説明

シリカ含有ポリオール分散体の製造方法及びこれをポリウレタン材料の製造に使用する方法

(i)平均粒径が1〜150nmであり、SiOとして計算されるシリカ含有量が1〜60質量%であり、そして使用するSiOの含有量に基づくpHが1〜6である水性シリカゾル(K)を、(水の量に対して)0.1〜20倍の量の有機溶媒(L)と混合する工程、及び(ii)得られた混合物をポリオールと混合する工程、(iii)蒸留により水及び有機溶媒(L)の少なくとも一部を除去する工程、(iv)シリル基とアルキル、シクロアルキル又はアリール置換基とを有する少なくとも1種の化合物(S)を混合する工程、(v)必要により、強塩基性化合物を添加することにより、ケイ酸塩含有ポリオールのpHを7〜12に調整する工程、を含むケイ酸塩含有ポリオールの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリカ含有ポリオール分散体の製造方法及びこれをポリウレタン材料に使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタン材料の機械的特性は、ポリウレタン材料の成分(イソシアネート又はポリオール成分)中のナノ粒子の存在により影響を受けることが知られている。
【0003】
そのため、特許文献1(DE−A10338164)では、発泡剤及びシリカゲル粒子(シリカゲル粒子はアミノプロピルトリエトキシシランで官能化されている。)の存在下で、ポリイソシアネートとポリオールを反応させる工程を含むポリウレタンの製造方法が開示されている。シラン処理剤(silanizing agent)により、シリカゲル粒子の粒子表面が親水性となり、この親水性の表面はイソシアネートに対して反応性の表面基(surface groups)を有している。その結果、粒子は、重合反応中にフォームのポリマーマトリックスと共有結合してポリウレタンフォームを形成し、強化材(reinforce material)として作用する。これにより、ポリウレタンフォーム中の連続気泡の割合を調整することができ、ポリウレタンフォームの遮音性(音の減衰)及び断熱性を向上させることが可能となる。表面が官能化されたSiO2粒子はポリオール成分に組み込まれる。このSiO2粒子は、好ましくは有機溶媒中でテトラエトキシシランから製造される。この合成経路は、高価な前駆体を使用するので費用がかかり、また、この合成による粒子の収率は低い。更に、この合成により、慣用の充填剤と考えられる100nm以上のサイズを有する粒子が得られる。
【0004】
特許文献2(EP−A1366112)は、a)ケイ酸塩水溶液を最初に供給し、b)3〜50nmの粒径にこのケイ酸塩を重縮合し、c)得られたシリカゾルをアルカリのpHに調整し、d)必要によりこのゾルを濃縮し、e)このゾルと、分散体の外側の流動相の成分とを混合し、f)必要により、水及び/又は他の溶媒成分を分散体から除去することにより、二酸化ケイ素分散体を製造する方法が開示されている。この外側の流動性相は、ポリオール、ポリアミン、線状又は分枝状のポリグリコールエーテル、ポリエステル及びポリラクトンである。実施例では、pHが10.5〜11に設定されたシリカゾルをイソプロパノールと混合し、水を大気圧蒸留により<0.1%の含有率まで除去し、次いで種々のポリエーテルを撹拌しながら添加し、その後、揮発性成分を減圧下で50℃において蒸留することにより除去している。ポリウレタン、ポリシロキサン、ポリオレフィン又はポリスチレンを基礎とする独立気泡又は連続気泡フォームを製造するためにこの二酸化ケイ素分散体を使用することが記載されている。このゾルは10〜12のpHを有するので取扱いが困難である。このゾルは二酸化ケイ素粒子の濃度が低い(ゾル100質量部当たりSiO2粒子15質量部以下)。比較体多量の溶媒が必要とされることにより、二酸化ケイ素分散体の製造は比較的高価となる。
【0005】
特許文献3(EP−A0699626)には、酸性水性二酸化ケイ素ゾルの水性媒体を、その二酸化ケイ素ゾルにプロパノールを添加してそのゾルを蒸留し、メタノールも添加することによりプロパノールに置換することによって安定な二酸化ケイ素−プロパノールゾルを製造する方法が記載されている。ポリオールの存在については述べられていない。ゾルは、レンズ、ボトルの硬質及び薄膜フィルム及び合成樹脂のフィルムを製造するためのコーティング組成物中の成分として使用される。コロイド状二酸化ケイ素は、その形成される硬質及び薄膜フィルム中でマイクロフィラーとして機能する。
【0006】
特許文献4(WO01/05883)には、ナノサイズのフィラーを含むポリウレタンエラストマーを製造する方法が開示されている。これらは専らポリエステルを基礎とするエラストマーである。イソプロパノール中で8〜9のpHを有する二酸化ケイ素が、このエラストマーを製造するために出発材料として使用されている。
【0007】
特許文献5(WO2004/035473)には、シラン処理されたコロイド状二酸化ケイ素分散体を製造する方法並びにこれをコーティング組成物に又はセメント材料の添加剤として使用する方法が開示されている。このため、水性シリカゾルを好ましくはシラン、特にエポキシシランと混合し、好ましくは6〜12のpHにおいて水で希釈する。
【0008】
特許文献6(WO2006/128793)は、非晶質二酸化ケイ素の粉末コロイド粒子を製造する方法に関するものである。8〜250nmの粒径を有するアルカリ安定化されたシリカゾルを水及び/又は水溶性有機溶媒で希釈し、シラン及び/又はポリオール若しくはジカルボン酸を添加し、ゾルを陰イオン交換体又は陽イオン交換樹脂により脱イオン化し、シリル化脱イオン化ゾルを減圧下で乾燥させ、乾燥させたゾルを任意に微細な粉末に製粉する。
【0009】
シリル化二酸化ケイ素粉末は、ポリウレタンを製造するためのポリオール成分又はイソシアネート成分に分散させることができる。例えばポリオール中で、凝集のない分散体を得るには粒子−粒子相互作用があまりにも高いので、100nmよりもごく小さい粒径を有する粒子を再分散させることは難しい。また、微細な粉末の取り扱いには、労働衛生上の予防措置も必要とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】DE−A10338164
【特許文献2】EP−A1366112
【特許文献3】EP−A0699626
【特許文献4】WO01/05883
【特許文献5】WO2004/035473
【特許文献6】WO2006/128793
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、粒径が<150nmである二酸化ケイ素粒子がポリオールに分散した低粘度分散体を提供することにある。シリカを含むポリオール分散体の製造方法は、市販されている水をベースとするシリカゾルから出発して行うことが可能であるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本目的は、
(i)平均粒径が1〜150nmであり、SiO2として計算されるシリカ含有量が1〜60質量%であり、そして使用するSiO2の含有量に基づくpHが1〜6である水性シリカゾル(K)を、(水の量に対して)0.1〜20倍の量の、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−2−プロパノール、1−クロロ−2−プロパノール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、2−エトキシエタノール、2−メチル−2−プロパノール、2−メトキシエタノール、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、アセトン、メチルエチルケトン及び酢酸エチルからなる群から選択される少なくとも1種の有機溶媒(L)と混合する工程、
及び
(ii)得られた混合物をポリオールと混合する工程、
(iii)蒸留により水及び有機溶媒(L)の少なくとも一部を除去する工程、
(iv)少なくともモノアルコキシル化された少なくとも1つのシリル基と、少なくともヘテロ原子を含んでよく、そしてアルコール、アミン又はイソシアネートに対して反応する基を任意に含むアルキル、シクロアルキル又はアリール置換基とを有する少なくとも1種の化合物(S)を、(K)の表面積1m2当たり(S)0.1〜20μmolの量で混合する工程(但し、工程(i)、(ii)及び(iv)は同時に又はどのような順番でも連続して行うことができる。)、
(v)必要により、強塩基性化合物を添加することにより、ケイ酸塩含有ポリオールのpHを7〜12に調整する工程(但し、工程(v)は、工程(iii)及び(iv)の間に行うこともできる。)、
を含むケイ酸塩含有ポリオールの製造方法により達成される。
【発明を実施するための形態】
【0013】
水性シリカゾル(K)のpHを1〜6、好ましくは2に調整することにより、水性シリカゾルの溶解性が変化する。低いpHでは、水と共沸混合物を形成するアルコールを有機溶媒(L)として使用することができる。好ましいアルコール(L)は、2−プロパノール、1−プロパノール、1−メトキシ−2−プロパノール、2−ブタノール及びこれらの混合物である。
【0014】
溶媒(L)及びポリオールを添加した後、30〜140℃、特に60〜120℃において、好ましくは<100hPaの減圧下で溶媒及び水を蒸留除去する。
【0015】
使用するポリケイ酸粒子の水性コロイド溶液(K)(シリカゾル)は、1〜150nm、好ましくは2〜120nm、特に好ましくは3〜100nm、極めて特に好ましくは4〜80nm、特に5〜50nm、とりわけ8〜40nmの平均粒径を有する粒子を含む。
【0016】
SiO2として計算されるシリカ含有量は、1〜60質量%、好ましくは10〜60質量%、特に好ましくは10〜40質量%である。含有量がより低いシリカゾルを使用することもできるが、余分な量の水を後の工程において蒸留で分離しなければならない。
【0017】
水溶液(K)は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アルミニウム、鉄(II)、鉄(III)及び/又はジルコニウムイオン、好ましくはアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム及び/又は鉄(III)イオン、特に好ましくはアルカリ金属、アルカリ土類金属及び/又はアンモニウムイオン、極めて特に好ましくはアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属イオン、とりわけアルカリ金属イオンにより、必要によりわずかに安定化されていてもよいポリケイ酸のコロイド溶液である。
【0018】
アルカリ金属イオンの中でも、ナトリウム及び/又はカリウムイオン、特に好ましくはナトリウムイオンが好ましい。
【0019】
アルカリ土類金属イオンの中でも、マグネシウム、カルシウム及び/又はベリリウムイオン、特に好ましくはマグネシウム及び/又はカルシウムイオン、極めて特に好ましくはマグネシウムイオンが好ましい。
【0020】
(K)におけるケイ素原子に対する金属イオンのモル比は、0:1〜0.1:1、好ましくは0.002〜0.04:1である。
【0021】
pHの調整後において、使用するシリカゾル(K)は、pHが1〜6、好ましくは2〜6、より好ましくは2〜4の水性相を有する。
【0022】
本発明において、水性コロイド溶液とは、1〜150nmの平均粒径を有し、20℃で一カ月間保存しても沈静化しない、任意に安定化されたシリカ粒子の溶液である。
【0023】
本発明において、ゾルとはコロイド状の分散したまとまりのない(即ち、各粒子が自由に移動する)固体の水溶液である;ここで、シリカゾルは、二酸化ケイ素が水にコロイド状に分散した溶液である。
