説明

シリカ粒子分散液およびその製造方法

【課題】緻密な外部および複数の孔を有する内部から構成された低屈折率のシリカ粒子を提供することを課題とする。また、従来よりも簡便な低屈折率のシリカ粒子の製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明に係るシリカ粒子分散液は、(ア)5nm〜200nmのメジアン径(d50)を有するシリカ粒子であって、JIS−K−7142B法により測定した屈折率が、1.35〜1.42であるシリカ粒子と、(イ)分散媒と、を含むことを特徴とする。本発明に係るシリカ粒子分散液の製造方法は、29Si−NMRスペクトル法により測定されたスペクトルにおいて、化学シフト−94ppm〜−103ppmに発現するピークのシグナル面積をQ3とし、化学シフト−103ppm〜−115ppmに発現するピークのシグナル面積をQ4とした場合、Q4/Q3の値が0.5〜5.0であるシリカ粒子未処理体を水熱処理する工程を含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリカ粒子分散液およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、医薬や化粧品、光学分野で使用可能な機能性中空粒子の開発が行われている。機能性中空粒子の中でも、透明性および強度に優れ、かつ、屈折率の低いシリカ系被覆層を有する中空粒子が特に注目されている。
【0003】
例えば、粒径が0.1〜300μm程度の中空シリカ粒子は公知である(例えば、特許文献1および2参照)。また、外周部が殻、中心部が中空で、殻は外側が緻密で内側ほど粗な濃度傾斜構造をもったコア・シェル構造であるミクロンサイズの球状シリカ粒子が公知である(例えば、特許文献3参照)。しかしながら、従来の中空シリカ粒子は、中心部が完全に一つの空孔となっているため機械的強度不足となることがあった。
【0004】
一方、中空粒子の製法としては、例えば、炭酸カルシウム等の支持体粒子上にケイ酸塩を酸処理により沈積させてシリカ被膜を形成した後、分離、乾燥し、酸で支持体を溶出する方法が提案されている(例えば、特許文献4参照)。しかしながら、上記の方法では炭酸カルシウム等の支持体粒子表面にシリカ系被覆層を形成させるのに時間を要してしまうといった問題があった。また、上記の方法では多数の工程を必要とするため、より簡便な方法で作製する技術が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−330606号公報
【特許文献2】特開平7−013137号公報
【特許文献3】特開平11−029318号公報
【特許文献4】特表2000−500113号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、緻密な外部および複数の孔を有する内部から構成された低屈折率のシリカ粒子を提供することを課題とする。また、本発明は、従来よりも簡便な低屈折率のシリカ粒子の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るシリカ粒子分散液の製造方法は、
29Si−NMRスペクトル法により測定されたスペクトルにおいて、化学シフト−94ppm〜−103ppmに発現するピークのシグナル面積をQ3とし、化学シフト−103ppm〜−115ppmに発現するピークのシグナル面積をQ4とした場合、
Q4/Q3の値が0.5〜5.0であるシリカ粒子未処理体を水熱処理する工程を含むことを特徴とする。
【0008】
本発明に係るシリカ粒子分散液の製造方法において、前記シリカ粒子未処理体は、ゾルゲル法を使用して形成されたものであることができる。
【0009】
本発明に係るシリカ粒子分散液の製造方法において、前記工程は、アンモニア存在下で行うことができる。
【0010】
本発明に係るシリカ粒子分散液の製造方法において、前記アンモニアは、前記シリカ粒子未処理体100質量部に対して、0.0001質量部〜100質量部含まれることができる。
【0011】
本発明に係るシリカ粒子分散液は、
(ア)5nm〜200nmのメジアン径(d50)を有するシリカ粒子であって、
JIS−K−7142B法により測定した屈折率が、1.35〜1.42であることを特徴とするシリカ粒子と、
(イ)分散媒と、
を含むことを特徴とする。
【0012】
本発明に係るシリカ粒子分散液において、前記シリカ粒子に含有されるアルミニウム量は、100ppm以下であることができる。
【0013】
本発明に係るシリカ粒子分散液において、29Si−NMRスペクトル法により測定されたスペクトルにおいて、化学シフト−94ppm〜−103ppmに発現するピークのシグナル面積をQ3とし、化学シフト−103ppm〜−115ppmに発現するピークのシグナル面積をQ4とした場合、Q4/Q3の値は、1〜20であることができる。
【0014】
本発明に係るシリカ粒子分散液において、さらに、(ウ)分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物、および(エ)光ラジカル重合開始剤、から選択される少なくとも一種を含むことができる。
【0015】
本発明に係る塗膜形成用組成物は、上記のシリカ粒子分散液を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
上記シリカ粒子分散液に含まれるシリカ粒子は、外部が緻密で内部が粗となる構造を有しており、1.35〜1.42の低屈折率を有している。上記シリカ粒子の用途として、該シリカ粒子を含有する塗膜等が挙げられる。かかる塗膜は、低屈折率化を実現することができる。また、上記シリカ粒子は、医薬や化粧品、光学材料、CMPスラリー、実装材料等に好適に用いることができる。
【0017】
上記シリカ粒子分散液の製造方法によれば、従来よりも簡便な手法によって、低屈折率のシリカ粒子を含有するシリカ粒子分散液を得ることができる。また、上記シリカ粒子分散液の製造方法によれば、上記のような構造を有するシリカ粒子を含有するシリカ粒子分散液を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】ゾルゲル法で作製されたシリカ粒子のTEM写真である。
【図2】実施例1で作製されたシリカ粒子のTEM写真である。
【図3】実施例2で作製されたシリカ粒子のTEM写真である。
【図4】実施例3で作製されたシリカ粒子のTEM写真である。
【図5】実施例4で作製されたシリカ粒子のTEM写真である。
【図6】実施例5で作製されたシリカ粒子のTEM写真である。
【図7】実施例6で作製されたシリカ粒子のTEM写真である。
【図8】実施例7で作製されたシリカ粒子のTEM写真である。
