説明

シリンダヘッドガスケット

【課題】ヘッドボルトの締付けに伴いシリンダブロックのライナ本体が外側へ膨らむ現象を好適に抑制する。
【解決手段】シリンダヘッドガスケット30は、ライナ本体22の上端外側にアッパデッキ部23を有するシリンダライナ17と、ライナ本体22を取囲む外側壁19を有するシリンダブロック本体16とを備えたシリンダブロック14に適用される。シリンダヘッドガスケット30は、シリンダライナ17と、複数のヘッドボルト28によりアッパデッキ部23を通じて外側壁19に締結されるシリンダヘッド15との間に介在されるとともに、アッパデッキ部23側の面にシール部34を有する。さらに、シリンダヘッドガスケット30には、各ヘッドボルト28が挿通されるボルト孔33が設けられ、シール部34について、隣合うボルト孔33,33間に対応する部分は、両ボルト孔33,33を結ぶ線上に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関のシリンダブロック及びシリンダヘッド間に介在されて燃焼ガス等をシールするシリンダヘッドガスケットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
内燃機関用のシリンダブロックの一形態として、図8に示すように、ライナ本体51及びアッパデッキ部52を有するシリンダライナ53と、ライナ本体51を取囲む外側壁54を有するシリンダブロック本体55とを備え、ライナ本体51及び外側壁54間の空間をウォータジャケット56としたタイプ(分割タイプ)が考えられている。このタイプのシリンダブロック50は、ウォータジャケット56の設計自由度の向上や鋳型構造の簡略化等を通じて、内燃機関における冷却性能の向上、小型化等を実現しようとするものである。
【0003】
上記タイプのシリンダブロック50を用いた内燃機関では、その組付けに際し、外側壁54によって囲まれる空間にライナ本体51が収容され、アッパデッキ部52が外側壁54上に載置される。さらに、アッパデッキ部52上にシリンダヘッドガスケット57を介してシリンダヘッド58が配置される。そして、アッパデッキ部52を通して外側壁54に螺入されたヘッドボルト59(図10参照)により、シリンダヘッド58がシリンダヘッドガスケット57を介してシリンダブロック50に締結される。
【0004】
ここで、上記シリンダヘッドガスケット57として、一般的なシリンダヘッドガスケットと同様の構成を有するものが用いられた場合、図9に示すように、シリンダヘッドガスケット57のシール部61は、ライナ本体51のシリンダボア62の開口部分に合わせて、それと同程度の大きさの円環状に形成される。
【0005】
なお、本発明のシリンダヘッドガスケットにかかる先行技術文献としては、例えば、シール部を下記の条件を満たす箇所に設けた特許文献1が挙げられる。その条件とは、シール部の幅方向中心が、ヘッドボルトが通されるボルト孔の近傍ではシリンダボアよりも遠く、隣合うボルト孔間ではシリンダボアに近くなることである。ただし、このシリンダヘッドガスケットは、アッパデッキ部がシリンダブロック本体に一体形成されたタイプのシリンダブロックに装着されることを前提としている。このシリンダヘッドガスケットは、シール部を支点として生ずる曲げモーメントを、アッパデッキ部におけるボルト孔近傍では小さくし、隣合うボルト孔間では大きくすることで、シリンダボアの周方向での曲げモーメントの分布を均一化し、周方向のシリンダボアの変形を均一化しようとするものである。
【特許文献1】特許第3089929号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上述した図9の円環状のシール部61を有するシリンダヘッドガスケット57を上記分割タイプのシリンダブロック50に用いると、ヘッドボルト59の締付けに伴い、図8及び図10において二点鎖線で示すように、ライナ本体51におけるアッパデッキ部52の近傍部分が、外側へ膨らむように変形するおそれがある。ここでの外側とは、シリンダボア62の中心軸線Lから離れる側である。この変形は次のようにして起るものと考えられる。シール部61よりも外側でヘッドボルト59が締付けられることにより、アッパデッキ部52及びシリンダヘッド58間の間隔dが、ヘッドボルト59の近傍、すなわちシリンダボア62から外側へ大きく離れた箇所では狭く、シール部61の近傍、すなわちシリンダボア62の近傍では広くなる。このように間隔dが広がることに伴い、シール部61を通じてライナ本体51に対し下方へ向う大きな押圧力が作用し、その結果として上述した変形が起る。