【0024】
本発明において使用する酸性水性シリカゾル(K)は、例えば、3つの異なる方法で得ることができる:
− 対応するアルカリ性シリカゾルの酸性化
− 低分子量のケイ酸、好ましくは水ガラス、即ち1nm未満の径を有する塩様(salt-like)粒子からの調製、又は
− 低分子量のケイ酸のエステルの縮合。
【0025】
アルカリ性シリカゾルの水溶液は通常、8〜12、好ましくは8〜11のpHを有する。アルカリ性シリカゾルは市販されているので容易に入手可能であり、本発明の方法にとって好ましい出発材料である。
【0026】
これらのアルカリ性シリカゾル中の粒子は通常、1〜150nm、好ましくは2〜120nm、特に好ましくは3〜100nm、極めて特に好ましくは4〜80nm、特に5〜50nm、とりわけ8〜40nmの平均粒径を有する。
【0027】
SiO2として計算されるシリカ含有量は、1〜60質量%、好ましくは10〜60質量%、特に好ましくは10〜40質量%である。固体含有量が低いアルカリ性シリカゾルを使用することもできるが、余分な量の水を後の工程において蒸留で分離しなければならない。
【0028】
アルカリ性シリカゾルは、上述した金属イオンで安定化することができる。
【0029】
(K)におけるケイ素原子に対する金属イオンのモル比は、0:1〜0.1:1、好ましくは0.002〜0.04:1である。
【0030】
これらのアルカリ性シリカゾルのpHは通常、少なくとも8、好ましくは8〜12、特に好ましくは8〜11、極めて特に好ましくは8〜10である。
【0031】
これらアルカリ性シリカゾルからの本発明で使用すべきシリカゾル(K)の調製は、例えば、鉱酸を添加することにより又はアルカリ性シリカゾルとイオン交換体を混合することにより、これらのシリカゾルにおいて所望とするpHに設定することにより行われる。
【0032】
酸性化は、全ての酸、好ましくは塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、酢酸、ギ酸、メチルスルホン酸、パラトルエンスルホン酸を使用して、あるいは酸性イオン交換体と混合することにより行うことができ、好ましくは塩酸、硝酸、リン酸、硫酸又は酢酸で、特に好ましくは塩酸、硝酸又は硫酸で、極めて特に好ましくは硫酸で酸性化する。
【0033】
好ましい実施の形態では、シリカゾル(K)は、アルカリ性シリカゾルとイオン交換体を混合することにより製造する。これにより、シリカゾル(K)の電解質の含有量が低くなる。例えば、0.2質量%未満、好ましくは0.1質量%未満となる。
【0034】
本発明において、電解質は、ケイ酸塩、水酸化物及びプロトン以外の無機イオン成分である。主にアルカリ性シリカゾルの安定化に由来するこれらの電解質は、前者が製造された後に粒子を安定化させることを目的として懸濁液に添加される。
【0035】
水ガラスを、例えばイオン交換体により又は鉱酸と混合することにより酸性化することによってシリカゾル(K)を製造することも可能である。そのための水ガラスとして、1molのアルカリ金属酸化物に対して1〜10molのSiO2、極めて特に好ましくは1molのアルカリ金属酸化物に対して1.5〜6mol、特に2〜4molのSiO2の比を特に好ましく有するケイ酸カリウム及び/又はナトリウムを使用することが好ましい。
【0036】
この場合、反応混合物を、所望とするサイズのシリカゾル(K)が形成されるまで反応させて、次いで本発明の方法を続行する。
【0037】
低分子量のケイ酸(オルトケイ酸及びオリゴケイ酸)は通常、含量が数質量%の高度に希釈された水溶液にのみ安定であるので、通常は使用する前に濃縮する。
【0038】
また、シリカゾル(K)は、低分子量のケイ酸のエステルの縮合により製造することができる。これらは通常、酸性又は塩基性シリカゾル(K)を形成するオリゴケイ酸、特にオルトケイ酸のC1−C4−アルキル、特にエチルエステルである。
【0039】
工程(i)において、水性酸性シリカゾルを、(使用するシリカゾルの水の量に対して)0.1〜20倍、好ましくは0.3〜15倍、特に好ましくは0.5〜10倍、極めて特に好ましくは1〜5倍の量の少なくとも1種の有機溶媒(L)と混合する。水での希釈を事前に又は同時に必要により行ってよい。
【0040】
有機溶媒(L)は、次の基準によって選択する:混合条件下で、水との十分な混和性を有し且つポリオールと混和する必要がある。
【0041】
反応条件下での水との混和性は、(得られる水−溶媒混合物に対して)少なくとも5質量%、好ましくは少なくとも25質量%、特に好ましくは少なくとも70質量%であるべきである;特に、混和性が低すぎる場合に、ゲルが変性シリカゾルから形成されるか又は比較的大きなナノ粒子の粒団が凝集するリスクがあるので、溶媒は水との全ての混合比において均質な溶液を形成すべきである。
【0042】
ポリオールは、溶媒(L)又は水−溶媒混合物中で完全に溶解することができるべきである。
【0043】
また、溶媒(L)は、少なくとも2g/lの形成したケイ酸塩を沈殿させずに浮遊させることができることが好ましい。
【0044】
更に、溶媒(L)は、蒸留により容易に分離することができるように、大気圧〜5hPaの範囲の圧力下で150℃未満の沸点を有すべきである。
【0045】
溶媒(L)は、水を除去するためのエントレーナー(entrainer)として作用する。好ましい実施の形態では、溶媒(L)は、蒸留条件下で水と共沸混合物又はヘテロ共沸混合物(heteroazeotrope)を形成する。これにより、蒸留物は蒸留後に水相と有機相を形成する。
【0046】
好適な溶媒(L)の例は、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−2−プロパノール、1−クロロ−2−プロパノール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、2−エトキシエタノール、2−メチル−2−プロパノール、2−メトキシエタノール、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド及びアセトンである。更なる例は、メチルエチルケトン及び酢酸エチルである。
【0047】
工程(ii)では、ポリオールをこの溶液に導入する。好ましいポリオールは、ポリエーテルオール(b1)である。好適なポリエーテルオール(b1)は96g/molを超える分子量を有することが好ましい。更に好ましいものは、分子量が550〜4000g/molのポリテトラヒドロフラン(b3)である。
【0048】
ポリエーテルオール(b1)は公知の方法によって製造することができる。例えば、アルキレン基に2〜4個の炭素原子を有する1種以上のアルキレンオキシドを、触媒としてアルカリ金属水酸化物又はアルカリ金属アルコキシドを使用して、通常2〜10個の反応性水素原子を結合した形態で有する少なくとも1種の開始分子を添加するアニオン重合、あるいは、五塩化アンチモン又はフッ化ホウ素エーテレート等のルイス酸を使用するカチオン重合により製造することができる。好適なアルキレンオキシドは、例えば、テトラヒドロフラン、1,3−プロピレンオキシド、1,2−又は2,3−ブチレンオキシド及び好ましくはエチレンオキシド及び1,2−プロピレンオキシドである。更に、DMC触媒として知られている複合金属シアン化物を触媒として使用することも可能である。更に、第三級アミンを触媒として使用することもできる。例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリメチルアミン、ジメチルエタノールアミン又はジメチルシクロヘキシルアミンである。アルキレンオキシドは、個々に、連続して交互に、又は混合物として使用することができる。
【0049】
好ましいポリオールは、プロピレンオキシド及びエチレンオキシドを基礎とするものである。好適なポリオールには、スラブフォームポリオール、モールドフォームポリオール、硬質フォームポリオール、C.A.S.Eポリオール(「コーティング剤(coatings)、接着剤(adhesives)、封止剤(sealants)、エラストマー(elastomers)」)、及びポリプロピレングリコール等のグリコールが含まれる。ポリオールの官能基数は2〜10でよく、分子量は96〜20000g/molでよく、ポリプロピレンオキシドの含有量は一般に50〜100質量%、好ましくは50〜99質量%である。
【0050】
ポリオールはポリイソシアネートプレポリマーを製造するために使用することもできる。
【0051】
使用可能な開始分子は、水又は2及び3官能のアルコール、例えばエチレングリコール、1,2−及び1,3−プロパンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール及びスクロースである。更に可能なものは、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン及びトルエンジアミン等のアミン開始剤を基礎とするポリオールである。
【0052】
ポリテトラヒドロフランをポリエーテルオールとして使用することもできる。ここで、ポリテトラヒドロフランの数平均分子量は通常550〜4000g/mol、好ましくは750〜3000g/mol、特に好ましくは800〜2500g/mol、特に約2000g/molである。
【0053】
ポリエーテルオールの混合物を使用することも可能である。
【0054】
工程(iii)では、水と有機溶媒をこの溶液から蒸留除去する。蒸留による水と有機溶媒(L)の除去は、大気圧下又は減圧下、好ましくは100hPa〜大気圧、特に好ましくは50hPa〜大気圧、極めて特に好ましくは20hPa〜大気圧、とりわけ10hPa〜大気圧で行う。
【0055】
蒸留を行う温度は、各圧力における水及び/又は有機溶媒(L)の沸点に依存する。
【0056】
蒸留の条件は、有機溶媒がその条件下で効果的な水のエントレーナーとして作用するように選択することが好ましい。
【0057】
温度は140℃以下、特に好ましくは120℃以下であることが好ましい。
【0058】
蒸留は、バッチ式、半連続式又は連続式で行ってよい。
【0059】
例えば、必要により短い精留塔で重畳(superposed)してよい撹拌容器によりバッチ式で行うことができる。
【0060】
攪拌容器への熱の導入は、慣用のタイプの内部及び/又は外部の熱交換器及び/又は二重壁加熱(double wall heating)、好ましくは自然対流又は強制循環を有する外部循環式蒸発器により行われる。反応混合物の混合は、公知の方法、例えば撹拌、ポンプ循環又は自然対流により行われる。
【0061】
連続式の実施の形態では、蒸留すべき混合物を、流下薄膜型蒸発器又は熱交換器を介して通すことにより行うことが好ましい。
【0062】
このために好適な蒸留装置は、当業者に知られている全ての蒸留装置である。例えば、循環式(circulation)蒸発器、薄膜型(thin film)蒸発器、流下膜型(falling film)蒸発器、ワイプトフィルム蒸発器(wiped film evaporator)であり、これらは必要により、重畳した精留塔又はストリッピング塔を有していてよい。好適な熱交換器は、例えば、Robert蒸発器又は管型若しくはプレート型熱交換器である。
【0063】
水と溶媒(L)は通常大部分が蒸留除去される。ポリオール中のシリカの含有量は5〜60質量%、好ましくは5〜50質量%、特に10〜40質量%である。
【0064】
最終生成物中の残りの水の含有量は、5質量%未満、好ましくは3質量%未満、特に好ましくは2質量%未満、極めて特に好ましくは1質量%未満、特に0.5質量%未満、とりわけ0.3質量%未満であるべきである。
【0065】
最終生成物中の残りの溶媒(L)の含有量は、5質量%未満、好ましくは1質量%未満、特に好ましくは0.5質量%未満、極めて特に好ましくは0.2質量%未満であるべきである。
