説明

シリコンインゴットの電磁鋳造装置

【課題】Siヒュームが発生した場合であっても、冷却ルツボの直下でインゴットの鋳肌表面の温度変動を正確に監視できるシリコンインゴットの電磁鋳造装置を提供する。
【解決手段】チャンバー1内に配置した無底冷却ルツボ7にシリコン原料11を投入し、ルツボ7を囲繞する誘導コイル8からの電磁誘導加熱により原料11を溶解させ、この溶融シリコン12をルツボ7から引き下げながら凝固させてインゴット3を連続鋳造する電磁鋳造装置において、チャンバー1の側壁に監視窓15を設け、監視窓15とルツボ7の直下におけるインゴット3の鋳肌表面近傍との間にわたり耐熱管17を設け、耐熱管17のインゴット3側の端面が耐熱板18で閉塞されており、監視窓15の外部の放射温度計16により耐熱管17内を通して耐熱板18の温度を測定し、この温度に基づいてインゴット3の鋳肌表面温度の変動を監視する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池用基板の素材であるシリコンインゴットを連続鋳造するための電磁鋳造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池の基板には、多結晶のシリコンウェーハを用いるのが主流である。その多結晶シリコンウェーハは、一方向性凝固のシリコンインゴットを素材とし、このインゴットをスライスして製造される。従って、太陽電池の普及を図るには、シリコンウェーハの品質を確保するとともに、コストを低減する必要があるため、その前段階で、シリコンインゴットを高品質で安価に製造することが要求される。この要求に対応できる方法として、例えば、特許文献1に開示されるように、電磁誘導を利用した連続鋳造方法(以下、「電磁鋳造法」ともいう)が実用化されている。
【0003】
図4は、電磁鋳造法で用いられる従来の代表的な電磁鋳造装置の構成を模式的に示す図である。同図に示すように、電磁鋳造装置はチャンバー1を備える。チャンバー1は、内部を外気から隔離し鋳造に適した不活性ガス雰囲気に維持する二重壁構造の水冷容器である。チャンバー1の上壁には、開閉可能な原料供給シャッター2を介し、図示しない原料供給装置が連結されている。チャンバー1は、上部に不活性ガス導入口5が設けられ、下部の側壁に排気口6が設けられている。
【0004】
チャンバー1内には、無底冷却ルツボ7、誘導コイル8およびアフターヒーター9が配置されている。冷却ルツボ7は、溶解容器としてのみならず、鋳型としても機能し、熱伝導性および導電性に優れた金属(例えば、銅)製の角筒体で、チャンバー1内に吊り下げられている。この冷却ルツボ7は、上部と下部を残して縦方向に図示しないスリットが複数形成され、このスリットにより周方向で複数の短冊状の素片に分割されており、内部を流通する冷却水によって強制冷却される。
【0005】
誘導コイル8は、冷却ルツボ7を囲繞するように、冷却ルツボ7と同芯に周設され、図示しない電源装置に接続されている。アフターヒーター9は、冷却ルツボ7の下方に冷却ルツボ7と同芯に複数連設され、冷却ルツボ7から引き下げられるシリコンインゴット3を加熱して、その軸方向に適切な温度勾配を与える。
【0006】
また、チャンバー1内には、原料供給シャッター2の下方に原料導入管10が配設されている。原料供給シャッター2の開閉に伴って、粒状や塊状のシリコン原料11が原料供給装置から原料導入管10に供給され、原料導入管10を通じて冷却ルツボ7内に投入される。
【0007】
チャンバー1の底壁には、アフターヒーター9の真下に、インゴット3を抜き出すための引出し口4が設けられ、この引出し口4はガスでシールされている。インゴット3は、引出し口4を貫通して下降する支持台14によって支えられながら引き下げられる。
【0008】
冷却ルツボ7の真上には、プラズマトーチ13が昇降可能に設けられている。プラズマトーチ13は、図示しないプラズマ電源装置の一方の極に接続され、他方の極は、インゴット3側に接続されている。このプラズマトーチ13は、下降により冷却ルツボ7の上部に挿入される。
【0009】
