説明

シリコンナノパーティクルの表面処理

本発明は、光輝性シリコンナノパーティクルに、表面機能、例えばアミン基や、ラベル付けの応用のための生物学において特にそれらの使用を助けるや他の基を与えるための処理に関する。ナノパーティクルに、これらの機能、特に水性媒質内での溶解に対する保護を与える表面コーティングを生成するために、次いで、反応がナノパーティクルに適用される。本発明の意味における方法は、このコーティング反応の前に、その表面でのSi−OHタイプ結合の生成を助けるシリコンナノパーティクルの不動態化を含み、このタイプの結合は、表面基として、特に、アミン、チオール、ポリエチレングリコールを含む多数の機能を得ることを可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水性媒質内での安定性をそれらに与える表面特性を有するナノパーティクルの製造及び処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ナノパーティクルの合成は、しばしばナノテクノロジー装置の準備の第一段階である。レーザー熱分解は、この種のナノパーティクルを合成するための柔軟性のある方法であって、特に、シリコンナノクリスタルの合成を可能にしてきた。結晶構造のナノグレインの粉の形状にあるシリコンは、フォトルミネッセンスの特性を有する。量子閉じ込め現象に起因するフォトルミネッセンスは、シリコングレインのサイズがナノメートルスケール(10ナノメートルより低いサイズ)に低減されたときに観察され、また、フォトルミネッセンス効果によって観察される色は、ナノパーティクルのサイズによって変化する。
【0003】
大気温度で、かつ、可視領域において観察可能な(フォトルミネッセンス放出波長は、ナノパーティクルのサイズの関数である)この特性は、フォトニクス(シリコンレーザー)、生物学(タグ付け剤又は追跡子)、模造品の検出(光学バーコード)、化粧品などのような多種多様な分野における適用の可能性の舞台をセットしてきた。
【0004】
この種のナノパーティクルに基づく装置の開発は、良好な制御と、保障された特性の再現性を必要とする。生物学的システムのためのそれらの使用は、特に、水性媒質内で安定な懸濁液の準備を要求する。ナノパーティクルに表面機能を与えるための表面処理(以下、この処理を「表面機能化」と証する)は必要なステップであり、水性媒質内での安定を維持したままで分散することができるシリコンナノパーティクルを製造するために利用できる処理は殆ど無い。
【0005】
事実、レーザー熱分解によって製造され、例えば、処理されていないシリコンナノパーティクルは、水性媒質内で可溶性となる。それらは、自然に二酸化ケイ素(シリカ)に変化する。
【0006】
この溶解を防止するために、ナノパーティクルを表面保護層でコーティングすることが知られている。この目的のために、ナノパーティクルは、それらの欠陥を減らし、かつ、特にそれらの表面でのぶら下がり結合(pending bonds)を特に飽和させるため、それらの合成の後に不動態化される。フォトルミネッセンスは、通常、この段階で既に現れる。次いで、SiHタイプの結合を備える表面サイトが、例えば、コーティング層を形成する保護分子を収容するために用いられる。この層によりこのように保護されたナノパーティクルは、水性媒質内で不溶性となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
シリコンナノパーティクルを合成するためには、様々な技術を用いることができる。これらのパーティクルは、化学的な方法により、固体シリコンからの削り出しが続くアタックにより、或いは、プラズマ合成の類の又はレーザー熱分解による「ガス方法」と呼ばれる方法により、懸濁液内で直接的に得ることができる。
【0008】
シリコン表面を職能化するために表層結合を用いる可能性が従来技術において知られている。特に、公知の従来技術は、特にSiH表面結合からのシリコンナノパーティクル上での機能化を記載する。一つの技術が、特に、下記の文献に記載されている。「Photoluminescent Silicon Nanocrystals with Mixed Surface Functionalization for Biophotonics」, Folarin Erogbogbo and Mark T. Swihart, Mater. Res. Soc. Symp. Proc. Vol. 958, Materials Research Society 0958-L08-08 (2007).