【図9】比較例1で作製されたシリカ粒子のTEM写真である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の好適な実施形態について具体的に説明する。
【0020】
1.シリカ粒子分散液
本実施形態に係るシリカ粒子分散液は、(ア)5nm〜200nmのメジアン径(d50)を有するシリカ粒子であって、JIS−K−7142B法により測定した屈折率が、1.35〜1.42であることを特徴とするシリカ粒子と、(イ)分散媒と、を含有することを特徴とする。また、本実施形態に係るシリカ粒子分散液は、(ウ)分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物、(エ)光ラジカル重合開始剤、および(オ)その他の添加剤から選択される少なくとも一種を含むことができる。
【0021】
1.1 (ア)シリカ粒子
(ア)シリカ粒子のメジアン径(d50)は、5nm〜200nmであり、好ましくは10nm〜100nmである。メジアン径が5nm未満では、緻密な外部の体積割合が増加して、内部の孔の体積割合が低下してしまうからである。一方、メジアン径が200nmを超えると、該シリカ粒子を含有する塗膜等の透明性が低下することがある。なお、上記メジアン径(d50)は、動的光散乱法によって求めることができる。
【0022】
また、(ア)シリカ粒子の内部には透過型電子顕微鏡(TEM)により複数の孔が内部に形成されていることが確認される。(ア)シリカ粒子の内部に形成された複数の孔の直径は、好ましくは1nm〜50nmであり、より好ましくは2nm〜30nmであり、特に好ましくは3nm〜20nmである。なお、上記(ア)シリカ粒子の内部に形成された孔の直径は、透過型電子顕微鏡(TEM)で観察することにより測定することができる。
【0023】
また、(ア)シリカ粒子の内部に形成された孔の直径と、(ア)シリカ粒子のメジアン径との比率((シリカ粒子の内部に形成された孔の直径)/(シリカ粒子のメジアン径))は、0.01〜0.5であることが好ましく、0.03〜0.4であることが好ましく、0.05〜0.3であることがさらに好ましい。
【0024】
(ア)シリカ粒子の屈折率は、1.35〜1.42の範囲内にある。屈折率の測定方法としては、JIS−K−7142B法に準拠した下記の方法を適用する。
【0025】
シリカ粒子を、100℃〜300℃で0.5〜1時間乾燥することで水分を除去し粉体とした後、その一部約5mgをガラスプレート上に載せ、これにカーギル標準屈折液(モリテックス社製、「シリーズAAA」および「シリーズAA」、n=1.300〜1.458、公差±0.0002)を一滴加え浸漬する。試料をNa−D線(波長589nm)の照明下、倍率50倍の光学顕微鏡で観察すると、シリカ粒子と透明液体との屈折率差が小さくなるにつれてシリカ粒子の輪郭が薄くなり、同一屈折率においては輪郭が消失する。このときの標準屈折液の屈折率は、シリカ粒子の屈折率と一致するため、この値をシリカ粒子の屈折率として求めた。
【0026】
透明体の屈折率を測定する方法としては、例えばJIS−K−7105にあるフィルムを対象としたアッベ法、平面基材上に被膜を形成し、その反射光を解析する反射分光法、エリプソメトリー法等の種々の方法が知られているが、いずれも透明連続体での屈折・反射現象を利用したものである。(ア)シリカ粒子は、顕著な光散乱特性を有する粉体であるため、JIS−K−7142B法に準拠した上記の方法を適用している。
【0027】
(ア)シリカ粒子は、高純度のシリコンアルコキシドを原料とし、触媒として金属を用いずに下述するゾルゲル法により製造されたシリカ粒子未処理体を使用するため、極めて不純物が少ないことを特徴とする。ここでいう不純物として、例えば、ナトリウム、カリウム、アルミニウム、カルシウム、マグネシウム、チタン、鉄、亜鉛等が挙げられる。(ア)シリカ粒子において、各不純物の量はそれぞれ100ppm以下とすることができる。特にアルミニウムの量は、好ましくは50ppm以下であり、より好ましくは10ppm以下であり、特に好ましくは1ppm以下である。
【0028】
本実施形態に係るシリカ粒子分散液の製造方法については後に詳述するが、(ア)シリカ粒子は、29Si−NMRスペクトル法により測定されたスペクトルにおける化学シフト−94ppm〜−103ppmに発現するピークのシグナル面積をQ3とし、化学シフト−103ppm〜−115ppmに発現するピークのシグナル面積をQ4とした場合、Q4/Q3の値が0.5〜5.0であるシリカ粒子を水熱処理することで得られるものである。本明細書においては、水熱処理する前のQ4/Q3の値が0.5〜5.0であるシリカ粒子を便宜上「シリカ粒子未処理体」と呼ぶ。シリカ粒子未処理体は、Q4/Q3の値が0.5〜5.0であれば特に制限されないが、ゾルゲル法を使用して形成されたものであることが好ましい。
【0029】
以下に、29Si−NMRスペクトルから得られるQ1〜Q4について説明する。シリカ粒子の29Si−NMRスペクトルをピーク分離処理によってピーク分離する。そして、化学シフト−75〜−88ppmに発現するピークのシグナル面積をQ1とし、化学シフト−88〜−94ppmに発現するピークのシグナル面積をQ2とし、化学シフト−94〜−103ppmに発現するピークのシグナル面積をQ3とし、化学シフト−103〜−115ppmに発現するピークのシグナル面積をQ4とする。Q1に帰属するピークは、ケイ素原子に4個の酸素原子が結合しており、1個の酸素原子がシロキサン結合、3個の酸素原子がシラノール基であることに由来する。Q2に帰属するピークは、ケイ素原子に4個の酸素原子が結合しており、2個の酸素原子がシロキサン結合、2個の酸素原子がシラノール基であることに由来する。Q3に帰属するピークは、ケイ素原子に4個の酸素原子が結合しており、3個の酸素原子がシロキサン結合、1個の酸素原子がシラノール基であることに由来する。Q4に帰属するピークは、ケイ素原子に4個の酸素原子が結合しており、4個の酸素原子がシロキサン結合であることに由来する。
【0030】
(ア)シリカ粒子について、29Si−NMRスペクトルを測定すると、Q4/Q3の値が1〜20の範囲内にあり、好ましくは2〜5.5の範囲内にあり、特に好ましくは2.2〜5.5の範囲内にある。Q4/Q3の値が1〜20の範囲内にあると、シラノール基を有するケイ素原子同士が脱水しシロキサン結合を形成することにより緻密化が進行した状態であることを表している。すなわち、Q4/Q3の値が1未満であると、緻密化が不十分な状態であることが分かる。一方、Q4/Q3の値が20を超えるには、極めて長時間、高温で処理する必要があるため経済的ではない。
【0031】
1.2 (イ)分散媒
本実施形態に係るシリカ粒子分散液は、扱いを容易にするために(イ)分散媒を含有する。(イ)分散媒の種類は、分散媒以外の成分を均一に溶解または分散させることができれば特に限定されない。