【0007】
なお、上記特許文献1によっても、隣合うボルト孔間ではシール部がシリンダボアの近傍に位置することから、上記と同様、ライナ本体が外側へ膨らむ変形が依然として起り得る。
【0008】
そして、こうした変形によりシリンダボア62の真円度が低下すると、同シリンダボア62のピストンリングとの摩擦が大きくなってフリクションロスが増大し、燃費の悪化を招く。また、クランクケースからシリンダボア62及びピストン間の隙間を通って燃焼室内へ漏出し、かつ燃焼により消費されるオイルの量が増大する。
【0009】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、ヘッドボルトの締付けに伴いシリンダブロックのライナ本体が外側へ膨らむ変形を好適に抑制することのできるシリンダヘッドガスケットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の発明では、ライナ本体の上端外側にアッパデッキ部を有するシリンダライナと、前記ライナ本体を取囲む外側壁を有するシリンダブロック本体とを備えたシリンダブロックに適用され、前記シリンダライナと、複数のヘッドボルトにより前記アッパデッキ部を通じて前記外側壁に締結されるシリンダヘッドとの間に介在されるとともに、前記アッパデッキ部に接触するシール部が設けられたシリンダヘッドガスケットであって、前記各ヘッドボルトが挿通されるボルト孔が設けられ、前記シール部について、隣合う前記ボルト孔間に対応する部分は、両ボルト孔を結ぶ線上又はその近傍に設けられているとする。
【0011】
上記構成によれば、シリンダヘッドのシリンダブロックへの締結に際し、外側壁によって囲まれた空間にライナ本体が収容され、アッパデッキ部が外側壁上に載置される。アッパデッキ部上にシリンダヘッドガスケット及びシリンダヘッドが重ねられる。ヘッドボルトがシリンダヘッド、シリンダヘッドガスケット及びアッパデッキ部に挿通され、外側壁に螺入される。ヘッドボルトの締付けにより、アッパデッキ部が、外側壁とシリンダヘッドガスケット及びシリンダヘッドとの間に挟まれて締結される。この締結により、ライナ本体がシリンダブロック本体に固定されてシリンダブロックが構成されるとともに、このシリンダブロック上にシリンダヘッドガスケットを介してシリンダヘッドが固定される。
【0012】
ところで、上記ヘッドボルトの締付けに伴い、シリンダヘッドガスケットのシール部がシリンダライナ及びシリンダヘッドによって挟み込まれ、このシール部によってアッパデッキ部が押圧される。ここで、請求項1に記載の発明では、シール部について、隣合うボルト孔間に対応する部分が、両ボルト孔を結ぶ線上又はその近傍に設けられている。
【0013】
そのため、シール部が、シリンダライナにおけるシリンダボアの近傍に設けられる場合とは異なり、ヘッドボルトが締付けられることにより、アッパデッキ部及びシリンダヘッド間の間隔はシリンダボアの近傍でも離れた箇所でも同程度となる。シール部がシリンダボアの近傍に設けられる場合に比べ、同シール部からライナ本体が受ける押圧力が小さくなり、ライナ本体におけるアッパデッキ部の近傍部分が外側へ膨らむ変形が起りにくくなる。
【0014】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明において、前記シール部について、前記ボルト孔に対応する部分は、同ボルト孔の近傍に設けられているとする。
上記の構成によれば、シリンダヘッドガスケットにおいて、ボルト孔に対応する箇所にシール部を設けることはできないが、同シール部を上記箇所(ボルト孔の近傍)に設定することで、シール部の近くでヘッドボルトが締付けられることとなる。従って、ライナ本体におけるアッパデッキ部の近傍部分が外側へ膨らむ変形をより一層抑制することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を、多気筒エンジンに用いられるシリンダヘッドガスケットに具体化した一実施形態について、図1〜図7を参照して説明する。
このエンジンは、ピストンの往復直線運動をクランク機構によって回転運動に変換して、出力軸であるクランクシャフトを回転させるタイプのエンジン(レシプロエンジン)である。