【0066】
水の除去は、蒸留の代わりに、吸収、パーベーパレーション又は膜を介する放散(diffusion)によって行うこともできる。
【0067】
本発明によれば、シリカ粒子を工程(iv)においてシラン(S)を添加することにより表面を改質する。シラン(S)は、少なくとも1つ、好ましくは正確には1つの、少なくともモノアルコキシル化された、例えば、モノアルコキシル化〜トリアルコキシル化、好ましくはジアルコキシル化〜トリアルコキシル化、特に好ましくは正確にはトリアルコキシル化された、シリル基を有する。また、このシランは、少なくとも1つのアルキル、アリール又はシクロアルキル置換基を有し、この置換基は、ヘテロ原子を任意に有していてよく、アルコール、アミン又はイソシアネートに対して非反応性でも反応性でもよい。
【0068】
本発明において、アルコキシル化シリル基は、基
(R1−O−)n−Si−
(但し、
1はC1−C20−アルキル、好ましくはC1−C4−アルキルであり、
nは1〜3、好ましくは2〜3の整数、特に好ましくは3である。)である。
【0069】
1−C20−アルキルの例は、メチル、エチル、イソプロピル、n−プロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−デシル、n−ドデシル、n−テトラデシル、n−ヘキサデシル、n−オクタデシル及びn−エイコシルである。
【0070】
1−C4−アルキルの例は、メチル、エチル、イソプロピル、n−プロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル及びtert−ブチルである。
【0071】
好ましい基R1は、メチル、エチル、n−ブチル及びtert−ブチル、特に好ましくはメチル及びエチルである。
【0072】
置換基は、アルコール、アミン又はイソシアネートに対して反応性でも非反応性でもよい。非反応性置換基は、1〜20の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル又はアリール基、例えば、C1−C20−アルキル、例えばメチル、エチル、イソプロピル、n−プロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−デシル、n−ドデシル、n−テトラデシル、n−ヘキサデシル、n−オクタデエシル、n−エイコシル、シクロヘキシル及びフェニルでよい。
【0073】
好ましい化合物(S)は、メチルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、t−ブチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ベンジルトリエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、ブテニルトリエトキシシラン、n−デシルトリエトキシシラン、ジ−n−ブチルジメトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ドデシルメチルジエトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ヘキサデシルトリエトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、イソブチルメチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリエトキシシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルメチルジメトキシシラン、n−オクタデシルメチルジエトキシシラン、n−オクチルメチルジエトキシシラン、オクチルジメチルメトキシシラン、ペンチルトリエトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルトリエトキシシランである。
【0074】
非反応性基は、ヘテロ原子、例えばエーテル及びチオエーテル基を有していてもよい。具体的な種類の置換基は、単官能のポリオキシアルキレン化合物、例えばエチレンオキシド及びプロピレンオキシドを基礎とする化合物により形成される。
【0075】
好ましい化合物(S)は、2−[メトキシ(ポリエチレンオキシ)プロピル]トリメトキシシラン、3−メトキシプロピルトリメトキシシラン、ブロモフェニルトリメトキシシラン、3−ブロモプロピルトリメトキシシラン、2−クロロエチルメチルジメトキシシラン、(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)トリエトキシシラン、(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)トリメトキシシラン、ジエチルホスファトエチルトリエトキシシラン、2−(ジフェニルホスフィノ)エチルトリエトキシシラン、3−(N,N−ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン、3−メトキシプロピルトリメトイシシラン、3−(メタクリロキシ)プロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタクリロキシ)プロピルトリエトキシシラン、3−(メタクリロキシ)プロピルメチルジメトキシシランである。
【0076】
反応性基は通常、スペーサー基として、アルキレン、シクロアルキレン又はアリーレン基、好ましくはアルキレン基を介してシリル基に結合する。
【0077】
例えば、メチレン、1,2−エチレン(−CH2−CH2−)、1,2−プロピレン(−CH(CH3)−CH2−)及び/又は1,3−プロピレン(−CH2−CH2−CH2−)、1,2−、1,3−及び/又は1,4−ブチレン、1,1−ジメチル−1,2−エチレン、1,2−ジメチル−1,2−エチレン、1,6−ヘキシレン、1,8−オクチレン又は1,10−デシレン、好ましくはメチレン、1,2−エチレン、1,2−又は1,3−プロピレン、1,2−、1,3−又は1,4−ブチレン、特に好ましくはメチレン、1,2−エチレン、1,2−及び/又は1,3−プロピレン及び/又は1,4−ブチレン、極めて特に好ましくはメチレン、1,2−エチレン、1,2−及び/又は1,3−プロピレンである。
【0078】
好ましい反応性基は、第一級アミノ基、ヒドロキシ基、チオール基及びエポキシ基である。
【0079】
好ましい化合物(S)は、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルジメチルメトキシシラン、3−アミノプロピルジメチルエトキシシラン、N−(2’−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2’−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(2’−アミノエチル)−3−アミノプロピルメトキシシラン、N−(2’−アミノエチル)−3−アミノプロピルエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、4−アミノブチルトリエトキシシラン、1−アミノ−2−(ジメチルエトキシシリル)プロパン、(アミノエチルアミノエチル)フェネチルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、p−アミノフェニルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、11−アミノウンデシルトリエトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)トリエトキシシラン、N−(ヒドロキシエチル)−N−メチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ヒドロキシメチルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、N−メチルアミノプロピルメチルジメトキシシラン、ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシランである。
【0080】
特に好ましい化合物(S)は、以下の基で置換されたトリアルコキシシランである:
− CH2−CH2−CH2−NH2
− CH2−CH2−CH2−SH
− CH2−CH2−CH2−NH−CH2−CH2−CH2−NH2
− CH2−CH2−CH2−N(CH2−CH2OH)2
【0081】
列挙した基はイソシアネート基と反応するので、ケイ酸塩粒子がPUマトリックスに共有結合することとなる。好ましくは、グリシドキシプロピル基−CH2−CH2−CH2−O−CH2−CH(O)CH2によって置換されたトリアルコキシシランである。エポキシ基は、アミノ基、例えば単官能のポリエーテルアミン又はヒドロキシル基を有する成分、例えば超分枝ポリオールと反応することができる。
【0082】
2つ以上のスペーサー基を有するシラン化合物も採用することができる。このような化合物は特許文献(WO2004/035649)に記載されている。例えば、ビス(3−メチルジメトキシシリルプロピル)ポリプロピレンオキシド、ビス(トリエトキシシリル)エタン、ビス(トリエトキシシリル)オクタン、1,6−ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、ビス(メチルジエトキシシリルプロピル)アミン及びビス(トリエトキシシリルプロピル)アミンである。
【0083】
化合物(S)との反応により、使用するシリカゾル(K)の表面が改質され、これにより、元々極性であるシリカゾルとポリオールの間の相溶性が向上する。具体的な効果は、種々のシランを組み合わせることにより、例えば、反応性及び非反応性のシランを組み合わせることにより標的とする方法で製造することができる。別の方法で改質されたシリカ粒子の混合物を使用することも可能である。
【0084】
通常、(S)は(K)の表面積1m2当たり0.1〜20μmolの量で使用する。
【0085】
これは通常、(K)1グラム当たり0.01〜5mmolの(S)、好ましくは(K)1グラム当たり0.05〜4mmolの(S)、特に好ましくは(K)1グラム当たり0.1〜3mmolの(S)に相当する。
【0086】
このため、(S)との反応は10〜100℃、好ましくは20〜90℃、特に好ましくは30〜80℃の温度で撹拌しながら行う。
【0087】
これらの反応条件下において、混合物を1〜48時間、好ましくは2〜48時間、特に好ましくは2〜36時間、特に好ましくは4〜24時間反応させる。
【0088】
シラン(S)は、SiO2含有量に対して、0.1〜30mol%、好ましくは0.3〜25mol%、特に好ましくは0.5〜20mol%の量で添加する。
【0089】
シラン(S)は、工程(i)で得られるシリカゾル(K)と溶媒(L)との混合物に添加することができる。
【0090】
しかしながら、シラン(S)は、(ii)混合物をポリオールと混合し、(iii)蒸留により有機溶媒(L)の少なくとも1部を除去した後に添加することが好ましい。シラン(S)を蒸留工程(iii)の後にのみ添加する場合、シランと共に導入される溶媒及び更なる揮発性成分を除去する第二の蒸留工程を行うことが好ましい。
【0091】
任意に行う工程(v)において、ケイ酸塩含有ポリオールのpHを7〜12に設定する。これは、強塩基性化合物を添加することにより行う。好適な強塩基性化合物は、アルカリ金属水酸化物(NaOH、KOH、LiOH)及びアルカリ金属アルコキシドである。ポリオール成分の反応性は、強塩基性化合物を添加することにより向上させることができる。これは、アミン触媒を吸着することができるシリカ粒子の表面の酸性のシラノール基によるものであり、その結果、ポリウレタンシステムの反応性は低下する。これは、塩基性化合物を添加することにより対処することができる。
