説明

シンク機器にコンテンツを提供するソース機器およびその通信方法

【課題】 本発明は、HDMIまたはDVI通信インターフェースを用いてシンク機器にコンテンツを提供するソース機器およびその通信方法を提供することを課題とする。
【解決手段】 シンク機器にコンテンツを提供するソース機器およびその通信方法が提供される。本ソース機器の通信方法は、HDCP信号の含まれた通信信号をシンク機器に伝送し、シンク機器でHDCP通信結果が受信されると、HDCP通信結果を用いてシンク機器との通信状態を判断し、判断された通信状態に応じて前記通信信号を調整する。それにより、HDCP通信結果を用いてソース機器とシンク機器との間の通信状態を判断し、判断結果に応じて通信環境を自動的に調整することで、ユーザを最適化したコンテンツを提供することができるようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソース機器およびその通信方法に関し、より詳細には、HDMIまたはDVI通信インターフェースを用いてシンク機器にコンテンツを提供するソース機器およびその通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近来には、高画質のコンテンツを提供するために、HDMI(High Definition Multimedia Interface)およびDVI(Digital Visual Interface)通信が用いられている。このとき、HDMIまたはDVI通信においてコンテンツ保護のために、HDCP(High−bandwidth Digital Content Protection)信号を付加してコンテンツを提供している。一般に、HDMIまたはDVI通信においてHDCP信号は、DDC(Display Data Channel)ラインとTMDS(Transition Minimized Differential Signaling)ラインを通じてコンテンツ保護情報およびコントロール信号が伝達される。
【0003】
一方、HDMIケーブルが長すぎて通信信号の周波数特性が劣化したり、他の原因により通信信号の周波数特性が劣化すると、ソース機器およびシンク機器との間の通信が円滑でなくなり、通信障害を引き起こして正常画面および正常音声でないノイズの含まれた画面および音声が出力される。
【0004】
即ち、通信信号の周波数特性が劣化すると、デジタル信号の“1”と“0”を表すデジタル信号の電圧レベルが正確に伝達されなくなり、ソース機器がシンク機器に正常なコンテンツを提供できなくなってしまう。
【0005】
従って、正常なコンテンツを提供するために、ソース機器とシンク機器との間の通信状態を判断し、判断の結果、通信状態が失敗の場合、通信状態を改善するための方策への模索が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】日本特開第2010−041091号広報
【特許文献2】韓国特開第2009−0048006号広報
【特許文献3】日本特開第2009−027588号広報
【特許文献4】韓国特開第2009−0011474号広報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、HDCP通信結果を用いて通信状態を判断し、判断された通信状態に応じて通信信号を調整するソース機器およびその通信方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するための本発明の一実施形態に係るシンク機器にコンテンツを提供するソース機器の通信方法は、HDCP(High−bandwidth Digital Content Protection)信号の含まれた通信信号を前記シンク機器に伝送するステップと、前記シンク機器でHDCP通信結果が受信されると、前記HDCP通信結果を用いて前記シンク機器との通信状態を判断するステップと、前記判断された通信状態に応じて前記通信信号を調整するステップとを含む。
【0009】
そして、前記判断するステップは、前記シンク機器から伝送されたHDCP信号の復号化値および前記ソース機器から生成された復号化値を比較し、前記シンク機器との通信状態を判断し、前記調整するステップは、前記シンク機器から伝送されたHDCP信号の復号化値と前記ソース機器から生成された復号化値とが一致しない場合、前記通信信号を調整してよい。
【0010】
なお、前記調整するステップは、前記シンク機器から伝送されたHDCP信号の復号化値と前記ソース機器から生成された復号化値とが一致しない場合、前記通信信号の波形を調整してよい。
【0011】
そして、前記調整するステップは、前記通信信号のピークツーピーク(Peak to peak)を下げるかまたは上げ、上昇時間(rising time)及び下降時間(falling time)を増加または低減させ、Jitterを増加または低減させるなどの信号の電気的なすべての特性を最適化するように調整してよい。
【0012】
