説明

シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ製造のための組成物及び方法

【課題】高酸素透過性、含水量、モジュラス、表面湿潤性等の1種以上の所望の特性を有するシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズの製造のためのレンズ先駆組成物の提供。
【解決手段】1種以上のモノマー成分を含み得るプレミックス組成物を形成する工程、1種以上のケイ素含有マクロマーを含むマクロマー組成物を形成する工程、光開始剤を含み得るプレミックス/開始剤組成物を形成する工程、及び前記プレミックス/開始剤組成物と前記マクロマー組成物とを接触させる工程を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2005年8月9日に出願された米国特許60/707,029号明細書の利益を主張し、これは、参考としてここに全内容が組み込まれる。
本発明は、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ及びその製造に関する。特に、本発明は、レンズ先駆組成物のような組成物、及びそのような組成物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンタクトレンズの製造において、重合性レンズ先駆組成物を金型装置のコンタクトレンズの形状の穴に置き、その中で重合化して金型装置のレンズ形状の穴に配置されたコンタクトレンズを形成し得る。例えば、重合性レンズ先駆組成物を紫外線又は熱に暴露し、この組成物を重合する。
このレンズ先駆組成物の重合後、金型部分を分離し又は脱成形し(demold)、また重合コンタクトレンズをこの金型部分から取り出し又はデレンズ(delense)し得る。
既存の重合シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは、眼胞に(ophthalmically)許容できない表面湿潤性を有する。シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを眼泡に許容できる湿潤性を有するようにするために、表面処理をこのレンズに施し又はポリマー湿潤剤の浸透ポリマーネットワーク(IPN)をコンタクトレンズに入れる。表面処理及びポリマー湿潤剤IPNは、経時的に低下し、結果として低湿潤性ヒドロゲルコンタクトレンズとなる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
高酸素透過性、含水量、モジュラス、表面湿潤性等の1種以上の所望の特性を有するシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズの製造のためのレンズ先駆組成物が必要とされている。さらに、製造工程の間に耐久性がある、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを製造して、製造工程の間コンタクトレンズに損傷の頻度を減らすためのシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ先駆組成物を必要とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
重合レンズ先駆組成物のような組成物及びレンズ先駆組成物の製造方法を発明した。ここにより詳細に記載されるように、本発明の方法は、1種以上のモノマー組成物を含み得るプレミックス組成物を形成する工程、1種以上のケイ素含有マクロマーを含むマクロマー組成物を形成する工程、光開始剤又は熱開始剤を含み得るプレミックス/開始剤組成物を形成する工程、及びプレミックス/開始剤組成物とマクロマー組成物とを接触させる工程を含みシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズの製造に有用な重合モノマー含有組成物を形成する。
この組成物は、表面処理を必要とせずに、眼胞に許容される表面湿潤性を有するシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズの形成に有効であり、表面湿潤性及び/又はポリマー湿潤剤の透過ポリマーネットワーク(IPN)を提供し、眼胞に許容される表面湿潤性を提供する。本発明の組成物から得られるシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは、コンタクトレンズの製造の間、例えば、コンタクトレンズ製造のキャスト成形操作の間、耐久性があり、また相対的に扱いやすい。
ここに記載されるありとあらゆる特徴、及びありとあらゆるそのような特徴の2以上の組み合わせは、そのような組み合わせに含まれる特徴が相互に矛盾しないことを条件に、本発明の範囲に含まれる。更に、いかなる特徴又は特徴の組み合わせは、本発明のいかなる態様から特に除外され得る。
