説明

シロキサン−エーテルイミドコポリマーのプリントヘッドコーティング

【課題】プリントヘッドのフロント面の汚染を最小限に抑える。
【解決手段】複数のチャンネルを含むインクジェットプリントヘッドにおいて、該チャンネルは、インク供給物からのインクで満たされることができ、プリントヘッドの1つの表面上にあるノズルに終止し、この表面が、シロキサン−エーテルイミドコポリマーおよびフッ素化非イオン性界面活性剤を含むコーティング組成物26でコーティングされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書において、シロキサン−エーテルイミドコポリマーのフロント面コーティングを有するインクジェットプリントヘッドを開示する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットシステムが直面している問題の1つは、プリントヘッドのフロント面上でのインクの濡れ、垂れ落ち、または浸りである。プリントヘッドのフロント面のこうした汚染は、インクジェットノズルおよびチャンネルのブロッキングを生じる、またはそれらに寄与する場合があり、そのブロッキングは単独で、または濡れ、汚染されたフロント面と組み合わさって、液滴の未供給または欠落、小型化またはそうでなければ誤寸法の液滴、サテライト、または記録媒体上での液滴の誤指向を生じ得るまたはそれらに寄与し得るので、結果としてプリント品質を劣化させる。
【0003】
現在のプリントヘッドのフロント面コーティングは、スパッタリングされたポリテトラフルオロエチレンコーティングであることが多い。プリントヘッドが傾斜している場合、一部のインクは、プリントヘッドフロント面の表面において、容易に滑らない。さらに、これらのインクは、プリントヘッドフロント面に沿って流れ、プリントヘッド上にインクフィルムまたは残渣を残し、噴出の妨げになり得る。こうした理由から、UVおよび固体インクプリントヘッドのフロント面は、UVおよび固体インクによる汚染を受け易い。
【0004】
特定の場合に、汚染されたプリントヘッドは、メンテナンスユニットを用いて一新または洗浄され得る。しかし、こうした手法は、システムの複雑性、ハードウェアのコスト、および時として信頼性の問題を導く。プリントヘッドの汚染はまた、パージング手順を採用することによって幾分最小限に抑えられ得る。しかし、これらの手順は、時間を消費し、過剰量のインクを使用し得る。
【0005】
相変化インクおよびUV硬化性ゲルインクのようなインクの場合、プリントヘッドフロント面の汚染はまた、疎油性の低接着性フロント面コーティングを提供することによって最小限に抑えられることができ、このコーティングは、プリントヘッドのノズル開口部から放出されるインクによってあまり濡れない。しかし、プリントヘッド製作プロセスの間に通常遭遇する温度まで加熱される場合、既知である疎油性の低接着性コーティングに特徴的な表面特性は、それらがプリントヘッドのフロント面の汚染を最小限に抑えるために頼ることができない程度まで劣化する。
【0006】
プリントヘッドフロント面にわたる、UVまたは固体インクを含むインクの濡れ、垂れ落ち、浸り、または汚染を低減または解消する改善されたプリントヘッドフロント面設計が必要とされ続けている。加えて、疎インク性であり、プリントヘッドフロント面の拭き取りのようなメンテナンス手順に耐えるためのロバスト性を有する改善されたプリントヘッドのフロント面設計が必要とされ続けている。さらに、容易に洗浄される、または場合によっては自己洗浄性であり、それによってハードウェアの複雑性、例えばメンテナンスユニットの必要性を低減または解消し、操業コストを削減し、システムの信頼性を改善する、改善されたプリントヘッドが必要とされ続けている。さらに、優れた洗浄性および多くの場合は自己洗浄性特性を可能にしつつ、プリントヘッド製作中に遭遇する温度および圧力条件と、プリンタ操作中に遭遇する温度条件との両方において、劣化せずに耐えるのに十分ロバスト性でもある、プリントヘッドフロント面をコーティングするための材料が必要とされている。改善された引掻耐性特性を示すプリントヘッドのフロント面コーティングも必要とされている。加えて、様々な化学環境に対して改善された化学耐性を示すプリントヘッドのフロント面コーティングが必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本明細書において、複数のチャンネルを含むインクジェットプリントヘッドが開示され、ここでチャンネルは、インク供給物からのインクで満たされることができ、ここでチャンネルは、プリントヘッドの1つの表面上にあるノズルに終止し、この表面が、(a)シロキサン−エーテルイミドコポリマー;および(b)フッ素化非イオン性界面活性剤を含むコーティング組成物でコーティングされている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本明細書に開示される一部の実施形態に従うインクジェットプリントヘッドの断面図である。
【図2】図2は、1つの実施形態に従う図2に示されるインクジェットプリントヘッドを形成するプロセスを例示したものである。
【図3】図3は、1つの実施形態に従う図2に示されるインクジェットプリントヘッドを形成するプロセスを例示したものである。
【図4】図4は、1つの実施形態に従う図2に示されるインクジェットプリントヘッドを形成するプロセスを例示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書では、インクジェットプリントヘッドのフロント面のための疎水性および疎油性の低接着性表面コーティングが開示される。コーティングがインクジェットプリントヘッドのフロント面の表面に配置される場合、紫外線(UV)ゲルインク(本明細書では「UVインク」とも称される)および固体インクを含むインクの噴出された液滴は、表面コーティングに対して低接着性を示す。表面に対するインク液滴の接着性は、インク液滴のスライディング角度(すなわち、インク液滴が残渣を残すことも、染みを残すこともなく、表面にわたって滑り始めるときの、表面が水平位置に対して傾いた角度)を測定することによって明らかにすることができる。スライディング角度が小さくなるにつれて、インク液滴と表面との間の接着性が小さくなる。本明細書に使用される場合、「低接着性」という用語は、実施形態の1つでは少なくとも1°、実施形態の1つでは30°以下、別の実施形態では25°以下、さらに別の実施形態では20°以下の小さいスライディング角度を意味する。
【0010】
本明細書で使用される場合、「疎水性」という用語は、水が、少なくとも80°、多くの実施形態では90°以上のより大きな角度でコーティングの表面との接触角を形成することを意味する。本明細書で使用される場合、「疎油性」という用語は、ヘキサデカンが、少なくとも50°、多くの実施形態では60°以上のより大きな角度でコーティングの表面との接触角を形成することを意味する。
【0011】
本明細書に開示されるコーティングは、シロキサン−エーテルイミドコポリマーを含む。より詳細には、ポリマーは、シロキサン、エーテルおよびイミドのコポリマー、またはシロキサンおよびエーテルイミドのコポリマー(ブロック、交互および/またはランダムコポリマーを含む)、例えば式
【化1】

