説明

シリコーンコーティング、シリコーンコート物の製造方法、および該方法から製造されたコート物

紙、プラスチックフィルム、金属フィルム、および他の材料をコーティングする接着性剥離コーティングと、無機鉱物充填材を含むシリコーン組成物を用いたコート物の製造方法とを提供する。無機鉱物充填材の使用によって、純シリコーン剥離組成物の粘性と同等以下の粘性を有する剥離コーティングが実現される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被着体と接着剤との間の剥離層を提供するコーティングに関する。
【背景技術】
【0002】
本願は、本明細書に参照として援用される米国特許仮出願第60/950,619号明細書(2007年7月19日出願)の優先権を米国特許法119条(e)下で主張している。
【0003】
シリコーンコーティングは、接着剤および他の粘着材料用の剥離コーティングとして用いられている。シリコーンコーティングは、通常、一般的な3種類のシリコーン樹脂、すなわち、溶剤型シリコーン樹脂;無溶剤シリコーン樹脂;および乳化型シリコーン樹脂から形成される。これらのシリコーン樹脂から形成されるシリコーンコーティングは、接着剤および被着体上に重ねられた物体が被着体から簡単に取り除けるように、被着体(紙など)と接着剤との間の保護層を提供する。
【0004】
通常、シリコーンコーティングは充填材なしで、あるいは少量の充填材を含んで形成される。シリコーン樹脂は一般に充填材よりも高価であるため、シリコーンコーティングに安価の充填材を含まない(または少量しか含まない)と、シリコーンコーティングは比較的高価になる。
【0005】
しかし、水性のシリコーンコーティング組成物に色素充填材を含める試みがなされている。たとえば、全内容が本明細書において引用により援用される、サード(Saad)らによる特許文献1には、(i)シリコーン樹脂と、(ii)水性エマルジョンにおける樹脂の分散に有効な複数の乳化剤の組み合わせと、(iii)樹脂−水のエマルジョンにおいて重量によって予め選択されるシリコーン樹脂固形分を提供するために有効な量の水と、を含むエマルジョン組成物が記載されている。シリコーンエマルジョン組成物は、色素25重量部〜50重量部に対し、50重量部〜70重量部で加えられる。色素はタルクを含んでもよい。サードらの開示はシリコーンエマルジョンの混合物に制限されており、組成物において色素は50重量部までしか可能にならない。
【0006】
理想的には、充填材は性能特性(たとえば、接着性、粘性、加工性、および剥離特性)を維持しつつ、シリコーンコーティングのコストを下げるものでなければならない。通常、充填材の取り込み程度は、性能特性を維持する限り、高いほどより望ましい。溶剤シリコーンおよび無溶剤シリコーンの剥離コーティングに対して充填材を加えることは問題であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第4,383,062号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記および他の問題は、本発明の様々な実施形態および構成によって解決される。本発明は、包括的には、シリコーンコーティング、コート物の製造方法、およびかかる方法により製造されたコート物に関する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、接着剤に対する剥離コーティングとして有用なシリコーンコーティング組成物であって、このシリコーンコーティング組成物は、約5重量%〜約80重量%の疎水性無機鉱物充填材と、約20重量%〜約95重量%のシリコーン樹脂と、を含む。好ましい実施形態において、疎水性無機鉱物充填材は、約10重量%〜約70重量%のシリコーンコーティング組成物を含む。本発明のより好ましい実施形態において、疎水性無機鉱物充填材は、約20重量%〜約60重量%のシリコーンコーティング組成物を含む。更に好ましい実施形態において、疎水性無機鉱物充填材は、約40重量%のシリコーンコーティング組成物を含む。
【0010】
別の好ましい実施形態において、シリコーンコーティング組成物は、約25度において約20Pa・s(約20,000センチポアズ)未満の粘度を有し、更に好ましい実施形態において、シリコーンコーティング組成物は、約25度において約10Pa・s(約10,000センチポアズ)未満の粘度を有する。本発明の更に好ましい実施形態において、シリコーンコーティング組成物は、約25度において約0.05Pa・s〜約20Pa・s(約50センチポアズ〜約20,000センチポアズ)の粘度を有する。
【0011】
シリコーンコーティング組成物の疎水性無機鉱物充填材は、クレイ、炭酸カルシウム、ドロマイト、マイカ、アルミナ三水和物、水酸化マグネシウム、二酸化チタン、硫酸バリウム、シリカ、アルカリ金属アルミノケイ酸塩、タルク、アルカリ土類金属アルミノケイ酸塩、フィロケイ酸塩鉱物、およびそれらの混合物から成る群から選択されてもよい。本発明の好ましい実施形態において、疎水性無機鉱物充填材はタルクを含む。
【0012】
一実施形態において、疎水性無機鉱物充填材は、表面処理、バルク処理、または親水性無機材の複合化のうちの1つによって形成される。
別の好ましい実施形態において、疎水性無機鉱物充填材はパーティクルを含む。より好ましい実施形態において、疎水性無機パーティクルの少なくとも約50重量%は、約45μm未満の粒径を有する。別の好ましい実施形態において、疎水性無機鉱物充填材は、水に対して少なくとも約90度の接触角を有してもよく、好ましくは少なくとも約120度の接触角を有してもよい。更に別の好ましい実施形態において、疎水性無機鉱物充填材は、約45重量%未満の含水率を有する。
【0013】