なお、前記通信信号の波形を調整した後、調整された通信信号を再び前記シンク機器に伝送し、前記シンク機器から再び伝送されたHDCP通信結果を用いて、前記シンク機器との通信状態を再判断するステップと、前記再判断の結果、前記HDCP通信結果が再び失敗であると判断されると、前記通信信号の周波数を変更するステップとを更に含んでよい。
【0013】
そして、前記通信信号の周波数を変更するステップは、前記コンテンツに含まれた映像データのビットデプス(Bit depth)を低減させてよい。
【0014】
なお、前記通信信号の周波数を変更するステップは、前記コンテンツに含まれた映像データの出力解像度を低減させてよい。
【0015】
そして、前記通信信号は、TMDS(Transition Minimized Differential Signaling)信号であってよい。
【0016】
なお、前記伝送するステップは、HDMI(High Definition Multimedia Interface)インターフェースおよびDVI(Digital Visual Interface)インターフェースのうち、いずれか一方を用いて前記通信信号を伝送してよい。
【0017】
一方、前記目的を達成するための本発明の一実施形態に係るシンク機器にコンテンツを提供するソース機器は、前記シンク機器との通信を行う通信部と、HDCP(High−bandwidth Digital Content Protection)信号の含まれた通信信号を前記シンク機器に伝送するように前記通信部を制御し、前記シンク機器でHDCP通信結果が受信されると、前記HDCP通信結果を用いて前記シンク機器との通信状態を判断し、前記判断された通信状態に応じて前記通信信号を調整する制御部とを含む。
【0018】
そして、前記制御部は、前記シンク機器から伝送されたHDCP信号の復号化値および前記ソース機器から生成された復号化値を比較し、前記シンク機器との通信状態を判断し、前記シンク機器から伝送されたHDCP信号の復号化値と前記ソース機器から生成された復号化値とが一致しない場合、前記通信信号を調整してよい。
【0019】
なお、前記制御部は、前記シンク機器から伝送されたHDCP信号の復号化値と前記ソース機器から生成された復号化値とが一致しない場合、前記通信信号の波形を調整してよい。
【0020】
そして、前記制御部は、前記通信信号のピークツーピーク(Peak to peak)を下げるかまたは上げ、上昇時間(rising time)及び下降時間(falling time)を増加または低減させ、Jitterを増加または低減させるなどの信号の電気的なすべての特性を最適化するように調整してよい。
【0021】
なお、前記制御部は、前記通信信号の波形を調整した後、調整された通信信号を再び前記シンク機器に伝送するように前記通信部を制御し、前記シンク機器から再び伝送されたHDCP通信結果を用いて、前記シンク機器との通信状態を再判断し、再判断の結果、前記HDCP通信結果が再び失敗であると判断されると、前記通信信号の周波数を変更してよい。
【0022】
そして、前記制御部は、前記コンテンツに含まれた映像データのビットデプス(Bit depth)を低減させて前記通信信号の周波数を変更してよい。
【0023】
なお、前記制御部は、前記コンテンツに含まれた映像データの出力解像度を低減させて前記通信信号の周波数を変更してよい。
【0024】
そして、前記通信信号は、TMDS(Transition Minimized Differential Signaling)信号であってよい。
【0025】
なお、前記通信部は、HDMI(High Definition Multimedia Interface)インターフェースおよびDVI(Digital Visual Interface)インターフェースのうち、いずれか一方を用いてよい。
【発明の効果】
【0026】
以上説明したように本発明によれば、HDCP通信結果を用いてソース機器とシンク機器との間の通信状態を判断し、判断結果に応じて通信環境を自動的に調整することにより、ユーザにとって最適化されたコンテンツを提供できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施形態に係るソース機器およびシンク機器を含む通信システムに対する図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るソース機器のブロック図を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るTMDS信号の構成を示す図である。
【図4A】本発明の一実施形態に係る通信信号の改善前/後のTMDS信号のアイパターンを示す図である。
【図4B】本発明の一実施形態に係る通信信号の改善前/後のTMDS信号のアイパターンを示す図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るシンク機器のブロック図を示す図である。
【図6】本発明の一実施形態に係るソース機器の通信方法を説明するためのフローチャートである。
【図7】本発明の一実施形態に係るソース機器の通信方法を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0029】