このような電磁鋳造装置を用いた電磁鋳造法では、冷却ルツボ7にシリコン原料11を投入し、誘導コイル8に交流電流を印加するとともに、冷却ルツボ7の上部に挿入したプラズマトーチ13に通電を行う。このとき、冷却ルツボ7を構成する短冊状の各素片が互いに電気的に分割されていることから、誘導コイル8による電磁誘導に伴って各素片内で渦電流が発生し、冷却ルツボ7の内壁側の渦電流が冷却ルツボ7内に磁界を発生させる。これにより、冷却ルツボ7内のシリコン原料11は電磁誘導加熱されて溶解し、溶融シリコン12が形成される。
【0010】
また、プラズマトーチ13とシリコン原料11、さらには溶融シリコン12との間にプラズマアークが発生し、そのジュール熱によっても、シリコン原料11が加熱されて溶解し、電磁誘導加熱の負担を軽減して効率良く溶融シリコン12が形成される。
【0011】
溶融シリコン12は、冷却ルツボ7の内壁の渦電流に伴って生じる磁界と、溶融シリコン12の表面に発生する電流との相互作用により、溶融シリコン12の表面の内側法線方向に力(ピンチ力)を受けるため、冷却ルツボ7と非接触の状態に保持される。冷却ルツボ7内でシリコン原料11を溶解させながら、溶融シリコン12を支える支持台14を徐々に下降させると、誘導コイル8の下端から遠ざかるにつれて誘導磁界が小さくなることから、発熱量およびピンチ力が減少し、さらに冷却ルツボ7からの冷却により、溶融シリコン12は外周部から凝固が進行する。そして、支持台14の下降に伴ってシリコン原料11を冷却ルツボ7内に逐次投入し、溶解および凝固を継続することにより、溶融シリコン12が一方向に凝固し、インゴット3を連続鋳造することができる。
【0012】
鋳造中、チャンバー1内を不活性ガス雰囲気に維持するため、チャンバー1の上部の不活性ガス導入口5から不活性ガスが逐次供給され、チャンバー1内の不活性ガスは、チャンバー1の下部側壁の排気口6から逐次排出される。このとき、プラズマトーチ13からのプラズマアークにより溶融シリコン12からSi(シリコン)が激しく蒸発しており、このSi蒸気はチャンバー1内で凝集してSiヒュームとなり、不活性ガスとともに排気口6から排出される。
【0013】
このような電磁鋳造装置によれば、溶融シリコン12と冷却ルツボ7との接触が軽減されるため、その接触に伴う冷却ルツボ7からの不純物汚染が防止され、高品質のインゴット3を得ることができる。しかも、連続鋳造であることから、安価にインゴット3を製造することが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】国際公開WO02/053496号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
通常、電磁鋳造法では、インゴット3の鋳肌表面の温度を冷却ルツボ7の直下で監視し、その鋳肌表面温度の変動に応じて誘導コイル8に印加する電流の設定値を調整する操業が行われる。このため、上述した従来の電磁鋳造装置では、前記図4に示すように、チャンバー1の側壁に透明なガラス板が嵌め込まれた監視窓15を設置し、この監視窓15の外部に放射温度計16が配設されている。放射温度計16は、冷却ルツボ7の直下におけるインゴット3の鋳肌表面の温度を直接測定し、これにより、インゴット3の鋳肌表面の温度変動を監視する。
【0016】
しかし、従来の電磁鋳造装置では、鋳造中、プラズマトーチ13に通電しプラズマアーク加熱を併用した原料溶解に伴って、チャンバー1内にSiヒュームが著しく発生し、前記図4に示すように、監視窓15と冷却ルツボ7の直下のインゴット3との間にSiヒュームFが不規則に浮遊する状態となる。このため、インゴット3の鋳肌表面の実体温度が一定であっても、浮遊するSiヒュームFの量によって、インゴット3の鋳肌表面から放射温度計16に到達する放射熱エネルギーが変化し、これに伴って放射温度計16による測定温度が変化する事態が生じる。すなわち、インゴット3の鋳肌表面の実体温度と放射温度計16による測定温度との差(以下、「計測誤差」という)が一定とならない。その結果、インゴット3の鋳肌表面の温度変動を正確に監視することができない。
