説明

シリンダー型スクリーン印刷装置及びこれを用いた印刷方法

【課題】被印刷物の前縁端部の端面仕上げに影響を受けない被印刷物の位置決めを行うシリンダー型スクリーン印刷装置及びこれを用いた印刷方法を得る。
【解決手段】被印刷物を二色以上の多色印刷する、印刷シリンダー2及び刷版を有するシリンダー型スクリーン印刷機であって、印刷シリンダーの上流側に、被印刷物の位置決めをするための複数軸のアクチュエーターで駆動するアライメントステージと、アライメントステージに取り付けられた、被印刷物の下面の少なくとも一部を吸着するためのバキューム手段19と、被印刷物の位置を検出するための画像センサー30とを備え、被印刷物には、アライメントマークが一色目印刷時において印刷され、画像センサー30が、二色目以降の各刷版において刷版位置を基準として登録された登録マークを、一色目印刷時に被印刷物に印刷されたアライメントマークと整合させて被印刷物の位置決めを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリンダー型スクリーン印刷装置及びこれを用いた印刷方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来において、様々なシリンダー型スクリーン印刷装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−073032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のシリンダー型スクリーン印刷機は、周知のように、回転可能な印刷シリンダー(印刷胴)の上方に配置されたスクリーン版(刷版)を有するスクリーン枠をスキージにより加圧して、印刷シリンダーの外表面上に載置された被印刷物に対し印刷を行っている。被印刷物は、印刷機の上流側に配置された搬送部によって印刷シリンダー側へ搬送され、その前縁端部が印刷シリンダーの凹部内に設けられた前見当部と横見当部とによって搬送方向及び搬送方向に対して直行する方向の両方向の位置決めがされて、印刷が開始される。
【0005】
しかしながら、上記従来の位置決め方法では、被印刷物の前縁端部の精度に依存してしまうという問題があった。すなわち、被印刷物の前縁端部の仕上げの精度が低い場合には、その精度が低い前縁端部を前見当部及び横見当部によって被印刷物の位置決めが行われるため、例えば、1枚の被印刷物に二色印刷をする場合には、一色目の印刷と二色目の印刷とがずれてしまい、印刷精度が低下してしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、上述のような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、被印刷物の前縁端部の端面仕上げに影響を受けない被印刷物の位置決めを行うことができるシリンダー型スクリーン印刷装置及びこれを用いた印刷方法を提供することを目的とする。また、上述の前見当部及び横見当部による被印刷物の前縁端部を基準とした位置決めを行うことができると共に、被印刷物の前縁端部の端面仕上げに影響を受けない被印刷物の位置決めを行うことができるシリンダー型スクリーン印刷装置及びこれを用いた印刷方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、被印刷物を二色以上の多色印刷する、印刷シリンダー及び刷版を有するシリンダー型スクリーン印刷機であって、
前記シリンダー型スクリーン印刷機は、前記印刷シリンダーの上流側に、
被印刷物の位置決めをするための複数軸のアクチュエーターで駆動するアライメントステージと、
前記アライメントステージに取り付けられた、被印刷物の下面の少なくとも一部を吸着するためのバキューム手段と、
被印刷物の位置を検出するための画像センサーとを備え、
被印刷物には、アライメントマークが一色目印刷時において印刷されるようになっており、前記画像センサーが、二色目以降の各刷版において刷版位置を基準として登録された登録マークを、一色目印刷時において被印刷物に印刷された前記アライメントマークと整合させて被印刷物の位置決めを行うことにより、二色目以降の各印刷が行われることを特徴とするシリンダー型スクリーン印刷機を提供する。