図1は、本発明の一実施形態に係るソース機器100およびシンク機器200を含む通信システム10を示す図である。図1に示す通信システム10は、ソース機器100とシンク機器200との間にHDMI(High Definition Multimedia Interface)およびDVI(Digital Visual Interface)インターフェースのうち、いずれか一方を用いて通信可能に接続される。
【0030】
このとき、ソース機器100は、シンク機器200に映像データおよび音声データの含まれたコンテンツを提供する装置である。ソース機器100としては、図1に示すように、DVDプレーヤであってよいが、それは一例に過ぎず、セットトップボックス等のようなソース機器100も本発明の技術的思想が適用されてよい。
【0031】
シンク機器200は、ソース機器100から受信されたコンテンツを出力する装置である。シンク機器200としては、図1に示すように、テレビであってよいが、それは一例に過ぎず、モニタやプロジェクションテレビ、ノートパソコンのようなシンク機器200も、本発明の技術的思想が適用されてよい。
【0032】
以下では、ソース機器100およびシンク機器200の細部構成について詳細に説明する。
【0033】
図2は、本発明の一実施形態に係るソース機器100のブロック図を示す図である。図2に示すように、ソース機器100は、コンテンツ獲得部110と、HDCP暗号化部120と、エンコード部130と、ソース通信部140と、ソースメモリ部150及びソース制御部160を含む。
【0034】
コンテンツ獲得部110は、コンテンツソースからコンテンツを獲得し、HDCP(High−bandwidth Digital Content Protection)暗号化部120に提供する。コンテンツ獲得部110がコンテンツを獲得する方式は、ソース機器100の種類に応じて異なる。
【0035】
例えば、1)ソース機器100がセットトップボックスなら、コンテンツ獲得部110はケーブルまたはアンテナを通じて放送局から受信する方式でコンテンツを獲得し、2)ソース機器100がDVDプレーヤなら、コンテンツ獲得部110はDVDから読み込む方式でコンテンツを獲得する。
【0036】
HDCP暗号化部120は、HDCP暗号化モジュールを用いて、コンテンツ獲得部110から出力されるコンテンツに対するHDCP暗号化作業を行う。
【0037】
エンコード部130は、HDCP暗号化部120で暗号化されたHDCP信号およびその他に必要な情報を付加してTMDS信号を生成する。図3は、本発明の一実施形態に係るTMDS信号の構成について示す図である。図3に示すように、TMDS信号は3つのチャネルで構成されている。“TMDS channel 0”は信号の前方に垂直同期信号および水平同期信号が位置する領域310と、オーディオデータパケットが位置する領域330およびビデオデータパケットが位置する領域340で構成される。そして、“TMDS channel 1”および“TMDS channel 2”は、信号の前方にHDCP信号が位置する領域320と、オーディオデータパケットが位置する領域330およびビデオデータパケットが位置する領域340で構成される。
【0038】
このとき、エンコード部130は、予め設定された時間間隔(例えば、1秒)で一つのフレームを生成することができる。
【0039】
ソース通信部140は、エンコード部130によって生成されたTMDS信号をシンク機器200に伝送する。なお、ソース通信部140は、シンク機器200からHDCP通信結果を受信する。このとき、HDCP通信結果とは、シンク機器200から生成されたHDCP信号の復号化値(Rn)を意味する。
【0040】
このとき、ソース通信部140は、HDMI(High Definition Multimedia Interface)インターフェースおよびDVI(Digital Visual Interface)インターフェースのうち、いずれか一方を用いてシンク機器200と通信を行うことができる。
【0041】
ソースメモリ部150は、ソース機器100を制御するための各種データおよび情報を保存する。特に、ソースメモリ部150は、Rn’値を生成するためのAKSV(A Key Selection Vector)とAnに対する情報を保存する。
【0042】
ソース制御部160は、ユーザの入力により、ソース機器100の動作の全般を制御する。特に、ソース制御部160は、HDCP信号の含まれたTMDS信号をシンク機器200に伝送するようにソース通信部140を制御する。
【0043】
そして、ソース制御部160は、シンク機器200で受信されたHDCP通信結果を用いてシンク機器200との通信状態を判断する。具体的に、シンク機器200がTMDS信号を受信すると、シンク機器200は受信されたTMDS信号に含まれたHDCP信号の鍵値(An)および予め保存されているBKSV(B Key Selection Vector)を用いてRnを生成する。そして、シンク機器200は、生成されたRnをソース機器100に伝送する。
【0044】
