説明

シリンダロッド保護構造

【課題】オイルクーラに導かれる作動油を、オイルクーラに流入する前に冷却することができるシリンダロッド保護構造の提供。
【解決手段】シリンダロッド8bと、このシリンダロッド8bが進退可能に収容されるシリンダチューブ8aとを含むアームシリンダ8に備えられ、アームシリンダ8のシリンダチューブ8aと、シリンダロッド8bを保護する保護カバー22との間に放熱フィン20を設けてある。放熱フィン20は、シリンダチューブ8aの外周面に一体に設けてあり、例えばシリンダチューブ8の左右方向と上方向のそれぞれに突出するように3本設けてある。これらの放熱フィン20は、保護カバー22の伸長方向に沿って設けられ、シリンダロッド8bと一体的に移動する保護カバー22をガイドするガイド部材を兼ねている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業装置を駆動する油圧シリンダを有する油圧ショベル等の作業機械に備えられ、油圧シリンダに含まれるシリンダロッドを保護する保護カバーを備えたシリンダロッド保護構造に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の従来技術として特許文献1に示されるものがある。この従来のシリンダロッド保護構造は、油圧ショベルに備えられるものであり、シリンダロッドの上側に配置されて、このシリンダロッドを保護するバネ鋼より成る平板状のガイド部材、すなわち保護カバーをシリンダロッドの先端に取り付け、シリンダロッドと一体に移動させるように構成してある。このように構成したものでは、保護カバーによって障害物からシリンダロッドを保護することができ、シリンダロッドが含まれる油圧シリンダの耐久性を向上させることができる。
【0003】
なお、特許文献1中に記載は無いが、良く知られているように上述した油圧シリンダに導かれる作動油の温度は高く、したがって油圧シリンダから排出された作動油を作動油タンクに戻す管路には、この作動油タンクに戻される作動油を冷やすオイルクーラが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4038197号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1に示される従来技術は、油圧シリンダのシリンダロッドの障害物からの保護については考慮されているが、油圧シリンダから排出されオイルクーラに導かれる作動油の温度を、オイルクーラへの流入前に低下させることについては考慮がなされていない。このため従来にあっては、流入される高温の作動油の熱負荷によってオイルクーラの耐久性が劣化する懸念がある。
【0006】
本発明は、上述した従来技術における実状からなされたもので、その目的は、オイルクーラに導かれる作動油を、オイルクーラに流入する前に冷却することができるシリンダロッド保護構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するために、本発明に係るシリンダロッド保護構造は、作業装置を駆動する油圧シリンダと、この油圧シリンダから排出され作動油タンクに導かれる作動油を冷やすオイルクーラとを有する作業機械に備えられ、上記油圧シリンダに含まれるシリンダロッドを保護する保護カバーを、上記シリンダロッドに取り付け、このシリンダロッドと一体に移動させるようにしたシリンダロッド保護構造において、上記シリンダロッドが進退可能に収容される上記油圧シリンダのシリンダチューブと上記保護カバーとの間に、放熱フィンを設けたことを特徴としている。
【0008】
このように構成した本発明は、油圧シリンダのシリンダチューブと保護カバーとの間に設けられる放熱フィンによって、シリンダチューブが冷やされ、これによってこのシリンダチューブが含まれる油圧シリンダに導かれる高温の作動油を冷却することができる。すなわち、オイルクーラに導かれる作動油を、オイルクーラに流入する前に冷却することができる。すなわち、作動油の温度を低下させた状態でこの作動油をオイルクーラに導くことができる。
【0009】
また、本発明に係るシリンダロッド保護構造は、上記発明において、上記放熱フィンを上記シリンダチューブの外周面に設けたことを特徴としている。このように構成した本発明は、放熱フィンを比較的容易に設けることができる。
【0010】
また、本発明に係るシリンダロッド保護構造は、上記発明において、上記放熱フィンは、上記保護カバーの伸長方向に沿って設けられ、上記シリンダロッドと一体的に移動する上記保護カバーをガイドするガイド部材を兼ねることを特徴としている。このように構成した本発明は、ガイド部材を兼ねる放熱フィンを介して、シリンダロッドの移動に追従させて保護カバーを円滑に移動させることができる。
【0011】
