説明

シンク

【課題】凹所に収納した洗剤やスポンジなどの収納物が丸見えになることを防ぐことができると共にこの収納物に水がかかることなくシンクを使用することができ、しかも仕切り部材の清掃が容易であると共に収まりがスッキリしてシンクの外観を損なうことがないようにする。
【解決手段】シンク1の後方側壁に前方と上方が開放した入り江状の凹所2を有する。面材で形成される仕切り部材3が凹所2の前方開口部に脱着自在に配設されている。凹所2とシンク1内とを面材の仕切り部材3で仕切って、洗剤などを隠すことができると共に水がかかることなくシンク1を使用することができる。また面材で形成される仕切り部材3は、シンク1の内側面と連続性があって収まりがスッキリすると共に容易に清掃を行なうことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シンク内の一部に収納部を形成したシンクに関するものである。
【背景技術】
【0002】
台所などで使用される流し台において、シンクの槽内に収納部を形成して、シンク内に洗剤などを収納することができるようにしたものが知られている。例えば図7(a)に示すように、シンク20の奥側の内側面を凹ませて収納用凹所21を形成し、この収納用凹所21内に収納ラック22を脱着自在に取り付けるようにしたものが提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
そしてこのものでは、収納ラック22を図7(b)のように金属線材22aで籠状に形成してあり、収納ラック22に洗剤やスポンジなどを保持した状態で、収納用凹所21内に収納することができるものである。
【特許文献1】特開2002−10841号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、洗剤やスポンジなどを収納ラック22に保持して収納用凹所21に収納するにあたって、上記のように収納ラック22が線材22aで籠に形成されていると、収納用凹所21に収納している洗剤やスポンジなどの収容物が丸見えになって見栄えが悪く、またシンク20を使用する際に水が飛散すると収容物にかかり易いという問題があった。さらに、線材22aで籠状に形成される収納ラック22は、平滑な面として形成されるシンク20に対して違和感があって収まりが悪く、また収納ラック22に汚れが付着した際に清掃がし難いという問題もあった。
【0005】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、収納用凹所に収納した洗剤やスポンジなどの収納物が丸見えになることを防ぐことができると共にこの収納物に水がかかることなくシンクを使用することができ、しかも仕切り部材の清掃が容易であると共に収まりがスッキリしてシンクの外観を損なうことがないシンクを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るシンクは、シンク1の後方側壁に前方と上方が開放した入り江状の凹所2を有し、面材で形成される仕切り部材3が凹所2の前方開口部に脱着自在に配設されたことを特徴とするものである。
【0007】
この発明によれば、洗剤やスポンジなどの収納部となる凹所2とシンク1内とを面材の仕切り部材3で仕切って、洗剤やスポンジなどの収納物を隠すことができると共にこの収納物に水がかかることなくシンク1を使用することができるものである。
【0008】
本発明において、仕切り部材3は、凹所2の開口部の左右全幅に亘って跨るとともに、その前面が凹所2の外側左右におけるシンク1内側面と略面一に連続した状態を成し、仕切り部材3の背面側の左右端部には、凹所2の内側の左右側面に係合する係合手段が設けられている構成とするのが好ましい。
【0009】
このように構成すれば、仕切り部材3は表面がシンク1の内側面と連続して、仕切り部材3の収まりがスッキリするものであり、またシンク1の内側面を拭く作業の連続で仕切り部材3の表面を拭いて清掃することができ、清掃が容易になるものである。
【0010】
本発明において、係合手段として仕切り部材3の背面側の左右端部に係合片4が設けられ、一方、凹所2の内側の左右側面に係合片4が係合する係合受部5が設けられており、係合片4と係合受部5は左右方向の幅寸法が下から上に向かって狭小し、仕切り部材3及び凹所2側壁の上方に露出しないよう形成されている構成とするのが好ましい。
【0011】
このように構成すれば、係合片4や係合受部5は仕切り部材3の背面側に隠れると共に上方にも露出しないようにすることができ、仕切り部材3の収まりがスッキリするものである。
【0012】
本発明において、仕切り部材3の背面下端部に、後方側へ延び出た受け板6が設けられている構成とすることもできる。
【0013】
このように構成すれば、凹所2内において受け板6の上に洗剤やスポンジなどの収納物を保持して収納することができ、収納が容易になるものである。
