースポリマーのマイクロ引張試験を調製し、試験した。ダイで切
断したマイクロ引張試験片を、ASTM D−1708に従って、Model 1125
Instron引張フレームを用いて、5’’/分で引っ張った。試験片を空気圧式グ
リップ(60psi)で把持し、1000ポンドの較正済みロードセルを用いてモニター
した。試験は、20ポンドのフルスケールレンジで実行した。
【0163】
ベース樹脂、グラフト樹脂(サンプル4および10)ならびにそれぞれの硬化樹脂の物
理的特性を表3に示す。
【表3】

【0164】
ベースおよび硬化樹脂の機械的特性を下の表4に示す。
【表4】

【0165】
シランのグラフトは、結果として、密度をわずかに増加させ、粘度を少し減少させた。
また、結晶化度および溶融温度はほとんど変化しなかった。一方で、グラフト樹脂を硬化
させると、弾性率および破断伸びの両方が、有意に増加した。さらに、硬化した樹脂は、
より高い(約80℃より高い)温度で強い貯蔵弾性率を保持していた。機械的特性(DM
Sからの応力/歪および貯蔵弾性率G’)を図1および2に示す。
【0166】
ベース樹脂および硬化シラングラフト樹脂についてのTMAの結果を図3に示す。硬化
したサンプルは、有意なプローブ侵入が起こる前、より高い温度に対して構造を維持した

【0167】
接着剤試験−ケースおよびカートン封止用途
ケースおよびカートン封止用の接着剤配合物を下の表5に示す。これらの配合物は、次
のSAFT試験、PAFT試験および繊維引裂試験およびBrookfield粘度試験
を用いて試験した。すべての量は、該組成物の総重量に基づく重量パーセントでの量であ
る。
【0168】
「Si−g−EO2」は、4.29重量%シラングラフトを含有する、シラングラフト
エチレン/1−オクテンコポリマー(サンプル4参照)である。「Si−g−EO1」は
、2.24重量%シラングラフトを含有する、シラングラフトエチレン/1−オクテンコ
ポリマー(サンプル10参照)である。グラフトの重量パーセントは、上述したように、
反応性組成物の総重量(または反応性組成物に添加したシランの総重量)に基づく。非グ
ラフトEO2コポリマーは、対照として機能する。ESCOREZ 5637は、Exx
onMobil Chemical Co.からの粘着付与樹脂であり、DABCO T
−12は、Air Productsによって製造された錫系触媒(硬化用)である。
【表5】

【0169】
接着特性、SAFT、PAFTおよび繊維引裂パーセントを下の表6に示す。加えて、
350°F(177℃)で配合物の溶融粘度(Brookfield粘度)を経時的に測
定することにより、各接着剤配合物の熱安定性を判定した。粘度の結果も表6Aおよび6
Bに示す。
【表6】

【表7】

【0170】
結果の概略:
A−1配合物を除くすべてのサンプルは、8時間でのBrookfield粘度(35
0°F)によって示されるように、かなり良好な熱安定性(350°F)を有した。A−
1配合物は、2回製造したが、両回ともゲル化した。
【0171】
無触媒サンプルは、54パーセントRHで500時間後でさえ、硬化しなかった。すべ
ての触媒硬化サンプルのSAFTが増加した。多くの場合、有意な増加が観察された。I
nland段ボール板紙ストック上の接着層は、配合シラン化EOおよび非シラン化対照
について同様の引裂き結果を示した。0.2パーセントから0.5パーセントへの触媒の
増加は、熱安定性を犠牲にするが、わずかに硬化速度を増加させた。
【0172】
接着剤試験−ホットメルト/感圧接着剤配合物
接着剤配合物を下の表7に示す。
【表8】