【0009】
この文献は、シリコンナノパーティクル上の様々な形のアルケンの接合を記載する。それはレーザー熱分解によって生成され、そして、HF/HNOアタックにより処理されたシリコンナノパーティクルを使用する。次にそれは、アルケンを接合するために、SiH表面結合の存在を利用する。水性媒質内への配置は、次いで実行することができる。
【0010】
しかしながら、幾つかの化学処理工程と、それに続くリンス及び/又は乾燥を含むこの種の方法は、実行するには特別に複雑である。
本発明は、その状況を改善する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的のために、本発明は、ナノパーティクルに表面機能を与えるためにシリコンナノパーティクルを処理する方法を提案する。特に、ナノパーティクルにこれらの機能を与える表面コーティングを生成するために、ナノパーティクルに対して反応が適用される。このステップは、例えば:
・アミンNH
・チオールSH、
・ポリエチレングリコール
のようなナノパーティクルの表面上に基(radical)を生成することから、例えば、構成することができる。
【0012】
しかしながら、この種の表面基は、以下に説明するように、Folarinらの文献に記載されているアルケンのそれとは異なる化学を用いてのみ(容易に)得ることができる。有利なことに、本発明の方法は、この種の基を発生させるための反応の前に、ナノパーティクルの表面にSiOHタイプの結合を生成するのを助けるための、シリコンナノパーティクルの不動態化を含む。
【0013】
このように、本発明は、従来技術と比べて実施するのが極めて単純な方法を提案し、すなわち、ナノパーティクルの欠陥の単純な不動態化がSiOHタイプの表面結合を生成するのに役立つ。次に、本発明の方法は、SiOH表面結合を有するナノパーティクルから始めて、コーティングを生成するための上記反応工程の間に表面最上部接合のために適用が可能な機能の幅広い選択を得るのに役立つ。次に、追加的に、このコーティング工程の後には水性媒質内での安定性をナノパーティクルに与えることが可能であり、それによりナノパーティクルの溶解を防止する。
【0014】
Folarinらの従来技術の文献においては、得られるナノパーティクルが比較的大きなサイズ(5〜10nm)であり、フォトルミネッセンスを有しない。それらは、次いで、それらのサイズを縮小させるための摩滅(HF/NO)によりアタックされる。しかしながら、この方法は、水素原子によるぶら下がり表面結合(SiH)の飽和を引き起こす。SiH表面サイト上での接合のための唯一の可能な保護コーティングはアルケンから得られ、本発明(例えば3−アミノプロピルトリエトキシシラン)との関係では、オルガノシランから得られるコーティングより少ない潜在的機能しか提供せず、他方では、オルガノシラン系から得られたこれらのコーティングは、NHアミン基、ポリエチレングリコール基、SHチオール基、或いは、バイオテクノロジーにおいて探索される他の基さえも生成することができる。
【0015】
本発明の方法の他の特徴は、有利であることが判明している。例えば、フランス出願FR−07−03563の意味におけるレーザー熱分解によるナノパーティクルの合成は、直径5nmより小さい均一なナノクリスタルを得るのに役立った。従って、摩滅によるアタックが必要ではなかった。合成後のナノパーティクルの不動態化は、以下のように実施され得る:
・単純に大気中で(但し、パーティクルを開放空気内に数ヶ月放置する)、
・或いは、まさにSiOH表面結合を飽和させるための少なくとも一つのアルコール(好ましくはエタノール)を含む液体媒質内において、数週間だけ、乾燥させる。
【0016】
不動態化の後、ナノパーティクルは、SiOH表面結合とオルガノシランとの間の反応を用いたコーティングによって処理されることができ、それにより「機能化される」。この反応工程の間、例えばポリエチレングリコールタイプやNHの基、又は他の基がナノパーティクルの表面で生成され、これらの表面基が、生物学的な適用に適した他の分子と結合するための結合特性をナノパーティクルに与える。
【0017】
液体媒質内での不動態化の場合特に、グレインを分離するため、また、その処理用にそれらの表面が解放されるようにできる限り上手くそれらを分散させるために、強力な超音波プローブの振動をパーティクルに定期的に課すことが有利である。加水された選択部分を伴うエタノール内での不動態化が非常に満足な結果を得たことが有利に明らかになっている。
【0018】
開放空気内での不動態化の場合、シリカの薄い表面層が既に自然に形成されていた(SiOタイプの表面結合)ことが観測されており、これは、ナノパーティクルを水中での溶解から保護するためには既に十分であり得る。またこの場合、しかしながら、SiOH表面結合が生成され、そして、これらの結合は、ナノパーティクルの機能化(後述するように、特に表面でのNH基の生成)のために都合よく使用可能である。
【0019】
不動態化モードの何れにおいても(開放空気又は水性媒質)、主に観察される表面結合は、SiOH、Si(OH)O(シラノール)、SiHOH、SiHOタイプであり、SiHの単純な存在を伴う。上与の本発明の一般的提示において、「SiOHタイプ結合」の用語はまた、表面結合が、SiOH、更には又Si(OH)O、SiHOH、SiHOなどのようなO−H結合を含むことを意味している。