シリコーン樹脂は、ビニルシリコーン、ヘキセニルシリコーン、およびそれらの混合物から成る群から選択されてもよい。幾つかの実施形態において、シリコーン樹脂は、ヒドリド官能性架橋剤と触媒とを更に含む。他の実施形態において、シリコーン樹脂は、熱硬化およびエネルギー線硬化から成る群から選択されるプロセスによって処理されてもよい。シリコーン樹脂は、溶剤型シリコーン樹脂、乳化型シリコーン樹脂、および無溶剤シリコーン樹脂から選択されてもよく、好ましい実施形態においては無溶剤シリコーンである。
【0014】
本発明の別の態様は、剥離基材と、剥離基材に接しているシリコーンコーティング組成物とを含むコーティングされた物(以下、コート物と称する)である。好ましい実施形態において、コート物の疎水性無機鉱物充填材はタルクである。
【0015】
剥離基材は、紙、プラスチックフィルム、金属フィルム、箔、パーチメント、グラシン紙、スーパーカレンダークラフト紙、クレイコートクラフト紙、ポリコートクラフト紙、不織布材料、織布材料、ボール紙、アルミホイル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタラート、ポリマーフィルム、およびセルロース系材料から成る群から選択されてもよい。
【0016】
本発明の更に別の態様は、コート物を形成すべく、シリコーンコーティング組成物を、剥離基材の少なくとも1つの表面に塗布する塗布ステップを含む、コート物の製造方法である。
【0017】
コート物の製造において、塗布ステップは、カーテン塗工、含浸塗工、スプレー塗工、液浸塗工、浸漬塗工、ロール塗工、スロットコーティング、カレンダー塗工、グラビア塗工、フレキソ印刷コーティング、ブレード塗工、および押出塗工から成る群から選択されてもよい。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の一態様は、シリコーンコーティング組成物である。一実施形態において、シリコーンコーティング組成物は、シリコーン樹脂と疎水性無機鉱物充填材とを含む。
本発明において有用なシリコーン樹脂は、任意の適切なシリコーン樹脂であってもよい。
【0019】
適切なシリコーン樹脂の例としては、これらに制限されないが、溶剤型シリコーン樹脂、乳化型シリコーン樹脂、および無溶剤シリコーン樹脂がある。シリコーン樹脂という語は、単量体シリコーン、オリゴマーシリコーン、ポリマーシリコーンのうちの少なくとも1つを含むシリコーン材および/もしくは無機シリコーン材と、複数の無機シリコーン材とのうちの少なくとも1つを意味する。溶剤型シリコーン樹脂は、一種のシリコーン樹脂である。溶剤型シリコーン樹脂は、非水性溶媒に分散、溶解、および/または懸濁したシリコーン樹脂を含む。乳化型シリコーン樹脂は、別の種類のシリコーン樹脂である。乳化型シリコーン樹脂は、一般にシリコーン樹脂の水性懸濁液、エマルジョン、および/または分散液である。無溶剤シリコーン樹脂は、一般に少量の(すなわち、通常約5重量%未満の)揮発性有機物および/または水性溶媒を含有するシリコーン樹脂から成る。したがって、無溶剤シリコーン樹脂は、約100重量%〜約95重量%の固形物を含む。無溶剤シリコーン樹脂の例として、これに制限されないが、Dow Corning(登録商標)社製のSyl−off(登録商標)シリコーン樹脂がある。
【0020】
幾つかの実施形態において、本発明のシリコーン樹脂は、複数の−Si−CH=CH基を有するビニルシリコーン樹脂の組成物を含む。ビニルシリコーン樹脂は、少なくとも約60重量%のジメチル、メチルビニルシロキサン、ジメチルビニル末端樹脂、および1重量%〜約5重量%のジメチルシロキサン、ジメチルビニル末端樹脂を含んでもよい。このようなビニル官能性シリコーン樹脂の粘性は、0.15Pa・s〜約1.5Pa・s(約150センチポアズ〜約1,500センチポアズ)であってもよく、25度における特定の重力は約0.97〜約1.0であってもよい。
【0021】
他の実施形態において、本発明のシリコーン樹脂は、複数の−Si−CH−CH−CH−CH-CH=CH基を有するヘキセニルシリコーン樹脂の組成物を含む。ヘ
キセニルシリコーン樹脂は、少なくとも約60の重量%のジメチル、メチルヘキセニルシロキサン、ジメチルヘキセニル末端樹脂を含んでもよい。ヘキセニルシリコーン樹脂の粘性は、0.2Pa・s〜約2.5Pa・s(約200センチポアズ〜約2,500センチポアズ)であってもよく、25度における特定の重力は約0.95〜約1.0であってもよい。
【0022】
シリコーン樹脂と疎水性無機鉱物充填材とを含む本発明のシリコーンコーティング組成物は、複数のシリコーン樹脂を組み合わせたものを含んでよいことを理解されたい。
シリコーン樹脂は、架橋剤、触媒、阻害剤、剥離調整剤、および処理助剤(たとえば、これに制限されないが高速加工助剤)を含んでもよい。一般的なシリコーン架橋剤の例としては、これに制限されないが、ヒドリド官能性架橋剤がある。ヒドリド架橋剤は、熱お
よび/またはエネルギーの存在下で付加反応によってシリコーン樹脂を除去する。
【0023】
架橋シリコーン樹脂用の一般的な触媒は、これらに制限されないが、白金触媒、少量の白金触媒、ロジウム触媒、およびスズ触媒である。シリコーン樹脂は、通常、熱処理および/またはエネルギー処理(たとえば、これらに制限されないが、電磁エネルギー、紫外線、または電子ビーム)によって除去され、および/または架橋を行う。
【0024】
本発明のシリコーンコーティング組成物は、様々な量のシリコーン樹脂を含んでもよい。本発明の一実施形態において、シリコーン樹脂は、約20重量%〜約95重量%のシリコーンコーティング組成物を含む。好ましい実施形態において、シリコーン樹脂は、約30重量%〜約80重量%のシリコーンコーティング組成物を含む。より好ましい実施形態において、シリコーン樹脂は、約40重量%〜約70重量%のシリコーンコーティング組成物を含む。更に好ましい実施形態において、シリコーン樹脂は、約60重量%のシリコーンコーティング組成物を含む。
