説明

シンク及び該シンクに固定する収納ラック

【課題】シンクの凹み部の後壁面に、収納ラックを容易かつ確実に着脱可能に固定し、使い勝手がよく、しかも清掃性、意匠性のよいシンク及び該シンクに固定する収納ラックを提供する。
【解決手段】シンク1の後壁は、中央部分が前方へ凸状に形成された前面部5として、その両側が後方へ凹んだ凹み部2として構成されており、凹み部2の後壁面8の上下方向中間位置にコの字型に形成され固定部材11の両端が取付けられており、この固定部材11に、シンク周りで使用する部材を収納する収納ラック18のU字型の引っ掛け部25を引っ掛けて、収納ラック18をシンク1の凹み部2に着脱可能に固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キッチンのシンク周りで使用する洗剤やスポンジを収納する収納ラック (ゴミポケットを含む)をシンクに固定する技術に関し、特に収納ラックを固定するシンク及び該シンクに固定可能な収納ラックに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シンクのデッキ部にピン状の固定部材を取付け、このピン状の固定部材に収納ラック等を係合させるものが知られている(特許文献1参照)。また、シンクのデッキ部にバー状の固定部材を設け、このバー状の固定部材に収納用のホルダーを引っ掛け係合して取付ける構成が知られている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−274711号公報
【特許文献2】特開平10−195949号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のキッチンにおいて、シンクのデッキ部に固定部材を設けると、その部分に水や汚れがたまりやすいという問題がある。また、従来のキッチンにおいて、シンクに収納ラックやホルダー等の収納部材を固定するためにシンクに取付けられたピン状又はバー状の固定部材は、専用の収納部材を固定する用途のものが多く、汎用性に欠けるという問題もあった。
【0005】
本発明は、従来の問題を解決することを目的とするものであり、収納ラック等の収納部材を容易かつ確実に着脱可能に固定し、使い勝手がよく、しかも清掃性、意匠性のよいシンク及び該シンクに固定する収納ラックを実現することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記従来の問題を解決することを目的とし、シンク周りで使用する部材を収納する収納ラックを固定するための固定部材を備えたシンクにおいて、固定部材がコの字型に形成され、その両端がシンクの壁面に取付けられていることを特徴とするシンクを提供する。
【0007】
シンクの壁面のうち後壁が、中央部分が前方へ凸状に形成された前面部として、その両側が後方へ凹んだ凹み部として構成されており、固定部材の両端が、凹み部の壁面に取付けられている構成とすることが好ましい。
【0008】
固定部材は、凹み部の壁面に対して、上下方向中間位置に取付けられている構成とすることが好ましい。
【0009】
固定部材の横方向の幅が、凹み部の幅の約1/3であり、固定部材は、凹み部の横方向略中央の位置に取付けられていることが好ましい。
【0010】
シンクの壁面はシンクの底面に対して傾斜状に形成されており、固定部材の両端が、シンクの壁面に対して直交する角度で取付けられている構成とすることが好ましい。
【0011】
前記収納ラックは、底部と上段および中段の周枠部とを備えており、中段の周枠部に設けた引っ掛け部をシンクの壁面に取付けられた固定部材に引っ掛けて固定する構成とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、シンク壁面にコの字型の固定部材を取付け、固定部材に収納ラック等の引っ掛け部を引っ掛けて固定するように構成したので、収納ラック等を簡単且つ安定して固定可能で使い勝手が良くすることでき、また清掃性を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係るシンクの実施例を示す図であり(a)は全体構成を示し、(b)はシンクの凹み部を示す斜視図である。
【図2】実施例のシンクにおける固定部材を説明する図であり、(a)は平面図、(b)〜(d)は固定部材を凹み部に取付けた状態を示す図であり、(c)は断面図であり、(d)は(c)の一部拡大図である。
【図3】実施例のシンクに取付けられる収納ラックを説明する図であり、(a)は斜視図であり、(b)は収納ラックをシンクに取付けた状態を示す断面図であり、(c)は(b)の要部拡大図である。
【図4】実施例のシンク及びラックの作用を説明する図であり、(a)はシンクの凹み部に収納ラックを取付けた状態を示し、(b)はゴミ袋を取付けて使用する場合の断面図を示し、(c)は比較例を説明する図であり、引っ掛け部を収納ラックの上部に取付けた構成において、ゴミ袋を取付けて使用する場合の断面図を示す。
【図5】(a)〜(c)は、実施例のシンクに取付けるサポート品の一例であるスポンジ専用ラックを示す正面図、側面図及び斜視図であり、(d)はスポンジ専用ラックをシンクに取付けた状態を示す斜視図であり、(e)は、サポート品の別の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係るシンク及び該シンクに固定する収納ラックを実施するための形態を実施例に基づき図面を参照して、以下説明する。
【実施例1】
【0015】
(シンク)