【0008】
また、前記バキューム手段は、被印刷物の下面の少なくとも一部を吸着する、複数の穴が形成されたバキューム面を有している。
【0009】
また、前記位置決めは、被印刷物がバキューム面上で吸着固定された状態で行われる。
【0010】
また、前記シリンダー型スクリーン印刷機は、前見当部及び横見当部を有し、前見当部及び横見当部による被印刷物の前縁端部を基準とした位置決めを行う印刷機にすることができる。
【0011】
さらに、本発明は、請求項1乃至4のうちのいずれか一つのシリンダー型スクリーン印刷機を用いて被印刷物の位置決めを行って印刷することを特徴とする印刷方法を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、被印刷物の前縁端部の端面仕上げに影響を受けない被印刷物の位置決めを行うことができる。また、前見当部及び横見当部による被印刷物の前縁端部を基準とした位置決めを行うことができると共に、被印刷物の前縁端部の端面仕上げに影響を受けない被印刷物の位置決めを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明にかかるシリンダー型スクリーン印刷機の概略図である。
【図2】図2は、本発明にかかるシリンダー型スクリーン印刷機の概略部分断面図である。
【図3】図3は、本発明にかかるシリンダー型スクリーン印刷機の搬送部を示す平面図である。
【図4】図4は、本発明に適用可能なバキューム手段を示す概略斜視図である。
【図5】図5は、本発明に適用可能なアライメントモジュールを主として示す部分断面図である。
【図6】図6は、本発明に適用可能な搬送部に設けられた画像センサーの一例を示す平面図である。
【図7】図7は、本発明に適用可能な画像センサーの一例を示す平面図である。
【図8】図8は、本発明に適用可能なアライメントマークの一例を示す平面図である。
【図9】図9は、本発明に適用可能なレーザープロジェクターの一例を示す平面図である。
【図10】図10は、本発明にかかるシリンダー型スクリーン印刷機の動作の一部を示す概略図である。
【図11】図11は、本発明にかかるシリンダー型スクリーン印刷機の動作の別の一部を示す概略図である。
【図12】図12は、本発明にかかるシリンダー型スクリーン印刷機の動作のさらに別の一部を示す概略図である。
【図13】図13は、本発明にかかるシリンダー型スクリーン印刷機の動作のさらに別の一部を示す概略図である。
【図14】図14は、本発明にかかるシリンダー型スクリーン印刷機の動作のさらに別の一部を示す概略側面図である。
【図15】図15は、本発明にかかるシリンダー型スクリーン印刷機の動作のキャリブレーションを示す概略図である。
【図16】図16は、本発明に適用可能なスクリーン版(刷版)を有するスクリーン枠及び補助枠の一例を示す斜視図である。
【図17】図17は、本発明に適用可能なスクリーン版(刷版)を有するスクリーン枠、補助枠及びプロジェクターの一例を示す上面図である。
【図18】図18は、本発明に適用可能なレーザープロジェクターの一例を示す平面図である。
【図19】図19は、本発明に適用可能なレーザープロジェクターの一例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明にかかるシリンダー型スクリーン印刷装置及びこれを用いた印刷方法を実施するための最良の形態について図面を参照しながら述べる。図1には、本発明にかかるシリンダー型スクリーン印刷機の概略図を示し、図2には、その概略部分断面図を示す。図1及び図2に示すように、シリンダー型スクリーン印刷機1は、回転可能な印刷シリンダー(印刷胴)2と、この印刷シリンダー2の上方に配置されたスクリーン版(刷版)を有するスクリーン枠3と、印刷機の上流側に配置された搬送部4と、印刷機の下流側に配置された排紙部5とを主に備えている。
【0015】
