説明

シリコーンメタクリレート粒子、その調製方法、およびその使用

【課題】シリコーンメタクリレート粒子、このようなシリコーンメタクリレート粒子を調製する方法を提供する。
【解決手段】シリコーンメタクリレート粒子を調製するための方法であって、a)水およびアクリレート基で末端および/または側鎖が修飾されたオルガノポリシロキサンを含む有機相からなるエマルジョンを得る工程と、b)フリーラジカル開始剤を用いて内相を完全に重合する工程からなる(フリーラジカル開始剤は、内相に対して0.1から40重量%の濃度で外相(水相)に添加される)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オルガノポリシロキサンメタクリレート(organopolysiloxiane (meth)acrylate)粒子、懸濁重合によるその調製、およびその使用を提供する。
【背景技術】
【0002】
シリコーンエラストマーからなる微粉には、化粧品およびトイレタリにおける添加剤としての使用、例えばつや消し剤としての使用、皮脂吸収剤または絹のような皮膚感触(skinfeel)を生じるための吸収剤としての使用、ポリマーおよびラッカーまたはコーティング材料の機械的性質を改良するための(例えば磨耗またはひっかき抵抗性および耐衝撃性を増すための)添加剤としての使用、および同様に様々な異なる表面の潤滑特性を改良するためのブロッキング防止剤としての使用、粉末の流動助剤または分散助剤としての使用、トナーの添加剤としての使用、ならびに洗浄配合物およびケア配合物におけるマイルドな研磨剤としての使用が既に見出されている。
【0003】
このような粒子の調製のためのいくつかの方法が知られている。原則的には、不規則な形のシリコーンエラストマー粒子は、特定のバルクエラストマーの摩砕操作によって得ることができるが、回転楕円体または球形粒子は、特に粒子の添加剤を加えた(particle-additized)鉱物および配合物の魅力的な触覚特性が所望される場合に性能優位性を一般的に提供する。一般的には、このような粒子は、反応物液滴内の架橋反応または粒子コア上へのポリマーの成長/塗布によって調製される。架橋反応は、ヒドロシリル化反応、縮合反応、脱水素化カップリング反応、またはフリーラジカル重合であってよい。
【0004】
ヒドロシリル化からのシリコーン粒子は、例えば、US4,761,454、JP2003301047およびEP1074575に記載されており、シリコーン粒子を調製するための加水分解および縮合反応は、EP1130046、WO2006/016968、JP2003002973、US6,753,399、EP0765896およびEP0744432に見出すことができる一方、US2004/0156808は、この目的のための脱水素化カップリング反応を記載している。最後に、DE102004053314は、フリーラジカル重合によって得られるコポリマーを記載している。
【0005】
慣用的な乳化剤および一般の分子フリーラジカル開始剤、例えばAIBNを使用してナノスケール粒子を得るためのシリコーンアクリレートのミニエマルジョン重合は、文献から知られている("Polydimethyl Siloxane Latexes and Copolymers by Polymerization and Polyaddition in Miniemulsion", Katharina Landfester,Ute Pawelzik, Markus Antonietti, Polymer, 46(2005), 9892-9898)。しかしながら、記載された方法は、所望の性能特性を有するマイクロスケール粒子を提供せず、例えば、このような粒子は、パーソナルケア用途に求められる良好な皮膚感触を達成することはできない。
【0006】
固体状態で安定化された水性エマルジョンは、1907年にS.U.Pickering("Emulsions", Spencer Umfreville Pickering, Journal of the Chemical Society, Transactions (1907), 91, 2001-2021)により記載されており、凝集に対して特に安定であるとみなされている。例えば、DE102004014704は、発熱性粒子で安定化されたエマルジョンの調製を記載している。このような安定化固体粒子の性質の好適な概説は、Bernhard P.Binksの著わした“Particles as surfactants−similarities and differences”(Current opinion in colloid & interface science, 7 (2002), 21-41)に見出し得る。先行技術は、例えばFR2808704に記載された半球状に改質された表面を有する両親媒性粒子である、いわゆる「Janus粒子」も含む。エマルジョン安定化に特に適した粒子は、ナノスケールの主に無機粒子、例えばシリカ粒子であり、これは、Grace Davisonから水性ゾルおよび分散液の形態の「LUDOX(登録商標)」として市販されている。US3,615,972(1967)は、その後の重合を伴ったメチルメタクリレートのエマルジョン安定化のためのLUDOX(登録商標)粒子の使用を初めて記載した。安定化作用に関する文献で論じられているメカニズムは、粒子の凝集および水/油の界面における凝集物の高濃度化である("The mechanism of emulsion stabilization by small silica (LUDOX(登録商標)) particles", Helen Hassander, Beatrice Johansson, Bertil Tornell, Colloids and Surfaces, 40, (1989), 93-105)。
【0007】
水にやや溶けにくいまたは水に溶けない反応物のピカリング(Pickering)エマルジョンの懸濁重合は、現在の技術水準によれば、油相に溶解したフリーラジカル開始剤を用いて開始されなければならず、例えば単一のモノマーとしてのスチレンとともに水溶性フリーラジカル開始剤を使用することにより、不完全な反応および凝集がもたらされる("Pickering stabilized miniemulsion polymerization: Preparation of clay armoured latexes", Severine Cauvin, Patrick J. Colver, and Stefan A. F. Bon, Macromolecules 2005, 38, 7887-7889)。分子のフリーラジカル開始剤で開始されるこのような懸濁重合の場合の欠点は、フリーラジカル開始剤の反応生成物がポリマー中に残存し、例えば、有害臭によりあるいは刺激性または毒性により知覚できるようになり得ることである。
【0008】
シリコーン粒子の調製について記載される方法には、ヒドロシリル化、フリーラジカル重合、乳化された前駆体の脱水素化カップリングまたは縮合、噴霧プロセス、およびその後の即時の架橋を伴う適切な媒体中への前駆体の注入が含まれる。
【0009】
このようにして調製される粒子は、主に、該粒子が易流動性(free-flowing)粉末としては得られず、したがって、取り扱いが難しく、即ち、例えば投与が難しく、高度な複雑性を伴う場合にだけしか特定の配合物において均質化することができないという欠点を有する。さらに、それらは、通常、元素の周期表の遷移8族の元素をしばしば含むある割合の架橋触媒、乳化剤、および場合によりさらなる加工助剤を含有する。化粧品配合物、および同様に清浄用製品およびケア製品においては、これは所望されていないか、あるいは少なくとも問題がある。
【0010】
先行技術により調製される粒子のさらなる欠点は、ポリジメチルシロキサン様粒子表面は改質が困難であることである。
【0011】
しかしながら、異なる技術的要件に粒子を適合させることができるために、即ち、例えば、様々なマトリックスへのそれらの結合を可能とし、あるいは配合物への加工性を促進するまたは実際に可能にするために、これはしばしば望ましい。
【0012】
これらの欠点のいくらかは、複合粒子により克服することができる。複合粒子は、本明細書では、コアシェル粒子、および追加の固体が組み込まれている粒子を意味する。
【0013】
例えば、US4,946,893(EP0319828)は、水相中のヒドロシリル化反応により無機粒子を充填したシリコーン粒子の調製を記載しており、US5,176,960は、疎水化SiOをジオルガノポリシロキサンと混合した後に噴霧乾燥により硬化させることにより高充填かつ機械的に耐久性のあるシリコーン粒子の調製を記載している。
【0014】
対照的に、コアシェル粒子は、所望の性能特性に影響を与える表面性質の(場合によっては制御された)改質を可能にする。
【0015】
コアシェル粒子の調製法および使用によれば、それらの粒径はナノメーターまたはマイクロメーター範囲内であってよい。コアシェル粒子は、例えば、文献の方法により調製可能であり、例えば、EP0661334は、オルガノポリシルセスキオキサン樹脂で表面コートしたシリコーン粒子およびそれらの調製を記載しており、US2006/0084758は、より微細なシリコーン粒子で表面改質したシリコーン粒子の調製を記載しており、後に水相のSiOでコートしたシリコーン粒子は、EP0079322、EP5487624、およびEP0516057に見出すことができる。さらに、EP0079322は、油相を用いてSiOで表面コートしたシリコーン粒子を記載している。シリコーンポリマーコアおよび有機ポリマーシェルを有するコアシェル粒子は、DE102004047708およびDE102004022406(EP0882105における水性コーティング材料における使用、およびEP0852610における粉末コーティングにおける使用)に記載されている。
【0016】
さらに、無機コアおよびシリコーンシェルを有するコアシェル構造に関する多数の文献があり、例えば、EP0822232およびEP0433727がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
コアシェル粒子を得るためのこれらの方法の欠点は、それらが、時間がかかり、エネルギー集約型で、多段階工程であることである。
【0018】
本発明の目的は、先行技術の粒子の1つの欠点または複数の欠点を有さないシリコーンメタクリレートを提供すること、およびプロセスの経済性の点からみて好ましくは有利である別の方法を提供することである。調製された粒子は、好ましくは、球状形態を有し、粉末として易流動性でなければならない。さらに、調製された粒子は、できる限り、乳化剤、架橋触媒(特に元素の周期表の遷移8族の元素およびスズ塩を含有する触媒)およびさらなる加工助剤を含むべきではない。好ましい粒子は、異なるマトリックスまたは媒体との相溶化および/またはこれらのマトリックスへの接着に役立つことができる、さらなるその後の特に簡単な粒子表面の改質(modification)も可能でなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0019】
この目的は、好ましくは水相に添加される水溶性フリーラジカル開始剤による、メタクリレート基で修飾されたオルガノシロキサンの好適なモノマーまたはオリゴマーまたはマクロモノマーの水性エマルジョン(該水性エマルジョンは固体状態で安定化され得る)の懸濁重合により達成される。
【0020】
驚くべきことに、慣用の不飽和モノマー(例えば、スチレン、メチルメタクリレート)について先行技術で記載されているように、水相に溶解した無機フリーラジカル開始剤を用いてシリコーンメタクリレートおよび任意選択により添加される有機コモノマーおよび/またはさらなる物質の水性エマルジョンを重合し、凝集を生じずに球状粒子が得られることが懸濁重合において可能であることが見出された。ピカリングエマルジョンまたは分子乳化剤および/または界面活性剤により安定化された慣用のエマルジョンのいずれかを使用することが可能である。