本発明のこれら及び他の特徴は、以下の詳細な説明、例及び追加の開示に明らかである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ先駆組成物のような組成物及びそのような組成物の製造方法を発明した。ここで使用されるように、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは、高酸素透過性及び眼胞に許容される含水量を有する親水性ケイ素含有ポリマー成分を含むコンタクトレンズである。シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは、シリコーンヒドロゲル材料を含むコンタクトレンズと理解され得る。例えば、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは、1種以上の親水性ケイ素含有マクロマーを含み得る。シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを作るために使用される好適な材料の例は、限定的でないが、ロトラフィリコンA、ロトラフィリコンB、バラフィリコンA、セノフィリコンA、ガルフィリコンA、又はコンフィリコンAを含む。本発明のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを作るために使用される材料の更なる例としては、米国特許6,867,245に開示される材料が挙げられる。
【0006】
本発明の方法は、本発明のレンズ先駆組成物を形成するために組み合わせられ得る複数の別個の組成物を製造する工程を含む。本発明の重合レンズ先駆組成物をコンタクトレンズの金型にセットし、重合して、高透過性、所望の含水量、所望のモジュラス、所望の表面湿潤性、及び/又は所望のアイオノフラックス(ionoflux)を有するシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを製造する。本発明の組成物から製造されるシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは、拡張した時間、例えば、少なくとも24時間、例えば約5日以上、約2週間以上、又は更に約30日間、長持ちし得る。
本発明の組成物の製造方法は、複数のモノマー及び他の成分を含むプレミックス組成物を形成する工程を含む。一つの態様において、本方法は、塩、架橋剤、第一親水性モノマー、疎水性モノマー、第一親水性モノマーとは異なる第二親水性モノマー、及び第一親水性モノマー又は第二親水性モノマーと異なる第三親水性モノマーを混合してこのプレミックス組成物を形成する工程を含む。
本発明は、混合前に、塩、架橋剤、親水性モノマー、及び疎水性モノマーの所定量を測定する工程を含み得る。
この測定した成分を混合するために、混合容器を攪拌機上にセットし得る。液体プレミックス組成物を形成するために使用される成分をこの容器に添加し、この混合物が均質組成物になるまで、相対的に遅い速度、例えば、1分間当たり約100〜500回転(rpm)で攪拌する。この組成物の露出表面上の気泡形成を防ぐため及び液体表面の切断を防ぐために注意しなくてはならない。この露出表面は、空気/液体界面での液体組成物の表面である。
【0007】
ここで開示される特定の態様において、種々の組成物の攪拌は、磁気攪拌棒及び磁気攪拌板を使用して得られ得る。他の態様において、この攪拌を攪拌棒の代わりに攪拌シャフトを使用して実施する。視覚的に又は1以上の装置で決定したプレミックス組成物の完全な混合の後、このプレミックス組成物を品質管理のために例えば、混合容器中の組成物の質量を測定することによって、及び/又はある範囲の分析装置、限定的でないがガスクロマトグラフィーを使用してプレミックス組成物の一部を分析することによって処理され得る。
プレミックス組成物は、この組成物を完全に混合後直ちに使用されるか又は特性の実質的な損失せずに、製造日から約2週間〜4週間以上の期間保存され得る。
プレミックス組成物の製造に使用される成分は、得られるシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズに所望の特定の性質によって変化し得る。そのような成分は、ルーチンの方法、例えばこの成分を含む組成物を使用するシリコーンヒドロゲルのサンプルバッチの形成及びこのシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズの特性、例えばDk、モジュラス、水含有量、引裂強さ、アイオノフラックス、表面湿潤性等の測定を使用して試験され得る。
特定の態様において、このプレミックス組成物は、ナトリウム塩、シアヌレート、ビニルピロリドン、疎水性メタクリレート、親水性メタクリレート、及びメチルアセトアミドから成る群から選択される少なくとも1種の成分、又は1種以上の成分を含む。特定の態様において、このプレミックス組成物は、それぞれの先述の成分を含む。例えば、プレミックス組成物は、それぞれのこれらの成分を含む組み合わせを含む。一つの態様において、このプレミックス組成物は、以下の成分:ジオクチルコハク酸ナトリウム、トリアリルイソシアヌレート、N-ビニル-2-ピロリドン、イソボルニルメタクリレート、2-ヒドロキシブチルメタクリレート、及びN-ビニル-N-メチルアセトアミドを含む。