シンク機器200からRnを受信すると、ソース制御部160はソースメモリ部150に保存されたAKSV(A Key Selection Vector)とAnに基づいて生成したRn’をシンク機器200から伝送されたRnと同一かを比較する。
【0045】
例えば、“Rn’=Rn”の場合、ソース制御部160はソース機器100とシンク機器200との間の通信状態が正常であると判断し、現在の通信状態を維持しつつ、シンク機器200と通信を行うようにソース通信部140を制御する。
【0046】
一方で、“Rn’≠Rn”の場合、ソース制御部160はソース機器100とシンク機器200との間の通信状態が失敗であると判断する。このとき、通信状態が失敗である理由は、認証されていないシンク機器200がソース機器100と通信を行う場合もあるが、ケーブル線が長すぎてケーブル線による抵抗により、TMDS信号の周波数特性が劣化しているという場合もある。その他の理由により、TMDS信号の周波数特性が劣化する場合、ソース制御部160は、ソース機器100とシンク機器200との間の通信状態が失敗であると判断することができる。
【0047】
従って、TMDS信号の周波数特性の劣化による通信失敗を克服するために、ソース制御部160はTMDS信号を調整する。
【0048】
具体的に、ソース制御部160は、通信状態が失敗であると判断されると、TMDS信号の波形を調整することができる。より具体的に、図4Aに示すように、TMDS信号の周波数特性が劣化している場合、周波数がピークに達していなかったり、周波数周期が伸びるという現象が生じるようになる。
【0049】
このとき、ソース制御部160は、TMDS信号のピークツーピーク(Peak to peak)を上げ、上昇時間(rising time)及び下降時間(falling time)を低減させるようにTMDS信号を調整することができる。従って、図4Bに示すように、ソース制御部160は、TMDS信号がピークに達するように調整し、周波数の周期を低減させて劣化している周波数特性を調整することができる。
【0050】
しかし、それは一実施形態に過ぎず、ジッター(Jitter)を増加または低減させる等の信号の電気的な特性を最適化するように通信信号の波形を調整することができる。
【0051】
上述の方法によると、TMDS信号に含まれた映像データおよび音声データに影響を及ぼすことなく、TMDS信号の電気的特性のみを調整することにより、ユーザに最適化したコンテンツを提供することができるようになる。
【0052】
上述の方法によってTMDS信号を調整した後、ソース制御部160は調整されたTMDS信号をシンク機器200に伝送するようにソース通信部140を制御する。
【0053】
そして、ソース制御部160は、シンク機器200で再度受信されたHDCP通信結果を用いてシンク機器200との通信状態を判断する。HDCP通信結果を用いてシンク機器200との通信状態を判断する方法は、上述の方法と同様であるため、繰り返し説明は省略する。
【0054】
再び通信失敗であると判断された場合、ソース制御部160は、TMDS信号内に含まれた映像データのビットデプスを調整することができる。例えば、ソース制御部160は、各カラー(RGBまたはYCbCr)当り12ビットで出力されている映像データを10ビットまたは8ビットに調整して出力することができる。
【0055】
なお、ソース制御部160は、ビットデプスを調整する方法を数回行い、正常な通信状態でユーザに最適な画質を提供することができる。例えば、ソース制御部160は、12ビットで出力される映像データを、10ビットで出力される映像データ→8ビットで出力される映像データに順次に調整して通信状態を判断することができる。
【0056】
上述のように、ビットデプスを調整してTMDS信号の周波数を調整することにより、ソース機器100は正常な通信状態でコンテンツを提供することができるようになる。
【0057】
なお、ビットデプスを調整して周波数を調整したにもかかわらず、持続的な通信失敗が発生する場合、ソース制御部160は映像データの出力解像度を調整することができる。例えば、ソース制御部160は、148.35MHzのクロック周波数を有する1080P/8bit出力解像度の映像データを74.176MHzのクロック周波数を有する1080i/8bit出力解像度の映像データに調整することができる。
【0058】
上述のように、出力解像度を調整してTMDS信号の周波数を調整することにより、ソース機器100は多少画質は落ちるが、正常な通信状態でシンク機器200にコンテンツを提供できるようになる。
【0059】
図5は、本発明の一実施形態に係るシンク機器200のブロック図を示す図である。図5に示すように、シンク機器200は、シンク通信部210と、デコード部220と、HDCP復号化部230と、コンテンツ出力部240と、シンクメモリ部250およびシンク制御部260を含む。
【0060】
シンク通信部210は、ソース機器100のソース通信部140が伝送したTMDS信号を受信してデコード部220に伝達する。なお、シンク通信部210は、シンク機器200のHDCP復号化部230から生成されたHDCP通信結果をソース機器100に伝送する。このとき、HDCP通信結果とは、シンク機器200から生成されたHDCP信号の復号化値(Rn)を意味する。
