シリカゲル材料の再被覆方法
本発明は、被覆でのシリカゲル材料の再被覆、特に既に使用され又は費やされた被覆シリカゲル材料の再被覆方法、該方法によって得ることができる再被覆シリカゲル材料、及びその使用に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被覆でのシリカゲル材料の再被覆、特に既に使用され又は費やされた被覆シリカゲル材料の再被覆方法、該方法によって得ることができる再被覆シリカゲル材料、及びその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
クロマトグラフィー及び/又は吸着プロセスのための被覆シリカゲルは、有機合成等のための製薬産業における汎用材料であり、おそらく最も頻繁に利用されているものの一つである。従って、膨大な量の使用済み被覆シリカゲルが大学の実験室、研究センター、及び工業製造プロセスにおいて毎年生じている。
【0003】
RP−HPLC(逆相HPLC)のような液体クロマトグラフィー目的に使用されるシリカゲルは、殆ど、異なったタイプのリガンド(つまり結合した相)の被覆で官能化されている。しばらくの間使用された後は、被覆相はもはや、必要とされる分離及び/又は吸着を実施することができない。これは幾つかの理由による。シリカゲルはリガンドの幾つかを失った場合があり、よって同じ結合能をもはや有しておらず、シリカゲル粒子中の孔には使用中に生成物又は不純物が満たされているか、又は不純物が被覆相に不可逆的に吸着されうる。従って、使用済み材料は破棄され、新しい被覆材料が使用される。被覆シリカゲルは通常非常に高価である。
【0004】
RP−HPLCは非極性静止相と中程度の極性の移動相からなる。一つの一般的な静止相は、RMe2SiClで処理されているシリカであり、ここで、RはC18H37又はC8H17のような直鎖アルキル基である。順相HPLCは極性静止相と非極性移動相からなる。一つの一般的な順相静止HPLC相はシリカゲルであるが、極性リガンド、例えば1,2−ジヒドロキシプロピルジメチルシリルで被覆したシリカゲルもまた通常使用される。被覆シリカゲルはイオン交換クロマトグラフィーにまた使用できる。ここで、リガンドは典型的には弱酸又は強酸又は塩基特性、例えばスルホプロピル及び第4級アンモニウム基を含む。
【0005】
Zhou, F. L.等(“Double-coated silica supports for high-performance affinity chromatography of proteins”, Journal of Chromatography, vol. 510, no. 1, 27. June 1990, pages 71-81)は、タンパク質の高速アフィニティークロマトグラフィーのための多糖類の二重層を有するシリカゲルを得るためのシリカビーズの二重被覆を記述している。国際公開第2004050926号は、カラムクロマトグラフィーにおける吸収剤として又は触媒における担体として使用されるシリカからのパラジウムの回収方法を記載している。国際公開第0061493号は、(a)材料を有機化合物の抽出剤と、有機化合物を溶解させるのに十分な時間接触させ、固液分離を実施し、加熱して全ての抽出剤を粒状物質から取り除き;(b)工程(a)で得られた材料を酸化剤と接触させ、場合によっては固液分離を実施し;(c)工程(b)で得られた材料を酸性溶液と接触させて、無機化合物、金属及び金属塩を抽出し、固液分離を実施し;(d)工程(c)から得られた材料を、水を蒸発させ炭素含有化合物を燃焼させるのに十分に高い温度まで加熱し;(e)再生された材料を回収することを含む方法によって、シリカ、シリカゲル、アルミナ、ケイ酸塩材料、クレー、砂等の粒状材料の再生を記載している。欧州特許出願公開第0611071号は、使用済みの酸活性化スメクタイト粘土を再生し場合によっては炭化させる方法を記載している。米国特許出願公開第2003/106840号は、加熱してその硫黄吸収能を回復させることによって使用済みシリカゲルを再生するための方法を記載している。独国特許出願公開第1645834号は廃油からのフラー土の再生を記載している。これらの文献の何れも、例えば液体クロマトグラフィー又は吸着プロセスでの使用後の被覆シリカゲル材料の再被覆を記載するものではない。特開昭61−167864号公報は、カラムに充填したシリカゲルをシラン化合物で処理することによる、例えばRP−HPLCカラムのオンラインシラン化処理を記載している。劣化した化学結合シリカゲルカラムの再生は該技術によって実施されうる。この方法はシリカゲルベースのHPLCカラムを部分的に再被覆するが、該方法は、例えば不可逆的に吸着された化合物を除去する問題は解消していない。国際公開第2004089504号は有機酸での静止相(被覆材料)の再生を記載している。Majors, R. E. (“The Cleaning and Regeneration of Reversed-Phase HPLC Columns” LG GC North America, Advanstar Communications, Duluth, MN, US, vol. 21, no. 1, January 2003,)は、異なった溶媒による結合シリカ逆相カラムを洗浄するための特別な技術を記載している。望まれない材料の除去のために異なったタイプの溶媒をカラムに流すことによってクロマトグラフィーカラムを再生する類似の方法を記載している多くの他の文献が存在している。しかしながら、これらの方法の何れも、被覆の喪失又は部分的な喪失のために完全な又は許容できる分離及び/又は吸着能を回復させるという課題を解消するものではない。
【0006】
よって、環境的理由から多量の使用済みシリカゲル材料の廃棄を避け、工業的プロセスにおける経済性を改善するために、多量の例えば使用後に元のシリカゲルの劣化がなく、例えば不可逆的に結合した有機材料又は塩が除去される被覆シリカゲルの再被覆方法は必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、被覆でのシリカゲル材料の再被覆、特に既に使用され又は費やされた被覆シリカゲル材料の再被覆方法、該方法によって得ることができる再被覆シリカゲル材料、及びその使用に関する。
本発明は、第一コーティングで被覆されたシリカゲル材料から再被覆シリカゲル材料を調製するための方法であって、
a)第一コーティングで被覆されたシリカゲル材料を加熱し、
b)工程a)で得られた材料を酸性溶液で処理し、
c)工程b)で得られた材料を第二コーティングで被覆する、
工程を含んでなる方法に関する。
第二コーティングは、限定するものではないが、第一コーティングと同じコーティングとできる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明に係る「ゲル1R」 と実施例1に記載のような比較のためのゲル「ゲル1N」の調製のためのフローチャートを示す。
【図2】被覆シリカゲルを充填し、使用し、ついで本発明に係る再被覆シリカゲルをるプロセス全体の例のフローチャートを示す。
【図3】シラン化処理シリカゲルを再被覆する場合の新しいケイ素層の導入を示す。図中、Aは未処理シリカゲルを示し、Bはシラン化処理被覆シリカゲルを示し、Cは再被覆シラン化処理シリカゲルを示す。
【図4】実施例1に記載されたような (3,3-ジメチル)ブチルジメチルクロロシランでシラン化処理されたシリカゲルのクロマトグラフィー分離性能を示す。
【図5】実施例1に記載されたような使用後の図1に示す(3,3-ジメチル)ブチルジメチルクロロシランでシラン化処理されたものと同じシリカゲルのクロマトグラフィー分離性能を示す。
【図6】実施例1に記載された本発明に従って処理された再被覆シリカゲル「ゲル1R」のクロマトグラフィー分離性能を示す。
【図7】実施例1に記載された本発明に従って処理されていない再被覆シリカゲル「ゲル1N」のクロマトグラフィー分離性能を示す。
【図8】実施例7に記載された再被覆C4、300Åシリカゲル(試料7.0)のクロマトグラフィー分離性能を示す。
【図9】実施例7に記載された再被覆C18、300Åシリカゲル(試料7.3)のクロマトグラフィー分離性能を示す。
【図10】実施例8に記載された再被覆C18、100Åシリカゲル(試料8.0)のクロマトグラフィー分離性能を示す。
【図11】実施例8に記載された再被覆C18、100Åシリカゲル(試料8.3)のクロマトグラフィー分離性能を示す。
【図12】実施例6に記載されたシリカベースのアニオン交換体のクロマトグラフィー分離性能を示す。
【図13】実施例6に記載された再被覆シリカベースのアニオン交換体のクロマトグラフィー分離性能を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、一態様では、粒状被覆シリカゲル材料、特に使用されたもので、よって使用前のシリカゲル材料と比較して低分離性能及び/又は吸着能を有している被覆シリカゲル材料の再被覆方法に関する。
本発明の一態様では、第一コーティングで被覆されたシリカゲル材料から再被覆シリカゲル材料を調製するための方法であって、
a)第一コーティングで被覆されたシリカゲル材料を50℃から1000℃の温度で加熱し、
b)工程a)で得られた材料を、5より低いpHを持つ酸性溶液で処理し、
c)工程b)で得られた材料を第二コーティングで被覆する、
工程を含んでなる方法が提供される。
【0010】
シリカゲル、つまりケイ素原子の二酸化物は非晶質であり、高度に多孔性であり、シリカの部分的に水和した形態である。二酸化ケイ素は砂として天然に生じるが、それ自体はクロマトグラフィー用途に対して十分には多孔性ではなく、クロマトグラフィーで使用されるシリカゲルは合成的に又は砂の修飾によって調製することができる。結晶性シリカは、実際はケイ酸の無水物であり、シリカゲルはケイ酸の多量体型である。シリカゲルは液体クロマトグラフィーで使用されるより重要な物質の一つである;それは極性静止相自体として使用されるばかりでなく、被覆相の殆どが調製される基本材料である。シリカゲルは不定形か又は球状の粒子として調製されうる。球状シリカゲルは、液体クロマトグラフィーにおけるシリカゲルの最も使用されている形態である。
【0011】
一次シリカゲル粒子のマトリックスはシロキサン結合(ケイ素−酸素−ケイ素結合)によって酸素原子と共に結合されたケイ素原子のコアからなる。各一次粒子の表面には、元の多量体ケイ酸からの残留し未縮合のヒドロキシル基が残っている(シラノールと呼ばれる)。これらの残留ヒドロキシル基はシリカゲルにその極性特性を付与する。これらのヒドロキシル基はシラン試薬と反応して、図3に示した様な結合相を形成しうる(例えば,、出典明示によりここに援用するK.K. Unger, “Porous Silica - Its properties and Use as Support in Column Liquid Chromatography”, Elsevier, 1979に記載)。シリカ表面はかなり複雑で、一種を越えるヒドロキシル基と吸着された水を含む。3種のヒドロキシル基又はシラノール:孤立(isolated)、ビシナル(vicinal)及びジェミナル(geminal)があり、これらシラノール類が支配的な吸着及び誘導体化(被覆)部位である。
が存在している:
【0012】
第一コーティングが塗布され、本発明に係る方法で再被覆されうる未処理シリカゲル材料の例は、1から1000μm、好ましくは1から200μmの平均粒子径を有する多孔性シリカゲル材料である。本発明の一態様では、シリカゲル材料は、1から10000Å、好ましくは50から5000Åの孔径を有する。本発明の更なる態様では、シリカゲル材料は1から2000Åの孔径を有する。本発明の更なる態様では、シリカゲル材料は1から1000Åの孔径を有する。本発明の更なる態様では、シリカゲル材料は、1から1000m2/g、好ましくは5から600m2/gの表面積を有する。本発明の一態様では、シリカゲルは0.2から2.0ml/gの孔体積を有する。更なる態様では、孔体積は0.5から1.5ml/gであり、また更なる態様では、0.7から1.2ml/gである。本発明の他の態様では、シリカゲル材料は球状シリカゲル粒子の形態である。
【0013】
未処理シリカゲル材料の好ましい例は、例えば60Å、100Å、200Å、300Å、400Å、500Å、600Å、700Å、800Å、900Å、1000Å、1300Å、1500Å、1700Å又は2000Åの孔径の不定形シリカゲルである。他の態様では、粒子は、例えばサブ2μm、2μm、5μm、10μm、15μm、20μm、25μm、30μm又は50μmの平均粒子径と、例えば60Å、100Å、200Å、300Å、400Å、500Å、600Å、700Å、800Å、900Å、1000Å、1300Å、1500Å、1700Å又は2000Åの孔径を有する球状シリカゲル粒子である。
【0014】
本文脈中で酸性溶液、水のような中性溶液又はアルカリ性溶液でのシリカゲル材料の処理又は処理することに関連して使用される「処理する」又は「処理」は、通常の又は超臨界条件下で液体又はガスに単に接触させることによって実施できる。一実施態様では、材料は、熱分解シリカゲルのようなシリカゲル材料を水溶液中で撹拌することによって接触せしめる。
【0015】
「第一コーティングで被覆されたシリカゲル材料」又は「被覆シリカゲル材料」なる用語は、主要部分として非晶質二酸化ケイ素を有する被覆材料を意味する。 本発明の一態様では被覆は主に有機材料からなる。シリカゲル材料は一又は複数のタイプのリガンド又はコーティングで更に官能化されていてもよい。この定義は、第一コーティングで被覆されたシリカゲル材料が前に再被覆されていた可能性を排除するものではない。よって、本発明に係る方法によって、被覆シリカゲル材料を数回(例えば実施例7及び8に示すように)再被覆することが可能である。従って、第一コーティングで被覆されたシリカゲル材料は、一態様では、既に少なくとも一回再被覆された材料である。
【0016】
本発明の一態様では、第二コーティングが第一コーティングと同種のコーティングである。本発明の他の態様では、第二コーティングは第一コーティングとは別の種類のコーティングである。
本発明の更なる態様では、第一コーティングで被覆されたシリカゲル材料はシラン化処理シリカゲルである。本発明の他の態様では、第二コーティングを有する工程c)で得られたシリカゲル材料はシラン化処理シリカゲルである。
本発明の一態様では、第一コーティングを有するシリカゲル材料は使用済みのものである。
【0017】
本発明の更なる態様では、第一コーティングを有するシリカゲル材料は、クロマトグラフィー、例えばRP−HPLC、順相HPLC、HIC、SFC、アフィニティークロマトグラフィー、キラル分離、及びIEXクロマトグラフィー、及び他の吸着プロセス、例えばSPE(固相抽出)に使用されている。本発明の更なる態様では、第一コーティングを有するシリカゲル材料は、HPLCのような液体クロマトグラフィーに使用されている。本発明の更なる態様では、第一コーティングを有するシリカゲル材料は、有機化合物の液体クロマトグラフィーに使用されている。本発明のまた更なる態様では、第一コーティングを有するシリカゲル材料は、薬学的ペプチド又は小薬剤のような薬学的化合物の液体クロマトグラフィーに使用されている。本発明の更なる態様では、第一コーティングを有するシリカゲル材料は、そのクロマトグラフィー分離及び/又は吸着能の一部又は全てを失っている。
【0018】
再被覆シリカゲル材料は、クロマトグラフィー、例えばRP−HPLC、順相HPLC、HIC、SFC、アフィニティークロマトグラフィー、キラル分離、及びIEXクロマトグラフィー、及び他の吸着プロセス、例えばSPE(固相抽出)に使用することができる材料である。本発明の一態様では、再被覆シリカゲル材料は、液体クロマトグラフィー、例えばHPLC及び吸着プロセスに適している。本発明の更なる態様では、材料は、RP−HPLCでの使用に適した再被覆シリカゲル材料である。本発明のまた更なる態様では、再被覆シリカゲル材料は、薬学的ペプチド又は小薬剤のような薬学的化合物の液体クロマトグラフィーに適している。
【0019】
上述の通り、再被覆シリカゲル及び/又は第一コーティングで被覆されたシリカゲル材料はシラン化処理シリカゲルでありうる。シラン化処理シリカゲルは、シラン化合物で化学的に修飾(又は誘導体化)されたシリカゲルである。更なる態様では、シラン化処理シリカゲルは、一般式[1]
[上式中、Rは、アルキル及びアリール基(ここで、該アルキル又はアリール基は場合によっては一又は複数の置換基を有しうる)からなる群から選択され、Xは、水素原子、ハロゲン原子、トリフレート基及びC1−4−アルコキシ基からなる群から選択され、Z及びYは同じか異なっていて、アルキル又はアリール基の何れかを表し(ここで、該アルキル又はアリール基は場合によっては一又は複数の置換基を有しうる)又は水素原子、ハロゲン原子、トリフレート、又はC1−4−アルコキシ基を表すことができる。]によって表されるシラン化合物で化学的に修飾されたシリカゲルである。本発明の一態様では、Rは「C1−30−アルキル」である。本発明の更なる態様では、Xは、水素原子、塩素原子、トリフレート基及びC1−4−アルコキシ基からなる群から選択される。本発明の一態様では、Z及びYは同じか又は異なっており、「C1−10−アルキル」を表す。更なる態様では、X及びYは同じであり、ハロゲン原子、例えば塩素か、又はアルコキシ基、例えばメトキシ又はエトキシの何れかである。他の態様では、R及びZは同じであり、「C1−30−アルキル」である。他の態様では、Rは「C1−30−アルキル」であり、Z、Y及びXは同じであり、ハロゲン原子又はアルコキシ基、例えばC1−4−アルコキシ基である。典型的には、X は、図3に示される様にシリカゲル中の酸素原子への結合によって置き換えられる。
【0020】
本発明の一態様では、アルキルは「C1−100−アルキル」である。ここで使用される「C1−100−アルキル」は、1から100の炭素原子を有する飽和、分枝又は直鎖炭化水素基、例えばC1−3−アルキル、C1−4−アルキル、C1−6−アルキル、C2−6−アルキル、C3−6−アルキル、C1−8−アルキル、C1−10−アルキル、C3−12−アルキル、C6−12−アルキル等を表す。代表的な例は、メチル、エチル、プロピル(例えばプロパ−1−イル、プロパ−2−イル(又はイソ−プロピル))、ブチル(例えば2−メチルプロパ−2−イル(又はtert−ブチル)、ブタ−1−イル、ブタ−2−イル)、ペンチル(例えばペンタ−1−イル、ペンタ−2−イル、ペンタ−3−イル)、2−メチルブタ−1−イル、3−メチルブタ−1−イル、ヘキシル(例えばヘキサ−1−イル)、ヘプチル(例えばヘプタ−1−イル)、オクチル(例えばオクタ−1−イル)、ノニル(例えばノナ−1−イル)等を表す。本発明の一態様では、アルキルは「C1−100−アルキル」である。本発明の一態様では、アルキルは「C1−50−アルキル」である。本発明の更なる態様では、アルキルは「C1−30−アルキル」である。
【0021】