【0014】
このとき、受け板6に水抜き孔7が設けられている構成とするのが好ましい。
【0015】
このように構成すれば、受け板6上の水を水抜き孔7から排出することができ、受け板6上に水が溜まって洗剤やスポンジなどの収納物が濡れることを防ぐことができるものである。
【0016】
また、受け板6の上面は後方に向かって下向きの傾斜を有するとともに、前後方向に形成されて後方端縁まで連続する排水溝13が設けられている構成とすることもできる。
【0017】
このように構成すれば、受け板6上の水を排水溝13を通して受け板6の後方へ排出することができ、受け板6上に水が溜まって洗剤やスポンジなどの収納物が濡れることを防ぐことができるものである。
【0018】
さらに受け板6を設けた構成では、凹所2の内側面に、受け板6の縁部が載置される段部8が設けられている構成とすることも好ましい。
【0019】
このように構成すれば、受け板6にかかる荷重を段部8で支えることができ、受け板6の上に収納される洗剤やスポンジなどの収納物の重みで受け板6が変形することを防ぐことができるものである。
【0020】
本発明において、シンク1底面の排水口9がその開口領域の一部が凹所2内に入るよう設けられ、排水口9の開口部には、その開口領域の大半を覆う一方、その残り領域を通水口11として開口する覆い蓋10が設けられており、通水口11は凹所2内に位置する構成とすることもできる。
【0021】
この構成によれば、シンク1の排水口9を覆い蓋10で隠すことができると共に、水を排水口9へと導く蓋10の通水口11を外部から見え難くすることができ、シンク1の外観をスッキリしたものにすることができるものである。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、洗剤やスポンジなどの収納部として凹所2を用いることができ、このとき凹所2とシンク1内と仕切る仕切り部材3が面材であるので、洗剤やスポンジなどの収納物を隠すことができると共にこれらの収納物にシンク使用時に飛散する水がかかることを防止することができる。また面材で形成される仕切り部材3にシンク1の内側面と連続性を持たせれば、外観がスッキリすると共に、仕切り部材3の表面を拭く作業で容易に清掃を行なうことができるものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【0024】
シンク1は合成樹脂成形品などで上面を開口して形成されるものであり、平面形状を横長の長円形状に形成してある。このシンク1の奥側後方の内側面において、前面がシンク1の内方へ開口すると共に上面が上方へ開口する凹所2が図2に示すように形成してある。凹所2は、シンク1の上端面よりやや下側から底面に至る高さで一対の張り出し部15をシンク1に設けることによって、図3や図4に示すようにこの一対の張り出し部15の間に、シンク1より奥方へ凹むように形成されるものである。凹所2を形成するためにシンク1に設けられるこの張り出し部15を利用して、例えばカランなどを設けることができる。図2の符号16は、カランを取り付けるために張り出し部15の上面に設けた孔である。
【0025】
上記の凹所2のシンク1内へ開口する前面開口の両内側面には、前面開口からやや奥側の位置において係合受部5が凹設してある。この係合受部5は、凹所2の開口前端部よりも奥側の内壁面を凹ませることによって、図4に示すように縦方向に段面5aを有する凹段部として形成されるものである。またこの係合受部5の段面5aは上部ほど幅狭で下部ほど幅広になるように形成してあり、係合受部5の深さが上部ほど浅く下部ほど深くなるようにしてある。
【0026】
係合受部5はこのように上部ほど深さが浅くなるように形成してあり、係合受部5の上端が凹所2の上端にまで至らない範囲で形成してある。また係合受部5の下端は凹所2の下部に位置するものであり、凹所2の内側面には各係合受部5のこの下端の高さ位置において段部8が設けてある。係合受部5を形成するために上記のように凹所2の内壁面を凹ませているが、図4に示すように段部8はこの凹みの形成によって断面8aを有する凹段部として形成されるものである。この段部8は図3(b)のように係合受部5から凹所2の奥側へと横方向に形成されるものである。ここで、凹所2の内壁は内方へ下り傾斜する傾斜面に形成してあり、この傾斜面に対して鉛直面の部分を形成することによって上記の凹みが形成されるものであり、傾斜面と鉛直面との境界にできる段差で、係合受け部5や段部8が形成されるようにしてある。
【0027】