【0021】
したがって、本発明は、請求項1に記載のシリコーンメタクリレート粒子の調製方法を提供し、この方法は、モノマーシリコーンメタクリレートおよび任意選択により有機不飽和コモノマー、ならびにエマルジョンを安定化する乳化剤および1種以上の共乳化剤(coemulsifires)を含む水性エマルジョンを、水相に添加されたフリーラジカル開始剤を用いて重合することを特徴とする。
【0022】
本発明は、このように調製されたシリコーンメタクリレート粒子およびそれらの使用も提供する。
【0023】
本発明の方法は、例えば、油溶性フリーラジカル開始剤の場合のように、水溶性フリーラジカル開始剤で重合が開始される場合、開始剤の反応生成物がポリマー中に残らないという利点を有する。これは、化粧品、食品包装、医薬品などのセクターにおける用途に有利である。
【0024】
本発明の方法は、用途において後に悪影響を及ぼし、ゆえに複雑な方法で再度除去されなければならないであろう慣用の乳化剤はピカリングエマルジョンの懸濁重合によるシリコーンメタクリレート複合粒子の調製には必要ではないという利点も有する。
【0025】
さらに、本発明のコアシェルシリコーンメタクリレート粒子または本発明により調製されるものは、この目的のためにその後の表面処理が必要ではないほどに良好な易流動性を有し得る。
【0026】
発明であるシリコーンメタクリレート粒子を調製するための本発明による方法およびその使用が、本発明がこれらの例示的な実施形態に限定される意図を何ら伴わず、以下の実施例を用いて記載される。
【0027】
範囲、一般式、または化合物のクラスが、本明細書で記載される場合、これらは、明確に言及された特定の範囲または化合物の群のみならず、個々の値(範囲)または化合物を選択することにより得ることができるすべての部分範囲および化合物の下位群も包含するものである。本明細書の文脈において文献が引用される場合、それらの内容は、本発明の開示内容に完全に組み込まれるものである。2種以上の異なる単位を有することができる化合物、例えば有機修飾ポリシロキサンが、本発明の文脈で記載される場合、これらの単位は、ランダム分布(ランダムオリゴマーまたはポリマー)または規則的な形態(ブロックオリゴマーまたはブロックポリマー)でこれらの化合物中に存在することができる。このような化合物中の単位の数に関する数字は、すべての適当な化合物での平均と解釈されるべきである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
シリコーンメタクリレート粒子を調製するための本発明による方法は、
a)水および有機相からなるエマルジョンを得る工程(前記有機相は、メタクリレート基で末端および/または側鎖が修飾された一般式(I)を有するオルガノポリシロキサンまたはその混合物を含み
【化1】

(式中、
は、直鎖または分枝の、飽和、モノ不飽和、または多価不飽和の、直鎖、環状、または分枝のアルキル、アルコキシ、ポリアルコキシ、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシアルコキシ、アルケニル、特にビニル、アリール、アリールオキシ、ヒドロキシアリール、ヒドロキシアリールオキシ、アルカリール、アルカリールオキシ、ヒドロキシアルカリール、ヒドロキシアルカリールオキシ、アラルキル、アラルコキシ、ヒドロキシアラルキルまたはヒドロキシアラルコキシ基から選択される同じまたは異なる基であり、当該基は任意選択により1個以上のエーテルまたはエステル架橋を含有し、かつ、1から20個の炭素原子を有し、好ましくは、直鎖または分枝の、飽和、モノ不飽和、または多価不飽和の、直鎖、環状、または分枝のアルキル、アリール、アルカリール、またはアラルキル基から選択される同じまたは異なる基であり、当該基は任意選択により1個以上のエーテルまたはエステル架橋を含有し、かつ、1から20個の炭素原子を有し、好ましくは、メチルまたはフェニル基であり、
は、同じまたは異なる、二価の、任意選択によりOH−官能化された炭化水素基であり、当該基は、任意選択により1個以上のエーテルまたはエステル架橋を含有し、Si−C結合またはSi−O−C結合を介してケイ素原子に結合し、かつ、1から20個の炭素原子を有し、当該基には、重合可能な二重結合を含まない、1から5個のアクリル酸および/またはメタクリル酸単位、および、任意選択により、2から10個の炭素原子を有するモノカルボン酸単位がエステル結合を介して結合しており、好ましくは、直鎖または分枝の脂肪族、芳香族、または環状炭化水素架橋であり、当該架橋は、1個以上のエーテルおよび/またはエステル官能基により中断されてもよく、任意選択により1個以上のOH官能基を有することがあり、
は、同じまたは異なるRまたはR基であり、
aは、0から1000であり、
bは、0から200であり、
cは、0から200であり、好ましくはc=0であり、
=0から1000であり、
=0から200であり、
ここで、c>0である場合に、指数dは整数>0であり、但し、bおよびc=0である場合、Rは、Rと同じ基から選択されてはならない)、少なくとも1種の乳化剤、好ましくは固体状態の乳化剤(微粒子乳化剤)、および任意選択により1種以上の共乳化剤の添加を含み、ここで、前記有機相は、エマルジョンの内相を形成する)と、
b)内相に対して0.1から40重量%、好ましくは0.5から25重量%、より好ましくは1から10重量%の濃度で外相(水相)に添加されるフリーラジカル開始剤の存在下で、内相を完全に重合させる工程と、を含む。完全な重合が、懸濁重合の形態でこのように実施される。
【0029】
a、bおよびcの数値は、好ましくは統計的平均値である。指数dは、整数指数項(連続する変数)である。
【0030】
において規定された炭化水素架橋は、例えば、アルキレン、アルケニレン、アルコキシレン、ポリアルコキシレン、ヒドロキシアルキレン、ヒドロキシアルコキシレン、アリーレン、アリールオキシレン、ヒドロキシアリーレン、ヒドロキシアリールオキシレン、アルキルアリーレン、アルカリールオキシレン、ヒドロキシアルカリーレン、ヒドロキシアルカリールオキシレン、アラルキレン、アラルコキシレン、ヒドロキシアラルキレンまたはヒドロキシアラルコキシレン基であり得る。
【0031】
使用される乳化剤は、すべての通例の乳化剤であり得る。それらは、陰イオン性、陽イオン性、または非イオン性の界面活性物質であり得る。
【0032】
典型的な乳化剤は、例えば、好ましくは10から18個の炭素原子の鎖長を有するアルキル硫酸塩、好ましくは疎水性基中に10から24個の炭素原子を有し、かつ、最大40個のエチレンオキシドまたはプロピレンオキシド単位を有するアルキル−およびアリールエーテル硫酸塩、好ましくは10から24個の炭素原子を有するアルキル−およびアルキルアリールスルホン酸塩、アルキルジフェニルオキシドジスルホン酸塩、オレイン酸スルホン酸塩、スルホコハク酸と一価アルコールまたはアルキルフェノールとのエステルおよびモノエステル、好ましくは10から18個の炭素原子の鎖長を有するアルキルおよびアルケニル炭酸塩、それぞれ4から40個のエチレンオキシド単位を有するポリグリコールエーテルおよびアルキルアリールポリグリコールエーテル、好ましくは12から20炭素原子を有するアルキルおよびアルケニルアルコール、好ましくは12から20個の炭素原子を有するエトキシル化アルキルおよびアルケニルアルコール、ならびにエトキシル化アルキルフェノールである。化粧用途に適する乳化剤系は、特に、例えばTEGO(登録商標)Care PL4またはABIL(登録商標)Care85の名称でEvonik Goldschmidt GmbHにより供給される、シリコーン油の乳化に一般的に役立つ乳化剤系である。特に、例えば、DE102005011785A1に詳述された、化粧用途から知られた乳化剤および界面活性剤を使用することができる。
【0033】
工程a)において固体状態で安定化されたエマルジョンが得られる場合が有利であり得る。この目的のため、使用される乳化剤は、好ましくは、少なくとも1つの次元(dimension)がナノスケールであるナノスケール粒子またはナノ構造粒子もしくはナノ対象物(nanoobject)であり、これらは、より好ましくは、金属酸化物、混合酸化物、窒化物、水酸化物、炭酸塩、ケイ酸塩、シリコーン樹脂、シリコーンおよび/または有機ポリマーの群から選択され、これらは、好ましくは、例えば、シラン、シロキサン、第4級アンモニウム化合物、陽イオンポリマー、および脂肪酸またはその陰イオンの群からの少なくとも1種の化合物で少なくとも部分的に疎水化されている。粒子乳化剤の使用ゆえに、シリコーンアクリレート複合粒子、特にコアシェルタイプのものを調製することが本発明の方法により可能である。これらは、コア中の重合したシリコーンアクリレートおよびシェルとしての粒子乳化剤を含む。本発明の文脈においては、ナノ対象物は、1、2、または3外形次元(external dimensions)においてナノスケールであり、好ましくは少なくとも1つの次元が1から100nmのサイズを有する材料、例えば、ナノプレートレット(nanoplatelets)、ナノロッド(nanorods)、およびナノ粒子である材料を意味するものと理解される。本発明においては、ナノ構造粒子は、内部ナノスケール構造を有する材料または粒子を指す。典型的な代表は、例えば、ナノ対象物の凝集体および凝集塊である。
【0034】
特に好ましい粒子乳化剤は、<1000nm、好ましくは<500nm、より好ましくは1から100nmの少なくとも1つの次元での平均一次粒子サイズを有する。一次粒子サイズは、既知の方法で求め得る。一次粒子サイズは、好ましくは、透過型電子顕微鏡写真の光学的評価により求める。
【0035】
粒子乳化剤は、それ自体でまたは分散液もしくはゾル、特に水性分散液もしくはゾルの形態で本発明による方法において使用し得る。
【0036】
特に粒子乳化剤を使用する場合、本発明による方法の工程a)において、乳化剤の調製が1種以上の共乳化剤を添加して実施される場合が有利であり得る。本発明による方法において使用される共乳化剤は、特に、固体状態の乳化剤粒子と相互作用する化合物、好ましくは固体状態の疎水化性(hydrophobizing)乳化剤粒子に結合する化合物であり得る。本発明による方法においては、使用される共乳化剤は、特に、陽イオン界面活性剤の群から選択される化合物であり得る。使用される陽イオン共乳化剤は、特に、陽イオンアンモニウム化合物であり得る。このような化合物は、例えば、Evonik Goldschmidt GmbHから、VARISOFT(登録商標)470P、VARISOFT(登録商標)TC−90、VARISOFT(登録商標)110、AROSURF(登録商標)TA−100、ADOGEN(登録商標)442−100P、ADOGEN(登録商標)432、ADOGEN(登録商標)470、ADOGEN(登録商標)471、ADOGEN(登録商標)464、VARIQUAT(登録商標)K300、VARIQUAT(登録商標)B343、VARIQUAT(登録商標)80ME、REWOQUAT(登録商標)3690、REWOQUAT(登録商標)WE15、REWOQUAT(登録商標)WE18、REWOQUAT(登録商標)WE28、またはREWOQUAT(登録商標)CR3099の商標で入手可能である。本発明による方法においては、陽イオン共乳化剤として臭化または塩化セチルトリメチルアンモニウムを使用することが好ましい。
本発明による方法においては、使用される式(I)のシリコーンメタクリレートは、好ましくは、式(I)におけるR基の70%超、より好ましくは90%超、最も好ましくはすべてがメチル基であるものである。
【0037】
一般式(I)におけるR基は、好ましくは、式(IIa)から(IIj)
【化2】

の基の群から選択される。