ここで用いられる「アリール」という用語は、単環、二環もしくは多環式炭素環芳香環を含むことを意図する。代表例としては、フェニル、ナフチル(例えば、ナフタ-1-イル、ナフタ-2-イル)、アントリル(例えば、アントラ-1-イル、アントラ-9-イル)、フェナントリル(例えば、フェナントラ-1-イル、フェナントラ-9-イル)などが挙げられる。アリールはまた、炭素環芳香環で置換された単環、二環もしくは多環式炭素環芳香環も含むことを意図する。代表例としては、ビフェニル(例えば、ビフェニル-2-イル、ビフェニル-3-イル、ビフェニル-4-イル)、フェニルナフチル(例えば、1-フェニルナフタ-2-イル、2-フェニルナフタ-1-イル)などが挙げられる。アリールはまた、少なくとも一の不飽和部分(例えば、ベンゾ部分)を有する部分的に飽和の二環式もしくは多環式炭素環も含むことを意図する。代表例としては、インダニル(例えば、インダン-1-イル、インダン-5-イル)、インデニル(例えば、インデン-1-イル、インデン-5-イル)、1,2,3,4-テトラヒドロナフチル(例えば、1,2,3,4-テトラヒドロナフタ-1-イル、1,2,3,4-テトラヒドロナフタ-2-イル、1,2,3,4-テトラヒドロナフタ-6-イル)、1,2-ジヒドロナフチル(例えば、1,2-ジヒドロナフタ-1-イル、1,2-ジヒドロナフタ-4-イル、1,2-ジヒドロナフタ-6-イル)、フルオレニル(例えば、フルオレン-1-イル、フルオレン-4-イル、フルオレン-9-イル)などが挙げられる。アリールはまた、一又は二の架橋を含む部分的に飽和の二環式もしくは多環式炭素環も含むことも意図する。代表例としては、ベンゾノルボルニル(例えば、ベンゾノルボルン-3-イル、ベンゾノルボルン-6-イル)、1,4-エタノ-1,2,3,4-テトラヒドロナフチル(例えば、1,4-エタノ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタ-2-イル,1,4-エタノ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタ-10-イル)などが挙げられる。アリールはまた、一又は複数のスピロ原子を含む部分的に飽和の二環式もしくは多環式炭素環芳香環も含むことも意図する。代表例としては、スピロ[シクロペンタン-1,1'-インダン]-4-イル、スピロ[シクロペンタン-1,1'-インデン-]-4-イル、スピロ[ピペリジン-4,1'-インダン]-1-イル、スピロ[ピペリジン-3,2'-インダン]-1-イル、スピロ[ピペリジン-4,2'-インダン]-1-イル、スピロ[ピペリジン-4,1'-インダン]-3'-イル、スピロ[ピロリジン-3,2'-インダン]-1-イル、スピロ[ピロリジン-3,1'-(3',4'-ジヒドロナフタレン)]-1-イル、スピロ[ピペリジン-3,1'-(3',4'-ジヒドロナフタレン)]-1-イル、スピロ[ピペリジン-4,1'-(3',4'-ジヒドロナフタレン)]-1-イル、スピロ[イミダゾリジン-4,2'-インダン]-1-イル、スピロ[ピペリジン-4,1'-インデン-]-1-イルなどが挙げられる。アリールはまたピリジン、ピラジン、ピラゾール、ピロール、チオフェン、フラン、及びそれらの誘導体のような炭素以外の一又は複数の原子を有する芳香環を含むことも意図する。本発明の一態様では、アリールはフェニルである。
【0022】
置換基の例は、アルキル基(例えばC1−10−アルキル)、アリール基、CN、OH、OR1、N、NH、NH2、NHR1、NR1R2、SH、SR1、COOH、COOR1、CONH2、CONHR1、CONR1R2、Cl、Br、F、SO3、PO4(ここで、R1及びR2は独立して、アルキル(例えばC1−10−アルキル)及びアリール基(例えばフェニル又はアントラセン)からなる群から選択される。これらの基は、場合によっては類似の置換基で置換されていてもよい。
「ハロゲン」又は「ハロ」なる用語はフッ素、塩素、臭素又はヨウ素を意味する。
【0023】
より正式にはトリフルオロメタンスルホナートとして知られる「トリフレート」なる用語は、式CF3SO3−の官能基である。
ここで使用される「C1−4−アルコキシ基」なる用語は、基C1−4−アルキル−O−を意味する。代表的な例は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ(例えば1−プロポキシ、2−プロポキシ)、ブトキシ(例えば1−ブトキシ、2−ブトキシ、2−メチル−2−プロポキシ)等である。
シラン化処理シリカゲルはまた適切なシラン試薬でエンドキャッピングされうる。エンドキャッピングのためのシラン試薬の例は、トリメチルクロロシラン、ヘキサメチルジシラザン、及びN,O-ビス(トリメチルシリル)アセトアミドである。
【0024】
本発明の一態様では、コーティングはシリルコーティング(つまり、シリルリガンド)、例えばオクタデシルジメチルシリル(C18), オクタデシルメチルシリル(C18), オクチルジメチルシリル(C8), ブチルジメチルシリル(C4), ジブチルシリル、ジヒドロキシプロピルジメチルシリル、シアノプロピルジメチルシリル、フェニルジメチルシリル、及びアミノプロピルジメチルシリル基であり;更なる態様では、コーティングは、ポリマーコーティング、例えば分子インプリントポリマーであり;更なる態様では、コーティングは、シクロデキストリンとその誘導体、例えばフェニルカルバメート化β−シクロデキストリンから作製され;更なる態様では、コーティングはペグ化コーティング(例えばポリエチレングリコールとその誘導体)であり;また更なる態様では、コーティングはセルロース及びアミラーゼ、及びそれらの誘導体、例えばトリス(3,5−ジメチルフェニル)カルバモイルセルロースから作製される。
【0025】
被覆シリカゲル材料は数多くの薬学的化合物、例えばインスリン、他のペプチド及びタンパク質、シプラレックス及び他の小薬剤分子の実験室及び工業的生産(分画)においてあるいはそのような分子の純度の分析にしばしば使用される。被覆シリカゲル材料の使用中、材料はそのクロマトグラフィー分離及び/又は吸着能の一部又は全てを失いうる。これは、ある場合には、物質の不可逆的な吸着及び/又は薬剤生成物のような生成物及び/又は生成物関連不純物及び/又はクロマトグラフィープロセスからの不純物でのシリカゲル材料の孔の汚染によりうる。該材料はまたコーティング(例えばリガンド又はポリマー層)の喪失のためにそのクロマトグラフィー分離及び/又は吸着能の一部又は全てを失い得、よって被覆シリカゲル材料の分離能及び/又は吸着能の欠如又は低下を生じる。
【0026】
本文脈における「分離性能」なる用語は、所望の分子を他の分子から所望の純度レベルで分離する能力を意味する。本発明の一態様では、再被覆シリカゲル材料の分離性能は、本発明に係るプロセスに入る第一コーティングを有するシリカゲル材料よりも再被覆シリカゲルが高い分離性能を有するように改善されている。本発明の更なる態様では、分離性能は、実施例2に記載の通り、一般的な有機試験化合物、例えばピリジン、フェノール、ウラシル、ベンズアルデヒド、ベンゾニトリル、及びアニソールの分離によって測定される。
【0027】
本文脈における「吸着能」なる用語は、破過が生じる前に又は所定の時間内に被覆シリカゲル材料に吸着されうる分子の量を意味する。本発明の一態様では、吸着能は、本発明に係るプロセスに入る第一コーティングを有するシリカゲル材料よりも再被覆シリカゲルが高い吸着能を有するように改善されている。
【0028】
本文脈における「再被覆シリカゲル材料」なる用語は、コーティングが剥ぎ取られ、本発明に係る方法によって同種のコーティング又は異なった種類のコーティングで再被覆されたシリカゲル材料を意味し、よって、第一コーティングと第二コーティングは同じ種類のコーティングであってもなくてもよい。本発明の一態様では、再被覆シリカゲル材料は同じ種類のコーティングで被覆されている。本発明の他の態様では、本発明に従って再被覆される被覆シリカゲル材料は使用された又は費やされた被覆シリカゲル材料である。被覆シリカゲル材料は、例えばRP−HPLCのような液体クロマトグラフィーに複数回使用されていてもよい。
【0029】
本発明の他の態様では、本発明に係る方法の再被覆シリカゲル材料は、たとえ第一及び第二コーティングが同じでも、プロセスに入る第一コーティングを有するシリカゲル材料と比較して高い分離性能及び/又は吸着能を獲得している。
【0030】
本発明の一態様では、本発明に係るプロセスに入る被覆シリカゲル材料が、第一コーティングを有する使用され又は費やされたシリカゲル材料である場合、第一コーティングと等しい第二コーティングを有する本発明に係る方法によって得られた再被覆シリカゲルは、使用され又は費やされる前の被覆シリカゲル材料と比較して同じかより高い分離性能及び/又は吸着能を実質的に有している。よって、この態様において、本発明に係る方法を使用することによって、元の被覆シリカゲル材料と同じか更に優れた分離性能及び/又は吸着能を有する材料を得、よって使用済み材料の廃棄を避けることが可能になる。これは、環境上の理由と、工業プロセスにおける経済性の改善の双方について有益でありうる。
【0031】
ある場合には、再被覆シリカゲル材料は、プロセスに入る被覆シリカゲル材料よりも高い機械強度をまた有しうる。これは、例えば被覆シリカゲル材料が、例えば実施例3に示されるようなシラン化処理シリカゲルである場合である。再被覆シリカゲル材料は、二酸化ケイ素の余分な層が導入され、元のシリカゲルよりも小さい孔体積となるため、本発明に係る方法が適用される被覆シリカゲル材料と比較して改善された機械強度を有しうる。これは、シリルリガンドの有機部分のみが本発明に係る加熱工程によって焼き払われ、元のシリカゲル材料に結合したケイ素原子を後に残すという事実からである。本発明に係る方法における加熱工程後の分画による被覆材料からの安定性が低く、破壊された粒子の除去はまた再被覆材料のより高い機械的安定性に寄与しうる。更に、実施例9に例証するように、分画と余分のケイ素層の添加がなくとも、本発明の所定の態様では、再被覆シリカゲルに対して改善された機械的安定性を得ることが可能である。
【0032】
再被覆シリカゲル材料が本発明に係るプロセスに入る被覆シリカゲル材料と同じコーティングで被覆されている場合、つまり、第一コーティングと第二コーティングが同じ種類であり、このコーティングがシリルリガンドである場合、再被覆材料は、二酸化ケイ素の余分な層のためにプロセスに入るものと必ずしも同じ材料である必要はない。しかしながら、シリカゲル材料上のコーティングが純粋に有機的であるか又はシリカゲルとコーティングの間の共有結合がSi−C又はSi−O−C結合である場合、再被覆シリカゲル材料は本発明に係るプロセスに入る被覆シリカゲル材料と同じであり得、シリカゲル材料が同じ種類のコーティングで再被覆されれば、しかしより良好な機械的安定性を有しうる。
【0033】
第一及び第二コーティングが同じである態様では、本発明に係るプロセスに入る被覆シリカゲルと同じ目的に対して再被覆シリカゲル材料が適している。一態様では、再被覆シリカゲル材料が液体クロマトグラフィー(LC)に対して適している。更なる態様では、再被覆シリカゲル材料がRP HPLCに対して適している。他の態様では、再被覆シリカゲルがキラル分離に適しており、また他の態様では、再被覆シリカゲルがイオン交換クロマトグラフィーに適している。更なる態様では、再被覆材料は、アフィニティークロマトグラフィーに適しており、また更なる態様では、再被覆シリカゲルがSFCに適している。
【0034】
本発明の一態様では、本発明に係る方法によって得ることができる再被覆シリカゲル材料が提供される。本発明の更なる態様では、本発明に係る方法によって得ることができる再被覆シリカゲル材料はシラン化処理シリカゲルである。
【0035】
本発明に係る更なる態様では、本発明に係る方法によって得ることができる液体クロマトグラフィー用の充填材料が提供される。他の態様では、本発明に係る充填材料を充填した液体クロマトグラフィーカラムが提供される。また更なる態様では、本発明に係る充填材料が充填されたカラムが使用される化合物の分析方法が提供される。また更なる態様では、本発明に係る充填材料が充填されたカラムが使用される化合物の分別方法が提供される。また更なる態様では、化合物がペプチド又はタンパク質である本発明に係る分析又は分別の方法が提供される。また更なる態様では、本発明に係る方法によって得ることができる吸着プロセスのための材料が提供される。また更なる態様では、本発明に係る材料が使用される化合物の吸着方法が提供される。本発明に係る方法によって得ることができる再被覆シリカゲル材料は、被覆シリカゲルが通常使用される場合に適用されうる。本発明の一態様では、不可逆的に結合した有機化合物の除去は本発明の方法によって達成される。
【0036】
本発明の一態様では、再被覆材料が満たされた管が提供される。本発明の更なる態様では、再被覆材料の濾床が提供される。本発明のまた更なる態様では、吸着プロセスにおいて再被覆材料を適用する他の手段が提供される。
【0037】
次は、任意工程を含む本方法の各工程のより詳細な説明であるが、これは本発明の範囲を決して限定するものではない。
【0038】
加熱工程
本発明の一態様では、第一コーティングを有するシリカゲル材料は工程a)において約50から約1000℃の温度まで加熱される。他の態様では、工程a)における温度は少なくとも500℃に達する。他の態様では、工程a)における温度は少なくとも650℃に達する。更なる態様では、温度は約50から約900℃である。更なる態様では、温度は約50から約800℃である。処理されるシリカゲル材料への特定のコーティング及び存在する低沸点溶媒のような幾つかのファクターに応じて、加熱工程は、間隔をおいて温度を上昇させ、例えば不活性雰囲気又は酸化ガスの存在下で実施することができる。
【0039】
一態様では、被覆シリカゲル材料は、存在している任意の低沸点溶媒を除去し、リガンドのような任意の有機材料及び/又は任意の吸着された有機物質を燃焼させるために所定の温度プロファイルに従って所定の期間、加熱される。
この工程に対して使用することができる異なったオーブンの例は、工業的ピザ用オーブン、レトルトオーブン、流動床、及び通気オートクレーブであり、工業的レトルトオーブンが最も好ましい。加熱工程は、好ましくは被覆シリカゲル材料の均一な加熱を確実にする方法で、シリカゲルを損じることなくあらゆる有機材料を燃焼させるのに十分に高い温度で実施されうる。
【0040】
本発明の一態様では、工程a)における加熱は、温度を一又は複数の工程で上昇させることによって実施される。一態様では、工程a)における加熱は、初期温度で加熱する第一工程(a1)と、初期温度と比較してより高い温度(燃焼温度)で加熱する第二工程(a2)を含む二工程方法で実施される。一態様では、初期温度は、50−200℃の温度、例えば50−150℃又は80−150℃である。他の態様では、燃焼温度は、400−900℃、例えば400−800℃の温度である。また更なる態様では、燃焼温度は500−800℃の温度である。更なる態様では、初期温度が50−150℃で、500−800℃の燃焼温度が続く。工程(a1)及び(a2)は双方とも材料が所定の期間、所定の温度で維持される幾つかの個々の工程でありうる。本発明に係る方法の加熱工程a)は、例えば7工程、8工程、9工程又はそれ以上のような数工程で所定の期間温度を上昇させることによって実施されうる。本発明の一態様では、初期加熱(a1)は一又は二の工程で実施されうる。本発明の更なる態様では、燃焼加熱(a2)は2から15の工程、例えば3から10,例えば6から8の工程で実施されうる。
【0041】
本発明に係る方法の工程a)を有機材料の揮発性に応じて酸化ガス下又は不活性ガス下で実施することが好ましい。
一態様では、初期温度での加熱は、不活性ガス下で実施される。不活性ガスの例はヘリウム、ネオン、アルゴン又は窒素ガスである。
一態様では、燃焼温度での加熱は不活性ガス下で実施され、それに酸化ガス下での処理が続く。酸化ガスの例は、酸素含有ガス、過酸化水素、空気又はオゾンである。本発明の一態様では、酸化ガスは、O2及び空気、及びN2とのその混合物からなる群から選択される。より好ましい態様では、燃焼温度での加熱は、窒素と酸素又は空気の混合物又は単に空気の下で実施される。
【0042】
本発明に係る温度間隔の一例は、
工程a1):好ましくは窒素下で100−200℃までゆっくりと加熱して一又は複数の工程で有機溶媒と水を燃焼除去する。
工程a2):好ましくは窒素下で800℃まで、例えば650℃まで加熱し、一又は複数の工程でリガンド及び有機残留物を燃焼除去する。
工程a3):空気あるいは空気と不活性ガスの混合物の下で一又は複数の工程で800℃まで、例えば700℃まで加熱することにより炭素残留物を酸化させる
を含む3工程プロセスである。
【0043】
より特異的な例として、本発明に係る加熱工程は、セラミック(例えばPillivuyt)トレーに最大10cm、好ましくは7cm未満、更により好ましくは5cm又は5cmの層で被覆シリカゲル材料を配することによって達成できる。セラミックトレーは、例えばGemco (Holland)製のレトルトオーブン中に配される。被覆シリカゲル材料は窒素下で最大150℃までゆっくりと加熱され、水と低沸点有機溶媒が燃焼される。この後に窒素下又は任意の他の不活性ガス下で温度を最大700℃に増大させて、存在する有機材料の殆どを燃焼させる。数時間後に、温度を数時間の間、酸化条件下で最大900℃まで増大させ、残りの有機化合物を燃焼させる。その後、熱分解したシリカゲル材料を放置して冷却させる。
【0044】
本発明の一態様では、初期加熱は、材料と共に使用される最も高い沸点の液体の沸点より高い温度を達成するのにかかる限り、例えば150℃を達成するのに4−10時間又はより特定的には100℃の温度を達成するのに6時間、実施される。更なる態様では、燃焼温度での加熱は、例えば4−13時間のように2−15時間実施される。
更なる処理の前に、材料は例えば50℃未満まで冷却される。
【0045】
任意工程:熱処理材料の分画
本発明の工程a)に従って処理されたシリカゲル材料は、場合によっては適切な粒径に分画されて破壊された粒子又は塊状物が除去される。これは、例えばハイドロサイクロン、空気分級機又は他の適切な装置を使用して実施することができる。本発明の更なる態様では、工程a)からのシリカゲル材料のバルク部分は、所望の粒径からより小さい部分と大きい部分を除去するために2回分画される。
【0046】
酸性溶液での処理:
熱処理された材料の酸性処理は、工程に入る材料の状態に応じて幾つかの目的を有している。本発明の一態様では、contacting the heat-treated 熱処理されたシリカゲル材料を酸性溶液に接触させることで汚染している塩及び/又は燃焼オーブンからの鉄フレークを除去する。
酸性溶液での処理はまたシリカゲル材料の加熱中に得られるシロキサン架橋を加水分解する。シロキサン架橋の加水分解は、再被覆工程中にリガンドでつづいて誘導体化されうるシラノール基を生成する。シロキサン架橋が結合プロセスの前に加水分解されない場合には、再被覆シリカゲル材料の使用中に例えば水によって加水分解され得、被覆材料中にシラノール基の存在を生じせしめうる。後者は被覆材料の分離性能及び/又は吸着能を減少させうる。
【0047】
本発明の一態様では、工程a)で得られた材料は、酸性溶液と接触せしめられる。更なる態様では、工程b)における酸性溶液は5より低い、好ましくは3より低い、好ましくは2より低い、更により好ましくは1より低いpHを有する。他の態様では、工程b)の酸性溶液は、約0から約5のpH、好ましくは約0から約4のpH、好ましくは約0から約3のpH、更により好ましくは約0から約2のpH、更により好ましくは約0から約1のpHを有している。本発明の一態様では、シリカゲルの量と比較した酸性溶液の量は2ml/g、好ましくは3ml/g、更により好ましくは4ml/g又はそれ以上である。これは、ゲルを十分に湿潤させるためである。
【0048】
無機酸は重金属又は金属塩のような無機物質を溶解させるために明らかに好ましい。この目的に対して有機酸の使用を考えることもできるが、それらは一般に効果が少ない。本発明の一態様では、工程b)における酸性溶液は、よって無機酸の水溶液である。
【0049】