本発明に係るシンク及び該シンクに取付ける収納ラックの実施例を説明する。図1(a)は、本発明に係るシンク1を上方前方から見た斜視図であり、図1(b)はシンク1の一部である後方へ凹んだ凹み部2を示す斜視図である。このシンク1は、底面6を囲むように、前壁、後壁3及び左右の側壁4が形成されており、上方から見て平面視で略矩形である。
【0016】
シンク1の壁面のうち後壁3は、図1(a)に示すように、上方から見て、横幅方向の中央部分が前方へ凸状に形成された前面部5として、その左右両側は後方へ凹んだ凹み部2として構成されている。左右の凹み部2は、それぞれ側壁4、後面壁8及び内側壁9で囲まれている。
【0017】
凹み部2の後面壁8は、底面6から上方かつ後方に向けて伸びるように、底面6に対して傾斜状に形成されている。具体的には、凹み部2の後面壁8の壁面は、図2(c)に示すように、鉛直面10に対して傾斜角度θ(θは、例えば、5°程度)で、底面6から上方かつ後方に向けて伸びるように形成されている。
【0018】
凹み部2の後面壁8の壁面に、図2(a)〜(d)に示すように、その上下方向中間位置であって、凹み部2の横方向略中央の位置に、固定部材11が固定して取付けられている。固定部材11は、直線状の係合部12と、該係合部12の両端においてそれぞれ後方に向けて折り返された左右の折り返し部13とから成り、全体形状は、平面視でコの字型をしている。固定部材11の係合部の長さ(横幅)は、例えば、凹み部2の後面壁8の横幅の約1/3である。このようにすれば、収納ラックを安定して固定することができる。
【0019】
固定部材11の左右の折り返し部13の端部には、ねじ部14が形成されている。固定部材11の左右の折り返し部13を、それぞれ凹み部2の後面壁8に形成した貫通孔16に挿通させ、図2(d)に示すように、そのねじ部14に袋ねじ15を螺着することで、後面壁8に締着されている。これにより、コの字型をした固定部材11は、凹み部2の後面壁8の壁面に対して側面視で垂直に固定されている。
【0020】
なお、本実施例では、固定部材11を凹み部2の後面壁8に固定したが、後面壁8でなくても、図示はしないが、凹み部2における側壁4及び内側壁9等のいずれかに取付けるようにしてもよい。
【0021】
(収納ラック)
シンク1の凹み部2の後面壁8には、本発明の収納ラック18を、シンク1の凹み部2の後面壁8の固定部材11に引っ掛けて着脱可能に取付けることができる。収納ラック18は、シンク周りで使用する洗剤やスポンジ等を収納するもので、ワイヤで形成された籠状の収納ラックである。
【0022】
収納ラック18は、図3(a)に示すように、底部周枠部19、中段周枠部20及び上段周枠部21を有し、これらの周枠部が上下方向に伸びる4本の結合杆22で上下方向に間隔をおいて結合されて構成されている。底部周枠部19には格子状の載置棚23が形成されている。図3(a)〜(c)に示すように。中段周枠部20の後枠24にはその横幅方向中央に下方にU字型の引っ掛け部25が形成されている。
【0023】
前記のとおり、シンク1の後面壁8が鉛直面に対して傾斜角度θ(例えば5°)で傾斜している場合は、収納ラック18の引っ掛け部25は、図3(c)に示すように、水平面に対して90°−θ(例えば85°)の角度で下方に向かうように屈曲して形成されている構成が好ましい。これにより、収納ラック18は、シンク1の後面壁8に対して、全体として水平に取付けることが可能となる。
【0024】
(作用)
収納ラック18は、図3(b)、図4(a)に示すように、そのU字型の引っ掛け部25を収納シンク1の凹み部2の固定部材11に引っ掛けて、凹み部2に簡単に着脱自在に固定することができる。
【0025】
ところで、本発明では、固定部材11は、前記のとおり、シンク1の凹み部2の後面壁8の高さ方向の中間位置に取付けられており、収納ラック18のU字型の引っ掛け部25は、その中段周枠部20の後枠24に形成されている。
【0026】
従って、従来技術のように、シンク1のデッキ部に設けられた固定部材11に引っ掛けるようなことがなく、収納ラック18の引っ掛け部25が露出するようなことがないので、見栄えが悪くなったりするようなことはなく、意匠性が向上する。特に、収納ラック18に収納すべき物品を収納した場合には、固定部材11及び収納ラック18の引っ掛け部25が隠れるので、すっきりする。
【0027】
また、デッキ部28より下方で収納ラック18は固定部材11に引っ掛けられるので、引っ掛け部25に付着した汚れた水でデッキ部28が汚れたりすることがなくなり清掃性や衛生面でも改善が図れる。
【0028】
前記したとおり、凹み部2の後面壁8は、底面6から上方かつ後方に向けて伸びるように、底面6に対して傾斜して形成されおり、この後面壁8に対して固定部材11は直交する角度で取付けられている。
【0029】
従って、収納ラック18のU字型の引っ掛け部25をシンク1の凹み部2の固定部材11に引っ掛けて取付けると、図3(b)おいて矢印Mで示すように、収納ラック18は、U字型の引っ掛け部25と固定部材11との係合面を中心にして、凹み部2の後面壁8側に自重によるモメントがかかり、後壁面8に、がたつきがなく、しっかりと当接して安定した状態で固定される。
【0030】
ところで、図4(c)は、本発明に対する比較例を示す。この比較例では、収納ラック34の引っ掛け部35が上段周枠部21の後枠26に形成されており、固定部材11がシンク1の凹み部2の後面壁8の上部に設けられている。このような比較例の構成では、収納ラック34内にゴミ袋31を入れてその上端を折り返して使用する場合、折り返し部32で収納ラック34の引っ掛け部35が覆われて邪魔となってしまい、凹み部2の固定部材11に引っ掛けることができない。