【0025】
本発明のシリコーンコーティング組成物の別の要素は、疎水性無機鉱物充填材である。本明細書において、疎水性無機鉱物充填材は、通常、シリコーン樹脂において混合、分散、および/または懸濁した粒子状物質である。一実施形態において、無溶剤シリコーン樹脂中の疎水性無機鉱物充填材の混合、分散、および/または懸濁は、乳化剤、界面活性剤、または分散剤のない状態で行われる。鉱物充填材の疎水性によって、鉱物充填材はシリコーン樹脂と十分に混合され、硬度および外観が均一なコーティングが形成される。幾つかの実施形態において、鉱物充填材の疎水性は、水に対して少なくとも約90度の接触角を有することによって特徴付けられる。好ましくは、疎水性無機鉱物充填材は、水に対して少なくとも約100度の接触角を有し、より好ましくは約120度の接触角を有する。
【0026】
幾つかの実施形態において、疎水性鉱物充填材の別の特性は、少なくとも約50重量%の疎水性無機鉱物充填材が、約45μm未満の粒径を有することである。より好ましい実施形態において、少なくとも約80重量%の疎水性無機鉱物充填材が、約45μm未満の粒径を有する。別の実施形態において、少なくとも約50重量%の疎水性無機鉱物充填材が約75μm未満の粒径を有し、より好ましくは、少なくとも約80重量%の疎水性無機鉱物充填材が約75μm未満の粒径を有する。上記の特性を有する疎水性鉱物充填材に適合すると、大きな粒子が相対的にないため、均一な硬度および外観のシリコーンコーティング組成物が提供され易い。また幾つかの実施例において、上記の制約がある場合、少量ではより小さい粒径のパーティクルが一般的に好まれることが観察されている。粒径がより小さいパーティクルは、通常、粒径がより大きいパーティクルよりもシリコーンコーティング組成物の粘性を増加させる。言い換えると、好ましくは、約45μm未満の粒径を有する80重量%の疎水性無機鉱物充填材は、通常、粒径がより小さいパーティクルよりも粒径がより大きいパーティクルにわたるガウス粒度分布を示す。様々な粒径を含む(少なくとも約80重量%の疎水性無機鉱物充填材の粒子が約45μm未満の粒径を有する)混合物は、通常、シリコーン樹脂において疎水性無機充填材の分散および/または懸濁を行うのに適切な粒径のより小さいパーティクルおよびより大きいパーティクルの統計的分布を示すことが分かっている。
【0027】
また、疎水性無機鉱物充填材の含水率は、シリコーン樹脂における疎水性無機鉱物充填材の分散性および/または懸濁性に作用し得ることも分かっている。一般に、疎水性無機鉱物の含水率が高いほど、シリコーン樹脂中において、疎水性無機鉱物充填材の混合、分散、および/または懸濁が行われにくい。好ましくは、疎水性無機鉱物充填材の含水率は、約45重量%未満である。より好ましくは、疎水性無機鉱物充填材の含水率は、約20重量%未満である。
【0028】
各種実施形態において、疎水性無機鉱物充填材は天然状態において、疎水性無機鉱物材料および/または親水性無機鉱物材料を含む。適切な疎水性無機鉱物材および/または親水性無機鉱物材の例としては、これらに制限されないが、クレイ、炭酸カルシウム、ドロマイト、マイカ、アルミナ三水和物、水酸化マグネシウム、二酸化チタン、硫酸バリウム、シリカ、アルカリ金属アルミノケイ酸塩、タルク、アルカリ土類金属アルミノケイ酸塩、フィロケイ酸塩鉱物、およびそれらの混合物がある。フィロケイ酸塩鉱物の例としては、これらに制限されないが、アンチゴライト[MgSi(OH)]、クリソタイル[MgSi(OH)]、リザルダイト[MgSi(OH)]、カオリナイト[AlSi(OH)]、タルク[MgSi10(OH)]、パイロフィライト[AlSi10(OH)]、マスコバイト[KAl(AlSi10)(OH)]、フロゴバイト[KMgSi10(OH)]、バイオタイト[K(Mg,Fe)(AlSi10)(OH)]、レピドライト[K(Li,Al)2−3(AlSi10)(OH)]、マーガライト[CaAl(AlSi10)(OH)]、またはクロライト[(Mg,Fe)(Si,Al)10(OH)・(Mg,Fe)3(OH)]、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0029】
好ましい実施形態において、無機鉱物充填材はタルクであり、より好ましい実施形態において、タルクは疎水性表面改質によって改質されていない。幾つかの実施形態において、(未改質の)タルクは、シリコーン樹脂においてタルクを濡らすために、および/または分散させるために、分散剤または界面活性剤を必要としない。
【0030】
疎水性無機鉱物充填材の別の重要な特性は、化学的に安定していることである。疎水性無機鉱物充填材は、シリコーン樹脂において化学的に安定している。すなわち、疎水性無機鉱物充填材とシリコーン樹脂は、通常、シリコーンコーティングの機能特性に実質的に作用する(たとえば、劣化および/または減退させる)製品を形成するために化学的に反応することがない。
【0031】
幾つかの実施形態において、疎水性無機鉱物充填材は、親水性無機鉱物材を疎水性にするために、表面処理、バルク処理、および親水性無機鉱物材の複合化のうちの1つ以上を行うことによって形成されてもよい。親水性無機鉱物材を疎水性にする(または、疎水性無機鉱物材の疎水性を増加させる)このような処理の例としては、これらに制限されないが、含水率を低下させること(たとえば、含水率を低下させるために熱処理を行う);1つ以上の化学物質(油または界面活性剤など)を吸収させること;1つ以上の化学物質(油または界面活性剤など)を吸収させること;表面の疎水性を化学的および/または物理的に増加させること(たとえば、表面の酸化および/もしくは還元、または表面の化学的置換物の変更を行う);および複合化(たとえば、所望の程度の疎水性を得るために疎水性鉱物と親水性鉱物を混合する)がある。
