説明

シリコン回収方法、シリコン回収装置

【課題】廃スラリーから簡易に多くの高純度シリコンを回収することができるシリコン回収方法を提供する。
【解決手段】本発明のシリコン回収方法は、砥粒とクーラントを含むスラリーを用いたシリコン塊又はシリコンウエハの切断又は研磨によって前記スラリーにシリコン屑が混入された廃スラリー又はその濃縮分を固液分離してシリコン屑を含有するシリコン回収用固形分を取得する第1固液分離工程と、洗浄液を用いて前記シリコン回収用固形分を洗浄する洗浄工程と、前記洗浄液と前記シリコン回収用固形分を固液分離する第2固液分離工程とを備え、前記クーラントは、液状有機物を含み、前記洗浄液は、前記液状有機物に対し相溶性を有し且つ前記液状有機物よりも沸点が低い低沸点有機溶媒と水とを含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシリコンウエハの製造工程等に使用された廃スラリーから、シリコン含有率の高い再生シリコンを得るためのシリコン回収方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ICチップや太陽電池用として広く用いられるシリコン単結晶又は多結晶からなる薄板(以下、「シリコンウエハ」と呼ぶ。)の製造工程において、原料シリコンの約60%が切断、面取り又は研磨等により廃液中に廃棄されており、製品に対するコスト負荷ならびに廃棄処分(この廃液は濃縮処理や一部材料の回収の後、埋め立て処分されるのが一般的である)に伴う環境への負荷が大きな問題となっている。
【0003】
また、特に近年、太陽電池の生産量は増加の一途をたどっており、原料シリコンの需要も急激な伸びが見られる。このため太陽電池用のシリコンの不足が顕在化している。
【0004】
そこで従来、上記の切断又は研磨といったシリコンウエハの製造時に発生する廃液からシリコンを回収する方法が提案されてきた。
【0005】
例えば特許文献1においては、砥粒をクーラントに分散させたスラリーを用いてシリコン単結晶又は多結晶のインゴットを切断又は研磨する処理から排出される廃スラリーから固形分を回収し、回収した固形分に対して、残留クーラント等を除去するための有機溶剤洗浄、有機溶剤を洗い流すための水洗浄、廃スラリーに含まれていた金属(鉄、銅など)を酸水溶液(フッ酸水溶液など)に溶解させて除去するための酸洗浄、酸水溶液を洗い流すための水洗浄等が行われている。
【特許文献1】特開2001−278612号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示されるような従来方法、すなわち洗浄に酸水溶液や純水を用いる場合、シリコンの酸化によりシリコン酸化物が生成するため、シリコンの回収率が低下する、回収したシリコンの純度が落ちるなどという問題が生じることが分かった。
加えて本発明者らは、従来方法においては酸水溶液又は水中での化学反応により固形分が塊状化し、洗浄以後の工程を困難にする場合があるという問題点を見出した。
【0007】
本発明は、かかる事情に鑑み、廃スラリーから簡易に多くの高純度シリコンを回収することができるシリコン回収方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のシリコン回収方法は、砥粒とクーラントを含むスラリーを用いたシリコン塊又はシリコンウエハの切断又は研磨によって前記スラリーにシリコン屑が混入された廃スラリー又はその濃縮分を固液分離してシリコン屑を含有するシリコン回収用固形分を取得する第1固液分離工程と、洗浄液を用いて前記シリコン回収用固形分を洗浄する洗浄工程と、前記洗浄後に前記洗浄液と前記シリコン回収用固形分を固液分離する第2固液分離工程とを備え、前記クーラントは、液状有機物を含み、前記洗浄液は、前記液状有機物に対し相溶性を有し且つ前記液状有機物よりも沸点が低い低沸点有機溶媒と水とを含むことを特徴とする。
【0009】
前記洗浄液は、無機酸をさらに含んでもよい。
前記洗浄液中の水の比率は、30wt%未満であってもよい。
前記洗浄液中の低沸点有機溶媒は,炭素数が1〜6のアルコールと炭素数が3〜6のケトンからなる群から選ばれる1つからなるか又は2つ以上の混合物からなってもよい。
前記洗浄液中の低沸点有機溶媒は,メタノール,エタノール,イソプロピルアルコール及びアセトンからなる群から選ばれる1つからなるか又は2つ以上の混合物からなってもよい。
これらの低沸点有機溶媒は、クーラント中の液状有機物として広く用いられているプロピレングリコール(沸点187℃)などに対して相溶性を有し、且つ、50〜150℃程度の低い融点を示すからである。
前記クーラントは、水溶性クーラントからなってもよい。
【0010】