図2及び3に示すように、印刷シリンダー2は、印刷シリンダー2の中心軸6に沿って伸びた凹部7が形成されており(図2参照)、図2において反時計方向に回転することができる。また、周知の通り、凹部7には、グリッパー8、爪当て金9、前見当部10、前見当センサー17などがそれぞれ複数配置されている。グリッパー8は、凹部7内で回動可能に支持されており、その先端部は、印刷シリンダー2の外表面上に配置された被印刷物の先端部(前縁端部)を把持するようになっている。爪当て金9は、凹部7内でグリッパー8の先端と接触する位置に配置されている。また、前見当部10は、印刷シリンダー2の中心軸6に沿った方向(図2において紙面に対して直交する方向)において適当な間隔をおいて爪当て金9の側端部に配置されており、この前見当部10に、印刷機1の上流側に配置された搬送部4から搬送された被印刷物の先端部(前縁端部)が当接して、被印刷物の搬送方向の位置決めが行われる。また、前見当センサー17は、印刷シリンダー2の中心軸6に沿った方向において適当な間隔をおいて配置されている。前見当センサー17は、前縁端部が前見当部10に当接した状態の被印刷物を検知するための検知センサーである。
【0016】
また、印刷シリンダー2の上流側の搬送部4には印刷シリンダー2に隣接する側に横見当部ユニット18が設けられ、この横見当部ユニット18には、印刷シリンダー2の中心軸6に沿った方向に所定の間隔をおいて一対の横見当部11が設けられている。横見当部11は、被印刷物の搬送方向に対して直行する方向(図3において印刷シリンダー2の中心軸6に沿った方向)の位置決めを行う。従って、被印刷物は、印刷機1の上流側に配置された搬送部4によって印刷シリンダー2側へ搬送され、その前縁端部が印刷シリンダー2の凹部7内に設けられた前見当部10と、横見当部11とによって搬送方向及び搬送方向に対して直行する方向の両方向の位置決めがされて、印刷が開始されるようになっている。
【0017】
また、印刷紙シリンダー2の上方に配置されたスクリーン枠3は、印刷パターンに対応した網目によって形成されたスクリーン版(刷版)の外周に設けられている。また、図2によく示すように、スクリーン枠3の上方には、スキージ12やスクレイパー13などが配置されている。また、印刷機1の上流側に配置された搬送部4は、搬送ベルト14を有しており、被印刷物を積載する積載部(図示せず)から1枚ずつ供給された被印刷物を印刷シリンダー2側に搬送するようになっている。また、印刷機の下流側に配置された排紙部5は、図示のように排出ベルト15を有しており、印刷シリンダー2から搬送された被印刷物を乾燥装置(図示せず)などに排出するようになっている。
【0018】
図3に示すように、搬送部4には、フィードボード16を有している。被印刷物は、搬送ベルト14によってフィードボード16上で前縁端部が前見当部10に当接するまで搬送されるようになっている。フィードボード16は、押さえコロ28及びブラシコロ29をそれぞれ複数有する。また、フィードボード16の印刷シリンダー2側には上記一対の横見当部11を有する横見当部ユニット18が取り付けられている。また、被印刷物の前縁端部が前見当部10に当接した状態の被印刷物は、前見当センサー17によって検知されるようになっている。
【0019】
また、フィードボード16には、印刷シリンダー2の中心軸6に沿った方向の中心位置であって横見当部ユニット18側の位置にバキューム手段19が設けられている。具体的に述べると、図4及び図5に示すように、このバキューム手段19は、被印刷物の下面の少なくとも一部を吸着する、複数の穴が形成されたバキューム面20を上面として有する筐体21と、筐体21の内部にバキュームホース22を介して連通された真空源(図示せず)と、筐体21の下面に取り付けられたベースプレート23とを主に備えており、ベースプレート23には、3つのアライメントモジュール25、26、27が取り付けられており、バキューム手段19は、この3つのアライメントモジュール25、26、27を介してフィードボード16に取り付けられている。
【0020】
3つのアライメントモジュール25、26、27は、搬送方向に対して直交する方向すなわち印刷シリンダー2の中心軸6に沿った方向における被印刷物の位置決めをするための1軸のアクチュエーターとしてのXアライメントモジュール25と、搬送方向における被印刷物の位置決めをするための2軸のアクチュエーターとしてのY1アライメントモジュール26とY2アライメントモジュール27とで構成されている。各アライメントモジュールは、クロスローラーベアリング、LMアクチュエーター及びACサーボモーター等で構成されている。