【0008】
更なる態様において、プレミックス組成物は、1%未満のジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、1%未満のトリアリルイソシアヌレート、約53%のN-ビニル-2-ピロリドン、約11%のイソボルニルメタクリレート、約18%の2-ヒドロキシブチルメタクリレート、及び約18%のN-ビニル-N-メチルアセトアミドを含む。これらの割合のそれぞれは、wt/wt百分率と理解され得る。
本発明は更にマクロマー組成物を形成する工程を含み得る。本発明の方法で形成されるマクロマー組成物は、1種以上のケイ素含有マクロマーを含む。特定の態様において、このマクロマー組成物は、2つの異なるケイ素含有マクロマーを含む。本発明の方法の一つの態様において、この方法は、第一ケイ素含有マクロマー及び別の第二ケイ素含有マクロマーを混合してマクロマー組成物を形成する工程を含む。
この方法は、第一及び第二ケイ素含有マクロマーの所定量を測定しまたこのマクロマーを混合容器内にセットする工程を含み得る。
この混合容器をこのマクロマーを攪拌するために攪拌機上にセットし得る。このマクロマー組成物を相対的に遅い速度、例えば1分間当たり約100〜約500回転(rpm)で、この混合物が均質な組成物になるまで攪拌する。この組成物の露出表面又は本体中の気泡形成を防ぎまた上記プレミックス組成物について論じたように表面を切断から防ぐために注意しなくてはならない。
【0009】
ケイ素含有マクロマーは、得られるシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズに所望の特性によって変化し得る。そのようなマクロマーは、ルーチンの方法、例えばマクロマーを含有する組成物を使用するシリコーンヒドロゲルのサンプルバッチの形成、及びシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズの特性、例えばDk、モジュラス、含水量、引裂強さ、アイオノフラックス、表面湿潤性等の測定を使用して試験され得る。
特定の態様において、第一ケイ素含有マクロマーは、約1200の分子量を有し、製造されるシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズに高酸素透過性を与えるポリメチルシロキサンメタクリレート誘導体である。特定の態様において、第二ケイ素含有マクロマーは、約15000の分子量を有し、製造されるシリコーン含有ヒドロゲルコンタクトレンズに高酸素透過性を与えるポリシロキサニルジメタクリレートである。
更なる態様において、第一マクロマーは、下式、
【化1】

によって示され得る。
この材料は、FMM(CAS番号697234-76-7)として同定されるように、約1400又は約1200の数平均分子量を有する。
【0010】
更なる態様において、第二マクロマーは、下式
【化2】

によって示され得る。
この材料は、M3U(CAS番号697234-74-5)として同定されるように、約15000の数平均分子量を有する。
【0011】
更に追加の態様において、このマクロマー組成物は、上記FMM及びM3Uの組み合わせを含む。他の態様において、このマクロマー組成物は、唯一のケイ素含有マクロマーとしてM3Uを含む。
本発明の方法は、更にプレミックス/開始剤組成物を形成する工程を含み得る。例えば、方法は、プレミックス組成物と開始剤を接触させてプレミックス/開始剤組成物を形成する工程を含んでもよい。例えば、方法は、所定量のプレミックス組成物を混合容器に添加する工程、開始剤を混合容器内のプレミックス組成物に添加する工程、及びこのプレミックス/開始剤組成物を形成するように攪拌する工程を含み得る。ここに記載のように攪拌を行って、液体組成物の表面を切断せずに又は液体組成物の本体又は表面内に泡を形成せずに均質組成物を形成する。
【0012】
種々の開始剤を使用してプレミックス/開始剤組成物を形成し得る。特定の態様において、開始剤は、紫外線光開始剤を含む。更に特定の態様において、この開始剤は、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシドである。他の好適な光開始剤又は熱開始剤は、ここで記載されるルーチン方法によって同定され、本発明の組成物に使用され得る。
本発明の方法は、更に重合性モノマー-含有組成物の形成工程を含み得る。例えば、方法は、プレミックス/開始剤組成物とここに記載のマクロマー組成物とを接触させて重合性モノマー含有組成物を形成させる工程を含み得る。特定の態様において、この方法は、所定量のプレミックス/開始剤組成物をマクロマー組成物に添加する工程を含み得る。2種の組成物を一緒に添加した後、この方法は、ここで記載されるように、組成物の露出した表面を分裂又は切断せずに又は液体組成物の本体又は表面に気泡を導入せずに、得られる重合性モノマー含有組成物を攪拌する工程を含み得る。