また、本発明のシリコン回収装置は、砥粒とクーラントを含むスラリーを用いたシリコン塊又はシリコンウエハの切断又は研磨によって前記スラリーにシリコン屑が混入された廃スラリー又はその濃縮分を固液分離してシリコン屑を含有するシリコン回収用固形分を取得する第1固液分離部と、洗浄液を用いて前記シリコン回収用固形分を洗浄する洗浄部と、前記洗浄後に前記洗浄液と前記シリコン回収用固形分を固液分離する第2固液分離部とを備え、前記クーラントは、液状有機物を含み、前記洗浄液は、前記液状有機物に対し相溶性を有し且つ前記液状有機物よりも沸点が低い低沸点有機溶媒と水とを含むことを特徴とするシリコン回収装置である。
【発明の効果】
【0011】
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、低沸点有機溶媒からなる洗浄液に少量の水を添加した場合に、添加した水の比率から予測できる以上の劇的な洗浄効果の上昇が見られることを見出し、本発明の完成に到った。
また、本発明における洗浄液は、低沸点有機溶媒を含むため、酸水溶液などの洗浄液を用いた場合に比べてシリコンの酸化を抑制することができ、シリコンの酸化に起因するシリコンの回収率の低下および/または回収シリコンの純度低下を抑制することができる。
また、本発明における洗浄液が低沸点有機溶媒を含むので、第1固液分離部後にシリコン回収用固形分に残留しているクーラント由来の液状有機物を洗浄液に溶解させて容易に除去することができる。
【0012】
このように本発明によれば、現在は廃棄されている、シリコンの切断又は研磨によって生じるシリコン屑を含む廃スラリーから、高い純度のシリコンを高い回収率で回収できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の種々の実施形態等を例示する。
【0014】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。図面や以下の記述中で示す構成は例示であって、本発明の範囲は、図面や以下の記述中で示すものに限定されない。
【0015】
本発明のシリコン回収方法は、砥粒とクーラントを含むスラリーを用いたシリコン塊又はシリコンウエハの切断又は研磨によって前記スラリーにシリコン屑が混入された廃スラリー又はその濃縮分を固液分離してシリコン屑を含有するシリコン回収用固形分を取得する第1固液分離工程と、洗浄液を用いて前記シリコン回収用固形分を洗浄する洗浄工程と、前記洗浄後に前記洗浄液と前記シリコン回収用固形分を固液分離する第2固液分離工程とを備え、前記クーラントは、液状有機物を含み、前記洗浄液は、前記液状有機物に対し相溶性を有し且つ前記液状有機物よりも沸点が低い低沸点有機溶媒と水とを含む。
【0016】
この方法は、図1に示す本発明の一実施形態のシリコン回収装置を用いて実施することができる。以下、本実施形態のシリコン回収装置を中心に説明を進める。以下の説明は、本実施形態のシリコン回収方法についても基本的に当てはまる。
【0017】
本実施形態のシリコン回収装置は、砥粒とクーラントを含むスラリーを用いたシリコン塊又はシリコンウエハの切断又は研磨によって前記スラリーにシリコン屑が混入された廃スラリー又はその濃縮分を固液分離してシリコン屑を含有するシリコン回収用固形分を取得する第1固液分離部1と、洗浄液を用いて前記シリコン回収用固形分を洗浄する洗浄部3と、前記洗浄後に前記洗浄液と前記シリコン回収用固形分を固液分離する第2固液分離部4とを備える。前記クーラントは、液状有機物を含み、前記洗浄液は、前記液状有機物に対し相溶性を有し且つ前記液状有機物よりも沸点が低い低沸点有機溶媒と水とを含む。
【0018】
また、本実施形態のシリコン回収装置は、乾燥部7、分級部5、金属屑除去部9、成形部11、加熱部13及び精製部15のうちの1つ以上を必要に応じて備える。精製部15の代わりに固化部17を備えてもよい。
【0019】
以下、詳細に説明する。
【0020】
1.廃スラリー、廃スラリーの濃縮分
シリコン回収装置の実施形態について説明する前に、まず、廃スラリーとその濃縮分について説明する。
【0021】
廃スラリーとは、砥粒とクーラントを含むスラリーを用いたシリコン塊又はシリコンウエハの切断又は研磨によって前記スラリーにシリコン屑が混入されたものである。廃スラリーの濃縮分とは、廃スラリーを濃縮したものである。
本実施形態のシリコン回収装置は、廃スラリーに混入されたシリコン屑を回収し、再生シリコンとするためのものである。シリコン塊は、シリコンの塊であり、例えば、シリコンインゴットである。シリコン塊の形状は、特に限定されないが、一例では、円柱状や四角柱状である。
【0022】
シリコン塊又はシリコンウエハの切断又は研磨は、切断装置又は研磨装置を用いて行われ、この切断装置又は研磨装置から排出される使用済みのスラリーが廃スラリーである。
【0023】
切断装置の一例は、シリコンインゴットの切断装置として広く用いられているマルチワイヤソー装置(以下、「MWS」と呼ぶ。)である。MWSとは一般に、複数のローラ間にワイヤを架け渡して巻き付け、砥粒とクーラントを含むスラリーをワイヤに供給しつつ走行させ、このワイヤに被切断物を押し付けて切断する切断装置のことである。このようなMWSを用いてシリコンインゴットを切断すると、スラリー中にシリコンの切断屑、破砕された砥粒及び破砕されなかった砥粒、さらにはワイヤの摩耗片である金属屑などが混入することになる。