【0038】
が規定された基の1つであり、R基が水素またはメチル基である場合が特に好ましい。R基が上記に規定された割合のメチル基であり、R基が式IIaからIIjの基から選択され、R基が水素またはメチル基である式(I)のシリコーンメタクリレートを、本発明による方法において使用することが非常に特に好ましい。
【0039】
aが0から500、好ましくは2から250の値をとる式(I)のシリコーンメタクリレートが使用される場合が有利であり得る。
【0040】
bが0から100、好ましくは1から50、優先的には3から25の値をとる式(I)のシリコーンメタクリレートが使用される場合が同様に有利であり得る。
【0041】
cが0から100、好ましくは0から50、優先的には0の値をとる式(I)のシリコーンメタクリレートが使用される場合が同様に有利であり得る。
【0042】
aが0から500、好ましくは2から250の値をとり、bが0から100、好ましくは1から50、より好ましくは3から25の値をとり、cが0から100、好ましくは0から50、好ましくは0の値をとり、aおよびbが、aおよびbに対応して定義される式(I)のシリコーンメタクリレートが使用される場合が特に有利であり得る。
【0043】
使用されるシリコーンメタクリレートは、特に、Evonik Goldschmidt GmbHから入手できる製品であるTEGO(登録商標)RC705、706、708、709、710、711、712、715、716、719、726、902、2015またはTEGO(登録商標)Rad2100、2200N(シリコーンポリエーテルアクリレート)、2250(シリコーンポリエーテルアクリレート)、2300(シリコーンポリエーテルアクリレート)、2350(シリコーンポリエーテルアクリレート)、2500(アクリル変性(acrylic-modified)ポリジメチルシロキサン)、2600(アクリル変性ポリシロキサン)、2650(アクリル変性ポリシロキサン)または2700(アクリル変性ポリシロキサン)であり得る。
【0044】
本発明による方法においては、式(I)のシリコーンメタクリレートを個別にまたは混合物として、特にランダム混合物として使用することが可能である。本発明による方法においては、シリコーンメタクリレートが、それらの構造および/またはそれらの分子量に関して異なる式(I)のシリコーンメタクリレートの混合物を使用することが好ましい。
【0045】
工程b)の前に、コモノマー、特にエチレン型(ethylenically)またはビニル型(vinylically)不飽和基を有するコモノマーが有機相に添加される場合が有利であり得る。このようなコモノマーは、例えば、LAROMER(登録商標)(BASF AG)、EBECRYL(登録商標)(Cytec Surface Specialities)またはDESMOLUX(登録商標)(Bayer Material Science)のグループ名で販売されているモノ−またはポリ(メタ)アクリル化有機モノマーまたはオリゴマーであり得る。エチレン型モノ不飽和もしくは多価不飽和の有機モノマーまたはオリゴマーも、好ましくはビニル基を有するエチレン型不飽和のオルガノポリシロキサンを意味すると理解されるものである。工程a)の前にさらなるコモノマーを添加することが好ましい。
【0046】
工程b)における重合の完了時に、有機コモノマーは、反応してポリシロキサンメタクリレートネットワークに共有結合で組み込まれるか、または別のネットワークとして存在するかのいずれかであり得る。これらの記載された限定的な場合の混合形態は、同様に可能であり本発明の部分を形成する。
【0047】
本発明による方法においては、工程b)の前に、好ましくは工程a)の前に、陽イオン基を含有し、かつ、反応基、例えばビニル基、エチレン型不飽和基またはエポキシ基も有し得るオルガノポリシロキサンを有機内相に添加し得る。陽イオン基を含有し、かつ、反応基、例えばビニル基、エチレン型不飽和基またはエポキシ基も有し得るオルガノポリシロキサンは、好ましくは、反応混合物全体に対して最大25重量%、好ましくは最大10重量%、より好ましくは最大5重量%の濃度で添加される。
【0048】
このように、特定の基質への良好な接着性および分散液の静電的または電気立体的(electrosteric)安定化の両方を達成し得る陽イオン粒子を得ることが可能である。陽イオン基を有するこのようなオルガノポリシロキサンの例は、例えば、ABIL(登録商標)Quat3272およびABIL(登録商標)3474(Evonik Goldschmidt GmbH)である。
【0049】
任意選択により、さらなる成分が、工程a)において有機相に添加され得る。さらなる成分は、工程a)において有機相または混合物中に溶解または分散され得る。このようなさらなる成分は、機能性成分または非機能性成分であり得る。さらなる成分は、特に、分散性の固体、例えば無機粒子および/または繊維、例えば、金属酸化物、混合酸化物、窒化物、水酸化物、炭酸塩、ケイ酸塩、顔料、カーボンブラック、元素、またはアロイのもの、ならびに/あるいは有機粒子および/または繊維、例えば、シリコーン樹脂、シリコーンまたは有機ポリマーまたはバイオポリマーからなるものであってよく、好ましくは、但し、充填剤は使用される乳化剤と異なることが条件である。分散性固体は、例えば、沈降シリカ、珪藻土(diatomaceous earth)(珪藻土(Kieselguhr))、ヒュームドシリカ、石英粉、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化鉄、カーボンブラック、グラファイト、カーボンナノチューブもしくは繊維、アルミノケイ酸塩、アルカリ土類金属炭酸塩、三水酸化アルミニウム、二水酸化マグネシウム、または先行技術から知られる他の通例の固体、およびトリメチルクロロシラン、ヘキサメチルジシラザン、(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリアルコキシシラン、アミノプロピルトリアルコキシシラン、ポリジメチルシロキサン、Si−H基、または純粋なカルボン酸、キレート剤またはフルオロポリマーを有するポリシロキサンなどの有機ケイ素化合物での表面改質に関して記載された物質のいずれかであり得る。これらの固体は、例えば、特定の機械的性質を達成するための充填剤として、UV安定剤として、顔料として、帯電防止剤として、または強磁性を達成するために役立ち得る。
【0050】
本発明による方法においては、有機相は、任意選択により、好ましくは長期にわたって粒子から放出され得る材料も含み得る。このような材料は、例えば、化粧用油および活性成分、香料、活性薬剤成分、例えば銀および銀化合物を含めた活性抗菌成分、ならびに同様に染料および保存料であり得る。本発明による方法の工程a)において、その平均液滴サイズが0.01から1000μm、好ましくは0.1から500μm、より好ましくは1から100μmに調節されるエマルジョンが得られる場合が有利であり得る。
【0051】
液滴サイズは、視野(少なくとも10×10個の液滴が視野に存在しなければならない)においてそれぞれの場合で最小および最大液滴の直径を測定することによって、光学顕微鏡(下限値として約1μmまで)を用いて測定することができる。さらに、当業者によく知られている静的光散乱法および動的光散乱法によって、液滴サイズ分布を求めることが可能である。これは、完全に重合した粒子の分散にも当てはまり、さらに、粒子サイズ分布を、当業者によく知られている走査電子顕微鏡写真または透過型電子顕微鏡写真を用いて求めことができる。
【0052】
エマルジョンは、好ましくは、50から500μmのキャピラリーの太さ(内径)で、好ましくは50から1000bar、好ましくは100から800bar、より好ましくは200から600barの圧力で、少なくとも1つの相互作用室(interaction chamber)に有機および水相を含む混合物を通してこの混合物を分散し、次いで混合物を周囲圧力に、例えば出口槽(outlet reservoir)中に減圧することによって、工程a)において調製される。これによって、好ましくは、前述の好ましい液滴サイズの1つが形成される。直列に接続された2つ以上の相互作用室が使用される場合が有利であり得る。本方法において、所望の液滴サイズを、より容易に形成し得る。相互作用室中のエマルジョンの調製は、明確な参照がなされたUS2004−0063818およびDE10011564に詳細に記載されている。エマルジョンを調製するために適した装置は、例えばMicrofluidicsによってMicrofluidizerの名称で供給されている。
【0053】
液滴が好ましくは球状形態を有する好ましい範囲内の液滴サイズを有するエマルジョンを得るためには、共乳化剤を添加する場合に、予備エマルジョンV1が成分工程a1)において調製されるまで共乳化剤を添加しないことが有利であり得る。この予備エマルジョンV1は、例えば、高剪断力(ローター−ローターシステム(rotor-rotor system)を用いて可能であるような)を適用して、式(I)のシリコーンメタクリレート、水および乳化剤、好ましくは粒子乳化剤、より好ましくはナノ粒子SiO、最も好ましくはGrace DavisonのLUDOX(登録商標)SM−ASの混合物を乳化することによって得ることができる。好適なローター−ローターシステムは、例えば、SymexによりCo−Twisterホモジナイザーとして供給される。
【0054】
予備エマルジョンV2の調製においては、共乳化剤が、工程a2)において予備エマルジョンV1に添加される。共乳化剤は、純粋な材料として、または溶液、例えば水溶液の形態で添加することができる。予備エマルジョンV1への共乳化剤の添加によって、予備エマルジョンV1中に存在する小滴の液滴サイズが効果的に固定される。したがって、共界面活性剤の添加の時間によって、液滴サイズ分布が構成される。他のパラメーターのうちで、添加される乳化剤および共乳化剤の量は、エマルジョンの液滴サイズ分布を前もって設定するのに使用することができる。粒子乳化剤と共乳化剤との重量比は、好ましくは100:1から1:1、好ましくは50:1から3:1である。
【0055】
続いて、工程a2)において得られる予備エマルジョンV2を工程a3)における相互作用室を有するホモジナイザー中に分散する。エマルジョンは、好ましくは、50から500μmのキャピラリーの太さ(内径)で、好ましくは50から1000bar、好ましくは100から800bar、より好ましくは200から600barの圧力で、少なくとも1つの相互作用室に有機および水相を含む混合物を通してこの混合物を分散し、次いで混合物を周囲圧力に、例えば出口槽中に減圧することによって、工程a)において調製される。この過程で、上記の好ましい液滴サイズの1つが、好ましくは形成される。直列に接続された2つ以上の相互作用室が使用される場合が有利であり得る。このように、所望の液滴サイズは、特に簡単な方法で形成され得る。好適なホモジナイザーの一例は、MicrofluidicsによりMicrofluidizerの名称で供給されるものである。
【0056】
本発明による方法の工程a3)においては、相互作用室の少なくとも1つが100から300μmのキャピラリーの太さを有する相互作用室を使用することが好ましい。本発明による方法の工程a)において、相互作用室の少なくとも1つが、好ましくはすべてが、少なくとも1つの偏向ベンド(deflecting bend)を有する相互作用室を使用することが特に好ましい。
【0057】
成分工程a1)からa3)の実施および成分工程a3)における相互作用室を有するホモジナイザーの使用により、特に簡単な方法で所望の粒子サイズ分布を有する球状液滴を調製することが可能である。
【0058】