【0061】
ここで、シンク通信部210は、ソース通信部140と同様に、HDMI(High Definition Multimedia Interface)インターフェースおよびDVI(Digital Visual Interface)インターフェースのうち、いずれか一方を用いてソース機器100と通信を行うことができる。
【0062】
デコード部220は、シンク通信部210を介してソース機器100から受信したTMDS信号をデコードする。
【0063】
HDCP復号化部230は、HDCP復号化モジュールを用いて、デコード部220から印加される暗号化されたHDCP信号を復号化する。具体的に、HDCP復号化230は、ソース機器100から受信されたTMDS信号に含まれたHDCP信号の鍵値(An)および予め保存されているBKSV(B Key Selection Vector)を用いてHDCP信号を復号化した後、Rnを生成する。
【0064】
コンテンツ出力部240は、TMDS信号に含まれた映像データおよび音声データをユーザに提供する。コンテンツ出力部240がコンテンツを出力する方式は、シンク機器200の種類に応じて異なる。
【0065】
シンクメモリ部250は、シンク機器200を制御するための各種データおよび情報を保存する。特に、シンクメモリ部250は、Rn値を生成するためのBKSV(B Key Selection Vector)に対する情報を保存する。
【0066】
シンク制御部260は、ユーザの操作に従ってシンク機器200の動作の全般を制御する。特に、シンク制御部260は、HDCP復号化部230から生成されたHDCP通信結果である復号化値(Rn)をソース機器100に伝送するようにシンク通信部210を制御する。
【0067】
従って、ソース機器100は、シンク機器200から伝送されたHDCP通信結果を用いて、シンク機器200との通信状態を判断し、ユーザに最適なコンテンツを提供することができるようになる。
【0068】
以下では、図6および図7を参照しながら、ソース機器100の通信方法について説明する。
【0069】
図6は、本発明の一実施形態に係るソース機器100の通信方法を説明するためのフローチャートである。まず、ソース機器100は、シンク機器200とHDMIケーブルが接続されているか否か判断する(S605)。
【0070】
シンク機器200とHDMIケーブルが接続されていると判断されると(S605−Y)、ソース機器100はHDCP信号の含まれた通信信号を伝送する(S610)。このとき、通信信号はTMDS信号であってよい。
【0071】
そして、シンク機器200が伝送されたHDCP信号を復号化してHDCP通信結果を伝送すると、ソース機器100はHDCP通信結果を受信する(S615)。このとき、HDCP通信結果とは、シンク機器200が受信されたHDCP信号の鍵値(An)および予め保存されているBKSVを用いて復号化したRnである。
【0072】
ソース機器100は、受信したHDCP通信結果を用いて、HDCP通信状態が正常であるか否かを判断する(S620)。具体的に、シンク機器200からRnを受信すると、ソース機器100は予め保存されているAKSV(A Key Selection Vector)とAnに基づいて生成したRn’をシンク機器200から伝送されたRnと同一であるか比較する。
【0073】
例えば、“Rn’=Rn”の場合、ソース機器100はHDCP通信が正常であると判断し、ソース機器100とシンク機器200との間の通信状態が正常であると判断する(S620−Y)。通信状態が正常であると判断されると、ソース機器100は通信状態を維持する(S675)。
【0074】
一方で、“Rn’≠Rn”の場合、ソース機器100はHDCP通信が失敗であると判断し、ソース機器100とシンク機器200との間の通信状態が失敗であると判断する(S620−N)。
【0075】
通信状態が失敗であると判断すると(S620−N)、ソース機器100は通信信号の波形を調整する(S625)。具体的に、ソース機器100は通信信号のピークツーピークを上げ、上昇時間および下降時間を低減させるように調整することができる。即ち、ソース機器100は周波数特性の劣化している通信信号がピークに達するように調整し、周波数の周期を低減させて劣化している周波数特性を調整することができる。
【0076】
上述の方法によると、通信信号に含まれた映像データおよび音声データに影響を及ぼすことなく、通信信号の電気的特性のみを調整することにより、ユーザに最適化したコンテンツを提供できるようになる。
【0077】
通信信号の波形が調整されると(S625)、ソース機器100は波形の調整された通信信号をシンク機器200に再伝送する(S630)。そして、ソース機器100は、シンク機器200からHDCP通信結果を再び受信する(S635)。
【0078】
HDCP通信結果が受信されると、ソース機器100は、ステップS620で説明したように、HDCP通信状態が正常か否かを判断する(S640)。
【0079】
HDCP通信状態が正常である場合(S640−Y)、ソース機器100はソース機器100とシンク機器200との間の通信状態が正常であると判断し、現在の通信状態を維持する(S675)。