のコポリマーであり、式中、
(i)RおよびRは、それぞれ互いに独立に、(A)線状、分岐状、飽和、不飽和、環状、置換および非置換アルキレンを含むアルキレンであって、ここでヘテロ原子、例えば酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リン、ホウ素などは、種々の実施形態では少なくとも1個、2個または3個の炭素、種々の実施形態では18個、16個、または12個以下の炭素を有するアルキレンに存在してもよく、または存在しなくてもよいのいずれかであるアルキレン;(B)置換および非置換アリーレンを含むアリーレンであって、ここでヘテロ原子、例えば酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リン、ホウ素などは、種々の実施形態では少なくとも5個または6個の炭素、種々の実施形態では36個、28個、または24個以下の炭素を有するアリーレンに存在してもよく、または存在しなくてもよいのいずれかであるアリーレン、例えばフェニレンなど;(C)置換および非置換アリールアルキレンを含むアリールアルキレンであって、ここでアリールアルキレンのアルキル部分は、線状、分岐状、飽和、不飽和および/または環状であることができ、ここでヘテロ原子、例えば酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リン、ホウ素などは、種々の実施形態では少なくとも6個または7個の炭素、種々の実施形態では36個、28個、または24個以下の炭素を有するアリールアルキレンのアルキル部分およびアリール部分のいずれかまたは両方に存在してもよく、または存在しなくてもよいのいずれかであるアリールアルキレン、例えばベンジレンなど;あるいは(D)置換および非置換アルキルアリーレンを含むアルキルアリーレンであって、ここでアルキルアリーレンのアルキル部分は、線状、分岐状、飽和、不飽和および/または環状であることができ、ここでヘテロ原子、例えば酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リン、ホウ素などは、種々の実施形態では少なくとも6個または7個の炭素、種々の実施形態では36個、28個、または24個以下の炭素を有するアルキルアリーレンのアルキル部分およびアリール部分のいずれかまたは両方に存在してもよく、または存在しなくてもよいのいずれかであるアルキルアリーレン、例えばトリレンなどであり;
(ii)R、R、およびR、およびRは、それぞれ互いに独立に、(A)水素;(B)線状、分岐状、飽和、不飽和、環状、置換および非置換アルキルを含むアルキルであって、ここでヘテロ原子、例えば酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リン、ホウ素などは、種々の実施形態では少なくとも1個、2個または3個の炭素、種々の実施形態では18個、16個、または12個以下の炭素を有するアルキルに存在してもよく、または存在しなくてもよいのいずれかであるアルキル;(C)置換および非置換アリールを含むアリールであって、ここでヘテロ原子、例えば酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リン、ホウ素などは、種々の実施形態では少なくとも5個または6個の炭素、種々の実施形態では36個、28個、または24個以下の炭素を有するアリールに存在してもよく、または存在しなくてもよいのいずれかであるアリール、例えばフェニルなど;(D)置換および非置換アリールアルキルを含むアリールアルキルであって、ここでアリールアルキルのアルキル部分が、線状、分岐状、飽和、不飽和および/または環状であることができ、ここでヘテロ原子、例えば酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リン、ホウ素などは、種々の実施形態では少なくとも6個または7個の炭素、種々の実施形態では36個、28個、または24個以下の炭素を有するアリールアルキルのアルキル部分およびアリール部分に存在してもよく、または存在しなくてもよいのいずれかであるアリールアルキル、例えばベンジルなど;あるいは(E)置換および非置換アルキルアリールを含むアルキルアリールであって、ここでアルキルアリールのアルキル部分が、線状、分岐状、飽和、不飽和および/または環状であることができ、ここでヘテロ原子、例えば酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リン、ホウ素などは、種々の実施形態では少なくとも6個または7個の炭素、種々の実施形態では36個、28個、または24個以下の炭素を有するアルキルアリールのアルキル部分およびアリール部分に存在してもよく、または存在しなくてもよいのいずれかであるアルキルアリール、例えばトリルなどであり;
(iii)RおよびR’は、それぞれ互いに独立に、(A)置換および非置換アリーレンを含むアリーレンであって、ここでヘテロ原子、例えば酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リン、ホウ素などは、種々の実施形態では少なくとも5個または6個の炭素、種々の実施形態では36個、28個、または24個以下の炭素を有するアリーレンに存在してもよく、または存在しなくてもよいのいずれかであるアリーレン、例えばフェニレンなど;(B)置換および非置換アリールアルキレンを含むアリールアルキレンであって、ここでアリールアルキレンのアルキル部分は、線状、分岐状、飽和、不飽和、および/または環状であることができ、ここでヘテロ原子、例えば酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リン、ホウ素などは、種々の実施形態では少なくとも6個または7個の炭素、種々の実施形態では36個、28個、または24個以下の炭素を有するアリールアルキレンのアルキル部分およびアリール部分のいずれかまたは両方に存在してもよく、または存在しなくてもよいのいずれかであるアリールアルキレン、例えばベンジレンなど;あるいは(C)置換および非置換アルキルアリーレンを含むアルキルアリーレンであって、ここでアルキルアリーレンのアルキル部分は、線状、分岐状、飽和、不飽和、および/または環状であることができ、ここでヘテロ原子、例えば酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リン、ホウ素などは、種々の実施形態では少なくとも6個または7個の炭素、種々の実施形態では36個、28個、または24個以下の炭素を有するアルキルアリーレンのアルキル部分およびアリール部分のいずれかまたは両方に存在してもよく、または存在しなくてもよいのいずれかであるアルキルアリーレン、例えばトリレンなどであり;