【0024】
MWSでは、スラリーは、通常、繰り返し使用されるが、使用につれてスラリーに含まれるシリコンなどの比率が高くなる。これらの比率が高くなる、例えばスラリー中のシリコン比率が5wt%以上になると、シリコンウエハに厚みムラや反りなどの不良が起こったり、ワイヤの断線が発生したりするなど、種々の問題が起きることが知られている。このため、適宜、スラリーの一部又は全部が廃スラリーとしてMWSの外に排出され、新しいスラリーがMWSに供給される。このMWSの外に排出された廃スラリーが、本実施形態のシリコン回収装置によって処理される。
【0025】
ここでスラリーの構成及び組成について説明する。スラリーは,砥粒とそれを分散するクーラントとからなる。砥粒は,その種類は限定されず,例えば,SiC,ダイヤモンド,CBN,アルミナなどからなる。クーラントは、液状有機物(オイルやグリコール系溶媒等の液状の有機物)を含むものであれば、その種類は限定されず、例えば、油性クーラント(鉱油をベースとしたオイル)や、水溶性クーラント(水をベースとしてグリコール系溶媒、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール又はポリエチレングリコール、界面活性剤、有機酸などが添加されたもの)であってもよい。クーラントは、エチレングリコール、プロピレングリコール又はポリエチレングリコールなどの有機溶媒を主成分とし、ここにpH調整のための有機酸水溶液を好ましくは10wt%以下、ベントナイトなどの添加物を好ましくは10wt%以下、さらに好ましくは3wt%以下添加したものであってもよい。なお、ここでいう「有機溶媒を主成分とする」とは、例えばクーラント中に好ましくは20wt%以下、さらに好ましくは15wt%以下の水分が含まれていても良いことを意味している。
クーラントは、水溶性クーラントが好ましい。この場合、液状有機物を低沸点有機溶媒に溶解させて除去しやすいという利点がある。
【0026】
2.第1固液分離部
第1固液分離部1の構成は、廃スラリー又はその濃縮分を固液分離してシリコン回収用固形分を取得することが可能な構成であれば特に限定されず、第1固液分離部1は、例えば、遠心分離機、濾過装置又は蒸留装置などの固液分離装置を単独で又はこれらを2つ以上直列に組み合わせて構成される。組合せの具体例としては、(1)遠心分離機と蒸留装置、(2)遠心分離機と濾過装置又は(3)濾過装置と蒸留装置などである。(1)〜(3)において、遠心分離機、濾過装置又は蒸留装置は、それぞれ2つ以上含まれていてもよい。各固液分離装置は、分離後の液分と固形分の何れを次の固液分離装置に送ってもよく、液分の一部と固形分の混合物又は固形分の一部と液分の混合物を次の固液分離装置に送ってもよい。
【0027】
ここで、図2を用いて、第1固液分離部1の構成例について説明する。図2は第1固液分離部1の構成を示すブロック図である。本構成例の第1固液分離部1は、一次遠心分離機19と、二次遠心分離機21と、蒸留装置23とを備えている。
【0028】
一次遠心分離機19は、一次遠心分離により廃スラリー又はその濃縮分を一次液分と一次固形分に分離する。一次遠心分離は、比較的低速で行われ、例えば100G以上1000G以下で行われる。一次固形分は、砥粒が主成分となるので、そのままもしくは洗浄、乾燥などの処理後、再生砥粒としてMWS等にて再利用できる。一次液分は、二次遠心分離機21に送られる。なお、一次液分は、二次遠心分離機21に送る代わりに、蒸留装置23に直接送ってもよい。この場合、二次遠心分離機21は、省略可能である。
【0029】
二次遠心分離機21は、二次遠心分離により一次液分を二次液分と二次固形分に分離する。二次遠心分離は、比較的高速で行われ、例えば2000G以上5000G以下で行われる。二次固形分には、主にシリコンが含まれ、一次遠心分離で分離できなかった砥粒も含まれている。二次固形分は、廃棄してもよく、一部又は全部をシリコン再生のために使用してもよい。二次液分中には、主にシリコンが含まれるので、二次液分を蒸留することによりシリコンを主成分とするシリコン回収用固形分を得ることができる。二次液分は、蒸留装置23に送られる。なお、二次液分の代わりに二次固形分を蒸留装置23に送ってもよい。また、二次液分の一部と二次固形分を混合したものや、二次固形分の一部と二次液分とを混合したものを蒸留装置23に送ってもよい。
【0030】
蒸留装置23は、蒸留により二次液分を蒸留液分と蒸留固形分とに分離する。蒸留は、減圧下(例えば、5Torr以上20Torr以下)で行うことが好ましい。減圧により液体の沸点が下がるため、比較的低温及び/又は高速での蒸留が可能になるからである。なお、蒸留液分は、そのまま(蒸留クーラント)又は別途再生処理を施して再生クーラントとしてMWS等にて再利用できる。蒸留固形分は、シリコン回収用固形分として、洗浄部3に送られる。