【0032】
本発明のシリコーンコーティング組成物は、様々な量の疎水性無機鉱物充填材を含んでもよい。本発明の一実施形態において、疎水性無機鉱物充填材は、約5重量%〜約80重量%のシリコーンコーティング組成物を含む。好ましい実施形態において、疎水性無機鉱物充填材は、約10重量%〜約70重量%のシリコーンコーティング組成物を含む。より好ましい実施形態において、疎水性無機鉱物充填材は、約20重量%〜約60重量%のシリコーンコーティング組成物を含む。更に好ましい実施形態において、疎水性無機鉱物充填材は、約40重量%のシリコーンコーティング組成物を含む。
【0033】
また、本発明の各種実施形態において、シリコーンコーティング組成物は、疎水性無機鉱物充填材の存在によって有意に作用されない剥離特性および粘弾性特性をしている。たとえば、シリコーン樹脂は、疎水性無機鉱物充填材を含んでも含まなくても、実質的に同
じ物理的特性(たとえば、粘性および剥離特性)を有してもよく、ほぼ同様に処理および/または利用されてもよい。
【0034】
一実施形態において、シリコーンコーティング組成物の剥離特性は、通常、実質的に維持される。すなわち、シリコーン樹脂は、疎水性無機鉱物充填材を含んでも含まなくても、通常、ほぼ同じ剥離特性を有する。幾つかの実施形態において、疎水性無機鉱物充填材を含まないシリコーン樹脂に対する、疎水性無機鉱物充填材を含むシリコーン樹脂の剥離特性の比率は約0.01〜約100であり、他の実施形態においては、約0.01〜約75、約0.02〜50、約0.04〜約25、約0.1〜約10、約0.2〜約5、約0.5〜約2、約0.7〜約1.5、約0.8〜約1.3、および約0.9〜約1.1である。いかなる理論にも束縛されることを望まないが、シリコーンコーティング組成物が塗布された一般的な感圧接着剤の剥離力は、約0.3m/minの層間剥離速度において約1,000g/25mm未満、好ましくは500g/25mm未満である。より好ましくは、シリコーンコーティング組成物が塗布された一般的な接着剤の剥離力は、約0.3m/minの層間剥離速度において、約250g/25mm未満である。
【0035】
本発明の他の実施形態において、シリコーンコーティング組成物は、疎水性無機鉱物充填材の存在によって有意に作用されない粘性を有する。たとえば、疎水性無機鉱物充填材を含む本発明のシリコーン樹脂含有組成物は、疎水性無機鉱物充填材を含まないシリコーン樹脂とほぼ同じ粘性を有してもよく、ほぼ同様に処理されてもよい。幾つかの実施形態において、疎水性無機鉱物充填材を含むシリコーン樹脂の粘性は、疎水性無機鉱物充填材を含まないシリコーン樹脂の粘性の約100倍未満であり、他の実施形態において、疎水性無機鉱物充填材を含まないシリコーン樹脂の粘性の約90倍未満、約80倍、約70倍、約60倍、約50倍、約40倍、約30倍、約20倍、約10倍、約9倍、約8倍、約7倍、約6倍、約5倍、約4倍、約3倍、または約2倍である。他の実施形態において、疎水性無機鉱物充填材を含むシリコーン樹脂の粘性は、疎水性無機鉱物充填材を含まないシリコーン樹脂の粘性の約1.9倍未満、約1.8倍、約1.7倍、約1.6倍、約1.5倍、約1.4倍、約1.3倍、約1.2倍、または約1.1倍である。幾つかの実施形態において、シリコーンコーティング組成物の粘性は、約20Pa・s(約20,000センチポアズ)未満である。他の実施形態において、シリコーンコーティング組成物の粘性は、約25度において約0.05Pa・s〜20Pa・s(約50センチポアズ〜約20,000センチポアズ)である。更に他の実施形態において、この粘性は、約0.1Pa・s〜約2Pa・s(約100センチポアズ〜約2,000センチポアズ)である。
【0036】
本発明の別の態様において、シリコーンコーティング組成物は、シリコーン樹脂において疎水性無機鉱物充填材の分散、懸濁、および/または混合を行うことによって形成される。シリコーン樹脂において疎水性無機鉱物充填材の混合、分散、および/または懸濁を行う方法には、これらに制限されないが、低せん断混合;高せん断混合;超音波混合;分散混合;攪拌;掻き混ぜ;および渦混合がある。シリコーン樹脂における疎水性無機鉱物充填材の混合、分散、および/または懸濁は、シリコーン樹脂に対する疎水性無機鉱物充填材の接触とほぼ同時に、または接触後に行われてもよい。
【0037】
本発明の別の態様は、剥離基材とシリコーンコーティング組成物とを含むコート物である。一実施形態において、コート物は接着剤を更に含む。コート物は、剥離基材に対し、シリコーンコーティング組成物のコーティングを塗布することによって形成される。通常、シリコーンコーティング組成物は、表面剥離基材に塗布される。幾つかの実施例において、シリコーンコーティング組成物は、剥離基材の1つ以上の表面に塗布されることを理解されたい。本発明の幾つかの実施形態において、シリコーンコーティング組成物は、接着剤に、および/または接着剤の1つ以上の表面に塗布される。他の実施例において、シリコーンコーティング組成物は、剥離基材および接着剤の両方に塗布される。シリコーン
コーティング組成物は、任意のコーティング処理によって剥離基材に塗布されてもよい。好ましくは、シリコーンコーティング組成物は、剥離基材および接着剤のうちの少なくとも1つに接している。より好ましくは、シリコーンコーティング組成物は、接着剤と剥離基材の間に配置され、および/または接着剤と剥離基材とに接して配置される。
【0038】