【0092】
強塩基性化合物の添加によりpHを調整することは、シランの添加の前に行うこともできる。本発明の方法の一実施の形態では、最初にpHを7〜12に設定し、強塩基性化合物と共に導入された溶媒を少なくとも一部蒸留除去し、次いでシラン(S)を添加し、揮発性成分をシラン処理の後に蒸留除去する。本発明の方法の更なる実施の形態では、シラン(S)を最初に添加し、次いで強塩基性化合物を添加することによりpHを7〜12に調整し、揮発性成分をシラン処理の後に除去する。
【0093】
本発明に従って製造されるケイ酸塩含有ポリオールは、ポリウレタンを製造するためのポリオール成分として使用することができる。本発明によって製造されるケイ酸塩含有ポリオールの使用分野は非常に広い。例えば、コンパクトポリウレタン、例えば接着剤、コーティング剤、バインダー、封止組成物、熱可塑性ポリウレタン及びエラストマーの製造に使用することができる。また、例えば靴用の微細気泡ポリウレタンフォーム、ストラクチュラルフォーム、インテグラルフォーム及び例えばバンパーバー用RIMポリウレタンの製造に使用することもできる。更に、高密度フォーム、例えばセミ硬質フォーム及びカーペットの裏地用のフォーム、低密度フォーム、例えば軟質フォーム、硬質フォーム、熱成形(thermomolding)及び梱包用(packaging)フォームの製造に使用することもできる。
【0094】
本発明に係るポリウレタン材料は、a)有機ポリイソシアネートを、b)シリカ含有ポリオールを含むポリオール、必要によりc)鎖延長剤及び/又は架橋剤、d)発泡剤、e)触媒、及び必要によりf)助剤及び添加剤と混合して反応混合物を調製し、その反応混合物を十分に反応させることにより製造される。
【0095】
本発明に係るポリウレタン材料を製造するために使用されるポリイソシアネートa)には、メタンジ(フェニルイソシアネート)(以下、MDIと称する。)、トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ナフタリンジイソシアネート又はヘキサメチレンジイソシアネートを基礎とする化合物が含まれる。本発明において、MDIは、2,4−MDI、4,4’−MDI及び2つ以上の核を有する高級同族体並びにこれらの混合物である。
【0096】
ポリイソシアネートはポリイソシアネートプレポリマーの形態で使用することができる。このポリイソシアネートプレポリマーは、上述の(a1)としてMDIを、例えば30〜100℃の温度、好ましくは約80℃において、ポリエーテルオール(b1)及び/又はポリエステルオール(b2)と反応させてプレポリマーを生成することにより得ることができる。ポリエーテルオール(b1)としては、上述したポリエーテルオールを使用することが好ましい。ここで、ポリエーテルを基礎とするポリイソシアネートプレポリマー及びポリエステルを基礎とするポリイソシアネートプレポリマーだけでなく、これらの混合物並びにポリエーテル及びポリエステルを基礎とするポリイソシアネートプレポリマーも使用することもできる。プレポリマーのNCO含有量は、好ましくは、例えばMDIを基礎とするプレポリマーの場合には、2〜30%、特に好ましくは5〜28%、特に10〜25%である。
【0097】
プレポリマーの製造におけるポリオール成分として、本発明のシリカ含有ポリエーテルオール分散体を使用することもできる。
【0098】
必要により、イソシアネートプレポリマーの製造において、慣用の鎖延長剤(c)を上述したポリオールに添加する。このような物質はd)の下に記載されている。
【0099】
ポリオールb)として、シリカ含有分散体にも使用されているポリエーテルオール(b1)又はポリTHF(b3)を使用することができる。しかしながら、他のポリエーテルオール(b1)、ポリエステルオール(b2)及びポリTHF(b3)も同様に使用することができる。好適なポリオールb)は、非特許文献(The Polyurethane Book, Randall and Lee, Wiley 2002, 99-112頁)に記載されている。好適なポリエステルオール(b2)は、例えば、2〜12個の炭素原子、好ましくは2〜6個の炭素原子を有する多官能のアルコール、好ましくはジオールと、2〜12個の炭素原子を有する多官能のカルボン酸、例えばコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸及び異性体ナフタレンジカルボン酸類との縮合より製造される。
【0100】
また、発泡剤d)及び/又は水はポリウレタンフォームの製造に存在する。発泡剤d)として、水及び更なる一般的に知られている化学的及び/又は物理的に作用する化合物を使用することができる。本発明において、化学的発泡剤は、イソシアネートと反応してガス状生成物を生成する化合物、例えば水又はギ酸である。物理的発泡剤は、ポリウレタンの製造の出発材料に溶解又は乳化し、ポリウレタンの形成条件下で気化する化合物である。これらは、例えば、炭化水素、ハロゲン化炭化水素及び他の化合物、例えばパーフッ素化アルカン、例えばパーフルオロヘキサン、クロロフルオロカーボン及びエーテル類、エステル類、ケトン類、アセタール類並びに加熱して窒素を遊離する無機及び有機化合物、あるいはこれらの混合物であり、例えば、4〜8個の炭素原子を有する(環状)脂肪族炭化水素又はフッ素化炭化水素、例えばSolkane(登録商標)365mfc、Firma Sovay Fluoride LLC製である。
【0101】
鎖延長剤c)として、好ましくは600g/mol未満、特に好ましくは56〜600g/molの分子量を有し、イソシアネートに対して反応性のある2個の水素原子を有する物質を使用することができる。これらは、単独でも、好ましくは混合物としても使用することができる。分子量が600未満、特に好ましくは60〜400、特に60〜300であるジオールを使用することが好ましい。使用可能な鎖延長剤は、例えば、2〜14個、好ましくは2〜10個の炭素原子を有する脂肪族、脂環式及び/又は芳香脂肪族ジオール、例えばエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、ペンタンジオール、トリプロピレングリコール、1,10−デカンジオール、1,2−、1,3−、1,4−ジヒドロキシシクロヘキサン、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、好ましくは1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール及びビス−(2−ヒドロキシエチル)ヒドロキノン、及びエチレンオキシド及び/又は1,2−プロピレンオキシドを基礎とする低分子量のヒドロキシル基含有ポリアルキレンオキシド並びに上述した開始分子としてのジオールである。
【0102】
必要により、架橋剤を鎖延長剤と共に又は代わりに使用することもできる。これらは、450g/mol未満の分子量を有し、イソシアネートに対して反応性の3個の水素原子を有する物質であり、例えばトリオール、例えば1,2,4−、1,3,5−トリヒドロキシシクロヘキサン、グリセロール及びトリメチロールプロパン又はエチレンオキシド及び/又は1,2−プロピレンオキシドを基礎とする低分子量のヒドロキシル基含有ポリアルキレンオキシド並びに上述した開始分子としてのトリオールである。
【0103】
鎖延長剤d)を使用する場合、成分(b)〜(f)の質量に対して、1〜60質量%、好ましくは1.5〜50質量%、特に2〜40質量%の量で使用することが有利である。
【0104】
ポリウレタン材料を製造するための触媒e)として、発泡剤とイソシアネート基を有する化合物a)との反応を著しく加速させる化合物を使用することが好ましい。その例としては、アミジン、例えば2,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン、第三級アミン、例えばトリエチルアミン、トリブチルアミン、ジメチルベンジルアミン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、N−シクロヘキシルモルホリン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルブタンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル、尿素、ビス(ジメチルアミノプロピル)ウレア、ジメチルピペラジン、1,2−ジメチルイミダゾール、1−アザビシクロ[3,3,0]オクタン及び好ましくは1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン及びアルカノールアミン化合物、例えばトリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N−メチルジエタノールアミン及びN−エチルジエタノールアミン及びジメチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、ビス(N,N−ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N,N’,N’,N’’−ペンタメチルジエチレントリアミン、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、2−(2−ジメチルアミノエトキシ)エタノール、2−((2−ジメチルアミノエトキシ)エチルメチルアミノ)エタノール、1−(ビス(3−ジメチルアミノ)プロピル)アミノ−2−プロパノール、N,N',N’’トリス(3−ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロトリアジン、ビス(モルホリノエチル)エーテル、N,N−ジメチルベンジルアミン、N,N,N’,N’’,N’’−ペンタメチルジプロピレントリアミン、N,N’−ジエチルピペラジンが挙げられる。更に可能な触媒は、有機金属化合物、好ましくは有機スズ化合物、例えば有機カルボン酸のスズ(II)塩、例えば酢酸スズ(II)、オクチル酸スズ(II)、エチルヘキサン酸スズ(II)及びラウリン酸スズ、及び有機カルボン酸のジアルキルスズ(IV)塩、例えばジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマレエート、ジブチルスズメルカプチド及びジオクチルスズジアセテート、並びにビスマスカルボキシレート、例えばビスマス(III)ネオデカノエート、ビスマス2−エチルヘキサノエート及びビスマスオクタノエート又はこれらの混合物、プロピオン酸フェニル水銀、オクチル酸鉛、酢酸/オクチル酸カリウム、ギ酸第四級アンモニウム及び鉄アセチルアセトネートである。有機金属化合物は、単独でも、好ましくは強塩基性アミンと組み合わせて使用することができる。
【0105】
a)〜d)の質量に対して、0.001〜5質量%、特に0.05〜2質量%の触媒又は触媒混合物を使用することが好ましい。
【0106】
助剤及び/又は添加剤f)を、必要により、ポリウレタン材料の製造の反応混合物に添加してもよい。その例としては、界面活性剤、フォーム安定剤、気泡調整剤、更なる発泡剤、フィラー、染料、顔料、加水分解抑制剤、臭気吸収物質及び静真菌剤及び/又は細菌安定物質が挙げられる。
【0107】