【0017】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、シリコンインゴットを連続鋳造する際に、プラズマトーチによるプラズマアーク加熱を併用した原料溶解に伴って、チャンバー内にSiヒュームが発生した場合であっても、計測誤差を一定とし、冷却ルツボの直下でインゴットの鋳肌表面の温度変動を正確に監視することができるシリコンインゴットの電磁鋳造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、以下の知見を得た。監視窓と冷却ルツボの直下のインゴットとの間にSiヒュームが不規則に浮遊する状態であっても、計測誤差を一定とするには、監視窓とインゴットの鋳肌表面近傍との間にわたり耐熱管を設け、この耐熱管のインゴット側の端面を耐熱板で閉塞し、放射温度計により耐熱管内を通して耐熱板の温度を測定するのが有効である。耐熱板はインゴットの鋳肌表面からの輻射熱を逐次吸収し、その輻射熱に応じて赤熱するため、耐熱板の温度はインゴットの鋳肌表面温度を逐次反映したものとなり、また、耐熱板によって閉塞された耐熱管内は、温度測定の障害となるSiヒュームの進入が阻止されているからである。
【0019】
本発明は、上記の知見に基づいて完成させたものであり、その要旨は、下記に示すシリコンインゴットの電磁鋳造装置にある。すなわち、チャンバー内に配置した導電性を有する無底冷却ルツボにシリコン原料を投入し、無底冷却ルツボを囲繞する誘導コイルからの電磁誘導加熱によりシリコン原料を溶解させ、この溶融シリコンを無底冷却ルツボから引き下げながら凝固させてシリコンインゴットを連続鋳造する電磁鋳造装置において、チャンバーの側壁に監視窓を設け、この監視窓と無底冷却ルツボの直下におけるシリコンインゴットの鋳肌表面近傍との間にわたり耐熱管を設け、この耐熱管のシリコンインゴット側の端面が耐熱板で閉塞されており、監視窓の外部に配置した放射温度計により耐熱管内を通して耐熱板の温度を測定し、測定した耐熱板の温度に基づいてシリコンインゴットの鋳肌表面温度の変動を監視することを特徴とするシリコンインゴットの電磁鋳造装置である。
【0020】
上記の電磁鋳造装置では、前記耐熱板が石英で構成されることが好ましい。この場合、前記耐熱板が不透明であることが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明のシリコンインゴットの電磁鋳造装置によれば、シリコンインゴットを連続鋳造する際に、監視窓と冷却ルツボの直下のインゴットとの間にSiヒュームが不規則に浮遊する状態であっても、耐熱板によって閉塞された耐熱管内には、Siヒュームの進入が阻止されてSiヒュームが存在することなく、また、耐熱板がインゴットの鋳肌表面からの輻射熱により赤熱して、インゴットの鋳肌表面温度を逐次反映した温度となるため、放射温度計により耐熱管内を通して耐熱板の温度を測定すれば、計測誤差を一定とすることができ、その放射温度計から逐次出力される温度データに基づいて、インゴットの鋳肌表面の温度変動を正確に監視することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の電磁鋳造装置の構成を模式的に示す図である。
【図2】実施例1の試験結果としてインゴットの鋳造長さに対し放射温度計による測定温度および誘導コイルへの印加電力の関係を示す図である。
【図3】実施例2の試験結果としてインゴットの鋳造長さに対し放射温度計による測定温度および誘導コイルへの印加電力の関係を示す図である。
【図4】電磁鋳造法で用いられる従来の代表的な電磁鋳造装置の構成を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本発明のシリコンインゴットの電磁鋳造装置について、その実施形態を詳述する。
【0024】
図1は、本発明の電磁鋳造装置の構成を模式的に示す図である。同図に示す本発明の電磁鋳造装置は、前記図4に示す電磁鋳造装置の構成を基本とし、それと同じ構成には同一の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
【0025】