また、本発明に係るシリンダロッド保護構造は、上記発明において、上記放熱フィンと上記保護カバーとの間に、摩擦低減部材を設けたことを特徴としている。このように構成した本発明は、摩擦低減部材を介して、保護カバーをさらに滑らかに移動させることができる。
【0012】
また、本発明に係るシリンダロッド保護構造は、上記発明において、上記保護カバーは、その伸長方向と直交する方向の断面形状が上記シリンダロッドを囲む円弧形状から成ることを特徴としている。このように構成した本発明は、保護カバーがシリンダロッドの外周面に沿う形状に形成されるので、障害物からのシリンダロッドに対する優れた保護機能を確保することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、シリンダロッドが進退可能に収容される油圧シリンダのシリンダチューブと、シリンダロッドを保護する保護カバーとの間に放熱フィンを設けたことから、この放熱フィンによって油圧シリンダに導かれる作動油を冷却し、オイルクーラに導かれるこの作動油を、オイルクーラに流入する前に冷却することができる。すなわち、作動油の温度を従来に比べて低下させた状態でこの作動油をオイルクーラに導くことができる。これにより、高温の作動油によってオイルクーラに与えられる熱負荷を従来よりも低減させることができ、オイルクーラの長寿命化を実現させることができる。
【0014】
なお、従来と同程度の耐久性が得られれば済む場合には、オイルクーラの容量を小さくすることができ、オイルクーラの小型化を実現させることができる。これにより、オイルクーラに係る製作コストを従来よりも低減させることができるとともに、オイルクーラの配置設計に対する自由度を従来よりも大きくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係るシリンダロッド保護構造の第1実施形態が備えられる作業機械の一例として挙げた油圧ショベルを示す側面図である。
【図2】図1に示す油圧ショベルに備えられる旋回体の要部構成を示す平面図である。
【図3】図1に示す油圧ショベルに備えられる油圧駆動装置を示す油圧回路図である。
【図4】図1のA断面拡大図である。
【図5】本発明に係るシリンダロッド保護構造の第1実施形態を示す分解斜視図である。
【図6】図5に示す第1実施形態の要部を構成するアームシリンダ部分を示す図で、(a)図は側面図、(b)図は正面図である。
【図7】本発明の第2実施形態の要部を構成するアームシリンダ部分を示す図で、(a)図は側面図、(b)図は正面図である。
【図8】本発明の第3実施形態の要部を構成するアームシリンダ部分を示す図で、(a)図は側面図、(b)図は正面図である。
【図9】本発明の第4実施形態の要部を構成するアームシリンダ部分を示す図で、(a)図は側面図、(b)図は正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係るシリンダロッド保護構造の実施の形態を図に基づいて説明する。
【0017】
図1は本発明に係るシリンダロッド保護構造の第1実施形態が備えられる作業機械の一例として挙げた油圧ショベルを示す側面図、図2は図1に示す油圧ショベルに備えられる旋回体の要部構成を示す平面図、図3は図1に示す油圧ショベルに備えられる油圧駆動装置を示す油圧回路図である。
【0018】
図1に示す油圧ショベルは、走行体1と、この走行体1上に配置される旋回体2と、旋回体2に取付けられ、掘削作業等の各種作業を行なう作業装置3とを備えている。作業装置3は、旋回体2に上下方向の回動可能に設けられるブーム4と、このブーム4の先端に上下方向の回動可能に設けられるアーム5と、このアーム5の先端に上下方向の回動可能に設けられるバケット6とを備えている。また、作業装置3を駆動する油圧シリンダ、すなわちブーム4を駆動するブームシリンダ7、アーム5を駆動するアームシリンダ8、バケット6を駆動するバケットシリンダ9を備えている。旋回体2には上述した油圧シリンダを操作する操作装置が配置される運転室10が設けられている。
【0019】
また、図2,3に示すように、旋回体2上には、上述のブームシリンダ7、アームシリンダ8、バケットシリンダ9、あるいは旋回体2を旋回させる旋回モータ17、走行体1を走行させる走行右モータ18a、走行左モータ18b等の各種の油圧アクチュエータに圧油を供給する油圧ポンプ16と、この油圧ポンプ16を駆動するエンジン12と、油圧ポンプ16から各種の油圧アクチュエータへ供給される圧油の流れを制御するコントロールバルブ11とが備えられている。さらに、旋回体2上には、燃料タンク13と、作動油タンク14と、オイルクーラ15とが備えられている。図3に示すように、オイルクーラ15は、油圧シリンダから排出される作動油を、コントロールバルブ11を介して作動油タンク14に導く管路19に設けられ、作動油タンク14に導かれる作動油、すなわち戻り油を冷却する。
【0020】