【0016】
図1及び図2に示すように、エンジンはシリンダブロック14及びシリンダヘッド15を備える。シリンダブロック14は、シリンダブロック本体16及びシリンダライナ17を備えて構成されている。シリンダブロック本体16はシリンダブロック14の多くの部分を占めるものであり、スカート部18及び外側壁19を備えている。スカート部18の下端部には、クランクシャフト13を回転可能に支持するためのジャーナル部21が設けられている。シリンダブロック本体16は、アルミニウム合金、マグネシウム合金等の比較的比重の小さな金属材料によって一体に形成されている。
【0017】
シリンダライナ17は、気筒毎のライナ本体22と、全てのライナ本体22に共通のアッパデッキ部23とを備える。各ライナ本体22は、上下両端が開放された円筒状をなしており、クランクシャフト13に沿って一列に並べられた状態で配置されている。アッパデッキ部23は略平板状をなし、全てのライナ本体22の上端外側に一体に設けられている。各ライナ本体22及びアッパデッキ部23は、鋳鉄等の耐摩耗性に優れた金属材料によって形成されている。各ライナ本体22は外側壁19によって囲まれた空間に収容され、アッパデッキ部23は外側壁19上に載置される。
【0018】
各シリンダライナ17の内部空間は、ピストン(図示略)を往復動可能に収容するためのシリンダボア24を構成する。各シリンダボア24においてピストンよりも上側の空間は、燃料及び空気の混合気を燃焼するための燃焼室(図示略)を構成する。また、外側壁19とライナ本体22との間の空間はウォータジャケット25として機能する。ウォータジャケット25は、シリンダブロック本体16、シリンダライナ17等を冷却するための冷却水の通路である。
【0019】
外側壁19の複数箇所には、その外側壁19の上面において開口して下方へ延びるボルト穴26が設けられている。ここでは、ボルト穴26は、外側壁19の四隅に設けられるとともに、その四隅のボルト穴26から外側壁19の側面に沿って所定の距離ずつ隔てた箇所に設けられている。四隅以外のボルト穴26は、ライナ本体22の配列方向に直交し、かつ隣合うライナ本体22間を通る面上に位置している。
【0020】
また、アッパデッキ部23の上記ボルト穴26に対応する箇所には貫通孔27が設けられている。そして、外側壁19上に、アッパデッキ部23及びシリンダヘッド15が順に重ねられ、それらのシリンダヘッド15及びアッパデッキ部23の貫通孔27にそれぞれ挿通されたヘッドボルト28が、外側壁19の対応するボルト穴26に螺入される。この螺入されたヘッドボルト28により、アッパデッキ部23及びシリンダヘッド15がシリンダブロック本体16に締結される。
【0021】
ところで、上記混合気の燃焼に伴い生じた燃焼ガスの熱及び燃焼圧力はシリンダブロック14及びシリンダヘッド15に伝達される。また、これらの熱及び燃焼圧力はシリンダブロック14及びシリンダヘッド15間の隙間にも作用する。燃焼ガスがこの隙間を通じて外部へ漏れ出るのを抑制するために、シリンダブロック14及びシリンダヘッド15間にシリンダヘッドガスケット30が介在される。
【0022】
図3はシリンダヘッドガスケット30の底面図である。この図3に示すように、シリンダヘッドガスケット30の大部分を占める基板31は、1枚の板材によって構成されている。基板31において、上記シリンダボア24に対応する箇所には、同シリンダボア24の開口部分と略同一の形状及び大きさを有する円形の孔32があけられている。また、基板31において、上記ボルト穴26及び貫通孔27に対応する箇所には、ヘッドボルト28の挿通が可能なボルト孔33があけられている。
【0023】
基板31のアッパデッキ部23側の面(下面)には、シム、ビード等からなるシール部34が設けられている。シール部34について、隣合うボルト孔33,33間に対応する部分34Aは、両ボルト孔33,33の中心同士を結ぶ線上に設けられており、直線状をなしている。対象となるボルト孔33は、ライナ本体22の配列方向(図3の左右方向)に隣合う一対のボルト孔33,33と、同方向に直交する方向(図3の上下方向)に隣合う一対のボルト孔33,33とからなる。また、基板31においてボルト孔33に対応する箇所にはシール部34を設けることができない。そのため、シール部34についてボルト孔33に対応する部分34Bは、そのボルト孔33に近い箇所に設けられている。この部分34Bは、ボルト孔33に沿って円弧状に形成されている。従って、シール部34は、隣合うボルト孔33,33間に対応する部分34Aであっても、ボルト孔33に対応する部分34Bであっても、シリンダボア24から大きく離れていることになる。