【0020】
更に又、単純に乾燥空気内で不動態化されたナノパーティクルについては、前期ナノパーティクルに対する紫外線の適用が、特に、それらが、この照射を受けるために水に浸漬されていた場合に、それらのフォトルミネッセンスをかなり増加させたことが有利に観察されている。この現象についての一つの説明は、その放射がグレインを光化学的に扱い、それによりそれらの不動態化を増強させたということである。
【0021】
・液体媒質(例えばエタノールと水の混合液)内で不動態化され、
・次に、機能化されるために反応(例えばオルガノシランと共に)によって処理され、
・次いで水に浸漬された
ナノパーティクルが、帰納的に、紫外線を受けてそれらのフォトルミネッセンス特性を増加させたことが同様に示されていることが確認されている。
このように、欠陥を不動態化し、かつ、保護コーティングによる処理の後にナノパーティクルのフォトルミネッセンスを増加させることが、いまなお可能である。
【0022】
紫外線への露出によるナノパーティクルの不動態化が、ナノパーティクル処理プロセスにおける特定の命令から独立していることが理解されよう。この点で特に、紫外線への露出によるこの不動態化処理は、独立した保護の対象であり得る。
【0023】
本発明は、シリコンナノパーティクルの欠陥を不動態化するための紫外線の適用に関する。ナノパーティクルは、好ましくは、この放射を受けるために水に浸漬される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本発明の他の特徴および効果は、下記の詳細な説明、及び添付図面の検査から明らかになり、図面には以下の事項が示されている。
【図1】照射下で0秒(曲線A)、30秒(曲線B)、1分(曲線C)、3分(曲線D)、5分(曲線E)、10分(曲線F)及び20分(曲線G)放置されたシリコンナノパーティクル上で測定されたフォトルミネッセンスについての紫外線の比較効果を示す。
【図2】保護コーティング生成のための反応後におけるナノパーティクルの赤外スペクトルである。
【図3】エタノール内での居留により不動態化されたナノパーティクル上で、機能化反応の直後(曲線A)、及びその反応から4日後(曲線B)に測定されたフォトルミネッセンスの増加を示す。
【図4】開放空気内での居留により不動態化されたナノパーティクル上で、機能化反応の直後(曲線A)、及びその反応から4日後(曲線B)に測定されたフォトルミネッセンスの増加を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
[ナノパーティクルの合成]
記載されている例において、シリコンパーティクルは、本出願人の名においてフランス出願FR―07−03563に記載されている方法により、レーザー熱分解によって合成される。この文献において、選択されたパワーと、好ましくは選択されたパルス期間とを持つレーザー光線は、例えば、シリコンナノクリスタルを得るために、シランのような前駆体の束と相互に作用する。
【0026】
レーザー光線と前駆体の束との間の相互作用ゾーンの有利なジオメトリは、良い結果をもたらした。特に、焦点調節パラメータの最適化はナノクリスタルの製造を更に改善し、その一方で、それらのサイズを減少させた。この結果は、一つ又は二つの円柱レンズを用いるレーザービーム焦点調節手段を用いることにより得られ、また、二つのレンズを用いる場合には、焦点調節面が、反応ゾーンにおけるその点の垂直及び水平寸法を、その反応ゾーンからの各レンズの距離を調整することにより独立に調整するために、好ましくは交差している。最高の結果は、一つの点について、FR−07−03563の実験条件において0.5mmの高さ及び3mmの幅(実験的に測定される)で得られる。
【0027】
生産速度は、このため、直径4nmのナノクリスタルについて80mg/時間から、直径3−4nmの範囲のナノクリスタルについて200mg/時間以上に増加した。
【0028】
[不動態化]
得られたナノパーティクルは、次に、フィルタリングバリア上を削ることにより集められる。SiH、SiH結合がナノパーティクルの表面で識別できるが、そのナノパーティクルは未だフォトルミネッセンスを有していない。フォトルミネッセンスは表面欠陥の不動態化の後にのみ現れる。一つの可能な不動態化の方法は、ナノパーティクルを、そのパーティクルの表面にSiOH結合が存在する状態で、シリカの層でコーティングすることである。パーティクルは、以下の2つの代替的な方法による合成の後、ここに不動態化される。
・単純に空気に露出させることにより、
・或いは、95%エタノール内で分散により液体媒質内で、乾燥させる。
【0029】
*乾燥不動態化
表面の不動態化は、フォトルミネッセンスを妨げる表層欠陥を取り除くための酸化から成る。空気中での不動態化は進行が遅く、数カ月を要することがある。各不動態化ステップの後、発光パーティクルは、高出力の超音波プローブを使用して、また、0.5×10−3及び0.1g.L−1の濃度で、エタノール、水又はDMSO(「ジメチルスルホキシド」を指す)のような様々な液体媒質内で分散させることができる。
【0030】