無機酸の例は、塩酸(HCl)、硝酸、過塩素酸、硫酸(H2SO4)及びリン酸(H3PO4)、又はその混合物である。本発明の一態様では、工程b)における酸性溶液は、HCl、H2SO4及びH3PO4からなる群から選択される無機酸の水溶液である。更なる態様では、酸性溶液は水性HClである。一態様では、HCl水溶液は1−10%w/wで0.3−3.0Mに対応する。
酸性溶液での処理は、例えば反応器中での単純な接触によって、又はシリカゲルを充填したカラム又は容器に溶液を流すことによって、又はオートクレーブ中で加圧下で実施することができる。
【0050】
反応器中で、又はシリカゲルを充填したカラム又は容器に溶液を流すことによる酸性溶液での処理は、典型的には約1−48時間、より好ましくは1−24時間、更により好ましくは1−12時間の間である。
温度は0から100℃の間、より好ましくは室温(r.t.)と100℃の間、最も好ましくは70℃以上の温度の範囲とできる。
この工程を例証するために、加熱処理されたシリカゲルを、約1−48時間、より好ましくは1−24時間、更により好ましくは1−12時間、撹拌下で水性HClで還流下で処理する。
【0051】
任意工程:中性又はアルカリ性溶液での処理
本発明の一態様では、工程b)における酸性溶液での処理の前に工程a)で得られた材料が中性又はアルカリ性溶液で処理される。本発明の更なる態様では、工程b)における酸性溶液での処理の前に工程a)で得られた材料が、100℃より高い温度の水で処理される。本発明のまた更なる態様では、工程b)における酸性溶液での処理の前に工程a)で得られた材料が、7より高いpHを有するアルカリ性溶液で処理される。本発明の他の態様では、工程c)における被覆の前に工程b)で得られた材料が、中性又はアルカリ性溶液で処理される。本発明の更なる態様では、工程c)における被覆の前に工程b)で得られた材料が、100℃より高い温度の水で処理される。本発明のまた更なる態様では、工程c)における被覆の前に工程b)で得られた材料が、7より高いpHを有するアルカリ性溶液で処理される。一態様では、シリカゲルの量と比較した中性又はアルカリ性溶液の量は、十分な湿潤を確保するために2ml/gである。更なる態様では、シリカゲルの量と比較した中性又はアルカリ性溶液の量は3ml/g又はそれ以上であり、更なる態様では4ml/g又はそれ以上である。
【0052】
シロキサン架橋の加水分解は、酸性溶液での処理の前又は後の何れかにおいて水の様な中性pH又はアルカリ性溶液で処理することによって達成することができる。アルカリ性又は中性溶液での任意の処理の他の結果は、より大きな孔を有する再被覆シリカゲルである(孔拡張)。ある場合には、大きな孔が、例えばペプチド又はタンパク質のような大きな分子の精製及び/又は吸着に有益である。
【0053】
水での孔拡張を達成するために、好ましい温度は100−400℃、例えば200−300℃、例えば240℃である。一態様では、シリカゲルの量と比較した水の量は、十分な湿潤を確保するために2ml/g又はそれ以上である。更なる態様では、シリカゲルの量と比較した水の量は、3ml/g又はそれ以上であり、また更なる態様では4ml/g又はそれ以上である。狭い孔径分布を持つ材料を得るためには、均一な懸濁液が確保されなければならない。これは、例えばオートクレーブの回転によって達成することができる。
【0054】
本発明の一態様では、アルカリ性溶液のpHは7−14である。他の態様では、アルカリ性溶液のpHは9−13であり、更なる態様では、10−12である。一態様では、アルカリ性溶液のpHは8−13であり、更なる態様では、9−12、例えば9−11のpHである。
一態様では、塩基での孔拡張が、pH9−13、例えばpH10−11のアルカリ性溶液のpHで実施される。他の態様では、孔拡張は、pH8−13、例えばpH9−11のアルカリ性溶液のpHで実施される。
【0055】
本発明の一態様ではアルカリ性溶液は無機又は有機塩基の溶液である。本発明の一態様では、アルカリ性溶液は、無機塩基及び有機アミン類、例えばNaOH、NH3、Na2CO3、NaHCO3、H2N−CH2CH2−OH、及び(CH3CH2)3Nからなる群から選択される塩基の溶液である。一態様では、アルカリ性溶液は、pH8−13、例えばpH8−10の有機塩基の水溶液である。本発明の更なる態様では、有機塩基は、エタノールアミン及びトリエチルアミンからなる群から選択される。本発明の他の態様では、アルカリ性溶液は無機塩基の溶液である。本発明の更なる態様では、アルカリ性溶液は、NaOH、Na2CO3及びNaHCO3からなる群から選択される無機塩基の溶液である。本発明の更に他の態様では、アルカリ性溶液は、NaOH及びNa2CO3(例えば0.4−5%w/wの量)からなる群から選択される無機塩基の溶液である。
【0056】
中性又はアルカリ性溶液での任意の処理は、例えば反応器中で撹拌することによるアルカリ性溶液との単純な接触によって、又はシリカゲルを充填したカラム又は容器に溶液を流すことによって、又はオートクレーブ中で加圧下で水又はアルカリ性溶液と単に接触させることによって、実施することができる。
【0057】
処理されたシリカゲル材料の再被覆:
加熱処理され酸処理されたシリカは、プロセスに入るシリカゲルと同じ種類のコーティング又は新しい種類のコーティングで再被覆される。シリルリガンドのコーティングでのシリカゲル材料のコーティングは、当業者に既知の任意の方法によって実施することができ、その場合、重要な点は、出典明示によりここに援用されるY. Sudo in J. Chromatography A 737, p. 139-147 (1996)に例えば記載されているように、例えばクロロ−、トリフレート−又はアルコキシシランの添加前の水の除去、有機溶媒中でのクロロ−、トリフレート−又はアルコキシシランとの反応、及びシラン化処理シリカゲルの回収である。
【0058】
本発明の一態様では、シラン化処理は、有機溶媒中における共沸蒸留による脱水と続く適当なシラン化合物でのシラン化によって実施され、再被覆材料が得られる。シラン化合物と反応せず、反応温度で安定な任意の溶媒、例えばトルエン、ジクロロメタン、キシレン又は他の疎水性有機溶媒を使用することができる。本発明の一態様では、溶媒はトルエンである。ピリジン又はイミダゾールのような塩基化合物を反応系に加えてもよい。 数時間の反応時間の後に、エンドキャッピング試薬、例えばトリメチルクロロシランを加えてもよい。反応が完了したところで、アルコールの添加によって過剰な試薬の破壊が達成される。混合物は放置して冷却され、シラン化した材料が、例えば濾過又は遠心分離によって集められる。
【0059】
例示的実施態様
本発明の一態様では、第一コーティングで被覆されたシリカゲル材料から再被覆シリカゲル材料を調製するための方法であって、
a)第一コーティングで被覆されたシリカゲル材料を、例えば酸化ガス下で、少なくとも500℃の温度まで加熱し、
b)工程a)で得られた材料を、1より低いpHを持つ酸性溶液で処理し、
c)工程b)で得られた材料を第二コーティングで被覆する、
工程を含んでなる方法が提供される。
【0060】
本発明の更なる態様では、第一コーティングで被覆されたシリカゲル材料であって液体クロマトグラフィーに使用された材料から再被覆シリカゲル材料を調製するための方法であって、
a)第一コーティングで被覆されたシリカゲル材料を、例えば酸化ガス下で、少なくとも500℃の温度まで加熱し、
b)工程a)で得られた材料を、1より低いpHを持つ酸性溶液で処理し、
c)工程b)で得られた材料を第二コーティングで被覆する、
工程を含んでなる方法が提供される。
であって、
a)第一コーティングで被覆されたシリカゲル材料を、例えば酸化ガス下で、少なくとも500℃の温度まで加熱し、
b)工程a)で得られた材料を、1より低いpHを持つ酸性溶液で処理し、
c)工程b)で得られた材料を第二コーティングで被覆する、
工程を含んでなる方法が提供される。
【0061】
本発明の更なる態様では、液体クロマトグラフィーに使用されたシラン化処理シリカゲル材料から再被覆シリカゲル材料を調製するための方法であって、
a)第一コーティングで被覆されたシリカゲル材料を、例えば酸化ガス下で、少なくとも500℃の温度まで加熱し、
b)工程a)で得られた材料を、1より低いpHを持つ酸性溶液で処理し、
c)工程b)で得られた材料を第二コーティングで被覆する、
工程を含んでなる方法が提供される。
【0062】
本発明の更なる態様では、液体クロマトグラフィーに使用されたシラン化処理シリカゲル材料から再被覆シリカゲル材料を調製するための方法であって、
a)第一コーティングで被覆されたシリカゲル材料を、例えば酸化ガス下で、少なくとも500℃の温度まで加熱し、
b)工程a)で得られた材料を、シリカゲル量と比較しての酸性溶液の量が2ml/g、好ましくは3ml/g、更により好ましくは4ml/gである酸性溶液であって1より低いpHを持つ溶液で処理し、
c)工程b)で得られた材料を第二コーティングで被覆する、
工程を含んでなる方法が提供される。
【0063】
更なる例示的実施態様
次の段落は本発明の例示的実施態様を記述する。
1. 第一コーティングで被覆されたシリカゲル材料から再被覆シリカゲル材料を調製するための方法であって、
a)第一コーティングで被覆されたシリカゲル材料を50℃から1000℃の温度で加熱し、
b)工程a)で得られた材料を、7より低いpHを持つ酸性溶液で処理し、
c)工程b)で得られた材料を第二コーティングで被覆する、
工程を含んでなる方法。
2. 工程b)での酸性溶液での処理前に、工程a)で得られた材料を、100℃より高い温度の水で処理する実施態様1に記載の方法。
3. 工程b)での酸性溶液での処理前に、工程a)で得られた材料を、7より高いpHを持つアルカリ性溶液で処理する実施態様1に記載の方法。
4. 工程c)での被覆前に、工程b)で得られた材料を、100℃より高い温度の水で処理する実施態様1−3の何れか一に記載の方法。
5. 工程c)での被覆前に、工程b)で得られた材料を、7より高いpHを持つアルカリ性溶液で処理する実施態様1−3の何れか一に記載の方法。
6. 工程b)での酸性溶液が、5より低い、好ましくは3より低い、更に好ましくは2より低い、更により好ましくは1より低いpHを有している実施態様1−5の何れか一に記載の方法。
7. 工程b)での酸性溶液が無機酸の水溶液である実施態様1−6の何れか一に記載の方法。
8. 工程b)での酸性溶液がHCl、H2SO4及びH3PO4からなる群から選択される無機酸の水溶液である実施態様1−7の何れか一に記載の方法。
9. アルカリ性溶液が無機又は有機塩基の溶液である実施態様1−8の何れか一に記載の方法。
10. アルカリ性溶液のpHが7−14、より好ましくは9−13、更により好ましくは10−12である実施態様9に記載の方法。
11. 工程a)における温度が50℃から900℃である実施態様1−10の何れか一に記載の方法。
12. 工程a)における加熱が、一又は複数の工程で温度を上昇させることによって実施される実施態様11に記載の方法。
13. 工程a)における加熱が、初期温度で加熱する第一工程(a1)とより高い燃焼温度で加熱する第二工程(a2)を含む二工程方法で実施される実施態様12に記載の方法。
14. 初期温度が50−200℃の温度である実施態様13に記載の方法。
15. 燃焼温度が500−800℃の温度である実施態様13に記載の方法。
16. 初期温度が50−150℃で、500−800℃の燃焼温度が続く実施態様15に記載の方法。
17. 初期温度での加熱が不活性ガス下で実施される実施態様14−16の何れか一に記載の方法。
18. 燃焼温度での加熱が不活性ガス下で実施され、ついで酸化ガス下で処理される実施態様13−17の何れか一に記載の方法。
19. 酸化ガスが、O2及び空気、及びN2とのその混合物からなる群から選択される実施態様18に記載の方法。
20. 工程a)で得られた材料を、工程b)での酸性溶液での処理前に、粒径で分別する実施態様1から19の何れか一に記載の方法。
21. 再被覆シリカゲル材料が、HPLC及び吸着プロセスに適したものである実施態様1から20の何れか一に記載の方法。
22. 第一コーティングで被覆されたシリカゲル材料がシラン化処理シリカゲルである実施態様1から21の何れか一に記載の方法。
23. 第二コーティングが第一コーティングと同種のコーティングである実施態様1から22の何れか一に記載の方法。
24. 第一コーティングを含むシリカゲル材料が使用されたものである実施態様1から23の何れか一に記載の方法。
25. 再被覆シリカゲル材料が、プロセスに入る第一コーティングを含むシリカゲル材料より高い機械強度を有している実施態様1から24の何れか一に記載の方法。
26. 実施態様1から25の何れか一によって得ることができる再被覆シリカゲル材料。
27. シラン化処理シリカゲルである、実施態様26に記載の再被覆シリカゲル材料。
28. 実施態様1−25の何れか一によって得ることができる液体クロマトグラフィー用充填材料。
29. 実施態様28に記載の充填材料が充填された液体クロマトグラフィーカラム。
30. 実施態様29に記載のカラムが使用される化合物の分析方法。
31. 実施態様29に記載のカラムが使用される化合物の分別方法。
32. 化合物がペプチド又はタンパク質である実施態様30−31の何れか一に記載の分析又は分別方法。
33. 実施態様1−25の何れか一によって得ることができる再被覆材料を満たした管。
34. 実施態様1−25の何れか一によって得ることができる再被覆材料の濾床。
【0064】
上記明細書に開示した特徴は、別々にまたその任意の組み合わせの双方で、本発明をその多岐に亘る形態で実施するための材料でありうる。
ここに引用した刊行物、特許出願及び特許を含む全ての文献は、各文献が個々にかつ特に出典明示により援用され、その全体がここに記載されているのと同じ程度に、出典明示によりここに援用される。
全ての表題及び副題は、ここでは便宜的にのみ使用されており、決して本発明を限定するものとは解してはならない。<BR>
その全ての可能な変形例における上述の要素の任意の組合せも、他の記載が示されていないか文脈上はっきりと矛盾していない限りは、本発明に包含される。
発明を記述する文脈で使用される「a」及び「an」及び「the」なる用語と類似の指示対象は、ここで別の記載がなされていないか、文脈上はっきりと矛盾していない限りは、単数形及び複数形の双方をカバーしていると解されるものである。
ここでの値の範囲の記載は、他の記載が示されていない限りは、その範囲に入るそれぞれ別個の値に個々に言及することを省略する方法となるものであることを単に意図しており、それぞれ別個の値は、ここで個々に列挙されているように、明細書に援用される。他の記載がなされない限り、ここで提供される全ての正確な値は、対応する近似値の代表例である(例えば、特定の因子又は測定に対して提供される全ての正確な例示的値は、適切な場合は「約」により修飾される、対応する近似測定値をまた提供すると考えることができる)。
ここで記載される全ての方法は、ここで示され、前後関係ではっきりと矛盾していない限りは、任意の適切な順序で実施することができる。
ここに提供される任意かつ全ての例、又は例示的言語(例えば「等」)の使用は、単に本発明をより明らかにすることを意図しており、特に別段の記載がない限り、本発明の範囲に限定をもたらすものではない。明細書中の如何なる語句も、明示的に記載していない限り、如何なる要素も本発明の実施に必須であることを示しているものと解してはならない。
ここでの特許文献の引用及び援用は単に便宜上なされているもので、そのような特許文献の有効性、特許性、及び/又は権利行使性についての見解を反映させるものではない。
他に言及しない又は前後関係ではっきりと矛盾していない限りは、要素又は要素群に関して、「含有する」、「有する」、「含む」又は「含んでいる」等の用語を使用する本発明の任意の態様又は実施態様のここでの記載は、その特定の要素又は要素群「からなる」、「本質的になる」、又は「実質的に含む」本発明の類似した態様又は実施態様をサポートすることを意図したものである(例えば、特定の要素を含むものとしてここに記載されている製剤は、他に言及しない限り又は前後関係ではっきりと矛盾していないならば、その要素からなる製剤をまた記載しているものと理解すべきである)。
本発明は、適用される法律によって許容される最大の範囲で、ここに提示された態様又は特許請求の範囲に記載された主題事項のあらゆる変形例及び均等物を含む。
【0065】
本発明を次の代表的な実施例で更に例証するが、これは本発明の範囲を決して限定することを意図するものではない。
【実施例】
【0066】
以下の実施例では、標準的な解析的分析に対して次の実験を使用した:
N2吸着/脱着:Quantachrome製のAutosorb−3B
クロマトグラフィー分析:P580ポンプ、PDA−100光ダイオードアレイ検出器、ASI−100自動サンプラーインジェクター、Degasys DG−2410デガッサー、及びDionex製カラムオーブンTCC−3000又はGEヘルスケア製Aktaexplorer10Aを具備するHPLCシステム。
ICP分析:Teknologisk Institut(Taastrup,Gregersensvej,2630 Taastrup,Denmark)によって実施された。
炭素分析:デンマークのコペンハーゲン大学で実施した。
色座標の決定:次のCR−300でのミノルタ色彩照度計CR−300。
実施例1のフローチャートを図1に示す。
【0067】
1.a. 被覆シリカゲルの充填及び試験
未処理シリカゲル(300Å、15μm)の大部分は日本の製造メーカーから購入し、(RP HPLCシリカゲルを付与するための)標準的なシラン化処理手順に従って(3,3-ジメチル)ブチル-ジメチルクロロ-シランで被覆した。被覆ゲルの一部(ゲル1)を4×250mmの鋼製カラムにスラリー充填し、そのクロマトグラフィー性能について試験した(実施例2を参照)。結果を図4に示す。
【0068】
1.b. 使用済み被覆シリカゲルの使用及び試験
被覆シリカゲルの主要部分をペプチドの工業的精製プロセスにおいて使用した。使用済みシリカゲルの一部を、再びそのクロマトグラフィー性能について試験した。結果を図5に示す。図5から分かるように、被覆シリカゲルはそのクロマトグラフィー分離能の幾らかを失っていた。
ついで、ゲルを以下に記載したようにして処理した。
【0069】
1.c. リガンドの熱分解及び有機残留物
湿った使用済みRP HPLCシリカゲル(300Å,15mm,DMBDMS)を、5cmの層厚で数個のセラミック開放容器に移した。容器をレトルトオーブンに配し、以下に与えた条件に従って加熱する:
工程1:窒素下(12m3/hr)で100℃まで加熱。
工程2.1:窒素下(12m3/hr)で300分間400℃まで加熱。
工程2.2:窒素下(12m3/hr)で120分間500℃まで加熱。
工程2.3:窒素下(12m3/hr)で120分間630℃まで加熱。
工程3.1:窒素/空気下(各6m3/hr)で90分間630℃で加熱。
工程3.2:空気下(12m3/hr)で90分間630℃で加熱。
工程3.3:空気下(12m3/hr)で480分間690℃で加熱。
オーブンを放置して冷却させた。温度が50℃以下にまで低下したとき、材料はオーブンでは空になった。
【0070】
1.d. 熱分解材料の分別
熱分解した材料を空気分級機に移し、分別して大きな粒子(おそらくは例えば凝集粒子)を除去した。粒子の主要部分(つまり小粒子)を含む部分を空気分級機に配し、再び分別して最小粒子(例えば破壊粒子の断片)を除去した。
【0071】
1.e. 酸処理
分別後、熱分解材料を、塩酸水溶液(10%w/w,pH0,4L/kgゲル)と共に6時間撹拌下で還流させた。酸処理材料を濾過し、中性pH(約0.7L/kgゲル)になるまで水で洗浄した。
【0072】
1.f. 再シラン化処理