【0031】
3.洗浄部
次に、洗浄部3について説明する。洗浄部3は、洗浄液を用いてシリコン回収用固形分の洗浄を行う。洗浄液は、クーラントに含まれる液状有機物に対し相溶性を有し且つ前記液状有機物よりも沸点が低い低沸点有機溶媒と水とを含む。洗浄部3は、例えば、シリコン回収用固形分と洗浄液を収容する容器と、容器内のシリコン回収用固形分と洗浄液を攪拌する攪拌部とを備える。
【0032】
シリコン回収用固形分には、通常、グリコール系溶媒やオイルなどのクーラント由来の液状有機物が5wt%〜20wt%程度含まれており、そのままでは再生シリコンの純度を下げる原因となる。以下、シリコン回収用固形分に残留したクーラント由来の液状有機物を残留クーラントと呼ぶ。
残留クーラントは、加熱部13によってシリコン回収用固形分が融解される際にSiCを形成し、融解シリコンが固化されて形成されるシリコンインゴット中に不要なSiCを発生させる原因になる。そこで、残留クーラント濃度を低下させるために、シリコン回収用固形分の洗浄が行われる。
【0033】
本工程での洗浄では、残留クーラントを洗浄液中に溶解させる。具体的には、洗浄は、例えば、シリコン回収用固形分と洗浄液中とを混合し、攪拌することによって行うことができる。本実施形態では、洗浄液中の低沸点有機溶媒が液状有機物に対し相溶性を有しているので、残留クーラントを洗浄液中に比較的容易に溶解させることができる。
【0034】
上記低沸点有機溶媒の種類は,クーラントに含まれる液状有機物に対し相溶性を有し且つ前記液状有機物よりも沸点が低いものであれば,限定されない。クーラント中に液状有機物が複数種類含まれている場合は、複数種類の液状有機物のうちの少なくとも1種の液状有機物に対し相溶性を有し且つその液状有機物よりも沸点が低ければよく、クーラント中の全種類の液状有機物に対し相溶性を有し且つそれらの液状有機物の何れよりも沸点が低いことが好ましい。前者の場合でも、クーラント中の少なくとも1種の液状有機物を低沸点有機溶媒に溶解させて除去することができ、後者の場合、クーラント中の全種類の液状有機物を低沸点有機溶媒に溶解させて除去することができるからである。
低沸点有機溶媒は、例えば,炭素数が1〜6(好ましくは,1,2,3,4,5及び6の何れか2つの間の範囲)のアルコール又は炭素数が3〜6(好ましくは,3,4,5及び6の何れか2つの間の範囲)のケトンである。このようなアルコールの具体例としては,メタノール,エタノール,イソプロピルアルコール、ブチルアルコールなどが挙げられる。このようなケトンの具体例としては,アセトンやメチルエチルケトンが挙げられる。低沸点有機溶媒は,複数種類の有機溶媒の混合物であってもよい。また、低沸点有機溶媒は、メタノール,エタノール,イソプロピルアルコール若しくはアセトン又はこれらのうちの2つ以上の混合物からなることが好ましい。これらは、洗浄で得られたシリコン回収用固形分を加熱する際、容易に除去されることで太陽電池の特性を向上させる利点がある。
別の観点から,低沸点有機溶媒は,液状有機物よりも,沸点が50℃以上(好ましくは,60℃,70℃,80℃,90℃又は100℃以上)低いものが好ましい。低沸点有機溶媒は、通常、後工程で蒸発させて除去するが、沸点が低いものであれば、蒸発され易いからである。
洗浄液中の低沸点有機溶媒の比率は、例えば、50〜99.9wt%であり、具体的には、50、60,70,71,72,73,74,75,80,90,95,96,97,98,99,99.5,99.9wt%である。洗浄液中の低沸点有機溶媒の比率は、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0035】
また、廃スラリーから回収した固形分には、ワイヤの切り屑である鉄や銅を含む他、ナトリウムやカルシウムなどのアルカリ金属、及びアルカリ土類金属を含む。これらの金属不純物は、単体として存在するほか、化合物、とくに前記クーラントに含まれる有機酸との塩として存在している。これらの化合物は一般に有機溶媒には難溶であり、水に可溶なため、洗浄液に水を加える。これによって、本工程での洗浄中に、上記化合物を洗浄液に溶解させることが容易になる。洗浄液中の水の比率は、例えば、0.1〜50wt%であり、具体的には、0.1,0.5,1,2,3,4,5,10,15,20,25,26,27,28,29,30,40,50wt%である。洗浄液中の水の比率は、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
また、洗浄液中の水の割合を大きくすると、水の活量が増加してシリコンを酸化させることによる、シリコン回収率の低下や、アルカリ金属との化学反応による回収用固形分の塊状化が起こりやすくなる。実際に洗浄液中の水の比率が30wt%以上の場合に塊状化が起こりやすいことが確認された。従って、洗浄液中の水の比率は、30wt%未満であることが好ましい。