【0173】
Si−g−EO2は、上述したように、4.29重量%シラングラフトを含有するシラ
ングラフトエチレン/1−オクテンコポリマーである。ESCOREZ 5637は、E
xxonMobil Chemical Co.からの粘着付与樹脂であり、Air P
roductsによって製造されたDABCO T−12は、錫系触媒(硬化用)である
。CALSOL 5550は、Calumet Lubricantsによって製造され
たナフテン系油である。
【0174】
これらの接着剤配合物を、感圧テープ(PSTC−1)試験およびSAFT試験を用い
て検査した。PSTC−1は、ASTM D3330/D3330M−02 感圧テープ
の引き剥がし接着力についての標準試験法に対応する。
【0175】
3つの個々の引き剥がしの平均引き剥がし値を記録した。図4に示すように、ステンレ
ス鋼に対する引き剥がし接着力を0から336時間にわたって数時間間隔で測定した。結
果を下の表8に掲載する。
【表9】

【0176】
SAFT試験手順
SAFT値を図5に示し、下の表9に要約する。
【表10】

【0177】
接着剤試験の概要:
C1配合物についてのPSTC−1引き剥がし試験の破壊様式は、全試験期間にわたっ
て、本質的に凝集性であった。
C2配合物についてのPSTC−1引き剥がし試験の破壊様式は、初期は凝集性であり
、48時間の硬化でステンレスパネルに対して、本質的にジッパー的(zippery)および
接着性になった。
これらの材料の粘度は、測定しなかったが、B−1配合物に基づき、C2配合物は、ほ
ぼ同じ粘度(350°Fで1,180cP)を有するはずであり、C1配合物は、それよ
りわずかに粘度が低いはずである。
高い融点、高い分子量の粘着付与剤(ESCOREZ 5637)を用いるほど、遅い
速度で硬化する、または同じ程度には硬化しない、そして硬化後にその感圧特性を維持し
ていない生成物が生じたようである。
C1配合物の粘度は、350°Fで約1,000cPと概算されたが、これは、ステン
レス鋼に対する著しく高い引き剥がし接着力、および著しく高い(≧300°F)SAF
Tを有した。
C1配合物は、比較的低いレベルの表面粘着性を有し、高い引き剥がし力を顕著にもた
らした。
EO(エチレン/オクテン)ポリマーに特有の相溶性により、例えばスチレン・エチレ
ン・ブチレン・スチレン(SEBS)での、生成物変性が可能となろう。
【0178】
末端基分析
EO2コポリマーについての1H NMRによって測定した末端基分析を表10に示す。
【0179】
EO2は、上述したとおり、0.874g/ccの密度、350°F(177℃)で1
7,000cPの溶融粘度、190℃/2.16kgで500g/10分のメルトインデ
ックス(I2)および結晶化度パーセント約18を有するランダムエチレン/オクテンコ
ポリマーである。
【表11】

【0180】
追加のシラングラフトの結果
EO2系樹脂を用いる追加のグラフトの結果を下の表11に示す。各グラフト反応は、
押出機内で、300〜425rpmのスクリュー速度、および200〜240℃の平均温
度(ゾーン3〜8)で発生した。供給量は、5〜10ポンド/時であった。それらのグラ
フトポリマーを真空下で処理して、遊離シラン(VTMS)を除去した。グラフトしたシ
ランの量を表11に掲載する。
【表12】