工程b)における重合は、水相に添加されるフリーラジカル開始剤または開始剤系によって開始される。方法工程b)は、高温で行われ得るが、好ましくは室温で実施される。方法工程b)を撹拌しながら実施することが好ましい。その他の点では、工程b)における重合は、先行技術に記載された慣用方法で実施され得る。
【0059】
使用されるフリーラジカル開始剤は、フリーラジカル開始剤として好適な通例の化合物であり得る。可能なフリーラジカル開始剤は、例えば、ペルオキソ二硫酸塩、例えばペルオキソ二硫酸アンモニウムもしくはカリウム、過酸化水素、t−ブチルヒドロペルオキシドなどのアルキルヒドロペルオキシド、またはペルオキソ二リン酸アンモニウムもしくはカリウムであり得る。これらの場合においては、開始は、例えば、温度を増加させることにより実施することができる。使用されるフリーラジカル開始剤は、好ましくは、好適な場合、触媒分解作用を有する重金属塩、例えば銅塩または鉄塩と一緒に、低温、好ましくは<70℃、好ましくは<45℃、より好ましくは<30℃の温度でも作用するレドックス系でもあり得る。フリーラジカル開始剤として使用される好ましいレドックス系は、例えば、少なくとも1種の還元剤、例えば、亜硫酸水素ナトリウムなどの亜硫酸水素アルカリ金属、亜ジチオン酸ナトリウムなどの亜ジチオン酸アルカリ金属、ホルムアルデヒドジスルホキシル酸ナトリウム、あるいはアスコルビン酸との組み合わせでの、ペルオキソ二硫酸アンモニウムまたはカリウムなどのペルオキソ二硫酸塩、ペルオキソ二リン酸アンモニウムまたはカリウムなどのペルオキソ二リン酸塩、過酸化水素、またはt−ブチルヒドロペルオキシドなどのアルキルヒドロペルオキシドであり得る。いくつかの場合においては、フリーラジカル開始剤をフリーラジカル移動剤(transferrer)と一緒に使用される場合が有利であり得る。好ましいフリーラジカル移動剤は、例えば、アセチルアセトン、アセトンなどであり得る。このような系は、フリーラジカル開始剤として周知であり、乳化重合の分野における先行技術である。さらに、例えば酸性基、例えば硫酸水素塩の基の形成の結果としてのpH変化を吸収するために、このようなフリーラジカル開始剤、特にレドックス系に基づくものに緩衝系を添加することが可能である。このような緩衝系、例えば炭酸またはリン酸緩衝液は、同様に長期に知られており、先行技術である。リン酸緩衝液を使用することが好ましく、約pH7の範囲にpHを安定化する緩衝液、例えばリン酸水素二アルカリ金属、特にリン酸水素二カリウム(酸性基、例えば硫酸水素塩を形成する場合)、またはリン酸水素二カリウムなどのリン酸水素二アルカリ金属とリン酸二水素カリウムなどのリン酸二水素アルカリ金属との組合せが、特に好ましい。
【0060】
重合工程b)の実施後、得られる粒子を懸濁液から除去することが有利であり得る。この目的のためには、例えば、水が、通例の方法、例えば、ろ過または遠心分離によって除去することができる。乾燥操作を促進するためには、例えばエタノールで粒子を洗浄することが有利であり得る。
【0061】
粒子が合成後に表面改質される場合が有利であり得る。表面改質は通例の方法で実施し得る。粒子がコアシェル粒子であって、シェルが半金属/金属酸化物、特にSiOを含む場合、官能性粒子を得るために、例えば、トリメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、もしくはヘキサメチルジシラザンまたはα−官能性シランやカルボン酸などを含むさらなる官能性シランを用いて、当業者に知られた方法により、表面を改質することができる。表面を、無機化合物および元素、例えば銀で覆うことも同様に可能である。このようにして、殺菌性粒子が得られる。
【0062】
改質剤が、改質される表面と共有結合、イオン結合、または配位結合または水素結合を作ることができる少なくとも1種の官能基を有する場合は特に有利であり得る。これらの官能基は、例えば、カルボン酸基、酸塩化物基、エステル基、ニトリルおよびイソニトリル基、OH基、SH基、エポキシ基、無水物基、酸アミド基、第1級、第2級、および第3級アミノ基、Si−OH基、加水分解性シラン基(Si−OR)、またはCH−酸性部分(例えば、β−ジカルボニル化合物、例えばアセチルアセトン、2,4−ヘキサンジオン、3,5−ヘプタンジオン、ジアセチル酢酸またはアセト酢酸におけるような)であり得る。このタイプの2種以上の基が、改質剤(例えば、ベタイン、アミノ酸、例えば、グリシン、アラニン、β−アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、アルギニン、およびアミノカプロン酸)中に、および同様にEDTA中に存在することも同様に可能である。表面改質のためのカルボン酸は、例えば、脂肪酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、アクリル酸、アジピン酸、コハク酸、フマル酸、イタコン酸、ステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、リシノール酸、およびポリエーテルカルボン酸、ならびに対応するそれらの無水物、塩化物、エステル、およびアミド、例えば、メトキシ酢酸、3,6−ジオキサヘプタン酸、および3,6,9−トリオキサデカン酸、ならびに対応する酸塩化物、エステル、およびアミドである。
【0063】
コアシェルシリコーン粒子の表面と結合を作ることができる少なくとも1種の官能基に加えて、改質剤は、さらに粒子の性質を改質するさらなる基を有し得る。このような基あるいはそれらの他の部分は、例えば、疎水性または親水性であるか、1以上の官能基を有してもよく、このようにして、シリコーン粒子を周囲の媒体と相溶性となるようにし、それらを不活性化するかそれらを反応性にし、これには周囲のマトリックスとの結合も含まれる。これらの官能基は、例えば、アルキル、アリール、アルカリール、アラルキル、フルオロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ポリアルコキシ、エポキシ、アクリロイルオキシ、メタクリロイルオキシ、アクリレート、メタクリレート、カルボキシル、アミノ、スルホニル、サルフェート、ホスフェート、ポリホスフェート、ホスホネート、アミド、硫化物、硫化水素、ハロアルキル、ハロアリール、およびアシル基の範囲から選択され得る。
【0064】
表面改質がシランで行われる場合、少なくとも1種の非加水分解性基をさらに有する加水分解性オルガノシランを使用することが好ましいことであり得る。このようなシランは、一般式(III)により表され、
SiX(4−n) (III)
式中、
R=同じか異なる非加水分解性基であり、
X=同じか異なる加水分解性基またはヒドロキシル基であり、
n=1、2、3または4である。
【0065】
一般式(III)において、加水分解性X基は、例えば、H、ハロゲン(F、Cl、Br、I)、アルコキシ(好ましくは、メトキシ、エトキシ、i−プロポキシ、n−プロポキシもしくはブトキシ)、アリールオキシ(好ましくはフェノキシ)、アシルオキシ(好ましくはアセトキシもしくはプロピオニルオキシ)、アリール(好ましくはアセチル)、アミノ、モノアルキルアミノ、またはジアルキルアミノ基であり得る。さらに、一般式(III)においては、非加水分解性R基は、官能基を有するあるいは有さない基であり得る。例えば、官能基を有さない一般式(III)におけるRは、例えば、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルキルアリール、またはアラルキル基であり得る。RおよびX基は、任意選択により、1種以上の通例の物質、例えばハロゲンまたはアルコキシを有し得る。官能基を有する一般式(III)の基においては、官能基は、例えば、エポキシド(例えば、グリシジルもしくはグリシジルオキシ)、ヒドロキシル、エーテル、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、任意選択により置換されたアニリノ、アミド、カルボキシル、アクリロイル、メタクリロイル、アクリロイルオキシ、メタクリロイルオキシ、メルカプト、シアノ、アルコキシ、イソシアナト、アルデヒド、アルキルカルボニル、酸無水物、リン酸およびポリリン酸基の範囲から選択され得る。これらの官能基は、酸素もしくはNH基により中断され得るアルキレン、アルケニレン、またはアリーレン架橋基を介してケイ素原子に結合し得る。これらの二価の架橋基および存在する任意の置換基(アルキルアミノ基におけるように)は、対応する一価のアルキル、アルケニル、アリール、アラルキル、およびアルカリール基から誘導され得る。当然、R基も2以上の官能基を有し得る。官能基を有する一般式(III)による非加水分解性のR基は、グリシジル−またはグリシジルオキシアルキレン基、例えば、β−グリシジルオキシエチル、γ−グリシジルオキシプロピル、δ−グリシジルオキシプロピル、ε−グリシジルオキシペンチル、ω−グリシジルオキシヘキシル、または2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル、メタクリロイルオキシアルキレンおよびアクリロイルオキシアルキレン基、例えば、メタクリロイルオキシメチル、アクリロイルオキシメチル、メタクリロイルオキシエチル、アクリロイルオキシエチル、メタクリロイルオキシプロピル、アクリロイルオキシプロピル、メタクリロイルオキシブチル、またはアクリロイルオキシブチル、および3−イソシアナトプロピル基の範囲から選択され得る。
【0066】
さらに、少なくとも部分的にフッ素化されたアルキル基、例えば、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチルまたは3,3,3−トリフルオロプロピル基を有するシランを使用することも可能である。
【0067】
シリコーンメタクリレート粒子のシェルがSiOから形成される場合、該粒子はアルカリ性、中性、および同様に弱酸性のpH領域において負電荷を有するが、何故なら、固体状態の安定剤粒子がそこで負のζ電位を有するからである。これによって、粒子の電荷反転まで行うことができる陽イオン物質または陽イオンポリマーによる改質が可能になる。このような陽イオン物質の例は、ポリジメチルジアリルアンモニウムクロリド(PDADMAC)、キトサン、四級化セルロース誘導体(例えば、Polyquaternium-10)、四級(オルガノ)ポリシロキサン(例えば、Quaternium-80、例えば、Evonik Goldschmidt GmbHのABIL(登録商標)Quat3272またはABIL(登録商標)Quat3474)、あるいは変性ポリ尿素構造(RaschingのRalumer11におけるような)であり得る。このような改質によって、例えば、多くの織物繊維、皮膚、または髪に見出すことができるような、負に帯電した表面へのこのように改質された粒子の接着が可能になる。
【0068】
シロキサンおよびオルガノポリシロキサンでの表面改質を行うことは、特に酸化物粒子、例えばコロイドシリカ(例えば、Grace DavisonからLUDOX(登録商標)として入手可能である)の場合、同様に可能である。これは、任意選択により、好適な触媒(例えば、カルバミン酸アンモニウムもしくはアルカリ金属水酸化物)の存在下で、および任意選択により同様に高温で、トリメチルシロキシ基で末端封止された(end-capped)ジメチルポリシロキサン、環状ジメチルポリシロキサン、α,ω−ジヒドロキシポリジメチルシロキサン、環状メチルフェニルシロキサン、トリメチルシロキシ基で末端封止されたメチルフェニルポリシロキサンの使用、またはトリメチルシロキシ基で末端封止されたジメチルシロキサン−メチルフェニルシロキサン共重合体の使用によって行うことができる。
【0069】
ポリシロキサンまたはオルガノポリシロキサンによる表面改質は、共有結合的にあるいは吸着性により行うことができ、このような物質クラスの例は、末端および/または櫛位置(comb position)においてポリエーテルまたはポリエステル鎖で修飾されたオルガノポリシロキサンである。粒子の表面改質に単官能ポリシロキサン、例えば、トリメチルシリル基で末端封止されたα−ハロ−、α−アルコキシ−、およびα−ヒドロキシジメチルポリシロキサンを使用することも同様に可能である。