【0032】
本発明で使用される分散媒の具体例としては、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトン、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メタノール、エタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、2−プロパノール、イソプロパノール等のアルコール類、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン等の芳香族類、ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族類、水等から選択される一種または二種以上の組み合わせが挙げられる。これらのうち、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メタノール、エタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、2−プロパノール、イソプロパノール等のアルコール類が好ましく、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、t-ブタノールの一種単独または二種以上との組み合わせがより好ましい。
【0033】
(イ)分散媒の合計の添加量については特に制限されるものではないが、(イ)分散媒以外の成分の合計量100質量部に対し、50〜100,000質量部とするのが好ましい。この理由は、添加量が100質量部未満となると、硬化性組成物の粘度調整が困難となる場合があるためであり、一方、添加量が100,000質量部を超えると、硬化性組成物の保存安定性が低下したり、あるいは粘度が低下しすぎて取り扱いが困難となる場合があるためである。
【0034】
1.3 (ウ)分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物
(ウ)分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物(以下、多官能(メタ)アクリレート化合物という。)は、シリカ粒子分散液を含有する組成物を硬化して得られる塗膜の硬度および耐擦傷性を高めるために用いられる。
【0035】
多官能(メタ)アクリレート化合物としては、分子内に少なくとも2個以上の(メタ)アクリロイル基を含有する化合物であれば特に制限されるものではない。(メタ)アクリロイル基が3個以上の化合物としては、例えば、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド(以下「EO」という。)変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド(以下「PO」という。)変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルの両末端(メタ)アクリル酸付加物、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ポリエステルジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、PO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、EO変性水添ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、PO変性水添ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、フェノールノボラックポリグリシジルエーテルの(メタ)アクリレート等を例示することができる。
【0036】
これらの多官能性モノマーの市販品としては、例えば、SA1002(以上、三菱化学(株)製)、ビスコート195、ビスコート230、ビスコート260、ビスコート215、ビスコート310、ビスコート214HP、ビスコート295、ビスコート300、ビスコート360、ビスコートGPT、ビスコート400、ビスコート700、ビスコート540、ビスコート3000、ビスコート3700(以上、大阪有機化学工業(株)製)、カヤラッドR−526、HDDA、NPGDA、TPGDA、MANDA、R−551、R−712、R−604、R−684、PET−30、GPO−303、TMPTA、THE−330、DPHA、DPHA−2H、DPHA−2C、DPHA−2I、D−310、D−330、DPCA−20、DPCA−30、DPCA−60、DPCA−120、DN−0075、DN−2475、T−1420、T−2020、T−2040、TPA−320、TPA−330、RP−1040、RP−2040、R−011、R−300、R−205(以上、日本化薬(株)製)、アロニックスM−210、M−220、M−233、M−240、M−215、M−305、M−309、M−310、M−315、M−325、M−400、M−6200、M−6400(以上、東亞合成(株)製)、ライトアクリレートBP−4EA、BP−4PA、BP−2EA、BP−2PA、DCP−A(以上、共栄社化学(株)製)、ニューフロンティアBPE−4、BR−42M、GX−8345(以上、第一工業製薬(株)製)、ASF−400(以上、新日鐵化学(株)製)、リポキシSP−1506、SP−1507、SP−1509、VR−77、SP−4010、SP−4060(以上、昭和高分子(株)製)、NKエステルA−BPE−4(以上、新中村化学工業(株)製)等を挙げることができる。
【0037】
これらのうち、分子内に3個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)が特に好ましい。なお、本発明のシリカ粒子分散液には、分子内に4個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を用いることがさらに好ましい。かかる4個以上の化合物としては、上記に例示されたテトラ(メタ)アクリレート化合物、ペンタ(メタ)アクリレート化合物、ヘキサ(メタ)アクリレート化合物等の中から選択することができ、これらのうちジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、ペンタエリスリトールヒドロキシトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレートが特に好ましい。上記の化合物は、各々1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0038】