(iv)RおよびRは、それぞれ互いに独立に:(A)線状、分岐状、飽和、不飽和、環状、置換および非置換アルキレンを含むアルキレンであって、ここでヘテロ原子、例えば酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リン、ホウ素などは、種々の実施形態では少なくとも1個、2個または3個の炭素、種々の実施形態では18個、16個、または12個以下の炭素を有するアルキレンに存在してもよく、または存在しなくてもよいのいずれかであるアルキレン;(B)置換および非置換アリーレンを含むアリーレンであって、ここでヘテロ原子、例えば酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リン、ホウ素などは、種々の実施形態では少なくとも5個または6個の炭素、種々の実施形態では36個、28個、または24個以下の炭素を有するアリーレンに存在してもよく、または存在しなくてもよいのいずれかであるアリーレン、例えばフェニレンなど;(C)置換および非置換アリールアルキレンを含むアリールアルキレンであって、ここでアリールアルキレンのアルキル部分は、線状、分岐状、飽和、不飽和および/または環状であることができ、ここでヘテロ原子、例えば酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リン、ホウ素などは、種々の実施形態では少なくとも6個または7個の炭素、種々の実施形態では36個、28個、または24個以下の炭素を有するアリールアルキレンのアルキル部分およびアリール部分のいずれかまたは両方に存在してもよく、または存在しなくてもよいのいずれかであるアリールアルキレン、例えばベンジレンなど;あるいは(D)置換および非置換アルキルアリーレンを含むアルキルアリーレンであって、ここでアルキルアリーレンのアルキル部分は、線状、分岐状、飽和、不飽和および/または環状であることができ、ここでヘテロ原子、例えば酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リン、ホウ素などは、種々の実施形態では少なくとも6個または7個の炭素、種々の実施形態では36個、28個、または24個以下の炭素を有するアルキルアリーレンのアルキル部分およびアリール部分のいずれかまたは両方に存在してもよく、または存在しなくてもよいのいずれかであるアルキルアリーレン、例えばトリレンなどであり;
(v)Xが、−O−または式−O−R10−O−の基であり、ここでR10は:(A)置換および非置換アリーレンを含むアリーレンであって、ここでヘテロ原子、例えば酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リン、ホウ素などは、種々の実施形態では少なくとも5個または6個の炭素、種々の実施形態では36個、28個、または24個以下の炭素を有するアリーレンに存在してもよく、または存在しなくてもよいのいずれかであるアリーレン、例えばフェニレンなど;(B)置換および非置換アリールアルキレンを含むアリールアルキレンであって、ここでアリールアルキレンのアルキル部分は、線状、分岐状、飽和、不飽和、および/または環状であることができ、ここでヘテロ原子、例えば酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リン、ホウ素などは、種々の実施形態では少なくとも6個または7個の炭素、種々の実施形態では36個、28個、または24個以下の炭素を有するアリールアルキレンのアルキル部分およびアリール部分のいずれかまたは両方に存在してもよく、または存在しなくてもよいのいずれかであるアリールアルキレン、例えばベンジレンなど;あるいは(C)置換および非置換アルキルアリーレンを含むアルキルアリーレンであって、ここでアルキルアリーレンのアルキル部分は、線状、分岐状、飽和、不飽和、および/または環状であることができ、ここでヘテロ原子、例えば酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リン、ホウ素などは、種々の実施形態では少なくとも6個または7個の炭素、種々の実施形態では36個、28個、または24個以下の炭素を有するアルキルアリーレンのアルキル部分およびアリール部分のいずれかまたは両方に存在してもよく、または存在しなくてもよいのいずれかであるアルキルアリーレン、例えばトリレンなどであり;
(vi)xは、繰り返しシロキサンユニットの数を表す整数であり、種々の実施形態では少なくとも1、2、または4、種々の実施形態では100,000、80,000、または50,000以下であり;
(vii)yは、繰り返しイミドユニットの数を表す整数であり、種々の実施形態では少なくとも5、10、または15、種々の実施形態では100,000、80,000、または50,000以下であり;
(viii)zは、繰り返しエーテルユニットの数を表す整数であり、種々の実施形態では少なくとも5、10、または15、種々の実施形態では100,000、80,000、または50,000以下であり;
(ix)wは、繰り返しエーテルイミドユニットの数を表す整数であり、種々の実施形態では少なくとも5、10、または15、種々の実施形態では100,000、80,000、または50,000以下であり;
(x)nは、−O−Si−繰り返しユニットの数を表す整数であり、実施形態の1つでは少なくとも1、実施形態の1つでは30以下であり;
ここで、置換されたアルキル、アルキレン、アリール、アリーレン、アリールアルキル、アリールアルキレン、アルキルアリール、およびアルキルアリーレン基上の置換基の例は、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、アミン基、イミン基、アンモニウム基、シアノ基、ピリジン基、ピリジニウム基、エーテル基、アルデヒド基、ケトン基、エステル基、アミド基、カルボニル基、チオカルボニル基、スルフェート基、スルホネート基、スルホン酸基、スルフィド基、スルホキシド基、ホスフィン基、ホスホニウム基、ホスフェート基、ニトリル基、メルカプト基、ニトロ基、ニトロソ基、スルホン基、アシル基、酸無水物基、アジド基、アゾ基、シアナト基、イソシアナト基、チオシアナト基、イソチオシアナト基、カルボキシレート基、カルボン酸基、ウレタン基、尿素基、シリル基、シロキシル基、シラン基、これらの混合物などであることができ、ここで2つ以上の置換基は共に接合して環を形成できる。
【0012】
コポリマーは、ランダム、交互、ブロック、グラフトなどを含むいずれかの種類のコポリマーであることができる。
【0013】
ポリシロキサンモノマーとエーテルイミドモノマーとのいずれかの所望のまたは有効な比は、種々の実施形態では、0.1:0.9、0.2:0.8、0.3:0.7または0.5:0.5で使用できる。1つの特定実施形態では、コポリマーのシロキサン含有量は、少なくとも20重量%であり、1つの特定の実施形態ではコポリマーのシロキサン含有量は、40重量%以下である。1つの特定実施形態では、コポリマーのシロキサン含有量は30重量%である。
【0014】
1つの特定実施形態では、R、R、R、およびRはすべてメチルである。1つの特定実施形態では、RおよびRはn−プロピレンである。
【0015】
1つの特定実施形態では、
【化2】