【0070】
本発明のシリコーンメタクリレート粒子は、それらが本発明による方法によって得られ、したがって、任意選択によりさらなる成分、例えば充填剤、助剤、または活性物質などの存在下で、フリーラジカル開始剤、特にフリーラジカル開始剤としてのレドックス系の存在下で、式(I)のシロキサンメタクリレートおよび任意選択により他のモノマーを重合させることによって得られたポリマーを含むという点において注目に値する。好ましい発明のシリコーンメタクリレート粒子は、コアシェル構造(いわゆるシリコーンメタクリレート複合粒子)を有するものである。これらにおいては、好ましくは粒子乳化剤により形成されるシェルが、重合したシリコーンメタクリレートを含む内部コアを取り囲む。特に好ましいシリコーンメタクリレート粒子は、シェルが、表面が好ましくは改質されている上記の無機粒子から形成されるものである。
【0071】
好ましいシリコーンメタクリレート複合粒子は、シェルが改質されているものであり得る。このような改質は、例えば、有機アンモニウムイオンなどの陽イオン物質または陽イオンポリマー、陽イオンシロキサン、有機ポリマー、例えば、ポリアクリレート、カルボン酸またはカルボン酸陰イオン、キレート剤、ジケトン、シロキサン、または上記に記載された縮合シランで行うことができる。表面改質は、ポリマー粒子に物理的にまたは化学的に結合され得る。さらに、表面改質剤は、例えば官能性シランを使用する場合には、官能基を有し得る。表面改質剤は、分離した分子からなるか、あるいは架橋され得る。
【0072】
シリコーンメタクリレートに加えて、上記粒子は、重合に使用され得るコモノマーから形成される成分を含み得る。これらのコモノマーは、反応してポリシロキサンメタクリレートネットワーク中に完全にまたは部分的に組み込まれ、あるいは別のネットワークとして存在し得る。これらの記載された限定的な場合の混合形態も同様に可能であり、本発明の部分を形成する。
【0073】
粒子が乳化剤、モノマー、またはコモノマーが起源である成分ではないさらなる成分を含む場合が有利であり得る。このような成分は、機能性成分、例えばUV安定剤顔料、または非機能性成分、例えば充填剤であり得る。このようなさらなる成分の含有量は、シリコーンメタクリレートの含有量に対して、0.01から99重量%、好ましくは0.1から80重量%、より好ましくは1から50重量%であり得る。さらなる成分は、膨潤および拡散を通して既に重合した粒子に続いて添加され得る。これは、溶媒を用いても行うことができ、この溶媒はその後再び除去される。しかしながら、調製プロセス(上記を参照されたい)の途中でさらなる成分を添加することも可能である。特に、さらなる成分は、本発明による方法の工程a)における有機相に添加し得る。さらなる成分は、ポリマーマトリックス中に溶解して存在し、あるいは任意選択により不安定な共有結合を介してマトリックスに結合し得る。
【0074】
本発明の粒子中に存在し得るさらなる成分は、例えば、染料、着臭剤、可塑剤、フェロモン、ホルモン、成長物質、化粧用油および活性成分、消毒剤、活性抗菌成分、UV吸収剤、酸化防止剤、殺虫剤、保存剤、活性薬剤成分、およびその他の多くのものであり得る。
【0075】
本発明の粒子中に存在するさらなる成分は、特に、トリメチルシロキシ基で末端封止された直鎖または分枝のジメチルポリシロキサン、環状ジメチルポリシロキサン、環状メチルフェニルシロキサン、トリメチルシロキシ基で末端封止されたメチルフェニルシロキサン、トリメチルシロキシ基で末端封止されたジメチルシロキサン−メチルフェニルシロキサン共重合体、トリメチルシロキシ基で末端封止されたジメチルシロキサン−メチルフルオロアルキルシロキサン共重合体(ここで、フルオロアルキル基は、例えば、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチルまたは3,3,3−トリフルオロプロピル基である)、α,ω−ジヒドロキシポリジメチルシロキサン、末端および/または櫛位置においてアルコキシル化されたポリジメチルシロキサン、末端および/または櫛位置においてアルキル化されたポリジメチルシロキサン、ならびに末端および/または櫛位置においてアルキル化およびアルコキシル化されたポリジメチルシロキサンから構成される混合形態、ABIL(登録商標)Quat3272およびABIL(登録商標)Quat3474(Quanternium-80としても知られる)などの第四級(オルガノ)ポリシロキサン、アルカン、例えば、ヘキサンおよび高級同族体またはシクロアルカンおよび高級同族体、および同様に流動パラフィンおよびイソパラフィン、スクアラン、芳香族炭化水素、例えば、ベンゼンまたはトルエン、ハロゲン化炭化水素、例えば、四塩化炭素または塩化メチレン、ケトン、例えば、アセトン、ジエチルケトン、またはメチルイソブチルケトン、アルコール、例えば、ウンデシルアルコール、ステアリルアルコール、セチルステアリルアルコール、オレイルアルコール、エーテル、例えば、ジブチルエーテル、エステル、例えば、ビス(2−エチルヘキシル)カルボネート、イソノニルイソノナノエート、イソプロピルラウレート、イソプロピルパルミテート、ヘキシルラウレート、イソプロピルミリステート、ミリスチルミリステート、セチルミリステート、2−オクチルデシルミリステート、イソプロピルパルミテート、2−エチルヘキシルパルミテート、ブチルステアレート、デシルオレエート、2−オクチルドデシルオレエート、ミリスチリルラクテート、セチルラクテート、ラノリンアセテート、天然または天然同様の油、例えば、アボカド油、扁桃油、オリーブ油、ココア油、ホホバ油、ゴマ油、ひまわり油、ダイズ油、ツバキ油、セダー油、杏仁油、ヒマシ油、ミンク油、グラウンドホッググリース(groundhog grease)、綿実油、やし油、卵油、豚の脂肪、グリコールエステル、例えば、ポリプロピレングリコールモノオレエートまたはネオペンチルグリコール2−エチルヘキサノエート、グリセリルエステル、例えば、グリセリルトリイソステアレートまたはヤシ脂肪酸のグリセリルエステル、およびアルコキシル化脂肪アルコール、例えば、ラウリルアルコールエトキシレートまたはセチルアルコールプロポキシレート、テルペンアルコール、例えば、シトロネロール、メントール、リナロール、ファルネソール、ネロリドール、ネロール、ゲラニオール、ボルネオール、イプセノール、ビサボロールまたはテルピネオール、テルペン、例えば、メンタン、テルピネン、フェランドレン、ピネンまたはリモネン、テルペン無水物、例えば、シトラール、テルペンケトン、例えば、メントン、プレゴンまたはカルボン、テルペン誘導体、例えば、ショウノウ、ジテルペン、例えば、レチノール、フェノール物質、例えば、チモール、ユージノール、トコフェロールまたはバニリン、フェロモン、例えば、ベルベノン、コレステロール誘導体、例えば、テトステロン、アンドロステロン、エストラジオールまたはコルチゾン、抗生物質、例えば、メトロニダゾールまたはデキサメタゾン、殺真菌剤、例えば、オルトフェニルフェノールまたはチアベンダゾール、抗カビ剤、例えば、ケトコナゾールまたはトルナフテート、ならびにその他の多くのものであり得る。
【0076】
化粧品用途のための特に好ましいさらなる成分は、トコフェロール、酢酸トコフェロール、パルミチン酸トコフェロール、アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル、デオキシリボ核酸、補酵素Q10、レチノールおよびレチノール誘導体、ビサボロール、アラントイン、フィタントリオール、パンテノール、AHA酸、アミノ酸、ヒアルロン酸、クレアチン(およびクレアチン誘導体)、グアニジン(およびグアニジン誘導体)、セラミド、フィトスフィンゴシン(およびフィトスフィンゴシン誘導体)、スフィンゴシン(およびスフィンゴシン誘導体)、擬セラミド(pseudoceramides)、精油、ペプチド、タンパク質加水分解物、植物エキス、および複合ビタミン剤である。デヒドロキシアセトンおよび有機日焼け防止フィルターがさらなる成分として存在することも可能である。前述のさらなる成分は、本発明の粒子中に特に機能成分として存在し得る。機能成分がフリーラジカルスカベンジャーである場合、このような機能成分は、フリーラジカル重合工程b)の完了後まで粒子に添加されない。これは、例えば、膨潤/拡散により行うことができる。
【0077】
本発明のシリコーンメタクリレート(silicone meth(acrylate))粒子は、粒子から放出され得る、上記のさらなる成分から特に選択される1種以上の物質を含み得る。放出は、適切な用途において長期にわたって続き得る。放出は、例えば、拡散または加水分解反応とその後の拡散により続き得る。
【0078】
粒子に存在し得る放出される物質は、例えば、化粧用油および活性成分、香料、例えば、銀および銀化合物を含めた活性薬剤成分、ならびに同様に染料および保存料である。これらの物質は、溶解された形態で存在し、またはシリコーンメタクリレートマトリックス中に埋め込まれ、または不安定な化学結合によりシリコーンメタクリレートマトリックスに結合され得る。放出される物質は、特に上記のさらなる成分であり得る。
【0079】
本発明のシリコーンメタクリレート粒子または本発明により調製されたものは、コーティング材料、接着材料、または密封材料において、ポリマーにおける、消泡剤において、湿潤助剤および平滑化助剤(levelling aids)において、化粧品または医薬製剤およびケア製品において、清浄用組成物および洗剤組成物において、あるいは固体および液体物質の界面特性(例えば、潤滑剤の触感性、疎水化または改質、および/または放出特性)を改質するための用途において、単独で、あるいは粉末または分散液の形態のさらなる粒子、顔料、および/またはさらなる通例の添加剤と混合して、使用され得る。
【0080】
本発明の組成物は、本発明のシリコーンメタクリレート粒子または本発明により調製されるものを含む。このような本発明の組成物は、例えば、水性または有機媒体中のシリコーンメタクリレート複合粒子の分散液であってよく、この場合においては、分散助剤、界面活性剤、および/または増粘剤が、任意選択により分散液に添加され得る。
【0081】
このような分散液を調製するためには、本発明により調製される粒子は、媒体、例えば、水、アルコール、脂肪族または芳香族炭化水素、およびシリコーン中に分散される。粒子は、静電的手段により、例えばpHにより、立体的手段により、例えば分散添加剤または乳化剤により、あるいは電気立体手段により、周囲の媒体中に安定化され得る。分散液の調製において陰イオン、陽イオン、両性もしくは非イオン界面活性剤、または前述の物質のクラスの混合物を使用することが可能である。陽イオン界面活性成分は、例えば、1級、2級、もしくは3級アミンの塩、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、トリアルキルメチルアンモニウム塩、テトラアルキルアンモニウム塩、アルコキシル化アルキルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩またはN,N−ジアルキルモルホリニウム塩から選択され得る。陰イオン界面活性化合物は、例えば、脂肪族カルボン酸の塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフチルスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、α−スルホン酸化脂肪族カルボン酸の塩、N−アシル−N−メチルタウリン酸塩、アルキル硫酸塩、硫酸化油、ポリエトキシル化アルキルエーテル硫酸塩、ポリエトキシル化アルキルフェニルエーテル硫酸塩、アルキルリン酸塩、ポリエトキシル化アルキルエーテル硫酸塩、ポリエトキシル化アルキルフェニルエーテル硫酸塩、およびホルムアルデヒドとナフチルスルホン酸塩の縮合物から選択され得る。両性界面活性化合物は、例えば、N,N−ジメチル−N−アルキル−N−カルボキシメチルアンモニウムベタイン、N,N−ジアルキルアミノアルキレン炭酸塩、N,N,N−トリアルキル−N−スルホアルキレンアンモニウムベタイン、N,N−ジアルキル−N,N−ビスポリオキシエチレンアンモニウムサルフェートエステルベタイン、2−アルキル−1−カルボキシメチル−1−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインから選択され得る。