使用可能な界面活性剤は、例えば、出発材料の均質化を促す作用をし、気泡構造を調整するのに好適であってもよい化合物である。例えば、乳化剤、例えばヒマシ油硫酸塩若しくは脂肪酸のナトリウム塩及び脂肪酸とアミンとの塩、例えばオレイン酸ジエタノールアミン、ステアリン酸ジエタノールアミン、リシノール酸ジエタノールアミン、スルホン酸の塩、例えばドデシルベンゼンスルホン酸若しくはジナフチルメタンジスルホン酸のアルカリ金属若しくはアンモニウム塩及びリシノール酸;フォーム安定剤、例えばシロキサン−オキシアルキレン共重合体及び他のオルガノポリシロキサン、エトキシ化アルキルフェノール、エトキシ化脂肪アルコール、パラフィン油、ヒマシ油又はリシノール酸エステル、ロート油及びピーナッツ油並びに気泡調整剤、例えばパラフィン、脂肪アルコール及びジメチルポリシロキサンが挙げられる。側基としてポリオキシアルキレン及びフルオロアルカン基を有するアクリレートのオリゴマーも、乳化作用、気泡構造を改善するのに、及び/又は発泡を安定させるのに好適である。界面活性剤は通常、成分a)〜d)100質量部に対して0.01〜5質量部の量で使用する。
【0108】
本発明に係るポリウレタン材料は、ワンショット法又は低圧若しくは高圧技術を用いたプレポリマー法で製造される。フォームは、スラブフォームとして又はモールドフォームとして製造することができる。これらの方法は、例えば、非特許文献("The Polyurethanes Book" Randall and Lee, Eds, Wiley, 2002)に記載されている。
【0109】
本発明を以下の実施例により説明する。
【実施例】
【0110】
A.未改質の二酸化ケイ素粒子のポリオールへの転移(transfer)及び安定な二酸化ケイ素分散体の製造
実施例A1:
450gのイソプロパノール、450gのn−プロパノール及び720gのポリオール1を、900gの市販されている酸性シリカゾル(Levasil(登録商標)200E/20%、H.C Starck GmbH&Co KG製、レバークゼン、ドイツ、BET法に基づく粒径:15nm、pH2.5、二酸化ケイ素濃度20質量%)に添加した。水、イソプロパノール及びn−プロパノールの混合物を、8時間にわたり減圧下で30℃から75℃に段階的に昇温させて(最後の1〜2時間は75℃)除去した。これにより、二酸化ケイ素濃度が20質量%である安定で透明な、二酸化ケイ素がポリオールに分散した分散体を得た。
【0111】
実施例A2:
400gの市販されている水性シリカゾル(Levasil(登録商標)200E/30%、H.C Starck GmbH&Co KG製、レバークゼン、ドイツ、BET法に基づく粒径:15nm、pH9.0、二酸化ケイ素濃度30質量%)を、DOWEX(登録商標)MONOSPHERE(登録商標)650C(H)陽イオン交換樹脂を添加することによりpH2.1まで脱イオン化した。333gの脱イオン化シリカゾルを、333gのイソプロパノール及び400gのポリオール1と混合した。水−イソプロパノール混合物を、8時間にわたり減圧下で30℃から75℃に段階的に昇温させて(最後の1〜2時間は75℃)除去した。これにより、二酸化ケイ素濃度が20質量%である安定で透明な、二酸化ケイ素がポリオールに分散した分散体を得た。
【0112】
実施例A3:
500gの市販されている水性シリカゾル(Levasil(登録商標)100/45%、H.C Starck GmbH&Co KG製、レバークゼン、ドイツ、BET法に基づく粒径:30nm、pH10.0、二酸化ケイ素濃度45質量%)を、DOWEX(登録商標)MONOSPHERE(登録商標)650C(H)陽イオン交換樹脂を添加することによりpH2.1まで脱イオン化した。444.4gの脱イオン化シリカゾルを、222gのイソプロパノール、222gのn−プロパノール及び800gのポリオール1と混合した。水、イソプロパノール及びn−プロパノールの混合物を、8時間にわたり減圧下で30℃から75℃に段階的に昇温させて(最後の1〜2時間は75℃)除去した。これにより、二酸化ケイ素濃度が20質量%である安定で透明な、二酸化ケイ素がポリオールに分散した分散体を得た。
【0113】
実施例A4:
700gの市販されている水性シリカゾル(Levasil(登録商標)300/30%、H.C Starck GmbH&Co KG製、レバークゼン、ドイツ、BET法に基づく粒径:9nm、pH10.0、二酸化ケイ素濃度30質量%)を、DOWEX(登録商標)MONOSPHERE(登録商標)650C(H)陽イオン交換樹脂を添加することによりpH2まで脱イオン化した。666.7gの脱イオン化シリカゾルを、300gのイソプロパノール、300gのn−プロパノール及び1133.3gのポリオール1と混合した。水、イソプロパノール及びn−プロパノールの混合物を、8時間にわたり減圧下で30℃から75℃に段階的に昇温させて(最後の1〜2時間は75℃)除去した。これにより、二酸化ケイ素濃度が15質量%である安定で透明な、二酸化ケイ素がポリオールに分散した分散体を得た。
【0114】
実施例A5:
750gのイソプロパノール、750gのn−プロパノール及び340gのポリオール2を、300gの市販されている酸性シリカゾル(Levasil(登録商標)200E/20%、H.C Starck GmbH&Co KG製、レバークゼン、ドイツ、BET法に基づく粒径:15nm、pH2.5、二酸化ケイ素濃度:20質量%)に添加した。水、イソプロパノール及びn−プロパノールの混合物を、8時間にわたり減圧下で30℃から75℃に段階的に昇温させて(最後の1〜2時間は75℃)除去した。これにより、二酸化ケイ素濃度が15質量%である安定で透明な、二酸化ケイ素がポリオールに分散した分散体を得た。
【0115】
実施例A6:
1000gのイソプロパノール、500gのn−プロパノール及び425gのポリオール3を、375gの市販されている酸性シリカゾル(Levasil(登録商標)200E/20%、H.C Starck GmbH&Co KG製、レバークゼン、ドイツ、BET法に基づく粒径:15nm、pH2.5、二酸化ケイ素濃度:20質量%)に添加した。水、イソプロパノール及びn−プロパノールの混合物を、8時間にわたり減圧下で30℃から75℃に段階的に昇温させて(最後の1〜2時間は75℃)除去した。これにより、二酸化ケイ素濃度が15質量%である安定で透明な、二酸化ケイ素がポリオールに分散した分散体を得た。
【0116】
実施例A7:
200gのイソプロパノール、200gのn−プロパノール及び160gのポリオール4を、200gの市販されている酸性シリカゾル(Levasil(登録商標)200E/20%、H.C Starck GmbH&Co KG製、レバークゼン、ドイツ、BET法に基づく粒径:15nm、pH2.5、二酸化ケイ素濃度:20質量%)に添加した。水、イソプロパノール及びn−プロパノールの混合物を、6時間にわたり減圧下で30℃から75℃に段階的に昇温させて(最後の1〜2時間は75℃)蒸留により分離した。これにより、二酸化ケイ素濃度が20質量%である安定で透明な、二酸化ケイ素がポリオールに分散した分散体を得た。
【0117】
実施例A8:
100gのイソプロパノール、100gのn−プロパノール及び226.7gのポリオール5を、200gの市販されている酸性シリカゾル(Levasil(登録商標)200E/20%、H.C Starck GmbH&Co KG製、レバークゼン、ドイツ、BET法に基づく粒径:15nm、pH2.5、二酸化ケイ素濃度:20質量%)に添加した。水、イソプロパノール及びn−プロパノールの混合物を、6時間にわたり減圧下で30℃から75℃に段階的に昇温させて(最後の1〜2時間は75℃)除去した。これにより、二酸化ケイ素濃度が15質量%である安定で透明な、二酸化ケイ素がポリオールに分散した分散体を得た。
【0118】
実施例A9:
160gのイソプロパノール及び160gのポリオール6を、200gの市販されている酸性シリカゾル(Levasil(登録商標)200E/20%、H.C Starck GmbH&Co KG製、レバークゼン、ドイツ、BET法に基づく粒径:15nm、pH2.5、二酸化ケイ素濃度:20質量%)に添加した。水及びイソプロパノールの混合物を、6時間にわたり減圧下で30℃から75℃に段階的に昇温させて(最後の1〜2時間は75℃)蒸留により分離した。これにより、二酸化ケイ素濃度が20質量%である安定で透明な、二酸化ケイ素がポリオールに分散した分散体を得た。
【0119】
実施例A10:
100gのイソプロパノール、100gのn−プロパノール及び40gのポリオール7を、200gの市販されている酸性シリカゾル(Levasil(登録商標)200E/20%、H.C Starck GmbH&Co KG製、レバークゼン、ドイツ、BET法に基づく粒径:15nm、pH2.5、二酸化ケイ素濃度:20質量%)に添加した。水、イソプロパノール及びn−プロパノールの混合物を、6時間にわたり減圧下で30℃から75℃に段階的に昇温させて(最後の1〜2時間は75℃)除去した。これにより、二酸化ケイ素濃度が50質量%である安定で透明な、二酸化ケイ素がポリオールに分散した分散体を得た。
【0120】
実施例A11:
1000gのイソプロパノール、1000gのn−プロパノール及び583.3gのポリオール8を、1250gの市販されている酸性シリカゾル(Levasil(登録商標)200E/20%、H.C Starck GmbH&Co KG製、レバークゼン、ドイツ、BET法に基づく粒径:15nm、pH2.5、二酸化ケイ素濃度:20質量%)に添加した。水、イソプロパノール及びn−プロパノールの混合物を、8時間にわたり減圧下で30℃から75℃に段階的に昇温させて(最後の1〜2時間は75℃)除去した。これにより、二酸化ケイ素濃度が30質量%である安定で透明な、二酸化ケイ素がポリオールに分散した分散体を得た。
【0121】
B.ポリオール中の二酸化ケイ素ナノ粒子の表面改質
表面改質後の分散体の二酸化ケイ素濃度は、純粋な二酸化ケイ素を基準とするものである。
【0122】
実施例B1:
スターラーを備える2lのガラスフラスコ内で、二酸化ケイ素濃度が20質量%である実施例A1で得られた二酸化ケイ素のポリオール分散体500g、214.3gのポリオール1、10.8g(0.6mol)の水及び27.2g(0.2mol)のメチルトリメトキシシラン(Merck Schuchardt OHG製、ホーエンブルン、ドイツ)を混合した。得られた混合物を70℃で24時間撹拌した。混合物を冷却した後、揮発性成分を75℃において減圧下で2時間にわたり蒸留除去した。これにより、二酸化ケイ素濃度が14質量%である安定で透明な、二酸化ケイ素がポリオールに分散した分散体を得た。
【0123】
実施例B2:
スターラーを備える2lのガラスフラスコ内で、二酸化ケイ素濃度が20質量%である実施例A1で得られた二酸化ケイ素のポリオール1分散体500g、214.3gのポリオール1、4g(0.22mol)の水及び13.2g(0.11mol)のジメチルジメトキシシラン(Fluorochem、Old Glossop製、イギリス)を混合した。得られた混合物を70℃で24時間撹拌した。混合物を冷却した後、揮発性成分を75℃において減圧下で2時間にわたり蒸留除去した。これにより、二酸化ケイ素濃度が14質量%である安定で透明な、二酸化ケイ素がポリオールに分散した分散体を得た。
【0124】
実施例B2b:
スターラーを備える1lのガラスフラスコ内で、150gの市販されている酸性水性シリカゾル(Levasil(登録商標)200E/20%、H.C Starck GmbH&Co KG製、レバークゼン、ドイツ、BET法に基づく粒径:15nm、pH2.5、二酸化ケイ素濃度:20質量%)、75gのイソプロパノール、75gのn−プロパノール及び170gのポリオール1を混合した。次に、4.8g(0.04mol)のジメチルジメトキシシラン(Fluorochem、Old Glossop製、イギリス)を添加し、得られた混合物を室温で24時間撹拌した。水/イソプロパノール/n−プロパノールの混合物及び他の揮発性成分を、4時間にわたり減圧下で30℃から75℃に段階的に昇温させて(最後の1〜2時間は75℃)蒸留により除去した。これにより、二酸化ケイ素濃度が15質量%である安定で透明な、二酸化ケイ素がポリオールに分散した分散体を得た。