酸処理したシリカゲルを、トルエン中の共沸蒸留によって脱水した(5−7kg/kgゲル)。懸濁液を105℃まで冷却し、イミダゾール(0.1−0.2kg/kgゲル)とついで(3,3−ジメチル)ブチルジメチルクロロシラン(Gelest社から購入,0.3−0.5kg/kgゲル)。懸濁液を4時間還流下で撹拌した。結合した材料を、N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド(Gelest社から購入,0.1kg/kgゲル)の添加によってエンドキャッピングした。撹拌を更に2時間継続した。撹拌後、懸濁液を70℃まで冷却させた。エタノール(0.8−1.2kg/kgゲル)を加えた。ついで、懸濁液を濾過し、エタノール(1−8kg/kgゲル)で洗浄して再被覆シリカゲルのゲル1Rを得た。
【0073】
1.g. 再被覆シリカゲルの試験及び酸処理されなかった再被覆シリカゲルとの比較
1.f.で得られた再被覆シリカゲル「ゲル1R」を4×250mmの鋼製カラムにスラリー充填し、そのクロマトグラフィー性能について試験した(実施例2を参照)。結果を図6に示す。
図4−6のクロマトグラムから分かるように、再被覆シリカゲルは、本発明によって処理した場合、そのクロマトグラフィー性能を回復する。
被覆シリカゲルを、酸処理を除いて上述の通りに処理し、再被覆シリカゲル「ゲル1N」を比較のために得た。再被覆シリカゲル「ゲル1N」を4×250mmの鋼製カラムにスラリー充填し、そのクロマトグラフィー性能について試験した。結果を図7に示す。
図6と図7のクロマトグラムの差から、再被覆前に材料を酸で処理した場合のみクロマトグラフィー性能が完全に取り戻されることが分かる(ゲル1R)。これは、塩残留物の除去と、被覆前のシロキサン架橋のためであると考えられる。「ゲル1N」ではシロキサン架橋がコーティング後に加水分解し、それによって、ピリジンの保持時間の変化の原因となるシラノール基を生成し、「ゲル1R」と比較して重要なピリミジン/フェノール対の分離を乏しくさせる。
使用及び再被覆の前後のゲルの詳細は表1に示す。
【0074】
実施例2
分離性能の試験を、1.0ml/分の流量で4.0×250mmのカラムを用いて実施した。アセトニトリル−水(1:1)中のウラシル(0.02mg/ml)、フェノール(0.35mg/ml)、ピリジン(0.06mg/ml)、アニソール(0.7mg/ml)、ベンズアルデヒド(0.025mg/ml)及びベンゾニトリル(0.4mg/ml)の試験混合物を調製する。カラムを40±2℃で30%の水性アセトニトリルで30分間平衡にし、そこに10μlの試験混合物を注入する。40±2℃で平衡混合物を用いて溶離を実施する。UV−シグナルを254nmで測定する。結果を図4−7に示す。
【0075】
実施例3
使用済みゲル1及び再被覆ゲルであるゲル1R(実施例1に記載のようにして調製)の機械的強度の試験を、150barの充填圧で2−4cmの床高になるまでゲル材料をDACカラム(内径5cm)中に充填することによって実施した。所定のプロファイルの流れを、20%エタノールを溶媒として使用して150barのピストン圧で100ml/分まで流す(各流量で10CV)各流量での背圧を測定する。ついで、ピストン圧を取り除き、1−2分後に再び加える。1CVの溶媒を加え、再びピストン圧を取り除き、1−2分間、再び加える。これを更に4回繰り返した後、新しいプロファイルの流れを実施する。ついで、この手順を更に5回(合計6通りの流れプロファイルになるまで)繰り返す。プロファイル1及び6における100ml/分での背圧の差は、シリカゲル材料の機械的安定性に相関する。差が小さくなればなる程、シリカゲル材料はより機械的に安定になる。
【0076】
元の材料(ゲル1)と比較した本発明によって得られた材料(ゲル1R)に対するプロファイル1及び6の間の圧力差の減少は、再被覆材料の機械的強度の改善を明らかに示している。
【0077】
実施例4
シリカゲルの孔拡張を達成するために、次の内容を実施することができる:80g(1kgシリカゲル/3Lアルカリ性溶液)の加熱処理シリカゲル(実施例1.cに記載の方法によって得たゲル2)のバッチ反応物を、水性Na2CO3(0.05g/L水)中において50℃で6時間、穏やかに撹拌する。反応後、シリカゲル(ゲル3)を濾過し、水で洗浄し、150℃で一晩乾燥させる。孔拡張前(ゲル2)と孔拡張後(ゲル3)の孔径を窒素吸着/脱着によって測定した。結果を以下の表に示す。
【0078】
実施例5
5.a.1 リガンド及び有機残留物の熱分解
およそ100gの湿った使用済みRP HPLCシリカゲル(200Å,15μm,ODDMS,サンプル5.a)をセラミック開放容器に2cm厚の層で移した。容器をレトルトオーブンに配し、以下に与えられた条件に従って加熱した:
工程1:空気の存在下で一晩70℃で加熱。
工程2.1:100℃まで60分間加熱し、空気の存在下で温度を60分間維持。
工程2.2:400℃まで60分間加熱し、空気の存在下で温度を240分間維持。
オーブンを放置して冷却させた。温度が50℃以下にまで低下したとき、材料はオーブンでは空になった。熱分解したゲルの上層は暗褐色であった。生成物を混合して褐色のゲルを得た。炭素分液及び色座標の決定(ミノルタ色彩照度計CR−300を使用)のためにサンプルを採った(サンプル5.a.1)。
【0079】
5.a.2 リガンド及び有機残留物の熱分解
およそ100gの湿った使用済みRP HPLCシリカゲル(200Å,15μm,ODDMS,サンプル5.a)をセラミック開放容器に2cm厚の層で移した。容器をレトルトオーブンに配し、以下に与えられた条件に従って加熱した:
工程1:空気の存在下で一晩70℃で加熱。
工程2.1:100℃まで60分間加熱し、空気の存在下で温度を60分間維持。
工程2.2:400℃まで60分間加熱し、空気の存在下で温度を240分間維持。
工程2.3:500℃まで30分間加熱し、空気の存在下で温度を60分間維持。
オーブンを放置して冷却させた。温度が50℃以下にまで低下したとき、材料はオーブンでは空になった。炭素分液及び色座標の決定のためにサンプルを採った(サンプル5.a.2)。
【0080】
5.a.3 リガンド及び有機残留物の熱分解
およそ200gの湿った使用済みRP HPLCシリカゲル(200Å,15μm,ODDMS,サンプル5.a)をセラミック開放容器に2cm厚の層で移した。容器をレトルトオーブンに配し、以下に与えられた条件に従って加熱した:
工程1:空気の存在下で一晩70℃で加熱。
工程2.1:100℃まで60分間加熱し、空気の存在下で温度を60分間維持。
工程2.2:400℃まで60分間加熱し、空気の存在下で温度を240分間維持。
工程2.3:500℃まで30分間加熱し、空気の存在下で温度を60分間維持。
工程2.4:650℃まで60分間加熱し、空気の存在下で温度を240分間維持。
工程2.5:690℃まで60分間加熱し、空気の存在下で温度を420分間維持。
オーブンを放置して冷却させた。温度が50℃以下にまで低下したとき、材料はオーブンでは空になった。炭素分液及び色座標の決定のためにサンプルを採った(サンプル5.a.3)。
【0081】
5.b. 酸処理
熱分解した各材料を、実施例1.eに記載のようにして水性塩酸10%w/wで処理した。
酸処理したゲルを110℃でオーブンにて一晩乾燥させた。N2吸着/脱着(次のBETにおいて)及びICP分析(サンプル5.b.1,5.b.2,及び5.b.3)のためにサンプルを取り上げた。
【0082】
5.c. 再シラン化処理
酸処理した各シリカゲルを、(3,3−ジメチル)ブチルジメチルクロロシランをオクタデシルジメチル−クロロシラン(トルエン中70%,Gelest社から購入,約1g/gゲル)で置き換え、実施例1.fに記載のようにして再シラン化処理した。再被覆シリカゲルを70℃で一晩乾燥させた。サンプルを炭素分析のために採った(サンプル5.c.1,5.c.2,及び5.c.3)。
分析結果を以下の表に示す:
【0083】
該実施例は、ゲルの使用中に導入された金属含有量(サンプル5)が酸処理によって減少することを示している(サンプル5.b.1,5.b.2,及び5.b.3)。
該実施例はまた空気の存在下での熱分解中に温度が最小500℃の温度に達すると、元のゲルと同じ色座標を持つ再被覆シリカゲルを得ることができることを示している。同様に、元のゲルとほぼ同じ炭素含有量を有する再被覆シリカゲルを得るには(サンプル5をサンプル5.c.1,5.c.2,及び5.c.3と比較)、熱分解中に空気の存在下で最小500℃の温度に達しなければならない。サンプル5.c.2と比較したサンプル5.c.3の低炭素含有量は、おそらく不十分なシラン化処理プロセスのためであろう。
【0084】
実施例6
シリカゲル(100g,300Å,15μm)を三ツ首丸底フラスコにおいてトルエン(600ml)中に懸濁させた。そのゲルをトルエン(600ml)中での共沸蒸留によって脱水した。イミダゾール(13.5g)を加え、フラスコを熱から取り除いた。ジメチルオクタデシル(3−トリメトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド(199.3g)を注意して加え、加熱を再開した。メタノールを形成されたところで蒸留によって除去した。75mlのメタノールの除去後、懸濁液を放置して冷却させた。温度が60℃以下に低下したところで、ゲルを濾過によって集め、エタノール(1L)で洗浄した。湿ったゲルを70%v/v(600ml)で再懸濁させ、30分撹拌しながら60℃に加熱した。そのゲルを再び濾過し、エタノール(1L)で洗浄し、70℃で一晩乾燥させた。炭素分析をサンプル6.1について実施した。
【0085】
被覆シリカゲルベースのアニオン交換体(上記のゲル6.1)を実施例5.a.3に記載のようにして熱分解させた。
熱分解した材料を実施例1.eに記載されているようにして酸処理した。酸処理したゲルを110℃のオーブン中で一晩乾燥させた。
酸処理したシリカゲルを、上述の対応するアニオン交換体にシラン化処理した。炭素分析をサンプル6.2について実施した。
【0086】
クロマトグラフィー分析を、ゲルを4×250mmの鋼製カラムに充填し、Aktaエクスプローラー10Aを使用してアニオン交換クロマトグラフィー手順を実施することによって、実施した。試験材料として、水性ギ酸(0.05w/w%)中のインスリン(20mg/ml)からなるインスリン溶液を適用した。溶離は、それぞれ0.24%w/wのTRIS、1.25%w/wのNH4Ac、及び42.5%w/wのEtOH,pH7.5(AcOHで調節)、及び13.9%w/wのNaAc、0.3%w/wのAcOH、及び42.5%w/wmのEtOHからなる水性バッファーを用いる勾配溶離によって実施した。適用前、カラムを、0.24%w/wのTRIS、0.25%w/wのNH4Ac、及び42.5%w/wのEtOH,pH7.5(AcOHで調節)からなる溶液で平衡にした。1ml/分の流量を使用した。
未使用のシリカに基づくアニオン交換体と、その再被覆体のクロマトグラムをそれぞれ図12及び13に示す。
該実施例は、シリカベースのアニオン交換体の再被覆を示している。
【0087】
実施例7:
再被覆ゲルの再コーティング:
およそ400gの湿った使用済みRP HPLCシリカゲル(300Å,15μm,C4)を、実施例5(工程5.a.3、5.b及び5.c)に記載されたように本発明に係る対応のC18層に再コーティングした。炭素分析のためにサンプルを採った(サンプル7.1)。
再被覆ゲル(375g,300Å,15μm,C18)を本発明に従って(上を参照)もう一度処理して、対応する二回再被覆C18シリカゲルを得た。炭素分析のためにサンプルを採った(サンプル7.2)。
二回再被覆ゲル(313g,300Å,15μm,C18)を本発明に従って(上を参照)もう一度処理して、対応する三回再被覆C18シリカゲルを得た。炭素分析のためにサンプルを採った(サンプル7.3)。クロマトグラフィー分析のために4.6mm×250mmのカラムに三回再被覆C18シリカゲルを充填し(図9を参照)、元の未使用のC4ゲル(図8を参照)と比較した。
炭素分析の結果を以下の表に示す。
三回再被覆(図9)及び未使用(図8)ゲルのクロマトグラフィー試験は、クロマトグラフィー性能を失うことなく連続して数回、本発明の方法を実施することが可能であることを示している。
【0088】
実施例8
上記の実施例9と同じ実験を、出発材料としてC18,100Åシリカゲルで実施した。
結果を表7及び図10−11に示す。
三回再被覆(図11)及び未使用ゲル(図10)のクロマトグラフィー試験は、クロマトグラフィー性能を失うことなく連続して数回、本発明の方法を実施することが可能であることを示している。しかしながら、炭素含有量の減少は、各再被覆プロセスによって導入された余分のケイ素層によって引き起こされた表面積の減少によるものと見られる。
【0089】
実施例9
未被覆シリカゲル(300Å,15μm)を日本の製造メーカーから購入した。
ゲルの一部を、実施例1.aに記載されたようにしてシラン化した。シラン化処理の前に、N2吸着/脱着のためにサンプルを採り、シラン化処理の後に被覆ゲルの炭素分析のためにサンプルを採った(サンプル9.1)。
ゲル9.1の一部について、実施例5に記載されたようにして本発明に係る再コーティングを施した。熱分解後にN2吸着/脱着のためにサンプルを採り、再被覆ゲルの炭素分析のために他のサンプルを採った(サンプル9.2)。
未被覆シリカゲル(シリルリガンド以外のコーティングで被覆したシリカゲルを記号で表す)の他の一部についてまた本発明に係る再コーティングを施した。熱分解後にN2吸着/脱着のためにサンプルを採り、再被覆ゲルの炭素分析のために他のサンプルを採った(サンプル9.3)。
対応する被覆ゲルからの炭素分析結果と共にN2吸着/脱着分析の結果を表8に示す。
【0090】
更に、3種全てのゲルについて、実施例3に記載した機械的試験を施した。結果を表9に示す。
元の材料と比較した、本発明によって得られた材料に対するプロファイル1及び6に間の圧力差の減少は、再被覆材料の機械的強度の改善を明らかに示している。元の材料をシリルリガンドで被覆した場合(サンプル9.2)、再被覆材料は、余分なケイ素層が導入されていない再被覆材料(サンプル9.3)よりも更に大きく改善された機械的安定性を有する。新しい(又は同じ)シリルリガンドでシラン化処理シリカゲルを再被覆する場合の余分なケイ素層の意味の例証については図3を参照のこと。
【技術分野】
【0001】
本発明は、被覆でのシリカゲル材料の再被覆、特に既に使用され又は費やされた被覆シリカゲル材料の再被覆方法、該方法によって得ることができる再被覆シリカゲル材料、及びその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
クロマトグラフィー及び/又は吸着プロセスのための被覆シリカゲルは、有機合成等のための製薬産業における汎用材料であり、おそらく最も頻繁に利用されているものの一つである。従って、膨大な量の使用済み被覆シリカゲルが大学の実験室、研究センター、及び工業製造プロセスにおいて毎年生じている。
【0003】
RP−HPLC(逆相HPLC)のような液体クロマトグラフィー目的に使用されるシリカゲルは、殆ど、異なったタイプのリガンド(つまり結合した相)の被覆で官能化されている。しばらくの間使用された後は、被覆相はもはや、必要とされる分離及び/又は吸着を実施することができない。これは幾つかの理由による。シリカゲルはリガンドの幾つかを失った場合があり、よって同じ結合能をもはや有しておらず、シリカゲル粒子中の孔には使用中に生成物又は不純物が満たされているか、又は不純物が被覆相に不可逆的に吸着されうる。従って、使用済み材料は破棄され、新しい被覆材料が使用される。被覆シリカゲルは通常非常に高価である。
【0004】
RP−HPLCは非極性静止相と中程度の極性の移動相からなる。一つの一般的な静止相は、RMe2SiClで処理されているシリカであり、ここで、RはC18H37又はC8H17のような直鎖アルキル基である。順相HPLCは極性静止相と非極性移動相からなる。一つの一般的な順相静止HPLC相はシリカゲルであるが、極性リガンド、例えば1,2−ジヒドロキシプロピルジメチルシリルで被覆したシリカゲルもまた通常使用される。被覆シリカゲルはイオン交換クロマトグラフィーにまた使用できる。ここで、リガンドは典型的には弱酸又は強酸又は塩基特性、例えばスルホプロピル及び第4級アンモニウム基を含む。
【0005】
Zhou, F. L.等(“Double-coated silica supports for high-performance affinity chromatography of proteins”, Journal of Chromatography, vol. 510, no. 1, 27. June 1990, pages 71-81)は、タンパク質の高速アフィニティークロマトグラフィーのための多糖類の二重層を有するシリカゲルを得るためのシリカビーズの二重被覆を記述している。国際公開第2004050926号は、カラムクロマトグラフィーにおける吸収剤として又は触媒における担体として使用されるシリカからのパラジウムの回収方法を記載している。国際公開第0061493号は、(a)材料を有機化合物の抽出剤と、有機化合物を溶解させるのに十分な時間接触させ、固液分離を実施し、加熱して全ての抽出剤を粒状物質から取り除き;(b)工程(a)で得られた材料を酸化剤と接触させ、場合によっては固液分離を実施し;(c)工程(b)で得られた材料を酸性溶液と接触させて、無機化合物、金属及び金属塩を抽出し、固液分離を実施し;(d)工程(c)から得られた材料を、水を蒸発させ炭素含有化合物を燃焼させるのに十分に高い温度まで加熱し;(e)再生された材料を回収することを含む方法によって、シリカ、シリカゲル、アルミナ、ケイ酸塩材料、クレー、砂等の粒状材料の再生を記載している。欧州特許出願公開第0611071号は、使用済みの酸活性化スメクタイト粘土を再生し場合によっては炭化させる方法を記載している。米国特許出願公開第2003/106840号は、加熱してその硫黄吸収能を回復させることによって使用済みシリカゲルを再生するための方法を記載している。独国特許出願公開第1645834号は廃油からのフラー土の再生を記載している。これらの文献の何れも、例えば液体クロマトグラフィー又は吸着プロセスでの使用後の被覆シリカゲル材料の再被覆を記載するものではない。特開昭61−167864号公報は、カラムに充填したシリカゲルをシラン化合物で処理することによる、例えばRP−HPLCカラムのオンラインシラン化処理を記載している。劣化した化学結合シリカゲルカラムの再生は該技術によって実施されうる。この方法はシリカゲルベースのHPLCカラムを部分的に再被覆するが、該方法は、例えば不可逆的に吸着された化合物を除去する問題は解消していない。国際公開第2004089504号は有機酸での静止相(被覆材料)の再生を記載している。Majors, R. E. (“The Cleaning and Regeneration of Reversed-Phase HPLC Columns” LG GC North America, Advanstar Communications, Duluth, MN, US, vol. 21, no. 1, January 2003,)は、異なった溶媒による結合シリカ逆相カラムを洗浄するための特別な技術を記載している。望まれない材料の除去のために異なったタイプの溶媒をカラムに流すことによってクロマトグラフィーカラムを再生する類似の方法を記載している多くの他の文献が存在している。しかしながら、これらの方法の何れも、被覆の喪失又は部分的な喪失のために完全な又は許容できる分離及び/又は吸着能を回復させるという課題を解消するものではない。
【0006】