【0082】
非イオン界面活性化合物は、例えば、ポリエトキシル化アルキルエーテル、ポリエトキシル化アルケニルエーテル、ポリエトキシル化アルキルフェニルエーテル、ポリエトキシル化ポリスチレンフェニルエーテル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、脂肪族カルボン酸と多官能アルコールとの部分エステル、例えば、ソルビタンエステル、脂肪族グリセリルエステル、脂肪族ポリグリセリルエステル、脂肪族デカグリセリルエステル、エチレングリコール/ペンタエリトリトールの(混合)脂肪族エステル、プロピレングリコール/ペンタエリトリトールの(混合)脂肪族エステル、多官能アルコールのポリエトキシル化脂肪族部分エステル、例えば、ポリエトキシル化脂肪族ソルビタン部分エステル、エトキシル化脂肪族グリセリルエステル、混合エトキシル化/脂肪族エステル化酸、ポリグリセロールの脂肪族カルボン酸エステル、ポリエトキシル化ヒマシ油、脂肪族カルボン酸のジエタノールアミド、ポリエトキシル化アルキルアミン、トリエタノールアミンの脂肪族部分エステル、トリアルキルアミンオキシド、およびポリアルコキシル化オルガノポリシロキサンから選択され得る。このような分散添加剤は、例えば、Evonik Goldschmidt GmbHの製品ポートフォリオから選択することができ、例えば、「Tego(登録商標)Dispers」または「Tegopren(登録商標)」の名称で、同社で入手可能である。このような界面活性物質の含有量は、分散液に対して、0.1から50重量%の間、好ましくは1から30重量%の間であってよい。分散液中の分散粒子の含有量は、好ましくは0.1から80重量%、好ましくは1から40重量%である。
【0083】
所望の粘度を安定化および達成するために、分散液にさらなる物質を添加することも可能である。例には、分散媒体と混和性の溶媒あるいは可溶性ポリマー、例えば、キサンタンガム、グアー粉末、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリレート、ヒドロキシエチルセルロース、ポリエチレンイミン、ポリエトキシル化グリコールステアレート、および同様に粘土、層状ケイ酸塩、AEROSIL(登録商標)(Evonik Degussa GmbH)などの発熱性酸化物、ヒドロキシ脂肪酸グリセリド、ヒドロキシ脂肪酸、アルミニウムトリステアレート、ポリオレフィンワックス、およびアミドワックスが含まれる。分散液にさらなる機能性物質を添加することも同様に可能であり、例には、フィルムを形成するポリメタクリレート、シリコーン/メタクリレート共重合体、ポリ−N−アシルアルキレンイミン、ポリ−N−メチルピロリドン、フッ素化有機基、アミノ基またはシラノール基を有するシリコーン樹脂、酸化防止剤、例えば、BHA、BHT、アスコルビン酸およびγ−オリザノール、不凍剤、例えば、エタノール、エチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール、またはイソプロパノール、抗菌物質および保存料、例えば、トリクロサンおよびトリクロカルバンおよびヘキサクロロフェン、錯化剤、例えば、EDTA(酸および塩)、クエン酸ならびにエチドロン酸およびそれらの塩、UV吸収剤、例えば、ベンゾフェノン誘導体、ベンゾトリアゾール誘導体、ケイ皮酸エステル、または粒子UV吸収剤、例えば、ZnOもしくはTiO、染料および着色剤、顔料、噴霧助剤、湿潤剤、ビタミン、成長物質、ホルモン、および香料が含まれる。
【0084】
本発明の粒子を含む分散液は先行技術による通例の方法を用いて調製し得るが、形成された粒子を、本発明による方法の工程b)における重合後にさらに処理し、アルコールまたは水で洗浄し、乾燥を予め行うことなく、例えば水分散液にすることが有利である。これは、例えば、プロセスの経済性に好ましい効果を有する水相またはアルコール相から直接に所望の表面改質を行うことができる場合に同様に可能である。
【0085】
本発明のシリコーンメタクリレート粒子またはそれらを含む分散液は、化粧品およびトイレタリにおける添加剤として、例えば、つや消し剤として、皮脂吸収剤または絹のような皮膚感触を生じるための吸収剤として、ポリマーおよびラッカーまたはコーティングの機械的性質を改良するための(例えば、磨耗またはひっかき抵抗性、可撓性および同様に耐衝撃性を増すための)添加剤として、さらに、様々な異なる表面の滑動特性を改良するためのブロッキング防止剤として、粉末における流動または分散助剤として、トナーにおける添加剤として、洗浄およびケア配合物におけるマイルドな研磨剤として、および長期にわたり活性成分または助剤を放出する配合物成分または担体材料としての使用を見出すことができる。
【0086】
本発明の組成物は、特に、コーティング材料、接着材料、もしくは密封材料、ポリマー、消泡剤、湿潤助剤および/もしくは平滑化助剤、化粧品、ケア製品、医療品、薬剤、洗浄用組成物、清浄用組成物および/もしくは洗剤組成物、疎水化剤、潤滑剤、または剥離剤(release agent)でもあり得る。
【実施例】
【0087】
実施例1:TEGO(登録商標)RC726シリコーンアクリレートの粒子
7600gの脱塩水および276gのLudox SM−ASを混合し、塩酸を用いてpH7に調節した。この混合物を最初にCo−Twisterホモジナイザー(Symex)の撹拌槽に装入し、2156gのTEGO(登録商標)RC726(Evonik Goldschmidt GmbH)を撹拌しながら添加した。槽を密閉した後、ゆっくり撹拌しながら、槽を50mbarに真空排気し、泡の発生が弱まった後、通気して800mbarに戻した。続いて、システムサイクルにおいて15分間、2000rpmのローター速度および20m/sの差動速度で、この混合物を予備乳化した。64.3gの5重量%CTAB(臭化セチルトリメチルアンモニウム)水溶液および次いで420gの脱塩水を吸入し、この混合物をさらに45分間同じ条件下で乳化した。得られた予備エマルジョンを、圧力800barで直径200μmの相互作用室を有するホモジナイザー(実施例においては、MicrofluidicsのMicrofluidizerをそれぞれの場合で使用した)に通すことによって均質化した。
【0088】
重合のために、850gのエマルジョンを、20mlの脱塩水中の6.8gのペルオキソ二硫酸アンモニウムの溶液と2l丸底フラスコ中で混合した。その後、45分間撹拌しながら窒素流を導入した。続いて、100mlの脱塩水中の27.2gのリン酸水素二ナトリウムの溶液および4.25gの38重量%硫酸水素ナトリウム水溶液を窒素下で添加した。この反応混合物をさらに2時間撹拌し、次いで一晩放置した。得られた粒子を吸引しながらろ別し、水およびエタノールでスラリーにすることにより洗浄し、50℃で真空乾燥キャビネット中において定量になるまで乾燥した。
【0089】
実施例2:TEGO(登録商標)RC902シリコーンアクリレートの粒子
4650gの脱塩水および160gのLudox SM−ASを混合し、塩酸を用いてpH7に調節した。この混合物を最初にCo−Twisterホモジナイザー(Symex)の撹拌槽中に装入し、1250gのTEGO(登録商標)RC902(Evonik Goldschmidt GmbH)を撹拌しながら添加した。槽を密閉した後、ゆっくりと撹拌しながら、槽を50mbarに真空排気し、泡の発生が弱まった後、通気して800mbarに戻した。続いて、システムサイクルにおいて15分間、2000rpmのローター速度および20m/sの差動速度で、この混合物を予備乳化した。37.3gの5重量%CTAB(臭化セチルトリメチルアンモニウム)水溶液および次いで245gの脱塩水を吸入し、この混合物をさらに45分間同じ条件下で乳化した。得られた予備エマルジョンを、圧力800barで直径200μmの相互作用室を有するホモジナイザーに通すことによって均質化した。
【0090】
重合のため、850gのエマルジョンを、2l丸底フラスコ中で20mlの脱塩水中の6.8gのペルオキソ二硫酸アンモニウムの溶液と混合した。その後、45分間撹拌しながら勢いのある窒素流を導入した。続いて、100mlの脱塩水中の27.2gのリン酸水素二ナトリウムの溶液および4.25gの38重量%硫酸水素ナトリウム水溶液を窒素下で添加した。この反応混合物をさらに2時間撹拌し、次いで一晩放置した。得られた粒子を吸引しながらろ別し、水およびエタノールでスラリーにすることにより洗浄し、50℃で真空乾燥キャビネット中において定量になるまで乾燥した。
【0091】
実施例3:TEGO(登録商標)RC2015シリコーンアクリレートの粒子
4000gの脱塩水および800gのLudox SM−ASを混合し、塩酸を用いてpH7に調節した。この混合物を最初に18600gの脱塩水と一緒にCo−Twisterホモジナイザー(Symex)の撹拌槽中に装入し、6250gのTEGO(登録商標)RC2015(Evonik Goldschmidt GmbH)を撹拌しながら添加した。槽を密閉した後、ゆっくりと撹拌しながら、槽を50mbarに真空排気し、泡の発生が弱まった後、通気して600mbarに戻した。続いて、3500rpmのローター速度および45分間40m/sの差動速度で、この混合物を予備乳化した。157.5gの5重量%CTAB(臭化セチルトリメチルアンモニウム)水溶液および次いで400gの脱塩水を吸入し、この混合物をさらに45分間同じ条件下で乳化した。この混合物を排出する前に、同方向回転ローターを用いて200mbarおよび2000rpmのローター速度で脱気した。得られた予備エマルジョンを、圧力600barで直径200μmの相互作用室を有するホモジナイザーに通すことによって均質化した。
【0092】
重合のために、850gのエマルジョンを、20mlの脱塩水中の6.8gのペルオキソ二硫酸アンモニウムの溶液と2l丸底フラスコ中で混合した。その後、45分間撹拌しながら勢いのある窒素流を導入した。続いて、100mlの脱塩水中の27.2gのリン酸水素二ナトリウムの溶液および4.25gの水性38重量%硫酸水素ナトリウム溶液を窒素下で添加した。この反応混合物をさらに2時間撹拌し、次いで一晩放置した。得られた粒子を吸引しながらろ別し、水およびエタノールでスラリーにすることにより洗浄し、50℃で真空乾燥キャビネット中において定量になるまで乾燥した。
【0093】
実施例4:TEGO(登録商標)RC726およびTEGO(登録商標)RC902シリコーンアクリレートの混合物の粒子
186gの脱塩水を12.8gのLudox SM−ASと混合し、希HClを用いてpH7に調節した。25gのRC726および25gのTEGO(登録商標)RC902(Evonik Goldschmidt GmbH)を混合して溶液とし、4000rpmで15分間、ミゼルディスク(mizer disc)を有する真空溶解槽中で水相と予備乳化した。続いて、2.5gの5重量%CTAB水溶液を添加し、この混合物をさらに30分間、真空溶解槽中で、4000rpmで乳化した。
【0094】
得られた予備エマルジョンを、圧力800barで、直径200μmのマイクロチャネルを有する相互作用室を有するホモジナイザーに通すことにより均質化した。