図1に示すように、本発明の電磁鋳造装置は、チャンバー1の側壁に設置された監視窓15と、冷却ルツボ7の直下におけるインゴット3の鋳肌表面近傍との間にわたり、耐熱管17が設けられている。この耐熱管17は、インゴット3側の端面が耐熱板18で閉塞され、その反対の監視窓15側の端面が開放されている。
【0026】
また、監視窓15の外部には、耐熱管17の延長線上に放射温度計16が配設されている。放射温度計16は、電磁鋳造装置の操業条件を制御する図示しない制御部に接続されている。この制御部は、放射温度計16から逐次出力される温度データに基づいて、インゴット3の鋳肌表面の温度変動を監視し、誘導コイル8に印加する電流の設定値を調整する。
【0027】
耐熱板18は、耐熱性に加え、近接するインゴット3の鋳肌表面から輻射熱を逐次吸収し、その輻射熱に応じて赤熱する特性が必要であり、透明石英、不透明石英、カーボン、PNB(熱分解窒化ホウ素)、アルミナなどのセラミックスを採用することができる。その中でも透明石英または不透明石英を採用した耐熱板18は、輻射率が高く、しかも、インゴット3への不純物汚染の心配もないことから、好適である。特に、不透明石英は、透明石英と比較して、輻射率がより高く、耐熱性も優れることから、耐熱板18として最も適している。
【0028】
耐熱管17は、耐熱性を有する限り材質の限定はないが、上記した耐熱板18と同様の材質を採用することが好ましい。また、耐熱管17と耐熱板18は、一体で成形したものであってもよいし、個別に成形して組み合わせたものでも構わない。
【0029】
耐熱管17のインゴット3側の端面、すなわち耐熱板18と、インゴット3の鋳肌表面との隙間は、10〜30mm程度が好ましい。この隙間は、小さ過ぎると、耐熱板18がインゴット3と接触するおそれがあり、大き過ぎると、インゴット3の鋳肌表面から耐熱板18への輻射熱の吸収時間遅れが著しくなるからである。
【0030】
耐熱管17の監視窓15側の端面と、監視窓15との隙間は、20〜50mm程度が好ましい。この隙間は、両者が接触することにより無くても構わないが、大き過ぎると、その隙間に温度測定の障害となるSiヒュームFが進入するからである。
【0031】
このような構成の電磁鋳造装置によれば、シリコンインゴットを連続鋳造する際に、耐熱板はインゴットの鋳肌表面からの輻射熱を逐次吸収し、その輻射熱に応じて赤熱するため、耐熱板の温度はインゴットの鋳肌表面温度を逐次反映したものとなる。このとき、プラズマトーチによるプラズマアーク加熱を併用した原料溶解に伴って、チャンバー内にSiヒュームが発生し、監視窓と冷却ルツボの直下のインゴットとの間にSiヒュームが不規則に浮遊する状態であっても、耐熱板によって閉塞された耐熱管内には、Siヒュームの進入が阻止されてSiヒュームが存在しないため、放射温度計により耐熱管内を通して耐熱板の温度を測定すれば、計測誤差を一定とすることができる。その結果、放射温度計から逐次出力される温度データに基づいて、インゴットの鋳肌表面の温度変動を正確に監視することが可能になる。
【実施例】
【0032】
本発明の電磁鋳造装置による効果を確認するため、一辺が345mmの正方形断面で全長が4000mmのシリコンインゴットを連続鋳造する試験を行った。この試験では、インゴットを間に挟むチャンバーの両側壁に、それぞれ監視窓を設置するとともに、各監視窓の外部に放射温度計を配置した電磁鋳造装置を用い、一方の監視窓の内側には、前記図1に示すように耐熱管17を設け、他方の監視窓の内側には、前記図4に示すように何も設けなかった。
【0033】
(実施例1)
実施例1の試験では、耐熱管のインゴット側の端面に耐熱板として不透明な石英板を取り付けて、インゴットを連続鋳造した。その際に、インゴットの鋳造長さに応じ、本発明例として耐熱管を配置した側の放射温度計による測定温度、および比較例として耐熱管を配置していない側の放射温度計による測定温度、ならびに誘導コイルへの印加電力を調査した。
【0034】
図2は、実施例1の試験結果としてインゴットの鋳造長さに対し放射温度計による測定温度および誘導コイルへの印加電力の関係を示す図である。同図では、冷却ルツボへのシリコン原料の投入を止めた鋳造終盤の状況であって、プラズマトーチへの通電を非通電に切り替え、プラズマアーク加熱による原料溶解の停止前後の状況を示している。