一方、仕切り部材3は樹脂成形品などで、孔などの開口を有しない面板状に形成してあり、仕切り部材3の下端の全長に背面側へ張り出すように受け板6を一体に延設して、図5に示すように全体として縦断面略L字形となったラック12を形成するようにしてある。仕切り部材3の背面の左右両端部には係合手段が設けてある。仕切り部材3の両側端には背面側へフランジ片17が突出させてあり、各フランジ片17の先端にそれぞれ外側方へ係合片4を突設することによって、この係合片4で係合手段を形成するようにしてある。係合片4は図5(a)(c)に示すように、上部ほど突出寸法が小さく下部ほど突出寸法が大きくなるように下広がりに形成してあり、係合片4の上端が仕切り部材3の上端にまで至らない範囲で形成してある。係合片4の下端は仕切り部材3の下端にまで至るようにして、係合片4のこの下端は受け板6に連続するようにしてある。この受け板6には図5(b)(c)のように複数個所において水抜き孔7が穿設してある。
【0028】
そして上記のように仕切り部材3と受け板6とから形成されるラック12は凹所2内に脱着自在に取り付けられるものである。すなわち、凹所2内に上面の開口から受け板6を落とし込むようにして、係合受部5に仕切り部材3の係合片4を上側から差し込むことによって、係合受部5の段面5aに係合片4を係合させると共に、受け板6の両側周縁を段部8の段面8aの上に係合・載置することにより、係合受部5に対する仕切り部材3の係合片4の係合と、凹所2内への受け板6のはまり込みによって、凹所2に仕切り部材3と受け板6からなるラック12を取り付けることができるものである。またラック12を上方へ持ち上げることによって、凹所2からラック12を取り外すこともできるものである。
【0029】
このようにして、仕切り部材3を凹所2の前面開口の幅全長に渡して配置した状態で取り付けることができ、図1(a)に示すように凹所2のこの前面開口を下部を除いて仕切り部材3で塞ぐことができるものである。このとき仕切り部材3はその前面がシンク1の内側面と面一に連続するように配置されるものであり、また図1(a)(b)のようにシンク1の内側面の曲面と連続する曲面で仕切り部材3を形成してあるので、シンク1内と凹所2内とを仕切り部材3で違和感なく仕切ることができ、仕切り部材3でシンク1の外観を損ねることがないものである。また、仕切り部材3を凹所2に取り付けるための係合片4は仕切り部材3の背面側において凹所2の係合受部5に係合しているために、係合片4と係合受部5は外部に露出しないようになっており、しかも係合片4は上部ほど突出寸法が小さい下広がりに形成して上端が仕切り部材3の上端にまで至らない範囲で形成してあるので、係合片4が外部から見え難いようになっており、係合片4の存在を外部から隠して、仕切り部材3の収まりをスッキリしたものにすることができるものである。
【0030】
そしてこのように凹所2はラック12の仕切り部材3でシンク1と仕切られており、しかも凹所2の下部内にはラック12の受け板6が配置されているので、受け板6の上に洗剤やスポンジなどの収納物を載置することができ、収容用凹所2内を収納部としてこれらの収納物を収納することができるものである。
【0031】
ここで、シンク1と凹所2は面板状の仕切り部材3で仕切られているので、シンク1を使用する際に水が飛び跳ねても、凹所2内に収納した洗剤やスポンジなどに水がかかることを仕切り部材3で防ぐことができるものである。また、シンク1の内面を拭いて清掃する際に、仕切り部材3は前面がシンク1の内側面と面一に連続しているために、シンク1の内面を拭く一連の操作で仕切り部材3の表面も拭くことができ、汚れていると目立つ仕切り部材3の表面を容易に清掃して、仕切り部材3を常に綺麗に保つことができるものである。特に仕切り部材3は面板状であって、線材で形成される籠のような複雑な形状ではないので、清掃を容易に行なうことができるものである。
【0032】
また、ラック12の受け板6の上に洗剤やスポンジなどの収納物を収納するにあたって、受け板6にかかる荷重は段部8で支えることができるので、受け板6の上に収納される洗剤やスポンジなどの重みで受け板6が変形することを防ぐことができるものである。そしてこの受け板6には水抜き孔7が設けてあるので、受け板6上の水を水抜き孔7から排出することができ、受け板6上に水が溜まることを防ぐことができるものである。尚、受け板6は、ラック12を凹所2に取り付けた際に、後方へ向けてやや下り傾斜するようにしてあり、受け板6上の水を受け板6の後端からも排出することができるようにしてある。
【0033】
またここで、シンク1の底部には排水口9が設けてあり、図2に示すように排水口9は奥側の略半分が凹所2内に位置するように配置してある。この排水口9の上端の開口には図1(a)(b)のように覆い蓋10を脱着自在に嵌め込んで取り付けてあり、排水口9の開口を覆い蓋10で隠すようにしてある。そして蓋10の一部は切り欠いて、排水口9内に連通する通水口11が形成してあり、この通水口11が凹所2内に配置されるように排水口9に蓋10を取り付けるようにしてある。従って、水が流入する通水口11は凹所2に配置されて目立つことがなく、しかも上方に取り付けられたラック12で通水口11を隠すことができるものであり、シンク1の外観をスッキリしたものにすることができるものである。また覆い蓋10の上面は図3(b)のように通水口11の側へ下り傾斜するように形成してあり、水がスムーズに通水口11へと導かれて排出されるようにしてある。