【0181】
サンプル31〜52は、次の特性を有した。a)14,500から16,000cPの
範囲にわたる177℃での溶融粘度;b)10,900から12,300cPの範囲にわ
たる190℃での溶融粘度;c)0.887から0.881g/ccの密度;d)10,
500から11,600g/モルの数平均分子量;e)23,800から25,100の
重量平均分子量;f)2.1から2.4の分子量分布(Mw/Mn);g)71℃から73
℃のピーク融点(DSC);h)52℃から55℃(主ピーク)および30℃から35℃
(副ピーク)の結晶化温度(DSC);ならびに18から20パーセントの結晶化度パー
セント(DSC)。
【図面の簡単な説明】
【0182】
【図1】硬化シラングラフト樹脂およびそれぞれのベース樹脂(EO1およびEO2)の応力−歪プロフィールを示す図である。
【図2】硬化シラングラフト樹脂およびそれぞれのベース樹脂(EO1およびEO2)の「貯蔵弾性率(G’)の温度に対する」プロフィールを示す図である。
【図3】硬化シラングラフト樹脂およびそれぞれのベース樹脂(EO1およびEO2)のTMA(熱機械分析装置)プロフィールを示す図である。
【図4】2種の硬化シラン化樹脂についての「ステンレス鋼に対する引き剥がし接着力の時間に対する」プロフィールを示す図である。
【図5】2種の硬化シラン化樹脂についての「SAFT(剪断接着破壊温度)の時間に対する」プロフィールを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種のシラングラフトエチレン/α−オレフィンポリマーを含む組成物であ
って、前記シラングラフトエチレン/α−オレフィンポリマーが、350°F(177℃
)で50,000cP未満の溶融粘度を有するものである、前記組成物。
【請求項2】
前記少なくとも1種のシラングラフトエチレン/α−オレフィンポリマーが、1から3
.5の分子量分布(Mw/Mn)を有するエチレン/α−オレフィンポリマーから形成され
る、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記少なくとも1種のシラングラフトエチレン/α−オレフィンポリマーが、式(I)
CH2=CR−(COO)x(Cn2nySiR’3 (I)
(式中、Rは、水素原子またはメチル基であり;xおよびyは、0または1であるが、但
し、xが1であるとき、yは1であることを条件とし;nは、1から12の整数であり;
ならびに各R’は、独立して、1から12個の炭素原子を有するアルコキシ基、アリール
オキシ基、アラルオキシ基、1から12個の炭素原子を有する脂肪族アシルオキシ基、ア
ミノもしくは置換アミノ基、または1から6個の炭素原子を有する低級アルキル基である
が、但し、3個のR’基のうち2個以下がアルキルであることを条件とする)
によって表される少なくとも1種のシランから形成される、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記少なくとも1種のシランが、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラ
ンおよび3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレートからなる群より選択される
、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記少なくとも1種のシラングラフトエチレン/α−オレフィンポリマーが、1H NM
Rによって決定したとき、0.001から0.5の、すべての不飽和の合計に対する末端
ビニル基の比を含有するエチレン/α−オレフィンポリマーから形成される、請求項1に
記載の組成物。
【請求項6】
前記少なくとも1種のシラングラフトエチレン/α−オレフィンポリマーが、1H NM
Rによって決定したとき、0.01から0.4の、すべての不飽和の合計に対する末端ビ
ニル基の比を含有するエチレン/α−オレフィンポリマーから形成される、請求項1に記
載の組成物。
【請求項7】
前記少なくとも1種のシラングラフトエチレン/α−オレフィンポリマーが、1H NM
Rによって決定したとき、0.1から0.3の、すべての不飽和の合計に対する末端ビニ
ル基の比を含有するエチレン/α−オレフィンポリマーから形成される、請求項1に記載
の組成物。
【請求項8】
前記少なくとも1種のシラングラフトエチレン/α−オレフィンポリマーが、50,0
00cP(177℃)未満の溶融粘度を有するエチレン/α−オレフィンポリマーから形
成される、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記少なくとも1種のシラングラフトエチレン/α−オレフィンポリマーが、25,0
00未満の数平均分子量(Mn)を有するエチレン/α−オレフィンポリマーから形成さ
れる、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記少なくとも1種のシラングラフトエチレン/α−オレフィンポリマーが、25パー
セント未満の結晶化度パーセントを有するエチレン/α−オレフィンポリマーから形成さ
れる、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記少なくとも1種のシラングラフトエチレン/α−オレフィンポリマーが、50℃か
ら80℃の少なくとも1つの溶融温度を有するエチレン/α−オレフィンポリマーから形
成される、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記少なくとも1種のシラングラフトエチレン/α−オレフィンポリマーが、長鎖分枝
が無いエチレン/α−オレフィンポリマーから形成される、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記少なくとも1種のシラングラフトエチレン/α−オレフィンポリマーが、長鎖分枝