適切なコーティング処理の例としては、これらに限定されないが、カーテン塗工、含浸塗工、スプレー塗工、液浸塗工、浸漬塗工、ロール塗工、スロットコーティング、カレンダー塗工、グラビア塗工、フレキソ印刷コーティング、ブレード塗工、押出塗工、および本技術分野で用いられる他のコーティング処理がある。コーティング重量は、コーティング法、並びに接着剤および/または剥離基材に応じて異なる。いかなる理論にも束縛されることを望まないが、シリコーンコーティング組成物のコーティング重量は、一般に約0.2g/m〜約150g/mまで様々である。
【0039】
剥離基材は、任意の基材であってもよい。適切な剥離基材の例としては、これらに制限されないが、紙、プラスチックフィルム、金属フィルム、箔、パーチメント、グラシン紙、スーパーカレンダークラフト紙、クレイコートクラフト紙、ポリコートクラフト紙、不織布材料、織布材料、ボール紙、アルミホイル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタラート、ポリマーフィルム、およびセルロース系材料がある。
【0040】
接着剤は、熱可塑性接着剤、エラストマー系接着剤、または熱硬化性接着剤であってもよい。適切な接着剤の例としては、これらに制限されないが、植物性接着剤(たとえば、デンプン系接着剤);樹脂系接着剤(たとえば、エチレン酢酸ビニルまたはポリ酢酸ビニルのエマルジョン);動物性接着剤/タンパク質系接着剤(たとえば、これに限定されないが、カゼイン系接着剤);再加湿型ホットメルト;ポリアミドホットメルト;反応型ホットメルト;ポリエステル類;ポリアミド類;ポリウレタン類;アクリル類;エポキシ類;シリコーン類;シアノアクリレート類;嫌気性接着剤;フェノール類;およびポリイミド類がある。
【0041】
本明細書には主にシリコーンの使用が記載されているが、シリコーン以外の油状物質が使用可能であることを当業者には理解されたい。シリコーンに加えて、またはシリコーンの代わりに使用できる適切な炭化水素油の特定の例としては、灯油、鉱油、飽和および不飽和ドデカン、飽和および不飽和トリデカン、飽和および不飽和テトラデカン、飽和および不飽和ペンタデカン、飽和および不飽和ヘキサデカン、並びにそれらの混合物がある。これらの化合物および鎖長がより長い炭化水素の分枝鎖異性体も使用可能である。
【0042】
上記のとおり、シリコーンコーティング組成物は、通常、乳化剤、界面活性剤、または分散剤なしで形成される。本発明のシリコーンコーティング組成物は、本発明の範囲から逸脱せずにシリコーン剥離コーティングに一般に添加される、1つ以上の機能性添加物を任意に含み得ることを理解されたい。機能性添加物の例としては、これらに限定されないが、熱安定剤および紫外線安定剤、二次可塑剤、ブロッキング防止剤、着色剤、酸化防止剤、スリップ剤、核生成剤、光沢安定剤、擦り減り防止剤(anti−scuff agents)などがある。任意の機能性添加物は、一般にシリコーンコーティング組成物を約5重量%まで含む。上記のとおり、本発明のシリコーンコーティング組成物は、粘着性ラベルに対して用いられる様々な裏シートに有用であることが期待される。また、シリコーンコーティング組成物が低粘度であるために安価であり、ポリマー(ポリエチレン、ナイロンなど)の押出塗工の代替となる高速コーティングが行える。
【0043】
本発明の他の目的、利点、および新規な特徴は、以下の実施例を検討することによって当業者には明らかになるであろう。これらの実施例は、制限を意図したものではない。たとえば、本発明のシリコーンコーティング組成物は、溶剤型および乳化型のシリコーン樹
脂で形成可能でもあることを当業者には理解されたい。
【0044】
実施例
実施例1
平均粒径が19.8μmのタルクを、重量比:80%タルク/20%シリコーンエマルジョンとなるように、シリコーンエマルジョンで形成された。このシリコーンコーティング組成物は、100%シリコーンエマルジョンと同等の粘性を有した。このため、コーティング処理に対する修正はほとんど(またはまったく)必要なかった。シリコーンコーティング組成物の粘性は、約20Pa・s(20,000センチポアズ)であった。より高いコーティング粘性が許容される場合、80重量%タルク/20重量%シリコーンエマルジョンの比よりも高い比に達することも可能であった。
【0045】
タルクは、シリコーンエマルジョンにおいて十分濡れ、分散した。このシリコーンコーティング組成物が紙シート上に塗布された場合、その外観は100%シリコーンの外観のように滑らかだった。タルクの表面改質は必要なかった。また、タルクを濡らしてシリコーンエマルジョンへ分散させるのに分散剤または界面活性剤は必要なかった。
【0046】
より微細な粒径のタルク製品は、シリコーンタルクコーティングの粘性を増加させる上でより効果があった。これにより、コーティングの粘性を100%シリコーンエマルジョンと同程度に維持したい場合、シリコーンコーティング組成物中のタルク量を制限することができた。
【0047】
剥離されたクレイ(親水性材料)も、同じシリコーンエマルジョンで形成された。タルクとは異なり、クレイは、シリコーンエマルジョンへ十分に分散しなかった。シリコーンコーティング組成物は、紙上に塗布された場合、粒々のあるように見えて粗い表面となった。
【0048】
実施例2
平均粒径が19.8μmのタルクを、重量比:60%タルク/40%シリコーンエマルジョンとなるように、シリコーンエマルジョンで形成された。このエマルジョンは、100%シリコーンエマルジョンと同等の粘性を有した。このため、コーティング処理に対する修正はほとんど(またはまったく)必要なかった。シリコーンコーティング組成物の粘性は、約10Pa・s(10,000センチポアズ)未満であった。より高いコーティング粘性が許容される場合、60重量%タルク/40重量%シリコーンエマルジョンの比よりも高い比に達することも可能であった。
【0049】