よって、環境的理由から多量の使用済みシリカゲル材料の廃棄を避け、工業的プロセスにおける経済性を改善するために、多量の例えば使用後に元のシリカゲルの劣化がなく、例えば不可逆的に結合した有機材料又は塩が除去される被覆シリカゲルの再被覆方法は必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、被覆でのシリカゲル材料の再被覆、特に既に使用され又は費やされた被覆シリカゲル材料の再被覆方法、該方法によって得ることができる再被覆シリカゲル材料、及びその使用に関する。
本発明は、第一コーティングで被覆されたシリカゲル材料から再被覆シリカゲル材料を調製するための方法であって、
a)第一コーティングで被覆されたシリカゲル材料を加熱し、
b)工程a)で得られた材料を酸性溶液で処理し、
c)工程b)で得られた材料を第二コーティングで被覆する、
工程を含んでなる方法に関する。
第二コーティングは、限定するものではないが、第一コーティングと同じコーティングとできる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明に係る「ゲル1R」 と実施例1に記載のような比較のためのゲル「ゲル1N」の調製のためのフローチャートを示す。
【図2】被覆シリカゲルを充填し、使用し、ついで本発明に係る再被覆シリカゲルをるプロセス全体の例のフローチャートを示す。
【図3】シラン化処理シリカゲルを再被覆する場合の新しいケイ素層の導入を示す。図中、Aは未処理シリカゲルを示し、Bはシラン化処理被覆シリカゲルを示し、Cは再被覆シラン化処理シリカゲルを示す。
【図4】実施例1に記載されたような (3,3-ジメチル)ブチルジメチルクロロシランでシラン化処理されたシリカゲルのクロマトグラフィー分離性能を示す。
【図5】実施例1に記載されたような使用後の図1に示す(3,3-ジメチル)ブチルジメチルクロロシランでシラン化処理されたものと同じシリカゲルのクロマトグラフィー分離性能を示す。
【図6】実施例1に記載された本発明に従って処理された再被覆シリカゲル「ゲル1R」のクロマトグラフィー分離性能を示す。
【図7】実施例1に記載された本発明に従って処理されていない再被覆シリカゲル「ゲル1N」のクロマトグラフィー分離性能を示す。
【図8】実施例7に記載された再被覆C4、300Åシリカゲル(試料7.0)のクロマトグラフィー分離性能を示す。
【図9】実施例7に記載された再被覆C18、300Åシリカゲル(試料7.3)のクロマトグラフィー分離性能を示す。
【図10】実施例8に記載された再被覆C18、100Åシリカゲル(試料8.0)のクロマトグラフィー分離性能を示す。
【図11】実施例8に記載された再被覆C18、100Åシリカゲル(試料8.3)のクロマトグラフィー分離性能を示す。
【図12】実施例6に記載されたシリカベースのアニオン交換体のクロマトグラフィー分離性能を示す。
【図13】実施例6に記載された再被覆シリカベースのアニオン交換体のクロマトグラフィー分離性能を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、一態様では、粒状被覆シリカゲル材料、特に使用されたもので、よって使用前のシリカゲル材料と比較して低分離性能及び/又は吸着能を有している被覆シリカゲル材料の再被覆方法に関する。
本発明の一態様では、第一コーティングで被覆されたシリカゲル材料から再被覆シリカゲル材料を調製するための方法であって、
a)第一コーティングで被覆されたシリカゲル材料を50℃から1000℃の温度で加熱し、
b)工程a)で得られた材料を、5より低いpHを持つ酸性溶液で処理し、
c)工程b)で得られた材料を第二コーティングで被覆する、
工程を含んでなる方法が提供される。
【0010】
シリカゲル、つまりケイ素原子の二酸化物は非晶質であり、高度に多孔性であり、シリカの部分的に水和した形態である。二酸化ケイ素は砂として天然に生じるが、それ自体はクロマトグラフィー用途に対して十分には多孔性ではなく、クロマトグラフィーで使用されるシリカゲルは合成的に又は砂の修飾によって調製することができる。結晶性シリカは、実際はケイ酸の無水物であり、シリカゲルはケイ酸の多量体型である。シリカゲルは液体クロマトグラフィーで使用されるより重要な物質の一つである;それは極性静止相自体として使用されるばかりでなく、被覆相の殆どが調製される基本材料である。シリカゲルは不定形か又は球状の粒子として調製されうる。球状シリカゲルは、液体クロマトグラフィーにおけるシリカゲルの最も使用されている形態である。
【0011】
一次シリカゲル粒子のマトリックスはシロキサン結合(ケイ素−酸素−ケイ素結合)によって酸素原子と共に結合されたケイ素原子のコアからなる。各一次粒子の表面には、元の多量体ケイ酸からの残留し未縮合のヒドロキシル基が残っている(シラノールと呼ばれる)。これらの残留ヒドロキシル基はシリカゲルにその極性特性を付与する。これらのヒドロキシル基はシラン試薬と反応して、図3に示した様な結合相を形成しうる(例えば,、出典明示によりここに援用するK.K. Unger, “Porous Silica - Its properties and Use as Support in Column Liquid Chromatography”, Elsevier, 1979に記載)。シリカ表面はかなり複雑で、一種を越えるヒドロキシル基と吸着された水を含む。3種のヒドロキシル基又はシラノール:孤立(isolated)、ビシナル(vicinal)及びジェミナル(geminal)があり、これらシラノール類が支配的な吸着及び誘導体化(被覆)部位である。
が存在している:
【0012】
第一コーティングが塗布され、本発明に係る方法で再被覆されうる未処理シリカゲル材料の例は、1から1000μm、好ましくは1から200μmの平均粒子径を有する多孔性シリカゲル材料である。本発明の一態様では、シリカゲル材料は、1から10000Å、好ましくは50から5000Åの孔径を有する。本発明の更なる態様では、シリカゲル材料は1から2000Åの孔径を有する。本発明の更なる態様では、シリカゲル材料は1から1000Åの孔径を有する。本発明の更なる態様では、シリカゲル材料は、1から1000m2/g、好ましくは5から600m2/gの表面積を有する。本発明の一態様では、シリカゲルは0.2から2.0ml/gの孔体積を有する。更なる態様では、孔体積は0.5から1.5ml/gであり、また更なる態様では、0.7から1.2ml/gである。本発明の他の態様では、シリカゲル材料は球状シリカゲル粒子の形態である。
【0013】
未処理シリカゲル材料の好ましい例は、例えば60Å、100Å、200Å、300Å、400Å、500Å、600Å、700Å、800Å、900Å、1000Å、1300Å、1500Å、1700Å又は2000Åの孔径の不定形シリカゲルである。他の態様では、粒子は、例えばサブ2μm、2μm、5μm、10μm、15μm、20μm、25μm、30μm又は50μmの平均粒子径と、例えば60Å、100Å、200Å、300Å、400Å、500Å、600Å、700Å、800Å、900Å、1000Å、1300Å、1500Å、1700Å又は2000Åの孔径を有する球状シリカゲル粒子である。
【0014】
本文脈中で酸性溶液、水のような中性溶液又はアルカリ性溶液でのシリカゲル材料の処理又は処理することに関連して使用される「処理する」又は「処理」は、通常の又は超臨界条件下で液体又はガスに単に接触させることによって実施できる。一実施態様では、材料は、熱分解シリカゲルのようなシリカゲル材料を水溶液中で撹拌することによって接触せしめる。
【0015】
「第一コーティングで被覆されたシリカゲル材料」又は「被覆シリカゲル材料」なる用語は、主要部分として非晶質二酸化ケイ素を有する被覆材料を意味する。 本発明の一態様では被覆は主に有機材料からなる。シリカゲル材料は一又は複数のタイプのリガンド又はコーティングで更に官能化されていてもよい。この定義は、第一コーティングで被覆されたシリカゲル材料が前に再被覆されていた可能性を排除するものではない。よって、本発明に係る方法によって、被覆シリカゲル材料を数回(例えば実施例7及び8に示すように)再被覆することが可能である。従って、第一コーティングで被覆されたシリカゲル材料は、一態様では、既に少なくとも一回再被覆された材料である。
【0016】
本発明の一態様では、第二コーティングが第一コーティングと同種のコーティングである。本発明の他の態様では、第二コーティングは第一コーティングとは別の種類のコーティングである。
本発明の更なる態様では、第一コーティングで被覆されたシリカゲル材料はシラン化処理シリカゲルである。本発明の他の態様では、第二コーティングを有する工程c)で得られたシリカゲル材料はシラン化処理シリカゲルである。
本発明の一態様では、第一コーティングを有するシリカゲル材料は使用済みのものである。
【0017】
本発明の更なる態様では、第一コーティングを有するシリカゲル材料は、クロマトグラフィー、例えばRP−HPLC、順相HPLC、HIC、SFC、アフィニティークロマトグラフィー、キラル分離、及びIEXクロマトグラフィー、及び他の吸着プロセス、例えばSPE(固相抽出)に使用されている。本発明の更なる態様では、第一コーティングを有するシリカゲル材料は、HPLCのような液体クロマトグラフィーに使用されている。本発明の更なる態様では、第一コーティングを有するシリカゲル材料は、有機化合物の液体クロマトグラフィーに使用されている。本発明のまた更なる態様では、第一コーティングを有するシリカゲル材料は、薬学的ペプチド又は小薬剤のような薬学的化合物の液体クロマトグラフィーに使用されている。本発明の更なる態様では、第一コーティングを有するシリカゲル材料は、そのクロマトグラフィー分離及び/又は吸着能の一部又は全てを失っている。
【0018】
再被覆シリカゲル材料は、クロマトグラフィー、例えばRP−HPLC、順相HPLC、HIC、SFC、アフィニティークロマトグラフィー、キラル分離、及びIEXクロマトグラフィー、及び他の吸着プロセス、例えばSPE(固相抽出)に使用することができる材料である。本発明の一態様では、再被覆シリカゲル材料は、液体クロマトグラフィー、例えばHPLC及び吸着プロセスに適している。本発明の更なる態様では、材料は、RP−HPLCでの使用に適した再被覆シリカゲル材料である。本発明のまた更なる態様では、再被覆シリカゲル材料は、薬学的ペプチド又は小薬剤のような薬学的化合物の液体クロマトグラフィーに適している。
【0019】
上述の通り、再被覆シリカゲル及び/又は第一コーティングで被覆されたシリカゲル材料はシラン化処理シリカゲルでありうる。シラン化処理シリカゲルは、シラン化合物で化学的に修飾(又は誘導体化)されたシリカゲルである。更なる態様では、シラン化処理シリカゲルは、一般式[1]
[上式中、Rは、アルキル及びアリール基(ここで、該アルキル又はアリール基は場合によっては一又は複数の置換基を有しうる)からなる群から選択され、Xは、水素原子、ハロゲン原子、トリフレート基及びC1−4−アルコキシ基からなる群から選択され、Z及びYは同じか異なっていて、アルキル又はアリール基の何れかを表し(ここで、該アルキル又はアリール基は場合によっては一又は複数の置換基を有しうる)又は水素原子、ハロゲン原子、トリフレート、又はC1−4−アルコキシ基を表すことができる。]によって表されるシラン化合物で化学的に修飾されたシリカゲルである。本発明の一態様では、Rは「C1−30−アルキル」である。本発明の更なる態様では、Xは、水素原子、塩素原子、トリフレート基及びC1−4−アルコキシ基からなる群から選択される。本発明の一態様では、Z及びYは同じか又は異なっており、「C1−10−アルキル」を表す。更なる態様では、X及びYは同じであり、ハロゲン原子、例えば塩素か、又はアルコキシ基、例えばメトキシ又はエトキシの何れかである。他の態様では、R及びZは同じであり、「C1−30−アルキル」である。他の態様では、Rは「C1−30−アルキル」であり、Z、Y及びXは同じであり、ハロゲン原子又はアルコキシ基、例えばC1−4−アルコキシ基である。典型的には、X は、図3に示される様にシリカゲル中の酸素原子への結合によって置き換えられる。
【0020】
本発明の一態様では、アルキルは「C1−100−アルキル」である。ここで使用される「C1−100−アルキル」は、1から100の炭素原子を有する飽和、分枝又は直鎖炭化水素基、例えばC1−3−アルキル、C1−4−アルキル、C1−6−アルキル、C2−6−アルキル、C3−6−アルキル、C1−8−アルキル、C1−10−アルキル、C3−12−アルキル、C6−12−アルキル等を表す。代表的な例は、メチル、エチル、プロピル(例えばプロパ−1−イル、プロパ−2−イル(又はイソ−プロピル))、ブチル(例えば2−メチルプロパ−2−イル(又はtert−ブチル)、ブタ−1−イル、ブタ−2−イル)、ペンチル(例えばペンタ−1−イル、ペンタ−2−イル、ペンタ−3−イル)、2−メチルブタ−1−イル、3−メチルブタ−1−イル、ヘキシル(例えばヘキサ−1−イル)、ヘプチル(例えばヘプタ−1−イル)、オクチル(例えばオクタ−1−イル)、ノニル(例えばノナ−1−イル)等を表す。本発明の一態様では、アルキルは「C1−100−アルキル」である。本発明の一態様では、アルキルは「C1−50−アルキル」である。本発明の更なる態様では、アルキルは「C1−30−アルキル」である。
【0021】
ここで用いられる「アリール」という用語は、単環、二環もしくは多環式炭素環芳香環を含むことを意図する。代表例としては、フェニル、ナフチル(例えば、ナフタ-1-イル、ナフタ-2-イル)、アントリル(例えば、アントラ-1-イル、アントラ-9-イル)、フェナントリル(例えば、フェナントラ-1-イル、フェナントラ-9-イル)などが挙げられる。アリールはまた、炭素環芳香環で置換された単環、二環もしくは多環式炭素環芳香環も含むことを意図する。代表例としては、ビフェニル(例えば、ビフェニル-2-イル、ビフェニル-3-イル、ビフェニル-4-イル)、フェニルナフチル(例えば、1-フェニルナフタ-2-イル、2-フェニルナフタ-1-イル)などが挙げられる。アリールはまた、少なくとも一の不飽和部分(例えば、ベンゾ部分)を有する部分的に飽和の二環式もしくは多環式炭素環も含むことを意図する。代表例としては、インダニル(例えば、インダン-1-イル、インダン-5-イル)、インデニル(例えば、インデン-1-イル、インデン-5-イル)、1,2,3,4-テトラヒドロナフチル(例えば、1,2,3,4-テトラヒドロナフタ-1-イル、1,2,3,4-テトラヒドロナフタ-2-イル、1,2,3,4-テトラヒドロナフタ-6-イル)、1,2-ジヒドロナフチル(例えば、1,2-ジヒドロナフタ-1-イル、1,2-ジヒドロナフタ-4-イル、1,2-ジヒドロナフタ-6-イル)、フルオレニル(例えば、フルオレン-1-イル、フルオレン-4-イル、フルオレン-9-イル)などが挙げられる。アリールはまた、一又は二の架橋を含む部分的に飽和の二環式もしくは多環式炭素環も含むことも意図する。代表例としては、ベンゾノルボルニル(例えば、ベンゾノルボルン-3-イル、ベンゾノルボルン-6-イル)、1,4-エタノ-1,2,3,4-テトラヒドロナフチル(例えば、1,4-エタノ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタ-2-イル,1,4-エタノ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタ-10-イル)などが挙げられる。アリールはまた、一又は複数のスピロ原子を含む部分的に飽和の二環式もしくは多環式炭素環芳香環も含むことも意図する。代表例としては、スピロ[シクロペンタン-1,1'-インダン]-4-イル、スピロ[シクロペンタン-1,1'-インデン-]-4-イル、スピロ[ピペリジン-4,1'-インダン]-1-イル、スピロ[ピペリジン-3,2'-インダン]-1-イル、スピロ[ピペリジン-4,2'-インダン]-1-イル、スピロ[ピペリジン-4,1'-インダン]-3'-イル、スピロ[ピロリジン-3,2'-インダン]-1-イル、スピロ[ピロリジン-3,1'-(3',4'-ジヒドロナフタレン)]-1-イル、スピロ[ピペリジン-3,1'-(3',4'-ジヒドロナフタレン)]-1-イル、スピロ[ピペリジン-4,1'-(3',4'-ジヒドロナフタレン)]-1-イル、スピロ[イミダゾリジン-4,2'-インダン]-1-イル、スピロ[ピペリジン-4,1'-インデン-]-1-イルなどが挙げられる。アリールはまたピリジン、ピラジン、ピラゾール、ピロール、チオフェン、フラン、及びそれらの誘導体のような炭素以外の一又は複数の原子を有する芳香環を含むことも意図する。本発明の一態様では、アリールはフェニルである。
【0022】
置換基の例は、アルキル基(例えばC1−10−アルキル)、アリール基、CN、OH、OR1、N、NH、NH2、NHR1、NR1R2、SH、SR1、COOH、COOR1、CONH2、CONHR1、CONR1R2、Cl、Br、F、SO3、PO4(ここで、R1及びR2は独立して、アルキル(例えばC1−10−アルキル)及びアリール基(例えばフェニル又はアントラセン)からなる群から選択される。これらの基は、場合によっては類似の置換基で置換されていてもよい。
「ハロゲン」又は「ハロ」なる用語はフッ素、塩素、臭素又はヨウ素を意味する。
【0023】
より正式にはトリフルオロメタンスルホナートとして知られる「トリフレート」なる用語は、式CF3SO3−の官能基である。
ここで使用される「C1−4−アルコキシ基」なる用語は、基C1−4−アルキル−O−を意味する。代表的な例は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ(例えば1−プロポキシ、2−プロポキシ)、ブトキシ(例えば1−ブトキシ、2−ブトキシ、2−メチル−2−プロポキシ)等である。
シラン化処理シリカゲルはまた適切なシラン試薬でエンドキャッピングされうる。エンドキャッピングのためのシラン試薬の例は、トリメチルクロロシラン、ヘキサメチルジシラザン、及びN,O-ビス(トリメチルシリル)アセトアミドである。
【0024】
本発明の一態様では、コーティングはシリルコーティング(つまり、シリルリガンド)、例えばオクタデシルジメチルシリル(C18), オクタデシルメチルシリル(C18), オクチルジメチルシリル(C8), ブチルジメチルシリル(C4), ジブチルシリル、ジヒドロキシプロピルジメチルシリル、シアノプロピルジメチルシリル、フェニルジメチルシリル、及びアミノプロピルジメチルシリル基であり;更なる態様では、コーティングは、ポリマーコーティング、例えば分子インプリントポリマーであり;更なる態様では、コーティングは、シクロデキストリンとその誘導体、例えばフェニルカルバメート化β−シクロデキストリンから作製され;更なる態様では、コーティングはペグ化コーティング(例えばポリエチレングリコールとその誘導体)であり;また更なる態様では、コーティングはセルロース及びアミラーゼ、及びそれらの誘導体、例えばトリス(3,5−ジメチルフェニル)カルバモイルセルロースから作製される。
【0025】
被覆シリカゲル材料は数多くの薬学的化合物、例えばインスリン、他のペプチド及びタンパク質、シプラレックス及び他の小薬剤分子の実験室及び工業的生産(分画)においてあるいはそのような分子の純度の分析にしばしば使用される。被覆シリカゲル材料の使用中、材料はそのクロマトグラフィー分離及び/又は吸着能の一部又は全てを失いうる。これは、ある場合には、物質の不可逆的な吸着及び/又は薬剤生成物のような生成物及び/又は生成物関連不純物及び/又はクロマトグラフィープロセスからの不純物でのシリカゲル材料の孔の汚染によりうる。該材料はまたコーティング(例えばリガンド又はポリマー層)の喪失のためにそのクロマトグラフィー分離及び/又は吸着能の一部又は全てを失い得、よって被覆シリカゲル材料の分離能及び/又は吸着能の欠如又は低下を生じる。