塊状化がおこると、後述する分級や金属屑除去の効果が得られないため、別途粉砕等を行う必要が生じる。またこのような場合は、酸化が促進されている可能性が高いため、融解により得られるシリコンの回収率を下げるかもしれない。
また、シリコン回収率を高くするために、洗浄液中の水の比率は、1〜10wt%がさらに好ましく、1〜2wt%がさらに好ましい。
【0036】
また、洗浄液に酸水溶液をさらに加えることが好ましい。上記の金属不純物の化合物は、酸水溶液にも可溶であるため、洗浄液に酸水溶液を含ませることによって上記の金属不純物の化合物を洗浄液に溶解させることをさらに容易にすることができる。酸水溶液の種類は、特に限定されないが、例えば、塩酸、弗酸である。
洗浄液中の水と酸水溶液の合計比率は、例えば、0.1〜50wt%であり、具体的には、0.1,0.5,1,2,3,4,5,10,15,20,25,26,27,28,29,30、40,50wt%である。
【0037】
洗浄液は、低沸点有機溶媒と水のみ又は低沸点有機溶媒と水と酸水溶液のみからなってもよく、他の成分を含んでいてもよい。他の成分を含む場合、低沸点有機溶媒と水の合計比率又は低沸点有機溶媒と水と酸水溶液の合計比率は、例えば、50wt%〜99.9wt%であり、具体的には、例えば、50,60,70,80,90,95,99,99.5,99.9wt%である。この合計比率は、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0038】
4.第2固液分離部
第2固液分離部4は、前記洗浄後に前記洗浄液と前記シリコン回収用固形分を固液分離してシリコン回収用固形分を取得することが可能な構成であれば特に限定されず、第1固液分離部1と同等の構成を用いてもよく、異なる構成を用いてもよい。ただし、洗浄液に酸水溶液を加えた場合や有機酸を含むクーラントを用いた場合には、この酸水溶液や有機酸のために洗浄後の洗浄液が酸性を帯びる場合がある。従って、第2固液分離部4の装置の材料としては酸に対して耐腐食性のある材料を用いることが好ましい。
【0039】
5.乾燥部
乾燥部7は、第2固液分離後のシリコン回収用固形分に残留している洗浄液を除去してシリコン回収用固形分を乾燥させる。シリコン回収用固形分の乾燥は、例えば、シリコン回収用固形分を加熱するか、シリコン回収用固形分の周囲雰囲気を減圧することによって行うことができる。
また、乾燥部7は、シリコン回収用固形分を粉砕する機能を有する乾燥及び粉砕部であってもよい。乾燥と粉砕は、同時に行ってもよく、乾燥を行ってから粉砕を行ってもよく、その逆であってもよい。シリコン回収用固形分の粉砕は、粉砕羽根を用いた粉砕装置、ボールミル、ジェットミル、振動真空乾燥機などの公知の装置を用いて行うことができる。
【0040】
6.分級部
分級部5は、洗浄後のシリコン回収用固形分に対して分級を行う。分級の目的の1つは、分級前よりも砥粒の含有率を低減させ且つシリコンの含有率を高めることである。分級とは、粒径や密度などの粒子パラメータに基づいて粒子を分別する方法である。分級部5は、篩、慣性分級装置又は遠心分級装置などで構成することができる。
【0041】
7.金属屑除去部
金属屑除去部9は、磁場を用いて、シリコン塊又はシリコンウエハの切断又は研磨時に廃スラリーに混入するワイヤ屑などの強磁性体の金属屑を除去する機能を有する。金属屑は、シリコン又はSiCが付着した状態で除去されることもある。金属屑除去部9は、例えば、磁石及び振動攪拌機により構成される。
【0042】
金属屑の除去は、洗浄液中に分散された状態のシリコン回収用固形分、又は粉末状態のシリコン回収用固形分、分級時に気流によって搬送されている粉体、分級後のシリコン回収用固形分の何れか1つ又は2つ以上に対して行うことができる。従って、金属屑除去部9は、例えば、第1洗浄部3、乾燥部7及び分級部5のうちの何れか1つ以上に設けることができる。シリコン回収用固形分等から金属屑を除去することによって、再生シリコン中の金属濃度を低下させることができる。また、MWSに用いられるワイヤにはリンが含まれることが多く、この場合、廃スラリーに混入する金属屑にもリンが含まれることになる。リンは、P型太陽電池作製には不要な成分であるために溶解前に取り除くことが好ましいが、本実施形態によれば、金属屑の除去と共にリンも除去される。
【0043】
8.成形部
成形部11は、シリコン回収用固形分を加圧して板状、ブロック状、ペレット状などに造粒する機能を有する装置であれば、その構成は、特に限定されない。例えば、圧縮造粒機や押出造粒機などの公知の装置を用いて行うことができる。
【0044】
9.加熱部
加熱部13は、シリコン回収用固形分を加熱して融解させる機能を有するものである。加熱部13は、シリコン回収用固形分に対して、シリコンの融点以上の加熱を行いシリコン回収用固形分を融解させることのできるものであればよいが、好ましくは1800℃以上、さらに好ましくは2000℃以上の加熱が可能であり、不活性ガスの導入部を有することがさらに好ましい。