【0080】
しかし、HDCP通信状態が再び失敗である場合(S640−N)、ソース機器100はソース機器100とシンク機器200との間の通信状態が失敗であると判断し、映像データのビットデプスを調整する(S645)。このとき、ビットデプスとは、映像データの各カラー(RGBまたはYCbCr)を表すビット数をいう。例えば、ソース機器100は、各カラー(RGBまたはYCbCr)当り12ビットで出力されている映像データを8ビットに調整して出力することができる。
【0081】
映像データのビットデプスが調整されると、ソース機器100はビットデプスの調整された映像データが含まれた通信信号を再伝送する(S650)。そして、ソース機器100は、シンク機器200からHDCP通信結果を再び受信する(S655)。
【0082】
HDCP通信結果が受信されると、ソース機器100はステップS620において説明したように、HDCP通信状態が正常であるか否かを判断する(S660)。
【0083】
HDCP通信状態が正常である場合(S660−Y)、ソース機器100はソース機器100とシンク機器200との間の通信状態が正常であると判断し、現在の通信状態を維持する(S675)。
【0084】
しかし、HDCP通信状態が又しても失敗である場合(S660−N)、ソース機器100はシース機器100とシンク機器200との間の通信状態が失敗であると判断し、映像データの出力解像度を調整する。例えば、ソース機器100は148.35MHzのクロック周波数を有する1080P/8bit出力解像度の映像データを74.176MHzのクロック周波数を有する1080i/8bit出力解像度の映像データに調整することができる。
【0085】
映像データの出力解像度が調整されると、ソース機器100は出力解像度の調整された映像データが含まれた通信信号を再伝送する(S670)。従って、出力解像度の調整された映像データを伝送することにより、周波数特性の劣化による通信失敗を克服できるようになる。
【0086】
上述のように、HDCP通信結果を用いてソース機器100とシンク機器200との間の通信状態を判断し、判断結果に応じて通信環境を自動的に調整することにより、ユーザに最適化したコンテンツを提供できるようになる。
【0087】
図7は、本発明の一実施形態に係るソース機器100の通信方法を簡略に説明するためのフローチャートである。まず、ソース機器100は、HDCP信号の含まれた通信信号をシンク機器200に伝送する(S710)。このとき、通信信号はTMDS信号であってよく、ソース機器100はDVIまたはHDMIインターフェースを用いてシンク機器200と通信可能である。
【0088】
シンク機器200でHDCP通信結果が受信されると、ソース機器100はHDCP通信結果を用いてシンク機器200との通信状態を判断する。それに対する詳細な説明は、図2および図6において説明したのと同様であるため、省略する。
【0089】
ソース機器100は判断された通信状態に応じて、通信信号を調整する(S730)。具体的に、ソース機器100は、シンク機器200から伝送されたHDCP通信結果を用いて、ソース機器100とシンク機器200との間の通信状態が正常であると判断されると、現在の通信状態を維持してシンク機器200との通信を行う。
【0090】
しかし、ソース機器100とシンク機器200との間の通信状態が失敗であると判断されると、ソース機器100は通信信号を調整する。とのとき、通信信号を調整する方法としては、図2において説明したように、通信信号の波形を調整する方法、映像データのビットデプスを調整する方法および映像データの出力解像度を調整する方法がある。上述の順番は、コンテンツの画質に影響を最小限化する順番として、上述の順番によって通信信号が調整されてよい。
【0091】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は以上の実施形態に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的趣旨の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シンク機器にコンテンツを提供するソース機器の通信方法において、
HDCP(High−bandwidth Digital Content Protection)信号の含まれた通信信号を前記シンク機器に伝送するステップと、
前記シンク機器でHDCP通信結果が受信されると、前記HDCP通信結果を用いて前記シンク機器との通信状態を判断するステップと、
前記判断された通信状態に応じて前記通信信号を調整するステップと
を含むソース機器の通信方法。
【請求項2】
前記判断するステップは、
前記シンク機器から伝送されたHDCP信号の復号化値および前記ソース機器から生成された復号化値を比較し、前記シンク機器との通信状態を判断し、
前記調整するステップは、
前記シンク機器から伝送されたHDCP信号の復号化値と前記ソース機器から生成された復号化値とが一致しない場合、前記通信信号を調整することを特徴とする請求項1に記載のソース機器の通信方法。