また、これら多官能(メタ)アクリレート化合物は、フッ素原子を含んでいてもよい。このような化合物の例として、パーフルオロ―1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、オクタフルオロオクタン―1,6−ジ(メタ)アクリレート、オクタフルオロオクタンジオールと2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルイソシアネート、1,1−(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネートとの付加物等の一種単独または二種以上の組み合わせが挙げられる。
【0039】
多官能(メタ)アクリレート化合物の添加量については、特に制限されるものではないが、本発明のシリカ粒子分散液中の(イ)分散媒を除く全成分の合計を100質量%としたときに、5〜97質量%とするのが好ましい。この理由は、添加量が5質量%未満となると、シリカ粒子分散液を硬化させてなる硬化物の耐擦傷性が低下する場合があるためであり、一方、添加量が97質量%を超えると、シリカ粒子分散液の硬化物の硬度が低下するおそれがある。
【0040】
1.4 (エ)光ラジカル重合開始剤
本発明で用いる光ラジカル重合開始剤としては、光照射により分解してラジカルを発生して重合を開始せしめるものであれば特に制限はなく、例えば、アセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、キサントン、フルオレノン、ベンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1,4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド、オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−(1−メチルビニル)フェニル)プロパノン)等を挙げることができる。
【0041】
光ラジカル重合開始剤の市販品としては、例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製イルガキュア 184、369、651、500、819、907、784、2959、CGI1700、CGI1750、CGI1850、CG24−61、ダロキュア 1116、1173、BASF社製ルシリン TPO、8893UCB社製ユベクリル P36、フラテツリ・ランベルティ社製エザキュアーKIP150、KIP65LT、KIP100F、KT37、KT55、KTO46、KIP75/B等を挙げることができる。
【0042】
本発明において(エ)光ラジカル重合開始剤の含有量は、本発明のシリカ分散液中の(イ)分散媒を除く全成分の合計を100質量%としたときに、0.01〜20質量%配合することが好ましく、0.1〜10質量%がさらに好ましい。0.01質量%未満であると、硬化物としたときの硬度が不十分となることがあり、20質量%を超えると、硬化物としたときに内部(下層)まで硬化しないことがある。
【0043】
本実施形態に係るシリカ粒子分散液を含有する組成物を硬化させる場合、必要に応じて光ラジカル重合開始剤と熱ラジカル重合開始剤とを併用することができる。好ましい熱重合開始剤としては、例えば、過酸化物、アゾ化合物を挙げることができ、具体例としては、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチル−パーオキシベンゾエート、アゾビスイソブチロニトリル等を挙げることができる。
【0044】
1.5 (オ)その他の添加剤
本実施形態に係るシリカ粒子分散液には、本発明の目的や効果を損なわない範囲において、光増感剤、熱重合開始剤、重合禁止剤、重合開始助剤、レベリング剤、濡れ性改良剤、界面活性剤、可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、シランカップリング剤、顔料、染料等の添加剤をさらに含有させることも好ましい。
【0045】
2.シリカ粒子分散液の製造方法
本実施形態に係るシリカ粒子分散液の製造方法は、29Si−NMRスペクトル法により測定されたスペクトルにおいて、化学シフト−94ppm〜−103ppmに発現するピークのシグナル面積をQ3とし、化学シフト−103ppm〜−115ppmに発現するピークのシグナル面積をQ4とした場合、Q4/Q3の値が0.5〜5.0であるシリカ粒子未処理体を水熱処理する工程を含むことを特徴とする。
【0046】
上記シリカ粒子未処理体は、Q4/Q3の値が0.5〜5.0であれば特に制限されないが、ゾルゲル法を適用することによってQ4/Q3の値が0.5〜5.0のシリカ粒子未処理体を簡便に製造することができる。
【0047】
本実施形態では、(A)ゾルゲル法を使用してシリカ粒子未処理体を形成する工程と、(B)前記シリカ粒子未処理体を水熱処理する工程と、(C)水系分散媒から有機分散媒へと置換する工程と、(D)疎水化処理を行う工程と、(E)上記成分(ウ)〜(オ)の少なくとも一種を添加する工程の5工程に分けて、以下順次説明する。
【0048】
2.1 工程(A)
工程(A)は、ゾルゲル法を使用してシリカ粒子未処理体を形成する工程である。シリカ粒子未処理体を作製する手段として、ケイ酸ナトリウムを原料とする珪酸法、四塩化ケイ素を火炎中酸化させた後、脱塩・精製するヒュームド法等の種々の方法が挙げられるが、本実施形態に係るシリカ粒子の製造方法では、ゾルゲル法を適用することが望ましい。ゾルゲル法の一例について、以下に説明する。
【0049】
まず、純水にアルコールを添加して、さらに塩基性化合物を添加することによりpHを約10〜14に調整した水溶液を用意する。塩基性化合物は、アルカリ触媒として作用する。また、pHを約10〜14に調整する理由は、生成されるシリカ粒子の凝集を防ぎ、分散安定性を高めるためである。塩基性化合物としては、アンモニア、アルカリ金属の水酸化物、アミン類等が挙げられるが、アンモニアであることが好ましい。生成されるシリカ粒子の金属汚染を低減することができるからである。
【0050】
次いで、アルコキシシランをアルコールに溶解させたアルコール溶液を前記水溶液に約15分〜30時間かけて少しずつ滴下する。このとき、前記水溶液の温度は、25℃〜40℃に保つことが好ましい。このようにして、シリカ粒子分散液を得ることができる。
【0051】