【0045】
また、好ましくは、シリコンの融点以上の加熱を行う前に、減圧下又は不活性ガスの存在下において、シリコンの融点より低く、洗浄部3で用いる洗浄液の沸点より高い温度でシリコン回収用固形分を焼成し、洗浄液の残液などを除去する処理を前処理として行うことができる。例えば不活性ガス雰囲気でシリコン回収用固形分を300℃以上600℃以下の温度まで加熱して2時間以上保持し、不純物を取り除くことができる。
【0046】
10.精製部
精製部15は、シリコン回収用固形分が融解されて得られるシリコン含有融解体中に含まれる不純物を除去する機能を有する。精製部15は、例えば、従来の多結晶シリコン鋳造時における各種(例えば減圧融解下におけるリン除去や一方向凝固による偏析不純物の除去など)の公知の精製手法を用いて、不純物の除去を行う。これによって不純物が除去されたシリコン塊が得られる。
【0047】
精製部15によって得られる不純物が除去されたシリコン塊は、そのまま再生シリコンとして回収することができる。
【0048】
10.固化部
固化部17は、シリコン含有融解体を自然冷却又は強制冷却させて固化する機能を有するものであり、これによってシリコン塊が得られる。このシリコン塊は、再生シリコンとして回収することができる。
【実施例】
【0049】
1.実施例1
本発明のシリコン回収装置及び回収方法の実施例について、具体的な数値を用いて説明する。本実施例は、図1及び図2に示すシリコン回収装置を用いてシリコンの再生を行ったものであり、図1及び図2を参照して説明を進める。
【0050】
本実施例には、クーラントと砥粒を重量比1:1で混合したスラリーを用いて多結晶シリコンの切断加工を行い、MWSから排出された廃スラリーを使用した。クーラントには、水(15wt%程度)と、砥粒などの分散を容易にするための分散剤及びpH調整剤としての有機酸など(1wt%程度)とを含み、残部がプロピレングリコールからなるものを用いた。
廃スラリー中にはシリコンからなる切断屑が10wt%〜12wt%程度含まれる。
【0051】
1−1.第1固液分離工程
まず、第1固液分離部1において廃スラリーの固液分離を行ってシリコン回収用固形分を取得した。第1固液分離部1には、一次遠心分離機19、二次遠心分離機21及び蒸留装置23を含むものを用いた。固液分離は、一次遠心分離、二次遠心分離及び蒸留を組み合わせて行った。以下、詳細に説明する。
【0052】
(1)一次遠心分離工程
まず、廃スラリーを一次遠心分離機19に投入し、遠心力が500G(比較的低い遠心力であり、一般的には「一次分離」と呼ぶ)になるように一次遠心分離機19を動作させることにより砥粒が主成分の一次固形分(重比重液)とクーラント及び切屑(シリコンを主に含む)が主成分の一次液分(低比重液)に分離した。
【0053】
(2)二次遠心分離工程
次に、一次液分(低比重液)を二次遠心分離機21に投入し、遠心力が3500G(比較的高い遠心力であり、一般的には「二次分離」と呼ぶ)になるように二次遠心分離機21を動作させることによりクーラントが主成分の二次液分及び、切屑と砥粒が主成分の二次固形分に分離した。
【0054】
ここで、二次液分と二次固形分の成分を以下の表1に示す。なお、本実施例では、500kgの廃スラリーから、80kgの二次液分と100kgの二次固形分が得られた。表1中の数値の単位は、特に指定しない限り、wt%である。
【0055】
【表1】

【0056】
(3)蒸留工程
次に、二次液分を蒸留装置23に投入し、二次液分に対して、到達真空度10Torr、160℃の蒸留を行うことによりシリコン回収用固形分と再生クーラントを得た。得られたシリコン回収用固形分の成分を以下の表2に示す。表2中の数値の単位は、特に指定しない限り、wt%である。
【表2】

【0057】
1−2.洗浄工程、金属屑除去工程
次に、洗浄部3において、IPAと純水とを98:2の重量比で混合した洗浄液を用いて、前記シリコン回収用固形分と洗浄液を1:10の質量比で混合し、1時間の攪拌洗浄を行った。攪拌中に、さらに磁力1.4Tの磁石からなる金属屑除去部9を用いて、この攪拌溶液に含まれる金属屑を取り除いた。その後、洗浄液のpHが1.5〜5を示すように塩酸を少量加え、この攪拌溶液に含まれる金属屑をさらに取り除いた。
【0058】
1−3.第2固液分離工程
次に、第2固液分離部4において、上記の攪拌溶液の固液分離を行い、シリコン回収用固形分を取り出した。固液分離は、濾過によって行った。
【0059】
1−4.乾燥工程
次に、乾燥部7において、シリコン回収用固形分の乾燥を行った。この乾燥は、固形分を0.1気圧の空気中で60℃まで加熱することで1時間乾燥させた。
【0060】
1−5.分級工程
次に、遠心分級装置からなる分級部5においてシリコン回収用固形分の分級を行った。今回用いたスラリー中には、粒径10um程度のSiC砥粒と、粒径0.1〜3um程度のシリコン切断屑が含まれているため、粒径5um以上の粒子を分離するよう回転数を設定し、SiCの分離を行った。