特定の態様において、FMM及びM3Uを含む重合性モノマー含有組成物は、約9%wt/wt%のFMM、約40%wt/wtのM3U、約51%wt/wtのプレミックス組成物、及び1%wt/wt未満の開始剤を含み得る。この組成物が、着色剤を含む場合、着色剤も、1%wt/wt未満の量、例えば約0.1%wt/wtで存在する。
【0013】
本発明の組成物は、紫外線光開始剤を含み得、紫外線に照射される場合、この組成物の成分の重合を開始するので、調製領域内の紫外線量は、制御されなければならない。例えば、組成物が調製されている直ぐ隣の近傍から500nmより短い波長を有する光を除くことは有益だろう。紫外線光の暴露を減少させ又は防ぐことは、以下の工程の少なくとも1つによって達成され得る。琥珀の容器内又は紫外線遮断コーティング又はシールドを有する容器内で組成物成分を混合する工程、全ての窓から少なくとも2メートルでこの方法に使用される装置を配置する工程、500nm以下のUV光を放射しない黄色光バルブ又は光バルブを使用する工程、ブロック光が、500nmより短い波長を有するブロック光の1種以上のカバーを使用する工程、及び作業領域のいかなる特定の光源が切れてないことを確認する工程。
本発明の方法は、更に1種以上の濾過又は分離工程を含んでもよい。例えば、本発明の方法は、重合性モノマー含有組成物を濾過する工程を含み得る。一つの態様において、この方法は、ポリプロピレン、ガラス-ポリプロピレン、ナイロン又は1μm〜20μmの孔径を有する類似のフィルターを使用し、重合性モノマー-含有組成物を別の容器に濾過して濾過した重合性モノマー-含有組成物を形成する工程を含む。この濾過は、本組成物に存在し得るいかなる粒状物及び/又はいかなる不連続相の濾過に有用であり得る。得られた濾過組成物は、実質的に粒状物及び/又は不連続相のない組成物であることが理解され得る。
【0014】
本発明の方法は、更に着色剤をこの重合性モノマー-含有組成物に添加する工程を含み得る。着色剤は、予め濾過された重合性モノマー含有組成物又は濾過された重合性モノマー-含有組成物に添加され得る。一つの態様において、この方法は、着色剤を濾過された重合性モノマー-含有組成物に添加する工程を含む。この方法は、ここで記載されるように、更に、着色剤を含む重合性モノマー-含有組成物を、この液体組成物の露出表面を切断せずに又はこの液体組成物の本体内又は表面上に気泡を導入しないで攪拌する工程を含み得る。
いかなる好適な着色剤(tinting agent)は、本発明の組成物に使用され得る。着色剤は、本発明の組成物の他の成分との相溶性及び本発明の組成物から形成したシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズが、この材料の重合化の後視覚化されるようにする能力に基づいて選択される。特定の態様において、着色剤が平均最大粒寸法、例えば約3μm未満の直径として提供される。異なる最大径、ひいては面積及び体積を有する他の着色剤が使用され得る。好ましくは、この着色剤は、使用される濾過装置を通過して組成物を濾過するような大きさである。
【0015】
有用な着色剤の例は、フタロシアニンブルーである。特定の態様において、フタロシアニンブルーは、先述のようにM3U組成物に懸濁し、M3Uブルーと特定されている着色剤組成物を形成する。
この着色剤を濾過した重合性モノマー含有組成物に添加した後、本方法は、最終組成物を保存し及び/又は分取するために、注射器又は注射器バレル又は注射器本体に、得られた組成物を濾過する工程を含んでよい。特定の態様において、方法は、注射器を工業用変性アルコールのような有機組成物ですすぐ工程及び最終レンズ先駆組成物を注射器に添加する前に注射器を乾燥する工程を含んでよい。注射器への濾過は、ポリプロピレンガラス-ポリプロピレン、ナイロン又は1μ〜20μmの孔径を有する類似のフィルターの使用も含んでよい。この濾過は、この組成物に存在し得るいかなる粒子及び又はいかなる不連続相の濾過による除去に有効であり得る。上記から理解され得るように、本方法で使用されるフィルターは、着色剤の最大径より大きい孔径を有し得る。
ここに記載されるように濾過工程は、フィルターを通して、着色剤を添加する前又は着色剤を添加する後に組成物を通過させることにより行ってよい。このフィルターは、約1μm〜約20μmの孔径を有し得る。特定の態様において、孔径は、約3μmである。このフィルターは、ディスクフィルター又はカートリッジフィルター、又は両方として提供され得る。特定の態様において、着色剤を含まない組成物を第一フィルターで濾過し、着色剤をこの濾過した組成物に添加し、また着色剤含有組成物を第一フィルターの孔径より大きい孔径を有する第二フィルターで濾過する。
【0016】