低出力紫外線(6W,DCランプ)による照射が、乾燥パーティクル上の、更にまた、不動態化乾燥され、次いで、液体媒質中、特に水中に分散されたパーティクル上の、フォトルミネッセンス強度に確かな効果を有することが判明した。
【0031】
図1は、この効果を示す。フォトルミネッセンス強度は約20分の間の照射時間によって増加した。
【0032】
*液体媒質内での不動態化
エタノール内での分散の濃度は、1リットル当たりのナノパーティクルが0.1g未満であることが好ましい。記載した例においては、分散が、合成の直後に、高出力超音波プローブ(750W)を使用して準備された。ナノパーティクルの適切な分散(肉眼で識別可能な凝集体が存在しない透明な懸濁液)を確保するためには、このようなプローブの使用が必要である。その後、著しいフォトルミネッセンスが出現する。
【0033】
アルコール内での不動態化では、フォトルミネッセンスを得るのに数週を要することがある。フォトルミネッセンスは、アルコール内の水の存在と相関を有し得るように見える。95%のエタノール(5%の水を含む)内では、フォトルミネッセンスが自然に表れ、水を加える必要がない。
【0034】
無水エタノールのような水を含まない溶媒内では、9mlの無水エタノール内の50〜100μlの水の量の効果で、以下のテーブル1に示すように満足な結果も得た。得られたフォトルミネッセンスは、アルコールの水含有量の関数として効果的に変化することが観測されたとも言える。
【0035】
【表1】

【0036】
他の試験は、シリコンパーティクルが、Hイオンを含む酸性水中に分散されている際に、シリコンパーティクル内の非放射欠陥が効果的に不動態化される(ほんの3時間の処理の後にフォトルミネッセンス信号の強度が急激に増大する)ことを明らかに示している。そのpHは5又は6程度であった。この観察は、弱酸性水性媒質内のナノパーティクルの分散による、Hイオンによって演じられる役割が、不動態化のために重要であることを示唆している。しかしながら、それらを水性媒質中に過剰に長く放置することにより、シリコンナノパーティクルがシリカに変換されてしまうのを避けるための注意が必要である。結論的には、分散時間及び/又は分散内の水の量は、制御されて最適化されることが好ましい。この点に関して、上記の表1で与えられた、アルコールと(量が制御された)水との混合で得られた満足な結果は、分散におけるHイオンの制御された存在によって説明することができる。
【0037】
[シリコンナノパーティクルの機能付与]
機能化は、次に、空気中で不動態化されたパーティクル上で、或いは、アルコール中で不動態化されたパーティクル上で実施することができる。
【0038】
それらの機能化の前に提供されたナノパーティクルは、エタノール内、又はDMSO内で分散させることができる。事実、パーティクルは、反応のために最終的に選択された溶媒内で、高出力な超音波プローブを使用して、0.5×10−3及び0.1g.L−1の濃度で分散させられる。不動態化が空気内で先行して行われていた場合、パーティクルは、その反応の直前に分散させられる。他方、エタノール内での不動態化の場合、(合成から)反応の数週前にそれらは分散させられる。
【0039】
無水エタノールまたはDMSOが用いられる場合、その反応は、水の存在下で実施される。特定量の水(約5mol.L−1)を加えることが有利であると事実証明することができる。典型的には、10mlの溶媒に100μLの水の量を加えることができる。95%のエタノールの場合は、水を加える必要がないことが判明した。
【0040】
接合される機能を提供する反応物質(好ましくはオルガノシラン)は、ナノパーティクルのシリコンに対してモル比5で過剰に導かれる。例えば、シグマ−アルドリッチ(登録商標)が販売する3−アミノプロピル−トリエトキシシラン(以下、「APTS」)は、約10μL加えることができる。より多くの反応物質を加えることも可能である。例えば0.3mol.L−1に近い濃度のアンモニアは、反応のために使用される触媒として好都合たり得る。
【0041】
反応混合物は、次に、10から12時間に渡り撹拌される。
【0042】
反応の後、パーティクルは、遠心分離(4500rpm、15分間)により媒体から分離され、次に、接合されなかった反応物質の残渣を除去するために、エタノールで、次いで1:1のエタノール:エーテル混合液で、二回洗浄される。
【0043】
各洗浄の後、パーティクルは、遠心分離(4500rpm、15分間)によって回収される。
【0044】
図2は、APTSで上部接合されたナノパーティクル上で測定された赤外スペクトルを示す。APTSの炭素化合物の典型的CH結合の存在が観測できる(2930および2860cm−1の線)。
【0045】
パーティクルが一度洗浄されると、それらは、酸性化された蒸留水内で再分散させられる。次いでそれらは、数週間に渡って安定な、液体媒質の懸濁液を形成する。
【0046】
図3及び図4は、それぞれ、エタノール内で不動態化されたパーティクル上、及び乾燥不動態化されたパーティクル上でのAPTS接合後の水性媒質中でのフォトルミネッセンススペクトルを示す。
【0047】
明らかに、本発明は上記の例示的実施形態に限られておらず、それは、他の変形例にまで伸張している。
【0048】