【0024】
上記構成のシリンダヘッドガスケット30を用いて、シリンダブロック14にシリンダヘッド15を組み付ける際には、図4及び図6に示すように、全てのライナ本体22を外側壁19によって囲まれた空間に配置する。貫通孔27をボルト穴26に合わせながら、アッパデッキ部23を外側壁19上に載置する。ボルト孔33を貫通孔27に合わせながら、アッパデッキ部23の上にシリンダヘッドガスケット30及びシリンダヘッド15を順に重ねる。この状態では、アッパデッキ部23の上面において、シール部34の部分34Aが隣合う貫通孔27間に接触し、部分34Bが貫通孔27の近傍に接触する。
【0025】
続いて、ヘッドボルト28(図5及び図7参照)を、シリンダヘッド15、シリンダヘッドガスケット30のボルト孔33及びアッパデッキ部23の貫通孔27に挿通する。このヘッドボルト28を外側壁19のボルト穴26に螺入する。ヘッドボルト28を締付けることにより、アッパデッキ部23が外側壁19と、シリンダヘッドガスケット30及びシリンダヘッド15との間に挟まれて締結される。この締結により、全てのライナ本体22がシリンダブロック本体16に固定されてシリンダブロック14が構成されるとともに、このシリンダブロック14上にシリンダヘッドガスケット30を介してシリンダヘッド15が固定される。
【0026】
ところで、上記ヘッドボルト28の締付けに伴い、シリンダヘッドガスケット30のシール部34がシリンダライナ17及びシリンダヘッド15によって挟み込まれ、このシール部34によってアッパデッキ部23が押圧される。本実施形態では、シール部34が、シリンダボア24から離れた箇所であるボルト孔33の近くに設けられている。シール部34において、ボルト孔33に対応する部分34Bはそのボルト孔33の近くに設けられ、隣合うボルト孔33,33間に対応する部分34Aは両ボルト孔33,33を結ぶ線上に設けられている。
【0027】
そのため、シール部61がシリンダボア62の近傍に設けられる場合(図8〜図10参照)とは異なり、ヘッドボルト28が締付けられることにより、図5及び図7に示すように、アッパデッキ部23及びシリンダヘッド15間の間隔dは、シリンダボア24の近傍でもそのシリンダボア24から大きく離れた箇所でも同程度となる。シール部34からライナ本体22が受ける押圧力が小さくなり、ライナ本体22におけるアッパデッキ部23の近傍部分(上部)が外側へ膨らむ変形が起りにくくなって、シリンダボア24の真円度の低下が抑制される。
【0028】
そして、全てのヘッドボルト28の締付けを終えると、シリンダライナ17、外側壁19、アッパデッキ部23等によって囲まれた空間(ウォータジャケット25)が形成される。
【0029】
このようにして組立てられたエンジンの運転時には燃焼室で空気及び燃料の混合気が燃焼される。この燃焼に伴い発生した燃焼ガスの熱が、シリンダブロック14、シリンダヘッド15、シリンダヘッドガスケット30等に伝わる。この燃焼ガスは、シリンダヘッドガスケット30によってシールされ、シリンダブロック14及びシリンダヘッド15間の隙間から外部へ漏れ出ることが抑制される。
【0030】
また、上述したようにアッパデッキ部23の変形が抑制されることから、真円度の低下に伴う各種不具合、例えば、シリンダボア24のピストンリングとの摩擦が大きくなってフリクションロスが増大し、燃費の悪化を招く現象が抑制される。また、クランクケースからシリンダボア24及びピストン間の隙間を通って燃焼室内へ漏出し、かつ燃焼により消費されるオイルの量が増大する現象が抑制される。
【0031】
なお、シール部34の部分34Aが、隣合うボルト孔33,33を結ぶ線よりも反シリンダボア24側(シリンダボア24から遠ざかる側)に設けられることは好ましくない。アッパデッキ部23及びシリンダヘッド15間の間隔dの広狭の関係が、部分34Aがシリンダボア24側に設けられる場合(図8〜図10参照)とは逆となり、ライナ本体22の上部が内側へ凹む変形が起るおそれがあるからである。
【0032】
以上詳述した本実施形態によれば、次の効果が得られる。