【0035】
同図に示すように、誘導コイルへの印加電力が概ね一定であるにもかかわらず、比較例では、測定温度が大きく変動し、特に、プラズマアーク加熱による原料溶解を停止させたとき、Siヒュームの発生が収まるのに伴って、測定温度が100℃以上急激に上昇した。一方、本発明例では、誘導コイルへの印加電力と同様の傾向で、測定温度が概ね一定となった。
【0036】
(実施例2)
実施例2の試験では、耐熱管のインゴット側の端面に耐熱板として透明な石英板を取り付けて、インゴットを連続鋳造した。その際に、上記実施例1の試験と同様に、インゴットの鋳造長さに応じ、本発明例として耐熱管を配置した側の放射温度計による測定温度、および比較例として耐熱管を配置していない側の放射温度計による測定温度、ならびに誘導コイルへの印加電力を調査した。
【0037】
図3は、実施例2の試験結果としてインゴットの鋳造長さに対し放射温度計による測定温度および誘導コイルへの印加電力の関係を示す図である。同図では、冷却ルツボへのシリコン原料の投入を逐次行う鋳造中盤の状況であって、プラズマトーチに通電し、プラズマアーク加熱による原料溶解を継続的に行っている状況を示している。
【0038】
同図に示すように、誘導コイルへの印加電力が一定であるにもかかわらず、比較例では、測定温度が大きく変動した。一方、本発明例では、誘導コイルへの印加電力と同様の傾向で、測定温度が概ね一定となり、その変動も極めて小さかった。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明のシリコンインゴットの電磁鋳造装置によれば、耐熱板によって閉塞された耐熱管内には、Siヒュームの進入が阻止されてSiヒュームが存在することなく、また、耐熱板がインゴットの鋳肌表面からの輻射熱により赤熱して、インゴットの鋳肌表面温度を逐次反映した温度となるため、放射温度計により耐熱管内を通して耐熱板の温度を測定すれば、計測誤差を一定とすることができ、インゴットの鋳肌表面の温度変動を正確に監視することが可能になる。したがって、本発明の電磁鋳造装置は、インゴットの鋳肌表面温度の変動に応じて誘導コイルに印加する電流の設定値を精度よく調整できる点で極めて有用である。
【符号の説明】
【0040】
1:チャンバー、 2:原料供給シャッター、 3:シリコンインゴット、
4:引出し口、 5:不活性ガス導入口、 6:排気口、
7:無底冷却ルツボ、 8:誘導コイル、 9:アフターヒーター、
10:原料導入管、 11:シリコン原料、 12:溶融シリコン、
13:プラズマトーチ、 14:支持台、 15:監視窓、
16:放射温度計、 17:耐熱管、 18:耐熱板、 F:Siヒューム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバー内に配置した導電性を有する無底冷却ルツボにシリコン原料を投入し、無底冷却ルツボを囲繞する誘導コイルからの電磁誘導加熱によりシリコン原料を溶解させ、この溶融シリコンを無底冷却ルツボから引き下げながら凝固させてシリコンインゴットを連続鋳造する電磁鋳造装置において、
チャンバーの側壁に監視窓を設け、この監視窓と無底冷却ルツボの直下におけるシリコンインゴットの鋳肌表面近傍との間にわたり耐熱管を設け、この耐熱管のシリコンインゴット側の端面が耐熱板で閉塞されており、
監視窓の外部に配置した放射温度計により耐熱管内を通して耐熱板の温度を測定し、測定した耐熱板の温度に基づいてシリコンインゴットの鋳肌表面温度の変動を監視することを特徴とするシリコンインゴットの電磁鋳造装置。
【請求項2】
前記耐熱板が石英で構成されることを特徴とする請求項1に記載のシリコンインゴットの電磁鋳造装置。
【請求項3】
前記耐熱板が不透明であることを特徴とする請求項2に記載のシリコンインゴットの電磁鋳造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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