を有するエチレン/α−オレフィンポリマーから形成される、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
前記少なくとも1種のシラングラフトエチレン/α−オレフィンポリマーが、エチレン
と、エチレン性不飽和モノマー、共役ジエン、非共役ジエンおよびポリエンからなる群よ
り選択される少なくとも1種のコモノマーとのコポリマーから形成される、請求項1に記
載の組成物。
【請求項15】
前記コモノマーが、C3〜C20α−オレフィン、スチレン、アルキル置換スチレン、ビ
ニルベンゾシクロブタンおよび1,4−ヘキサジエンからなる群より選択されるエチレン
性不飽和モノマーである、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
前記C3〜C20α−オレフィンが、1−プロペン、イソブチレン、1−ブテン、1−ヘ
キセン、1−ヘプテン、4−メチル−1−ペンテンおよび1−オクテンからなる群より選
択される、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
前記C3〜C20α−オレフィンが、プロピレンおよび1−オクテンからなる群より選択
される、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
前記少なくとも1種のシラングラフトエチレン/α−オレフィンポリマーが、エチレン
/α−オレフィンポリマーを少なくとも1種のシラン化合物および少なくとも1種の開始
剤と反応させることによって調製され、前記「少なくとも1種のシラン化合物」の前記「
少なくとも1種の開始剤」に対する重量比が、30:1から400:1である、請求項1
に記載の組成物。
【請求項19】
前記反応が押出機の中で起こる、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
前記エチレン/α−オレフィンポリマーが1種のシラン化合物および1種の開始剤と反
応し、前記エチレン/α−オレフィンポリマーが、1から3.5の分子量分布を有する、
請求項18に記載の組成物。
【請求項21】
前記エチレン/α−オレフィンポリマーが、1から3の分子量分布を有する、請求項2
0に記載の組成物。
【請求項22】
前記エチレン/α−オレフィンと反応するシラン化合物が、前記反応性組成物の総重量
に基づき少なくとも5重量パーセントの量で存在し、前記開始剤が、前記反応性組成物の
総重量に基づき300ppmから1500ppmの量で存在する、請求項20に記載の組
成物。
【請求項23】
前記エチレン/α−オレフィンポリマーにグラフトされる少なくとも1種のシランの量
が、前記反応性組成物の総重量に基づき0.5重量パーセントより多い、請求項18に記
載の組成物。
【請求項24】
前記エチレン/α−オレフィンポリマーにグラフトされる少なくとも1種のシランの量
が、前記反応性組成物の総重量に基づき2重量パーセントより多い、請求項18に記載の
組成物。
【請求項25】
少なくとも1種の粘着付与剤をさらに含む、請求項23に記載の組成物。
【請求項26】
少なくとも1種のワックスをさらに含む、請求項23に記載の組成物。
【請求項27】
少なくとも1種の油をさらに含む、請求項23に記載の組成物。
【請求項28】
前記少なくとも1種のシラングラフトエチレン/α−オレフィンポリマーが、前記組成
物の総重量に基づき15から50重量パーセントの量で存在する組成物であって、前記組
成物の総重量に基づき0から40重量パーセントの少なくとも1種の粘着付与剤、および
前記組成物の総重量に基づき0から40重量パーセントの少なくとも1種の油をさらに含
む、請求項23に記載の組成物。
【請求項29】
前記少なくとも1種のシラングラフトエチレン/α−オレフィンポリマーが、前記組成
物の総重量に基づき15から50重量パーセントの量で存在する組成物であって、前記組
成物の総重量に基づき0から40重量パーセントの少なくとも1種の粘着付与剤、および
前記組成物の総重量に基づき0から40重量パーセントの少なくとも1種のワックスをさ
らに含む、請求項23に記載の組成物。
【請求項30】
a)110°F(43℃)以上の引き剥がし接着破壊温度(Peel Adhesion Failure Te
mperature)(PAFT)、および/または
b)140°F(60℃)以上の剪断接着破壊温度(Shear Adhesion Failure Tempera
ture)(SAFT)
を有する、請求項25に記載の組成物。
【請求項31】
前記少なくとも1種のシラングラフトエチレン/α−オレフィンポリマーが、1から3
.5の分子量分布(Mw/Mn)を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項32】
前記少なくとも1種のシラングラフトエチレン/α−オレフィンポリマーが、5,00
0から25,000の数平均分子量を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項33】
前記少なくとも1種のシラングラフトエチレン/α−オレフィンポリマーが、10,0
00から50,000の重量平均分子量を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項34】
前記少なくとも1種のシラングラフトエチレン/α−オレフィンポリマーが、0.85
5g/cm3から0.93g/cm3の密度を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項35】
1から .5の分子量分布を有するエチレン/α−オレフィンポリマーを少なくとも1
種のシラン化合物および少なくとも1種の開始剤と反応させることを含み、前記「少なく
とも1種のシラン化合物」の前記「少なくとも1種の開始剤」に対する重量比が、30:
1から400:1である、シラングラフトエチレン/α−オレフィンポリマーの製造方法