【0026】
本文脈における「分離性能」なる用語は、所望の分子を他の分子から所望の純度レベルで分離する能力を意味する。本発明の一態様では、再被覆シリカゲル材料の分離性能は、本発明に係るプロセスに入る第一コーティングを有するシリカゲル材料よりも再被覆シリカゲルが高い分離性能を有するように改善されている。本発明の更なる態様では、分離性能は、実施例2に記載の通り、一般的な有機試験化合物、例えばピリジン、フェノール、ウラシル、ベンズアルデヒド、ベンゾニトリル、及びアニソールの分離によって測定される。
【0027】
本文脈における「吸着能」なる用語は、破過が生じる前に又は所定の時間内に被覆シリカゲル材料に吸着されうる分子の量を意味する。本発明の一態様では、吸着能は、本発明に係るプロセスに入る第一コーティングを有するシリカゲル材料よりも再被覆シリカゲルが高い吸着能を有するように改善されている。
【0028】
本文脈における「再被覆シリカゲル材料」なる用語は、コーティングが剥ぎ取られ、本発明に係る方法によって同種のコーティング又は異なった種類のコーティングで再被覆されたシリカゲル材料を意味し、よって、第一コーティングと第二コーティングは同じ種類のコーティングであってもなくてもよい。本発明の一態様では、再被覆シリカゲル材料は同じ種類のコーティングで被覆されている。本発明の他の態様では、本発明に従って再被覆される被覆シリカゲル材料は使用された又は費やされた被覆シリカゲル材料である。被覆シリカゲル材料は、例えばRP−HPLCのような液体クロマトグラフィーに複数回使用されていてもよい。
【0029】
本発明の他の態様では、本発明に係る方法の再被覆シリカゲル材料は、たとえ第一及び第二コーティングが同じでも、プロセスに入る第一コーティングを有するシリカゲル材料と比較して高い分離性能及び/又は吸着能を獲得している。
【0030】
本発明の一態様では、本発明に係るプロセスに入る被覆シリカゲル材料が、第一コーティングを有する使用され又は費やされたシリカゲル材料である場合、第一コーティングと等しい第二コーティングを有する本発明に係る方法によって得られた再被覆シリカゲルは、使用され又は費やされる前の被覆シリカゲル材料と比較して同じかより高い分離性能及び/又は吸着能を実質的に有している。よって、この態様において、本発明に係る方法を使用することによって、元の被覆シリカゲル材料と同じか更に優れた分離性能及び/又は吸着能を有する材料を得、よって使用済み材料の廃棄を避けることが可能になる。これは、環境上の理由と、工業プロセスにおける経済性の改善の双方について有益でありうる。
【0031】
ある場合には、再被覆シリカゲル材料は、プロセスに入る被覆シリカゲル材料よりも高い機械強度をまた有しうる。これは、例えば被覆シリカゲル材料が、例えば実施例3に示されるようなシラン化処理シリカゲルである場合である。再被覆シリカゲル材料は、二酸化ケイ素の余分な層が導入され、元のシリカゲルよりも小さい孔体積となるため、本発明に係る方法が適用される被覆シリカゲル材料と比較して改善された機械強度を有しうる。これは、シリルリガンドの有機部分のみが本発明に係る加熱工程によって焼き払われ、元のシリカゲル材料に結合したケイ素原子を後に残すという事実からである。本発明に係る方法における加熱工程後の分画による被覆材料からの安定性が低く、破壊された粒子の除去はまた再被覆材料のより高い機械的安定性に寄与しうる。更に、実施例9に例証するように、分画と余分のケイ素層の添加がなくとも、本発明の所定の態様では、再被覆シリカゲルに対して改善された機械的安定性を得ることが可能である。
【0032】
再被覆シリカゲル材料が本発明に係るプロセスに入る被覆シリカゲル材料と同じコーティングで被覆されている場合、つまり、第一コーティングと第二コーティングが同じ種類であり、このコーティングがシリルリガンドである場合、再被覆材料は、二酸化ケイ素の余分な層のためにプロセスに入るものと必ずしも同じ材料である必要はない。しかしながら、シリカゲル材料上のコーティングが純粋に有機的であるか又はシリカゲルとコーティングの間の共有結合がSi−C又はSi−O−C結合である場合、再被覆シリカゲル材料は本発明に係るプロセスに入る被覆シリカゲル材料と同じであり得、シリカゲル材料が同じ種類のコーティングで再被覆されれば、しかしより良好な機械的安定性を有しうる。
【0033】
第一及び第二コーティングが同じである態様では、本発明に係るプロセスに入る被覆シリカゲルと同じ目的に対して再被覆シリカゲル材料が適している。一態様では、再被覆シリカゲル材料が液体クロマトグラフィー(LC)に対して適している。更なる態様では、再被覆シリカゲル材料がRP HPLCに対して適している。他の態様では、再被覆シリカゲルがキラル分離に適しており、また他の態様では、再被覆シリカゲルがイオン交換クロマトグラフィーに適している。更なる態様では、再被覆材料は、アフィニティークロマトグラフィーに適しており、また更なる態様では、再被覆シリカゲルがSFCに適している。
【0034】
本発明の一態様では、本発明に係る方法によって得ることができる再被覆シリカゲル材料が提供される。本発明の更なる態様では、本発明に係る方法によって得ることができる再被覆シリカゲル材料はシラン化処理シリカゲルである。
【0035】
本発明に係る更なる態様では、本発明に係る方法によって得ることができる液体クロマトグラフィー用の充填材料が提供される。他の態様では、本発明に係る充填材料を充填した液体クロマトグラフィーカラムが提供される。また更なる態様では、本発明に係る充填材料が充填されたカラムが使用される化合物の分析方法が提供される。また更なる態様では、本発明に係る充填材料が充填されたカラムが使用される化合物の分別方法が提供される。また更なる態様では、化合物がペプチド又はタンパク質である本発明に係る分析又は分別の方法が提供される。また更なる態様では、本発明に係る方法によって得ることができる吸着プロセスのための材料が提供される。また更なる態様では、本発明に係る材料が使用される化合物の吸着方法が提供される。本発明に係る方法によって得ることができる再被覆シリカゲル材料は、被覆シリカゲルが通常使用される場合に適用されうる。本発明の一態様では、不可逆的に結合した有機化合物の除去は本発明の方法によって達成される。
【0036】
本発明の一態様では、再被覆材料が満たされた管が提供される。本発明の更なる態様では、再被覆材料の濾床が提供される。本発明のまた更なる態様では、吸着プロセスにおいて再被覆材料を適用する他の手段が提供される。
【0037】
次は、任意工程を含む本方法の各工程のより詳細な説明であるが、これは本発明の範囲を決して限定するものではない。
【0038】
加熱工程
本発明の一態様では、第一コーティングを有するシリカゲル材料は工程a)において約50から約1000℃の温度まで加熱される。他の態様では、工程a)における温度は少なくとも500℃に達する。他の態様では、工程a)における温度は少なくとも650℃に達する。更なる態様では、温度は約50から約900℃である。更なる態様では、温度は約50から約800℃である。処理されるシリカゲル材料への特定のコーティング及び存在する低沸点溶媒のような幾つかのファクターに応じて、加熱工程は、間隔をおいて温度を上昇させ、例えば不活性雰囲気又は酸化ガスの存在下で実施することができる。
【0039】
一態様では、被覆シリカゲル材料は、存在している任意の低沸点溶媒を除去し、リガンドのような任意の有機材料及び/又は任意の吸着された有機物質を燃焼させるために所定の温度プロファイルに従って所定の期間、加熱される。
この工程に対して使用することができる異なったオーブンの例は、工業的ピザ用オーブン、レトルトオーブン、流動床、及び通気オートクレーブであり、工業的レトルトオーブンが最も好ましい。加熱工程は、好ましくは被覆シリカゲル材料の均一な加熱を確実にする方法で、シリカゲルを損じることなくあらゆる有機材料を燃焼させるのに十分に高い温度で実施されうる。
【0040】
本発明の一態様では、工程a)における加熱は、温度を一又は複数の工程で上昇させることによって実施される。一態様では、工程a)における加熱は、初期温度で加熱する第一工程(a1)と、初期温度と比較してより高い温度(燃焼温度)で加熱する第二工程(a2)を含む二工程方法で実施される。一態様では、初期温度は、50−200℃の温度、例えば50−150℃又は80−150℃である。他の態様では、燃焼温度は、400−900℃、例えば400−800℃の温度である。また更なる態様では、燃焼温度は500−800℃の温度である。更なる態様では、初期温度が50−150℃で、500−800℃の燃焼温度が続く。工程(a1)及び(a2)は双方とも材料が所定の期間、所定の温度で維持される幾つかの個々の工程でありうる。本発明に係る方法の加熱工程a)は、例えば7工程、8工程、9工程又はそれ以上のような数工程で所定の期間温度を上昇させることによって実施されうる。本発明の一態様では、初期加熱(a1)は一又は二の工程で実施されうる。本発明の更なる態様では、燃焼加熱(a2)は2から15の工程、例えば3から10,例えば6から8の工程で実施されうる。
【0041】
本発明に係る方法の工程a)を有機材料の揮発性に応じて酸化ガス下又は不活性ガス下で実施することが好ましい。
一態様では、初期温度での加熱は、不活性ガス下で実施される。不活性ガスの例はヘリウム、ネオン、アルゴン又は窒素ガスである。
一態様では、燃焼温度での加熱は不活性ガス下で実施され、それに酸化ガス下での処理が続く。酸化ガスの例は、酸素含有ガス、過酸化水素、空気又はオゾンである。本発明の一態様では、酸化ガスは、O2及び空気、及びN2とのその混合物からなる群から選択される。より好ましい態様では、燃焼温度での加熱は、窒素と酸素又は空気の混合物又は単に空気の下で実施される。
【0042】
本発明に係る温度間隔の一例は、
工程a1):好ましくは窒素下で100−200℃までゆっくりと加熱して一又は複数の工程で有機溶媒と水を燃焼除去する。
工程a2):好ましくは窒素下で800℃まで、例えば650℃まで加熱し、一又は複数の工程でリガンド及び有機残留物を燃焼除去する。
工程a3):空気あるいは空気と不活性ガスの混合物の下で一又は複数の工程で800℃まで、例えば700℃まで加熱することにより炭素残留物を酸化させる
を含む3工程プロセスである。
【0043】
より特異的な例として、本発明に係る加熱工程は、セラミック(例えばPillivuyt)トレーに最大10cm、好ましくは7cm未満、更により好ましくは5cm又は5cmの層で被覆シリカゲル材料を配することによって達成できる。セラミックトレーは、例えばGemco (Holland)製のレトルトオーブン中に配される。被覆シリカゲル材料は窒素下で最大150℃までゆっくりと加熱され、水と低沸点有機溶媒が燃焼される。この後に窒素下又は任意の他の不活性ガス下で温度を最大700℃に増大させて、存在する有機材料の殆どを燃焼させる。数時間後に、温度を数時間の間、酸化条件下で最大900℃まで増大させ、残りの有機化合物を燃焼させる。その後、熱分解したシリカゲル材料を放置して冷却させる。
【0044】
本発明の一態様では、初期加熱は、材料と共に使用される最も高い沸点の液体の沸点より高い温度を達成するのにかかる限り、例えば150℃を達成するのに4−10時間又はより特定的には100℃の温度を達成するのに6時間、実施される。更なる態様では、燃焼温度での加熱は、例えば4−13時間のように2−15時間実施される。
更なる処理の前に、材料は例えば50℃未満まで冷却される。
【0045】
任意工程:熱処理材料の分画
本発明の工程a)に従って処理されたシリカゲル材料は、場合によっては適切な粒径に分画されて破壊された粒子又は塊状物が除去される。これは、例えばハイドロサイクロン、空気分級機又は他の適切な装置を使用して実施することができる。本発明の更なる態様では、工程a)からのシリカゲル材料のバルク部分は、所望の粒径からより小さい部分と大きい部分を除去するために2回分画される。
【0046】
酸性溶液での処理:
熱処理された材料の酸性処理は、工程に入る材料の状態に応じて幾つかの目的を有している。本発明の一態様では、contacting the heat-treated 熱処理されたシリカゲル材料を酸性溶液に接触させることで汚染している塩及び/又は燃焼オーブンからの鉄フレークを除去する。
酸性溶液での処理はまたシリカゲル材料の加熱中に得られるシロキサン架橋を加水分解する。シロキサン架橋の加水分解は、再被覆工程中にリガンドでつづいて誘導体化されうるシラノール基を生成する。シロキサン架橋が結合プロセスの前に加水分解されない場合には、再被覆シリカゲル材料の使用中に例えば水によって加水分解され得、被覆材料中にシラノール基の存在を生じせしめうる。後者は被覆材料の分離性能及び/又は吸着能を減少させうる。
【0047】
本発明の一態様では、工程a)で得られた材料は、酸性溶液と接触せしめられる。更なる態様では、工程b)における酸性溶液は5より低い、好ましくは3より低い、好ましくは2より低い、更により好ましくは1より低いpHを有する。他の態様では、工程b)の酸性溶液は、約0から約5のpH、好ましくは約0から約4のpH、好ましくは約0から約3のpH、更により好ましくは約0から約2のpH、更により好ましくは約0から約1のpHを有している。本発明の一態様では、シリカゲルの量と比較した酸性溶液の量は2ml/g、好ましくは3ml/g、更により好ましくは4ml/g又はそれ以上である。これは、ゲルを十分に湿潤させるためである。
【0048】
無機酸は重金属又は金属塩のような無機物質を溶解させるために明らかに好ましい。この目的に対して有機酸の使用を考えることもできるが、それらは一般に効果が少ない。本発明の一態様では、工程b)における酸性溶液は、よって無機酸の水溶液である。
【0049】
無機酸の例は、塩酸(HCl)、硝酸、過塩素酸、硫酸(H2SO4)及びリン酸(H3PO4)、又はその混合物である。本発明の一態様では、工程b)における酸性溶液は、HCl、H2SO4及びH3PO4からなる群から選択される無機酸の水溶液である。更なる態様では、酸性溶液は水性HClである。一態様では、HCl水溶液は1−10%w/wで0.3−3.0Mに対応する。
酸性溶液での処理は、例えば反応器中での単純な接触によって、又はシリカゲルを充填したカラム又は容器に溶液を流すことによって、又はオートクレーブ中で加圧下で実施することができる。
【0050】
反応器中で、又はシリカゲルを充填したカラム又は容器に溶液を流すことによる酸性溶液での処理は、典型的には約1−48時間、より好ましくは1−24時間、更により好ましくは1−12時間の間である。
温度は0から100℃の間、より好ましくは室温(r.t.)と100℃の間、最も好ましくは70℃以上の温度の範囲とできる。
この工程を例証するために、加熱処理されたシリカゲルを、約1−48時間、より好ましくは1−24時間、更により好ましくは1−12時間、撹拌下で水性HClで還流下で処理する。
【0051】
任意工程:中性又はアルカリ性溶液での処理
本発明の一態様では、工程b)における酸性溶液での処理の前に工程a)で得られた材料が中性又はアルカリ性溶液で処理される。本発明の更なる態様では、工程b)における酸性溶液での処理の前に工程a)で得られた材料が、100℃より高い温度の水で処理される。本発明のまた更なる態様では、工程b)における酸性溶液での処理の前に工程a)で得られた材料が、7より高いpHを有するアルカリ性溶液で処理される。本発明の他の態様では、工程c)における被覆の前に工程b)で得られた材料が、中性又はアルカリ性溶液で処理される。本発明の更なる態様では、工程c)における被覆の前に工程b)で得られた材料が、100℃より高い温度の水で処理される。本発明のまた更なる態様では、工程c)における被覆の前に工程b)で得られた材料が、7より高いpHを有するアルカリ性溶液で処理される。一態様では、シリカゲルの量と比較した中性又はアルカリ性溶液の量は、十分な湿潤を確保するために2ml/gである。更なる態様では、シリカゲルの量と比較した中性又はアルカリ性溶液の量は3ml/g又はそれ以上であり、更なる態様では4ml/g又はそれ以上である。
【0052】
シロキサン架橋の加水分解は、酸性溶液での処理の前又は後の何れかにおいて水の様な中性pH又はアルカリ性溶液で処理することによって達成することができる。アルカリ性又は中性溶液での任意の処理の他の結果は、より大きな孔を有する再被覆シリカゲルである(孔拡張)。ある場合には、大きな孔が、例えばペプチド又はタンパク質のような大きな分子の精製及び/又は吸着に有益である。
【0053】
水での孔拡張を達成するために、好ましい温度は100−400℃、例えば200−300℃、例えば240℃である。一態様では、シリカゲルの量と比較した水の量は、十分な湿潤を確保するために2ml/g又はそれ以上である。更なる態様では、シリカゲルの量と比較した水の量は、3ml/g又はそれ以上であり、また更なる態様では4ml/g又はそれ以上である。狭い孔径分布を持つ材料を得るためには、均一な懸濁液が確保されなければならない。これは、例えばオートクレーブの回転によって達成することができる。
【0054】
本発明の一態様では、アルカリ性溶液のpHは7−14である。他の態様では、アルカリ性溶液のpHは9−13であり、更なる態様では、10−12である。一態様では、アルカリ性溶液のpHは8−13であり、更なる態様では、9−12、例えば9−11のpHである。
一態様では、塩基での孔拡張が、pH9−13、例えばpH10−11のアルカリ性溶液のpHで実施される。他の態様では、孔拡張は、pH8−13、例えばpH9−11のアルカリ性溶液のpHで実施される。
【0055】
本発明の一態様ではアルカリ性溶液は無機又は有機塩基の溶液である。本発明の一態様では、アルカリ性溶液は、無機塩基及び有機アミン類、例えばNaOH、NH3、Na2CO3、NaHCO3、H2N−CH2CH2−OH、及び(CH3CH2)3Nからなる群から選択される塩基の溶液である。一態様では、アルカリ性溶液は、pH8−13、例えばpH8−10の有機塩基の水溶液である。本発明の更なる態様では、有機塩基は、エタノールアミン及びトリエチルアミンからなる群から選択される。本発明の他の態様では、アルカリ性溶液は無機塩基の溶液である。本発明の更なる態様では、アルカリ性溶液は、NaOH、Na2CO3及びNaHCO3からなる群から選択される無機塩基の溶液である。本発明の更に他の態様では、アルカリ性溶液は、NaOH及びNa2CO3(例えば0.4−5%w/wの量)からなる群から選択される無機塩基の溶液である。
【0056】
中性又はアルカリ性溶液での任意の処理は、例えば反応器中で撹拌することによるアルカリ性溶液との単純な接触によって、又はシリカゲルを充填したカラム又は容器に溶液を流すことによって、又はオートクレーブ中で加圧下で水又はアルカリ性溶液と単に接触させることによって、実施することができる。
【0057】
処理されたシリカゲル材料の再被覆:
加熱処理され酸処理されたシリカは、プロセスに入るシリカゲルと同じ種類のコーティング又は新しい種類のコーティングで再被覆される。シリルリガンドのコーティングでのシリカゲル材料のコーティングは、当業者に既知の任意の方法によって実施することができ、その場合、重要な点は、出典明示によりここに援用されるY. Sudo in J. Chromatography A 737, p. 139-147 (1996)に例えば記載されているように、例えばクロロ−、トリフレート−又はアルコキシシランの添加前の水の除去、有機溶媒中でのクロロ−、トリフレート−又はアルコキシシランとの反応、及びシラン化処理シリカゲルの回収である。
