説明

シリンダブロックの製造方法及び製造装置

【課題】バルクヘッドに連通孔を形成する際に、バルクヘッドの強度を確保する。
【解決手段】シリンダブロック1のバルクヘッド9が、互いに隣接する各シリンダボア3に対応するクランクケース側の各空間11を互いに連通するバルク孔9cを備え、このバルク孔9cを鋳抜きピンであるバルク孔コアピン33を用いて形成する。鋳造成形後、前後可動型27の後退移動に伴って、バルク孔コアピン33を鋳造成形品から引き抜く際に、バルク孔コアピン33の先端から冷却水を吐出してバルクヘッド9を冷却する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリンダブロックのバルクヘッドに鋳抜きピンを用いて連通孔を形成するシリンダブロックの製造方法及び製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車用エンジンなどに使用されるシリンダブロックは、例えば下記特許文献1に記載されているように、ダカスト鋳造法によって製造している。
【特許文献1】特開平2−37953号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、多気筒エンジンのシリンダブロックでは、互いに隣接するシリンダボアに対応するクランクケース側の空間を仕切り、かつクランクシャフトを回転支持する軸受部の一部を構成するバルクヘッドを通常備えている。
【0004】
このようなシリンダブロックでは、クランクケース側のバルクヘッドで隔てられた空間相互を、バルクヘッドに連通孔を設けて連通させ、ピストンが往復移動する際にこれら空間相互を連通孔を通して空気が流通することで、ピストンが往復移動する際の抵抗を低減することができる。
【0005】
ここで、上記したバルクヘッドの連通孔を、シリンダブロックの鋳造成形後に機械加工で形成する場合には、鋳物表面の微細化組織であるチル層(凝固層)を削り取ることになるので、バルクヘッドの強度が低下するという問題がある。
【0006】
そこで、バルクヘッドの連通孔を、シリンダブロックの鋳造時に鋳抜きピンを用いて形成する方法が考えられるが、シリンダブロックの金型は、スライドコアを有していて型開きに時間がかかるため、製品冷却までに多くの時間を要し、特にバルクヘッドは他の部位に比較して厚肉となっていることから冷却速度が遅く、組織を微細化しにくく強度低下を招くものとなる。
【0007】
そこで、本発明は、バルクヘッドに連通孔を形成する際に、バルクヘッドの強度を確保することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、シリンダブロックのバルクヘッドに鋳抜きピンを用いて連通孔を形成するにあたり、鋳抜きピンを鋳造後の製品から引き抜く際に、該鋳抜きピンから冷却媒体を吐出してバルクヘッドを冷却することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、鋳抜きピンを用いてバルクヘッドに連通孔を形成しているので、鋳造成形後に機械加工で形成する場合のような、鋳物表面の微細化組織であるチル層を削り取ることを回避でき、バルクヘッドの強度低下を抑制することができる。
【0010】
また、鋳抜きピンを鋳造後の製品から引き抜く際に、鋳抜きピンから冷却媒体を吐出することで、型開きの際にバルクヘッドを冷却することができ、製品温度が高い状態から冷却できて組織の微細化が容易となり、バルクヘッドの強度を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0012】
図1は、本発明の第1の実施形態を示す、シリンダブロック1を鋳造成形する際のシリンダヘッド取付面側の可動金型を省略した平面図である。このシリンダブロック1は、自動車に搭載され、シリンダボア3が4つ直列に形成された4気筒直列エンジンに使用されるものであり、例えばアルミ合金で構成する。
【0013】