タルクは、シリコーンエマルジョンにおいて十分濡れ、分散した。このシリコーンコーティング組成物が紙シート上に塗布された場合、その外観は100%シリコーンの外観のように滑らかだった。タルクの表面改質は必要なかった。また、タルクを濡らしてシリコーンエマルジョンへ分散させるのに分散剤または界面活性剤は必要なかった。
【0050】
より微細な粒径のタルク製品は、シリコーンタルクコーティングの粘性を増加させる上でより効果があった。これにより、コーティングの粘性を100%シリコーンエマルジョンと同程度に維持したい場合、シリコーンコーティング組成物中のタルク量を制限することができた。
【0051】
剥離されたクレイ(親水性材料)も、同じシリコーンエマルジョンで形成された。タルクとは異なり、クレイは、シリコーンエマルジョンへ十分に分散しなかった。シリコーンコーティング組成物は、紙上に塗布された場合、粒々のあるように見えて粗い表面となった。
【0052】
実施例3
平均粒径が19.8μmのタルクを、重量比:80%タルク/20%溶剤型シリコーン樹脂となるように、溶剤型シリコーン樹脂で形成した。この組成物は、100%溶剤型シリコーン樹脂と同等の粘性を有した。このため、コーティング処理に対する修正はほとんど(またはまったく)必要なかった。より高いコーティング粘性が許容される場合、80重量%タルク/20重量%溶剤型シリコーン樹脂の比よりも高い比に達することも可能であった。
【0053】
タルクは、溶剤型シリコーン樹脂において十分濡れ、分散した。このシリコーンコーティング組成物が紙シート上に塗布された場合、その外観は100%溶剤型シリコーン樹脂の外観のように滑らかだった。タルクの表面改質は必要なかった。また、タルクを濡らして溶剤型シリコーン樹脂へ分散させるのに分散剤または界面活性剤は必要なかった。
【0054】
より微細な粒径のタルク製品は、シリコーンタルクコーティングの粘性を増加させる上でより効果があった。これにより、コーティングの粘性を100%溶剤型シリコーン樹脂と同程度に維持したい場合、シリコーンコーティング組成物中のタルク量を制限することができた。
【0055】
剥離されたクレイ(親水性材料)も、同じ溶剤型シリコーン樹脂で形成した。タルクとは異なり、クレイは、溶剤型シリコーン樹脂へ十分に分散しなかった。シリコーンコーティング組成物は、紙上に塗布された場合、粒々のあるように見えて粗い表面となった。
【0056】
実施例4
平均粒径が19.8μmのタルクを、重量比:40%タルク/60%無溶剤シリコーン樹脂となるように、無溶剤シリコーン樹脂で形成した。この組成物は、100%無溶剤シリコーン樹脂と同等の粘性を有した。このため、コーティング処理に対する修正はほとんど(またはまったく)必要なかった。より高いコーティング粘性が許容される場合、60重量%タルク/40重量%無溶剤シリコーン樹脂の比よりも高い比に達することも可能であった。
【0057】
タルクは、無溶剤シリコーン樹脂において十分濡れ、分散した。このシリコーンコーティング組成物が紙シート上に塗布された場合、その外観は100%無溶剤シリコーンの外観のように滑らかだった。タルクの表面改質は必要なかった。また、タルクを濡らして無溶剤シリコーン樹脂へ分散させるのに分散剤または界面活性剤は必要なかった。
【0058】
より微細な粒径のタルク製品は、シリコーンタルクコーティングの粘性を増加させる上でより効果があった。これにより、コーティングの粘性を100%無溶剤シリコーン樹脂と同程度に維持したい場合、シリコーンコーティング組成物中のタルク量を制限することができた。
【0059】
剥離されたクレイ(親水性材料)も、同じ無溶剤シリコーン樹脂で形成した。タルクとは異なり、クレイは、無溶剤シリコーン樹脂へ十分に分散しなかった。シリコーンコーティング組成物は、紙上に塗布された場合、粒々のあるように見えて粗い表面となった。
【0060】
本発明の前述の記載は、図示および説明を目的としている。またこの記載は、本発明を本明細書に開示した形態に制限することを意図しない。従って、上記の開示に相応する代替例および変形例、並びに関連分野の技能または知識は、本発明の範囲に含まれる。本明細書における上記の実施形態は、本発明を実施するうえで知られる最良の態様を説明すること、並びに、上記または他の実施形態において、および本発明の特定の用途または使用
に必要な様々な変形例によって、他の当業者が本発明を利用可能となることを目的としている。添付の特許請求の範囲は、従来技術によって可能となる範囲で代替の実施形態を含むように解釈されるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接着剤に対する剥離コーティングとして有用なシリコーンコーティング組成物であって、
(a)約5重量%〜約80重量%の疎水性無機鉱物充填材と、
(b)約20重量%〜約95重量%のシリコーン樹脂と、
を含むシリコーンコーティング組成物。
【請求項2】
前記疎水性無機鉱物充填材は、水に対して少なくとも約90度の接触角を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記疎水性無機鉱物充填材は、水に対して少なくとも約120度の接触角を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記疎水性無機鉱物充填材はタルクを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記疎水性無機鉱物充填材は、約45重量%未満の含水率を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記疎水性無機鉱物充填材の少なくとも約50重量%は、約45μm未満の粒径を有するパーティクルを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記疎水性無機鉱物充填材は、約10重量%〜約70重量%のシリコーンコーティング組成物