【0125】
実施例B3:
スターラーを備える2lのガラスフラスコ内で、二酸化ケイ素濃度が20質量%である実施例A1で得られた二酸化ケイ素のポリオール1分散体750g、500gのポリオール1、8.9g(0.5mol)の水及び82.4g(0.16mol)の62質量%濃度のビス(2−ヒドロキシエチル)3−アミノプロピルトリエトキシシラン(ABCR GmbH&Co KG製、カールスルーエ、ドイツ)のエタノール溶液を混合した。得られた混合物を室温で24時間撹拌した。揮発性成分を減圧下において75℃で2時間にわたり蒸発させた後、二酸化ケイ素濃度が12質量%である安定で透明な、二酸化ケイ素がポリオールに分散した分散体を得た。
【0126】
実施例B4:
スターラーを備える2lのガラスフラスコ内で、二酸化ケイ素濃度が20質量%である実施例A1で得られた二酸化ケイ素のポリオール1分散体300g、300gのポリオール1及び8.8g(0.04mol)の3−アミノプロピルトリエトキシシラン(Merck Schuchardt OHG、ホーエンブルン、ドイツ)を混合した。得られた混合物を70℃で24時間撹拌した。この混合物を冷却した後、揮発性成分を75℃において減圧下で2時間にわたり除去し、二酸化ケイ素濃度が10質量%である安定で透明な、二酸化ケイ素がポリオールに分散した分散体を得た。
【0127】
実施例B5:
スターラーを備える2lのガラスフラスコ内で、二酸化ケイ素濃度が20質量%である実施例A1で得られた二酸化ケイ素のポリオール1分散体300g、300gのポリオール1及び12.9g(0.07mol)の3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(Merck Schuchardt OHG、ホーエンブルン、ドイツ)を混合した。得られた混合物を70℃で24時間撹拌した。この混合物を冷却した後、揮発性成分を75℃において減圧下で2時間にわたり除去し、二酸化ケイ素濃度が10質量%である安定で透明な、二酸化ケイ素がポリオールに分散した分散体を得た。
【0128】
実施例B6:
スターラーを備える1lのガラスフラスコ内で、二酸化ケイ素濃度が20質量%である実施例A1で得られた二酸化ケイ素のポリオール1分散体440.7g、90gのポリオール1及び55g(0.023mol)の超分枝ポリオールで官能化したトリエトキシシラン(HBP−シラン)を混合した。得られた混合物を室温で24時間撹拌した。揮発性成分を75℃において減圧下で2時間にわたり除去し、二酸化ケイ素含量が16.6質量%である安定で透明な、二酸化ケイ素がポリオールに分散した分散体を得た。この超分枝ポリオールで官能化したトリエトキシシランは、11.07g(0.05mol)の3−アミノプロピルトリエトキシシラン及び8.71g(0.05mol)の2,4−ジイソシアナト−1−メチルベンゼン(2,4−TDI)を700mlのジクロロメタン中で室温において1時間にわたり反応させることにより得た。次に、97g(0.05mol)の超分枝ポリオール(Mw=1940g/mol)及び触媒量のジブチルススズジラウレートを添加し、得られた混合物を室温で24時間撹拌し、ジクロロメタンを減圧下で分離した。
【0129】
実施例B7:
スターラーを備える2lのガラスフラスコ内で、二酸化ケイ素濃度が20質量%である実施例A1で得られた二酸化ケイ素のポリオール1分散体600g、200gのポリオール1及び53.5g(0.06mol)のトリメトキシシラン(3−(2,3−エポキシプロポキシ)プロピルトリメトキシシランとJeffamine XTJ−505との反応により得られる)を混合した。得られた混合物を室温で24時間撹拌した。揮発性成分を75℃において減圧下で2時間にわたり分離し、ニ酸化ケイ素濃度が15質量%である安定で透明な、二酸化ケイ素がポリオールに分散した分散体を得た。このシランを調製するため、28.3g(0.12mol)の3−(2,3−エポキシプロポキシ)プロピルトリメトキシシラン(Merck Schuchardt OHG製、ホーエンブルン、ドイツ)及び71.7g(0.12mol)のJeffamine XTJ−505(Huntsman製)を混合し、60℃で一晩撹拌した。
【0130】
実施例B8:
スターラーを備える3lのガラスフラスコ内で、二酸化ケイ素濃度が20質量%である実施例A1得られたニ酸化ケイ素のポリオール1分散体1000g、818gのポリオール1及び59.3g(0.27mol)のN−(3−(トリメトキシシリル)プロピル)エチレンジアミン(Z6020、Dow Corning製)を混合した。得られた混合物を70℃で24時間撹拌した。混合物を冷却した後、揮発性成分を75℃において減圧下で2時間にわたり除去し、二酸化ケイ素濃度が11質量%であるポ安定で透明な、二酸化ケイ素がポリオールに分散した分散体を得た。
【0131】
実施例B9:
スターラーを備える1lのガラスフラスコ内で、二酸化ケイ素濃度が20質量%である実施例A1で得られた二酸化ケイ素のポリオール1分散体150g、50gのポリオール1、1.80g(0.10mol)の水、2.72g(0.02mol)のメチルトリメトキシシラン(Merck Schuchardt OHG、ホーエンブルン、ドイツ)及び2.40g(0.02mol)のジメチルジメトキシシラン(Flluorochem、Old Glossop製、イギリス)を混合した。得られた混合物を70℃で24時間撹拌した。混合物を冷却した後、揮発性成分を75℃において減圧下で2時間にわたり蒸留除去した。これにより、二酸化ケイ素濃度が15質量%である安定で透明な、二酸化ケイ素がポリオールに分散した分散体を得た。
【0132】
実施例B10:
スターラーを備える1lのガラスフラスコ内で、二酸化ケイ素濃度が20質量%である実施例A1で得られた二酸化ケイ素のポリオール1分散体150g、50gのポリオール1、0.8g(0.04mol)の水及び2.04g(0.015mol)のメチルトリメトキシシラン(Merck Schuchardt OHG、ホーエンブルン、ドイツ)を混合し、室温で15分間撹拌した。3.32g(0.015mol)のアミノプロピルトリエトキシシラン(Merck Schuchardt OHG、ホーエンブルン、ドイツ)をこの混合物に添加した。得られた混合物を室温で24時間撹拌し、次いで揮発性成分を75℃において減圧下で2時間にわたり蒸留除去した。これにより、二酸化ケイ素濃度が15質量%である安定で透明な、二酸化ケイ素がポリオールに分散した分散体を得た。
【0133】
C.二酸化ケイ素−ポリオール分散体のpHの調整
実施例C1:20%濃度のナトリウムエトキシドエタノール溶液を使用した二酸化ケイ素分散体のpHの調整
スターラーを備える2lのガラスフラスコ内で、二酸化ケイ素濃度が20質量%である実施例A1で得られたニ酸化ケイ素のポリオール1分散体1100gを、471gのポリオール1と混合して、14%濃度の二酸化ケイ素のポリオール分散体を得た(分散体3gと脱イオン水17gを混合するとpHが4.3となり、0.1%濃度のクレゾールレッドのエタノール溶液0.4gを酸塩基指示薬として混合物に添加したところ、色が黄色に変化した)。4.4gの20%濃度のナトリウムエトキシドのエタノール溶液(Merck Schuchardt OHG製、ホーエンブルン、ドイツ)を添加し、得られた混合物を室温で30分間撹拌し、エタノールを75℃において減圧下で分離除去した。これにより、二酸化ケイ素濃度が14質量%である安定で透明な二酸化ケイ素−ポリオール分散体を得た。分散体3gと脱イオン水17gを混合するとpHが8.9となり、0.1%濃度のクレゾールレッドのエタノール性溶液0.4gを(酸塩基指示薬として)混合物に添加したところ、色が赤に変化した。pH値は、HI 1131 pH電極を備えるHanna Instruments HI 221 pHメーターを使用して測定した。
【0134】
実施例C2:実施例C1から得られたサンプルの表面改質
スターラーを備える2lのガラスフラスコ内で、C1で得られたニ酸化ケイ素濃度が14質量%であるpH8.9の二酸化ケイ素のポリオール1分散体785g、4.3g(0.24mol)の水及び14.5g(0.12mol)のジメチルジメトキシシラン(Fluorochem、Old Glossop製、イギリス)を混合した。得られた混合物を70℃で24時間撹拌した。混合物を冷却した後、揮発性成分を75℃において減圧下で2時間にわたり除去した。これにより、二酸化ケイ素濃度が14質量%である安定で透明な二酸化ケイ素−ポリオール分散体を得た。分散体3gと脱イオン水17gを混合するとpHが9.5となり、0.1%濃度のクレゾールレッドのエタノール溶液0.4gを(酸塩基指示薬として)混合物に添加したところ、色が赤に変化した。pH値は、HI 1131 pH電極を備えるHanna Instruments HI 221 pHメーターを使用して測定した。
【0135】
実施例C3:ポリオール中での表面改質及びそれに次ぐpHの調整
スターラーを備える2lのガラスフラスコ内で、二酸化ケイ素濃度が20質量%である実施例A1で得られた二酸化ケイ素のポリオール1分散体550g、235.7gのポリオール1、4.3g(0.23mol)の水及び14.5g(0.12mol)のジメチルジメトキシシラン(Fluorochem、Old Glossop製、イギリス)を混合した。得られた混合物を70℃で24時間撹拌した。この分散体3gと脱イオン水17gを混合するとpHが4.6となり、0.1%濃度のクレゾールレッドのエタノール溶液0.4gを酸塩基指示薬として混合物に添加したところ、色が黄色に変化した。混合物を冷却した後、2.2gの20%濃度のナトリウムエトキシドのエタノール溶液(Merk Schuchard OHG製、ホーエンブルン、ドイツ)を添加した。30分間撹拌した後、揮発性成分を75℃において減圧下で2時間にわたり除去した。これにより、二酸化ケイ素濃度が14質量%である安定で透明な二酸化ケイ素−ポリオール分散体を得た。この分散体3gと脱イオン水17gを混合するとpHが10.2となり、0.1%濃度のクレゾールレッドのエタノール溶液0.4gを(酸塩基指示薬として)混合物に添加したところ、色が赤に変化した。pH値は、HI 1131 pH電極を備えるHanna Instruments HI 221 pHメーターを使用して測定した。
【0136】
D.水溶媒中での二酸化ケイ素ナノ粒子の表面改質及び改質された二酸化ケイ素のポリオール中への転移
実施例D1:
2lのスターラーを備えるガラスフラスコ内で、500gの市販されている水性酸性シリカゾル(Levasil(登録商標)200E/20%、H.C. Stark GmbH&Co KG製、レバークゼン、ドイツ、BET法に基づく粒径:15nm、pH2.5、二酸化ケイ素濃度:20質量%)、250gのイソプロパノール及び250gのn−プロパノールを混合した。次に、15g(0.11mol)のメチルトリエトキシシラン(Merck Schuchardt OHG、ホーエンブルン、ドイツ)を添加し、得られた混合物を室温で24時間撹拌した。シラン処理が終了した後、400gのポリオール1を添加し、撹拌後、水、イソプロパノール、n−プロパノール及び更なる揮発性成分を8時間にわたり減圧下において30から75℃まで段階的に昇温させて(最後の1〜2時間は75℃)において分離除去した。これにより、二酸化ケイ素濃度が20質量%の安定で透明な二酸化ケイ素−ポリオール分散体を得た。
【0137】
実施例D2:
500gの市販されている水性シリカゾル(Levasil(登録商標)200E/30%、H.C. Stark GmbH&Co KG製、レバークゼン、ドイツ、BET法に基づく粒径:15nm、pH9.0、二酸化ケイ素濃度:30質量%)を、DOWEX(登録商標)MONOSPHERE(登録商標)650C(H)陽イオン交換樹脂を添加することによりpH2.1まで脱イオン化した。400gの脱イオン化シリカゾルを200gのイソプロパノール及び200gのn−プロパノールと混合した。次に、18g(0.13mol)のメチルトリメトキシシラン(Merck Schuchardt OHG製、ホーエンブルン、ドイツ)を添加し、得られた混合物を室温で24時間撹拌した。シラン処理が終了した後、480gのポリオール1を添加し、撹拌後、水、イソプロパノール、n−プロパノール及び更なる揮発性成分を8時間にわたり減圧下で30℃から75℃に段階的に昇温させて(最後の1〜2時間は75℃)分離した。これにより、二酸化ケイ素濃度が20質量%のポリオールに分散した二酸化ケイ素−ポリオール分散体を得た。
【0138】
実施例D3:
スターラーを備える1lのガラスフラスコ内で、250gの市販されている酸性水性シリカゾル(Levasil(登録商標)200E/20%、H.C. Stark GmbH&Co KG製、レバークゼン、ドイツ、BET法に基づく粒径:15nm、pH2.5、二酸化ケイ素濃度:20質量%)及び250gのイソプロパノールを混合した。次に、21.5g(0.026mol)のトリメトキシシラン(3−(2,3−エポキシプロポキシ)プロピルトリメトキシシランとJeffamine XTJ−505との反応により得られる)を添加し、得られた混合物を室温で24時間撹拌した。シラン処理が終了した後、450gのポリオール1を加え、撹拌後、水、イソプロパノール及び他の揮発性成分を6時間にわたり減圧下で30℃から75℃に段階的に昇温させて(最後の1〜2時間は75℃)分離除去した。これにより、二酸化ケイ素濃度が10質量%である安定で透明な二酸化ケイ素−ポリオール分散体を得た。シランの合成:28.3g(0.12mol)の3−(2,3−エポキシプロポキシ)プロピルトリメトキシシラン(Merck Schuchardt OHG製、ホーエンブルン、ドイツ)及び71.7g(0.12mol)のJeffamine XTJ−505(Huntsman製)を混合し、一晩60℃で撹拌した。
【0139】
E.二酸化ケイ素ナノ粒子により強化されたポリウレタンエラストマーの機械的性質
機械的試験用の試料の製造をポリウレタン工業において慣用されている方法で行った。実施例においてポリマー材料の製造に使用した出発材料を表1a−bに示す。
【0140】
イソシアネートを、ポリオールと二酸化ケイ素粒子及びポリウレタン処方物の他の出発材料とを良く混合し均質化した混合物に添加した。処方物をオープンモールドに流し込み、反応させ、50℃で硬化させ、200×150×5mmの寸法を有する板状材を得た。得られた材料を60℃で24時間加熱し、その板状材の中央部からカットした試験試料について機械的性質を測定した。得られたポリウレタンは1.5〜9.8質量%のSiO2を含んでいた。測定は、ポリウレタンポリマーの試験に慣用されている試験方法で行った。
【0141】
実施例E1:ポリウレタンエラストマーの製造−参考例
0.94gのシリコーン含有界面活性剤(Tegostab(登録商標)B4113)、1.06gの33質量%濃度の1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンのTEG溶液(Dabco(登録商標)33LV)及び14.08gのK−Ca−Na−ゼオライトペーストを、210.7gのポリオール1及び8.4gの1,4−ブタンジオールに添加した。得られた混合物を高速ミキサーで1分間混合し、次いで室温で30分間放置した。軟質エラストマー及び軟質モールドフォーム用の、NCO含量が23%の市販されているMDIプレポリマー(Lupranat(登録商標)MP102)64.8gを添加し、高速ミキサーで1分間撹拌した後、オープンモールドに流し込み、反応させ、50℃で硬化させて、200×150×5mmの寸法を有する板状材を得た。得られた材料を60℃で24時間加熱し、その板状材の中央部分からカットした試験試料について機械的性しつを測定した。
【0142】
実施例E2−3(表2参照) 二酸化ケイ素ナノ粒子を含むポリウレタンエラストマーの製造
二酸化ケイ素濃度が14質量%である実施例B1で得られた改質した二酸化ケイ素ナノ粒子のポリオール分散体126.1g、89.8gのポリオール1及び7.95gの1,4−ブタンジオールを混合し、0.88gのTegostab(登録商標)B4113、0.99gのDabco(登録商標)33LV及び13.25gのK−Ca−Na−ゼオライトペーストをこの混合物に加えた。得られた混合物を、高速ミキサーで1分間均質化し、次いで室温で30分間放置した。61gのLupranat(登録商標)MP102を添加し(イソシアネートインデックスが105となった)、1分間拘束ミキサーで撹拌した後、混合物をオープンモールドに導入し、反応させ、50℃で硬化させ、200×150×5mmの寸法を有する板状材を得た。得られた材料を60℃で24時間加熱し、その板状材の中央部分からカットした試験試料について機械的性質を測定した。得られたポリウレタンは5.9質量%のSiO2を含んでいた。
【0143】
エラストマー中の粒子濃度を変更して更なるエラストマーを製造した。これは、濃縮ポリオール−粒子ブレンドとしてB1で得られた分散体を使用して、少量の濃縮ポリオール−粒子ブレンドと多量の純粋なキャリアポリオール(E2−1〜E2〜4参照)を使用することにより行った。更なるエラストマーを、異なる表面改質を有する粒子を使用して、また、異なる方法で変性した粒子を使用して同様に製造した。
【0144】
実施例E3−1〜E3−5では、実施例B2で得られた濃縮ポリオール−粒子ブレンドを使用した;実施例E4−1〜E4−4では、実施例B3で得られた濃縮ポリオール−粒子ブレンドを使用した;実施例E5−1〜E5−5では、実施例B4で得られた濃縮ポリオール−粒子ブレンドを使用した;実施例E6−1〜E6−3では、B6で得られた濃縮ポリオール−粒子ブレンドを使用した;実施例E7−1〜E7−4では、実施例D1で得られた濃縮ポリオール−粒子ブレンドを使用した;実施例E8−1〜E8−2では、実施例D3で得られた濃縮ポリオール−粒子ブレンドを使用した。
【0145】
【表1】

【0146】
【表2】

【0147】
【表3】

【0148】
【表4】

【0149】
【表5】

【0150】
【表6】

【0151】
F.二酸化ケイ素ナノ粒子により強化されたポリウレタンフォームの機械的性質
機械的試験用の試料の製造をポリウレタン工業において慣用されている方法で行った。実施例においてポリマー材料の製造に使用した出発材料を表1a−bに示す。
【0152】
イソシアネートを、ポリオールと二酸化ケイ素粒子及びポリウレタン処方物の他の出発材料とを良く混合し均質化した混合物に添加した。処方物をオープンモールドに流し込み、反応させ、室温で硬化させた。フォームブロックの中央部分からカットした試験試料について、規格の試験法に従って機械的性質を測定した。このようにして得られたポリウレタンフォームは2.0〜3.9質量%のSiO2を含んでいた。
【0153】
実施例F1:軟質フォームの製造−参考例
0.46gのTegostab(登録商標)B4113、0.46gのシリコーン含有界面活性剤(Tegostab(登録商標)B8680)、1.53gのDabco(登録商標)33LV及び触媒として0.46gの70質量%濃度のビス(N,N−ジメチルアミノエチル)エーテルのDPG溶液(Niax(登録商標)A1)を触媒として、306.2gのポリオール1に添加した。得られた混合物をラボラトリースターラーで混合した。9.19gの水を添加した。混合物を1分間ラボラトリースターラーで均質化し、次いで室温で30分間放置した。131.7gのイソシアネート1(4,4’−MDI、2,4’−MDI及びポリメリックMDIの混合物(比が42.0/21.0/37.0、NCO価が31.3%、Fn=2.25))を加えた。ラボラトリースターラーで1500rpmで10分間撹拌した後、混合物をオープンモールドに流し込み、反応させ、室温で硬化させて、6lのフォームのブロックを得た。室温で24時間にわたり完全に硬化させた後、フォームをモールドから取り出し、機械的性質を測定した。
【0154】
実施例F2:二酸化ケイ素ナノ粒子を含む軟質フォームの製造
実施例B4で得られた二酸化ケイ素濃度が10質量%であるシラン処理された二酸化ケイ素のポリオール分散体176gと134.9gのポリオール1を混合し、0.44gのTegostab(登録商標)B4113、0.44gのTegostab(登録商標)B8680、2.05gのDabco(登録商標)33LV及び0.44gのNiax(登録商標)A1を混合物に加えた。得られたブレンドをラボラトリースターラーで混合した。8.8gの水を加えた。この混合物をラボラトリースターラーで1分間均質化し、室温で30分間放置した。126.9gのイソシアネート1を添加し、ラボラトリースターラーで1500rpmで10秒間撹拌した後、この混合物をオープンモールドに流し込み、反応させ、室温で硬化させて、6lのフォームのブロックを得た。24時間にわたり室温で完全に硬化させた後、フォームをモールドから取り出し、機械的性質を測定した。得られたポリウレタンフォームは3.9質量%のSiO2を含んでいた。
【0155】
表3に示されているように、圧縮変形値は二酸化ケイ素を加えることにより改善していた。
【0156】
【表7】

【0157】
実施例F3:プレポリマーの製造
775.7gのイソシアネート1を、二酸化ケイ素濃度が14質量%である実施例B1で得られた二酸化ケイ素のポリオール1分散体224.3gと混合した。得られた混合物を80℃で3時間撹拌し、二酸化ケイ素濃度が3.1質量%である安定な二酸化ケイ素のプレポリマー分散体を得た。このプレポリマーは軟質フォームの製造に使用することができる。
【0158】
比較例
比較例G1:
300gの市販されている酸性水性シリカゾル(Levasil(登録商標)200E/20%、H.C. Stark GmbH&Co KG製、レバークゼン、ドイツ、BET法に基づく粒径:15nm、pH2.5、二酸化ケイ素濃度:20質量%)及び300gのイソプロパノールを混合した。32.9gの62%濃度のビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン(ABCR GmbH&Co KG製、カールスルーエ、ドイツ)のエタノール溶液を徐々に添加した後、ゲル状が生成物を得られた。
【0159】
比較例G2:
50gの市販されている酸性水性シリカゾル(Levasil(登録商標)200E/20%、H.C. Stark GmbH&Co KG製、レバークゼン、ドイツ、BET法に基づく粒径:15nm、pH2.5、二酸化ケイ素濃度:20質量%)及び360gのイソプロパノールを混合した。5.5gの62%濃度のビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン(ABCR GmbH&Co KG製、カールスルーエ、ドイツ)のエタノール溶液を徐々に添加した後、ゲル状の生成物が得られた。
【0160】
比較例G3:
300gの市販されている酸性水性二酸化ケイ素ゾル(Levasil(登録商標)200E/20%、H.C. Stark GmbH&Co KG製、レバークゼン、ドイツ、BET法に基づく粒径:15nm、pH2.5、二酸化ケイ素濃度:20質量%)を、300gの水で希釈して二酸化ケイ素含量を10質量%とした。32.9gの62%濃度のビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン(ABCR GmbH&Co KG製、カールスルーエ、ドイツ)のエタノール溶液を徐々に添加した後、ゲル状の生成物が得られた。