(1)シール部34について、隣合うボルト孔33,33間に対応する部分34Aを、両ボルト孔33,33を結ぶ線上に設けている。そのため、ヘッドボルト28の締付けにより、アッパデッキ部23及びシリンダヘッド15間の間隔dがシリンダボア24に近くなるほど広くなる現象を抑制し、ライナ本体22が外側へ膨らむ変形を好適に抑制することができる。また、ライナ本体22が内側へ凹む変形も抑制することができる。
【0033】
(2)シール部34について、ボルト孔33に対応する部分34Bを、同ボルト孔33の近傍に設けている。そのため、上記部分34Aと同様に、アッパデッキ部23及びシリンダヘッド15間の間隔dをシリンダボア24の近傍でも離れた箇所でも同程度とすることができる。従って、上記(1)に比べ、ライナ本体22におけるアッパデッキ部23の近傍部分が外側へ膨らむ変形をより一層抑制することができる。
【0034】
なお、本発明は次に示す別の実施形態に具体化することができる。
・シール部34について、隣合うボルト孔33間に対応する部分34Aは、必ずしも両ボルト孔33,33を結ぶ線上に設けられなくてもよく、同線の近傍に設けられてもよい。例えば、部分34Aを直線状とし、上記線から若干離れた箇所でその線に対し平行に設けられてもよい。また、部分34Aは必ずしも一直線状でなくてもよく、例えば屈曲していてもよい。また、部分34Aは多少湾曲していてもよい。
【0035】
・シール部34の部分34Bはボルト孔33に近い箇所に設けられることが必要であるが、その形状は特に限定されない。上記実施形態では、同部分34Bをボルト孔33の形状に合わせて円弧状としたが、これを例えば直線状としてもよい。
【0036】
・前記基板31は、1枚の板材からなるものであってもよいし、複数枚の板材を積層してなるものであってもよい。
・本発明のシリンダヘッドガスケットは、ライナ本体とアッパデッキ部とを別部材によって構成し、かつ同アッパデッキ部を各ライナ本体の上端に固定してシリンダライナとしたタイプのシリンダブロックにも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明を具体化した一実施形態において、シリンダヘッドガスケットが装着されたエンジンの部分破断斜視図。
【図2】シリンダブロック本体、シリンダライナ及びシリンダヘッドガスケットの斜視図。
【図3】シリンダヘッドガスケットの底面図。
【図4】シリンダブロック等の側断面図。
【図5】図4におけるX部の拡大図。
【図6】シリンダブロック等の正断面図。
【図7】図6におけるY部の拡大図。
【図8】背景技術におけるシリンダブロック、シリンダヘッドガスケット等の正断面図。
【図9】シリンダヘッドガスケットの底面図。
【図10】図8におけるZ部の拡大図。
【符号の説明】
【0038】
14…シリンダブロック、15…シリンダヘッド、16…シリンダブロック本体、17…シリンダライナ、19…外側壁、22…ライナ本体、23…アッパデッキ部、28…ヘッドボルト、30…シリンダヘッドガスケット、33…ボルト孔、34…シール部、34A,34B…部分。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ライナ本体の上端外側にアッパデッキ部を有するシリンダライナと、前記ライナ本体を取囲む外側壁を有するシリンダブロック本体とを備えたシリンダブロックに適用され、前記シリンダライナと、複数のヘッドボルトにより前記アッパデッキ部を通じて前記外側壁に締結されるシリンダヘッドとの間に介在されるとともに、前記アッパデッキ部に接触するシール部が設けられたシリンダヘッドガスケットであって、
前記各ヘッドボルトが挿通されるボルト孔が設けられ、前記シール部について、隣合う前記ボルト孔間に対応する部分は、両ボルト孔を結ぶ線上又はその近傍に設けられていることを特徴とするシリンダヘッドガスケット。
【請求項2】
前記シール部について、前記ボルト孔に対応する部分は、同ボルト孔の近傍に設けられている請求項1に記載のシリンダヘッドガスケット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−57692(P2006−57692A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−238800(P2004−238800)
【出願日】平成16年8月18日(2004.8.18)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】