を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記疎水性無機鉱物充填材は、約20重量%〜約60重量%のシリコーンコーティング組成物を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記疎水性無機鉱物充填材は、約40重量%のシリコーンコーティング組成物を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記シリコーン樹脂は、ビニルシリコーン、ヘキセニルシリコーン、およびそれらの混合物から成る群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記シリコーン樹脂は、ヒドリド官能性架橋剤と触媒とを更に含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記シリコーン樹脂は、熱硬化およびエネルギー線硬化から成る群から選択されるプロセスによって処理されている、請求項10に記載の組成物。
【請求項13】
前記シリコーンコーティング組成物は、約25度において約0.05Pa・s〜約20Pa・s(約50センチポアズ〜約20,000センチポアズ)の粘度を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
前記疎水性無機鉱物充填材は、クレイ、炭酸カルシウム、ドロマイト、マイカ、アルミナ三水和物、水酸化マグネシウム、二酸化チタン、硫酸バリウム、シリカ、アルカリ金属アルミノケイ酸塩、タルク、アルカリ土類金属アルミノケイ酸塩、フィロケイ酸塩鉱物、およびそれらの混合物から成る群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
前記疎水性無機鉱物充填材は、表面処理、バルク処理、または親水性無機鉱物材の複合
化のうちの1つによって形成され、
親水性無機鉱物材は、クレイ、炭酸カルシウム、ドロマイト、マイカ、アルミナ三水和物、水酸化マグネシウム、二酸化チタン、硫酸バリウム、シリカ、アルカリ金属アルミノケイ酸塩、タルク、アルカリ土類金属アルミノケイ酸塩、フィロケイ酸塩鉱物、およびそれらの混合物から成る群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
前記シリコーン樹脂は無溶剤シリコーン樹脂である、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
接着剤に対する剥離コーティングとして有用なシリコーンコーティング組成物であって、
(a)約5重量%〜約80重量%のタルクと、
(b)約20重量%〜約95重量%のシリコーン樹脂と、
を含むシリコーンコーティング組成物。
【請求項18】
前記タルクは、水に対して少なくとも約90度の接触角を有する、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
前記タルクは、水に対して少なくとも約120度の接触角を有する、請求項17に記載の組成物。
【請求項20】
前記タルクは、約45重量%未満の含水率を有する、請求項17に記載の組成物。
【請求項21】
前記タルクの少なくとも約50重量%は、約45μm未満の粒径を有するパーティクルを含む、請求項17に記載の組成物。
【請求項22】
前記タルクは、約10重量%〜約70重量%の前記組成物を含む、請求項17に記載の組成物。
【請求項23】
前記タルクは、約20重量%〜約60重量%の前記組成物を含む、請求項17に記載の組成物。
【請求項24】
前記疎水性無機鉱物充填材は、約40重量%のシリコーンコーティング組成物を含む、請求項17に記載の組成物。
【請求項25】
前記シリコーン樹脂は、ビニルシリコーン、ヘキセニルシリコーン、およびそれらの混合物から成る群から選択される、請求項17に記載の組成物。
【請求項26】
前記シリコーン樹脂は、ヒドリド官能性架橋剤と触媒とを更に含む、請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
前記シリコーン樹脂は、熱硬化およびエネルギー線硬化から成る群から選択されるプロセスによって処理されている、請求項25に記載の組成物。
【請求項28】
前記シリコーンコーティング組成物は、約25度において約0.05Pa・s〜約20Pa・s(約50センチポアズ〜約20,000センチポアズ)の粘度を有する、請求項17に記載の組成物。
【請求項29】
前記シリコーン樹脂は無溶剤シリコーン樹脂である、請求項17に記載の組成物。
【請求項30】
接着剤に対する剥離コーティングとして有用なシリコーンコーティング組成物であって

a)シリコーン樹脂と;
b)約5重量%〜約80重量%のシリコーンコーティング組成物を含むタルク充填材と、
を含む、シリコーンコーティング組成物。
【請求項31】
前記タルクは、水に対して少なくとも約90度の接触角を有し、
前記タルクの少なくとも約50重量%は、約45μm未満の粒径を有するパーティクルを含み、
前記タルクは約45重量%未満の含水率を有する、請求項30に記載の組成物。
【請求項32】
前記シリコーン樹脂は、ヒドリド官能性架橋剤と触媒とを更に含み、
前記シリコーン樹脂は、ビニルシリコーン、ヘキセニルシリコーン、およびそれらの混合物から成る群から選択され、
無溶剤シリコーンの混合物は、熱硬化およびエネルギー線硬化から成る群から選択されるプロセスによって処理されている、請求項30に記載の組成物。
【請求項33】
前記タルク充填材は、約20重量%〜約60重量%のコーティングを含む、請求項30に記載の組成物。
【請求項34】
前記シリコーンコーティング組成物は、約25度において約10Pa・s(約10,000センチポアズ)未満の粘度を有する、請求項30に記載の組成物。