【0021】
また、図3及び図6に示すように、フィードボード16には、2つの画像センサー30と複数の照明手段31がバキューム手段19の近傍に設けられている。より具体的に説明すると、フィードボード16には、搬送方向に対して直交する方向(X軸方向)に伸びたX軸ガイド35が設けられており、このX軸ガイド35上においてバキューム手段19のX軸方向の両側に、それぞれ、画像センサー30と照明手段31が設けられている。図示のものは、各照明手段31は、一対の照明手段で構成されており、画像センサー30の両側に配置されている。また、フィードボード16には、搬送方向(Y軸方向)に伸びたY軸ガイド34が設けられており、X軸ガイド35は、このY軸ガイド34にY軸方向に移動可能に取り付けられている。調整ハンドル32によってX軸ガイド35のY軸方向への位置調整が行われるようになっており、固定ハンドル33によってX軸ガイド35のY軸方向の位置固定が行われるようになっている。調整ハンドル32によるX軸ガイド35のY軸方向への位置調整によって、画像センサー30及び照明手段31のY軸方向への位置調整が行われ、固定ハンドル33によるX軸ガイド35のY軸方向の位置固定によって、画像センサー30及び照明手段31のY軸方向への位置固定が行われる。図7には、画像センサー30の平面図を示している。図7に示すように、画像センサー30は、レンズ36と、サイドビューアタッチメント37と、X軸微調整部38と、Y軸微調整部39と、Z軸微調整部40とで主に構成されている。画像センサー30は、被印刷物の位置を検出するためのものであり、図8に示すように被印刷物42に予め形成されたアライメントマーク43を検出することにより、搬送方向及び搬送方向に対して直交する方向における被印刷物の位置を検出するようになっている。図示のアライメントマーク43は十字状のマークであるが、これに限定されない。
【0022】
また、図9に示すように、被印刷物42に予め形成されたアライメントマーク43用のアライメントマークパターンは、多色印刷時での版替え時におけるスクリーン版(刷版)44を有するスクリーン枠3の位置決め調整に用いられるようになっている。スクリーン枠3は、本体側に配置された調整可能な補助枠(図16及び図17において符号52で示す)内に配置されるようになっており、多色印刷時での版替え時におけるスクリーン枠間の位置ずれがないように補助枠と共に高精度に位置決め調整されるようになっている。この調整は、スクリーン版(刷版)44の近傍に配置されたレーザープロジェクター45からスクリーン版44上に投射されるX軸方向のラインパターン46及びY軸方向のラインパターン47をアライメントマーク43用のアライメントマークパターンと整合させることにより実現できるようになっている。レーザープロジェクター45は、ラインパターンをアライメントマーク用のアライメントマークパターンに整合させるために投射角度を調節できるようになっている。より具体的に述べると、図16及び図17に示すように、スクリーン版(刷版)44を有するスクリーン枠3が載置される補助枠52は、三箇所の受けボルトである第1受けボルト53、53、第2受けボルト54を有している。この第1受けボルト53、53及び第2受けボルト54により、スクリーン枠3が補助枠52に対して位置決めされて固定されるようになっている。また、補助枠52は、装置本体側のX軸アングル調整手段55、Y1軸アングル調整手段56及びY2軸アングル調整手段57によって所望の位置に調整可能となっている。また、補助枠52は、位置決めされた状態のスクリーン枠3を補助枠52に対して把持するクランプ58を複数有している。一方、レーザープロジェクター45は、図18及び図19に示すように、LMガイド59及びラックガイド60を介して装置本体側に配置されており、移動ピニオンギヤ63に連結された移動ツマミ61を用いてガイドに沿って移動でき、所望の位置で固定ツマミ62を用いて固定されることができる。また、レーザープロジェクター45は、X軸方向のラインパターン46用のプロジェクター64と、Y軸方向のラインパターン47用のプロジェクター65とを備えており、これらのプロジェクター64、65は、角度調整台66に角度調整可能に並列に配置され、角度固定ツマミ67を用いて所望の投射角度に固定されることができるようになっている。