アルコキシシランとしては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、メチル−3,3,3−トリフルオロプロピルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシトリプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、トリメチルシラノール、メチルトリクロロシラン、メチルジクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、ビニルトリクロルシラン、トリメチルブロモシラン、ジエチルシラン等が挙げられる。これらのアルコキシシランの中でも、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン等のテトラアルコキシシランであることが好ましい。これらは1種あるいは2種以上を同時に使用してもよい。
【0052】
ゾルゲル法により生成されたシリカ粒子未処理体について、29Si−NMRスペクトルを測定したときのQ4/Q3の値は、好ましくは0.5〜5.0、より好ましくは1.0〜3.0である。Q4/Q3の値が上記範囲内にあると、シラノール基を有するケイ素原子が十分に存在する状態であるから、後述する水熱処理によってシラノール基を有するケイ素原子同士が脱水しシロキサン結合を形成することにより外部が緻密化されることで、屈折率が低下するものと考えられる。
【0053】
2.2 工程(B)
工程(B)は、シリカ粒子未処理体を水熱処理する工程である。水熱処理とは、水の沸点(1気圧で100℃)以上の高温で反応性の高い水を用いて、対象物を加水分解する技術である。水熱処理の一例について、以下に説明する。
【0054】
工程(A)で得られたシリカ粒子分散液および水の混合液を調製する。さらに、該混合液に塩基性化合物を添加してpHを8〜13、好ましくは9〜11に調整する。こうして得られた混合液をオートクレーブ等により、100℃〜300℃、好ましくは130℃〜250℃の温度で2〜5時間加熱処理する。圧力条件については、特に規定されず、加圧条件下で行ってもよいし、通常圧力条件下で行ってもよい。これにより、シリカ粒子未処理体の外部が緻密化され、内部に存在する孔もわずかながら緻密化されて強固な孔を形成するものと推察される。水熱処理に際しては、工程(A)で得られたシリカ粒子分散液を水で希釈せずに、あらかじめ濃縮して処理することもできる。
【0055】
塩基性化合物としては、触媒として作用する塩基性化合物、例えばアミン類、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。しかしながら、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムは、シリカ粒子を溶解してしまうことがある。また、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムは、ナトリウムやカリウム等の不純物を含んでおり、これらの不純物の除去に複雑な工程を要する。特に電子製品へ応用する際に、ナトリウムやカリウム等の不純物の存在が好ましくないことは公知であるから、塩基性化合物としては、揮発性を有するため容易に除去可能なアミン類、特にアンモニアであることが好ましい。
【0056】
塩基性化合物としてアンモニアを適用する場合、シリカ粒子未処理体100質量部に対して、アンモニアを0.0001質量部〜100質量部、より好ましくは0.1質量部〜50質量部含む条件下で水熱処理を行うことが好ましい。
【0057】
2.3 工程(C)
続いて、工程(B)で得られた水熱処理後のシリカ粒子分散液の分散媒を水系分散媒から有機分散媒へと置換する。該工程において置換する分散媒は、疎水性有機分散媒であることが好ましい。本願発明において疎水性有機分散媒とは、水と均一に混合せずに、20℃において水と混合して2層を形成させた時の有機層中の水の含有率が12質量%以下の有機分散媒を意味し、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系分散媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、ヘキサメチレンジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート等の不飽和アクリルエステル系分散媒;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジブチルエーテル等のエーテル類等を挙げることができる。これらの中で、ケトン類が好ましく、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンがさらに好ましい。これらの疎水性有機分散媒は、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、本工程では疎水性有機分散媒の代わりに、疎水性有機分散媒と親水性有機分散媒との混合物を用いてもよい。
【0058】
水系分散媒をメチルエチルケトン等の有機分散媒に置換する方法としては、特に限定されないが、限外ろ過法を好ましく適用することができる。この工程で用いられる限外ろ過膜としては、運転時の圧力、温度、用いる有機分散媒による不具合を生じるものでない限り特に制限はないが、温度、圧力、耐分散媒性に優れるセラミック製のものが好ましい。また、限外ろ過膜の孔径は、シリカ粒子の粒子径より小さいものが使われるが、この技術分野において孔径の代用値として用いられる限外ろ過膜の分画分子量として表した場合、好ましくは、3000〜1,000,000、さらに好ましくは、30,000〜500,000、特に好ましくは100,000〜200,000である。また、限外ろ過膜の形状についても特に制限はないが、高い透過流速と目つまりが低いことより円筒状が好ましい。
【0059】
2.4 工程(D)
続いて、工程(C)で得られたシリカ粒子分散液にシランカップリング剤を添加し、疎水化処理を行う。使用されるシランカップリング剤としては特に限定されないが、例えば、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ベンジルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ジエトキシメチルフェニルシラン、アリルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン等の分子中に一種または二種以上の置換アルキル基、フェニル基、ビニル基等を有するアルコキシシラン類;トリメチルクロロシラン、ジエチルジクロロシラン等のクロロシラン類などが挙げられ、好ましくは、メチルメトキシシラン、メチルエトキシシランを使用する。カップリング剤の添加量としては、ゾル中のシリカ重量に対して0.1〜20%、好ましくは1.0〜2.5%を添加する。疏水化処理の際のシリカ粒子分散液のpHは特に限定されるものではないが、例えばpH6〜12であり、好ましくはpH7〜11であり、より好ましくはpH8.5〜10である。