図1のシリンダブロック1のA−A断面図である図2に示すように、互いに隣接するシリンダボア3相互を隔てるボア隔壁5のクランクケース7側には、バルクヘッド9を連続して形成してある。このバルクヘッド9の下端面9aに相当する図2中で左側の端面には、図示しないクランクシャフトを回転支持するジャーナル部9bを形成してある。なお、図2では、ウオータジャケットなど細部については省略している。
【0014】
そして、バルクヘッド9の上記したジャーナル部9bのボア隔壁5側には、図2中で紙面に直交する方向に貫通する連通孔としてのバルク孔9cを形成している。すなわち、このバルク孔9cは、互いに隣接する各シリンダボア3に対応するクランクケース7側の各空間11を互いに連通している。このようなバルク孔9cを設けることで、図示しないピストンが往復移動する際の抵抗を低減し、エンジンの出力向上に寄与することができる。
【0015】
図1に示すように、シリンダブロック1を鋳造成形する際の鋳造型として、図1中で紙面裏側に位置してクランクケース7側を形成する固定型13と、シリンダブロック1の幅方向の左右両側部15,17をそれぞれ形成する左右可動型19,21と、シリンダブロック1の前後両端部23,25をそれぞれ形成する前後可動型27,29と、図1中で紙面表側に位置して図示しないシリンダヘッドの取付面31側を形成する図示しないヘッド側可動型とを、それぞれ備えている。
【0016】
図3は、鋳造成形時のシリンダブロック1を図1とは逆のクランクケース7側から見た簡略化した断面図で、図1に示してある左右可動型19,21は省略し、かつ固定型13については、互いに隣接するバルクヘッド9相互間及び、シリンダブロック1の前後両端部23,25とバルクヘッド9との間の全部で4つの空間11を、それぞれ個別に形成する空間成形部13aのみを示している。
【0017】
固定型13の各空間成形部13aには、バルク孔9cに整合する貫通孔13bを形成してあり、さらにシリンダブロック1の前後両端部23,25にも、バルク孔9cに整合する貫通孔23a,25aをそれぞれ形成している。すなわち、この貫通孔13b及び貫通孔23a,25aと、バルク孔9cとは、鋳造成形後で型開き前のシリンダブロック1(バルクヘッド9及び前後両端部23,25)と固定型13(空間成形部13a)とを貫通する一つの直線状のピン挿入孔を構成している。
【0018】
そして、図3中で左側の前後可動型27には、鋳抜きピンとしてのバルク孔コアピン33を設けている。バルク孔コアピン33は、その基端部33aを前後可動型27に固定してあり、図1に示すように上記ピン挿入孔に挿入したままの型閉じ状態で、先端部33aが右側の前後可動型29に接触した状態となる。また、このバルク孔コアピン33の先端部33aの端面には、冷却媒体である例えば水Wを吐出する冷却媒体吐出部としての水吐出口33cを設けている。
【0019】
したがって、バルク孔コアピン33内及び前後可動型27内には、図示していないが、却水が流れる冷却水通路が形成されており、この冷却水通路には、金型外部の冷却媒体供給手段となる図示しない例えば水吐出ポンプに連通している。
【0020】
また、バルク孔コアピン33の長手方向ほぼ中央部、すなわちシリンダブロック1の前後方向(図1中で左右方向)ほぼ中央部のバルクヘッド9に対応する位置には、温度検出手段としての熱電対35を取り付けている。
【0021】
次に、作用を説明する。図1に示すように、型閉じしかつ型締めした状態で金属溶湯を金型キャビティに供給することで、鋳造品であるシリンダブロック1が鋳造成形される。このとき、バルク孔コアピン33は、鋳造前に固定型13における空間成形部13aの貫通孔13bを貫通するように挿入してあるので、これに対応するシリンダブロック1のバルクヘッド9及び前後両端部23,25に、バルク孔9c及び貫通孔23a,25aがそれぞれ形成される。
【0022】
金型キャビティに供給した金属溶湯が凝固した状態で、かつ熱電対35の検出温度があらかじめ設定してある一定温度まで低下したときに、図示しないヘッド側可動型を図1中で紙面表側にシリンダブロック1から離れる方向に移動させるとともに、左右可動型19,21及び前後可動型27,29を、それぞれシリンダブロック1から離れる方向に移動させて型開きを実施する。