上記の点において、本方法が、濾過され、着色された重合性モノマー含有組成物を注射器の本体に導入する工程を含んでもよいことが理解され得る。重合性モノマー含有組成物が、光感受性であるので、紫外線遮断剤又はフィルターを含む材料から作られる注射器を使用して注射器本体内での組成物の早期重合を防ぐことが望ましい。
この組成物のサンプルが注射器から得られ得、またサンプルをガスクロマトグラフィー及び分光光度計のような他の分析技術を使用して品質管理のために処理され得る。
本方法は、更に濾過され、着色された重合性モノマー含有組成物を脱泡する工程を更に含む。特定の態様において、脱泡は、乾燥オーブン及び窒素を使用して行われる。脱泡の他の従来の方法は、本発明の意図から離れずに行われ得る。
本発明の方法は、更に注射器本体を保存のために閉じる工程をも含み得る。例えば、方法は、注射器プランジャーのように注射器本体にピストンをセットする工程及びこの注射器本体の端にキャップをセットする工程を含み得る。
濾過された、着色された、重合性モノマー含有組成物を含む注射器は、保存のためにラックの上にセットされ得る。注射器を含むラックは、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを製造するために使用されるコンタクトレンズ金型中のレンズ先駆組成物の分取を促進しかつ整備するために使用され得る。
【0017】
本発明の方法は、濾過された、着色された重合性モノマー含有組成物を室温より低い温度(例えば20-25℃未満の温度)で保存する工程を更に含み得る。特定の態様において、この組成物を約0℃〜約5℃の温度で保存される。例えば、組成物、又は組成物が充填された注射器を含むラックは、冷蔵庫又は他の冷却装置に保存され得る。
最終組成物の保存は、約5日間の期間に生じ得る。例えば、約0℃〜約5℃の低温度(reduced temperature)でこの組成物は、組成物の化学的及び他の特性を失わずに、約5日間から少なくとも4週間まで保存できる。室温において、この組成物は、少なくとも2日間保存できる。
本発明のシステム及び方法を使用して製造したレンズは、延長して長持ちするコンタクトレンズであることが理解され得る。例えば、このレンズは、目に対する過度の不快感又は損傷なく1日より長く(例えば24時間)連続的に長持ちし得る。特定のレンズは、少なくとも5日間、例えば約1又は2週間、又は約13日以上長持ちし得る。
【0018】
本方法は、手動で実施又は自動化され得る。特定の態様において、各工程は、自動化されている。例えば、注射器の組成物の充填は、手動又は自動化装置によって行われ得る。
更に、本発明の方法は、注射器及び/又は注射器を維持するために構造化された注射器ラックをコード化する1以上の工程を含み得る。特定の態様において、注射器及び注射器ラックは、色識別されている。例えば、方法は、注射器及び/又はラックが適切に特定されるように、注射器及び注射器ラック上に1以上の着色したステッカーをセットすることを含み得る。特定の態様において、注射器及び注射器ラックは、同一の色識別を有する。他のコード装置は、色コードの代わりに又は色コードに加えて提供され得る。例えば、注射器又は注射器ラックは、番号付けスキーム、機械読み込みバーコード又は他の装置などを含み得る。
ここに開示を鑑みて、本発明の別の特徴は、レンズ先駆組成物に関する。
一つの態様において、重合性レンズ先駆組成物は、少なくとも1つの、及び好ましくは全ての塩、架橋剤、第一親水性モノマー、疎水性モノマー、第一親水性モノマーと異なる第二親水性モノマー、及び第一親水性モノマー又は第二親水性モノマーのいずれと異なる第三親水性モノマー、第一ケイ素含有マクロマー、別の第二ケイ素含有マクロマー、及び開始剤を含む。
【0019】
ここに記載されるように、この組成物は、濾過された組成物であり得る。この組成物は、紫外線遮断剤を含む材料からなる注射器本体に提供され得る。更に、又は上記とは別に、本発明の組成物は、着色剤を含み得る。
ここの開示の点において、一つの態様において、レンズ先駆組成物は、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、トリアリルイソシアヌレート、N-ビニル-2-ピロリドン、イソボルニルメタクリレート、2-ヒドロキシブチルメタクリレート、N-ビニル-N-メチルアセトアミド、約1200の分子量を有し、製造されたシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズに高酸素透過性を与えるポリメチルシロキサンメタクリレート誘導体、約15000の分子量を有し、製造されるシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズに高酸素透過性を与えるポリシロキサニルジメタクリレート及びジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシドを含む。