【0023】
次に、上記実施の形態の動作について説明する。まず、印刷パターンとアライメントマークパターンとをもつ一色目印刷用のスクリーン版(刷版)44を有するスクリーン枠3を用いて第1版(初版)印刷(一色目印刷)を行う。被印刷物を積載する積載部(図示せず)から1枚ずつ供給された被印刷物は、印刷機1の上流側に配置された搬送部4の搬送ベルト14によってフィードボード16上で前縁端部が前見当部10に当接するまで搬送され、前縁端部が前見当部10に当接すると被印刷物の搬送方向の位置決めが行われて停止される(停止状態)。次に、この停止状態で、横見当部11によって、被印刷物の搬送方向に対して直行する方向への引き(又は押し)合わせで被印刷物の搬送方向に対して直行する方向の位置決めが行われる。印刷シリンダー2が回動して一色目印刷が行われる。また、この一色目印刷時において、レーザープロジェクター45からのX軸方向のラインパターン46及びY軸方向のラインパターン47が、アライメントマーク43を形成するためのアライメントマークパターンと整合され、レーザープロジェクター45のX軸方向のラインパターン46用のプロジェクター64及びY軸方向のラインパターン47用のプロジェクター65の投射角度がそれぞれ固定される(図9、図18、図19参照)。なお、この一色目印刷で、各被印刷物にアライメントマーク43(図8参照)が印刷され、この印刷されたアライメントマーク43を用いて最終工程まで位置合わせが行われる。アライメントマークパターンは、印刷パターンと共に各スクリーン版(刷版)に付されている。
【0024】
上述のように一色目印刷が完了したら、次に、二色目印刷の前準備工程として、一枚の別の新しい被印刷物を使用してダミー印刷による二色目印刷のアライメントマークの登録を行う。まず、一色目印刷用のスクリーン版(刷版)44を有するスクリーン枠3を二色目印刷用のスクリーン版(刷版)44を有するスクリーン枠3に交換する。そして、二色目印刷用のスクリーン版(刷版)44のアライメントマークパターンを、上記一色目印刷工程において位置固定されたレーザープロジェクター45から投射されたX軸方向のラインパターン46及びY軸方向のラインパターン47と整合するように、二色目印刷用のスクリーン版(刷版)44を有するスクリーン枠3を補助枠と共に位置決め調整される(図9、図16、図17等参照)。この調整により、多色印刷時での版替え時におけるスクリーン版間での位置ずれを防止することができ、もって多色印刷での印刷ずれを防止することができる。
【0025】
次に、この被印刷物(一枚のみ)を積載部(図示せず)に積載する。この積載された被印刷物は、積載部から印刷機1の上流側に配置された搬送部4の搬送ベルト14によってフィードボード16上で前縁端部が前見当部10に当接するまで搬送され、前縁端部が前見当部10に当接すると被印刷物の搬送方向の位置決めが行われて停止される(停止状態)(図10参照)。次に、この停止状態で、横見当部11によって、被印刷物の搬送方向に対して直行する方向への引き(又は押し)合わせで被印刷物の搬送方向に対して直行する方向の位置決めが行われる(図11参照)。その後、横見当部11を前見当部10と干渉しない位置に逃す(図11参照)。次に、バキューム手段19によって被印刷物の下面の少なくとも一部が吸着され、被印刷物はバキューム面20上で吸着固定される(吸着固定状態)(図12参照)。次に、バキューム面20上で吸着固定された被印刷物は、搬送方向とは逆方向(後退方向)にわずかに(例えば0.5乃至1mm程度)後退される(微小移動)(図12参照)。その後、被印刷物の先端部(前縁端部)をグリッパー8が把持し、これと同時に、バキューム手段19による吸着固定が解除され、印刷シリンダー2が回動してダミー印刷が行われる。すなわち、二色目用印刷パターンとアライメントマークとが被印刷物に印刷される(図8には便宜上アライメントマークのみが印刷された状態を示す)。そして、ダミー印刷が行われた被印刷物は、印刷機の下流側に配置された排紙部5の排出ベルト15によって乾燥装置(図示せず)に排出され、この乾燥装置によって乾燥される。