【0023】
ここで、図3に示すように、前後可動型27,29を移動させる際に、バルク孔コアピン33がシリンダブロック1及び固定型13から引き抜かれることになるが、この引き抜く際に先端の水吐出口33cから冷却水Wを吐出する。すなわち、図3中の左側の前後可動型27は、バルク孔コアピン33がシリンダブロック1から完全に引き抜かれた状態となるまで、右側の前後可動型29よりもさらにシリンダブロック1から離反移動することになる。
【0024】
このような前後可動型27の離反移動する過程、つまりバルク孔コアピン33がシリンダブロック1から引き抜かれる過程では、水吐出口33cから冷却水Wを連続して吐出することになる。すなわち、バルク孔コアピン33をシリンダブロック1から引き抜くと同時に冷却水Wを吐出し、また冷却水Wを吐出しながらバルク孔コアピン33をシリンダブロック1から引き抜く。
【0025】
このように第1の実施形態では、バルク孔コアピン33を用いてバルクヘッド9にバルク孔9cを形成しているので、バルク孔を鋳造成形後に機械加工で形成する場合のような、鋳物表面の微細化組織であるチル層を削り取ることを回避でき、バルクヘッド9の強度低下を抑制することができる。
【0026】
また、バルク孔コアピン33を鋳造成形後のシリンダブロック1から引き抜きながら、水吐出口33cから冷却水Wを吐出することで、型開きの際に製品温度が高い状態からバルクヘッド9を冷却することになり、特に他の部位に比較して厚肉となるバルクヘッド9の組織の微細化が容易となり、バルクヘッド9の強度を高めることができる。
【0027】
また、第1の実施形態では、バルク孔コアピン33に設けた熱電対35の検出温度が、あらかじめ設定してある一定温度となったときに、バルク孔コアピン33から冷却水を吐出するようにしている。ここで、特にダイカスト鋳造法では、低圧鋳造法に比較して製品を複数連続して鋳造成形するときの温度変動が大きくなる。このため、上記したようにバルクヘッド9の温度(製品温度)があらかじめ決められた一定温度となったときにバルクヘッド9を冷却することで、シリンダブロック1を連続して鋳造成形する際に、各鋳造製品相互間でバルクヘッド9の温度を均一化して安定化することができ、バルクヘッド9の強度のばらつきを低減することができる。
【0028】
次に、図4〜図6を用いて本発明の第2の実施形態を説明する。第2の実施形態は、第1の実施形態における1本のバルク孔コアピン33に代えて、図4に示すように、前後可動型27,29にそれぞれ基端部37a,39aを固定した分割鋳抜きピンとしての2本のバルク孔コアピン37,39を使用している。
【0029】
すなわち、第2の実施形態では、バルク孔コアピンを、バルク孔コアピン37,39としてシリンダブロック1のシリンダボア3の配列方向に二分割している。
【0030】
バルク孔コアピン37,39の先端部37b,39bは、図5に拡大して示すように、バルク孔コアピン37側に凹部37cを設ける一方、バルク孔コアピン39側に前記凹部37cに整合して入り込む凸部39cを設けてあり、図4に示す型閉じ状態でこれら凹部37cと凸部39cとを互いに突き合わせている。この突合せ部は、図4に示すように、中央のバルクヘッド9に対応する位置にある。
【0031】
そして、バルク孔コアピン37側の凹部37cの中央には、冷却水を吐出する水吐出口37dを設ける一方、バルク孔コアピン39の凸部39cの中央には、水吐出口37dから吐出した冷却水を吸い込む水吸入口39dを設けている。
【0032】
バルク孔コアピン37の水吐出口37dは、バルク孔コアピン37内の冷却水通路37e及び前後可動型27内の図示しない冷却水通路に連通し、この冷却水通路には、金型外部の冷却媒体供給手段となる図示しない例えば水吐出ポンプに連通している。一方、バルク孔コアピン39の水吸入口39dも、バルク孔コアピン39内の冷却水通路39e及び前後可動型29内の図示しない冷却水通路に連通し、この冷却水通路には、金型外部の図示しない例えば水吸引ポンプに連通している。