【0060】
なお、上記工程(C)および工程(D)は、上記工程(D)の後に再度を行うことができる。具体的には、上記工程(C)および工程(D)を行った後に、再度工程(C)および工程(D)を行うことができ、また上記工程(C)および工程(D)を行った後に工程(C)あるいは工程(D)のみを再度行うこともできる。
【0061】
なお、水系分散媒を疎水性有機分散媒に置換するためには、上記工程(C)において水系分散媒をメタノールまたはエタノール等の親水性有機分散媒に置換した後に、工程(D)において疎水化処理を行い、その後再度行う工程(C)において親水性有機分散媒を疎水性有機分散媒に置換することが好ましい。水系分散媒から疎水性有機分散媒へ直接置換しようとすると、シリカ粒子が凝集してしまうことがあり、一旦凝集すると再分散させることが困難となるからである。
【0062】
2.5 工程(E)
続いて、上記工程で得られたシリカ粒子分散液に、上記成分(ウ)〜(オ)の少なくとも一種を添加する。得られたシリカ粒子分散液は、塗膜形成用の組成物として好適に用いることができる。
【0063】
3.実施例
以下、本発明を、実施例を挙げてさらに具体的に説明する。本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0064】
3.1 評価方法
3.1.1 シリカ粒子の屈折率の測定方法
(1)シリカ粒子分散液を275℃で1時間乾燥させ、粉末とした。
(2)屈折率が既知のカーギル標準屈折液(モリテックス社製、商品名「シリーズAAA」および「シリーズAA」、n=1.300〜1.458、公差±0.0002)を2、3滴ガラス板上に滴下し、これに上記粉末を混合した。
(3)上記(2)の操作を種々の標準屈折液で行い、混合液が透明になったときの標準屈折液の屈折率をシリカ粒子の屈折率とした。
【0065】
3.1.2 不純物の測定方法
シリカ粒子の不純物含有量は、原子吸光分光光度計(日立ハイテク社製、偏光ゼーマン原子吸光分光光度計Z−5700)を用いて測定した。
【0066】
3.1.3 Q1〜Q4値の測定方法
BRUKER AVANCE 500型(ブルカー社製)を用いて、シリカ粒子の29Si−NMRスペクトル(100MHz)の測定を行った。上述した方法により29Si−NMRスペクトルの波形分離解析を行い、Q1〜Q4値を求めた。
【0067】
3.2 シリカ粒子分散液(シリカ粒子未処理体)の調製
純水917g、28%アンモニア水568g、メタノール7350gの混合液に、テトラメトキシシラン238gとメタノール238gの混合液を、液温35℃に保ちつつ30分かけて滴下し、シリカ粒子分散液を得た。次いで、エバポレーターを用いて得られたシリカ粒子分散液を固形分濃度が20%となるまで濃縮した。
【0068】
得られたシリカ粒子分散液を動的光散乱法により測定した分散粒径は、メジアン径58nm、90%積算径94nmであった。TEM観察により求めた粒子径は、平均44nmであった。シリカ粒子分散液の一部を275℃で1時間乾燥させて得られた粉体の屈折率を測定したところ、1.46であった。シリカ粒子分散液の一部を50℃で真空乾燥を行い、固体NMRを測定したところ、Q1/Q2/Q3/Q4=0/4/32/65であった。また、不純物量を測定したところ、Na:0.18ppm、Fe:0.05ppm以下、Al:0.01ppm以下、Ca:0.01ppm以下、Mg:0.01ppm以下、Ti:0.5ppm以下、Zn:0.01ppm以下、K:0.01ppm以下であった。
【0069】
図1に、上記のゾルゲル法で作製されたシリカ粒子のTEM写真を示す。図1のTEM写真より、粒子の外部および内部を問わず、粒子全体に孔が形成されていることが分かった。
【0070】
3.3 実施例1
「3.2 シリカ粒子分散液の調製」で作製したシリカ粒子分散液150g、10%アンモニア水30g、蒸留水20gの混合液をオートクレーブで200℃3時間水熱処理を行い、その後室温まで冷却してシリカ粒子分散液を得た。動的光散乱法により測定した分散粒径は、メジアン径59nm、90%積算径85nmであった。TEM観察により求めた粒子径は平均42nmであり、孔の大きさは平均8nmであった。ゾルの一部を275℃で1時間乾燥させて得られた粉体の屈折率を測定したところ1.39であった。ゾルの一部を50℃で真空乾燥を行い、固体NMRを測定したところ、Q1/Q2/Q3/Q4=0/3/28/69であった。不純物量を測定したところ、Na:0.18ppm、Fe:0.05ppm以下、Al:0.01ppm以下、Ca:0.01ppm以下、Mg:0.01ppm以下、Ti:0.5ppm以下、Zn:0.01ppm以下であった。
【0071】
図2に、実施例1で作製されたシリカ粒子のTEM写真を示す。図2のTEM写真では、粒子の外部が黒色となっていることから、緻密化されていると推察される。また、粒子内部では、図1のシリカ粒子よりも大きな孔が複数形成されていることが観察された。
【0072】
次に、上記の方法により得られたシリカ粒子を含有する塗膜を以下の方法で作製した。
【0073】
水熱処理により得られたシリカ粒子分散液を限外ろ過により固形分濃度30%まで濃縮を行い、溶剤比水6%メタノール94%まで溶剤置換を行った。溶剤置換後のシリカ粒子分散液42.0gに、トリメチルメトキシシラン0.8gとメチルエチルケトン7.1gの混合溶液を、液温25℃に保ちつつ滴下し、滴下後60℃で2時間加温を行った。限外ろ過を用いて、全溶剤中のメチルエチルケトンの含有量が98%となるまでメチルエチルケトンで溶剤置換を行った。その後、固形分濃度34%まで濃縮を行った。
【0074】
シリカ粒子分散液88.24g、ペンタエリスリトールテトラアクリレート19.1g、Irg184 0.9g、メチルイソブチルケトン54.16gをフラスコに入れ室温で30分間攪拌し均一な162.40gの混合液を得た。その後エバポレーターを用いて80mmHgで溶剤の留去を行い100.0gまで濃縮することにより目的の塗膜形成用組成物を得た。得られた塗膜形成用組成物の組成について表1に示す。
【0075】
上記組成物を100μm厚の未処理PET基材上に60ミルのバーコーターを用いて塗工し、膜厚が30μmの塗膜を得た。これを80℃のオーブンに10分間入れ、乾燥を行った。この後フィルムを空気中で高圧水銀灯を用いて300mJ/cm2の照射スピードで2回高圧水銀ランプコンベアに通し、合計600mJ/cmを照射して硬化を行った。得られた硬化膜について、屈折率の評価を行った。硬化膜の屈折率の測定は、得られた硬化膜を未処理PET基材から剥離し、硬化膜の膜厚が40±10μmであることを測厚計で確認し、「JIS−K7105」に準拠し、アッベ屈折率計を用いて硬化物の屈折率(nD25)を測定した。その結果を表1に併せて示す。