【0058】
本発明の一態様では、シラン化処理は、有機溶媒中における共沸蒸留による脱水と続く適当なシラン化合物でのシラン化によって実施され、再被覆材料が得られる。シラン化合物と反応せず、反応温度で安定な任意の溶媒、例えばトルエン、ジクロロメタン、キシレン又は他の疎水性有機溶媒を使用することができる。本発明の一態様では、溶媒はトルエンである。ピリジン又はイミダゾールのような塩基化合物を反応系に加えてもよい。 数時間の反応時間の後に、エンドキャッピング試薬、例えばトリメチルクロロシランを加えてもよい。反応が完了したところで、アルコールの添加によって過剰な試薬の破壊が達成される。混合物は放置して冷却され、シラン化した材料が、例えば濾過又は遠心分離によって集められる。
【0059】
例示的実施態様
本発明の一態様では、第一コーティングで被覆されたシリカゲル材料から再被覆シリカゲル材料を調製するための方法であって、
a)第一コーティングで被覆されたシリカゲル材料を、例えば酸化ガス下で、少なくとも500℃の温度まで加熱し、
b)工程a)で得られた材料を、1より低いpHを持つ酸性溶液で処理し、
c)工程b)で得られた材料を第二コーティングで被覆する、
工程を含んでなる方法が提供される。
【0060】
本発明の更なる態様では、第一コーティングで被覆されたシリカゲル材料であって液体クロマトグラフィーに使用された材料から再被覆シリカゲル材料を調製するための方法であって、
a)第一コーティングで被覆されたシリカゲル材料を、例えば酸化ガス下で、少なくとも500℃の温度まで加熱し、
b)工程a)で得られた材料を、1より低いpHを持つ酸性溶液で処理し、
c)工程b)で得られた材料を第二コーティングで被覆する、
工程を含んでなる方法が提供される。
であって、
a)第一コーティングで被覆されたシリカゲル材料を、例えば酸化ガス下で、少なくとも500℃の温度まで加熱し、
b)工程a)で得られた材料を、1より低いpHを持つ酸性溶液で処理し、
c)工程b)で得られた材料を第二コーティングで被覆する、
工程を含んでなる方法が提供される。
【0061】
本発明の更なる態様では、液体クロマトグラフィーに使用されたシラン化処理シリカゲル材料から再被覆シリカゲル材料を調製するための方法であって、
a)第一コーティングで被覆されたシリカゲル材料を、例えば酸化ガス下で、少なくとも500℃の温度まで加熱し、
b)工程a)で得られた材料を、1より低いpHを持つ酸性溶液で処理し、
c)工程b)で得られた材料を第二コーティングで被覆する、
工程を含んでなる方法が提供される。
【0062】
本発明の更なる態様では、液体クロマトグラフィーに使用されたシラン化処理シリカゲル材料から再被覆シリカゲル材料を調製するための方法であって、
a)第一コーティングで被覆されたシリカゲル材料を、例えば酸化ガス下で、少なくとも500℃の温度まで加熱し、
b)工程a)で得られた材料を、シリカゲル量と比較しての酸性溶液の量が2ml/g、好ましくは3ml/g、更により好ましくは4ml/gである酸性溶液であって1より低いpHを持つ溶液で処理し、
c)工程b)で得られた材料を第二コーティングで被覆する、
工程を含んでなる方法が提供される。
【0063】
更なる例示的実施態様
次の段落は本発明の例示的実施態様を記述する。
1. 第一コーティングで被覆されたシリカゲル材料から再被覆シリカゲル材料を調製するための方法であって、
a)第一コーティングで被覆されたシリカゲル材料を50℃から1000℃の温度で加熱し、
b)工程a)で得られた材料を、7より低いpHを持つ酸性溶液で処理し、
c)工程b)で得られた材料を第二コーティングで被覆する、
工程を含んでなる方法。
2. 工程b)での酸性溶液での処理前に、工程a)で得られた材料を、100℃より高い温度の水で処理する実施態様1に記載の方法。
3. 工程b)での酸性溶液での処理前に、工程a)で得られた材料を、7より高いpHを持つアルカリ性溶液で処理する実施態様1に記載の方法。
4. 工程c)での被覆前に、工程b)で得られた材料を、100℃より高い温度の水で処理する実施態様1−3の何れか一に記載の方法。
5. 工程c)での被覆前に、工程b)で得られた材料を、7より高いpHを持つアルカリ性溶液で処理する実施態様1−3の何れか一に記載の方法。
6. 工程b)での酸性溶液が、5より低い、好ましくは3より低い、更に好ましくは2より低い、更により好ましくは1より低いpHを有している実施態様1−5の何れか一に記載の方法。
7. 工程b)での酸性溶液が無機酸の水溶液である実施態様1−6の何れか一に記載の方法。
8. 工程b)での酸性溶液がHCl、H2SO4及びH3PO4からなる群から選択される無機酸の水溶液である実施態様1−7の何れか一に記載の方法。
9. アルカリ性溶液が無機又は有機塩基の溶液である実施態様1−8の何れか一に記載の方法。
10. アルカリ性溶液のpHが7−14、より好ましくは9−13、更により好ましくは10−12である実施態様9に記載の方法。
11. 工程a)における温度が50℃から900℃である実施態様1−10の何れか一に記載の方法。
12. 工程a)における加熱が、一又は複数の工程で温度を上昇させることによって実施される実施態様11に記載の方法。
13. 工程a)における加熱が、初期温度で加熱する第一工程(a1)とより高い燃焼温度で加熱する第二工程(a2)を含む二工程方法で実施される実施態様12に記載の方法。
14. 初期温度が50−200℃の温度である実施態様13に記載の方法。
15. 燃焼温度が500−800℃の温度である実施態様13に記載の方法。
16. 初期温度が50−150℃で、500−800℃の燃焼温度が続く実施態様15に記載の方法。
17. 初期温度での加熱が不活性ガス下で実施される実施態様14−16の何れか一に記載の方法。
18. 燃焼温度での加熱が不活性ガス下で実施され、ついで酸化ガス下で処理される実施態様13−17の何れか一に記載の方法。
19. 酸化ガスが、O2及び空気、及びN2とのその混合物からなる群から選択される実施態様18に記載の方法。
20. 工程a)で得られた材料を、工程b)での酸性溶液での処理前に、粒径で分別する実施態様1から19の何れか一に記載の方法。
21. 再被覆シリカゲル材料が、HPLC及び吸着プロセスに適したものである実施態様1から20の何れか一に記載の方法。
22. 第一コーティングで被覆されたシリカゲル材料がシラン化処理シリカゲルである実施態様1から21の何れか一に記載の方法。
23. 第二コーティングが第一コーティングと同種のコーティングである実施態様1から22の何れか一に記載の方法。
24. 第一コーティングを含むシリカゲル材料が使用されたものである実施態様1から23の何れか一に記載の方法。
25. 再被覆シリカゲル材料が、プロセスに入る第一コーティングを含むシリカゲル材料より高い機械強度を有している実施態様1から24の何れか一に記載の方法。
26. 実施態様1から25の何れか一によって得ることができる再被覆シリカゲル材料。
27. シラン化処理シリカゲルである、実施態様26に記載の再被覆シリカゲル材料。
28. 実施態様1−25の何れか一によって得ることができる液体クロマトグラフィー用充填材料。
29. 実施態様28に記載の充填材料が充填された液体クロマトグラフィーカラム。
30. 実施態様29に記載のカラムが使用される化合物の分析方法。
31. 実施態様29に記載のカラムが使用される化合物の分別方法。
32. 化合物がペプチド又はタンパク質である実施態様30−31の何れか一に記載の分析又は分別方法。
33. 実施態様1−25の何れか一によって得ることができる再被覆材料を満たした管。
34. 実施態様1−25の何れか一によって得ることができる再被覆材料の濾床。
【0064】
上記明細書に開示した特徴は、別々にまたその任意の組み合わせの双方で、本発明をその多岐に亘る形態で実施するための材料でありうる。
ここに引用した刊行物、特許出願及び特許を含む全ての文献は、各文献が個々にかつ特に出典明示により援用され、その全体がここに記載されているのと同じ程度に、出典明示によりここに援用される。
全ての表題及び副題は、ここでは便宜的にのみ使用されており、決して本発明を限定するものとは解してはならない。<BR>
その全ての可能な変形例における上述の要素の任意の組合せも、他の記載が示されていないか文脈上はっきりと矛盾していない限りは、本発明に包含される。
発明を記述する文脈で使用される「a」及び「an」及び「the」なる用語と類似の指示対象は、ここで別の記載がなされていないか、文脈上はっきりと矛盾していない限りは、単数形及び複数形の双方をカバーしていると解されるものである。
ここでの値の範囲の記載は、他の記載が示されていない限りは、その範囲に入るそれぞれ別個の値に個々に言及することを省略する方法となるものであることを単に意図しており、それぞれ別個の値は、ここで個々に列挙されているように、明細書に援用される。他の記載がなされない限り、ここで提供される全ての正確な値は、対応する近似値の代表例である(例えば、特定の因子又は測定に対して提供される全ての正確な例示的値は、適切な場合は「約」により修飾される、対応する近似測定値をまた提供すると考えることができる)。
ここで記載される全ての方法は、ここで示され、前後関係ではっきりと矛盾していない限りは、任意の適切な順序で実施することができる。
ここに提供される任意かつ全ての例、又は例示的言語(例えば「等」)の使用は、単に本発明をより明らかにすることを意図しており、特に別段の記載がない限り、本発明の範囲に限定をもたらすものではない。明細書中の如何なる語句も、明示的に記載していない限り、如何なる要素も本発明の実施に必須であることを示しているものと解してはならない。
ここでの特許文献の引用及び援用は単に便宜上なされているもので、そのような特許文献の有効性、特許性、及び/又は権利行使性についての見解を反映させるものではない。
他に言及しない又は前後関係ではっきりと矛盾していない限りは、要素又は要素群に関して、「含有する」、「有する」、「含む」又は「含んでいる」等の用語を使用する本発明の任意の態様又は実施態様のここでの記載は、その特定の要素又は要素群「からなる」、「本質的になる」、又は「実質的に含む」本発明の類似した態様又は実施態様をサポートすることを意図したものである(例えば、特定の要素を含むものとしてここに記載されている製剤は、他に言及しない限り又は前後関係ではっきりと矛盾していないならば、その要素からなる製剤をまた記載しているものと理解すべきである)。
本発明は、適用される法律によって許容される最大の範囲で、ここに提示された態様又は特許請求の範囲に記載された主題事項のあらゆる変形例及び均等物を含む。
【0065】
本発明を次の代表的な実施例で更に例証するが、これは本発明の範囲を決して限定することを意図するものではない。
【実施例】
【0066】
以下の実施例では、標準的な解析的分析に対して次の実験を使用した:
N2吸着/脱着:Quantachrome製のAutosorb−3B
クロマトグラフィー分析:P580ポンプ、PDA−100光ダイオードアレイ検出器、ASI−100自動サンプラーインジェクター、Degasys DG−2410デガッサー、及びDionex製カラムオーブンTCC−3000又はGEヘルスケア製Aktaexplorer10Aを具備するHPLCシステム。
ICP分析:Teknologisk Institut(Taastrup,Gregersensvej,2630 Taastrup,Denmark)によって実施された。
炭素分析:デンマークのコペンハーゲン大学で実施した。
色座標の決定:次のCR−300でのミノルタ色彩照度計CR−300。
実施例1のフローチャートを図1に示す。
【0067】
1.a. 被覆シリカゲルの充填及び試験
未処理シリカゲル(300Å、15μm)の大部分は日本の製造メーカーから購入し、(RP HPLCシリカゲルを付与するための)標準的なシラン化処理手順に従って(3,3-ジメチル)ブチル-ジメチルクロロ-シランで被覆した。被覆ゲルの一部(ゲル1)を4×250mmの鋼製カラムにスラリー充填し、そのクロマトグラフィー性能について試験した(実施例2を参照)。結果を図4に示す。
【0068】
1.b. 使用済み被覆シリカゲルの使用及び試験
被覆シリカゲルの主要部分をペプチドの工業的精製プロセスにおいて使用した。使用済みシリカゲルの一部を、再びそのクロマトグラフィー性能について試験した。結果を図5に示す。図5から分かるように、被覆シリカゲルはそのクロマトグラフィー分離能の幾らかを失っていた。
ついで、ゲルを以下に記載したようにして処理した。
【0069】
1.c. リガンドの熱分解及び有機残留物
湿った使用済みRP HPLCシリカゲル(300Å,15mm,DMBDMS)を、5cmの層厚で数個のセラミック開放容器に移した。容器をレトルトオーブンに配し、以下に与えた条件に従って加熱する:
工程1:窒素下(12m3/hr)で100℃まで加熱。
工程2.1:窒素下(12m3/hr)で300分間400℃まで加熱。
工程2.2:窒素下(12m3/hr)で120分間500℃まで加熱。
工程2.3:窒素下(12m3/hr)で120分間630℃まで加熱。
工程3.1:窒素/空気下(各6m3/hr)で90分間630℃で加熱。
工程3.2:空気下(12m3/hr)で90分間630℃で加熱。
工程3.3:空気下(12m3/hr)で480分間690℃で加熱。
オーブンを放置して冷却させた。温度が50℃以下にまで低下したとき、材料はオーブンでは空になった。
【0070】
1.d. 熱分解材料の分別
熱分解した材料を空気分級機に移し、分別して大きな粒子(おそらくは例えば凝集粒子)を除去した。粒子の主要部分(つまり小粒子)を含む部分を空気分級機に配し、再び分別して最小粒子(例えば破壊粒子の断片)を除去した。
【0071】
1.e. 酸処理
分別後、熱分解材料を、塩酸水溶液(10%w/w,pH0,4L/kgゲル)と共に6時間撹拌下で還流させた。酸処理材料を濾過し、中性pH(約0.7L/kgゲル)になるまで水で洗浄した。
【0072】
1.f. 再シラン化処理
酸処理したシリカゲルを、トルエン中の共沸蒸留によって脱水した(5−7kg/kgゲル)。懸濁液を105℃まで冷却し、イミダゾール(0.1−0.2kg/kgゲル)とついで(3,3−ジメチル)ブチルジメチルクロロシラン(Gelest社から購入,0.3−0.5kg/kgゲル)。懸濁液を4時間還流下で撹拌した。結合した材料を、N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド(Gelest社から購入,0.1kg/kgゲル)の添加によってエンドキャッピングした。撹拌を更に2時間継続した。撹拌後、懸濁液を70℃まで冷却させた。エタノール(0.8−1.2kg/kgゲル)を加えた。ついで、懸濁液を濾過し、エタノール(1−8kg/kgゲル)で洗浄して再被覆シリカゲルのゲル1Rを得た。
【0073】
1.g. 再被覆シリカゲルの試験及び酸処理されなかった再被覆シリカゲルとの比較
1.f.で得られた再被覆シリカゲル「ゲル1R」を4×250mmの鋼製カラムにスラリー充填し、そのクロマトグラフィー性能について試験した(実施例2を参照)。結果を図6に示す。
図4−6のクロマトグラムから分かるように、再被覆シリカゲルは、本発明によって処理した場合、そのクロマトグラフィー性能を回復する。
被覆シリカゲルを、酸処理を除いて上述の通りに処理し、再被覆シリカゲル「ゲル1N」を比較のために得た。再被覆シリカゲル「ゲル1N」を4×250mmの鋼製カラムにスラリー充填し、そのクロマトグラフィー性能について試験した。結果を図7に示す。
図6と図7のクロマトグラムの差から、再被覆前に材料を酸で処理した場合のみクロマトグラフィー性能が完全に取り戻されることが分かる(ゲル1R)。これは、塩残留物の除去と、被覆前のシロキサン架橋のためであると考えられる。「ゲル1N」ではシロキサン架橋がコーティング後に加水分解し、それによって、ピリジンの保持時間の変化の原因となるシラノール基を生成し、「ゲル1R」と比較して重要なピリミジン/フェノール対の分離を乏しくさせる。
使用及び再被覆の前後のゲルの詳細は表1に示す。
【0074】
実施例2
分離性能の試験を、1.0ml/分の流量で4.0×250mmのカラムを用いて実施した。アセトニトリル−水(1:1)中のウラシル(0.02mg/ml)、フェノール(0.35mg/ml)、ピリジン(0.06mg/ml)、アニソール(0.7mg/ml)、ベンズアルデヒド(0.025mg/ml)及びベンゾニトリル(0.4mg/ml)の試験混合物を調製する。カラムを40±2℃で30%の水性アセトニトリルで30分間平衡にし、そこに10μlの試験混合物を注入する。40±2℃で平衡混合物を用いて溶離を実施する。UV−シグナルを254nmで測定する。結果を図4−7に示す。
【0075】
実施例3
使用済みゲル1及び再被覆ゲルであるゲル1R(実施例1に記載のようにして調製)の機械的強度の試験を、150barの充填圧で2−4cmの床高になるまでゲル材料をDACカラム(内径5cm)中に充填することによって実施した。所定のプロファイルの流れを、20%エタノールを溶媒として使用して150barのピストン圧で100ml/分まで流す(各流量で10CV)各流量での背圧を測定する。ついで、ピストン圧を取り除き、1−2分後に再び加える。1CVの溶媒を加え、再びピストン圧を取り除き、1−2分間、再び加える。これを更に4回繰り返した後、新しいプロファイルの流れを実施する。ついで、この手順を更に5回(合計6通りの流れプロファイルになるまで)繰り返す。プロファイル1及び6における100ml/分での背圧の差は、シリカゲル材料の機械的安定性に相関する。差が小さくなればなる程、シリカゲル材料はより機械的に安定になる。
【0076】
元の材料(ゲル1)と比較した本発明によって得られた材料(ゲル1R)に対するプロファイル1及び6の間の圧力差の減少は、再被覆材料の機械的強度の改善を明らかに示している。
【0077】
実施例4
シリカゲルの孔拡張を達成するために、次の内容を実施することができる:80g(1kgシリカゲル/3Lアルカリ性溶液)の加熱処理シリカゲル(実施例1.cに記載の方法によって得たゲル2)のバッチ反応物を、水性Na2CO3(0.05g/L水)中において50℃で6時間、穏やかに撹拌する。反応後、シリカゲル(ゲル3)を濾過し、水で洗浄し、150℃で一晩乾燥させる。孔拡張前(ゲル2)と孔拡張後(ゲル3)の孔径を窒素吸着/脱着によって測定した。結果を以下の表に示す。
【0078】
実施例5
5.a.1 リガンド及び有機残留物の熱分解
およそ100gの湿った使用済みRP HPLCシリカゲル(200Å,15μm,ODDMS,サンプル5.a)をセラミック開放容器に2cm厚の層で移した。容器をレトルトオーブンに配し、以下に与えられた条件に従って加熱した:
工程1:空気の存在下で一晩70℃で加熱。
工程2.1:100℃まで60分間加熱し、空気の存在下で温度を60分間維持。
工程2.2:400℃まで60分間加熱し、空気の存在下で温度を240分間維持。
オーブンを放置して冷却させた。温度が50℃以下にまで低下したとき、材料はオーブンでは空になった。熱分解したゲルの上層は暗褐色であった。生成物を混合して褐色のゲルを得た。炭素分液及び色座標の決定(ミノルタ色彩照度計CR−300を使用)のためにサンプルを採った(サンプル5.a.1)。
【0079】
5.a.2 リガンド及び有機残留物の熱分解
およそ100gの湿った使用済みRP HPLCシリカゲル(200Å,15μm,ODDMS,サンプル5.a)をセラミック開放容器に2cm厚の層で移した。容器をレトルトオーブンに配し、以下に与えられた条件に従って加熱した:
工程1:空気の存在下で一晩70℃で加熱。