【0095】
重合のために、100gの得られたエマルジョンを、5mlの脱塩水中の0.8gのペルオキソ二硫酸アンモニウム、3.2gのリン酸水素二ナトリウムの溶液、0.5gの38重量%硫酸水素ナトリウム水溶液、および30gの脱塩水を添加し、この混合物をさらに2時間窒素下で撹拌した。得られた分散液を一晩放置した。得られた粒子を吸引しながらろ別し、水およびエタノールでスラリーにすることにより洗浄し、50℃で真空乾燥キャビネット中において定量になるまで乾燥した。
【0096】
実施例5:TEGO(登録商標)RC726シリコーンアクリレートおよびメチルメタクリレート(MMA)の粒子
188gの脱塩水を12.6gのLudox SM−ASと混合し、希塩酸を用いてpH7に調節した。これに、45gのTEGO(登録商標)RC726(Evonik Goldschmidt GmbH)および5gのMMAの溶液を添加し、これを4000rpmで15分間、ミゼルディスクを有する真空溶解槽中で予備乳化した。続いて、2.6gの5重量%CTAB水溶液を添加し、この混合物をさらに30分間、真空溶解槽中において4000rpmで乳化した。
【0097】
得られた予備エマルジョンを圧力800barで、直径200μmのマイクロチャネルを有する相互作用室を有するホモジナイザーに通すことにより均質化した。
【0098】
重合のために、100mlの得られたエマルジョンを5mlの脱塩水中の0.8gのペルオキソ二硫酸アンモニウムと混合し、撹拌しながら30分間にわたり勢いのよい窒素流でパージした。続いて、3.2gのリン酸水素二ナトリウムの溶液、0.5gの38重量%硫酸水素ナトリウム水溶液、および30gの脱塩水を添加し、この混合物をさらに2時間窒素下で撹拌した。得られた分散液を一晩放置した。得られた粒子を吸引しながらろ別し、水およびエタノールでスラリーにすることにより洗浄し、50℃で真空乾燥キャビネット中において定量になるまで乾燥した。
【0099】
実施例6:AEROSIL(登録商標)R974を充填したTEGO(登録商標)RC726シリコーンアクリレートの粒子
10gのAEROSIL(登録商標)R974(Evonik Degussa GmbH)を、4000rpmで10分間、90gのTEGO(登録商標)RC726(Evonik Goldschmidt GmbH)中に真空溶解槽中で分散した。186gの脱塩水を12.8gのLudox SM−ASと混合し、希HClを用いてpH7に調節した。これに、TEGO(登録商標)RC726中のAEROSIL(登録商標)R974の調製した分散液の50gを添加し、これを4000rpmで15分間、ミゼルディスクを有する真空溶解槽中で予備乳化した。続いて、2.6gの5重量%CTAB水溶液を添加し、この混合物を4000rpmでさらに30分間、真空溶解槽中で乳化した。
【0100】
得られた予備エマルジョンを圧力800barで、直径200μmのマイクロチャネルを有する相互作用室を有するホモジナイザーに通すことにより均質化した。
【0101】
重合のために、100mlの得られたエマルジョンを5mlの脱塩水中の0.8gのペルオキソ二硫酸アンモニウムと混合し、撹拌しながら30分間にわたり勢いのよい窒素流でパージした。続いて、3.2gのリン酸水素二ナトリウムの溶液、0.5gの38重量%硫酸水素ナトリウム水溶液、および30gの脱塩水を添加し、この混合物をさらに2時間窒素下で撹拌した。得られた分散液を一晩放置した。得られた粒子を吸引しながらろ別し、水およびエタノールでスラリーにすることにより洗浄し、50℃で真空乾燥キャビネット中において定量になるまで乾燥した。
【0102】
実施例7:メントールを含むTEGO(登録商標)RC726シリコーンアクリレートの粒子
90gのTEGO(登録商標)RC726シリコーンアクリレート(Evonik Goldschmidt GmbH)を20gのアセトン中の10gのメントールの溶液と混合し、アセトンを減圧下で除去した。186gの脱塩水を12.8gのLudox SM−ASと混合し、希HClを用いてpH7に調節した。これに50gのメントール溶液を添加し、これを4000rpmで15分間、ミゼルディスクを有する真空溶解槽中で予備乳化した。続いて、2.6gの5重量%CTAB水溶液を添加し、この混合物を4000rpmでさらに30分間、真空溶解槽中で乳化した。得られた予備エマルジョンを圧力800barで、直径200μmのマイクロチャネルを有する相互作用室を有するホモジナイザーに通すことにより均質化した。
【0103】
重合のために、100mlの得られたエマルジョンを5mlの脱塩水中の0.8gのペルオキソ二硫酸アンモニウムと混合し、撹拌しながら30分間にわたり勢いのよい窒素流でパージした。続いて、3.2gのリン酸水素二ナトリウムの溶液、0.5gの38重量%硫酸水素ナトリウム水溶液、および30gの脱塩水を添加し、この混合物をさらに2時間窒素下で撹拌した。得られた分散液を一晩放置した。得られた粒子を吸引しながらろ別し、水で2回スラリーにすることにより洗浄し、室温で乾燥した。こうして得られた粒子は明確なメントール臭を有した。
【0104】
実施例8:TEGO(登録商標)RC726シリコーンアクリレートおよびABIL(登録商標)Quat3474の粒子
98gのTEGO(登録商標)RC726シリコーンアクリレート(Evonik Goldschmidt GmbH)を、2gのABIL(登録商標)Quat3474(二第4級(diquaternary)ポリジメチルシロキサン、Evonik Goldschmidt GmbH)と混合した。186gの脱塩水を12.8gのLudox SM−ASと混合し、希HClを用いてpH7に調節した。これに、TEGO(登録商標)RC726中のABIL(登録商標)Quat3474の調製した溶液の50gを添加し、これを4000rpmで15分間、ミゼルディスクを有する真空溶解槽中で予備乳化した。続いて、2.6gの5重量%CTAB水溶液を添加し、この混合物を4000rpmでさらに30分間、真空溶解槽中で乳化した。
【0105】
得られた予備エマルジョンを圧力800barで、直径200μmのマイクロチャネルを有する相互作用室を有するホモジナイザーに通すことにより均質化した。
【0106】
重合のために、100mlの得られたエマルジョンを5mlの脱塩水中の0.8gのペルオキソ二硫酸アンモニウムと混合し、撹拌しながら30分間にわたり勢いのよい窒素流でパージした。続いて、3.2gのリン酸水素二ナトリウムの溶液、0.5gの38重量%硫酸水素ナトリウム水溶液、および30gの脱塩水を添加し、この混合物をさらに2時間窒素下で撹拌した。得られた分散液を一晩放置した。得られた粒子を吸引しながらろ別し、水およびエタノールでスラリーにすることにより洗浄し、50℃で真空乾燥キャビネット中において乾燥した。
【0107】
実施例9:シクロメチコン(オクタメチルシクロテトラシロキサンおよびデカメチルシクロテトラシロキサンの混合物)を含むTEGO(登録商標)RC902シリコーンアクリレートの粒子
45gのTEGO(登録商標)RC902シリコーンアクリレート(Evonik Goldschmidt GmbH)を、5gのシクロメチコンと混合した。186gの脱塩水を3.2gのLudox(登録商標)SM−ASと混合し、希HClを用いてpH7に調節した。これに、TEGO(登録商標)RC902中のシクロメチコンの上記調製溶液を添加し、これを4000rpmで15分間、ミゼルディスクを有する真空溶解槽中で予備乳化した。続いて、0.65gの5重量%CTAB水溶液を添加し、この混合物を4000rpmでさらに30分間、真空溶解槽中で乳化した。
【0108】
得られた予備エマルジョンを圧力800barで、直径200μmのマイクロチャネルを有する相互作用室を有するホモジナイザーに通すことにより均質化した。
【0109】
重合のために、100mlの得られたエマルジョンを5mlの脱塩水中の0.8gのペルオキソ二硫酸アンモニウムと混合し、撹拌しながら30分間にわたり勢いのよい窒素流でパージした。続いて、3.2gのリン酸水素二ナトリウムの溶液、0.5gの38重量%硫酸水素ナトリウム水溶液、および30gの脱塩水を添加し、この混合物をさらに2時間窒素下で撹拌した。得られた分散液を一晩放置した。得られた粒子を吸引しながらろ別し、水で2回スラリーにすることにより洗浄し、室温で乾燥した。
【0110】
実施例10:Tegiloxan(登録商標)3を含むTEGO(登録商標)RC902シリコーンアクリレートの粒子
45gのTEGO(登録商標)RC902シリコーンアクリレート(Evonik Goldschmidt GmbH)を、5gのTegiloxan(登録商標)3(シリコーン油3cSt、Evonik Goldschmidt GmbH)と混合した。186gの脱塩水を3.2gのLudox(登録商標)SM−ASと混合し、希HClを用いてpH7に調節した。これに、TEGO(登録商標)RC902中のTegiloxan(登録商標)3の上記調製溶液を添加し、これを4000rpmで30分間、ミゼルディスクを有する真空溶解槽中で予備乳化した。続いて、0.65gの5重量%CTAB水溶液を添加し、この混合物を4000rpmでさらに60分間、真空溶解槽中で乳化した。
【0111】
得られた予備エマルジョンを圧力800barで、直径200μmのマイクロチャネルを有する相互作用室を有するホモジナイザーに通すことにより均質化した。
【0112】
重合のために、100mlの得られたエマルジョンを5mlの脱塩水中の0.8gのペルオキソ二硫酸アンモニウムと混合し、撹拌しながら30分間にわたり勢いのよい窒素流でパージした。続いて、3.2gのリン酸水素二ナトリウムの溶液、0.5gの38重量%硫酸水素ナトリウム水溶液、および30gの脱塩水を添加し、この混合物をさらに2時間窒素下で撹拌した。得られた分散液を一晩放置した。得られた粒子を吸引しながらろ別し、水で2回スラリーにすることにより洗浄し、室温で乾燥した。
【0113】
実施例11:ジクロロメタン溶媒を含むTEGO(登録商標)RC902シリコーンアクリレートの粒子のシリコーン油吸収
実施例2の10gのシリコーン粒子(重合したTEGO(登録商標)RC902シリコーンアクリレート)を、80gのジクロロメタン中の2.5gのシリコーン油(ポリジメチルシロキサン、350cSt)の溶液と混合し、一晩放置して膨潤させた。続いて、ジクロロメタンを減圧下でゆっくりと除去した。粉状の非粘着性の残渣が得られ、これからは、指で押してもシリコーン油をろ紙(ブラックバンドフィルター(black-band filter))上に絞り出すことはできなかった。
【0114】
実施例12:TEGO(登録商標)RC726シリコーンアクリレートのシリコーン粒子のシリコーン油吸収
実施例1の10gのシリコーンアクリレート粒子を、30gのTEGILOXAN(登録商標)3(3cSt、Evonink Goldschmidt GmbH)と混合し、36時間静置した。残油をブラックバンドフィルターを用いて膨潤した粒子から吸収し、ろ紙中で少量のエタノールですすぎ、乾燥した。12.8gの乾燥した白色粉末が得られ、これは、強く押した場合、吸収された液体の一部をろ紙上に再び放出した。
【0115】
実施例13:TEGO(登録商標)RC726シリコーンアクリレートのシリコーン粒子のシリコーン油吸収
実施例1の10gのシリコーンアクリレート粒子を、30gのシクロメチコン(オクタメチルシクロテトラシロキサンおよびデカメチルシクロペンタシロキサンの混合物)と混合し、36時間静置した。残油をブラックバンドフィルターを用いて膨潤した粒子から吸収し、ろ紙中で少量のエタノールですすぎ、乾燥した。14.7gの乾燥した白色粉末が得られ、これは、強く押した場合、吸収された液体の一部をろ紙上に再び放出した。
【0116】
実施例14:3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランを含むTEGO(登録商標)RC726シリコーンアクリレートの粒子の表面改質