【0033】
第2の実施形態においては、図4に示すように、型閉じしかつ型締めした状態で金属溶湯を金型キャビティに供給することで、第1の実施形態と同様にしてシリンダブロック1が鋳造成形される。このとき、各バルク孔コアピン37,39は、鋳造前に固定型13における空間成形部13aの貫通孔13bを貫通するように挿入してあるので、これに対応するシリンダブロック1のバルクヘッド9及び前後両端部23,25に、バルク孔9c及び貫通孔23a,25aがそれぞれ形成される。
【0034】
そして、第1の実施形態と同様にして型開きを実施する際には、図6に示すように、前後可動型27,29をシリンダブロック1から離れる方向に移動させつつ、バルク孔コアピン37,39をシリンダブロック1及び固定型13から引き抜きながら、一方のバルク孔コアピン37先端の水吐出口37dから冷却水Wを吐出し、他方のバルク孔コアピン39先端の水吸入口39dから、前記吐出した冷却水Wを吸引し、金型外部に排出する。
【0035】
このように第2の実施形態では、バルク孔コアピン37から吐出した冷却水Wをバルク孔コアピン39側から吸引しているので、吐出後の冷却水の金型内での滞留を抑えることができ、冷却水を効率よく流してバルクヘッド9に対する冷却効果を高めることが可能となる。
【0036】
また、第2の実施形態では、第1の実施形態における1本のバルク孔コアピン33に比較して、長さがほぼ半分となる2本のバルク孔コアピン37,39を使用しているので、バルク孔コアピンとして強度が向上し高寿命化を達成できる。
【0037】
次に、図7を用いて本発明の第3の実施形態を説明する。第3の実施形態は、前記図4〜図6に示した第2の実施形態と同様に、前後可動型27,29にそれぞれ基端部37a,41aを固定した分割鋳抜きピンとしての2本のバルク孔コアピン37,41を使用している。
【0038】
第2の実施形態と異なるところは、図7中で右側のバルク孔コアピン41の凸部41cの中央にも、バルク孔コアピン37と同様の冷却水を吐出する水吐出口41dを設けている点と、固定型13における空間成形部13aの中央2箇所に、上記吐出した冷却水を外部に排出する冷却水排出通路13cを設けた点である。
【0039】
したがって、第3の実施形態では、上記した水吐出口41dが、バルク孔コアピン41内の図示しない冷却水通路及び前後可動型29内の図示しない冷却水通路に連通し、この冷却水通路は、金型外部の冷却媒体供給手段となる図示しない例えば水吐出ポンプに連通していることになる。その他の構成は第2の実施形態と同様である。
【0040】
第3の実施形態においても、型閉じしかつ型締めした状態で金属溶湯を金型キャビティに供給することで、第1の実施形態と同様にしてシリンダブロック1が鋳造成形される。このとき、各バルク孔コアピン37,41は、鋳造前に固定型13における空間成形部13aの貫通孔13bを貫通するように挿入してあるので、これに対応するシリンダブロック1のバルクヘッド9及び前後両端部23,25に、バルク孔9c及び貫通孔23a,25aがそれぞれ形成される。
【0041】
そして、第1の実施形態と同様にして型開きを実施する際に、図7に示すように、前後可動型27,29をシリンダブロック1から離れる方向に移動させつつ、バルク孔コアピン37,41をシリンダブロック1及び固定型13から引き抜く。その際、バルク孔コアピン37,41を引き抜きながら、バルク孔コアピン37,41先端の各水吐出口37d,41dから冷却水Wを吐出する一方、冷却水排出通路13cから前記吐出した冷却水Wを金型外部に排出する。
【0042】
なお、本実施形態では、冷却水排出通路13cから外部に冷却水Wを排出する際に、シリンダブロック1には冷却水排出通路13cに連通する貫通孔15aが必要となるので、左右可動型19に別途射抜きピンを設けて貫通孔15aを形成しておく。型開き後の製品となるシリンダブロック1の貫通孔15aは、キャップや蓋などによって塞ぐことになる。