図4は図1のA断面拡大図、図5は本発明に係るシリンダロッド保護構造の第1実施形態を示す分解斜視図、図6は図5に示す第1実施形態の要部を構成するアームシリンダ部分を示す図で、(a)図は側面図、(b)図は正面図である。
【0021】
上述した油圧ショベルに備えられるこの第1実施形態に係るシリンダロッド保護構造は、油圧シリンダ、例えばアームシリンダ8に取付けられている。このアームシリンダ8は、図5等に示すように、シリンダロッド8bと、このシリンダロッド8bが進退可能に収容されるシリンダチューブ8aとを含んでいる。この第1実施形態に係るシリンダロッド保護構造は、アームシリンダ8のシリンダチューブ8aと、シリンダロッド8bを保護する保護カバー22との間に放熱フィン20を設けてある。
【0022】
放熱フィン20は、例えば図4及び図6の(b)図等に示すように、シリンダチューブ8aの外周面に一体に設けてあり、例えばシリンダチューブ8aの左右方向と上方向のそれぞれに向かって突出するように3本設けてある。これらの放熱フィン20は、保護カバー22の伸長方向に沿って設けられ、シリンダロッド8bと一体的に移動する保護カバー22をガイドするガイド部材を兼ねている。図6に示すように、放熱フィン20のシリンダロッド8bに近い側に位置する端部、及びシリンダロッド8bから遠い側に位置する端部のそれぞれには、曲面部20aを形成してある。
【0023】
図4,5に示すように、放熱フィン20のそれぞれの上端部には、これらの上端部を覆うように摩擦低減部材21を設けてある。この摩擦低減部材21は、例えば自己潤滑性の合成樹脂から成っている。なお、アームシリンダ8は、図5に示すように、シリンダチューブ8aの末端部8a1がブーム4に設けたブラケット4aに連結され、シリンダロッド8bの先端部8b1がアーム5に設けたブラケット5aに連結されるようになっている。
【0024】
図4等に示すように、保護カバー22は、その伸長方向と直交する方向の断面形状がシリンダロッド8bを囲む円弧形状、例えば下方が放熱のために開放された半円形状から成っている。保護カバー22の下端部のそれぞれには、シリンダチューブ8aの外周面の左右方向に突出して設けられる放熱フィン21に装着した摩擦低減部材21のそれぞれ該当するものに、摺接可能なフック部22bを形成してある。
【0025】
図5に示すように、保護カバー22の一方の端部にはボルト穴22aを形成してあり、シリンダロッド8bの先端部8b1には雌ねじ部8b2を形成してある。ボルト27をワッシャプレート25及びワッシャスプリング26を介して、保護カバー22のボルト穴22aに挿通させ、シリンダロッド8bの先端部8b1の雌ねじ部8b2に螺合させることによって、保護カバー22がシリンダロッド8bの先端部8b1に取付けられる。これにより、保護カバー22はシリンダロッド8bと一体に移動するようになっている。
【0026】
上述のように保護カバー22をシリンダロッド8bに取付けたアームシリンダ8は、例えばシリンダチューブ8a内のボトム室に供給される作動油に応じてシリンダロッド8bが伸長して図1に示すアーム5が下方向に回動し、あるいは、シリンダチューブ8a内のロッド室に供給される作動油に応じてシリンダロッド8bが収縮してアーム5が上方向に回動し、これらによって所望の作業、例えばバケット6による掘削作業等が実施される。なお、上述したように、アームシリンダ8からコントロールバルブ11を介して排出された作動油は、オイルクーラ15で冷却されて作動油タンク14に戻される。
【0027】
シリンダチューブ8aからシリンダロッド8bが進退する間、上述したように保護カバー22はシリンダロッド8bと一体に移動する。すなわち、保護カバー22は、放熱フィン20に設けた摩擦低減部材21を介して、放熱フィン20のそれぞれにガイドされ、シリンダロッド8bに追従するように摺動し、障害物からシリンダロッド8bを保護する。
【0028】
このように構成した第1実施形態によれば、アームシリンダ8のシリンダチューブ8aの外周面に設けた放熱フィン20によって、シリンダチューブ8aが冷やされる。これによってこのシリンダチューブ8aが含まれるアームシリンダ8に導かれる高温の作動油を冷却することができる。これにより、オイルクーラ15に導かれる作動油を、このオイルクーラ15に流入する前に冷却させることができる。すなわち、作動油の温度を低下させた状態でこの作動油をオイルクーラ15に導くことができる。これにより、高温の作動油によってオイルクーラ15に与えられる熱負荷を低減させることができ、オイルクーラ15の長寿命化を実現できる。
【0029】
なお、耐久性についてそれほど考慮しなくて済む状況においては、今までに比べてオイルクーラ15の容量を小さくすることができ、オイルクーラ15の小型化を実現させることができる。これにより、オイルクーラ15に係る製作コストを低減させることができるとともに、オイルクーラ15の配置設計に対する自由度をより大きくすることができる。このことは、油圧ショベルがミニショベルであって、他の機器との配置関係で、オイルクーラ15の設置領域に制約を受けやすい場合などに有効である。