工程2.1:100℃まで60分間加熱し、空気の存在下で温度を60分間維持。
工程2.2:400℃まで60分間加熱し、空気の存在下で温度を240分間維持。
工程2.3:500℃まで30分間加熱し、空気の存在下で温度を60分間維持。
オーブンを放置して冷却させた。温度が50℃以下にまで低下したとき、材料はオーブンでは空になった。炭素分液及び色座標の決定のためにサンプルを採った(サンプル5.a.2)。
【0080】
5.a.3 リガンド及び有機残留物の熱分解
およそ200gの湿った使用済みRP HPLCシリカゲル(200Å,15μm,ODDMS,サンプル5.a)をセラミック開放容器に2cm厚の層で移した。容器をレトルトオーブンに配し、以下に与えられた条件に従って加熱した:
工程1:空気の存在下で一晩70℃で加熱。
工程2.1:100℃まで60分間加熱し、空気の存在下で温度を60分間維持。
工程2.2:400℃まで60分間加熱し、空気の存在下で温度を240分間維持。
工程2.3:500℃まで30分間加熱し、空気の存在下で温度を60分間維持。
工程2.4:650℃まで60分間加熱し、空気の存在下で温度を240分間維持。
工程2.5:690℃まで60分間加熱し、空気の存在下で温度を420分間維持。
オーブンを放置して冷却させた。温度が50℃以下にまで低下したとき、材料はオーブンでは空になった。炭素分液及び色座標の決定のためにサンプルを採った(サンプル5.a.3)。
【0081】
5.b. 酸処理
熱分解した各材料を、実施例1.eに記載のようにして水性塩酸10%w/wで処理した。
酸処理したゲルを110℃でオーブンにて一晩乾燥させた。N2吸着/脱着(次のBETにおいて)及びICP分析(サンプル5.b.1,5.b.2,及び5.b.3)のためにサンプルを取り上げた。
【0082】
5.c. 再シラン化処理
酸処理した各シリカゲルを、(3,3−ジメチル)ブチルジメチルクロロシランをオクタデシルジメチル−クロロシラン(トルエン中70%,Gelest社から購入,約1g/gゲル)で置き換え、実施例1.fに記載のようにして再シラン化処理した。再被覆シリカゲルを70℃で一晩乾燥させた。サンプルを炭素分析のために採った(サンプル5.c.1,5.c.2,及び5.c.3)。
分析結果を以下の表に示す:
【0083】
該実施例は、ゲルの使用中に導入された金属含有量(サンプル5)が酸処理によって減少することを示している(サンプル5.b.1,5.b.2,及び5.b.3)。
該実施例はまた空気の存在下での熱分解中に温度が最小500℃の温度に達すると、元のゲルと同じ色座標を持つ再被覆シリカゲルを得ることができることを示している。同様に、元のゲルとほぼ同じ炭素含有量を有する再被覆シリカゲルを得るには(サンプル5をサンプル5.c.1,5.c.2,及び5.c.3と比較)、熱分解中に空気の存在下で最小500℃の温度に達しなければならない。サンプル5.c.2と比較したサンプル5.c.3の低炭素含有量は、おそらく不十分なシラン化処理プロセスのためであろう。
【0084】
実施例6
シリカゲル(100g,300Å,15μm)を三ツ首丸底フラスコにおいてトルエン(600ml)中に懸濁させた。そのゲルをトルエン(600ml)中での共沸蒸留によって脱水した。イミダゾール(13.5g)を加え、フラスコを熱から取り除いた。ジメチルオクタデシル(3−トリメトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド(199.3g)を注意して加え、加熱を再開した。メタノールを形成されたところで蒸留によって除去した。75mlのメタノールの除去後、懸濁液を放置して冷却させた。温度が60℃以下に低下したところで、ゲルを濾過によって集め、エタノール(1L)で洗浄した。湿ったゲルを70%v/v(600ml)で再懸濁させ、30分撹拌しながら60℃に加熱した。そのゲルを再び濾過し、エタノール(1L)で洗浄し、70℃で一晩乾燥させた。炭素分析をサンプル6.1について実施した。
【0085】
被覆シリカゲルベースのアニオン交換体(上記のゲル6.1)を実施例5.a.3に記載のようにして熱分解させた。
熱分解した材料を実施例1.eに記載されているようにして酸処理した。酸処理したゲルを110℃のオーブン中で一晩乾燥させた。
酸処理したシリカゲルを、上述の対応するアニオン交換体にシラン化処理した。炭素分析をサンプル6.2について実施した。
【0086】
クロマトグラフィー分析を、ゲルを4×250mmの鋼製カラムに充填し、Aktaエクスプローラー10Aを使用してアニオン交換クロマトグラフィー手順を実施することによって、実施した。試験材料として、水性ギ酸(0.05w/w%)中のインスリン(20mg/ml)からなるインスリン溶液を適用した。溶離は、それぞれ0.24%w/wのTRIS、1.25%w/wのNH4Ac、及び42.5%w/wのEtOH,pH7.5(AcOHで調節)、及び13.9%w/wのNaAc、0.3%w/wのAcOH、及び42.5%w/wmのEtOHからなる水性バッファーを用いる勾配溶離によって実施した。適用前、カラムを、0.24%w/wのTRIS、0.25%w/wのNH4Ac、及び42.5%w/wのEtOH,pH7.5(AcOHで調節)からなる溶液で平衡にした。1ml/分の流量を使用した。
未使用のシリカに基づくアニオン交換体と、その再被覆体のクロマトグラムをそれぞれ図12及び13に示す。
該実施例は、シリカベースのアニオン交換体の再被覆を示している。
【0087】
実施例7:
再被覆ゲルの再コーティング:
およそ400gの湿った使用済みRP HPLCシリカゲル(300Å,15μm,C4)を、実施例5(工程5.a.3、5.b及び5.c)に記載されたように本発明に係る対応のC18層に再コーティングした。炭素分析のためにサンプルを採った(サンプル7.1)。
再被覆ゲル(375g,300Å,15μm,C18)を本発明に従って(上を参照)もう一度処理して、対応する二回再被覆C18シリカゲルを得た。炭素分析のためにサンプルを採った(サンプル7.2)。
二回再被覆ゲル(313g,300Å,15μm,C18)を本発明に従って(上を参照)もう一度処理して、対応する三回再被覆C18シリカゲルを得た。炭素分析のためにサンプルを採った(サンプル7.3)。クロマトグラフィー分析のために4.6mm×250mmのカラムに三回再被覆C18シリカゲルを充填し(図9を参照)、元の未使用のC4ゲル(図8を参照)と比較した。
炭素分析の結果を以下の表に示す。
三回再被覆(図9)及び未使用(図8)ゲルのクロマトグラフィー試験は、クロマトグラフィー性能を失うことなく連続して数回、本発明の方法を実施することが可能であることを示している。
【0088】
実施例8
上記の実施例9と同じ実験を、出発材料としてC18,100Åシリカゲルで実施した。
結果を表7及び図10−11に示す。
三回再被覆(図11)及び未使用ゲル(図10)のクロマトグラフィー試験は、クロマトグラフィー性能を失うことなく連続して数回、本発明の方法を実施することが可能であることを示している。しかしながら、炭素含有量の減少は、各再被覆プロセスによって導入された余分のケイ素層によって引き起こされた表面積の減少によるものと見られる。
【0089】
実施例9
未被覆シリカゲル(300Å,15μm)を日本の製造メーカーから購入した。
ゲルの一部を、実施例1.aに記載されたようにしてシラン化した。シラン化処理の前に、N2吸着/脱着のためにサンプルを採り、シラン化処理の後に被覆ゲルの炭素分析のためにサンプルを採った(サンプル9.1)。
ゲル9.1の一部について、実施例5に記載されたようにして本発明に係る再コーティングを施した。熱分解後にN2吸着/脱着のためにサンプルを採り、再被覆ゲルの炭素分析のために他のサンプルを採った(サンプル9.2)。
未被覆シリカゲル(シリルリガンド以外のコーティングで被覆したシリカゲルを記号で表す)の他の一部についてまた本発明に係る再コーティングを施した。熱分解後にN2吸着/脱着のためにサンプルを採り、再被覆ゲルの炭素分析のために他のサンプルを採った(サンプル9.3)。
対応する被覆ゲルからの炭素分析結果と共にN2吸着/脱着分析の結果を表8に示す。
【0090】
更に、3種全てのゲルについて、実施例3に記載した機械的試験を施した。結果を表9に示す。
元の材料と比較した、本発明によって得られた材料に対するプロファイル1及び6に間の圧力差の減少は、再被覆材料の機械的強度の改善を明らかに示している。元の材料をシリルリガンドで被覆した場合(サンプル9.2)、再被覆材料は、余分なケイ素層が導入されていない再被覆材料(サンプル9.3)よりも更に大きく改善された機械的安定性を有する。新しい(又は同じ)シリルリガンドでシラン化処理シリカゲルを再被覆する場合の余分なケイ素層の意味の例証については図3を参照のこと。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一コーティングで被覆されたシリカゲル材料から再被覆シリカゲル材料を調製するための方法であって、
a)第一コーティングで被覆されたシリカゲル材料を50℃から1000℃の温度で加熱し、
b)工程a)で得られた材料を、5より低いpHを持つ酸性溶液で処理し、
c)工程b)で得られた材料を第二コーティングで被覆する、
工程を含んでなる方法。
【請求項2】
工程b)での酸性溶液での処理前に、工程a)で得られた材料を、中性又はアルカリ性溶液で処理する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程b)での酸性溶液での処理前に、工程a)で得られた材料を、100℃より高い温度の水で処理する請求項2に記載の方法。
【請求項4】
工程b)での酸性溶液での処理前に、工程a)で得られた材料を、7より高いpHを持つアルカリ性溶液で処理する請求項2に記載の方法。
【請求項5】
工程c)での被覆前に、工程b)で得られた材料を、中性又はアルカリ性溶液で処理する請求項1から4の何れか一項に記載の方法。
【請求項6】
工程c)での被覆前に、工程b)で得られた材料を、100℃より高い温度の水で処理する請求項5に記載の方法。
【請求項7】
工程c)での被覆前に、工程b)で得られた材料を、7より高いpHを持つアルカリ性溶液で処理する請求項5に記載の方法。
【請求項8】
工程b)での酸性溶液が3より低いpHを有している請求項1から7の何れか一項に記載の方法。
【請求項9】
シリカゲルの量と比較しての工程b)での酸性溶液の量が4ml/g又はそれ以上である請求項1から8の何れか一項に記載の方法。
【請求項10】
工程b)での酸性溶液が無機酸の水溶液である請求項1から9の何れか一項に記載の方法。
【請求項11】
工程b)での酸性溶液がHCl、H2SO4及びH3PO4からなる群から選択される無機酸の水溶液である請求項1から10の何れか一項に記載の方法。
【請求項12】
アルカリ性溶液が無機又は有機塩基の溶液である請求項2、4、5及び7の何れか一項に記載の方法。
【請求項13】
アルカリ性溶液のpHが8−13である請求項12に記載の方法。
【請求項14】
工程a)における温度が50℃から900℃である請求項1から13の何れか一項に記載の方法。
【請求項15】
工程a)における温度が少なくとも500℃に達する請求項1から14の何れか一項に記載の方法。
【請求項16】
工程a)における加熱が、一又は複数の工程で温度を上昇させることによって実施される請求項1から15の何れか一項に記載の方法。
【請求項17】
工程a)における加熱が、初期温度で加熱する第一工程(a1)とより高い燃焼温度で加熱する第二工程(a2)を含む二工程方法で温度を上昇させることによって実施される請求項1から16の何れか一項に記載の方法。
【請求項18】
初期温度が50−200℃の温度である請求項17に記載の方法。
【請求項19】
燃焼温度が500−800℃の温度である請求項17又は18に記載の方法。
【請求項20】
初期温度が50−150℃で、500−800℃の燃焼温度が続く請求項17に記載の方法。
【請求項21】
初期温度での加熱が不活性ガス下で実施される請求項17から20の何れか一項に記載の方法。
【請求項22】
燃焼温度での加熱が不活性ガス下で実施され、ついで酸化ガス下で処理される請求項17から21の何れか一項に記載の方法。
【請求項23】
酸化ガスが、O2及び空気、及びN2とのその混合物からなる群から選択される請求項22に記載の方法。
【請求項24】
工程a)で得られた材料を、工程b)での酸性溶液での処理前に、粒径で分別する請求項1から23の何れか一項に記載の方法。
【請求項25】
第一コーティングで被覆されたシリカゲル材料がシラン化処理シリカゲルである請求項1から24の何れか一項に記載の方法。
【請求項26】
第二コーティングが第一コーティングと同種のコーティングである請求項1から25の何れか一項に記載の方法。
【請求項27】
第一コーティングを含むシリカゲル材料が液体クロマトグラフィーに使用されたものである請求項1から26の何れか一項に記載の方法。
【請求項28】
請求項1から27の何れか一項によって得ることができる再被覆シリカゲル材料。
【請求項29】
シラン化処理シリカゲルである、請求項28に記載の再被覆シリカゲル材料。
【請求項30】
請求項1から29の何れか一項によって得ることができる液体クロマトグラフィー用充填材料。
【請求項31】
請求項30に記載の充填材料が充填された液体クロマトグラフィーカラム。
【請求項32】
化合物の分析方法における請求項31に記載のカラムの使用。
【請求項33】
化合物の分別のための請求項31に記載のカラムの使用。
【請求項34】
化合物がペプチド又はタンパク質である請求項32から33の何れか一項に記載のカラムの使用。
【請求項1】
第一コーティングで被覆されたシリカゲル材料から再被覆シリカゲル材料を調製するための方法であって、
a)第一コーティングで被覆されたシリカゲル材料を50℃から1000℃の温度で加熱し、
b)工程a)で得られた材料を、5より低いpHを持つ酸性溶液で処理し、
c)工程b)で得られた材料を第二コーティングで被覆する、
工程を含んでなる方法。
【請求項2】
工程b)での酸性溶液での処理前に、工程a)で得られた材料を、中性又はアルカリ性溶液で処理する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程b)での酸性溶液での処理前に、工程a)で得られた材料を、100℃より高い温度の水で処理する請求項2に記載の方法。
【請求項4】
工程b)での酸性溶液での処理前に、工程a)で得られた材料を、7より高いpHを持つアルカリ性溶液で処理する請求項2に記載の方法。
【請求項5】
工程c)での被覆前に、工程b)で得られた材料を、中性又はアルカリ性溶液で処理する請求項1から4の何れか一項に記載の方法。
【請求項6】
工程c)での被覆前に、工程b)で得られた材料を、100℃より高い温度の水で処理する請求項5に記載の方法。
【請求項7】
工程c)での被覆前に、工程b)で得られた材料を、7より高いpHを持つアルカリ性溶液で処理する請求項5に記載の方法。
【請求項8】
工程b)での酸性溶液が3より低いpHを有している請求項1から7の何れか一項に記載の方法。
【請求項9】
シリカゲルの量と比較しての工程b)での酸性溶液の量が4ml/g又はそれ以上である請求項1から8の何れか一項に記載の方法。
【請求項10】
工程b)での酸性溶液が無機酸の水溶液である請求項1から9の何れか一項に記載の方法。
【請求項11】
工程b)での酸性溶液がHCl、H2SO4及びH3PO4からなる群から選択される無機酸の水溶液である請求項1から10の何れか一項に記載の方法。
【請求項12】
アルカリ性溶液が無機又は有機塩基の溶液である請求項2、4、5及び7の何れか一項に記載の方法。
【請求項13】
アルカリ性溶液のpHが8−13である請求項12に記載の方法。
【請求項14】
工程a)における温度が50℃から900℃である請求項1から13の何れか一項に記載の方法。
【請求項15】
工程a)における温度が少なくとも500℃に達する請求項1から14の何れか一項に記載の方法。
【請求項16】
工程a)における加熱が、一又は複数の工程で温度を上昇させることによって実施される請求項1から15の何れか一項に記載の方法。
【請求項17】
工程a)における加熱が、初期温度で加熱する第一工程(a1)とより高い燃焼温度で加熱する第二工程(a2)を含む二工程方法で温度を上昇させることによって実施される請求項1から16の何れか一項に記載の方法。
【請求項18】
初期温度が50−200℃の温度である請求項17に記載の方法。
【請求項19】
燃焼温度が500−800℃の温度である請求項17又は18に記載の方法。
【請求項20】
初期温度が50−150℃で、500−800℃の燃焼温度が続く請求項17に記載の方法。
【請求項21】
初期温度での加熱が不活性ガス下で実施される請求項17から20の何れか一項に記載の方法。
【請求項22】
燃焼温度での加熱が不活性ガス下で実施され、ついで酸化ガス下で処理される請求項17から21の何れか一項に記載の方法。
【請求項23】
酸化ガスが、O2及び空気、及びN2とのその混合物からなる群から選択される請求項22に記載の方法。
【請求項24】
工程a)で得られた材料を、工程b)での酸性溶液での処理前に、粒径で分別する請求項1から23の何れか一項に記載の方法。
【請求項25】
第一コーティングで被覆されたシリカゲル材料がシラン化処理シリカゲルである請求項1から24の何れか一項に記載の方法。
【請求項26】
第二コーティングが第一コーティングと同種のコーティングである請求項1から25の何れか一項に記載の方法。
【請求項27】
第一コーティングを含むシリカゲル材料が液体クロマトグラフィーに使用されたものである請求項1から26の何れか一項に記載の方法。
【請求項28】
請求項1から27の何れか一項によって得ることができる再被覆シリカゲル材料。
【請求項29】
シラン化処理シリカゲルである、請求項28に記載の再被覆シリカゲル材料。
【請求項30】
請求項1から29の何れか一項によって得ることができる液体クロマトグラフィー用充填材料。
【請求項31】
請求項30に記載の充填材料が充填された液体クロマトグラフィーカラム。
【請求項32】
化合物の分析方法における請求項31に記載のカラムの使用。
【請求項33】
化合物の分別のための請求項31に記載のカラムの使用。
【請求項34】
化合物がペプチド又はタンパク質である請求項32から33の何れか一項に記載のカラムの使用。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2010−530345(P2010−530345A)
【公表日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−509840(P2010−509840)
【出願日】平成20年5月30日(2008.5.30)
【国際出願番号】PCT/EP2008/056716
【国際公開番号】WO2008/145743
【国際公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【出願人】(596113096)ノボ・ノルデイスク・エー/エス (241)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年5月30日(2008.5.30)
【国際出願番号】PCT/EP2008/056716
【国際公開番号】WO2008/145743
【国際公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【出願人】(596113096)ノボ・ノルデイスク・エー/エス (241)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]