【0161】
比較例G4:
200gの市販されているアルカリ安定化水性シリカゾル(Levasil(登録商標)200E/30%、H.C. Stark GmbH&Co KG製、レバークゼン、ドイツ、BET法に基づく粒径:15nm、pH9.0、二酸化ケイ素濃度:30質量%)を、130gの水及び270gのイソプロパノールで希釈して二酸化ケイ素含量を10質量%とした。32.9gの62%濃度のビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン(ABCR GmbH&Co KG製、カールスルーエ、ドイツ)のエタノール溶液を徐々に添加した後、ゲル状の生成物が得られた。
【0162】
比較例G5:
200gの市販されているアルカリ安定化水性シリカゾル(Levasil(登録商標)200E/30%、H.C. Stark GmbH&Co KG製、レバークゼン、ドイツ、BET法に基づく粒径:15nm、pH9.0、二酸化ケイ素濃度:30質量%)を、400gの水で希釈して二酸化ケイ素含量を10質量%とした。32.9gの62%濃度のビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン(ABCR GmbH&Co KG製、カールスルーエ、ドイツ)のエタノール溶液を徐々に添加し、得られた溶液を室温で24時間撹拌した。ゲルの形成により、ポリオール1への直接転移も、イソプロパノールと混合した後のポリオール1への転移も不可能であった。
【0163】
比較例G6:
200gの市販されているアルカリ安定化水性シリカゾル(Levasil(登録商標)200E/30%、H.C. Stark GmbH&Co KG製、レバークゼン、ドイツ、BET法に基づく粒径:15nm、pH9.0、二酸化ケイ素濃度:30質量%)を、400gの水で希釈して二酸化ケイ素含量を10質量%とした。32.9gの62%濃度のビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン(ABCR GmbH&Co KG製、カールスルーエ、ドイツ)のエタノール溶液を徐々に添加し、得られた溶液を室温で24時間撹拌し、次いでDOWEX(登録商標)MONOSPHERE(登録商標)650C(H)陽イオン交換樹脂を添加することによりpH4まで脱イオン化した。この脱イオン化したシリカゾルを540gのイソプロパノール及び540gのポリオール1と混合した。水−イソプロパノール混合物を75℃において減圧下で蒸発させると、ゲル状の生成物が得られた。
【0164】
比較例G7:
200gの市販されているアルカリ安定化水性シリカゾル(Levasil(登録商標)200E/30%、H.C. Stark GmbH&Co KG製、レバークゼン、ドイツ、BET法に基づく粒径:15nm、pH9.0、二酸化ケイ素濃度:30質量%)を、400gの水で希釈して二酸化ケイ素含量を10質量%とした。14.6gの3−アミノプロピルトリエトキシシラン(Merck Schuchardt OHG製、ホーエンブルン、ドイツ)を添加した後、ゲルが得られた。
【0165】
比較例G8:
200gの市販されているアルカリ安定化水性シリカゾル(Levasil(登録商標)200E/30%、H.C. Stark GmbH&Co KG製、レバークゼン、ドイツ、BET法に基づく粒径:15nm、pH9.0、二酸化ケイ素濃度:30質量%)を、400gの水で希釈して二酸化ケイ素含量を10質量%とした。8.9gの3−アミノプロピルトリエトキシシラン(Merck Schuchardt OHG製、ホーエンブルン、ドイツ)を徐々に添加し、得られた溶液を室温で18時間撹拌した。ゲルの形成により、ポリオール1の直接転移も、イソプロパノールと混合した後のポリオール1への転移もできなかった。
【0166】
比較例G9:
200gの市販されているアルカリ安定化水性シリカゾル(Levasil(登録商標)200E/30%、H.C. Stark GmbH&Co KG製、レバークゼン、ドイツ、BET法に基づく粒径:15nm、pH9.0、二酸化ケイ素濃度:30質量%)を、400gの水で希釈して二酸化ケイ素含量を10質量%とした。8.9gの3−アミノプロピルトリエトキシシラン(Merck Schuchardt OHG製、ホーエンブルン、ドイツ)を徐々に添加し、得られた溶液を室温で18時間撹拌した。DOWEX(登録商標)MONOSPHERE(登録商標)650C(H)陽イオン交換樹脂を添加した後、このシラン処理したゾルは直ちにゲル状となった。
【0167】
比較例G10:
100gの市販されているアルカリ安定化水性シリカゾル(Levasil(登録商標)200E/30%、H.C. Stark GmbH&Co KG製、レバークゼン、ドイツ、BET法に基づく粒径:15nm、pH9.0、二酸化ケイ素濃度:30質量%)を、120gのメタノールで希釈した。6.6gの3−アミノプロピルトリエトキシシラン(Merck Schuchardt OHG製、ホーエンブルン、ドイツ)を、100gのメタノールに溶解し、得られた溶液を10g/hの速度でその希釈されたゾルに添加した。添加が終了した後、溶液を室温で更に5時間撹拌した。DOWEX(登録商標)MONOSPHERE(登録商標)650C(H)陽イオン交換樹脂を添加した後、既に不透明なシラン処理されたゾルは直ちにゲル状となった。
【0168】
比較例G11:
100gの市販されているアルカリ安定化水性シリカゾル(Levasil(登録商標)200E/30%、H.C. Stark GmbH&Co KG製、レバークゼン、ドイツ、BET法に基づく粒径:15nm、pH9.0、二酸化ケイ素濃度:30質量%)を、120gのメタノールで希釈した。6.6gの3−アミノプロピルトリエトキシシラン(Merck Schuchardt OHG製、ホーエンブルン、ドイツ)を、100gのメタノールに溶解し、得られた溶液を10g/hの速度でその希釈されたゾルに添加した。添加が終了した後、既に不透明である溶液を室温で更に5時間撹拌した。270gのポリオール1を添加した後、シラン処理されたゾルは直ちにゲル状となった。
【0169】
比較例G12:
300gの市販されている酸性水性シリカゾル(Levasil(登録商標)200E/20%、H.C. Stark GmbH&Co KG製、レバークゼン、ドイツ、BET法に基づく粒径:15nm、pH2.5、二酸化ケイ素濃度:20質量%)及び300gのイソプロパノールを混合した。13.3gの3−アミノプロピルトリエトキシシラン(Merck Schuchardt OHG製、ホーエンブルン、ドイツ)を徐々に添加した後、ゲル状の生成物を得た。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)平均粒径が1〜150nmであり、SiO2として計算されるシリカ含有量が1〜60質量%であり、そして使用するSiO2の含有量に基づくpHが1〜6である水性シリカゾル(K)を、(水の量に対して)0.1〜20倍の量の、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−2−プロパノール、1−クロロ−2−プロパノール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、2−エトキシエタノール、2−メチル−2−プロパノール、2−メトキシエタノール、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、アセトン、メチルエチルケトン及び酢酸エチルからなる群から選択される少なくとも1種の有機溶媒(L)と混合する工程、
及び
(ii)得られた混合物をポリオールと混合する工程、
(iii)蒸留により水及び有機溶媒(L)の少なくとも一部を除去する工程、
(iv)少なくともモノアルコキシル化された少なくとも1つのシリル基と、少なくともヘテロ原子を含んでよく、そしてアルコール、アミン又はイソシアネートに対して反応する基を任意に含むアルキル、シクロアルキル又はアリール置換基とを有する少なくとも1種の化合物(S)を、(K)の表面積1m2当たり(S)0.1〜20μmolの量で混合する工程(但し、工程(i)、(ii)及び(iv)は同時に又はどのような順番でも連続して行うことができる。)、
(v)必要により、強塩基性化合物を添加することにより、ケイ酸塩含有ポリオールのpHを7〜12に調整する工程(但し、工程(v)は、工程(iii)と(iv)の間に行うこともできる。)、
を含むケイ酸塩含有ポリオールの製造方法。
【請求項2】
工程(i)で使用する水性シリカゾル(K)のpHが2〜6であり、その平均粒径が5〜150nmであり、そのシリカ含有量が10〜60質量%であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ポリオールとして、ポリエーテルポリオールを使用することを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
96〜20000g/molの分子量を有し且つエチレンオキシド及びプロピレンオキシドを基礎とするポリエーテルポリオール又は550〜4000g/molの分子量を有するポリテトラヒドロフランを使用することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の方法。
【請求項5】
化合物(S)が、少なくともモノアルコキシル化されたシリル基
(R1−O−)n−Si−
(但し、
1がC1−C20−アルキルであり、
nが1〜3の整数である。)
を有することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の方法。
【請求項6】
1がC1−C4−アルキルであり、nが2又は3であることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
化合物(S)が、ヘテロ原子を含んでいてもよい非反応性の、アルキル、シクロアルキル又はアリール置換基を含むことを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の方法。
【請求項8】
化合物(S)が、反応性基として第一級アミノ基、ヒドロキシ基、チオール基又はエポキシ基を有する、アルキル、シクロアルキル又はアリール置換基を含むことを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の方法。
【請求項9】
a)有機ポリイソシアネートを、b)ポリオール、必要によりc)鎖延長剤及び/又は架橋剤、d)発泡剤、e)触媒、及び適宜f)助剤及び添加剤と混合して反応混合物を調製し、該反応混合物を十分に反応させることによりポリウレタン材料をの製造する方法であって、
前記ポリオール(b)が請求項1〜3の何れか1項に記載の方法により得られるケイ酸塩含有ポリオールであることを特徴とする製造方法。
【請求項10】
請求項1〜8の何れか1項に記載の方法により得られるケイ酸塩含有ポリオールを、ポリウレタン材料を製造するために使用する方法。

【公表番号】特表2012−505938(P2012−505938A)
【公表日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−531445(P2011−531445)
【出願日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際出願番号】PCT/EP2009/063065
【国際公開番号】WO2010/043530
【国際公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】