である。
別の特定実施形態では、
【化3】

である。
別の特定実施形態では、
【化4】

である。
別の特定実施形態では、
【化5】

である。
別の特定実施形態では、
【化6】

である。
−R10−の他の特定例としては、これらに限定されないが、
【化7】

など、ならびにこれらのハロゲン化誘導体が挙げられ、式中、Qは二価部分、例えば(これらに限定されないが)、−O−、−S−、−C(=O)−、−SO−、−SO−、またはC2aであり、式中、aは1〜20の整数である。
【0016】
1つの特定実施形態では、
【化8】

である。
【0017】
好適なシロキサン−エーテルイミドコポリマーとしては、SABICから入手可能なSILTEM(登録商標)1600樹脂および同様の市販製品が挙げられる。これらのコポリマーおよびそれらの中間前駆体の合成は、当該技術分野において既知であり、例えば米国特許公開2009/0234060および米国特許公開2010/0147548および米国特許第3,185,719号明細書、米国特許第4,808,686号明細書、米国特許第3,972,902号明細書、米国特許第4,455,410号明細書、米国特許第3,847,867号明細書、米国特許第3,850,885号明細書、米国特許第3,852,242号明細書、米国特許第3,855,178号明細書、米国特許第3,983,093号明細書、および米国特許第4,443,591号明細書に記載されている。
【0018】
コポリマーは、種々の実施形態では少なくとも2,000、4,000、または5,000、種々の実施形態では1,000,000以下、800,000以下、または500,000以下の重量平均分子量を有する。
【0019】
コポリマーは、種々の実施形態では少なくとも2,000、4,000、または5,000、種々の実施形態では1,000,000以下、800,000以下または500,000以下の数平均分子量を有する。
【0020】
コポリマーは、種々の実施形態では、少なくとも100℃、120℃、または140℃、種々の実施形態では450℃、425℃または400℃以下のガラス転移温度を示す。
【0021】
コポリマーは、種々の実施形態では少なくとも25、45または60のShoreD硬度値を示す。
【0022】
コポリマーは、種々の実施形態では少なくとも15mPa、20mPaまたは30mPaの降伏点引張強度値を示す。
【0023】
コポリマーは、種々の実施形態では少なくとも1%、3%、または5%、種々の実施形態では300%以下、200%以下または100%以下の降伏点伸び値を示す。
【0024】
コーティングはまた、表面張力を低下させるためにフッ素化非イオン性界面活性剤を含む。好適な界面活性剤の例としては、ペルフルオロアルキルスルホネート、ペルフルオロアルキルカルボキシレート、ペルフルオロアルキルリン酸エステル、ペルフルオロアルキルエチレンオキシド付加体、ペルフルオロアルキルベタイン、ペルフルオロアルキルポリオキシエチレンエタノール、フッ素化アルキルエステル、ペルフルオロアルキルアミンオキシド、フッ素化オルガノシロキサンなど、ならびにこれらの混合物が挙げられる。好適な市販のフッ素化非イオン性界面活性剤の例としては、3MからのFLUORADシリーズの界面活性剤、例えばFC−4432、FC−4434、およびFC−4430が挙げられる。
【0025】
フッ素化非イオン性界面活性剤は、いずれかの所望のまたは有効な量において、種々の実施形態ではコーティングの少なくとも0.0001重量%、0.001重量%または0.01重量%、種々の実施形態ではコーティングの20重量%、10重量%または5重量%で、コーティングに存在する。
【0026】
本明細書に開示されるコーティングは、水性インク、溶媒インク、UV−硬化性インク、染料昇華インク、固体相変化インクなどを含むいずれかの好適なインクを放出するように構成されたインクジェットプリントヘッドのための、プリントヘッドのフロント面コーティングとして使用できる。本明細書に開示される疎油性の低接着性コーティングを用いて使用するのに好適な例示的インクジェットプリントヘッドを図1に記載する。
【0027】
図1を参照すれば、1つの実施形態に従うインクジェットプリントヘッド20は、支持ブレース22、この支持ブレース22に接着したノズルプレート24、および疎油性の低接着性コーティング、例えば疎油性の低接着性コーティング26を含む。
【0028】
支持ブレース22は、いずれかの好適な材料、例えばステンレス鋼などから形成され、ここで規定されるアパーチャ22aを含む。アパーチャ22aは、インク源(図示せず)と連通する。ノズルプレート24は、いずれかの好適な材料、例えばポリイミドなどから形成され、ここで規定されるノズル24aを含む。ノズル24aは、アパーチャ22aを介してインク源と連通し、こうしてインク源からのインクが、ノズル24aを通って記録基材上にプリントヘッド20から噴出可能となる。
【0029】
例示される実施形態では、ノズルプレート24は、介在する接着剤材料28によって支持ブレースに結合される。接着剤材料28は、熱可塑性接着剤として提供されることができ、この接着剤は、ノズルプレート24を支持ブレース22と結合させるための結合プロセス中に溶融し得る。ノズルプレート24および疎油性の低接着性コーティング26も、この結合プロセス中に加熱されることができる。熱可塑性接着剤が形成される材料に依存して、結合温度は、180℃〜325℃の範囲であることができる。
【0030】
従来の疎油性の低接着性コーティングは、典型的な結合プロセス中に遭遇する温度またはインクジェットプリントヘッドの製作中に遭遇する他の高温、高圧プロセスに曝された場合に劣化する傾向がある。しかし、本明細書に開示される疎油性の低接着性コーティング26は、結合温度に加熱された後に、十分低い接着性(小さいスライディング角度によって示される)、およびインクに対する高い接触角を示し、これにより高い垂れ落ち圧力を有する自己洗浄性の汚染のないインクジェットプリントヘッド20を得ることができる。所望の表面特性が実質的な劣化に抵抗できる疎油性の低接着性コーティング26の能力(高温に曝された場合の小さいスライディング角度および高い接触角を含む)により、高い垂れ落ち圧力を維持しながら、自己洗浄能を有するインクジェットプリントヘッドが、高温および高圧プロセスを用いて製作できるようになる。インクジェットプリントヘッドを形成する例示的プロセスは、図1から図4に関して記載される。
【0031】
図2を参照すると、インクジェットプリントヘッド、例えばプリントヘッド20は、疎油性の低接着性コーティング、例えばコーティング26を基材32上に形成することによって形成できる。基材32は、いずれかの好適な材料、例えばポリイミドなどで形成され得る。
【0032】
実施形態の1つでは、疎油性の低接着性コーティング26は、上記で記載されるように、モノマー混合物、例えばSILTEM1600、フッ素化非イオン性界面活性剤、および好適な溶媒、例えばN−メチルピロリジノン、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフランなど、ならびにこれらの混合物を含む反応体混合物を最初に塗布することによって、基材32上に形成してもよい。反応体混合物が基材32に塗布された後、反応体は共に反応され、疎油性の低接着性コーティング26を形成する。反応体は、反応体混合物を硬化させることによって共に反応させることができる。反応体混合物は、まず、種々の実施形態では少なくとも25℃、50℃、または75℃、種々の実施形態では400℃以下、300℃以下または200℃以下の温度において、種々の実施形態では少なくとも1分間、5分間または10分間硬化させ、続いて、種々の実施形態では少なくとも100℃、120℃、または150℃、種々の実施形態では500℃以下、450℃以下、または400℃以下にて、種々の実施形態では少なくとも1分間、5分間または10分間、種々の実施形態では24時間以下、12時間以下、または10時間以下で高温ポストキュアさせる。