【0061】
1−6.成形工程
次に、押出造粒機からなる成形部11において、25℃、30,000N/m2でシリコン回収用固形分の造粒を行い、1mm×1mm×0.5mm程度のペレット形状とした。
【0062】
1−7.加熱及び精製工程
次に、加熱部13及び精製部15を兼ねる装置において造粒後のペレット状シリコンの焼成、融解及び精製を行った。
【0063】
具体的には、造粒後のペレット状シリコンをグラファイト坩堝に入れ、10Torrの真空下で抵抗加熱により600℃、1時間の焼成を行うことにより、ペレット状シリコン中にわずかに残った微量有機物を除去し、次に、Ar雰囲気下で高周波誘導加熱により1800℃にてシリコン融解を行い、その後、坩堝下方から温度降下させることで、シリコンの一方向凝固を行ってシリコン塊を得た。さらに、得られたシリコン塊の上部(金属不純物の濃縮部)を切断して除去した。この一方向凝固と不純物濃縮部の除去を2度繰り返して、4.7kgの再生シリコンインゴットを得た。
【0064】
次に、前記再生シリコンインゴットをMWSで厚さ250μmに切断して再生シリコンウエハ(多結晶基板)を得た。この再生シリコンウエハを用いて太陽電池を作製し、光電変換特性を測定した。
【0065】
本実施例における再生シリコンウエハを用いた太陽電池と、市販の通常の太陽電池用シリコンウエハを用いた太陽電池の特性を、表3に示す。表3は、通常の太陽電池用シリコンウエハを用いた太陽電池の特性を100%とし、本実施例における太陽電池特性を相対比較したものである。
【0066】
【表3】

【0067】
2.比較例1
比較例1では、洗浄部3に用いる洗浄液としてIPAのみを用い、その他は実施例1と全く同等の条件でシリコンの回収を行った。このとき、12.8kgの回収用固形分から、4.8kgの再生シリコンインゴットを得た。
次に、前記再生シリコンインゴットをMWSで厚さ250μmに切断して得られた再生シリコンウエハを用いて太陽電池を作製し、光電変換特性を測定した。
【0068】
比較例1における再生シリコンウエハを用いた太陽電池の特性を表4に示す。表4は、通常の太陽電池用シリコンウエハを用いた太陽電池の特性を100%とし、比較例1における太陽電池特性を相対比較したものである。
【0069】
【表4】

【0070】
表3と表4を比較すると、実施例1では、比較例1よりも最大出力Pmaxが優れていることが分かる。
【0071】
ここまでで述べたように、実施例1を用いたとき光電変換特性が改善され、特性を市販の通常の太陽電池用シリコンウエハにより近づけることができた。これは、後述する関連実験に関する図3からも明らかなように、純水を添加することで洗浄効果が高まり、不純物が低減したことによると考えられる。
【0072】
一方、同量の回収用固形分から得られる再生シリコンの回収量はわずかに減少したが、より価値の高い再生シリコンを得ることができる。
【0073】
3.洗浄液に水を含ませることの効果を実証するための実験
本実験では、前記シリコン回収用固形分50gに対し、洗浄液を500g加え、15分間攪拌機で攪拌した後、30分間の超音波洗浄を行い、さらに濾過による固液分離を行い、0.1気圧の空気中で固形分を60℃まで加熱することで1時間乾燥させた。
【0074】
前記の方法で、純水を含み残部がIPAからなる洗浄液で洗浄を行った。洗浄液中の純水の比率は、1,2,5,10,15,25,30、50wt%とした。また、比較のためにIPAのみの洗浄液についても評価を行った。
【0075】
それぞれのシリコン回収用固形分について、熱天秤測定法により残留有機不純物量を測定した。また、洗浄前のシリコン回収用固形分に対する融解後のシリコン重量から、シリコン回収率を計算した。測定結果と併せて図3に示す。
【0076】
図3に示すように、IPAのみの洗浄と比較して純水を添加することにより有機不純物の除去量が増えている。とりわけ、1wt%程度の少量の添加によっても洗浄効果が劇的に増加することがわかった。その作用は、必ずしも明らかでないが、前述したようにシリコン回収用固形分には金属と有機酸の塩が存在しており、これらが電離することで洗浄液が酸性を帯び、洗浄効果が増加したためであると推測される。
また、シリコン回収率は、水の添加量が10wt%以下の場合に大きく、2wt%以下の場合にさらに大きかった。また、シリコン回収率は、水の添加量が15wt%以上の場合に比較的小さかった。このような結果が得られたのは、水の添加量が多い場合はシリコンの酸化が促進されたためであると推測される。
【0077】
また、乾燥後のシリコン回収用固形分の塊状化の有無を表5に示す。表5に示すように、純水の添加量を30wt%以上し、溶媒中で1時間以上経過することにより徐々に塊状化がおこった。その作用は、必ずしも明らかでないが、純水の増加によりアルカリ金属が化学反応を起こすためであると推測される。塊状化が著しく進行すると、一旦粉砕等の工程を経る必要があることから洗浄条件が制限されてしまう。従って、水の添加量は30wt%未満とすることが好ましい。図3から水の添加量を1〜10wt%にすることがさらに好ましく、1〜2wt%にすることがさらに好ましいことが分かる。