【0026】
乾燥が完了後、ダミー印刷が行われた被印刷物は、再度、積載部(図示せず)に積載され、この積載された被印刷物は、積載部から印刷機1の上流側に配置された搬送部4の搬送ベルト14によってフィードボード16上で前縁端部が前見当部10に当接するまで搬送され、前縁端部が前見当部10に当接すると被印刷物の搬送方向の位置決めが行われて停止される(停止状態)(図10参照)。次に、この停止状態で、横見当部11によって、被印刷物の搬送方向に対して直行する方向への引き(又は押し)合わせで被印刷物の搬送方向に対して直行する方向の位置決めが行われる(図11参照)。その後、横見当部11を干渉しない位置に逃す(図11参照)。次に、バキューム手段19によって被印刷物の下面の少なくとも一部が吸着され、被印刷物はバキューム面20上で吸着固定される(吸着固定状態)(図12参照)。次に、バキューム面20上で吸着固定された被印刷物は、搬送方向とは逆方向(後退方向)にわずかに(例えば1乃至2mm程度)後退される(微小移動)(図12参照)。その後、図14に示すように、矢印50で示す反時計方向に印刷シリンダー2を回動させて前見当部10を逃がすと共に、矢印51で示す方向に二色目印刷用のスクリーン版(刷版)を有するスクリーン枠を補助枠と共に刷り終わり位置へ移動させる。次に、画像センサー30がアライメントマークに合うように画像センサー30の位置を調整して(図13参照)、キャリブレーションを行い(図15参照)、このアライメントマークを二色目印刷用登録マークとして登録する。この登録は、画像センサー等に接続された図示しない制御手段によって行われる。
【0027】
上述のようにして二色目印刷用のアライメントマークをダミー印刷で登録した後、以下のようにして二色目印刷を行う。まず、二色目印刷用のスクリーン版(刷版)に付されたアライメントマークパターンをテープ等の適宜の手段によって塞ぐ。これにより、二色目印刷用のスクリーン版(刷版)に付されたアライメントマークパターンによるアライメントマークの印刷が一色目印刷が印刷された被印刷物に印刷されない。次に、一色目印刷が印刷された被印刷物を積載部(図示せず)に積載され、印刷機1の上流側に配置された搬送部4の搬送ベルト14によってフィードボード16上で前縁端部が前見当部10に当接するまで搬送され、前縁端部が前見当部10に当接すると被印刷物の搬送方向の位置決めが行われて停止される(停止状態)。次に、この停止状態で、横見当部11によって、被印刷物の搬送方向に対して直行する方向への引き(又は押し)合わせで被印刷物の搬送方向に対して直行する方向の位置決めが行われる。その後、横見当部11を干渉しない位置に逃す。次に、バキューム手段19によって被印刷物の下面の少なくとも一部が吸着され、被印刷物はバキューム面20上で吸着固定される(吸着固定状態)。次に、バキューム面20上で吸着固定された被印刷物は、搬送方向とは逆方向(後退方向)にわずかに(例えば0.5乃至1mm程度)後退される(微小移動)。次に、一色目印刷で印刷されたこの被印刷物のアライメントマークを二色目印刷用登録マークに整合させる。この整合工程によって、一色目の印刷と二色目の印刷とがずれが防止される。この整合工程後、被印刷物の先端部(前縁端部)をグリッパー8が把持し、これと同時に、バキューム手段19による吸着固定が解除され、印刷シリンダー2が回動して二色目印刷が行われる。
【0028】
また、三色印刷以降の工程は、上述の一枚の別の新しい被印刷物を使用してダミー印刷による二色目印刷のアライメントマークの登録(二色目印刷の前準備工程)及び二色目印刷工程(本印刷工程)を繰り返して行われる。
【0029】
なお、上記実施の形態では、前見当部10及び横見当部11によって搬送方向及び搬送方向に対して直行する方向の両方向の位置決め(すなわち被印刷物の前縁端部を基準とした位置決め)に加えて、上記被印刷物の前縁端部の端面仕上げに影響を受けない被印刷物の位置決めをできるようになっているが、これに限定されず、本発明は、上記被印刷物の前縁端部の端面仕上げに影響を受けない被印刷物の位置決めだけを可能とすることができるし、あるいは、切換モードを設けてこの切換モードで被印刷物の前縁端部を基準とした位置決めを行うか上記被印刷物の前縁端部の端面仕上げに影響を受けない被印刷物の位置決めを行うかを選択することができるようにすることも可能である。