【請求項35】
前記シリコーン樹脂は無溶剤シリコーン樹脂である、請求項30に記載の組成物。
【請求項36】
a)剥離基材と;
b)シリコーン樹脂および疎水性無機鉱物充填材を含むシリコーンコーティングと、
を含むコート物であって、
前記疎水性無機充填材は水に対して少なくとも約110度の接触角を有し、
前記コーティングは剥離基材に接している、コート物。
【請求項37】
前記疎水性無機材は、クレイ、炭酸カルシウム、ドロマイト、マイカ、アルミナ三水和物、水酸化マグネシウム、二酸化チタン、硫酸バリウム、シリカ、アルカリ金属アルミノケイ酸塩、タルク、アルカリ土類金属アルミノケイ酸塩、フィロケイ酸塩鉱物、およびそれらの混合物から成る群から選択される、請求項36に記載のコート物。
【請求項38】
前記疎水性無機鉱物充填材は、表面処理、バルク処理、または親水性無機材の複合化のうちの1つによって形成され、
前記親水性無機材は、クレイ、炭酸カルシウム、ドロマイト、マイカ、アルミナ三水和物、水酸化マグネシウム、二酸化チタン、硫酸バリウム、シリカ、アルカリ金属アルミノケイ酸塩、タルク、アルカリ土類金属アルミノケイ酸塩、フィロケイ酸塩鉱物、およびそれらの混合物から成る群から選択される、請求項35に記載のコート物。
【請求項39】
前記疎水性無機鉱物充填材はタルクである、請求項35に記載のコート物。
【請求項40】
前記疎水性無機鉱物充填材は、約10重量%〜約70重量%の前記コーティングを含む、請求項35に記載のコート物。
【請求項41】
前記シリコーン樹脂は、ビニルシリコーン、ヘキセニルシリコーン、およびそれらの混合物から成る群から選択され、
前記シリコーン樹脂は、ヒドリド官能性架橋剤と触媒とを更に含む、請求項35に記載のコート物。
【請求項42】
前記シリコーン樹脂は、熱硬化およびエネルギー線硬化から成る群から選択されるプロセスによって処理されている、請求項41に記載のコート物。
【請求項43】
前記シリコーン樹脂は無溶剤シリコーン樹脂である、請求項35に記載のコート物。
【請求項44】
前記剥離基材は、紙、プラスチックフィルム、金属フィルム、箔、パーチメント、グラシン紙、スーパーカレンダークラフト紙、クレイコートクラフト紙、ポリコートクラフト紙、不織布材料、織布材料、ボール紙、アルミホイル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタラート、ポリマーフィルム、およびセルロース系材料から成る群から選択される、請求項35に記載のコート物。
【請求項45】
コート物の製造方法であって、
コート物を製造すべく、シリコーン樹脂及び水に対して少なくとも約110度の接触角を有する疎水性無機鉱物充填材を含むシリコーンコーティング組成物を、剥離基材の少なくとも1つの表面に塗布する塗布ステップを含む、方法。
【請求項46】
前記塗布ステップは、
カーテン塗工、含浸塗工、スプレー塗工、液浸塗工、浸漬塗工、ロール塗工、スロットコーティング、カレンダー塗工、グラビア塗工、フレキソ印刷コーティング、ブレード塗工、および押出塗工のうちの1つを用いることによってコーティングを行うステップを更に含む、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記疎水性鉱物材は、クレイ、炭酸カルシウム、ドロマイト、マイカ、アルミナ三水和物、水酸化マグネシウム、二酸化チタン、硫酸バリウム、シリカ、タルク、アルカリ金属アルミノケイ酸塩、アルカリ土類金属アルミノケイ酸塩、フィロケイ酸塩鉱物、およびそれらの混合物から成る群から選択される、請求項45に記載の方法。
【請求項48】
前記疎水性無機鉱物充填材は、表面処理、バルク処理、または親水性無機鉱物材の複合化のうちの1つによって形成され、
前記親水性無機鉱物材は、クレイ、炭酸カルシウム、ドロマイト、マイカ、アルミナ三水和物、水酸化マグネシウム、二酸化チタン、硫酸バリウム、シリカ、タルク、アルカリ金属アルミノケイ酸塩、アルカリ土類金属アルミノケイ酸塩、フィロケイ酸塩鉱物、およびそれらの混合物から成る群から選択される、請求項45に記載の方法。
【請求項49】
前記疎水性無機鉱物充填材はタルクである、請求項45に記載の方法。
【請求項50】
前記疎水性無機鉱物材は、約10重量%〜約70重量%の前記コーティングを含む、請求項45に記載の方法。
【請求項51】
前記シリコーン樹脂は、ビニルシリコーン、ヘキセニルシリコーン、およびそれらの混合物から成る群から選択され、
前記無溶剤シリコーン樹脂は、熱硬化およびエネルギー線硬化から成る群から選択されるプロセスによって処理されている、請求項45に記載の方法。
【請求項52】
前記剥離基材は、紙、プラスチックフィルム、金属フィルム、箔、パーチメント、グラシン紙、スーパーカレンダークラフト紙、クレイコートクラフト紙、ポリコートクラフト紙、不織布材料、織布材料、ボール紙、アルミホイル、ポリエチレン、ポリプロピレン、
ポリエチレンテレフタラート、ポリマーフィルム、およびセルロース系材料から成る群から選択される、請求項45に記載の方法。

【公表番号】特表2010−533778(P2010−533778A)
【公表日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−517182(P2010−517182)
【出願日】平成20年7月18日(2008.7.18)
【国際出願番号】PCT/US2008/070453
【国際公開番号】WO2009/012440
【国際公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【出願人】(510015291)ルゼナック アメリカ インコーポレイテッド (2)
【氏名又は名称原語表記】LUZENAC AMERICA,INC.
【Fターム(参考)】