【0033】
反応体混合物は、いずれかの好適な方法、例えばダイ押出成形コーティング、浸漬コーティング、スプレーコーティング、スピンコーティング、フローコーティング、スタンプ印刷、ブレード技術などを用いて、基材32に塗布できる。空気噴霧化デバイス、例えば空気ブラシまたは自動化空気/液体スプレーが使用されて、反応体混合物をスプレーするために使用できる。空気噴霧化デバイスは、均一パターンにて移動し、基材32の表面を、均一(または実質的に均一)な量の反応体混合物で覆う自動化往復機に載置できる。ドクターブレードの使用は、反応体混合物を塗布するために使用できる別の技術である。フローコーティングにおいて、プログラム可能な分配器を使用して、反応体混合物を塗布する。
【0034】
さらに別の実施形態では、疎油性の低接着性コーティング26はまず、シートに硬化させることができ、次いでいずれかの所望のまたは好適な接着剤材料を用いて基材32に塗布および接着できる。この方法についてのさらなる詳細は、例えば米国特許公開2011/0157278および米国特許公開2011/0228005に開示されている。
【0035】
図3を参照すれば、基材32は、接着剤材料28を介してアパーチャブレース22に接着され、図4に示される構造をもたらす。1つの実施形態では、接着剤材料28は、基材32に接着させる前に、アパーチャブレース22に接着される。別の実施形態では、接着剤材料28は、アパーチャブレース22に接着される前に、基材32に接着される。さらに別の実施形態では、接着剤材料28は、基材32およびアパーチャブレース22に同時に接着される。
【0036】
接着剤材料28を熱可塑性接着剤として得る実施形態では、接着剤材料28は、熱可塑性接着剤を接着温度および接着圧力にて溶融させ、疎油性の低接着性コーティング26を、接着温度および接着圧力に供することによって、基材32およびアパーチャブレース22に接着させる。接着温度は、1つの実施形態では少なくとも180℃、種々の実施形態では325℃以下または290℃以下である。接着圧力は、1つの実施形態では少なくとも100psi、種々の実施形態では400psi以下または300psi以下である。
【0037】
基材32をアパーチャブレース22に接着させた後、アパーチャブレース22は、図1に示されるように、アパーチャ22aを接着剤材料28にまで延ばすための1つ以上のパターニングプロセスの間のマスクとして使用できる。アパーチャブレース22はまた、図1に示されるように、基材32にノズル24aを形成することによって、ノズルプレート24を形成するための1つ以上のパターニングプロセスの間のマスクとしても使用できる。ノズル24aを形成するために使用される1つ以上のパターニングプロセスはまた、疎油性の低接着性コーティング26内のノズル開口部26aを形成するために適用でき、このノズル開口部26aはノズル24aと連通する。1つの実施形態では、アパーチャ22aは、レーザーアブレーションのパターニングプロセスなどによって接着剤材料28にまで延ばすことができる。1つの実施形態では、ノズル24aおよびノズル開口部26aは、レーザーアブレーションのパターニングプロセスなどによって、それぞれ基材32および疎油性の低接着性コーティング26に形成できる。
【0038】
本明細書に開示されるフロント面コーティングは、プリントヘッド製作条件およびプリンタ操作条件下にて熱的に安定である。フロント面コーティングは、1つの実施形態では少なくとも180℃、種々の実施形態では325℃以下または290℃以下の温度、1つの実施形態では少なくとも100psi、種々の実施形態では400psi以下または300psi以下の圧力に、種々の実施形態では少なくとも10分間または30分間、1つの実施形態では2時間以下の期間供された後に、疎油性特徴を示す。表面コーティングは、劣化することなく、高温および高圧にて、ステンレス鋼のアパーチャブレースに接着でき、得られたプリントヘッドは、インク液滴がプリントヘッドのフロント面を転がり落ちることができ、残渣を残さないので、インクの汚染を防止できる。
【0039】
疎油性の低接着性表面コーティングは、紫外線ゲルインクの噴出された液滴または固体インクの噴出された液滴が、種々の実施形態では少なくとも45°、55°または65°、1つの実施形態では150°以下の接触角を示すように構成された疎油性の低接着性ポリマー材料を含む。
【0040】
インクがプリントヘッドを満たしたら、インクを放出するときまで、ノズル内でインクを維持するのが望ましい。一般に、インク接触角が大きくなるにつれて、垂れ落ち圧力が良好になる(高くなる)。垂れ落ち圧力は、インク槽(受容器)の圧力が増大した場合に、アパーチャプレートの、ノズル開口部からのインク滲出を避ける能力に関する。一部の実施形態では、本明細書に記載される疎油性の低接着性表面コーティングは、紫外線硬化性ゲルインクおよび固体インクに関して低い接着性と高い接触角とを組み合わせて提供し、さらに改善された垂れ落ち圧力、あるいはノズルからのインクの滲出の低減または解消という利益を提供する。
【0041】
本明細書に開示されるコーティングは、種々の実施形態では、センチメートルあたり少なくとも0.1dyne、0.5dyneまたは1dyne、種々の実施形態ではセンチメートルあたり100dyne以下、80dyne以下、または60dyne以下の表面エネルギーを有する。
【0042】
本明細書に開示されるコーティングは、種々の実施形態では少なくとも60°、80°、または90°の水接触角を示す。
【実施例】
【0043】
(実施例I)
シロキサン−エーテルイミドコポリマー樹脂(SILTEM(登録商標)1600、28g、SABICから得られる)を、N−メチルピロリジノン溶媒(260g)に溶解させた。透明な琥珀色溶液を得た後、非イオン性フルオロ界面活性剤(FLUORAD FC−4432,3Mから得られた、0.056g)を溶液に添加した。
【0044】
こうして得られた溶液を、0.25−milのバードバーによって、UPILEXポリイミドフィルムに適用した。コーティングを、まず110℃にて30分間、次いで190℃で45分間、最後に250℃で30分間乾燥させた。硬化したフィルムは、非常に平滑な表面を有していた。硬化したフィルムの水接触角は108.4°であり、ホルムアミド接触角は95.6°であり、表面エネルギーは12.3dyne/cmであった。
【0045】
図1から図4に例示されるように、このフィルムを疎油性の低接着性コーティング26としてプリントヘッドのノズルプレートに適用することにより、一部の実施形態では、プリントヘッドのフロント面にわたるインクの濡れ、垂れ落ち、浸りまたは汚染の低減または解消、疎インク性、およびメンテナンス手順、例えばプリントヘッドのフロント面の拭き取りに耐えるためのロバスト性、洗浄容易性、または場合によっては自己洗浄特性、それによるハードウェアの複雑性、例えばメンテナンスユニットの必要性の低減または解消、操作コストの削減、システム信頼性の改善、プリントヘッド製作中に遭遇する温度条件および圧力条件と、プリンタ操作中に遭遇する温度条件との両方に劣化せず耐えるのに十分なロバスト性、改善された引掻耐性特性、および変動する化学環境に対する改善された化学耐性のような利点を示すプリントヘッドをもたらすと考えられる。
【0046】
(実施例II)
アミン末端処理されたポリ(ジメチルシロキサン)(GP−965、Genesee Polymers Corporationから入手可能)25gおよび4,4’−オキシジアニリン10gを、450mLのN−メチルピロリジノン溶媒中に溶解させる。機械的撹拌を行いながら、流動窒素ガスの下で、ピロメリット酸二無水物21.8gを徐々に添加する。混合物を30分かけて室温で混合し、次いで2時間かけて徐々に80℃まで加熱し、その後この温度で1.5時間維持する。続いて室温まで冷却後、粘稠な褐色溶液を得る。
【化9】