【0076】
【表1】

【0077】
3.4 実施例2
「3.2 シリカ粒子分散液の調製」で作製したシリカ粒子分散液150g、10%アンモニア水30g、蒸留水20gの混合液をオートクレーブで180℃3時間水熱処理を行い、その後室温まで冷却してシリカ粒子分散液を得た。動的光散乱法により測定した分散粒径は、メジアン径56nm、90%積算径83nmであった。TEM観察により求めた粒子径は、平均42nmであり、孔の大きさは平均6nmであった。ゾルの一部を275℃で1時間乾燥させ、粉体の屈折率を測定したところ、1.39であった。ゾルの一部を50℃で真空乾燥を行い、固体NMRを測定したところ、Q1/Q2/Q3/Q4=0/2/30/67であった。不純物量を測定したところ、Na:0.22ppm、Fe:0.05ppm以下、Al:0.01ppm以下、Ca:0.01ppm以下、Mg:0.01ppm以下、Ti:0.5ppm以下、Zn:0.01ppm以下、K:0.01ppm以下であった。
【0078】
図3に、実施例2で作製されたシリカ粒子のTEM写真を示す。図3のTEM写真では、粒子の外部が黒色となっていることから、緻密化されていると推察される。また、粒子内部では、図1のシリカ粒子よりも大きな孔が複数形成されていることが観察された。
【0079】
3.5 実施例3
「3.2 シリカ粒子分散液の調製」で作製したシリカ粒子分散液150g、10%アンモニア水30g、蒸留水20gの混合液をオートクレーブで140℃3時間水熱処理を行い、その後室温まで冷却してシリカ粒子分散液を得た。動的光散乱法により測定した分散粒径は、メジアン径55nm、90%積算径84nmであった。TEM観察により求めた粒子径は、平均42nmであり、孔の大きさは平均4nmであった。ゾルの一部を275℃で1時間乾燥させ、粉体の屈折率を測定したところ、1.41であった。ゾルの一部を50℃で真空乾燥を行い、固体NMRを測定したところ、Q1/Q2/Q3/Q4=0/4/26/70であった。不純物量を測定したところ、Na:0.21ppm、Fe:0.05ppm以下、Al:0.01ppm以下、Ca:0.01ppm以下、Mg:0.01ppm以下、Ti:0.5ppm以下、Zn:0.01ppm以下、K:0.01ppm以下であった。
【0080】
図4に、実施例3で作製されたシリカ粒子のTEM写真を示す。図4のTEM写真では、粒子の外部が黒色となっていることから、緻密化されていることが分かった。また、粒子内部では、図1のシリカ粒子よりも大きな孔が複数形成されていることが分かった。
【0081】
3.6 実施例4
「3.2 シリカ粒子分散液の調製」で作製したシリカ粒子分散液150g、10%アンモニア水0.4g、蒸留水49.6gの混合液をオートクレーブで200℃3時間水熱処理を行い、その後室温まで冷却してシリカ粒子分散液を得た。動的光散乱法により測定した分散粒径は、メジアン径58nm、90%積算径90nmであった。TEM観察により求めた粒子径は、平均46nmであり、孔の大きさは平均5nmであった。ゾルの一部を275℃で1時間乾燥させ、粉体の屈折率を測定したところ、1.40であった。ゾルの一部を50℃で真空乾燥を行い、固体NMRを測定したところ、Q2/Q3/Q4=3/26/71であった。不純物量を測定したところ、Na:0.22ppm、Fe:0.05ppm以下、Al:0.01ppm以下、Ca:0.01ppm以下、Mg:0.01ppm以下、Ti:0.5ppm以下、Zn:0.01ppm以下、K:0.01ppm以下であった。
【0082】
図5に、実施例4で作製されたシリカ粒子のTEM写真を示す。図5のTEM写真では、粒子の外部が黒色となっていることから、緻密化されていると推察される。また、粒子内部では、図1のシリカ粒子よりも大きな孔が複数形成されていることが観察された。
【0083】
3.7 実施例5
「3.2 シリカ粒子分散液の調製」で作製したシリカ粒子分散液225g、10%水酸化カリウム水22g、蒸留水53gの混合液をオートクレーブで200℃24時間水熱処理を行い、その後室温まで冷却してシリカ粒子分散液を得た。動的光散乱法により測定した分散粒径はメジアン径60nm、90%積算径88nmであった。TEM観察により求めた粒子径は平均53mであり、孔の大きさは平均14nmであった。ゾルの一部を遠心分離により沈降させ、蒸留水を用いて精製した。精製後沈殿物を275℃で1時間乾燥させ、粉体の屈折率を測定したところ、1.41であった。精製した沈殿物の一部を50℃で真空乾燥を行い、固体NMRを測定したところ、Q1/Q2/Q3/Q4=0/0/16/84であった。不純物量を測定したところ、Na:0.22、Fe:0.05ppm以下、Al:0.01ppm以下、Ca:0.01ppm以下、Mg:0.01ppm以下、Ti:0.5ppm以下、Zn:0.01ppm以下であった。
【0084】
図6に、実施例5で作製されたシリカ粒子のTEM写真を示す。図6のTEM写真では、粒子の外部が黒色となっていることから、緻密化されていると推察される。また、粒子内部では、図1のシリカ粒子よりも大きな孔が複数形成されていることが観察された。
【0085】
3.8 実施例6
「3.2 シリカ粒子分散液の調製」で作製したシリカ粒子分散液150g、蒸留水50gの混合液をオートクレーブで200℃3時間水熱処理を行い、その後室温まで冷却してシリカ粒子分散液を得た。動的光散乱法により測定した分散粒径はメジアン径59nm、90%積算径99nmであった。TEM観察により求めた粒子径は平均42nmであり、孔の大きさは平均5nmであった。ゾルの一部を275℃で1時間乾燥させ、粉体の屈折率を測定したところ、1.41であった。ゾルの一部を50℃で真空乾燥を行い、固体NMRを測定したところ、Q1/Q2/Q3/Q4=0/0/23/76であった。不純物量を測定したところ、Na:0.20ppm、Fe:0.05ppm以下、Al:0.01ppm以下、Ca:0.01ppm以下、Mg:0.01ppm以下、Ti:0.5ppm以下、Zn:0.01ppm以下、K:0.01ppm以下であった。
【0086】
図7に、実施例6で作製されたシリカ粒子のTEM写真を示す。図7のTEM写真では、粒子の外部が黒色となっていることから、緻密化されていることが分かった。また、粒子内部では、図1のシリカ粒子よりも大きな孔が複数形成されていることが分かった。
【0087】
3.9 実施例7