【請求項36】
前記エチレン/α−オレフィンポリマーが、350°F(177℃)で50,000c
P未満の溶融粘度を有する、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記エチレン/α−オレフィンポリマーが、1H NMRによって決定したとき、0.0
01から0.5の、すべての不飽和の合計に対する末端ビニル基の比を含有する、請求項
35に記載の方法。
【請求項38】
前記エチレン/α−オレフィンポリマーが、1H NMRによって決定したとき、0.0
1から0.4の、すべての不飽和の合計に対する末端ビニル基の比を含有する、請求項3
5に記載の方法。
【請求項39】
前記エチレン/α−オレフィンポリマーが、1H NMRによって決定したとき、0.1
0から0.3の、すべての不飽和の合計に対する末端ビニル基の比を含有する、請求項3
5に記載の方法。
【請求項40】
請求項25に記載の組成物を含む物品。
【請求項41】
1から3.5の分子量分布を有する少なくとも1種のエチレン/α−オレフィンポリマ
ーと、少なくとも1種のシラン化合物と、少なくとも1種の開始剤とを混合することによ
って生じる反応生成物を含み、前記少なくとも1種のエチレン/α−オレフィンポリマー
が、350°F(177℃)で50,000cP未満の溶融粘度を有する組成物。
【請求項42】
ポリエチレンホモポリマー、エチレン/α−オレフィンポリマー、ポリプロピレンホモ
ポリマーおよびプロピレン/α−オレフィンポリマーからなる群より選択される1種以上
のポリオレフィンをさらに含む、請求項1に記載の組成物、
【請求項43】
350°F(177℃)で50,000cP未満の溶融粘度を有し、ならびに1.5か
ら3.5の分子量分布(Mw/Mn)を有するプロピレン/α−オレフィンポリマーから形
成される少なくとも1種のシラングラフトプロピレン/α−オレフィンポリマーを含む組
成物。
【請求項44】
前記少なくとも1種のシラングラフトプロピレン/α−オレフィンポリマーが、式(I
):
CH2=CR−(COO)x(Cn2nySiR’3 (I)
(式中、Rは、水素原子またはメチル基であり;xおよびyは、0または1であるが、但
し、xが1であるとき、yは1であることを条件とし;nは、1から12の整数であり;
ならびに各R’は、独立して、1から12個の炭素原子を有するアルコキシ基、アリール
オキシ基、アラルオキシ基、1から12個の炭素原子を有する脂肪族アシルオキシ基、ア
ミノもしくは置換アミノ基、または1から6個の炭素原子を有する低級アルキル基である
が、但し、3個のR’基のうちの2個以下がアルキルであることを条件とする)
によって表される少なくとも1種のシランから形成される、請求項43に記載の組成物。
【請求項45】
前記少なくとも1種のシランが、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラ
ンおよび3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレートからなる群より選択される
、請求項44に記載の組成物。
【請求項46】
少なくとも1種のシラングラフトエチレン/α−オレフィンポリマーと、少なくとも1
種のシラングラフトプロピレン/α−オレフィンポリマーとを含むブレンドを含み、その
少なくとも1種のシラングラフトエチレン/α−オレフィンが、350°F(177℃)
で50,000cP未満の溶融粘度を有する組成物。
【請求項47】
前記少なくとも1種のシラングラフトエチレン/α−オレフィンポリマーが、1から3
.5の分子量分布(Mw/Mn)を有するエチレン/α−オレフィンポリマーから形成さ
れる、請求項46に記載の組成物。
【請求項48】
前記少なくとも1種のシラングラフトエチレン/α−オレフィンポリマーが、式(I)