【0047】
次いでSILTEM(登録商標)1600を、こうして得られた等量の溶液と置き換えること以外、実施例Iのプロセスを繰り返す。同様の結果が得られると考えられる。
【0048】
(実施例III)
アミン末端処理されたポリ(ジメチルシロキサン)(GP−468、Genesee Polymers Corporationから入手可能)67gおよび4,4’−オキシジアニリン10gを、600mLのN−メチルピロリジノン溶媒中に溶解させる。機械的に撹拌しながら、流動窒素の下で、ベンゾフェノン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物32.2gを徐々に添加する。混合物を30分かけて室温で混合し、次いで2時間かけて徐々に80℃まで加熱し、その後この温度で1.5時間維持する。続いて室温まで冷却後、粘稠な褐色溶液を得る。
【化10】

【0049】
次いでSILTEM(登録商標)1600を、こうして得られた等量の溶液と置き換えること以外、実施例Iのプロセスを繰り返す。同様の結果が得られると考えられる。
【0050】
(実施例IV)
アミン末端処理されたポリ(ジメチルシロキサン)(GP−965、Genesee Polymers Corporationから入手可能)12.5g、GP−468アミン末端処理されたポリ(ジメチルシロキサン)33.5g、および4,4’−オキシジアニリン10gを、500mLのN−メチルピロリジノン溶媒中に溶解させる。機械的撹拌を行いながら、流動窒素ガスの下で、ピロメリット酸二無水物21.8gを徐々に添加する。混合物を30分かけて室温で混合し、次いで2時間かけて徐々に80℃まで加熱し、その後この温度で1.5時間維持する。続いて室温まで冷却後、粘稠な褐色溶液を得る。
【化11】

【0051】
次いでSILTEM(登録商標)1600を、こうして得られた等量の溶液と置き換えること以外、実施例Iのプロセスを繰り返す。同様の結果が得られると考えられる。
【0052】
(実施例V)
4,4’−[オキシビス(ジメチルシリレン)]ビス(1,2−ベンゼンジカルボン酸)二無水物42.6gを、400mLのN−メチルピロリジノン溶媒中に溶解させる。機械的撹拌を行いながら、流動窒素ガスの下で、4,4’−オキシジアニリン20gを徐々に添加する。混合物を30分かけて室温で混合し、次いで2時間かけて徐々に80℃まで加熱し、その後この温度で1.5時間維持する。続いて室温まで冷却後、粘稠な褐色溶液を得る。
【化12】

【0053】
次いでSILTEM(登録商標)1600を、こうして得られた等量の溶液と置き換えること以外、実施例Iのプロセスを繰り返す。同様の結果が得られると考えられる。
【0054】
(実施例VI)
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物14.7gおよび4,4’−[オキシビス(ジメチルシリレン)]ビス(1,2−ベンゼンジカルボン酸)二無水物21.3gを、400mLのN−メチルピロリジノン溶媒中に溶解させる。機械的撹拌を行いながら、流動窒素ガスの下で、4,4’−オキシジアニリン20gを徐々に添加する。混合物を30分かけて室温で混合し、次いで2時間かけて徐々に80℃まで加熱し、その後この温度で1.5時間維持する。続いて室温まで冷却後、粘稠な褐色溶液を得る。
【化13】

【0055】
次いでSILTEM(登録商標)1600を、こうして得られた等量の溶液と置き換えること以外、実施例Iのプロセスを繰り返す。同様の結果が得られると考えられる。
【0056】
(実施例VII)
アミン末端処理されたポリ(ジメチルシロキサン)(GP−468、Genesee Polymers Corporationから入手可能)133.3gを、1,000mLのN−メチルピロリジノン溶媒中に溶解させる。機械的撹拌を行いながら、流動窒素ガスの下で、2,2’−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物52gを徐々に添加する。混合物を30分かけて室温で混合し、次いで2時間かけて徐々に80℃まで加熱し、その後この温度で1.5時間維持する。続いて室温まで冷却後、粘稠な褐色溶液を得る。
【化14】