【0030】
また、この第1実施形態は、放熱フィン20をアームシリンダ8のシリンダチューブ8aの外周面に設けるようにしたので、この放熱フィン20を比較的容易に設けることができ、実用性に富む。
【0031】
また、放熱フィン20が保護カバー20をガイドするガイド部材を兼ねることから、放熱フィン20を介して、シリンダロッド8bの移動に追従させて保護カバー22を円滑に移動させることができ、安定した構造を実現させることができる。また、放熱フィン20の両端部に曲面部20aをそれぞれ形成してあることから、放熱フィン20のそれぞれに対して保護カバー22を嵌め込む作業を容易に行なうことができる。
【0032】
また、放熱フィン20の上端部のそれぞれに摩擦低減部材21を設けてあるので、放熱フィン20によって保護カバー22をガイドする際に、この摩擦低減部材21を介して上述したように保護カバー22を滑らかに移動させることができ、安定した構造の実現に貢献する。
【0033】
また、保護カバー22は、その伸長方向と直交する方向の断面形状がシリンダロッド8bを囲む円弧形状から成ることから、保護カバー22がシリンダロッド8bの外周面に沿う形状となり、障害物からのシリンダロッド8bに対する優れた保護機能を確保することができ、信頼性の高い構造を実現させることができる。
【0034】
なお、図1に例示するように、ブームシリンダ7にも保護カバー23を含む第1実施形態と同等のシリンダロッド保護構造を設けてある。また、バケットシリンダ9にも保護カバー24を含む第1実施形態と同等のシリンダロッド保護構造を設けてある。このようにブームシリンダ7、バケットシリンダ9に設けたシリンダロッド保護構造にあっても、上述した第1実施形態に係るシリンダロッド保護構造と同等の作用効果を得ることができる。
【0035】
図7は本発明の第2実施形態の要部を構成するアームシリンダ部分を示す図で、(a)図は側面図、(b)図は正面図、図8は本発明の第3実施形態の要部を構成するアームシリンダ部分を示す図で、(a)図は側面図、(b)図は正面図、図9は本発明の第4実施形態の要部を構成するアームシリンダ部分を示す図で、(a)図は側面図、(b)図は正面図である。
【0036】
図7に示す第2実施形態は、アームシリンダ8のシリンダチューブ8aの外周面の上方向、左右方向のそれぞれに設けられるガイド部材を兼ねる放熱フィン30が、分割形成されたものからなっている。これらの放熱フィン30のうちのシリンダロッド8bに最も近い側に位置する放熱フィン30のシリンダロッド8b側の端部、及びシリンダロッド8bから最も遠い側に位置する放熱フィン30のシリンダロッド8bから最も離れた側の端部のそれぞれに、曲面部30aを形成してある。放熱フィン30のそれぞれの上端部には第1実施形態における摩擦低減部材21と同様の摩擦低減部材を設けてある。図示省略した保護カバー22を含むその他の構成は、上述した第1実施形態と同等である。
【0037】
図8に示す第3実施形態は、アームシリンダ8のシリンダチューブ8aの外周面に設けられ、ガイド部材を兼ねる放熱フィン31が、シリンダチューブ8の外周面に所定間隔で嵌め込まれる複数のリングから成っている。放熱フィン31の外周部には第1実施形態における摩擦低減部材21と同様の摩擦低減部材を設けてある。図示しないが、この第3実施形態にあっては、放熱フィン31によってガイドされ、シリンダロッド8bを保護する保護カバーは、第1実施形態における保護カバー22からフック部22bを除いた構成にしてある。また、放熱フィン31からの保護カバー22の離脱を防ぐために、保護カバー22は、その伸長方向と直交する方向の断面形状がシリンダロッド8bを囲む第1実施形態における半円よりも少し大きく、下方が開放される円弧形状から成っている。その他の構成は、上述した第1実施形態と同等である。
【0038】
図9に示す第4実施形態は、アームシリンダ8のシリンダチューブ8aの外周面に設けられ、ガイド部材を兼ねる放熱フィン32が、スパイラル状に形成されている。放熱フィン32の上端部には第1実施形態における摩擦低減部材21と同様の摩擦低減部材を設けてある。図示しないが、この第4実施形態も第3実施形態と同様に、放熱フィン32によってガイドされ、シリンダロッド8bを保護する保護カバーは、第1実施形態における保護カバー22からフック部22bを除いた構成にしてある。また、第3実施形態と同様に、放熱フィン32からの保護カバー22の離脱を防ぐために、保護カバー22は、その伸長方向と直交する方向の断面形状がシリンダロッド8bを囲む第1実施形態における半円よりも少し大きく、下方が開放される円弧形状から成っている。その他の構成は、上述した第1実施形態と同等である。