【0034】
図6はラック12の他の実施の形態を示すものであり、受け板6を後方に向かって下方へ傾斜するように形成すると共に、受け板6の上面に後方端縁まで至る前後方向の排水溝13が形成してある。受け板6は凹凸が交互に繰り返す波状断面に形成してあり、排水溝13が受け板6の左右幅方向に亘って平行に多数本形成されるようにしてある。このものにあって、受け板6上の水は、受け板6の傾斜に沿って排水溝13内を後方へ流れ、受け板6の後端から排出することができるものであり、受け板6上に水が溜まることを防ぐことができるものである。またこのように排水溝13を多数設けて受け板6を波状断面に形成することによって、受け板6上に載置される洗剤やスポンジなどの収納物は、受け板6の上面に線で接触するものであり、収納物の下面と受け板6の上面との間に毛細管現象で水が滞留するようなことを防ぐことができるものである。
【0035】
尚、シンクやラックは合成樹脂材で形成する他、ステンレスなどの金属材で形成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施の形態の一例を示すものであり、(a)は斜視図、(b)は平面図である。
【図2】同上のシンクの平面図である。
【図3】同上のシンクを示すものであり、(a)は図2のA−B−C−D線断面図、(b)は図2のE−F線断面図である。
【図4】同上のシンクの一部の斜視図である。
【図5】同上のラックを示すものであり、(a)は斜視図、(b)背面側から見た斜視図、(c)は上下反転させた状態の斜視図である。
【図6】同上のラックの他の実施の形態を示す斜視図である。
【図7】従来例を示すものであり、(a)は平面図、(b)は収納ラックの正面図である。
【符号の説明】
【0037】
1 シンク
2 凹所
3 仕切り部材
4 係合片
5 係合受部
6 受け板
7 水抜き孔
8 段部
9 排水口
10 覆い蓋
11 通水口
12 ラック
13 排水溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シンクの後方側壁に前方と上方が開放した入り江状の凹所を有し、面材で形成される仕切り部材が凹所の前方開口部に脱着自在に配設されたことを特徴とするシンク。
【請求項2】
仕切り部材は、凹所の開口部の左右全幅に亘って跨るとともに、その前面が凹所の外側左右におけるシンク内側面と略面一に連続した状態を成し、仕切り部材の背面側の左右端部には、凹所の内側の左右側面に係合する係合手段が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のシンク。
【請求項3】
係合手段として仕切り部材の背面側の左右端部に係合片が設けられ、一方、凹所の内側の左右側面に係合片が係合する係合受部が設けられており、係合片と係合受部は左右方向の幅寸法が下から上に向かって狭小し、仕切り部材及び凹所側壁の上方に露出しないよう形成されていることを特徴とする請求項2に記載のシンク。
【請求項4】
仕切り部材の背面下端部に、後方側へ延び出た受け板が設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のシンク。
【請求項5】
受け板に水抜き孔が設けられていることを特徴とする請求項4に記載のシンク。
【請求項6】
受け板の上面は後方に向かって下向きの傾斜を有するとともに、前後方向に形成されて後方端縁まで連続する排水溝が設けられていることを特徴とする請求項4又は5に記載のシンク。
【請求項7】
凹所の内側面に、受け板の縁部が載置される段部が設けられていることを特徴とする請求項4乃至6のいずれか1項に記載のシンク。
【請求項8】
シンク底面の排水口がその開口領域の一部が凹所内に入るよう設けられ、排水口の開口部には、その開口領域の大半を覆う一方、その残り領域を通水口として開口する覆い蓋が設けられており、通水口は凹所内に位置することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の収納部付きシンク。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−297824(P2008−297824A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−146011(P2007−146011)
【出願日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】