「3.2 シリカ粒子分散液の調製」で作製したシリカ粒子分散液1000gに、25%のアンモニア水溶液80gを添加し、オートクレーブを用いて160℃で3時間水熱処理を行った。この水熱処理液は限外ろ過により水洗浄後、固形分濃度が30%になるまで濃縮し、その後限外ろ過により水分量15%になるまでメタノールで置換した。引き続き、トリメチルメトキシシラン10gとメチルイソブチルケトン118gの混合液を加え、50℃で2時間攪拌を行うことで、水分量が13%のシリカ粒子メタノール分散液を得た。このメタノールシリカゾルを限外ろ過により水分量2%になるまでメタノール置換した。このメタノールシリカ粒子分散液に対し、トリメチルメトキシシラン30gとメチルイソブチルケトン150gを加え、50℃で2時間攪拌後メチルイソブチルケトンで溶剤置換することにより、ガスクロマトグラフィーで求めたメタノール/メチルイソブチルケトンの重量比が2/98のシリカ粒子分散液を得た。動的光散乱法により測定した分散粒径はメジアン径56nm、90%積算径83nmであった。TEM観察により求めた粒子径は平均42nmであり、孔の大きさは平均5nmであった。シリカ粒子分散液を275℃で1時間乾燥した粉体の屈折率を評価したところ、1.40であった。また、50℃で真空乾燥したシリカ粒子分散液の固体NMRを測定したところ、Q1/Q2/Q3/Q4=0/2/30/67であった。シリカ粒子分散液中の不純物量を測定したところ、Na:0.22ppm、Fe:0.05ppm以下、Al:0.01ppm以下、Ca:0.01ppm以下、Mg:0.01ppm以下、Ti:0.5ppm以下、Zn:0.01ppm以下、K:0.01ppm以下であった。
【0088】
図8に、実施例7で作製されたシリカ粒子のTEM写真を示す。図8のTEM写真では、粒子の外部が黒色となっていることから、緻密化されていることが分かった。また、粒子内部では、図1のシリカ粒子よりも大きな孔が複数形成されていることが分かった。
【0089】
得られたシリカ粒子分散液127.1g、ペンタエリスリトールテトラアクリレート19.1g、Irg184 0.9g、メチルイソブチルケトン60.0gをフラスコに入れ室温で30分間攪拌し均一な207.1gの混合液を得た。その後エバポレーターを用いて80mmHgで溶剤の留去を行い100.0gまで濃縮することにより目的の塗膜形成用組成物を得た。
【0090】
上記塗膜形成用組成物を40μm厚のTAC基材上に20ミルのバーコーターを用いて塗工し、膜厚が10μmの塗膜を得た。これを80℃のオーブンに3分間入れ、乾燥を行った。この後フィルムを空気中で高圧水銀灯を用いて300mJ/cmの照射スピードで1回高圧水銀ランプコンベアに通し、硬化を行った。得られた硬化膜について、鉛筆硬度の評価を行ったところ、2Hであった。なお、鉛筆硬度の評価は、鉛筆硬度試験機を用い、荷重500gの条件で5回引掻き、無傷が4回以上であった最も固い鉛筆の芯の固さを評価値とした。
【0091】
3.10 比較例1
ケイ酸ナトリウムから作製されたシリカ粒子分散液(触媒化成社製、製品名「PPS−45P」、固形分濃度42.1%)を用意した。かかるシリカ粒子分散液の一部を50℃で真空乾燥を行い、固体NMRを測定したところ、Q1/Q2/Q3/Q4=0/0/15/86であった。
【0092】
ケイ酸ナトリウムから作製されたシリカ粒子分散液119g、10%アンモニア水50g、蒸留水31gの混合液をオートクレーブで180℃3時間水熱処理を行い、その後室温まで冷却してシリカ粒子分散液を得た。続いて、得られたシリカ粒子分散液を動的光散乱法により測定した分散粒径はメジアン径56nm、90%積算径83nmであった。TEM観察により求めた粒子径は平均58nmであり、粒子内に1nm以上の孔は観察されなかった。ゾルの一部を275℃で1時間乾燥させ、粉体の屈折率を測定したところ、1.45であった。ゾルの一部を50℃で真空乾燥を行い、固体NMRを測定したところ、Q1/Q2/Q3/Q4=0/0/14/86であった。
【0093】
図9に、比較例1で作製されたシリカ粒子のTEM写真を示す。図9のTEM写真では、粒子全体が黒色であった。
【0094】
なお、表2に実施例1〜実施例7、比較例1における水熱処理の条件、および得られたシリカ粒子の評価結果についてまとめた。
【0095】
【表2】

【0096】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
29Si−NMRスペクトル法により測定されたスペクトルにおいて、化学シフト−94ppm〜−103ppmに発現するピークのシグナル面積をQ3とし、化学シフト−103ppm〜−115ppmに発現するピークのシグナル面積をQ4とした場合、
Q4/Q3の値が0.5〜5.0であるシリカ粒子未処理体を水熱処理する工程を含む、シリカ粒子分散液の製造方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記シリカ粒子未処理体は、ゾルゲル法を使用して形成されたものである、シリカ粒子分散液の製造方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、
前記工程は、アンモニア存在下で行うことを特徴とする、シリカ粒子分散液の製造方法。
【請求項4】
請求項3において、
前記アンモニアは、前記シリカ粒子未処理体100質量部に対して、0.0001質量部〜100質量部含まれることを特徴とする、シリカ粒子分散液の製造方法。
【請求項5】
(ア)5nm〜200nmのメジアン径(d50)を有するシリカ粒子であって、
JIS−K−7142B法により測定した屈折率が、1.35〜1.42であることを特徴とするシリカ粒子と、
(イ)分散媒と、
を含む、シリカ粒子分散液。
【請求項6】
請求項5において、
前記シリカ粒子に含有されるアルミニウム量は、100ppm以下である、シリカ粒子分散液。
【請求項7】
請求項5または請求項6において、
29Si−NMRスペクトル法により測定されたスペクトルにおいて、化学シフト−94ppm〜−103ppmに発現するピークのシグナル面積をQ3とし、化学シフト−103ppm〜−115ppmに発現するピークのシグナル面積をQ4とした場合、
Q4/Q3の値は、1〜20である、シリカ粒子分散液。
【請求項8】
請求項5ないし請求項7のいずれか一項において、
さらに、(ウ)分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物、および(エ)光ラジカル重合開始剤、から選択される少なくとも一種を含む、シリカ粒子分散液。
【請求項9】
請求項5ないし請求項8のいずれか一項に記載のシリカ粒子分散液を含む、塗膜形成用組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−83744(P2010−83744A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−86011(P2009−86011)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】