【請求項3】
前記調整するステップは、
前記シンク機器から伝送されたHDCP信号の復号化値と前記ソース機器から生成された復号化値とが一致しない場合、前記通信信号の波形を調整することを特徴とする請求項2に記載のソース機器の通信方法。
【請求項4】
前記調整するステップは、
前記通信信号のピークツーピーク(Peak to peak)を上げ、上昇時間(rising time)及び下降時間(falling time)を低減させ、ジッター(Jitter)を増加または低減させ、前記通信信号の電気的な特性が最適化されるように調整することを特徴とする請求項3に記載のソース機器の通信方法。
【請求項5】
前記通信信号の波形を調整した後、調整された通信信号を再び前記シンク機器に伝送し、前記シンク機器から再び伝送されたHDCP通信結果を用いて、前記シンク機器との通信状態を再判断するステップと、
前記再判断の結果、前記HDCP通信結果が再び失敗であると判断されると、前記通信信号の周波数を変更するステップとを更に含むことを特徴とする請求項3に記載のソース機器の通信方法。
【請求項6】
前記通信信号の周波数を変更するステップは、
前記コンテンツに含まれた映像データのビットデプス(Bit depth)を低減させることを特徴とする請求項5に記載のソース機器の通信方法。
【請求項7】
前記通信信号の周波数を変更するステップは、
前記コンテンツに含まれた映像データの出力解像度を低減させることを特徴とする請求項5に記載のソース機器の通信方法。
【請求項8】
前記通信信号は、TMDS(Transition Minimized Differential Signaling)信号であることを特徴とする請求項1に記載のソース機器の通信方法。
【請求項9】
前記伝送するステップは、
HDMI(High Definition Multimedia Interface)インターフェースおよびDVI(Digital Visual Interface)インターフェースのうち、いずれか一方を用いて前記通信信号を伝送することを特徴とする請求項1に記載のソース機器の通信方法。
【請求項10】
シンク機器にコンテンツを提供するソース機器において、
前記シンク機器との通信を行う通信部と、
HDCP(High−bandwidth Digital Content Protection)信号の含まれた通信信号を前記シンク機器に伝送するように前記通信部を制御し、前記シンク機器でHDCP通信結果が受信されると、前記HDCP通信結果を用いて前記シンク機器との通信状態を判断し、前記判断された通信状態に応じて前記通信信号を調整する制御部と
を含むソース機器。
【請求項11】
前記制御部は、
前記シンク機器から伝送されたHDCP信号の復号化値および前記ソース機器から生成された復号化値を比較し、前記シンク機器との通信状態を判断し、前記シンク機器から伝送されたHDCP信号の復号化値と前記ソース機器から生成された復号化値とが一致しない場合、前記通信信号を調整することを特徴とする請求項10に記載のソース機器。
【請求項12】
前記制御部は、
前記シンク機器から伝送されたHDCP信号の復号化値と前記ソース機器から生成された復号化値とが一致しない場合、前記通信信号の波形を調整することを特徴とする請求項11に記載のソース機器。
【請求項13】
前記制御部は、
前記通信信号のピークツーピーク(Peak to peak)を上げ、上昇時間(rising time)及び下降時間(falling time)を低減させ、ジッター(Jitter)を増加または低減させ、前記通信信号の電気的な特性が最適化されるように前記通信信号の波形を調整することを特徴とする請求項12に記載のソース機器。
【請求項14】
前記制御部は、
前記通信信号の波形を調整した後、調整された通信信号を再び前記シンク機器に伝送するように前記通信部を制御し、前記シンク機器から再び伝送されたHDCP通信結果を用いて、前記シンク機器との通信状態を再判断し、再判断の結果、前記HDCP通信結果が再び失敗であると判断されると、前記通信信号の周波数を変更することを特徴とする請求項11に記載のソース機器。
【請求項15】
前記制御部は、
前記コンテンツに含まれた映像データのビットデプス(Bit depth)を低減させて前記通信信号の周波数を変更することを特徴とする請求項14に記載のソース機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−249285(P2012−249285A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−117352(P2012−117352)
【出願日】平成24年5月23日(2012.5.23)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.HDMI
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung−ro,Yeongtong−gu,Suwon−si,Gyeonggi−do,Republic of Korea
【Fターム(参考)】