【0078】
【表5】

【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の一実施形態のシリコン回収装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1の固液分離部の一構成例を示すブロック図である。
【図3】水添加の効果を調べる実験の結果を示す、純水添加量と残留有機不純物量との関係及び純水添加量とシリコン回収率との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0080】
1:第1固液分離部 3:洗浄部 4:第2固液分離部 5:分級部 7:乾燥部 9:金属屑除去部 11:成形部 13:加熱部 15:精製部 17:固化部 19:一次遠心分離機 21:二次遠心分離機 23:蒸留装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
砥粒とクーラントを含むスラリーを用いたシリコン塊又はシリコンウエハの切断又は研磨によって前記スラリーにシリコン屑が混入された廃スラリー又はその濃縮分を固液分離してシリコン屑を含有するシリコン回収用固形分を取得する第1固液分離工程と、洗浄液を用いて前記シリコン回収用固形分を洗浄する洗浄工程と、前記洗浄後に前記洗浄液と前記シリコン回収用固形分を固液分離する第2固液分離工程とを備え、
前記クーラントは、液状有機物を含み、
前記洗浄液は、前記液状有機物に対し相溶性を有し且つ前記液状有機物よりも沸点が低い低沸点有機溶媒と水とを含むことを特徴とするシリコン回収方法。
【請求項2】
前記洗浄液は、無機酸をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記洗浄液中の水の比率は、30wt%未満である請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記洗浄液中の低沸点有機溶媒は,炭素数が1〜6のアルコールと炭素数が3〜6のケトンからなる群から選ばれる1つからなるか又は2つ以上の混合物からなる請求項1〜3の何れか1つに記載の方法。
【請求項5】
前記洗浄液中の低沸点有機溶媒は,メタノール,エタノール,イソプロピルアルコール及びアセトンからなる群から選ばれる1つからなるか又は2つ以上の混合物からなる請求項1〜4の何れか1つに記載の方法。
【請求項6】
前記クーラントは、水溶性クーラントからなる請求項1〜5の何れか1つに記載の方法。
【請求項7】
砥粒とクーラントを含むスラリーを用いたシリコン塊又はシリコンウエハの切断又は研磨によって前記スラリーにシリコン屑が混入された廃スラリー又はその濃縮分を固液分離してシリコン屑を含有するシリコン回収用固形分を取得する第1固液分離部と、洗浄液を用いて前記シリコン回収用固形分を洗浄する洗浄部と、前記洗浄後に前記洗浄液と前記シリコン回収用固形分を固液分離する第2固液分離部とを備え、
前記クーラントは、液状有機物を含み、
前記洗浄液は、前記液状有機物に対し相溶性を有し且つ前記液状有機物よりも沸点が低い低沸点有機溶媒と水とを含むことを特徴とするシリコン回収装置。
【請求項8】
前記洗浄液は、無機酸をさらに含む請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記洗浄液中の水の比率は、30wt%未満である請求項7又は8に記載の装置。
【請求項10】
前記洗浄液中の低沸点有機溶媒は,炭素数が1〜6のアルコールと炭素数が3〜6のケトンからなる群から選ばれる1つからなるか又は2つ以上の混合物からなる請求項7〜9の何れか1つに記載の装置。
【請求項11】
前記洗浄液中の低沸点有機溶媒は,メタノール,エタノール,イソプロピルアルコール及びアセトンからなる群から選ばれる1つからなるか又は2つ以上の混合物からなる請求項7〜10の何れか1つに記載の装置。
【請求項12】
第2固液分離部で得られた固形分について,低沸点有機溶媒、酸水溶液及び水からなる群から選ばれる1つからなるか又は2つ以上の混合物からなる洗浄液を用いて、さらに1回以上の洗浄を行う洗浄部をさらに備える請求項7〜11の何れか1つに記載の装置。
【請求項13】
前記クーラントは、水溶性クーラントからなる請求項7〜12の何れか1つに記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−196849(P2009−196849A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−40318(P2008−40318)
【出願日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】