【0031】
しかし、本発明では、シンク1の凹み部2の固定部材11は、凹み部2の後面壁8の高さ方向の中間位置に取付けられており、しかも、収納ラック18のU字型の引っ掛け部25は、その中段周枠部20の後枠24に形成されている。
【0032】
従って、図4(b)に示すように。収納ラック18内にゴミ袋31を入れてその上端を折り返して使用しても、折り返し部32で収納ラック18の引っ掛け部25が覆われて邪魔となるようなことがなく、凹み部2の固定部材11に引っ掛けることができ、使い勝手がよい。
【0033】
本発明に係るシンク1は、凹み部2の後面壁8にコの字型の固定部材11が設けられているので、この固定部材11に引っ掛けられるものであれば、上記収納ラック18に限定されることなく、シンク周りで使用する小物物品を載置したり支持するその他のサポート品も引っ掛けることができる。
【0034】
その他のサポート品の一例として、スポンジ専用ラックを説明する。このスポンジ専用ラック40は、図5(a)〜(c)にそれぞれ正面図、側面図及び斜視図で示すように、上部の引っ掛け部41と下部の載置部42とから一体に形成されている。スポンジ専用ラック40は、図5(d)に示すように、引っ掛け部41を凹み部2の固定部材11に引っ掛けて、凹み部2の後壁面8に取付けることができる。
【0035】
さらにサポート品の別の一例として、図5(e)に示すようなS字フックがある。S字フック45を、図示はしないが、固定部材11に引っ掛けて、これに、図5(e)に示すような洗浄ブラシ46等を引っ掛けることが可能となる。
【0036】
以上、本発明に係るシンク及び該シンクに固定する収納ラックを実施するための形態を実施例に基づいて説明したが、本発明はこのような実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された技術的事項の範囲内でいろいろな実施例があることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明に係るシンク及び該シンクに固定する収納ラックは上記のような構成であるから、凹み部の固定部材に引っ掛けられる引っ掛け部を備えたものであれば、収納ラック、その他のサポート品の固定する手段として適用可能である。
【符号の説明】
【0038】
1 シンク
2 シンクの凹み部
3 シンクの後壁
4 シンクの左右の側壁
5 シンクの前面部
6 シンクの底面
8 凹み部の後面壁
9 凹み部の内側壁
10 鉛直面
11 固定部材
12 固定部材の係合部
13 固定部材の折り返し部
14 固定部材のねじ部
15 袋ねじ
16 凹み部の後面壁の貫通孔
18 収納ラック
19 収納ラックの底部周枠部
20 収納ラックの中段周枠部
21 収納ラックの上段周枠部
22 収納ラックの結合杆
23 収納ラックの載置棚
24 中段周枠部の後枠
25 収納ラックの引っ掛け部
26 収納ラックの上段周枠部の後枠
28 デッキ部
31 ゴミ袋
32 ゴミ袋の折り返し部
34 比較例の収納ラック
35 比較例の収納ラックの引っ掛け部
40 スポンジ専用ラック
41 スポンジ専用ラックの引っ掛け部
42 スポンジ専用ラックの載置部
45 S字フック
46 洗浄ブラシ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シンク周りで使用する部材を収納する収納ラックを固定するための固定部材を備えたシンクにおいて、固定部材がコの字型に形成され、その両端がシンクの壁面に取付けられていることを特徴とするシンク。
【請求項2】
請求項1に記載のシンクであって、シンクの壁面のうち後壁が、中央部分が前方へ凸状に形成された前面部として、その両側が後方へ凹んだ凹み部として構成されており、固定部材の両端が、凹み部の壁面に取付けられていることを特徴とするシンク。
【請求項3】
請求項2に記載のシンクであって、固定部材が、凹み部の壁面に対して、上下方向中間位置に取付けられていることを特徴とするシンク。
【請求項4】
請求項2または3に記載のシンクであって、固定部材の横方向の幅が、凹み部の幅の約1/3であり、固定部材は、凹み部の横方向略中央の位置に取付けられていることを特徴とするシンク。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載のシンクであって、シンクの壁面はシンクの底面に対して傾斜状に形成されており、固定部材の両端が、シンクの壁面に対して直交する角度で取付けられていることを特徴とするシンク。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載のシンクに取付けられる収納ラックであって、収納ラックは、底部と上段および中段の周枠部とを備えており、中段の周枠部に設けた引っ掛け部をシンクの壁面に取付けられた固定部材に引っ掛けて固定することを特徴とする収納ラック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−246725(P2012−246725A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−121489(P2011−121489)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000004709)株式会社ノーリツ (1,293)
【出願人】(511053078)関東産業株式会社 (11)
【Fターム(参考)】