【0043】
このように第3の実施形態では、バルク孔コアピン37,41からそれぞれ吐出した冷却水Wを、中央2つの冷却水排出通路13cを通して金型外部に排出しているので、吐出後の冷却水Wの金型内での滞留を抑えることができ、冷却水を効率よく供給及び排出してバルクヘッド9に対する冷却効果を高めることができる。
【0044】
なお、上記第3の実施形態において、バルク孔コアピン41から冷却水を吸引する構成としてもよい。すなわち、この場合には、バルク孔コアピン37から冷却水を吐出し、中央2つの冷却水排出通路13c及びバルク孔コアピン41から冷却水を金型外部に排出する。また、第3の実施形態において、冷却水排出通路13cから冷却水を排出する際に、水吸引ポンプを利用してい吸引するようにしてもよい。
【0045】
次に、図8を用いて本発明の第4の実施形態を説明する。第4の実施形態は、図7に示した第3の実施形態に対し、冷却水の流れを逆にしている。つまり、図7で固定型13の空間成形部13aに設けた冷却水排出通路13cを、本実施形態では冷却水供給通路13dとして使用する一方、前後可動型27,29にそれぞれ基端部43a,39aを固定した分割鋳抜きピンとしてのバルク孔コアピン43,39の先端部43b,39bには、冷却水を吸い込む水吸入口43d,39dを設けている。
【0046】
したがって、水吸入口43dも、前記図6に示した水吸入口39dと同様に、バルク孔コアピン43内の図示しない冷却水通路及び前後可動型27内の図示しない冷却水通路に連通し、この冷却水通路には、金型外部の図示しない例えば水吸引ポンプに連通している。また、冷却水供給通路13dには、図示しない水吐出ポンプを接続している。
【0047】
第4の実施形態においては、シリンダブロック1を鋳造後、バルク孔コアピン43,39を引き抜く過程で、冷却水供給通路13dに冷却水Wを供給すると同時に、水吸入口43d,39dから上記供給した冷却水を吸引して外部に排出する。
【0048】
これにより、第4の実施形態においても、中央2つの冷却水供給通路13dに供給する冷却水Wを、バルク孔コアピン43,39を引き抜きながら、このバルク孔コアピン43,39から吸引して排出しているので、供給後の冷却水の金型内での滞留を抑えることができ、冷却水を効率よく供給及び排出してバルクヘッド9に対する冷却効果を高めることができる。
【0049】
なお、図6に示した第2の実施形態ではバルク孔コアピン39から、また図8に示した第4の実施形態ではバルク孔コアピン39,43から、それぞれ冷却水を吸引する際に、水吸引ポンプを使用することとしたが、水吸引ポンプを使用せずに、前後可動型27,29に設けた図示しない冷却水通路を単に外部に開口させて排出させる構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す、シリンダブロックを鋳造成形する際のシリンダヘッド側の可動金型を省略した平面図である。
【図2】図1のシリンダブロックのA−A断面図である。
【図3】鋳造成形時のシリンダブロックを図1とは逆のクランクケース側から見た簡略化した断面図である。
【図4】第2の実施形態を示す、図1に相当する平面図である。
【図5】第2の実施形態のバルク孔コアピン先端部の拡大した断面図である。
【図6】第2の実施形態を示す、図3に相当する断面図である。
【図7】第3の実施形態を示す、図3に相当する断面図である。
【図8】第4の実施形態を示す、図3に相当する断面図である。
【符号の説明】
【0051】
1 シリンダブロック
3 シリンダボア
7 クランクケース
9 バルクヘッド
9c バルクヘッドのバルク孔(連通孔)
11 クランクケース側の空間
13 固定型(クランクケース側の空間を形成する金型)
13c 固定型の冷却水排出通路
13d 固定型の冷却水供給通路
33 バルク孔コアピン(鋳抜きピン)
33c,37d バルク孔コアピンの水吐出口(冷却媒体吐出部)
35 熱電対(温度検出手段)