【0057】
次いでSILTEM(登録商標)1600を、こうして得られた等量の溶液と置き換えること以外、実施例Iのプロセスを繰り返す。同様の結果が得られると考えられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のチャンネルを含むインクジェットプリントヘッドであって、ここでチャンネルが、インク供給物からのインクで満たされることができ、ここでチャンネルが、プリントヘッドの1つの表面上にあるノズルに終止し、この表面が、以下を含むコーティング組成物でコーティングされている、インクジェットプリントヘッド:
(a)シロキサン−エーテルイミドコポリマー、および
(b)フッ素化非イオン性界面活性剤。
【請求項2】
前記フッ素化非イオン性界面活性剤が、前記コーティング組成物の0.0001〜20重量%の量でコーティング組成物中に存在する、請求項1に記載のプリントヘッド。
【請求項3】
請求項1に記載のプリントヘッドであって、前記シロキサン−エーテルイミドコポリマーが、式
【化1】

またはこれらの混合物であり;式中:
(i)RおよびRは、それぞれ互いに独立に、
(A)置換および非置換アルキレンを含むアルキレンであって、ここでヘテロ原子は、アルキレン中に存在してもよく、または存在しなくてもよいのいずれかであるアルキレン;
(B)置換および非置換アリーレンを含むアリーレンであって、ここでヘテロ原子は、アリーレン中に存在してもよく、または存在しなくてもよいのいずれかであるアリーレン;
(C)置換および非置換アリールアルキレンを含むアリールアルキレンであって、ここでヘテロ原子は、アリールアルキレンのアルキル部分およびアリール部分のいずれかまたは両方に存在してもよく、または存在しなくてもよいのいずれかであるアリールアルキレン;あるいは
(D)置換および非置換アルキルアリーレンを含むアルキルアリーレンであって、ここでヘテロ原子は、アルキルアリーレンのアルキル部分およびアリール部分のいずれかまたは両方に存在してもよく、または存在しなくてもよいのいずれかであるアルキルアリーレンであり;
(ii)R、R、およびR、およびRは、それぞれ互いに独立に:
(A)水素;
(B)置換および非置換アルキルを含むアルキルであって、ここでヘテロ原子が、アルキル中に存在してもよく、または存在しなくてもよいのいずれかであるアルキル;
(C)置換および非置換アリールを含むアリールであって、ここでヘテロ原子がアリール中に存在してもよく、または存在しなくてもよいのいずれかであるアリール;
(D)置換および非置換アリールアルキルを含むアリールアルキルであって、ここでヘテロ原子は、アリールアルキルのアルキル部分およびアリール部分のいずれかまたは両方に存在してもよく、または存在しなくてもよいのいずれかであるアリールアルキル;あるいは
(E)置換および非置換アルキルアリールを含むアルキルアリールであって、ここでヘテロ原子は、アルキルアリールのアルキル部分およびアリール部分のいずれかまたは両方に存在してもよく、または存在しなくてもよいのいずれかであるアルキルアリールであり;
(iii)RおよびR’は、それぞれ互いに独立に:
(A)置換および非置換アリーレンを含むアリーレンであって、ここでヘテロ原子は、アリーレン中に存在してもよく、または存在しなくてもよいのいずれかであるアリーレン;
(B)置換および非置換アリールアルキレンを含むアリールアルキレンであって、ここでヘテロ原子は、アリールアルキレンのアルキル部分およびアリール部分のいずれかまたは両方に存在してもよく、または存在しなくてもよいのいずれかであるアリールアルキレン;あるいは
(C)置換および非置換アルキルアリーレンを含むアルキルアリーレンであって、ここでヘテロ原子は、アルキルアリーレンのアルキル部分およびアリール部分のいずれかまたは両方に存在してもよく、または存在しなくてもよいのいずれかであるアルキルアリーレンであり;
(iv)RおよびRは、それぞれ互いに独立に:
(A)置換および非置換アルキレンを含むアルキレンであって、ここでヘテロ原子は、アルキレン中に存在してもよく、または存在しなくてもよいのいずれかであるアルキレン;
(B)置換および非置換アリーレンを含むアリーレンであって、ここでヘテロ原子は、アリーレン中に存在してもよく、または存在しなくてもよいのいずれかであるアリーレン;
(C)置換および非置換アリールアルキレンを含むアリールアルキレンであって、ここでヘテロ原子は、アリールアルキレンのアルキル部分およびアリール部分のいずれかまたは両方に存在してもよく、または存在しなくてもよいのいずれかであるアリールアルキレン;あるいは
(D)置換および非置換アルキルアリーレンを含むアルキルアリーレンであって、ここでヘテロ原子は、アルキルアリーレンのアルキル部分およびアリール部分のいずれかまたは両方に存在してもよく、または存在しなくてもよいのいずれかであるアルキルアリーレンであり;
(v)Xは:
(A)−O−、または
(B)式−O−R10−O−の基であり、式中R10は:
(1)置換および非置換アリーレンを含むアリーレンであって、ここでヘテロ原子は、アリーレン中に存在してもよく、または存在しなくてもよいのいずれかであるアリーレン;
(2)置換および非置換アリールアルキレンを含むアリールアルキレンであって、ここでヘテロ原子は、アリールアルキレンのアルキル部分およびアリール部分のいずれかまたは両方に存在してもよく、または存在しなくてもよいのいずれかであるアリールアルキレン;あるいは
(3)置換および非置換アルキルアリーレンを含むアルキルアレーレンであって、ここでヘテロ原子は、アルキルアリーレンのアルキル部分およびアリール部分のいずれかまたは両方に存在してもよく、または存在しなくてもよいのいずれかであるアルキルアリーレンであり;
(vi)xは、繰り返しシロキサンユニットの数を表す整数であり;
(vii)yは、繰り返しイミドユニットの数を表す整数であり;
(viii)zは、繰り返しエーテルユニットの数を表す整数であり、
(ix)wは、繰り返しエーテルイミドユニットの数を表す整数であり;ならびに
(x)nは、−O−Si−繰り返しユニットの数を表す整数である、プリントヘッド。
【請求項4】
請求項3に記載のプリントヘッドであって、前記シロキサン−エーテルイミドコポリマーが、式
【化2】

のコポリマー、それらのハロゲン化誘導体またはこれらの混合物であり、ここでこのポリマーのシロキサン含有量が、20〜40%であり、R、R、R、およびRがすべてメチルであり、
【化3】