【符号の説明】
【0030】
1 シリンダー型スクリーン印刷機
2 印刷シリンダー(印刷胴)
3 スクリーン枠
4 搬送部
5 排紙部
6 中心軸
7 凹部
8 グリッパー
9 爪当て金
10 前見当部
11 横見当部
12 スキージ
13 スクレイパー
14 搬送ベルト
15 排出ベルト
16 フィードボード
17 前見当センサー
18 横見当部ユニット
19 バキューム手段
20 バキューム面
21 筐体
22 バキュームホース
23 ベースプレート
25 Xアライメントモジュール
26 Y1アライメントモジュール
27 Y2アライメントモジュール
28 押さえコロ
29 ブラシコロ
30 画像センサー
31 照明手段
32 調整ハンドル
33 固定ハンドル
34 Y軸ガイド
35 X軸ガイド
36 レンズ
37 サイドビューアタッチメント
38 X軸微調整部
39 Y軸微調整部
40 Z軸微調整部
42 被印刷物
43 アライメントマーク
44 スクリーン版(刷版)
45 レーザープロジェクター
46 X軸方向のラインパターン
47 Y軸方向のラインパターン
50 矢印
51 矢印
52 補助枠
53 第1受けボルト
54 第2受けボルト
55 X軸アングル調整手段
56 Y1軸アングル調整手段
57 Y2軸アングル調整手段
58 クランプ
59 LMガイド
60 ラックガイド
61 移動ツマミ
62 固定ツマミ
63 移動ピニオンギヤ
64 プロジェクター
65 プロジェクター
66 角度調整台
67 角度固定ツマミ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被印刷物を二色以上の多色印刷する、印刷シリンダー及び刷版を有するシリンダー型スクリーン印刷機であって、
前記シリンダー型スクリーン印刷機は、前記印刷シリンダーの上流側に、
被印刷物の位置決めをするための複数軸のアクチュエーターで駆動するアライメントステージと、
前記アライメントステージに取り付けられた、被印刷物の下面の少なくとも一部を吸着するためのバキューム手段と、
被印刷物の位置を検出するための画像センサーとを備え、
被印刷物には、アライメントマークが一色目印刷時において印刷されるようになっており、前記画像センサーが、二色目以降の各刷版において刷版位置を基準として登録された登録マークを、一色目印刷時において被印刷物に印刷された前記アライメントマークと整合させて被印刷物の位置決めを行うことにより、二色目以降の各印刷が行われることを特徴とするシリンダー型スクリーン印刷機。
【請求項2】
請求項1記載のシリンダー型スクリーン印刷機において、
前記バキューム手段は、被印刷物の下面の少なくとも一部を吸着する、複数の穴が形成されたバキューム面を有することを特徴とするシリンダー型スクリーン印刷機。
【請求項3】
請求項1叉は2に記載のシリンダー型スクリーン印刷機において、
前記位置決めは、被印刷物がバキューム面上で吸着固定された状態で行われることを特徴とするシリンダー型スクリーン印刷機。
【請求項4】
請求項1乃至3のうちのいずれか一つに記載のシリンダー型スクリーン印刷機において、
前記シリンダー型スクリーン印刷機は、前見当部及び横見当部を有し、前見当部及び横見当部による被印刷物の前縁端部を基準とした位置決めを行う印刷機であることを特徴とするシリンダー型スクリーン印刷機。
【請求項5】
請求項1乃至4のうちのいずれか一つのシリンダー型スクリーン印刷機を用いて被印刷物の位置決めを行って印刷することを特徴とする印刷方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−131203(P2012−131203A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−287372(P2010−287372)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(392021344)株式会社桜井グラフィックシステムズ (15)
【Fターム(参考)】