CH2=CR−(COO)x(Cn2nySiR’3 (I)
(式中、Rは、水素原子またはメチル基であり;xおよびyは、0または1であるが、但
し、xが1であるとき、yは1であることを条件とし;nは、1から12の整数であり;
ならびに各R’は、独立して、1から12個の炭素原子を有するアルコキシ基、アリール
オキシ基、アラルオキシ基、1から12個の炭素原子を有する脂肪族アシルオキシ基、ア
ミノもしくは置換アミノ基、または1から6個の炭素原子を有する低級アルキル基である
が、但し、3個のR’基のうちの2個以下がアルキルであることを条件とする)
によって表される少なくとも1種のシランから形成される、請求項46に記載の組成物。
【請求項49】
前記少なくとも1種のシランが、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラ
ンおよび3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレートからなる群より選択される
、請求項48に記載の組成物。
【請求項50】
前記少なくとも1種のシラングラフトエチレン/α−オレフィンポリマーが、1H NM
Rによって決定したとき、0.001から0.5の、すべての不飽和の合計に対する末端
ビニル基の比を含有する、エチレン/α−オレフィンポリマーから形成される、請求項4
6に記載の組成物。
【請求項51】
前記少なくとも1種のシラングラフトエチレン/α−オレフィンポリマーが、1H NM
Rによって決定したとき、0.01から0.40の、すべての不飽和の合計に対する末端
ビニル基の比を含有する、エチレン/α−オレフィンポリマーから形成される、請求項4
6に記載の組成物。
【請求項52】
前記少なくとも1種のシラングラフトエチレン/α−オレフィンポリマーが、1H NM
Rによって決定したとき、0.10から0.30の、すべての不飽和の合計に対する末端
ビニル基の比を含有する、エチレン/α−オレフィンポリマーから形成される、請求項4
6に記載の組成物。
【請求項53】
少なくとも1種の粘着付与剤をさらに含む、請求項46に記載の組成物。
【請求項54】
少なくとも1種の油をさらに含む、請求項46に記載の組成物。
【請求項55】
請求項53に記載の組成物を含む物品。
【請求項56】
少なくとも1つのワックスをさらに含む、請求項46に記載の組成物。
【請求項57】
前記少なくとも1種のシラングラフトエチレン/α−オレフィンポリマーが、前記組成
物の総重量に基づき15から50重量パーセントの量で存在する組成物であって、前記組
成物の総重量に基づき0から40重量パーセントの少なくとも1種の粘着付与剤、および
前記組成物の総重量に基づき0から40重量パーセントの少なくとも1種の油をさらに含
む、請求項46に記載の組成物。
【請求項58】
前記少なくとも1種のシラングラフトエチレン/α−オレフィンポリマーが、前記組成
物の総重量に基づき15から50重量パーセントの量で存在する組成物であって、前記組
成物の総重量に基づき0から40重量パーセントの少なくとも1種の粘着付与剤、および
前記組成物の総重量に基づき0から40重量パーセントの少なくとも1種のワックスをさ
らに含む、請求項46に記載の組成物。
【請求項59】
エチレン/α−オレフィン系ポリマーを形成する少なくとも1種の硬化シラングラフト
エチレン/α−オレフィンポリマーを含む組成物であって、前記エチレン/α−オレフィ
ン系ポリマーを前記硬化シラングラフトエチレン/α−オレフィンポリマーの代わりに含
む類似の組成物の、同じ試験条件を用いて測定された平均破断強度より大きい平均破断強
度を有する組成物。
【請求項60】
前記組成物の平均破断強度が、前記類似の組成物の平均破断強度より少なくとも15パ
ーセント大きい、請求項59に記載の組成物。