【0039】
これらの図7,8,9に示す第2,3,4実施形態に係るシリンダロッド保護構造も、放熱フィン30,31,32によってシリンダチューブ8aが冷やされ、アームシリンダ8に導かれる高温の作動油を冷却することができ、オイルクーラ15に導かれる作動油を、このオイルクーラ15に流入する前に冷却させることができ、第1実施形態に係るシリンダロッド保護構造と同等の作用効果が得られる。
【0040】
なお、上記各実施形態は、放熱フィン20,30,31,32のそれぞれをアームシリンダ8のシリンダチューブ8aの外周面に設けてあるが、このように構成せずに、保護カバー22等の内面に放熱フィンを設け、シリンダチューブ8aの外周面に放熱フィンを設けない構成とすることもできる。このように構成したものも、保護カバー22等の内面に設けた放熱フィンによってシリンダチューブ8aを冷やし、アームシリンダ8に導かれる作動油を冷却させることができ、第1実施形態と同等の作用効果を得ることができる。
【0041】
また、上記各実施形態は、放熱フィン20,30,31,32の上端部あるいは外周部に摩擦低減部材を設けた構成にしてあるが、ガイド部材である放熱フィン20,30,31,32のみによって保護カバー22等を円滑にガイド可能である場合には、摩擦低減部材を備えない構成にしてもよい。
【0042】
また、第1,第2実施形態は、放熱フィン20,30の端部に曲面部20a,30aを形成してあるが、このような曲面部20a,30aに代えてテーパ部を設けてもよい。また、放熱フィン20,30に対する嵌め込みに支障を生じない場合には、このような曲面部20a,30a、あるいはテーパ部を設けることなく、放熱フィン20,30の端部が直角の角部を形成するようにしてもよい。
【0043】
また、第1,第2実施形態は、放熱フィン20,30をシリンダチューブ8aの外周面にそれぞれ3本設けてあるが、これらを等間隔に設けてもよく、また、異なる間隔に設けてもよい。さらに、放熱フィン20,30のそれぞれの本数は、3本設けることには限られず、4本以上設けてもよい。また、放熱フィン20,30のそれぞれを同一形状に設けてもよく、また、幅寸法等異ならせるように設けてもよい。
【符号の説明】
【0044】
1 走行体
2 旋回体
3 作業装置
5 アーム
8 アームシリンダ
8a シリンダチューブ
8b シリンダロッド
11 コントロールバルブ
14 作動油タンク
15 オイルクーラ
19 管路
20 放熱フィン
20a 曲面部
21 摩擦低減部材
22 保護カバー
22a フック部
23 保護カバー
24 保護カバー
30 放熱フィン
30a 曲面部
31 放熱フィン
32 放熱フィン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業装置を駆動する油圧シリンダと、この油圧シリンダから排出され作動油タンクに導かれる作動油を冷やすオイルクーラとを有する作業機械に備えられ、上記油圧シリンダに含まれるシリンダロッドを保護する保護カバーを、上記シリンダロッドに取り付け、このシリンダロッドと一体に移動させるようにしたシリンダロッド保護構造において、
上記シリンダロッドが進退可能に収容される上記油圧シリンダのシリンダチューブと上記保護カバーとの間に、放熱フィンを設けたことを特徴とするシリンダロッド保護構造。
【請求項2】
請求項1に記載のシリンダロッド保護構造において、
上記放熱フィンを上記シリンダチューブの外周面に設けたことを特徴とするシリンダロッド保護構造。
【請求項3】
請求項2に記載のシリンダロッド保護構造において、
上記放熱フィンは、上記保護カバーの伸長方向に沿って設けられ、上記シリンダロッドと一体的に移動する上記保護カバーをガイドするガイド部材を兼ねることを特徴とするシリンダロッド保護構造。
【請求項4】
請求項3に記載のシリンダロッド保護構造において、
上記放熱フィンと上記保護カバーとの間に、摩擦低減部材を設けたことを特徴とするシリンダロッド保護構造。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のシリンダロッド保護構造において、
上記保護カバーは、その伸長方向と直交する方向の断面形状が上記シリンダロッドを囲む円弧形状から成ることを特徴とするシリンダロッド保護構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−216557(P2010−216557A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−63391(P2009−63391)
【出願日】平成21年3月16日(2009.3.16)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】