更なる態様において、本発明の重合性組成物は、ビニルピロリドン由来のオリゴマー又はポリマーがないか又は実質的に含まない。ビニルピロリドンのポリマーなしで、この態様の本発明のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは、ポリマー湿潤剤のIPNを含まない。
【0020】
ここで論じられるように、本発明のレンズ先駆組成物を、金型装置のコンタクトレンズ穴にセットして、紫外線又は熱などの重合源に暴露してシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを形成し得る。熱に暴露される場合、熱開始剤は、光開始剤の代わりに本発明の先駆組成物に提供される。例えば、この組成物は、いかなる従来技術又は装置を使用してコンタクトレンズ金型部分の凹表面に配置され得る。特定の態様において、この組成物は、ここに開示された予め充填された注射器の一つを含む自動化した分取装置を使用して凹表面にセットされる。この組成物の分取は、ポンピング装置及び導管を経由して運ばれる加圧ガスを使用して制御され得る。本発明のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは、キャスト成形されたコンタクトレンズであり、キャスト成形方法の更なる工程は、当業者に既知であることが理解され得る。
本発明の特定の特徴及び利点は、ここに、同日に出願された以下の一般的に所蔵されている米国特許出願に関してより明らかに理解され及び/又は評価され得、各開示は、全体が参考としてここに組み込まれる:標題「Contact Lens Molds and Systems and Methods for Producing Same」及び代理人整理番号D-4124の米国特許出願番号11/200,848、標題「Contact Lens Mold Assemblies and Systems and Methods of Producing Same」及び代理人整理番号D-4125の米国特許出願番号11/200,648、標題「Systems and Methods for Producing Contact Lenses from a Polymerizable Composition」及び代理人整理番号D-4126の米国特許出願番号11/200,644、標題「Systems and Methods for Removing Lenses from Lens Molds」及び代理人整理番号D-4127の米国特許出願番号11/201,410、、標題「Contact Lens Extraction/Hydration Systems and Methods of Reprocessing Fluids Used Therein」の代理人整理番号D-4128の米国特許出願番号11/200,863、標題「Contact Lens Package」及び代理人整理番号D-4129の米国特許出願番号11/200,862、及び標題「Systems And Methods For Producing Silicone Hydrogel Contact Lenses」及び代理人整理番号D-4154の米国特許出願番号11/201,409。更なる情報は、PCT公開公報WO2006026474に存在する。
上記の多くの文献及び特許が引用される。各引用文献及び特許は、ここに参考として全体が組み込まれる。
この発明は、種々の特定の例及び態様について記載されるが、本発明がそれに限定されずまた以下の追加の開示の範囲内で様々に実施され得ることが理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ先駆組成物の製造方法であって、以下の工程、
(1)塩、架橋剤、第一親水性モノマー、疎水性モノマー、前記第一親水性モノマーと異なる第二親水性モノマー、及び前記第一親水性モノマー又は第二親水性モノマーのいずれかと異なる第三親水性モノマーを混合してプレミックス組成物を形成する工程、
(2)第一ケイ素含有マクロマー及び別の第二ケイ素含有マクロマーを混合してマクロマー組成物を形成する工程、
(3)前記プレミックス組成物と開始剤を接触させてプレミックス/開始剤組成物を形成する工程、及び
(4)前記プレミックス/開始剤組成物と前記マクロマー組成物を接触させて重合性モノマー-含有組成物を形成する工程、
を含むことを特徴とする組成物。
【請求項2】
(i)前記組成物の露出した表面を分裂又は切断すること及び(ii)前記組成物の本体に気泡を導入することの少なくとも1つをせずに、前記重合性モノマー-含有組成物を攪拌する工程を更に含む請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記重合性モノマー-含有組成物に着色剤を添加する工程を更に含む請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記着色剤が、平均最大粒寸法が3μm未満の粒子を含む請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記重合性モノマー-含有組成物を濾過して、前記組成物に存在し得る粒子又は不連続の相を濾過して除く工程を更に含む請求項3記載の方法。