例えば、メルカプトプロピルトリメトキシラン、アルキルトリエトキルシランなどのような、APTSとは異なる他のタイプの合成物を、不動態化されたナノパーティクル上に接合することは可能である。幾つかの基を支持するため、また、パーティクルのコーティングにおいてそれらそれぞれの比率を制御するための共同接合もまた可能である。例えば、生物学的な適用において異なる機能を有するNH(アミン)、SH(チオール)、及びポリエチレングリコールの基の混交である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコンナノパーティクルの表面に機能を付与するためにそれらを処理する方法であって、そこでは、それらに前記機能を付与する表面コーティングを生成するためにナノパーティクルに反応が適用され、
前記反応に先立って、その方法は、ナノパーティクルの表面でSiOHタイプの結合を生成するのを助けるためのシリコンナノパーティクルの不動態化を含むことを特徴とする。
【請求項2】
前記反応が、ナノパーティクルに水性媒体内での安定性を与え、かつ、ナノパーティクルの溶解を防止する保護コーティングを生成することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記反応の間に、少なくとも
・アミンNH
・チオールSH、
・ポリエチレングリコール
からの少なくとも一つの要素を備える基をナノパーティクルの表面で生成することにより、前記表面機能が取得されることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
表面コーティングを生成するために使用される反応物質がオルガノシラン系から選択されることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の方法。
【請求項5】
使用される反応物質が、3−アミノプロピル−トリエトキシシランを含むことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
ナノパーティクルが、不動態化のステップの前に、レーザー熱分解によって先ず取得されることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
不動態化のステップが、水性媒質内で実施されることを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の方法。
【請求項8】
水性媒質が弱酸性であることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
不動態化のステップが、少なくとも一つのアルコールを含む液体媒質内で実施されることを特徴とする請求項1乃至8の何れか一項に記載の方法。
【請求項10】
液体媒質が、約95%のエタノールと約5%の水を含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
不動態化のステップが数週続くことを特徴とする請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
前記不動態化のステップが開放空気内で実施されることを特徴とする請求項1乃至11の何れか一項に記載の方法。
【請求項13】
開放空気の不動態化は、水溶媒質内での溶解を防ぐ保護のために、ナノパーティクルの表面にシリカ層を形成することを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
不動態化のステップは数ヶ月続くことを特徴とする請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
この不動態化のステップの間、ナノパーティクルが超音波によって撹拌されることを特徴とする請求項1乃至14の何れか一項記載の方法。
【請求項16】
少なくとも不動態化のステップの間は、ナノパーティクルが紫外線を受けることを特徴とする請求項1乃至15の何れか一項記載の方法。
【請求項17】
前記表面コーティングを備えるナノパーティクルが、反応ステップ後にそれらの不動態化処理を継続するために、紫外線を受けることを特徴とする請求項1乃至16の何れか一項記載の方法。
【請求項18】
前記光線が適用される間、ナノパーティクルが水中に浸漬されることを特徴とする請求項16又は17に記載の方法。
【請求項19】
シリコンナノパーティクル内の欠陥を不動態化するための紫外線の適用。
【請求項20】
ナノパーティクルが水中に浸漬されることを特徴とする請求項19に記載の適用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−519812(P2011−519812A)
【公表日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−507974(P2011−507974)
【出願日】平成21年5月5日(2009.5.5)
【国際出願番号】PCT/FR2009/050831
【国際公開番号】WO2009/141563
【国際公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【出願人】(510294829)
【Fターム(参考)】