【請求項61】
エチレン/α−オレフィン系ポリマーから形成された少なくとも1種の硬化シラングラ
フトエチレン/α−オレフィンポリマーを含む組成物であって、前記エチレン/α−オレ
フィン系ポリマーを前記硬化シラングラフトエチレン/α−オレフィンポリマーの代わり
に含む類似の組成物の、同じ試験条件を用いて測定された平均破断伸びより大きい平均破
断伸びを有する組成物。
【請求項62】
前記組成物の平均破断伸びが、前記類似の組成物の平均破断伸びより少なくとも25パ
ーセント大きい、請求項61に記載の組成物。
【請求項63】
エチレン/α−オレフィン系ポリマーを形成する少なくとも1種の硬化シラングラフト
エチレン/α−オレフィンポリマーを含む組成物であって、前記エチレン/α−オレフィ
ン系ポリマーをその硬化シラングラフトエチレン/α−オレフィンポリマーの代わりに含
む類似の組成物の、同じ試験条件を用いて測定された平均破断エネルギーより大きい平均
破断エネルギーを有する組成物。
【請求項64】
前記組成物の平均破断エネルギーが、前記類似の組成物の平均破断エネルギーより少な
くとも50パーセント大きい、請求項63に記載の組成物。
【請求項65】
少なくとも1種の硬化シラングラフトエチレン/α−オレフィンポリマーを含む組成物
であって、100℃から150℃の温度で、104dyn/cm2と106dyn/cm2
間の貯蔵弾性率G’を有する組成物。
【請求項66】
少なくとも1種の硬化シラングラフトエチレン/α−オレフィンポリマーを含む組成物
であって、150℃での貯蔵弾性率G’と100℃での前記貯蔵弾性率の絶対パーセント
差が50パーセント未満である組成物。
【請求項67】
エチレン/α−オレフィン系ポリマーから形成された少なくとも1種の硬化シラングラ
フトエチレン/α−オレフィンポリマーを含む組成物であって、前記エチレン/α−オレ
フィン系ポリマーを前記硬化シラングラフトエチレン/α−オレフィンポリマーの代わり
に含む類似の組成物の、同じ試験条件を用いて測定された「−1mmのTMAプローブ侵
入深さ」より高い温度で「−1mmのTMAプローブ侵入深さ」を有する組成物。
【請求項68】
前記組成物の「−1mmのTMAプローブ侵入深さ」の温度が、前記類似の組成物の「
−1mmのTMAプローブ侵入深さ」の温度より少なくとも4℃高い、請求項67に記載
の組成物。
【請求項69】
前記シラングラフトエチレン/α−オレフィンポリマーが、反応押出によって調製され
る、請求項35に記載の方法。
【請求項70】
少なくとも1種のスチレン−エチレン−ブチレン−スチレンポリマーをさらに含む、請
求項1に記載の組成物。
【請求項71】
粘着付与剤、油、ワックスおよびこれらの組み合わせからなる群より選択される少なく
とも1種の添加剤をさらに含む、請求項70に記載の組成物。
【請求項72】
少なくとも1種のスチレン−エチレン−ブチレン−スチレンポリマーをさらに含む、請
求項43に記載の組成物。
【請求項73】
粘着付与剤、油、ワックスおよびこれらの組み合わせからなる群より選択される少なく
とも1種の添加剤をさらに含む、請求項72に記載の組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−36040(P2013−36040A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−195205(P2012−195205)
【出願日】平成24年9月5日(2012.9.5)
【分割の表示】特願2008−521485(P2008−521485)の分割
【原出願日】平成18年7月10日(2006.7.10)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー (1,383)
【Fターム(参考)】