【請求項6】
前記濾過工程が、前記着色剤の最大径より大きい孔を有し、かつポリプロピレンフィルター、ガラス-ポリプロピレンフィルター、ナイロンフィルター、及びその組み合わせからなる群から選択されるフィルターを使用することを含む請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記濾過した重合性モノマー-含有組成物を注射器の本体へ導く工程を更に含み、前記本体は、紫外線遮断剤又は紫外線フィルターを含む材料からなり、前記濾過された重合性モノマー-含有組成物の紫外線照射への暴露を減少させる請求項5記載の方法。
【請求項8】
注射器本体内の前記重合性モノマー-含有組成物を真空オーブン及び窒素を使用して、脱泡する工程を更に含む請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記注射器本体内にピストンをセットし、かつ前記注射器本体の末端にキャップをセットする工程を更に含む請求項7記載の方法。
【請求項10】
前記重合性モノマー-含有組成物を含む注射器を保存用ラック上にセットする工程を更に含む請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記注射器内に前記重合性モノマー-含有組成物を室温未満の温度で保存する工程を更に含む請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記保存が、約5日間、室温未満の温度の下、及び約2日間、室温下からなる群から選択される期間である請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記プレミックス組成物を前記プレミックス組成物の成分の化学特性を失わずに約2週間保存する工程を更に含む請求項1記載の方法。
【請求項14】
前記塩が、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウムであり、前記架橋剤が、トリアリルイソシアヌレートであり、前記第一親水性モノマーが、N-ビニル-2-ピロリジノンであり、前記疎水性モノマーが、イソボルニルメタクリレートであり、前記第二親水性モノマーが、2-ヒドロキシブチルメタクリレートであり、前記第三親水性モノマーが、N-ビニル-N-メチルアセトアミドであり、前記第一ケイ素含有マクロマーが、分子量が約1200のポリメチルシロキサンメタクリレート誘導体であり、前記第二ケイ素含有マクロマーが、約15000の分子量を有するポリシロキサニルジメタクリレートであり、かつ前記開始剤が、紫外線光開始剤を含む請求項1記載の方法。
【請求項15】
前記開始剤が、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシドである請求項14記載の方法。
【請求項16】
重合性レンズ先駆組成物であって、塩、架橋剤、第一親水性モノマー、疎水性モノマー、前記第一親水性モノマーと異なる第二親水性モノマー、及び前記第一親水性モノマー又は第二親水性モノマーのいずれかと異なる第三親水性モノマー、第一ケイ素含有マクロマー、異なる第二ケイ素含有マクロマー、及び開始剤を含むことを特徴とする組成物。
【請求項17】
実質的に粒状物又は不連続相のない請求項16記載の組成物。
【請求項18】
紫外線遮断剤を含む材料からなる、注射器本体に提供される請求項16記載の組成物。
【請求項19】
着色剤を更に含む請求項16記載の組成物。
【請求項20】
前記組成物の成分が、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、トリアリルイソシアヌレート、N-ビニル-2-ピロリジノン、イソボルニルメタクリレート、2-ヒドロキシブチルメタクリレート、N-ビニル-N-メチルアセトアミド、約1200の分子量を有し、製造されるシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズへ高酸素透過性を与えるポリメチルシロキサンメタクリレート誘導体、約15000の分子量を有し、製造されるシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズへ高酸素透過性を与えるポリシロキサニルジメタクリレート及びジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシドである請求項16記載の組成物。

【公開番号】特開2007−79564(P2007−79564A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−238253(P2006−238253)
【出願日】平成18年8月7日(2006.8.7)
【出願人】(506298068)クーパーヴィジョン インコーポレイテッド (13)
【Fターム(参考)】