実施例1の9.9gのシリコーンアクリレート粒子を13.1gのメタノール中で撹拌し、ペーストを形成した。このペーストに、0.5gの3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(Dynasylan(登録商標)MEMO、Evonik Degussa GmbH)および2滴のギ酸を添加し、この混合物を完全に混合した。一晩静置した後、揮発性成分をオイルポンプ真空中、50℃で回転蒸発により除去した。
【0117】
実施例15:TEGO(登録商標)CARE PL4および乳化剤としてのラウリル硫酸ナトリウムを含むTEGO(登録商標)RC726シリコーンアクリレートの粒子分散液
5lのビーカー中において、968gの脱塩水を、75gのTEGO(登録商標)CARE PL4(非イオン性乳化剤、Evonik Goldschmidt GmbH)および7.5gのラウリル硫酸ナトリウムと混合し、撹拌を用いて均質化した。450gのTEGO(登録商標)RC726を添加し、この混合物を、200rpmで1時間、ミゼルディスクでの撹拌により予備乳化した。
【0118】
得られた予備エマルジョンを圧力800barで、直径200μmの相互作用室を有するホモジナイザーに通すことにより均質化した。
【0119】
1340gの得られたエマルジョンを、50gの脱塩水中の33gのペルオキソ二硫酸アンモニウムと4lの四つ首フラスコ中で混合し、30分間にわたり精密なガラス撹拌機を用いて撹拌しながら勢いのよい窒素流でパージした。250gの温めた脱塩水中の127gのリン酸水素二ナトリウム二水和物および7.1gの硫酸水素ナトリウム溶液(38重量%、水性)の溶液を添加し、反応混合物をさらに1時間、窒素下で撹拌した。一晩静置した後、反応混合物を、230μmファーストシーブ(fast sieve)を通してろ過し、得られたろ液はシリコーンアクリレート粒子分散液であった。
【0120】
実施例16から19、比較例C1およびC2:使用例、化粧品
比較例C1およびC2として、対応するエマルジョンを、シリコーンアクリレート粒子を用いずに調製する。
【0121】
実施例16および17は水中油型のエマルジョンであり、実施例18は油中水型のエマルジョンを表す。。
【0122】
使用する顔料は実施例19(日焼け止め)では二酸化チタンとしたが、二酸化チタンと組み合わせた通例の酸化鉄を実施例18(ファンデーション)で使用した。比較例C2は、顔料を含有する配合物での本発明の粒子の使用によって達成し得る感覚上の利点を立証するのに特に役立つ。
【0123】
実施例エマルジョン16およびC1において、エマルジョンをホット−ホット(hot−hot)プロセス(油および水相は通例の方法によって70から75℃で均質化された)で調製した。
【0124】
実施例エマルジョン17は、問題なく、本発明の粒子を撹拌して低温度で調製可能なエマルジョンにすることもできることを示している。この場合、油および水相を室温で混合し、通例の方法で均質化する。
【0125】
実施例エマルジョン18は、室温においてコールド−コールド(cold−cold)プロセスで調製した。この場合、最初に油相を均質化し、次いで水相をゆっくり撹拌しながら添加した。水の添加が終わった後、混合物を再び均質化した。
【0126】
実施例エマルジョン19の場合においては、80℃に加熱した油および水相を混合し均質化することにより、ホット−ホットプロセスで調製を実施した。
【0127】
一般的に、実施例は、本発明の粒子は、油相に直接添加することができること(例えば、実施例18におけるように)、あるいは仕上がったエマルジョンに後で組み込むことができること(実施例16または17におけるように)を示している。
【0128】
実施例の配合物組成および比較例の配合物組成が、以下の表1から4に記載されている。
【0129】
【表1】

【0130】
【表2】

【0131】
【表3】

【0132】
【表4】

【0133】
使用実施例は、本発明のシリコーンメタクリレート粒子は、安定した化粧品配合物に組み込み得ることを示している。これらの粒子の使用によって、実施例エマルジョンの安定性および外観が低下することなく、化粧品配合物の感覚的な特性が著しく改善される。より詳しくは、複合粒子の組み込みによって、ビロードのような、絹のような、乾きがより少なく、より粗くない皮膚感触がもたらされる。
【0134】
より詳しくは、シリコーンメタクリレート粒子は、それらが顔料を含む配合物の一般的にいくらか粗い皮膚感触を著しく改善するので、顔料と一緒の配合物での使用にも適する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコーンメタクリレート粒子を調製するための方法であって、
a)水および有機相からなるエマルジョンを得る工程(前記有機相は、メタクリレート基で末端および/または側鎖が修飾された一般式(I)を有するオルガノポリシロキサンまたはその混合物を含み
【化3】

(式中、
=直鎖または分枝の、飽和、モノ不飽和、または多価不飽和の、直鎖、環状、または分枝のアルキル、アルコキシ、ポリアルコキシ、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシアルコキシ、アルケニル、アリール、アリールオキシ、ヒドロキシアリール、ヒドロキシアリールオキシ、アルカリール、アルカリールオキシ、ヒドロキシアルカリール、ヒドロキシアルカリールオキシ、アラルキル、アラルコキシ、ヒドロキシアラルキル、またはヒドロキシアラルコキシ基から選択される同じまたは異なる基であり、当該基は、任意選択により1個以上のエーテルまたはエステル架橋を含有し、かつ、1から20個の炭素原子を有し、
=同じまたは異なる、二価の、任意選択によりOH−官能化された炭化水素基であり、当該基は、任意選択により1個以上のエーテルまたはエステル架橋を含有し、Si−C結合またはSi−O−C結合を介してケイ素原子に結合し、かつ、1から20個の炭素原子を有し、当該基には、重合可能な二重結合を含まない、1から5個のアクリル酸および/またはメタクリル酸単位、および、任意選択により、2から10個の炭素原子を有するモノカルボン酸単位がエステル結合を介して結合しており、
=同じまたは異なるRまたはR基であり、
a=0から1000であり、
b=0から200であり、
c=0から200であり、
=0から1000であり、
=0から200であり、
ここで、c>0である場合に、指数dは整数>0であり、但し、bおよびc=0である場合、RはRと同じ基から選択されてはならない)、少なくとも1種の乳化剤および任意選択により1種以上の共乳化剤の添加を含み、ここで、前記有機相はエマルジョンの内相を形成する)と、
b)前記内相に基づいて0.1から40重量%の濃度で外相(水相)に添加されるフリーラジカル開始剤の存在下で、前記内相を完全に重合させる工程と、
を含む方法。
【請求項2】
工程a)において、固体状態で安定化されたエマルジョンが得られ、使用される前記乳化剤が、少なくとも1つの次元においてマイクロスケールまたはナノスケールである粒子乳化剤であって、シラン、シロキサン、第4級アンモニウム化合物、陽イオンポリマー、および脂肪酸またはそれらの陰イオンの群からの少なくとも1種の化合物で少なくとも部分的に疎水化されている、金属酸化物、混合酸化物、窒化物、水酸化物、炭酸塩、ケイ酸塩、シリコーン樹脂、シリコーンおよび/または有機ポリマーの群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
式(I)におけるR基の70%超がメチル基であることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
一般式(I)におけるRが、
【化4】

の基の群から選択され、
が、水素またはメチル基であることを特徴とする、請求項1から3の少なくとも一項に記載の方法。
【請求項5】
aが0から500の値をとる式(I)のシリコーンメタクリレートが使用されることを特徴とする、請求項1から4の少なくとも一項に記載の方法。
【請求項6】
bが0から100の値をとる式(I)のシリコーンメタクリレートが使用されることを特徴とする、請求項1から5の少なくとも一項に記載の方法。
【請求項7】
cが0から100の値をとる式(I)のシリコーンメタクリレートが使用されることを特徴とする、請求項1から6の少なくとも一項に記載の方法。
【請求項8】
さらなるコモノマーが、工程b)の前に前記有機相に添加されることを特徴とする、請求項1から7の少なくとも一項に記載の方法。
【請求項9】
さらなる成分が、工程a)において前記有機相に添加されることを特徴とする、請求項1から8の少なくとも一項に記載の方法。
【請求項10】
前記有機相が、前記粒子から放出することができる物質を含むことを特徴とする、請求項1から9の少なくとも一項に記載の方法。
【請求項11】
前記エマルジョンが、工程a)において、有機相および水相の混合物を50から1000barの圧力範囲において50から500μmのキャピラリー太さを有する少なくとも1つの相互作用室に通して、該相互作用室中で該混合物を分散させ、該混合物を出口槽中に減圧することによって調製されることを特徴とする、請求項1から10の少なくとも一項に記載の方法。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の方法によって得られる、シリコーンメタクリレート粒子。
【請求項13】
前記粒子がコアシェル構造を有し、前記シェルが、粒子乳化剤により形成され、シリコーンメタクリレートからなる内部コアを取り囲むことを特徴とする、請求項12に記載のシリコーンメタクリレート粒子。
【請求項14】
前記シェルが、無機粒子から形成されるか、表面が改質されているポリマーシェルであることを特徴とする、請求項13に記載のシリコーンメタクリレート粒子。
【請求項15】
前記粒子から放出される物質を含むことを特徴とする、請求項12から14の少なくとも一項に記載のシリコーンメタクリレート粒子。
【請求項16】
コーティング材料、接着材料、または密封材料、ポリマー、消泡剤、湿潤および平滑化助剤、化粧品または医薬製剤およびケア製品、清浄用組成物および洗剤組成物、または固体および液体基質の界面特性を改質するための用途における、単独での、あるいは粉末もしくは分散液の形態のさらなる粒子、顔料、および/またはさらなる通例の添加剤との混合での、請求項12から15の少なくとも一項に記載のシリコーンメタクリレート粒子あるいは請求項1から11の少なくとも一項により調製されるシリコーンメタクリレート粒子の使用。
【請求項17】
請求項12から15に記載のシリコーンメタクリレート粒子または請求項1から11のいずれか一項により調製されるシリコーンメタクリレート粒子を含む組成物。
【請求項18】
水性または有機媒体中のシリコーンメタクリレート粒子の分散液であって、該分散液に分散助剤、界面活性剤、および/または増粘剤を添加することが任意選択により可能であることを特徴とする、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
コーティング材料、接着材料、または密封材料、ポリマー、消泡剤、湿潤助剤および/または平滑化助剤、化粧品、ケア製品、医薬品、薬剤、洗浄組成物、清浄用組成物および/または洗剤組成物、疎水化剤、潤滑剤、あるいは剥離剤であることを特徴とする、請求項17または18に記載の組成物。

【公開番号】特開2009−149880(P2009−149880A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−308124(P2008−308124)
【出願日】平成20年12月3日(2008.12.3)
【出願人】(507375465)エヴォニク ゴールドシュミット ゲーエムベーハー (100)
【Fターム(参考)】