37,39,41,43 バルク孔コアピン(分割鋳抜きピン)
W 冷却水(冷却媒体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダブロックのバルクヘッドが、互いに隣接する各シリンダボアに対応するクランクケース側の各空間を互いに連通する連通孔を備え、この連通孔を鋳抜きピンを用いて形成するシリンダブロックの製造方法であって、前記鋳抜きピンを鋳造後の製品から引き抜く際に、該鋳抜きピンから冷却媒体を吐出して前記バルクヘッドを冷却することを特徴とするシリンダブロックの製造方法。
【請求項2】
前記シリンダブロックを複数連続して鋳造成形する際に、前記鋳抜きピンに設けた温度検出手段の検出温度が各鋳造成形時相互間であらかじめ設定した一定温度となったときに、前記鋳抜きピンを製品から引き抜くとともに冷却媒体を吐出することを特徴とする請求項1に記載のシリンダブロックの製造方法。
【請求項3】
前記鋳抜きピンを、前記シリンダブロックのシリンダボア配列方向に二分割し、この二分割したそれぞれの分割鋳抜きピンを、先端相互が接触した状態から互いに離反する方向に移動させて製品から引き抜く際に、一方の分割鋳抜きピンから前記冷却媒体を吐出し、この吐出した冷却媒体を他方の分割鋳抜きピンを通して外部に排出することを特徴とする請求項1または2に記載のシリンダブロックの製造方法。
【請求項4】
前記鋳抜きピンから吐出した冷却媒体を、前記シリンダボアに対応するクランクケース側の空間を形成する金型に設けた冷却水排出通路を通して外部に排出することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のシリンダブロックの製造方法。
【請求項5】
前記鋳抜きピンを、前記シリンダブロックのシリンダボア配列方向に二分割し、この二分割したそれぞれの分割鋳抜きピンを、先端相互が接触した状態から互いに離反する方向に引き抜く際に、前記各分割鋳抜きピンから冷却媒体をそれぞれ吐出し、この各吐出した冷却媒体を、前記シリンダボアに対応するクランクケース側の空間を形成する金型に設けた冷却水排出通路を通して外部に排出することを特徴とする請求項1または2に記載のシリンダブロックの製造方法。
【請求項6】
前記鋳抜きピンを鋳造後の製品から引き抜く際に、前記シリンダボアに対応するクランクケース側の空間を形成する金型に設けた冷却水供給通路から冷却媒体を供給することを特徴とする請求項3に記載のシリンダブロックの製造方法。
【請求項7】
シリンダブロックのバルクヘッドが、互いに隣接する各シリンダボアに対応するクランクケース側の各空間を互いに連通する連通孔を備え、この連通孔を鋳抜きピンを用いて形成するシリンダブロックの製造方法であって、前記鋳抜きピンを、前記シリンダブロックのシリンダボア配列方向に二分割し、この二分割したそれぞれの分割鋳抜きピンを鋳造後の製品から引き抜く際に、前記シリンダボアに対応するクランクケース側の空間を形成する金型に設けた冷却水供給通路から、前記分割鋳抜きピンを引き抜いた後の部分に冷却媒体を供給して前記バルクヘッドを冷却し、この冷却後の冷却媒体を前記分割鋳抜きピンを通して外部に排出することを特徴とするシリンダブロックの製造方法。
【請求項8】
シリンダブロックのバルクヘッドが、互いに隣接する各シリンダボアに対応するクランクケース側の各空間を互いに連通する連通孔を備え、この連通孔を鋳抜きピンを用いて形成するシリンダブロックの製造装置であって、前記鋳抜きピンに、冷却媒体を吐出する冷却媒体吐出部を設けたことを特徴とするシリンダブロックの製造装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2010−64129(P2010−64129A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−234839(P2008−234839)
【出願日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】