【化4】

であり、式中、Qが−O−、−S−、−C(=O)−、−SO−、−SO−、またはC2aであり、式中、aが1〜20の整数である、プリントヘッド。
【請求項5】
前記シロキサン−エーテルイミドコポリマーが、100℃〜450℃のガラス転移温度を有する、請求項1に記載のプリントヘッド。
【請求項6】
前記シロキサン−エーテルイミドコポリマーが、少なくとも25のShoreD硬度値を有する、請求項1に記載のプリントヘッド。
【請求項7】
前記シロキサン−エーテルイミドコポリマーが、少なくとも15mPaの引張強度値を有する、請求項1に記載のプリントヘッド。
【請求項8】
前記シロキサン−エーテルイミドコポリマーコーティングが、センチメートルあたり100dyne以下の表面エネルギーを有する、請求項1に記載のプリントヘッド。
【請求項9】
前記シロキサン−エーテルイミドコポリマーコーティングが、少なくとも60°の水接触角を示す、請求項1に記載のプリントヘッド。
【請求項10】
複数のチャンネルを含むインクジェットプリントヘッドであって、ここでチャンネルが、インク供給物からのインクで満たされることができ、ここでチャンネルが、プリントヘッドの1つの表面上にあるノズルに終止し、この表面が、以下を含むコーティング組成物でコーティングされている、プリントヘッド:
(a)式
【化5】

のシロキサン−エーテルイミドコポリマー、またはこれらの混合物;式中:
(i)RおよびRは、それぞれ互いに独立に、
(A)置換および非置換アルキレンを含むアルキレンであって、ここでヘテロ原子は、アルキレン中に存在してもよく、または存在しなくてもよいのいずれかであるアルキレン;
(B)置換および非置換アリーレンを含むアリーレンであって、ここでヘテロ原子は、アリーレン中に存在してもよく、または存在しなくてもよいのいずれかであるアリーレン;
(C)置換および非置換アリールアルキレンを含むアリールアルキレンであって、ここでヘテロ原子は、アリールアルキレンのアルキル部分およびアリール部分のいずれかまたは両方に存在してもよく、または存在しなくてもよいのいずれかであるアリールアルキレン;あるいは
(D)置換および非置換アルキルアリーレンを含むアルキルアリーレンであって、ここでヘテロ原子は、アルキルアリーレンのアルキル部分およびアリール部分のいずれかまたは両方に存在してもよく、または存在しなくてもよいのいずれかであるアルキルアリーレンであり;
(ii)R、R、およびR、およびRは、それぞれ互いに独立に:
(A)水素;
(B)置換および非置換アルキルを含むアルキルであって、ここでヘテロ原子が、アルキル中に存在してもよく、または存在しなくてもよいのいずれかであるアルキル;
(C)置換および非置換アリールを含むアリールであって、ここでヘテロ原子がアリール中に存在してもよく、または存在しなくてもよいのいずれかであるアリール;
(D)置換および非置換アリールアルキルを含むアリールアルキルであって、ここでヘテロ原子は、アリールアルキルのアルキル部分およびアリール部分のいずれかまたは両方に存在してもよく、または存在しなくてもよいのいずれかであるアリールアルキル;あるいは
(E)置換および非置換アルキルアリールを含むアルキルアリールであって、ここでヘテロ原子は、アルキルアリールのアルキル部分およびアリール部分のいずれかまたは両方に存在してもよく、または存在しなくてもよいのいずれかであるアルキルアリールであり;
(iii)RおよびR’は、それぞれ互いに独立に:
(A)置換および非置換アリーレンを含むアリーレンであって、ここでヘテロ原子は、アリーレン中に存在してもよく、または存在しなくてもよいのいずれかであるアリーレン;
(B)置換および非置換アリールアルキレンを含むアリールアルキレンであって、ここでヘテロ原子は、アリールアルキレンのアルキル部分およびアリール部分のいずれかまたは両方に存在してもよく、または存在しなくてもよいのいずれかであるアリールアルキレン;あるいは
(C)置換および非置換アルキルアリーレンを含むアルキルアリーレンであって、ここでヘテロ原子は、アルキルアリーレンのアルキル部分およびアリール部分のいずれかまたは両方に存在してもよく、または存在しなくてもよいのいずれかであるアルキルアリーレンであり;
(iv)RおよびRは、それぞれ互いに独立に:
(A)置換および非置換アルキレンを含むアルキレンであって、ここでヘテロ原子は、アルキレン中に存在してもよく、または存在しなくてもよいのいずれかであるアルキレン;
(B)置換および非置換アリーレンを含むアリーレンであって、ここでヘテロ原子は、アリーレン中に存在してもよく、または存在しなくてもよいのいずれかであるアリーレン;
(C)置換および非置換アリールアルキレンを含むアリールアルキレンであって、ここでヘテロ原子は、アリールアルキレンのアルキル部分およびアリール部分のいずれかまたは両方に存在してもよく、または存在しなくてもよいのいずれかであるアリールアルキレン;あるいは
(D)置換および非置換アルキルアリーレンを含むアルキルアリーレンであって、ここでヘテロ原子は、アルキルアリーレンのアルキル部分およびアリール部分のいずれかまたは両方に存在してもよく、または存在しなくてもよいのいずれかであるアルキルアリーレンであり;
(v)Xは:
(A)−O−、または
(B)式−O−R10−O−の基であり、式中R10は:
(1)置換および非置換アリーレンを含むアリーレンであって、ここでヘテロ原子は、アリーレン中に存在してもよく、または存在しなくてもよいのいずれかであるアリーレン;
(2)置換および非置換アリールアルキレンを含むアリールアルキレンであって、ここでヘテロ原子は、アリールアルキレンのアルキル部分およびアリール部分のいずれかまたは両方に存在してもよく、または存在しなくてもよいのいずれかであるアリールアルキレン;あるいは
(3)置換および非置換アルキルアリーレンを含むアルキルアレーレンであって、ここでヘテロ原子は、アルキルアリーレンのアルキル部分およびアリール部分のいずれかまたは両方に存在してもよく、または存在しなくてもよいのいずれかであるアルキルアリーレンであり;
(vi)xは、繰り返しシロキサンユニットの数を表す整数であり;
(vii)yは、繰り返しイミドユニットの数を表す整数であり;
(viii)zは、繰り返しエーテルユニットの数を表す整数であり、
(ix)wは、繰り返しエーテルイミドユニットの数を表す整数であり;ならびに
(x)nは、−O−Si−繰り返しユニットの数を表す整数であり;ならびに
(b)前記コーティング組成物の0.0001〜20重量%の量で存在する、フッ素化非イオン性界面活性剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−103502(P2013−103502A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−235986(P2012−235986)
【出願日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】